(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも表裏一対の矩形形状の正面シート部を有し、該正面シート部の上辺部の間に収納開口部が形成される簡易袋に物品を収納した状態から、前記簡易袋を取り除いて、物品を取り出せるようにする物品の取出し取扱い方法であって、
前記簡易袋には、表裏一対の前記正面シート部の前記収納開口部が形成される各々の上辺部の中央部から、該上辺部に対して垂直に延設して該上辺部と対向する底辺部に至る、カット部と非カット部とが交互に連設する不連続カット線が、表裏一対の前記正面シート部に跨るように連続して設けられており、
前記簡易袋に物品を収納して、物品を収納した前記簡易袋を、上面が開口面となっている箱に、前記収納開口部の部分が開口面側に配置されるようにして納めた状態とし、前記収納開口部の開口周縁部を引っ張ることで前記不連続カット線の前記非カット部を連続的に破断させて、前記簡易袋を2分割し、該2分割された簡易袋を各々取り除くことによって、収納されていた状態のまま物品を取り出せるようにする物品の取出し取扱い方法。
物品を収納した前記簡易袋を納めた前記箱は、所定の取出し領域に送られ、前記簡易袋を納めた前記箱が前記取り出し領域に送られた後に、前記簡易袋が2分割されて取り除かれる請求項1記載の物品の取出し取扱い方法。
物品を収納した前記簡易袋を納めた前記箱において、前記簡易袋が2分割されて取り除かれた後に、前記箱が、前記簡易袋に収納されていた状態のまま納められた物品と共に、所定の取出し領域まで送られる請求項1記載の物品の取出し取扱い方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1(a)〜(h)に示す本発明の好ましい第1実施形態に係る物品の取出し取扱い方法は、例えば工場内の包装エリアにおいて、他の製造エリアや他のメーカーで製造された被包装物品を、更に他の製造エリアやメーカーで製造された包装物品に、各々収容して製品化する際に、複数の被包装物品や包装物品を、纏めた状態で、これらの製造エリアやメーカーから包装エリアに搬送したり移動したりすることによって送り出すと共に、纏めた状態で送られた複数の被包装物品や包装物品を、一つずつ容易に取り出せるようにして、製品化する作業を効率良く行えるようにするための取扱い方法として採用されたものである。本第1実施形態の物品の取出し取扱い方法は、シート材料として好ましくは厚さの薄い合成樹脂フィルムを用いて形成された、後述する簡易袋10に、物品15として複数の被包装物品や包装物品を、後の取り出し工程において取り出し易くなるように纏めて収納して、包装エリアの所定の取出し領域まで搬送したり移動したりして送り出すと共に、送られた複数の被包装物品や包装物品が、取り出し易いように整列配置されている所望の形態を保持したまま、簡易袋10のみを容易に取り除くことを可能にして、複数の物品15を、所定の取出し領域において効率良く取り出せるようにするものである。
【0014】
そして、本第1実施形態の物品の取出し取扱い方法は、
図1(a)〜(h)及び
図2(a)〜(d)に示すように、少なくとも表裏一対の矩形形状の正面シート部11を有し、これらの正面シート部11の上辺部11aの間に収納開口部12が形成される簡易袋10(
図2(a)、(b)参照)に、物品15(
図1(a)〜(h)参照)として、例えば複数の被包装物品や包装物品を収納した状態から、簡易袋10を取り除いて、物品15を取り出せるようにする取扱い方法であって、簡易袋10には、表裏一対の正面シート部11の収納用開口部12が形成される各々の上辺部11aの中央部から、上辺部11aに対して垂直に延設して上辺部11aと対向する底辺部11bに至る、カット部13aと非カット部13bとが交互に連設する不連続カット線13であるミシン目が、表裏一対の正面シート部11に跨るように連続して設けられている。物品15は例えば球状であって、纏められた状態で簡易袋15に収納されている。簡易袋10に物品15を収納した状態で、収納開口部12の開口周縁部12aを引っ張ることで不連続カット線13の非カット部13bを連続的に破断させて、簡易袋10を2分割し(
図1(f)参照)、2分割された簡易袋10を各々取り除くことによって、収納されていた状態のまま物品15を取り出せるようにする(
図1(g)、(h)参照)。
【0015】
また、本第1実施形態では、物品15を収納した簡易袋10を、
図1(d)〜(h)に示すように、上面が開口面16aとなっている、好ましくは取り出し専用の箱である箱状ケース16に、収納開口部12の部分が開口面16a側に配置されるようにして納めた状態で、簡易袋10を2分割して、2分割された簡易袋10を各々取り除くようになっている。
【0016】
さらに、本第1実施形態では、物品15を収納した簡易袋10は、
図1(a)、(b)に示すように、搬送用の箱18として、好ましくはダンボール箱18に収容された状態で、工場内の包装エリアにおける納入箱置き場まで搬送されたり移動されたりして、納入箱置き場にストックされた状態となっている。物品15を収納した簡易袋10は、ストックされた納入箱置き場において、ダンボール箱18を開封することでダンボール箱18から取り出されて(
図1(c)参照)、好ましくは取り出し専用の箱状ケース16に移し換えられるようになっている(
図1(d)参照)。
【0017】
さらにまた、本第1実施形態では、物品15を収納した簡易袋10を納めた箱状ケース16は、好ましくは物品取出し用の自動機械20(
図3(a)〜(d)参照)が設けられた、所定の取出し領域まで送られ、簡易袋10を納めた箱状ケース16が取り出し領域まで送られた後に、簡易袋10が2分割されて取り除かれるか、或いは、納入箱置き場において、物品15を収納した簡易袋10を納めた箱状ケース16から、簡易袋10が2分割されて取り除かれた後に、箱状ケース16が、簡易袋10に収納されていた状態のまま納められた物品15と共に、好ましくは物品取出し用の自動機械20が設けられた、所定の取出し領域まで送られるようになっている。
【0018】
また、本第1実施形態では、箱状ケース16の底面部16bには、上下動可能に底面板17が設けられている(
図1(d)〜(h)参照)。簡易袋10が除去されて、箱状ケース16に取出し可能に移し換えられた物品15は、
図3(a)〜(d)に示すように、物品取出し用の自動機械20が設けられた所定の取出し領域において、底面板17によって持ち上げられて、箱状ケース16の開口面16a、又は開口面16aに近接する部分から自動機械20によって取り出されるようになっている。
【0019】
本第1実施形態では、上述の物品の取出し取扱い方法において用いられる、少なくとも表裏一対の矩形形状の正面シート部11を有する簡易袋10の材質は、特に限定されず、例えば、紙や合成樹脂とされる。厚みについては、好ましくは30〜150μm、特に好ましくは60〜110μmである。30μm以上とすることで、袋としての十分な強度が得られ、さらに、簡易袋10を2分割する際に、不連続カット線13から切れ方向が逸脱するのを防止することができる。また150μm以下とすることで、簡易袋10のコストが上昇するのを防止することができる。本第1実施形態においては、厚み100μmの合成樹脂フィルムである、ポリエチレン製のシート材料を用いて形成されている。また、簡易袋10は、
図2(a)、(b)に示すように、物品15の大きさや個数に応じた縦横300〜1800mm程度の大きさの、表裏一対の矩形形状の正面シート部11から形成されている。簡易袋10は、物品15を収納する前の状態で、例えば筒状に形成されたフィルムの左右の側辺部11cを折返し部として平坦に折り畳むと共に、底辺部11bを例えばヒートシールにより接合して閉塞することによって、矩形の正面形状を備える、薄厚で柔軟な簡易な袋として形成されている(
図2(b)参照)。簡易袋10は、上辺部11aにおける表裏一対の正面シート部11を引き離すことによって、これらの間に収納開口部12を形成して(
図2(a)参照)、複数の物品15を、好ましくは所定の取出し領域において取り出し易い形態に配置した状態で、纏めて収納できるようになっている。
【0020】
また、本第1実施形態では、簡易袋10には、表裏一対の正面シート部11の各々の上辺部11aの中央部分から延設して、底辺部11bに至る不連続カット線13が、底辺部11bを介して表裏一対の正面シート部11に跨るように連続して設けられている。不連続カット線13は、
図2(c)にも示すように、カット部13aと非カット部13bとが交互に連設して形成された、いわゆるミシン目となっており、収納用開口12が形成される表裏一対の正面シート部11の各々の上辺部11aから、これと垂直な方向に延設して設けられている。
【0021】
ここで、不連続カット線13は、カット部13aの各々の長さL1(
図2(c)参照)が2〜5mm、非カット部13bの各々の長さL2(
図2(c)参照)が0.5〜2mmとなるように形成されていることが好ましい。カット部13aの長さL1を5mm以下とすることにより、埃などの異物がカット部13aを介して簡易袋10の内部に侵入するのを、効果的に防止することが可能になる。カット部13aの長さL1を2mm以上とすることにより、不連続カット線13の非カット部13bを連続的に破断させて、連続するカット状態とする際に、破断の途中で非カット部13bの引きちぎりに失敗して、連続するカット状態とならずにカットが止まるのを防止することが可能になると共に、意図せぬ方向に引きちぎられてゆくのを防止することが可能になる。
【0022】
非カット部13bの長さL2を2mm以下とすることにより、例えば複数の物品15を収納した簡易袋10を搬送用のダンボール箱18から取り出して、箱状ケース16に移し換える際に、物品15の自重によって非カット部13bが引きちぎられるように破断して、不連続カット線13が連続するカット状態となることで、物品15が、意図することなく簡易袋10から落下するのを防止することが可能になる。非カット部13bの長さL2を0.5mm以上とすることにより、簡易袋10に不連続カット線13を形成する際に、カットするための刃が簡易袋10から逃げることがなく、簡易袋10に不連続カット線13を確実に形成することが可能になる。
【0023】
また、不連続カット線13は、非カット部13bの長さL2が、カット部13aの長さL1の20〜50%となるように形成されていることが好ましい。非カット部13bの長さL2をカット部13aの長さL1の20〜50%とすることにより、非カット部13bが、カット部13aと比較して相当程度小さくなるので、不連続カット線13の非カット部13bをスムーズに破断させて、迅速に連続するカット状態とすることが可能になる。不連続カット線13は、カット部13aの長さL1が3mm、非カット部13bの長さL2が1mmとなっていることが特に好ましい。
【0024】
不連続カット線13を簡易袋10に形成する方法としては、公知の種々の方法を、特に限定されることなく採用することができる。一例として、複数のカット刃が円周方向に一定の間隔をおいて設けられたロータリー刃を用いて、静止した状態の簡易袋10にロータリー刃を押し当て、回転させながら移動させることにより不連続カット線13を形成する方法や、回転可能に静止した状態のロータリー刃を、これの回転軸と垂直な方向に移動する簡易袋10に、押し当てて回転させながら不連続カット線13を形成する方法等を採用することができる。他の例として、複数のカット刃が直線方向に一定の間隔をおいて設けられた直線刃を用いて、静止した状態又は移動中の状態の簡易袋10に直線刃を押し当てて、不連続カット線13を形成する方法を採用することもできる。
【0025】
さらに、本第1実施形態では、不連続カット線13は、
図2(a)、(b)に示すように、簡易袋10を構成する表裏一対の正面シート部11の上辺部11aに近接する部分に、当該上辺部11aの縁部から連続して切り込まれた、破断誘導カット部13cを有していることが好ましい。破断誘導カット部13cは、
図2(d)にも示すように、非カット部13bを介在させることなく、上辺部11aの縁部から連続してカットされることによって形成された部分である。正面シート部11の上辺部11aに近接する部分に、破断誘導カット部13cが設けられていることにより、物品15を収納した簡易袋10の収納開口部12の開口周縁部12aを引っ張ることで、不連続カット線13の非カット部13bを連続的に破断させる際に、破断開始のきっかけを作り易くなって、不連続カット線13をよりスムーズに連続的に破断させて、簡易袋10を容易に2分割することが可能になる。
【0026】
ここで、破断誘導カット部13cは、表裏一対の正面シート部11の上辺部11aの縁部から、10〜30mmの長さで形成されていることが好ましい。破断誘導カット部13cの長さを30mm以下とすることにより、例えば複数の物品15を収納した簡易袋10を搬送用のダンボール箱18から取り出して、箱状ケース16に移し換える際に、破断誘導カット部13cに接続している不連続カット線13の非カット部13bが、物品15の自重によって引きちぎられるように破断して、不連続カット線13が連続するカット状態となることで、物品15が、意図することなく簡易袋10から落下するのを防止することが可能になる。破断誘導カット部13cの長さを10mm以上とすることにより、収納開口部12の開口周縁部12aを引っ張ることで、不連続カット線13の非カット部13bを連続的に破断させる際に、破断開始のきっかけを作り易くなって、よりスムーズに不連続カット線13を連続的に破断させることが可能になる。また、破断誘導カット部13cが設けられていることで、破断開始のきっかけを容易に作ることができるので、例えば自動機械を用いた場合でも、収納開口部12の開口周縁部12aを持ち上げるようにして引っ張ることで、不連続カット線13を連続的に容易に破断させてゆくことが可能になる。
【0027】
そして、本第1実施形態では、例えば製造エリアや他のメーカーで製造された被包装物品や包装物品を物品15として、取り出し易い形態で纏めて収納した簡易袋10は、
図1(a)に示すように、搬送用の箱18として、好ましくはダンボール箱18に収容された状態で、例えば包装エリア内の納入箱置き場まで搬送されてストックされるようになっている。物品15を収納した簡易袋10は、当該簡易袋10の物品15が収納されている部分よりも収納開口部12側の部分を折り畳んで、収納開口部12を開放させたまま、複数の物品15の周囲を覆った状態で内袋として用いられて、折り畳んだ収納開口部12側の部分を、ダンボール箱18の開放可能な上面側に配置して、ダンボール箱18の内部に収容されている。このように、簡易袋10を内袋として使用して、物品15を覆った状態で、簡易袋10が物品15と共に搬送用のダンボール箱18に収容されることにより、物品15を効果的に保護して、搬送中における異物の混入や、物品の劣化、破損等による品質の低下を効果的に防止することが可能になる。
【0028】
また、物品15を収納した簡易袋10は、折り畳んだ収納開口部12側の部分を、ダンボール箱18の開放可能な上面側に配置して、ダンボール箱18の内部に収容されているので、例えば包装エリア内の納入箱置き場にストックされたダンボール箱18の開放可能な上面を開放した際に、簡易袋10の折り畳まれた収納開口部12側の部分は、ダンボール箱18の開放された上面に臨んで配置されることになる。これによって、簡易袋10における、物品15が収納されている部分よりも収納開口部12側の折り畳まれた部分を、作業員が把持して持ち上げることによって、簡易袋10を、収納された複数の物品15と共に、ダンボール箱18から容易に取り出すことが可能になる(
図1(b)、(c)参照)。
【0029】
収納された複数の物品15と共にダンボール箱18から取り出された簡易袋10は、例えば収納開口部12側の部分を把持した状態で、作業員の手作業により移動されて、好ましくは取り出し専用の箱状ケース16に移し換えられる。移し換えられた簡易袋10は、上面が開口面16aとなっている箱状ケース16に、開放されたままの収納開口部12の部分を開口面16a側に、好ましくは当該開口面16aよりも上方に延設させて配置すると共に、物品15を収納した部分を箱状ケース16の内部に配置した状態で、箱状ケース16に収容されるようになっている(
図1(d)参照)。
【0030】
複数の物品15と共に箱状ケース16に収容された状態で納められた簡易袋10は、包装エリア内の当該納入箱置き場において、或いは、好ましくは物品取出し用の自動機械20が設けられた所定の取出し領域に送られた後に、さらに作業員の手作業によって、好ましくは箱状収容部16の開口面16aよりも上方に延設させた部分における、例えば収納開口部12の開口周縁部12aの不連続カット線13を挟んだ両側の部分を引っ張ることによって、不連続カット線13の非カット部13bを連続的に破断させる。不連続カット線13は、これの上端部分の破断誘導カット部13cによって破断開始のきっかけが作られた後に(
図1(e)参照)、非カット部13bを、上方から下方の底辺部11bに向けて連続して破断させることで、容易に連続するカット状態とすることが可能になる(
図1(f)参照)。
【0031】
なお、不連続カット線13の上端部分に破断誘導カット部13cが設けられておらず、上辺部11aの縁部まで不連続カット線13の非カット部13bが存在している場合には、収納開口部12の開口周縁部12aを両側に引っ張るのに先立って、作業員の手作業によって、上辺部11aに近接する部分の非カット部13bを破断させてから、不連続カット線13を挟んだ両側の部分を引っ張るようにすることもできる。これによって、破断誘導カット部13cが設けられている場合と同様に、破断させた上辺部11aに近接する部分において破断開始のきっかけを作らせて、非カット部13bを、上方から下方の底辺部11bに向けて、連続してスムーズに破断させてゆくことが可能なる。
【0032】
収納開口部12の開口周縁部12aの不連続カット線13を挟んだ両側の部分を引き続き引っ張って、不連続カット線13が底辺部11bに至るまで、非カット部13bが連続して破断されると、表裏一対の正面シート部11に各々形成された不連続カット線13は、底辺部11bにおいて、連続するカット状態となって繋がることになるので、簡易袋10は、連続するカット状態となった不連続カット線13の部分で、2分割されることになる(
図1(g)参照)。
【0033】
不連続カット線13の部分で2分割された簡易袋10は、例えば一方の側の収納開口部12の開口周縁部12aの部分をさらに引っ張ることにより、当該一方の側の簡易袋10は、箱状ケース16に残置される複数の物品15と、箱状ケース16の内周面との間に挟まれていた部分が、これらの間を滑るようにして上方にスライド移動することになる。これによって、複数の物品15が箱状ケース16に纏めて残置されて収容されている状態を保持したまま、2分割された一方の側の簡易袋10が、箱状ケース16の内周面に沿って箱状ケース16から容易に引き出されて、スムーズに取り除かれることになる(
図1(g)参照)。
【0034】
不連続カット線13の部分で2分割された一方の側の簡易袋10を箱状ケース16から取り除いたら、例えば残された他方の側の簡易袋10の収納開口部12の開口周縁部12aの部分をさらに引っ張ることにより、他方の側の簡易袋10もまた、箱状ケース16に残置される複数の物品15と、箱状ケース16の内周面との間に挟まれていた部分が、これらの間を滑るようにして上方にスライド移動することになる。これによって、複数の物品15が箱状ケース16に纏めて残置されて収容されている状態を保持したまま、他方の側の簡易袋10が、箱状ケース16の内周面に沿って箱状ケース16から容易に引き出されて、スムーズに取り除かれることになる(
図1(h)参照)。
【0035】
これらによって、本第1実施形態によれば、例えば複数の物品15が、後の工程で取り出し易くなるように、所望の形態となるように纏めて整列配置されて簡易袋10に仮収納されている場合でも、取り出し易いように整列配置された所望の形態を保持したまま、複数の物品15を、例えば取り出し専用の箱状ケース16に容易に移し換えることが可能になると共に、取り出し易いように整列配置された所望の形態を保持したまま、簡易袋10のみを容易に取り除くことが可能になる。また、複数の物品15を移し換える際に、物品を傷めてしまうこともほとんど無い。
【0036】
また、本第1実施形態によれば、包装エリア内の納入箱置き場において、或いは、好ましくは物品取出し用の自動機械20が設けられた所定の取出し領域まで送られてから、上述のようにして簡易袋10が取り除かれることで、箱状ケース16に移し換えられた複数の物品15は、納入箱置き場から所定の取出し領域まで送られてから、或いは、移し換えが行われた当該所定の取出し領域において、
図3(a)〜(d)に示すように、物品取出し用の自動機械20を用いて、箱状ケース16から各々取り出されるようになっている。取り出された各々の物品15は、例えば物品15を包装するための次工程に向けて送り出す、搬送コンベア21の上に供給されるようになっている。
【0037】
本第1実施形態では、所定の取出し領域に送られた、複数の物品15が取り出し易い所望の形態となるように移し換えられた箱状ケース16の底面部16bには、上述のように、上下動可能に底面板17が設けられている。底面板17は、箱状ケース16の下方に設けられた、自動機械20の上下移動装置22によって、箱状ケース16の内周面に沿って上下に昇降移動できるようになっている。自動機械20は、高速動作が可能で最適な自由度を備える装置として、好ましくはロボットを選定することができる。物品取出し用の自動機械20は、図示しないセンサによって、箱状ケース16に纏めて収容された複数の物品15の最上の位置を確認できるようになっており、センサによる情報に基づいて、複数の物品15の最上の位置が、箱状ケース16の開口面16a、又は開口面16aに近接する部分に配設されるように、底面板17の昇降を、上下移動装置22によって制御できるようになっている。
【0038】
また、物品取出し用の自動機械20がロボットである場合、図示しないカメラによって、上方から、箱状ケース16に纏めて収容された複数の物品15を撮像できるようになっており、図示しない画像処理装置によって、ロボットアーム23による把持目標とされる物品15の位置が決定され、その目標座標がロボットアーム23へと伝えられるようになっている。最上の位置に配置された物品15のうち、把持目標とされた物品15は、例えばロボットアーム23に設けられた吸着装置23aによって把持され、ロボットアーム23の作動によって、例えば目的の供給位置である搬送コンベア21の上に供給される(
図3(c)、(d)参照)。
【0039】
物品取出し用の自動機械20である好ましくはロボットによって、底面板17を昇降させながら、箱状ケース16の開口面16a、又は開口面16aに近接する部分から、各々の物品15を取り出せるようにしたことにより、ロボットアーム23が、物品15を把持するために箱状ケース16の底部までアーム部23bを上下動させる必要がなくなり、ロボットアーム23が物品15を把持するための、1サイクル作動時間を短縮することが可能になる。これによって、多数の物品15を、目的の位置である搬送コンベア21の上に、効率良く供給することが可能になる。ロボットの種類は特に限定されないが、水平方向の移動速度が高速な、スカラ型ロボットやパラレル型リンクロボットを選定することが好ましい。
【0040】
箱状ケース16の底面部16bに、上下動可能に底面板17が設けられていない場合、物品15を取り出すために、ロボットアーム23が垂直方向に高速移動する必要があるため、例えば、高速で上下移動することが可能な垂直多関節型ロボットや、上下移動のストロークの大きいパラレルリンク型ロボットを選定することが好ましい。
【0041】
図4(a)〜(f)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る物品の取出し取扱い方法を説明するものである。本第2実施形態では、物品15を収納した簡易袋10は、搬送用の箱18として、好ましくはダンボール箱18に収容された状態で、工場内の包装エリアにおける納入箱置き場まで搬送されたり移動されたりして、納入箱置き場にストックされる。本第2実施形態では、物品15は例えば球状であって、纏められた状態で簡易袋15に収納されている。ストックされたダンボール箱18に収容された状態の、物品15を収納した簡易袋10は、当該納入箱置き場において、或いは、ダンボール箱18と共に他の取出し領域に送られた後に、例えば取り出し用の箱状ケース16に移し換えることなく、ダンボール箱18に収容された状態のまま、簡易袋10のみを取り除いて、物品15を取り出せるようにする。
【0042】
すなわち、本第2実施形態によれば、物品15を収納した簡易袋10は、折り畳んだ収納開口部12側の部分を、ダンボール箱18の開放可能な上面側に配置して、ダンボール箱18の内部に収容されており(
図4(a)参照)、ダンボール箱18の上面を開放した際に、開放された上面に臨んで配置された収納開口部12側の折り畳まれた部分を、作業員の手作業によって、例えばダンボール箱18の上面よりも上方に延設させて配置する(
図4(b)参照)。しかる後に、さらに作業員の手作業によって、ダンボール箱18の上面よりも上方に延設させた部分における、収納開口部12の開口周縁部12aの不連続カット線13を挟んだ両側の部分を引っ張ることによって、不連続カット線13の非カット部13bを連続的に破断させる(
図4(d)参照)。不連続カット線13は、これの上端部分の破断誘導カット部13c(
図4(c)参照)によって、破断開始のきっかけが作られた後に、非カット部13bを、上方から下方の底辺部11bに向けて連続して破断させることで、容易に連続するカット状態とすることが可能になる。
【0043】
収納開口部12の開口周縁部12aの不連続カット線13を挟んだ両側の部分を引き続き引っ張って、不連続カット線13が底辺部11bに至るまで、非カット部13bが連続して破断されると、表裏一対の正面シート部11に各々形成された不連続カット線13は、底辺部11bにおいて、連続するカット状態となって繋がることになるので、簡易袋10は、連続するカット状態となった不連続カット線13の部分で、2分割されることになる。2分割された簡易袋10の一方の側をさらに引っ張ることにより、当該一方の側の簡易袋10は、複数の物品15がダンボール箱18に纏めて残置されて収容されている状態を保持したまま、ダンボール箱18から容易に引き出されてスムーズに取り除かれることになる(
図4(e)参照)。また、残された他方の側の簡易袋10をさらに引っ張ることにより、他方の側の簡易袋10も、複数の物品15がダンボール箱18に纏めて残置されて収容されている状態を保持したまま、ダンボール箱18から容易に引き出されて、スムーズに取り除かれることになる(
図4(f)参照)。
【0044】
簡易袋10が取り除かれてダンボール箱18に纏めて残置された複数の物品15は、簡易袋10を取り除く作業が行われた当該納入箱置き場や、他の取出し領域において、ダンボール箱18から各々取り出すことができる他、ダンボール箱18と共にさらに他の取出し領域に送られた後に、ダンボール箱18から各々取り出すこともできる。
【0045】
本第2実施形態の物品の取出し取扱い方法によっても、複数の物品15が、後の工程で取り出し易くなるように、所望の形態となるように纏めて配置されて簡易袋10に仮収納されている場合でも、取り出し易いように配置された所望の形態を保持したまま、複数の物品15を、簡易袋10からダンボール箱18に容易に移し換えることが可能になると共に、取り出し易いように整列配置された所望の形態を保持したまま、簡易袋10のみを容易に取り除くことが可能になる。また、複数の物品15を簡易袋10からダンボール箱18に移し換える際に、物品15を傷めてしまうこともほとんど無い。
【0046】
図5(a)〜(d)は、本発明の好ましい第3実施形態に係る物品の取出し取扱い方法を説明するものである。本第3実施形態では、物品15を収納した簡易袋10は、ダンボール箱18等の箱に収容されることなく、周囲を露出したまま、例えば搬送用の台19の上に載置された状態で、工場内の包装エリアにおける納入箱置き場まで搬送されたり移動されたりして、納入箱置き場にストックされる。本第3実施形態では、物品15は例えば板状部材となっており、纏められて整列配置された状態で、簡易袋10に収納されている。ストックされた物品15を収納した簡易袋10は、当該納入箱置き場において、或いは、他の取出し領域に送られた後に、搬送用の台19の上に載置された状態のまま、簡易袋10のみを取り除いて、物品15を取り出せるようにする。
【0047】
すなわち、本第3実施形態によれば、物品15を収納した簡易袋10は、折り畳んだ収納開口部12側の部分を、上部に配置して、搬送用の台19の上に載置されており(
図5(a)参照)、物品15を取り出す際に、収納開口部12の開口周縁部12aの不連続カット線13を挟んだ両側の部分を引っ張ることによって、不連続カット線13の非カット部13bを連続的に破断させる(
図4(c)参照)。不連続カット線13は、これの上端部分の破断誘導カット部13c(
図4(b)参照)によって、破断開始のきっかけが作られた後に、非カット部13bを、底辺部11bに向けて連続して破断させることで、容易に連続するカット状態とすることが可能になる。
【0048】
収納開口部12の開口周縁部12aの不連続カット線13を挟んだ両側の部分を引き続き引っ張って、不連続カット線13が底辺部に至るまで、非カット部13bが連続して破断されると、表裏一対の正面シート部11に各々形成された不連続カット線13は、底辺部において、連続するカット状態となって繋がることになるので、簡易袋10は、連続するカット状態となった不連続カット線13の部分で、2分割されることになる。2分割された簡易袋10の一方の側をさらに引っ張ることにより、当該一方の側の簡易袋10は、複数の物品15が纏めて残置されている状態を保持したまま、搬送用の台19から容易に引き出されてスムーズに取り除かれることになる(
図4(c)参照)。また、残された他方の側の簡易袋10をさらに引っ張ることにより、他方の側の簡易袋10も、複数の物品15が纏めて残置されて収容されている状態を保持したまま、搬送用の台19から容易に引き出されて、スムーズに取り除かれることになる(
図4(d)参照)。本第3実施形態においては、簡易袋10が取り除かれた後も、物品15は搬送用の台19の上に載置されたままの、纏められて整列配置された状態となるため、物品15は、簡易袋10が無くても、崩れない形状や崩れない配列方向に纏めて整列配置されて、簡易袋10に収納されていることが好ましい。
【0049】
本第3実施形態の物品の取出し取扱い方法によっても、複数の物品15が、後の工程で取り出し易くなるように、所望の形態となるように纏めて整列配置されて簡易袋10に仮収納されている場合でも、取り出し易いように整列配置された所望の形態を保持したまま、複数の物品15を、簡易袋10から搬送用の台19の上に容易に移し換えることが可能になると共に、取り出し易いように整列配置された所望の形態を保持したまま、簡易袋10のみを容易に取り除くことが可能になる。
【0050】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、不連続カット線が設けられた少なくとも表裏一対の矩形形状の正面シート部を有する簡易袋は、筒状に形成されたフィルムの左右の側辺部を折返し部として平坦に折り畳むと共に、底辺部を接合して閉塞することにより形成された袋である必要は必ずしも無い。簡易袋10は、例えば
図6(a)に示すように、一枚の縦長のフィルムを中央部分で折り返して、表裏一対の矩形形状の正面シート部11を形成すると共に、両側の側辺部11cを接合することによって、底辺部11bが閉塞され、上辺部11aが収納用開口部として開放可能となっている袋であっても良い。簡易袋10は、例えば
図6(b)に示すように、表裏一対の正面シート部11の側辺部11cと連続して、側面シート部14aが、ガセット折りされた状態で設けられていている袋であっても良い。簡易袋10は、例えば
図6(c)に示すように、表裏一対の正面シート部11の底辺部11bと連続して、底面シート部14bが、好ましくはマチ部として設けられている袋であっても良い。
【0051】
また、物品を収納した簡易袋は、例えば搬送用の箱に収容されて納入箱置き場まで搬送されたり移動されたりして、納入箱置き場にストックされた状態から、ストックされた納入箱置き場において、搬送用の箱を開封することで取り出されて箱状ケースに移し換えられた後に、当該納入箱置き場において簡易袋を取り除いて、物品を取り出せるようにすることもできる。
【0052】
さらに、物品を収納した簡易袋は、例えば搬送用の箱に収容されて納入箱置き場まで搬送されたり移動されたりして、納入箱置き場にストックされた状態から、ストックされた納入箱置き場において、搬送用の箱を開封することで取り出されて箱状ケースに移し換えられてから、箱状ケースと共に他の領域に移動されて簡易袋のみが取り除かれた後に、更に他の取出し領域に移動されて、箱状ケースから物品を取り出せるようにすることもできる。
【0053】
また、物品を収納した簡易袋は、例えば搬送用の箱に収容されて納入箱置き場まで搬送されたり移動されたりして、納入箱置き場にストックされた状態から、ストックされた納入箱置き場において、搬送用の箱を開封し、当該納入箱置き場において簡易袋を取り除いて、物品を取り出せるようにすることもできる。
【0054】
さらに、物品を収納した簡易袋は、例えば搬送用の箱に収容されて納入箱置き場まで搬送されたり移動されたりして、納入箱置き場にストックされた状態から、ストックされた納入箱置き場において、搬送用の箱を開封し、簡易袋のみが取り除かれた後に、更に他の取出し領域に移動されて、搬送用の箱から物品を取り出せるようにすることもできる。
【0055】
本発明で扱うことができる物品の形状は特に限定されない。物品の形状の一例として、球形状、立方体形状、直方体形状、板形状、円柱形状、薄いシート形状等が挙げられる。また物品15の具体的な例としては、スクリューキャップ、打ち込みキャップ、トリガー付キャップ、ポンプキャップ、ボトル、パウチ、開閉キャップ式スパウト付パウチ、畳まれた状態の紙箱等の包装材料、シャンプー、リンス、衣料用洗剤、住居用洗剤、化粧品、飲料、調味料等のボトル製品、化粧品、菓子等の紙箱製品、飲料、調味料などの紙パック製品、レトルトパウチ食品、洗剤等の詰め替えパウチ等の軟包装製品、菓子、ウェットシート等のピロー包装製品、UV防止スキンケア剤やリップクリーム等の台紙付製品、玩具等のブリスターパック製品といったものが挙げられる。
【0056】
特に、本発明で扱うのに適した物品として、開閉キャップ式スパウト付パウチが挙げられる。通常、開閉キャップ式スパウト付パウチは、キャップ部がパウチ部より厚みがあるため、キャップ部が同じ位置に重ならないように、少しづつずらして6〜10枚程度が刺身を重ねたような状態で束にされ、束単位で纏めて整列積層されて、袋に収められている。この状態から、パウチをロボットなどで取り出そうとすると、パウチが袋に引っかかってトラブルとなったり、袋が破れて、その一部がパウチに付着して異物となってしまうことがある。また、箱状ケースにパウチを移し替える際、このようなパウチの束は互いに滑って崩れやすく、作業は非常に困難である。本発明の簡易袋は、容易に取り除けるので、これらの課題を解決できる。