(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外槽の側壁の頂部に複数のジャッキアップ装置を支持させ、前記複数のジャッキアップ装置による揚体の上昇と、前記上昇した揚体の下側への内槽側板の溶接と、を交互に繰り返して内槽を構築するタンクの構築方法であって、
前記外槽の側壁の頂部において、前記複数のジャッキアップ装置を支持する頂部サポートシステムとして、請求項6または7に記載の頂部サポートシステムを使用する、ことを特徴とするタンクの構築方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について図面を参照して説明する。以下の説明では、本発明をLNGを貯蔵する地上式のPC(プレストレスコンクリート)二重殻貯槽の構築方法に用いた形態を例示する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態における構築方法の第1工程を示す説明図である。
図2は、本発明の実施形態における構築方法の第2工程を示す説明図である。
本手法では、先ず、
図1に示すように、略円板状の基礎版1を構築する。基礎版1の外周縁部には、内槽アンカーストラップ4を埋設する。また、基礎版1の外周縁部には、側壁2(壁)を構築する。側壁2は、内壁面2a(一方の壁面)に複数の外槽側板3が配列されてなるPC壁である。
【0018】
側壁2は、基礎版1上に外槽側板3を組み上げつつ、その外槽側板3を内型枠としてコンクリート5を打設していくことにより構築される。外槽側板3は、鋼製ライナーであってコンクリート型枠を兼ねており、足場6bを設置しつつ外槽側板3の組み上げに追従してコンクリート5を打設することにより、側壁2を下から順に組み上げていく。外槽側板3の組み上げは、タンク周方向において複数の外槽側板3を円筒状に接合し、これを一段ずつ積層することで行われる。外槽側板3を一段組み上げたら、この外槽側板3を用いたコンクリート5の打設をし、これを繰り返し行うことにより、側壁2を組み上げていく。
【0019】
本手法では、このような側壁2の組み上げと並行して、基礎版1上に底部ライナー6を敷設する。次に、基礎版1の中央部に屋根架台7を組み立てる。また、側壁2の基端部に内槽側板9等を取り込むための工事口8を形成する。また、側壁2の基端部の内側に沿って、内槽側板組立用の門型架台10を複数設置する。門型架台10は、内槽側板9が複数組み合わされてなる円筒状の内槽が基礎版1上に最終的に下ろされるべき領域であるアニュラー領域Xを跨ぐように設置する。
【0020】
次に、門型架台10の下に、パーライトコンクリートブロックや構造用軽量コンクリートブロック等の保冷構造体12を仮置きする。門型架台10の下では、保冷構造体12によるアニュラー部13(
図2参照)の保冷工事を行う。アニュラー部13の保冷工事は、例えば、底部冷熱抵抗緩和材の上にパーライトコンクリートブロック、構造用軽量コンクリートブロックを組み立て、その上にアニュラープレートを取り付けることにより行う。
【0021】
アニュラー部13の保冷工事が完了したら、アニュラー部13よりもタンク内側に配置されていた脚部10aをアニュラー部13上に挿げ替える(
図2参照)。このような挿げ替えによって、アニュラー部13よりもタンク内側には干渉物がなくなるため、基礎版1上の中央部の保冷工事を行うことができる。中央部の保冷工事では、底部冷熱抵抗緩和材39の上に泡ガラス40を載置する。そして、その上に不図示のパーライトコンクリートブロックと不図示の内槽底板を順に重ねて敷設する。
【0022】
また、本手法では、上記保冷工事と並行して、
図1に示すように、側壁2にジャッキアップ装置19を複数台設置する。先ず、側壁2の中段部に、吊側架台70を設置する。吊側架台70は、側壁2に埋め込んだ不図示のアンカープレートに着脱可能に締結固定する。また、門型架台10上で組んでいたナックルプレート11に、被吊側架台80を設置する。被吊側架台80には、ジャッキアップ装置19のジャッキ本体19aが連結される。
また、吊側架台70には、ジャッキ本体19aの作動よりストロークするジャッキロッド19bが連結される。
【0023】
このようにジャッキアップ装置19を設置したら、ナックルプレート11を吊り上げ、そのジャッキアップによりできた下部空間に、内槽側板9を搬入する。内槽側板9は、所定の溶接位置まで搬送し、隣り合う内槽側板9同士を溶接し、全体で円筒状になるように周方向に繋ぎ合わせる。次に、この内槽側板9の上端部を、ナックルプレート11の下端部に組み付ける。また、ナックルプレート11の上端部は、屋根架台7上で組んでいた内槽屋根14(タンクの屋根)の外周縁部に組み付ける。
【0024】
次に、屋根架台7を除去し、ジャッキアップ装置19によって、内槽屋根14、ナックルプレート11及び内槽側板9を含む揚体60を吊り上げる。ジャッキアップ装置19により内槽側板9の上下幅相当分だけ揚体60を上昇させたら、そのジャッキアップにより内槽側板9の下部にできた空間に、次の内槽側板9を搬入する。搬入した内槽側板9をタンク周方向に繋ぎ合わせたら、その上端と、揚体60の下端(内槽側板9)とを溶接する。このように、本手法では、ジャッキアップ装置19による内槽側板9の上昇と、上昇した内槽側板9の下側への次の内槽側板9の溶接と、を交互に繰り返す。
【0025】
また、この工程中、
図2に示すように、内槽屋根14上で外槽屋根22(タンクの屋根)を組み立てる。外槽屋根22は、内槽屋根14と不図示の連結材で連結され、内槽屋根14と一体的に組み立てられる。また、ジャッキロッド19bのストローク分、揚体60をジャッキアップしたら、吊側のジャッキポイントを順次上方に盛り替える。吊側のジャッキポイントは、最終的に、側壁2の頂部2Aに変更する。側壁2の頂部2Aには、吊側架台70を連結可能な頂部サポート100を設置する。頂部サポート100は、コンクリート5を打設する外側の足場6bが残っているうちに設置することが好ましい。このように、吊側のジャッキポイントを盛り替えつつ、ジャッキアップ装置19による内槽側板9の上昇と、上昇した内槽側板9の下側への次の内槽側板9の溶接と、を交互に繰り返し、内槽側板9の最下段を除く第1の構造物9aを組み立てる。
【0026】
図3は、本発明の実施形態における構築方法の第3工程を示す説明図である。
本手法では、
図3に示すように、内槽側板9の最下段を、第1の構造物9aとは別にアニュラー部13上に組み立てる。門型架台10の解体後、内槽側板9の最下段をアニュラー部13上に載置したら、隣り合う内槽側板9同士を溶接し、全体で円筒状になるように周方向に繋ぎ合わせ、第2の構造物9bを組み立てる。第2の構造物9bを組み立てたら、基礎版1に設置された内槽アンカーストラップ4を取り付ける。また、側壁2の外部には、昇降階段23を設ける。また、側壁2の内側に、ポンプバレル25を搬入する。
【0027】
図4は、本発明の実施形態における構築方法の第4工程を示す説明図である。
次に、本手法では、
図4に示すように、第1の構造物9aをジャッキダウンし、第1の構造物9aの下端部を第2の構造物9bの上端部に降ろし、第1の構造物9aと第2の構造物9bとを溶接し、内槽30を組み立てる。本手法では、ジャッキアップ装置19による内槽30の組み立てから、内槽30の最下段の組み立てを分離し、内槽30の最下段である第2の構造物9bのアニュラー部13上への固定を前倒しで行っている。したがって、本手法では、例えば1カ月程度かかる内槽30のアニュラー部13上への固定がクリティカルパスとならず、従来手法よりも工期の短縮化を図ることができる。
【0028】
図5は、本発明の実施形態における構築方法の第5工程を示す説明図である。
内槽30が完成したら、外槽屋根22は、不図示の連結材による内槽屋根14との連結を解除し、最上段まで組み立てられた側壁2の上端部に据え付ける。また、外槽屋根22に屋根階段24を設ける。また、ポンプバレル25を設置する。また、ジャッキアップ装置19を撤去する。
その後、側壁2の緊張工事を行う。そして、工事口8の閉鎖後、水張りをして耐圧・気密試験を実施する。最後に、内槽30と側壁2との間の内外槽間15に保冷材44を配置し、また、内槽屋根14と外槽屋根22の間にも保冷材44を配置して保冷工事を行い、塗装工事、配管保冷工事を経てLNGタンク50が構築される。
【0029】
続いて、上述のLNGタンク50の構築方法において、側壁2の頂部2Aでジャッキアップ装置19を支持する頂部サポート100の構成について、
図6を参照して説明する。
【0030】
図6は、本発明の実施形態における頂部サポート100を示す側面図である。
頂部サポート100は、
図6に示すように、側壁2の頂部2Aに設置され、側壁2の内壁面2a側でジャッキアップ装置19を支持するものである。頂部サポート100は、アンカーボルト101と、ベースプレート102と、サポート本体103と、を有する。
【0031】
アンカーボルト101は、側壁2の外壁面2bに対し垂直(水平方向)に複数埋め込まれている。本実施形態では、アンカーボルト101の先端が、コンクリート5に埋め込まれた躯体5aに接続されている。
ベースプレート102は、側壁2の外壁面2bに複数のアンカーボルト101を介して取り付けられている。このベースプレート102には、ロッド連結部102aが接合されている。
【0032】
サポート本体103は、側壁2の頂部2Aに垂直(鉛直方向)に立設している。サポート本体103は、左右一対の柱構造体104a,104b(
図6においては一方側のみを示す)と、左右一対の柱構造体104a,104bに支持された支持プレート105と、から形成されている。左右一対の柱構造体104a,104bは、複数の鉄骨鋼材などで組まれたものであり、要所で連結構造体104cを介して連結されている。
【0033】
支持プレート105は、ジャッキアップ装置19の吊側架台70を着脱自在に取り付け可能な取付プレート107を有する。取付プレート107には、挿通孔107aが鉛直方向に間隔をあけて複数形成されている。この取付プレート107は、左右一対で設けられている。挿通孔107aには、図示しない取付ボルトが挿通され、当該取付ボルトは、吊側架台70と取付プレート107とを締結固定する。これにより、ジャッキアップ装置19が支持プレート105に支持される。
【0034】
左右一対の柱構造体104a,104bはそれぞれ、台座部110と、第1の梁部120と、柱部本体130と、第2の梁部140と、第1の連結部150と、第2の連結部160と、第3の連結部170と、を有する。
台座部110は、側壁2の頂部2Aに複数のアンカーボルト108を介して固定されている。この台座部110は、I形鋼などの鉄骨鋼材から形成できる。アンカーボルト108は、側壁2の頂部2Aに対し垂直(鉛直方向)に複数埋め込まれ、台座部110の下部フランジを側壁2の頂部2Aに固定する。
【0035】
第1の梁部120は、台座部110の上部フランジに、複数のボルト121を介して固定されている。第1の梁部120は、I形鋼などの鉄骨鋼材から形成できる。ボルト121は、第1の梁部120の下部フランジを、台座部110の上部フランジに固定する。第1の梁部120は、側壁2の外壁面2b側に張り出すように、台座部110に片持ち支持されている。側壁2の外壁面2bよりも外側に張り出した第1の梁部120の先端には、ロッド連結部122,123が接合されている。ロッド連結部122は、第1の梁部120の下部フランジの下面に接合されている。また、ロッド連結部123は、第1の梁部120の上部フランジの上面に接合されている。
【0036】
柱部本体130は、第1の梁部120の上部フランジに接合されている。柱部本体130は、I形鋼などの鉄骨鋼材から形成できる。この柱部本体130は、台座部110の直上に配置され、第1の梁部120の上部フランジから鉛直上方に立設している。柱部本体130の頂部(サポート本体103の頂部103A)近傍には、取付ボルトを介して支持プレート105を取り付ける取付プレート132が接合されている。
【0037】
第2の梁部140は、柱部本体130の中腹部の背面側に接合されている。第2の梁部140は、I形鋼などの鉄骨鋼材から形成できる。第2の梁部140は、第1の梁部120よりも上方で、側壁2の外壁面2b側に張り出すように、柱部本体130に片持ち支持されている。側壁2の外壁面2bよりも外側に張り出した第2の梁部140の先端には、ロッド連結部141が接合されている。ロッド連結部141は、第2の梁部140の下部フランジの下面に接合されている。
【0038】
第1の連結部150は、第1の梁部120とベースプレート102とを斜めに連結している。第1の連結部150のベースプレート102(側壁2の外壁面2b)に対する角度αは、約45度に設定されている。第1の連結部150は、ベースプレート102のロッド連結部102aにピンを介して水平軸回りに回転可能に連結されたロッド151と、第1の梁部120のロッド連結部122にピンを介して水平軸回りに回転可能に連結されたロッド152と、ロッド151,152を連結する長さ調節部153と、を有する。長さ調節部153は、ロッド151,152と螺合する円筒状の部材であり、内部にネジが切られている。この長さ調節部153を回転させることで、第1の連結部150の長さを調節することができる。
【0039】
第2の連結部160は、第1の梁部120と第2の梁部140とを鉛直方向で連結している。第2の連結部160は、第2の梁部140のロッド連結部141にピンを介して水平軸回りに回転可能に連結されたロッド161と、第1の梁部120のロッド連結部123にピンを介して水平軸回りに回転可能に連結されたロッド162と、ロッド161,162を連結する長さ調節部163と、を有する。長さ調節部163は、ロッド161,162と螺合する円筒状の部材であり、内部にネジが切られている。この長さ調節部163を回転させることで、第2の連結部160の長さを調節することができる。
【0040】
第3の連結部170は、第2の梁部140とサポート本体103の頂部103Aとを斜めに連結している。第3の連結部170の第2の梁部140に対する角度βは、約45度に設定されている。第3の連結部170は、I形鋼などの鉄骨鋼材から形成できる。第3の連結部170は、第2の梁部140の上部フランジの上面と、柱部本体130の頂部背面とに接合されている。
【0041】
上記構成の頂部サポート100によれば、支持プレート105がジャッキアップ装置19から荷重を受けたときに発生する側壁2の内壁面2a側に向かって回転し(倒れ)ようとするモーメント荷重を、側壁2の外壁面2bに対して角度αをもってアンカーボルト101に伝達させ、この荷重をアンカーボルト101のせん断荷重だけでなく、アンカーボルト101の引き抜き荷重として作用させることにより、側壁2の頂部2Aを支点とした回転を抑制し、頂部サポート100によるジャッキアップ装置19の吊り点が下がることを抑制することができる。
【0042】
図7は、本発明の実施形態における頂部サポート100を複数有する頂部サポートシステム200の構成を示す平面図である。
図8は、
図7に示す頂部サポートシステム200が備える複数種の頂部サポート100A,100B,100Cを示す正面図である。
図7に示すように、本手法では、側壁2の頂部2Aにおいて複数のジャッキアップ装置19を一定間隔で支持するために、複数の頂部サポート100からなる頂部サポートシステム200を構築する。
【0043】
本実施形態の頂部サポートシステム200は、一対の柱構造体104a,104bの間隔が異なる複数種の頂部サポート100A,100B,100Cを有している。頂部サポート100Aは、一対の柱構造体104a,104bが連結構造体104cで直接連結されたものであり、最も幅が小さくなっている。頂部サポート100Bは、連結構造体104cに、一対の柱構造体104a,104bの間隔を拡張する拡張ユニット180Bが連結されており、頂部サポート100Aよりも幅が大きくなっている。また、頂部サポート100Cは、連結構造体104cに、一対の柱構造体104a,104bの間隔を拡張する拡張ユニット180Cが連結されており、頂部サポート100Bよりも幅が大きくなっている。
【0044】
これら複数の頂部サポート100は、
図8に示すように、側壁2の頂部2Aに第1の間隔P1で設置されている。なお、第1の間隔P1の基準は、頂部サポート100の幅方向の中心位置であって、ジャッキアップ装置19のジャッキロッド19bが配置される位置である。この側壁2の頂部2Aには、側壁2の上下にプレストレスをかけるシース管90が、第1の間隔P1と異なる第2の間隔P2で配置されている。第2の間隔P2は、第1の間隔P1よりも狭い間隔となっている。このように、第1の間隔P1と第2の間隔P2が異なると、一対の柱構造体104a,104bがシース管90と干渉する領域が出てくるため、本実施形態では、シース管90を避けるように、3種類の頂部サポート100A,100B,100Cを使い分けて第1の間隔P1で設置できるようにしている。
【0045】
図9は、本発明の実施形態における頂部サポート100Aを示す平面図である。
図10は、
図9における矢視A−A図である。
図9に示すように、頂部サポート100Aは、一対の柱構造体104a,104bと、一対の柱構造体104a,104bの間を連結する連結構造体104cと、を有する。連結構造体104cは、一対の柱構造体104a,104bの対向面のそれぞれに接合された一対の梁部104c1と、一対の梁部104c1を連結する連結プレート104c2と、を有する。
【0046】
一対の梁部104c1は、H形鋼などの鉄骨鋼材から形成されている。連結プレート104c2は、複数のボルトを介して一対の梁部104c1を連結するものである。この連結プレート104c2は、
図9及び
図10に示すように、一対の梁部104c1の上下のフランジ及びウェブの両側面を連結している。上記構成によれば、一対の柱構造体104a,104bをボルト取り合いにより連結することができるため、頂部サポート100Aの組み立て及び解体が容易である。
【0047】
一対の柱構造体104a,104bは、
図10に示すように、ブレース190(筋交い)が取り付け可能なブレース取付部191を有する。ブレース取付部191もボルト取り合いとなっており、ブレース190が着脱可能とされている。このブレース取付部191は、柱部本体130の側面に複数取り付けられている。この頂部サポート100Aにおいては、一対の柱構造体104a,104bの柱部本体130同士がブレース190を介して連結されている。
【0048】
図11は、本発明の実施形態における頂部サポート100Bを示す平面図である。
図12は、
図11における矢視B−B図である。
図11に示すように、頂部サポート100Bは、一対の柱構造体104a,104bと、連結構造体104cと、連結構造体104cに連結された拡張ユニット180Bと、を有する。拡張ユニット180Bは、連結構造体104cに連結される連結梁部182と、連結梁部182の強度を補強する中柱部181と、を有する。
【0049】
連結梁部182は、一対の梁部104c1と同様にH形鋼などの鉄骨鋼材から形成されている。この連結梁部182は、一対の梁部104c1の間に介在して、一対の柱構造体104a,104bの間隔を拡張させる。連結梁部182の一端と他端は、それぞれ連結プレート104c2を介して一対の梁部104c1と連結されている。上記構成によれば、拡張ユニット180Bをボルト取り合いにより連結することができるため、頂部サポート100Bの組み立て及び解体が容易である。
【0050】
中柱部181は、
図11に示すように、一対の柱構造体104a,104bの柱部本体130の間に配置され、柱部本体130の間を接続する連結梁部182の強度を補強する。中柱部181は、
図12に示すように、柱部本体130と同様にI形鋼などの鉄骨鋼材から形成されている。本実施形態の中柱部181は、第1の鋼材181aと第2の鋼材181bとを連結プレート181cで連結したものであるが、一本の鋼材から形成してもよい。この中柱部181の両側面には、ブレース取付部192が設けられており、柱部本体130とブレース190を介して連結されている。
【0051】
中柱部181には、
図11に示すように、支持プレート105Bが接合されている。支持プレート105Bは、拡張ユニット180Bの連結によって一対の柱構造体104a,104bの間隔が拡張されたことにより、接合片133が追加されている。拡張ユニット180Bが連結されると、支持プレート105Bをボルト取り合いにより着脱可能に取り付ける取付プレート132の間隔が広がるため、その間においてジャッキ荷重を受けるために、接合片133を追加している。
【0052】
図13は、本発明の実施形態における頂部サポート100Cを示す平面図である。
図14は、
図13における矢視C−C図である。
図13に示すように、頂部サポート100Cは、一対の柱構造体104a,104bと、連結構造体104cと、連結構造体104cに連結された拡張ユニット180Cと、を有する。拡張ユニット180Cは、連結構造体104cに連結される長めの連結梁部182と、連結梁部182の強度を補強する2本の中柱部181と、を有する。
【0053】
連結梁部182は、上述したように一対の梁部104c1と連結プレート104c2を介して連結されている。この構成によれば、拡張ユニット180Cをボルト取り合いにより連結することができるため、頂部サポート100Cの組み立て及び解体が容易である。
また、中柱部181は、一対の柱構造体104a,104bの柱部本体130の間に2本配置されている。これら2本の中柱部181は、
図14に示すように、それぞれ近しい方に配置された柱部本体130とブレース190を介して連結されている。
【0054】
2本の中柱部181には、
図13に示すように、それぞれ支持プレート105Cが接合されている。支持プレート105Cは、拡張ユニット180Cの連結によって一対の柱構造体104a,104bの間隔がさらに拡張されたことにより、支持プレート105C自体の幅が広くなり、2つの接合片133が追加されている。2つの接合片133は、それぞれ2本の中柱部181に接合されている。
【0055】
上記構成の頂部サポート100及び頂部サポートシステム200によれば、
図7及び
図8に示すように、一対の柱構造体104a,104bとの間を連結する連結構造体104cに、拡張ユニット180を連結することで、一対の柱構造体104a,104b及び連結構造体104cに構造的な変更を加えることなく頂部サポート100の幅を調整することができる。これにより、規模の異なるLNGタンク50の構築においても、一対の柱構造体104a,104b及び連結構造体104cを資材化し、再利用することができる。また、
図8に示すように、側壁2の頂部2Aにシース管90が配置され、設置制限のあるLNGタンク50の構築において、幅の異なる複数種の頂部サポート100が必要な場合であっても、対応する幅の拡張ユニット180を連結するだけで幅の異なる複数種の頂部サポート100B,100Cを構築できるため、施工コストを下げることができる。
【0056】
また、拡張ユニット180は、
図12及び
図14に示すように、連結構造体104cに連結される連結梁部182と、連結梁部182の強度を補強する中柱部181と、を有するため、その拡張部分の強度を確保することができる。
また、一対の柱構造体104a,104bは、中柱部181とブレース190を介して連結される柱部本体130を有するため、拡張ユニット180との連結強度を高めることができる。
さらに、
図11及び
図13に示すように、柱部本体130には、支持プレート105が取付プレート132を介して着脱可能に取り付けられ、中柱部181には、支持プレート105が接合片133を介して接合されている。拡張ユニット180は、LNGタンク50の規模等に応じて追加されるものであるため、一対の柱構造体104a,104bの間隔に応じて作成される支持プレート105と同じく専用部品であるため、資材化することなく共に解体・撤去するものである。したがって、中柱部181においては、柱部本体130の取付プレート132のようにボルト取り合いにしないようにし、これによりボルト締結本数を削減し、支持プレート105の取り付け作業の軽減を図ることができる。
【0057】
このように、上述の本実施形態によれば、側壁2の頂部2Aに設けられ、ジャッキアップ装置19を支持する頂部サポート100であって、側壁2の頂部2Aに立設する一対の柱構造体104a,104bと、一対の柱構造体104a,104bの間を連結する連結構造体104cと、を有し、連結構造体104cには、一対の柱構造体104a,104bの間隔を拡張する拡張ユニット180が連結可能とされている、という構成を採用することによって、規模の異なるLNGタンク50の構築や、側壁2の頂部2Aに設置制限のあるLNGタンク50の構築に適した頂部サポート100の設置が可能となる。
【0058】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
例えば、頂部サポート100は、地上で一括で組み、クレーン等で側壁2の頂部2Aに搭載してもよいが、連結プレート104c2を取り外し、少なくとも2つのブロックに分解した状態でクレーン等で側壁2の頂部2Aに搭載してもよい。この構成によれば、頂部サポート100が複数のブロックに分解されるため、吊り上げ安定性が得られ、必要に応じて拡張ユニット180を連結することで、安全に頂部サポート100を組み立てることができる。
【0060】
また、例えば、上記実施形態では、頂部サポート100がジャッキアップ装置19を支持する構成について説明したが、頂部サポート100が支持する物体は、ジャッキアップ装置19に限定されない。例えば、頂部サポート100は、吊り足場や、ホイストクレーンなどを支持する構成であってもよい。
【0061】
また、本実施形態においては、頂部サポート100を円筒状のLNGタンク50の側壁2の頂部2Aに設置したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、頂部サポート100は、矩形状のタンクの壁の頂部に設置してもよい。また、壁であれば、例えば、水をせき止める堰などの頂部に、頂部サポート100を設置してもよい。