(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る集積回路装置を示す斜視図である。
図2は、本実施形態における1つの縦型TFT及びローカルビット線を示す斜視図である。
図3は、本実施形態における縦型TFTを示す断面図である。
図4は、横軸に位置をとり、縦軸に不純物濃度をとって、本実施形態における縦型TFTの不純物濃度プロファイルを示すグラフ図である。
図4においては、
図3に示す縦型TFTの断面図を併記している。
図4の横軸に示す位置は、この断面図に対応する。
【0008】
なお、各図は模式的なものであり、適宜誇張及び省略して描かれている。また、図間において、構成要素の数及び寸法比等は、必ずしも一致していない。
本実施形態に係る集積回路装置は、抵抗変化型の記憶装置である。
【0009】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る集積回路装置1においては、シリコン基板10が設けられている。シリコン基板10上には、例えばシリコン酸化物(SiO)からなる層間絶縁膜11が設けられている。シリコン基板10の上層部分及び層間絶縁膜11の下層部分には、CMOSトランジスタ等の回路素子(図示せず)が形成されている。また、層間絶縁膜11内には、配線及びビア等の導電部材(図示せず)が形成されている。これにより、シリコン基板10内及び層間絶縁膜11内には、駆動回路が形成されている。
【0010】
層間絶縁膜11上には、複数本のグローバルビット線15が設けられている。グローバルビット線15は、例えば、タングステン(W)等の金属により形成されている。グローバルビット線15間には、例えばシリコン酸化物からなる絶縁膜16(
図5(a)参照)が設けられている。
【0011】
以下、本明細書においては、XYZ直交座標系を採用する。シリコン基板10から層間絶縁膜11に向かう方向を「上」とし、その反対方向を「下」とする。上及び下を総称して「Z方向」とする。また、グローバルビット線15が延びる方向を「X方向」とし、Z方向及びX方向の双方に対して直交する方向を「Y方向」とする。なお、「グローバルビット線15がX方向に延びる」とは、グローバルビット線15のX方向における長さが、Y方向における長さ及びZ方向における長さよりも長いことをいう。他の構成要素及び方向についても、同様である。
【0012】
各グローバルビット線15上には、複数のシリコン部材20が設けられている。グローバルビット線15とシリコン部材20との間には、例えばチタン窒化物(TiN)からなるバリアメタル層17(
図11(b)参照)が設けられている。Z方向から見て、シリコン部材20はX方向及びY方向に沿ってマトリクス状に配列されている。各シリコン部材20の形状はZ方向を長手方向とした直方体である。そして、X方向に沿って1列に配列された複数本のシリコン部材20の下端20aが、1本のグローバルビット線15に、バリアメタル層17を介して共通接続されている。
【0013】
X方向におけるシリコン部材20間には、Y方向に延びる2本のゲート電極31が設けられている。ゲート電極31は例えばチタン窒化物等の導電性材料により形成されている。シリコン部材20とゲート電極31との間には、例えばシリコン酸化物からなるゲート絶縁膜32が設けられている。シリコン部材20、ゲート絶縁膜32、並びに、シリコン部材20を挟む一対のゲート電極31により、例えばnチャネル形の縦型TFT30が構成されている。縦型TFT30は、電流の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子である。
【0014】
シリコン部材20上には、導電性材料からなるローカルビット線41が設けられている。シリコン部材20とローカルビット線41との間には、例えばチタン窒化物からなるバリアメタル層18(
図11(b)参照)と、例えばタングステンからなるコンタクト19(
図11(b)参照)が設けられている。ローカルビット線41はZ方向に延びており、その形状は、例えば四角柱形である。
【0015】
ローカルビット線41の下端41aは、コンタクト19(
図11(b)参照)及びバリアメタル層18(
図11(b)参照)を介して、シリコン部材20の上端20bに接続されている。従って、シリコン部材20はグローバルビット線15とローカルビット線41との間に接続されている。各ローカルビット線41は各シリコン部材20の直上域に配置されているため、集積回路装置1全体では、複数本のローカルビット線41がX方向及びY方向に沿ってマトリクス状に配列されている。
【0016】
ローカルビット線41のX方向に向いた両側面41c上には、抵抗変化膜42が設けられている。抵抗変化膜42は、印加される電圧又は電流によって抵抗状態が変化する膜である。
【0017】
X方向において隣り合うローカルビット線41間には、導電性材料からなりY方向に延びるワード線43が複数本設けられており、Z方向において相互に離隔して配列されている。Z方向において隣り合うワード線43間には、例えばシリコン酸化物からなる絶縁膜(図示せず)が設けられている。Y方向から見て、ワード線43はX方向及びZ方向に沿ってマトリクス状に配列されている。抵抗変化膜42は、ローカルビット線41とワード線43との間に接続されている。
【0018】
これにより、ローカルビット線41とワード線43との交差部分毎に、抵抗変化膜42を介してメモリセル40が構成される。メモリセル40は、X方向、Y方向及びZ方向に沿って三次元マトリクス状に配列されている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、各シリコン部材20においては、下、すなわち、グローバルビット線15側から、上、すなわち、ローカルビット線41側に向かって、n
+形部分21、n
−形部分22、n
+形部分23、n
−形部分24、p
−形部分25、n
−形部分26、n
+形部分27、n
−形部分28、n
+形部分29が、Z方向に沿ってこの順に配列されている。なお、n形とp形の関係は逆になってもよい。
【0020】
上述の「n
+形」及び「n
−形」との表記は、いずれも導電形がn形であることを示し、ドナーとなる不純物の濃度の相対的な大小関係を示す。n
+形部分のドナー濃度はn
−形部分のドナー濃度よりも高い。n
+形部分21、n
+形部分23、n
+形部分27、n
+形部分29におけるドナーとなる不純物、例えば、リン(P)の濃度は、1×10
20cm
−3以上である。また、n
−形部分22、n
−形部分24、n
−形部分26、n
−形部分28には、ドナーとなる不純物、例えばリンの濃度が1×10
19cm
−3以下である部分が存在する。p
−形部分25には、アクセプタとなる不純物、例えば、ボロン(B)が含有されている。
【0021】
図4に示すように、シリコン部材20におけるドナーとなる不純物、例えば、リンの濃度プロファイルP
Pと、アクセプタとなる不純物、例えば、ボロンの濃度プロファイルP
Bとが交差する位置F1及びF2が、それぞれ、n
−形部分24とp
−形部分25との境界、及び、p
−形部分25とn
−形部分26との境界である。
【0022】
これに対して、リンの濃度プロファイルP
Pは連続的に変化しているため、n形の各部分間の境界は必ずしも明瞭ではない。本実施形態においては、n
+形部分21とn
−形部分22との境界、n
−形部分22とn
+形部分23との境界、n
+形部分23とn
−形部分24との境界、n
−形部分26とn
+形部分27との境界、n
+形部分27とn
−形部分28との境界、n
−形部分28とn
+形部分29との境界は、ドナーとなる不純物の濃度が1×10
20cm
−3となる位置とする。
【0023】
Z方向に沿ったリンの濃度プロファイルP
Pにおいては、大きな4つのピークP1〜P4が形成されている。ピークP1はn
+形部分21内に位置し、ピークP2はn
+形部分23内に位置し、ピークP3はn
+形部分27内に位置し、ピークP4はn
+形部分29内に位置する。ピークP1〜P4におけるリンの濃度は、1×10
20cm
−3以上である。また、Z方向に沿ったボロンの濃度プロファイルP
Bにおいては、大きな1つのピークP5が形成されている。ピークP5はp
−形部分25内に位置する。従って、ピークP5は位置F1と位置F2との間に位置し、ピークP2とピークP3との間に位置している。
【0024】
そして、X方向から見て、ゲート電極31の下端31aは、n
−形部分22、n
+形部分23又はn
−形部分24と重なっており、従って、第1ピークP1と位置F1との間に位置している。また、ゲート電極31の上端31bは、n
−形部分26、n
+形部分27又はn
−形部分28と重なっており、従って、位置F2とピークP4との間に位置している。
【0025】
次に、本実施形態に係る集積回路装置の製造方法について、縦型TFT30の形成方法を中心に説明する。
図5(a)〜(c)、
図6(a)及び(b)、
図7(a)及び(b)、
図8(a)及び(b)、
図9(a)及び(b)、
図10(a)及び(b)、
図11(a)及び(b)は、本実施形態に係る集積回路装置の製造方法を示す断面図である。
図5(a)〜
図7(b)は、YZ断面を示している。
図8(a)〜
図11(b)は、XZ断面を示している。
【0026】
先ず、
図1に示すように、シリコン基板10上に層間絶縁膜11を形成すると共に、シリコン基板10内及び層間絶縁膜11内に駆動回路を形成する。
【0027】
次に、
図5(a)に示すように、層間絶縁膜11上に、例えばタングステンからなる金属膜を形成し、X方向に延びるラインアンドスペース状に分断する。これにより、層間絶縁膜11上にX方向に延びる複数本のグローバルビット線15が形成される。次に、グローバルビット線15間に絶縁膜16を形成する。次に、グローバルビット線15上及び絶縁膜16上に、例えばチタン窒化物からなるバリアメタル層17を形成する。
【0028】
次に、
図5(b)に示すように、バリアメタル層17上にシリコン膜20fを形成する。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、ドナーとなる不純物、例えばリンを導入しながら、シリコンを堆積させる。これにより、n
+形層21a、n
−形層22a、n
+形層23a、n
−形層24a、i形層25a、n
−形層26a、n
+形層27a、n
−形層28a、n
+形層29aをこの順に形成する。
【0029】
次に、
図5(c)に示すように、アクセプタとなる不純物、例えばボロンをイオン注入することにより、i形層25aをp
−形層25bに変化させる。次に、アニール処理を施すことにより、リン及びボロンを拡散させると共に、活性化させる。
【0030】
次に、
図6(a)に示すように、シリコン膜20f上に、例えばチタン窒化物からなるバリアメタル層18を形成する。
次に、
図6(b)に示すように、バリアメタル層18上に、例えばシリコン窒化物(SiN)からなるハードマスク51を形成する。
【0031】
次に、
図7(a)に示すように、リソグラフィ法及びRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法により、ハードマスク51をX方向に延びるラインアンドスペース状に加工して、グローバルビット線15の直上域のみに残留させる。次に、加工したハードマスク51をマスクとしてRIE等のエッチングを施すことにより、シリコン膜20fをX方向に延びるラインアンドスペース状に加工する。これにより、シリコン膜20fが複数本のシリコン板20gに分割される。
【0032】
次に、
図7(b)に示すように、シリコン板20g間にシリコン酸化物等の絶縁性材料を埋め込み、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)等の平坦化処理を施す。これにより、シリコン板20g間に絶縁膜52が形成される。これにより、シリコン板20g及び絶縁膜52がY方向に沿って交互に配列された中間構造体53が作成される。
【0033】
図8(a)は、中間構造体53のXZ断面を示している。
図8(b)に示すように、リソグラフィ法及びRIE法により、中間構造体53を、Y方向に延びるラインアンドスペース状に加工する。これにより、中間構造体53が、YZ平面に沿って拡がる複数の中間構造体54に分割される。また、各シリコン板20gが、複数の柱状のシリコン部材20に分割される。
【0034】
このとき、n
+形層21a、n
−形層22a、n
+形層23a、n
−形層24a、p
−形層25b、n
−形層26a、n
+形層27a、n
−形層28a、n
+形層29aは、それぞれ、n
+形部分21、n
−形部分22、n
+形部分23、n
−形部分24、p
−形部分25、n
−形部分26、n
+形部分27、n
−形部分28、n
+形部分29となる。各中間構造体54においては、シリコン部材20と絶縁膜52(
図7(b)参照)がY方向に沿って交互に配列されている。
【0035】
次に、
図9(a)に示すように、中間構造体54間に例えばシリコン酸化物を堆積させて、絶縁膜55を形成する。次に、絶縁膜55の上面55aをエッチバックする。このとき、エッチングのばらつきにより、上面55aの位置は一定の範囲内でばらつく。
次に、
図9(b)に示すように、全面にシリコン酸化膜を堆積させて、ゲート絶縁膜32を形成する。ゲート絶縁膜32は、絶縁膜55の上面55a及び中間構造体54を覆う。
【0036】
次に、
図10(a)に示すように、例えばチタン窒化物等の導電性材料を堆積させて、絶縁膜55上に電極膜を形成する。次に、RIE等のエッチングを施して、絶縁膜55の上面55a上、並びに、中間構造体54の側面上の上部及び上面上から、電極膜を除去する。これにより、中間構造体54のX方向に向いた側面のうち、上部を除く領域上に、ゲート電極31が形成される。
【0037】
このとき、絶縁膜55の上面55aの位置のばらつきに起因して、ゲート電極31の下端31aのZ方向における位置が、一定の範囲内でばらつく。また、電極膜に対するエッチングのばらつきにより、ゲート電極31の上端31bのZ方向における位置が、一定の範囲内でばらつく。
図10(a)及び以後の図では、ゲート電極31の上端31bの位置のばらつき範囲を、破線によって示す。
次に、
図10(b)に示すように、例えばシリコン酸化物を堆積させて、中間構造体54間に絶縁膜56を形成する。絶縁膜56は、ゲート電極31も埋め込む。
【0038】
次に、
図11(a)に示すように、ハードマスク51にコンタクトホール57を形成する。コンタクトホール75の底面には、バリアメタル層18を露出させる。
次に、
図11(b)に示すように、例えばタングステンを埋め込んで、コンタクトホール57内にコンタクト19を形成する。コンタクト19は、バリアメタル層18を介して、シリコン部材20のn
+形部分29に接続される。
【0039】
次に、
図1に示すように、通常の工程により、ワード線43、抵抗変化膜42及びローカルビット線41を形成する。ローカルビット線41はコンタクト19に接続させる。このようにして、本実施形態に係る集積回路装置1が製造される。
【0040】
次に、本実施形態の効果について説明する。
図3に示すように、本実施形態に係る集積回路装置1においては、X方向から見て、ゲート電極31の下端31aがn
−形部分22、n
+形部分23又はn
−形部分24と重なっており、n
+形部分21とは重なっていない。このため、グローバルビット線15とゲート電極31とは、少なくともn
+形部分21の厚さ分だけ離隔している。この結果、グローバルビット線15とゲート電極31との短絡を防止できる。
【0041】
同様に、X方向から見て、ゲート電極31の上端31bはn
−形部分28、n
+形部分27又はn
−形部分26と重なっており、n
+形部分29とは重なっていない。このため、ローカルビット線41とゲート電極31とは、少なくともn
+形部分29の厚さ分だけ離隔している。この結果、ローカルビット線41とゲート電極31との短絡を防止できる。
【0042】
一方、X方向から見て、ゲート電極31は少なくともn
−形部分24の一部及びn
−形部分26の一部と重なっている。すなわち、ゲート電極31は、n形のソース及びドレインと重なっている。このため、縦型TFT30はオン電流が大きい。
【0043】
このとき、Z方向におけるn
−形部分22、n
+形部分23及びn
−形部分24の合計の長さを、ゲート電極31の下端31aの位置のばらつきの範囲よりも長くすることにより、
図10(a)に示す工程において、絶縁膜55に対するエッチングのばらつきに起因して、ゲート電極31の下端31aの位置がばらついても、グローバルビット線15とゲート電極31と距離を一定値以上に確保して、グローバルビット線15とゲート電極31との短絡を確実に防止できると共に、ゲート電極31を少なくともn
−形部分24の一部と重ならせて、オン電流を確保することができる。
【0044】
同様に、Z方向におけるn
−形部分26、n
+形部分27及びn
−形部分28の合計の長さを、ゲート電極31の上端31bの位置のばらつきの範囲よりも長くすることにより、
図10(a)に示す工程において、電極膜に対するエッチングのばらつきに起因して、ゲート電極31の上端31bの位置がばらついても、ローカルビット線41とゲート電極31と距離を一定値以上に確保して、ローカルビット線41とゲート電極31との短絡を確実に防止できると共に、ゲート電極31を少なくともn
−形部分26の一部と重ならせて、オン電流を確保することができる。
【0045】
縦型TFT30のオン電流を増加させるためには、ゲート電極31とソース及びドレインとのオーバーラップ量を大きくすればよいが、そうすると、シリコン部材20におけるゲート電極31と重なった部分においてGIDL(Gate-Induced Drain Leakage:ゲート誘導ドレインリーク)が発生しやすくなり、縦型TFT30のオフ電流、すなわち、リーク電流が増加してしまう。
【0046】
そこで、本実施形態においては、X方向から見て、シリコン部材20におけるゲート電極31と重なる部分に、リン濃度が低いn
−形部分22及びn
−形部分24、並びに、n
−形部分28及びn
−形部分26を配置している。これにより、GIDLを抑制し、縦型TFT30のオフ電流を低減することができる。
【0047】
また、シリコン部材20の下端部には、リン濃度が高いn
+形部分21を配置している。これにより、シリコン部材20とグローバルビット線15との抵抗を低減することができる。同様に、シリコン部材20の上端部には、リン濃度が高いn
+形部分29を配置している。これにより、シリコン部材20とローカルビット線41との抵抗を低減することができる。なお、上述の如く、n
+形部分21及びn
+形部分29は、X方向から見てゲート電極31とは重ならないため、n
+形部分21及びn
+形部分29に起因してGIDLが増加することはない。
【0048】
更に、シリコン部材20においては、n
−形部分22とn
−形部分24の間にn
+形部分23を配置している。これにより、
図5(c)に示すアニール処理において、n
+形部分23からn
−形部分22及びn
−形部分24にリンを拡散させることができる。この結果、ゲート電極31の下端31aの位置のばらつきを吸収するために、Z方向におけるn
−形部分22、n
+形部分23及びn
−形部分24の合計の長さを長くしても、n
−形部分22及びn
−形部分24に確実にリンを供給することができる。この結果、縦型TFT30のオン電流を確保することができる。
【0049】
同様に、シリコン部材20においては、n
−形部分26とn
−形部分28の間にn
+形部分27を配置している。これにより、
図5(c)に示すアニール処理において、n
+形部分27からn
−形部分26及びn
−形部分28にリンを拡散させることができる。この結果、ゲート電極31の上端31bの位置のばらつきを吸収するために、Z方向におけるn
−形部分26、n
+形部分27及びn
−形部分28の合計の長さを長くしても、n
−形部分26及びn
−形部分28に確実にリンを供給することができる。この結果、縦型TFT30のオン電流を確保することができる。
【0050】
なお、n
+形部分23及びn
+形部分27に起因して、GIDLが発生する可能性もある。しかしながら、n
+形部分23はn
−形部分22とn
−形部分24に挟まれており、n
+形部分27はn
−形部分26とn
−形部分28に挟まれているため、n
+形部分23及びn
+形部分27の厚さを規制することにより、GIDLの影響を許容範囲内に制約することができる。
【0051】
次に、上述の効果について、試験例を挙げて説明する。
図12(a)は、横軸にオン電流の規格値を直線軸でとり、縦軸にサンプルをとって、1つの縦型TFTに流れるオン電流の分布を示すシグマプロット図であり、
図12(b)は、横軸にオフ電流の規格値を対数軸でとり、縦軸にサンプルをとって、1つの縦型TFTに流れるオフ電流の分布を示すシグマプロット図である。
【0052】
図12(a)及び(b)に示す比較例は、
図4に示す比較例と同じである。すなわち、
図4の一点鎖線は、比較例におけるリンの濃度プロファイルを示す。比較例におけるボロンの濃度プロファイルは、第1の実施形態と同様である。
図4に示すように、比較例においては、n
−形部分22及びn
−形部分28が設けられておらず、X方向から見て、ゲート電極31は、シリコン部材20のZ方向両端から連続して設けられたn
+形部分と重なっている。
【0053】
図12(a)に示すように、本実施形態に係る集積回路装置1は、比較例に係る集積回路装置と比較して、オン電流はほとんど変わらなかった。これは、n
+形部分21及びn
+形部分29を設けることにより、グローバルビット線15及びローカルビット線41との間の抵抗を低減していること、並びに、n
+形部分23及びn
+形部分27を設けることにより、n
−形部分22及びn
−形部分24、並びに、n
−形部分26及びn
−形部分28にドナーを確実に供給していることによると考えられる。
【0054】
一方、
図12(b)に示すように、本実施形態に係る集積回路装置1は、比較例に係る集積回路装置と比較して、オフ電流は3分の1程度まで減少した。これは、シリコン部材20におけるゲート電極31と重なる部分に、n
−形部分22及びn
−形部分24、並びに、n
−形部分26及びn
−形部分28を配置することにより、GIDLを低減できたためと考えられる。
【0055】
このように本実施形態によれば、オン電流を確保したまま、オフ電流を低減し、消費電力が少ない集積回路装置を実現することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図13は、本実施形態に係る集積回路装置における縦型TFTを示す断面図である。
【0057】
図13に示すように、本実施形態に係る集積回路装置2は、前述の第1の実施形態に係る集積回路装置1(
図3参照)と比較して、シリコン部材20の下部にn
−形部分22及びn
+形部分23が設けられていない点が異なっている。シリコン部材20の上部の構造は、第1の実施形態と同様である。本実施形態における上記以外の構成及び製造方法は、第1の実施形態と同様である。
【0058】
本実施形態によれば、シリコン部材20の上部について、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。すなわち、ゲート電極31の上端31bの位置がばらついても、ゲート電極31とローカルビット線41との短絡を防止しつつ、シリコン部材20の上部においてGIDLを抑制することができる。この結果、縦型TFT30のオン電流を確保しつつ、オフ電流を低減することができる。
【0059】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
図14は、本実施形態に係る集積回路装置における縦型TFTを示す断面図である。
【0060】
図14に示すように、本実施形態に係る集積回路装置3は、前述の第1の実施形態に係る集積回路装置1(
図3参照)と比較して、シリコン部材20の上部にn
−形部分28及びn
+形部分27が設けられていない点が異なっている。シリコン部材20の下部の構造は、第1の実施形態と同様である。本実施形態における上記以外の構成及び製造方法は、第1の実施形態と同様である。
【0061】
本実施形態によれば、シリコン部材20の下部について、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。すなわち、ゲート電極31の下端31aの位置がばらついても、ゲート電極31とグローバルビット線15との短絡を防止しつつ、シリコン部材20の下部においてGIDLを抑制することができる。この結果、縦型TFT30のオン電流を確保しつつ、オフ電流を低減することができる。
【0062】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
図15は、本実施形態に係る集積回路装置における縦型TFTを示す断面図である。
【0063】
図15に示すように、本実施形態に係る集積回路装置4においては、前述の第1の実施形態に係る集積回路装置1(
図3参照)の構成に加えて、複数枚のシリコン酸化層61が設けられている。シリコン酸化層61は、n
+形部分21とn
−形部分22との間、n
−形部分22とn
+形部分23との間、n
+形部分23とn
−形部分24との間、n
−形部分24とp
−形部分25との間、p
−形部分25とn
−形部分26と間、n
−形部分26とn
+形部分27との間、n
+形部分27とn
−形部分28との間、及び、n
−形部分28とn
+形部分29との間に、それぞれ設けられている。なお、シリコン酸化層61は、これらの各部間のうち、一部にのみ設けられていてもよい。
【0064】
シリコン酸化層61は、例えば、
図5(b)に示すシリコン膜20fの堆積工程において、CVD法により各層を形成した後、CVD装置のチャンバー内に大気を導入するか、又は、中間構造体をチャンバーから取り出すことにより、シリコンの堆積層の上面を自然酸化させて、形成することができる。
【0065】
本実施形態によれば、
図5(c)に示すアニール工程及びその後の熱処理工程において、シリコン酸化層61が不純物の拡散を抑制することにより、
図4に示す不純物濃度プロファイルのピークを急峻に保つことができる。この結果、第1の実施形態において説明した効果が、より顕著になる。
本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0066】
以上説明した実施形態によれば、消費電力が少ない集積回路装置を実現することができる。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、前述の実施形態は、相互に組み合わせて実施することもできる。
【0068】
例えば、前述の各実施形態においては、集積回路装置が抵抗変化型の記憶装置である例を示したが、本発明はこれには限定されない。例えば、各実施形態において説明した縦型TFT30を、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)型トランジスタをメモリセルとして用いる記憶装置において、MONOS型トランジスタのボディとなるシリコンピラーを選択するための選択トランジスタとして用いることもできる。又は、縦型TFT30を記憶装置以外の集積回路装置に設けてもよい。