(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持手段(S)は、シール蓋(10)をチューブ容器体(2)から引き出した状態で当該チューブ容器体(2)を上下反転させ、前記蓋板(14)を介して倒立させたときに、前記引き出し状態を維持できるようにチューブ容器体(2)を支えるように形成したことを特徴とする、請求項1に記載のチューブ式揮散容器。
前記シール蓋(10)がチューブ容器体(2)から引き出され、揮散孔(36)が外部に開放された状態で前記引き出しを停止する位置決め手段(40)を設けたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のチューブ式揮散容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に芳香剤容器などでは、内容物の揮散が激しいため、十分な気密性が重要である。そうした点では従来の揮散容器は十分ではなく、密閉性能の高いチューブ容器の形態がより好適である。こうした容器では、ブロー成形品が多く用いられ、積層によるバリア性を有するものも好適である。
もっともこうした容器は、気密性とバリア性とを兼ね備えるため、包材として高価になり易いという問題があり、それに見合った付加価値性が求められる。
特許文献1のものは、床置き型の形態であるので、それに見合った用途、例えば同じ場所に定置させてしようするという如き限定的されてしまうことが多い。しかしながら、今日では、同じ住居の複数の部屋を利用者が移動する場合、或いは、自宅と職場との間を移動する場合に、揮発容器を持ち歩いて必要に応じて使用したいという要望がある。
【0005】
本発明の第1の目的は、持ち運びに適したチューブ式揮散容器を提供することである。
本発明の第2の目的は、気密性に優れたチューブ式揮散容器を提供することである。
本発明の第3の目的は、使い勝手のよいチューブ式揮散容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、下端を閉塞端部4aとする筒状の胴部4から口頸部8を起立するチューブ容器体2と、
前記口頸部8に取り付けたシール蓋10とを具備し、
シール蓋10は、
前記口頸部8外面へ嵌合された嵌合周壁20と連結する蓋板14で口頸部8の上面を密閉することが可能に設けた蓋本体12と、
前記口頸部8の内側で前記蓋板14から前記蓋本体12と共に上方へ引き出し可能に垂設された脚筒32とを有し、
この脚筒32のうち蓋板14から離れた先部32cを口頸部8内に残して前記シール蓋10を引き出したときに当該引き出し状態を支えることが可能な支持手段Sを設け、
かつ前記蓋板14と前記先部32cとの間で前記脚筒32に揮散孔36を開口してなり、
前記脚筒32は、蓋本体12と別体として形成され、口頸部8の内側で蓋板14から垂設された連結筒17を脚筒32の内面の上端側と嵌合させることで取り付けられており、
脚筒32の内面上部に一体に連結させて、連結筒17内に差し込まれた差込筒部50を設けており、この差込筒部50は、前記脚筒32内面から、内向きフランジ52を介して、連結筒17の内面に当接する縦筒部54を起立させている。
【0007】
本手段は、
図1に示す如く、揮散容器の容器体として、口頸部8を有するチューブ容器体2を採用するとともに、前記口頸部8に取り付けたシール蓋10を、口頸部8の上面を密閉する蓋本体12と、蓋本体12の蓋板14から垂下した脚筒32とで形成し、この脚筒32のうち蓋板14から離れた先部32cを口頸部8内に残してシール蓋10を引き出したときに、脚筒32に形成された揮散孔36が外部に露出するように構成している。
シール蓋10を引き出す前の状態では揮発容器の全体をコンパクトな形態であるので、例えばカバン類の内部に収納することができ、携帯に便利である。
また揮散容器の容器部の形態としてチューブ容器体を採用するとともに、口頸部にシール蓋10を付設したから、バリア性及び気密性を兼備させることができ、内容物の品質を良好に維持できる。
また本手段では、脚筒32が、蓋本体12と別体として形成され、口頸部8の内側で蓋板14から垂設された連結筒17を脚筒32の内面の上端側と嵌合させることで取り付けられている。その理由は、シール蓋10全体を一体成形品とすると、金型成形するときに、型抜きが困難となるおそれがあるからである。
【0008】
「蓋本体」は、シール蓋のうちでシール性能を実現する部位であり、その蓋板で口頸部の上面を密閉している。
なお、「蓋板で口頸部の上面を密閉する」こととは、蓋板から垂下するシール筒で密閉性を担保する場合を含むものとする。
また、本明細書において「上」及び「下」という言葉は、特に断らない限り、
図1に示す正立状態での向きをいうものとする。
「脚筒」は、チューブ容器体2の内部と連通し、容器体内から引き出し可能な内容物の連通路としての役割を有する部位であり、その筒長方向の適所に単数又は複数の揮散孔36を有する。
図示例では、液状の内容物を含浸させるための含浸体60を脚筒32内に設けている。もっとも、例えば内容物をビーズ状・ゲル状のものとして液漏れを生じないようにした場合には、含浸体60を省略しても構わない。
「支持手段」は、シール蓋の引き出し状態を支えることができればどのような形態でもよい。支持手段の好適な一例として、口頸部8の内面から脚筒32の外面との間に遊びaを存して突設される嵌合凸部9と、脚筒32の筒長方向の一部である被嵌合部33とからなり、シール蓋10を外方へ引き出したときに前記嵌合凸部9が被嵌合部33に嵌着するように設けることができる。蓋板からシール筒18を垂下するときには、そのシール筒の下側に前記嵌合凸部9を設けるとよい。
【0009】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
前記支持手段Sは、シール蓋10をチューブ容器体2から引き出した状態で当該チューブ容器体2を上下反転させ、前記蓋板14を介して倒立させたときに、前記引き出し状態を維持できるようにチューブ容器体2を支えるように形成した。
【0010】
本手段では、
図3に示す如くシール蓋10をチューブ容器体2から引き出した状態で当該チューブ容器体2を上下反転させ、前記蓋板14を介して倒立させたときに(
図5参照)、前記引き出し状態を維持できるようにチューブ容器体2を支える支持手段Sを設けている。前記蓋板14の表面を接地面としてチューブ容器体2を倒立させることにより内容物を揮散させるので、どこにでも、例えばテーブルの上の比較的僅かなスペースにも本願揮散容器を配置して使用することができるので使い勝手がよい。
“容器体を支える”とは、容器体に内容物が収納されていない状態では、少なくとも容器体の重さを支えれば足りるものとする。
【0013】
第
3の手段は、第1の手段
又は第2の手段を有し、かつ前記シール蓋10がチューブ容器体2から引き出され、揮散孔36が外部に開放された状態で前記引き出しを停止する位置決め手段40を設けた。
【0014】
本手段では、
図5に示すようにシール蓋10がチューブ容器体2から引き出され、揮散孔36が外部に開放された状態で前記引き出しを停止する位置決め手段40を設けることを提案している。これにより予め定めた面積の揮散孔36を開口させることができる。なお、位置決め手段は、一つに限らない。例えば図示例のように筒長方向に配列する複数の揮散孔36、或いは筒長方向に延びる揮散孔36を形成しておき、揮散孔36の開口面積の全体が開放される位置、或いは開口面積のうちの一定割合(例えば半分)が開口される位置に対応する適数の位置決め手段を設けてもよい。
【0015】
第
4の手段は、第1の手段から第
3の手段のいずれかを有し、かつ
前記脚筒32内に内容物含浸用の含浸体60を配置した。
【0016】
本手段では、容器体内の液状の内容物を含浸させるための含浸体60を脚筒32内に配置することを提案している。こうした含浸体60は、繊維や多孔材料で形成されており、空気との接触面積を増やすことにより、効率的な揮散を可能とする。好適な素材は不織布である。チューブ容器体2が倒立状態されるときには、内容物の液漏れを規制或いは抑制する機能を有する。
【0017】
第
5の手段は、第1の手段から第
4の手段のいずれかを有し、かつ
前記脚筒32の下部に含浸体60の抜止め手段Nを設けた。
【0018】
本手段では、
図1又は
図7に示すように脚筒32の下部に含浸体60の抜止め手段Nを設けることを提案している。これにより、含浸体60が不意に脚筒32から脱落することを防止できる機能を有する。
好適な一の態様として、前記前記抜止め手段Nとして、
図7及び
図8(B)に示すように、前記脚筒32の下端部に対して、当該脚筒32の下端面の一部を閉塞する部分蓋46を設けてもよい。
【発明の効果】
【0019】
第1の手段に係る発明によれば、揮散容器を使用するときに、容器体の口頸部8内から、シール蓋10の脚筒32を、その先部32cを残して引き出すように形成するとともに、この引き出し状態を支える支持手段Sを設け、この引き出しにより揮散孔36が露出するから、コンパクトな構成とすることができ、携帯に便利である。
また揮発容器の容器体としてチューブ容器体を採用したから、揮発性の高い内容物の収納・保管に適する。
また脚筒32は、蓋本体12と別体として形成され、口頸部8の内側で蓋板14から垂設された連結筒17を脚筒32の内面の上端側と嵌合させるから、脚筒32を金型で成形し易い。
第2の手段に係る発明によれば、支持手段Sは、シール蓋10をチューブ容器体2から引き出した状態で当該チューブ容器体2を上下反転させ、前記蓋板14を介して倒立させたときに、前記引き出し状態を維持できるようにチューブ容器体2を支えるように設けたから、狭いスペースに揮散容器を倒立させて使用できるので、使い勝手がよい。
第
3の手段に係る発明によれば、シール蓋10がチューブ容器体2から引き出され、揮散孔36が外部に開放された状態で前記引き出しを停止する位置決め手段40を設けたから、引き出し操作により一定の面積の揮散孔を露出させ、一定量の揮発性能を担保できる。
第
4の手段に係る発明によれば、脚筒32内に含浸体60を配置したから、揮発成分を含浸した含浸体60と空気との接触面積を増大し、効率的に揮発することができる。
第
5の手段に係る発明によれば、前記脚筒32の下部に含浸体60の抜止め手段Nを設けたから、含浸体60が不意にチューブ容器体2内に脱落することを防止し、適切な揮発機能を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1から
図6は、本発明の第1実施形態に係るチューブ式揮散容器を示している。この容器は、チューブ容器体2と、シール蓋10と、含浸体60とで形成される。
【0022】
チューブ容器体2は、下端部を左右方向に延びる扁平な閉塞端部4aとする胴部4から肩部6を介して口頸部8を起立している。
なお、本明細書において、“右”及び“左”とは
図1の左方及び右方をそれぞれ指すものとする。また“前”及び“後”とは同図の手前側及び奥側を指すものとする。
前記肩部6の内周部には環状段部6aが形成されている。
前記口頸部8の外面にはねじ部8aが形成されている。口頸部8の内面上部には、大内径部8bが形成されている。大内径部8bの下側では、口頸部8の内面から嵌合凸部9が内方突設されている。嵌合凸部9は、環状に形成することが好適であるが、周方向に間欠的に設けても構わない。
チューブ容器体は、複数のシートによる積層構造が容易でバリア性能に優れ、押出し成形等により製造することができる。シートの素材として例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂やアルミニウム等の金属材料を採用することができる。これらの構造は適宜変更することができる。
チューブ容器体2のサイズは、例えば家庭用であって手で持ち運ぶことを想定しているのか、或いは、外出時にカバン類に入れて持ち運ぶことを想定しているのかなどに応じて、適宜変更することができるものとし、図示のものより小さくすることができる。
チューブ容器体2の内部には、芳香剤などの揮発性の内容物を収納するとよい。収納物は、液状でもよいが、ビーズ状或いはゲル状のものを採用することが望ましい。
【0023】
シール蓋10は、蓋本体12と、脚部材30とで形成されている。これら各部材は例えば合成樹脂材で形成することが好適である。蓋本体12と脚部材30とは、好適な図示例において別体として形成されているが、この構造は適宜変更することができる。
【0024】
前記蓋本体12は、前記口頸部8へ嵌合(図示例では螺合)された嵌合周壁20を蓋板14の裏面に連結させている。前記嵌合周壁20は、口頸部8の外面のほぼ全体を覆い、環状段部6aの近くまで垂下されている。
前記蓋板14の上面15は、図示例では、揮散容器を倒立させた状態で
図5に示す外部の載置面Gに当接可能な接地面として水平な平坦に形成されている。
また図示例の蓋本体12は、前記蓋板14を嵌合周壁20の外側へ延出させて、蓋板14の外周から外周壁22を垂設するとともに、嵌合周壁20の内側の蓋板14裏面から垂下筒16を垂設している。
前記外周壁22は、シール蓋10を口頸部8に対して螺着・螺脱操作をする際に手で持つ把持用筒であり、図示例において肩部6の外周付近まで垂下されている。
前記垂下筒16は、図示例において2重筒に形成されており、内筒である連結筒17が外筒であるシール筒18よりも長く形成されている。
前記シール筒18は、口頸部8に気密に内嵌させるインナーリングとしての役割を有し、図示例では、前記口頸部8の大内径部8bに密着されている。
シール筒18と嵌合周壁20との間では、
図1に示す如く、前記蓋板14の下面に環状の当接リブ14aが付設されており、この当接リブ14aが閉蓋状態において前記口頸部8の上端面全周に圧接され、シール性がさらに高まるように形成している。
【0025】
前記脚部材30は、本実施形態では、脚筒32と、差込筒部50とで形成されている。これら脚筒32及び差込筒部50は好適な図示例では一体に成形されているが、この構造は適宜変更することができる。
【0026】
前記脚筒32は、好適な図示例では、筒壁の上端部の内面から当接リブ35を内方へ突設させ、その筒壁の上端部を連結筒17の外面に嵌着させ、この連結筒17に前記当接リブ35が喰い込むようにしている。そして前記蓋本体12を口頸部8から螺脱させたときに、前記連結筒17への当接リブ35の喰い込みにより、蓋本体12とともに引き上げることが可能に形成されている。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
本実施形態では、比較的突設長さの大きい複数の当接リブ35を、脚筒32の上端部の周方向の適所(図示例では脚筒上端部の左右両側)に設けているが、当接リブ35の形状は適宜変更することができる。
脚筒32の下部には、脚筒32全体が口頸部8から引き抜かれることを防止するために、前記肩部6の下面に係止可能なストッパ40が付設されている。
シール筒18及び連結筒17による挟持箇所と、ストッパ40の付設箇所との間では、前記脚筒32に揮散孔36が開口されており、ストッパ40が肩部6の下面に係止されたときに前記揮散孔36が外部に露出されるように構成されている。
なお、図示の構成に加えて、連結筒17の外面に前記当接リブ35と嵌り合う凹部を設けてもよく、また図示の構成に代えて、連結筒17の外面に当接リブ35を設けるとともに脚筒32の内面に当接リブと嵌り合う凹部を設けても構わない。
【0027】
前記揮散孔36は、十分な揮散量が得られるような開口面積を得られるように形成する。複数の揮散孔36を設けることができ、好適な図示例では、
図4(A)に示す如く、脚筒32の左右両側にそれぞれ、横向きのスリット状の複数の揮散孔36を縦方向に配列している。
揮散孔36の形状をスリット状とする理由は、脚筒32の強度を担保しつつ開口面積を大きくとるのに有利であるため、また内容物をビーズ状とした場合に揮散孔36から内容物がこぼれ出すことを防止するためである。
なお、前記揮散孔36は、図示例と異なり、縦方向のスリットに形成することもできる。
【0028】
前記ストッパ40は、脚筒32の引き抜き防止手段であると同時に、揮散孔36が予め設定された面積だけ外部に露出した状態で脚筒32の引き出し操作を停止する位置決め手段の役割を有する。図示例の場合には、前記ストッパ40が肩部6の裏面に係止した状態において、前記揮散孔36が外部へ全て露出されるように設計されている。
しかしながら、そうした位置決め手段は、一つだけである必要はない。外部への揮散孔36の開口面積を段階的に調整できるように複数の位置決め手段を設けておき、利用者の都合により揮散量を制御できるようにすることができる。
図示はしないが、ストッパ40及び肩部6下面が係合する構成に代えて、或いは当該構成とともに、シール蓋10の中間的な引き出し位置に対応する係合構造を設けてもよい。例えば口頸部8の内面の適所と脚筒32の上下方向の中間位置と相互に嵌合する凹凸部を形成し、両者が嵌り合うことで所定の位置にシール蓋10を固定することが容易にでき、当該位置からシール蓋を上方へ引っ張ることでそれら凹凸部が分離されるように設ければよい。
【0029】
脚筒32は、シール蓋10の引上げ操作に際して、蓋板14側から離れた筒長方向の一部である被嵌合部33において、前記嵌合凸部9を嵌着させ、これにより、上記引上げ状態を支えるように設けられている。
前記脚筒32の上端部内面には当接リブ35が付設されている。
好適な図示例では、脚筒32を、
図4(A)に示すように、直筒状の基部32aから拡径部32bを介して基部32aより僅かに大径である先部32cを下方へ延出している。そして先部32cの上端部を前述の被嵌合部33としている。前記揮散孔36は、前記基部32aの下半部に形成されている。
基部32aの外径と先部32cの外径とに差(
図4(A)に示すα)を付けることにより、嵌合凸部9と基部32aとの間に遊びaを確保するとともに、シール蓋10を引上げて先部32cと嵌合凸部9とが向かい合う位置になったときに両者が嵌合するように構成されている。この構成によれば、基部32aと嵌合凸部9との間に摩擦抵抗が働かないから、引上げ操作を円滑に行うことができる。
図示例では、前記拡径部32bのすぐ上側に横リブ34を付設しており、シール蓋10の引上げの際に嵌合凸部9が前記横リブ34を乗り越えるように形成している。
前記先部32cの下端部の内面には、後述の含浸体60の抜け止め用の抜止め手段Nとして、抜止め用凸部44が付設されている。図示例では、
図3(B)及び
図4(B)に示すように、先部32cの前壁部及び後壁部の各内面に抜止め用凸部44を付設しているが、その構成は適宜変更することができる。
また図示例の先部では、
図4(A)に示す如く、先部32cの上端部を嵌合凸部との嵌合箇所(前述の被嵌合部33)として残して、周方向に間欠的に複数の切欠き38を設けている。これにより、含浸体60がチューブ容器体2内の収納物と接する面積が広くなる。図示の切欠き38は、縦長の略矩形に形成されている。
【0030】
前記差込筒部50は、前記脚筒32の内面上部に一体に連結されており、図示例では、
図3(A)に示す如く、脚筒32内面から内向きフランジ52を介して縦筒部54を起立するとともに、この縦筒部54の上面に頂壁部56を延設してなる。前記縦筒部54は連結筒17の内面に、また前記頂壁部56は蓋板14の下面にそれぞれ当接している。
差込筒部50には、前記脚筒32の当接リブ35の下側に位置させて、型抜き孔である透孔58を設けており、これにより脚部材30の当接リブ35を大きく成形することが容易となる。図示の透孔58は前記内向きフランジ52に開口された第1孔部58a及び縦筒部54に開口された第2孔部58bを含む。
なお、型抜き孔を省略することも可能であるが、金型から成形品を無理に引き抜くことができる程度に当接リブ35の突設長さを小さくしなければならず、連結筒17への食い込み効果が弱まるのに対して、本実施形態の構成では十分な喰い込み効果が得られ、連結筒への脚筒32の掛かり合いを強くすることができる。
【0031】
含浸体60は、前記脚筒32内に挿入され、前記抜止め用凸部44で下面を保持されている。含浸体60は、例えば不織布で形成することができる。内容物をビーズ状又はゲル状のものとしたときには、含浸体60を省略することができる。
【0032】
前記構成において、揮発容器を使用するときには、
図1の状態から外周壁22を把持し、嵌合周壁20を口頸部8から螺脱させるとともに、シール蓋10を引上げる。そうすると、ストッパ40が肩部6下面に係止した状態で揮散孔36が口頸部8の外に引き出させるとともに、嵌合凸部9が脚筒32の被嵌合部33に嵌合して、前記引き出し状態を支える。本実施形態では、これら嵌合凸部9と被嵌合部33とでチューブ容器体2の支持手段Sが構成されている。
次に
図5の如く、蓋板14の上面15が下になるように揮発容器を倒立させ、当該上面を外部の載置面Gとの当接面として配置する。この内容物が含浸体60に含浸され、揮散孔36から外部に放出される。
【0033】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成に関しては解説を省略する。
【0034】
図7から
図11は、本発明の第2実施形態に係るチューブ式揮散容器を示している。本実施形態では、含浸体60の抜止め手段Nの構成として、第1実施形態の抜止め用凸部44に代えて、脚筒32の下端に、脚筒32の下端面の一部のみを閉塞する部分蓋46を、当該下端面から離脱する(以下「開蓋する」という)ことが可能に設けている。
脚筒32の下端面のうち前記部分蓋46に覆われていない部分は、内容物の流入口Pを形成する。
本実施形態の部分蓋46は、脚筒32の下端部の周方向の一箇所で肉薄ヒンジ46aを介して脚筒32の筒壁に連結されて、開蓋状態と閉蓋状態との間を回転可能に形成されている。また図示例では、脚筒32の下端部のうち肉薄ヒンジ46aと反対側から係止爪42を下方へ突出している。部分蓋46の先端が係止爪42に係止され、閉蓋状態を維持できるようにしている。図示例の部分蓋46は、
図9(B)に示す如く、肉薄ヒンジ46aと係止爪42との間に掛け渡された帯板状に形成されており、その両側に流入口Pが形成されている。
【0035】
上記の各実施形態において、内容物をチューブ容器体2内に充填するときには、口頸部8から内容物を充填させ、口頸部8にシール蓋10を装着してもよいが、チューブ容器体2の下端を閉塞させる前に、チューブ容器体2の口頸部8にシール蓋10を装着し、次に揮発容器を上下反転させ、上側に位置するチューブ容器体2の下端から内容物を充填し、当該下端部を閉塞させてもよい。