(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象エリアの電力系統の映像情報の前記解像度は、圧縮映像情報の解像度、前記圧縮映像情報と受信側電力監視制御装置にかかる映像情報との表示の配置の少なくとも一方により入力部から入力される、
請求項8に記載の受信側電力監視制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1〜5を参照して本実施形態の一例としての電力監視制御システムについて説明する。本実施形態では、一例として電力監視制御装置2mは、バックアップ用の装置として使用され、電力監視制御装置2aが電力監視制御装置2mに記憶された映像情報D1にかかる圧縮映像情報D2を表示する場合について説明する。
【0018】
(1)電力監視制御システム1の全体構成
電力監視制御システム1の全体構成を
図1に示す。本電力監視制御システム1は、4つの電力監視制御装置2(2m、2a、2b、2c)を有する。電力監視制御装置2(2m、2a、2b、2c)は、通信回線9を介し、相互に接続される。電力監視制御装置2mを、第1の電力監視制御装置または送信側電力監視制御装置と、電力監視制御装置2aを、第2の電力監視制御装置または受信側電力監視制御装置と呼ぶ場合がある。
【0019】
電力監視制御装置2m、2a、2b、2cは同じ構成であってもよいが、以下に説明するように電力監視制御装置2m、2aが、一部において固有の構成を有するものであってもよい。
【0020】
本実施形態において、同一構成の装置や部材が複数ある場合にはそれらについて同一の番号を付して説明を行い、また、同一構成の個々の装置や部材についてそれぞれを説明する場合に、共通する番号にアルファベットの添え字を付けることで区別する。
【0021】
以下に電力監視制御装置2m、2aが、一部において固有の構成を有する電力監視制御システム1の構成について説明する。
【0022】
電力監視制御システム1において、以下のデータが、入力、出力、送受信または記憶される。
映像情報D1
(電力監視制御装置2aの電力系統の映像情報D1a)
(電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1b)
(電力監視制御装置2cの電力系統の映像情報D1c)
圧縮映像情報D2
(電力監視制御装置2aの圧縮映像情報D2a)
(電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2b)
(電力監視制御装置2cの圧縮映像情報D2c)
トラフィック監視情報T1
リクエストエリアコマンドC1
解像度指定コマンドC2
【0023】
(電力監視制御装置2)
電力監視制御装置2は、マイクロコンピュータ等により構成された装置である。電力監視制御装置2は、電力系統の監視制御を行う給電指令所、系統制御所、集中制御所、変電所などの指令室、訓練室などに設置される。
【0024】
電力監視制御装置2は、対象エリアの電力系統に設置された各受配電設備および電力系統の状態を検出し、系統情報として表示する。電力監視制御装置2は、対象エリアの電力系統における開閉器、遮断器等の受配電設備、電力系統の電圧、電流等の状態を示す系統情報が入力され、電力系統の映像情報として逐次記憶し表示を行う。
【0025】
電力監視制御装置2aは、対象エリアaに設置された受配電設備(図中不示)から受配電設備および電力系統の状態を受信し、対象エリアaの電力系統の映像情報D1aを逐次記憶するとともに表示する。同様に電力監視制御装置2bは、対象エリアbの電力系統の映像情報D1bを、電力監視制御装置2cは、対象エリアcの電力系統の映像情報D1cを、逐次記憶するとともに表示する。
【0026】
電力監視制御装置2mは、バックアップ用の装置として使用される。電力監視制御装置2mは、通信回線9を介し、電力監視制御装置2aに記憶された映像情報D1a、電力監視制御装置2bに記憶された映像情報D1b、電力監視制御装置2cに記憶された映像情報D1cを逐次受信し、記憶する。また、電力監視制御装置2aからの送信要求に応じ、映像情報D1b、映像情報D1cを圧縮し、通信回線9を介し電力監視制御装置2aに送信する。
【0027】
(電力監視制御装置2m、2a、2b、2c共通の構成)
電力監視制御装置2m、2a、2b、2cにおける共通部分の構成を
図2に示す。電力監視制御装置2は、通信中継部3、記憶部4、復号化部5、伝送制御部6、表示部7、入力部8を有する。通信中継部3、記憶部4、復号化部5、伝送制御部6、表示部7、入力部8はローカル通信線11に接続され相互に送受信を行う。
【0028】
(通信中継部3)
通信中継部3は、いわゆるル−ターにより構成された通信装置である。通信中継部3は、インターネット等の通信回線に対応した送受信回路により構成される。通信中継部3は、一方がインターネット等の通信回線9に、他方が電力監視制御装置2の内部のローカル通信線11に接続される。通信中継部3は、電力監視制御装置2の内部、または電力監視制御装置2が設置された配電室等に配置される。
【0029】
通信中継部3は、通信回線9と電力監視制御装置2の内部のローカル通信線11との通信の中継を行う。また、通信中継部3は、通信回線9のトラフィックの状況を観測する。
【0030】
(記憶部4)
記憶部4は、いわゆるサーバーにより構成された通信装置である。記憶部4は、半導体メモリやハードディスクのような記憶媒体にて構成される。記憶部4は、電力監視制御装置2の内部のローカル通信線11に接続される。記憶部4は、電力監視制御装置2の内部、または電力監視制御装置2が設置された配電室等に配置される。
【0031】
記憶部4は、対象エリアの電力系統における開閉器、遮断器等の受配電設備、電力系統の電圧、電流等の状態を示す系統情報に基づく電力系統の映像情報D1を記憶する。
【0032】
(復号化部5)
復号化部5は、いわゆる映像デコーダにより構成された表示制御装置である。復号化部5は、表示制御回路を有するマイクロコンピュータ等により構成される。復号化部5は、入力側がローカル通信線11に、出力側が電力監視制御装置2の表示部7に接続される。復号化部5は、配電室等の表示部7の近傍に配置される。
【0033】
復号化部5は、記憶部4に符号化され記憶された、対象エリアの電力系統における開閉器、遮断器等の受配電設備、電力系統の電圧、電流等の状態を示す系統情報に基づく電力系統の映像情報D1を復号化し、表示部7に表示させる。
【0034】
(伝送制御部6)
伝送制御部6は、いわゆる映像エンコーダにより構成された制御装置である。伝送制御部6は、送受信回路を有するマイクロコンピュータ等により構成される。伝送制御部6は、ローカル通信線11に接続される。伝送制御部6は、電力監視制御装置2の内部、または電力監視制御装置2が設置された配電室等に配置される。
【0035】
伝送制御部6は、記憶部4に記憶された、対象エリアの電力系統における開閉器、遮断器等の受配電設備、電力系統の電圧、電流等の状態を示す系統情報に基づく電力系統の映像情報D1をインターネット等により構成された通信回線9用の信号に符号化し、通信中継部3を介し通信回線9に送信する。
【0036】
(表示部7)
表示部7は、複数の液晶パネルにより構成された表示装置である。表示部7は、16枚の表示器701〜716により構成される。表示部7は、復号化部5に接続される。表示部7は、配電室等に配置された復号化部5の近傍に設置される。
【0037】
表示部7は、復号化部5により復号化された、対象エリアの電力系統における開閉器、遮断器等の受配電設備、電力系統の電圧、電流等の状態を示す系統情報に基づく電力系統の映像情報D1を表示する。
【0038】
(入力部8)
入力部8は、キーボードやマウス等の操作部とCRT等の表示部が組み合わされた入力装置である。入力部8は、ローカル通信線11に接続される。入力部8は、配電室等に設置された表示部7の近傍に配置される。入力部8は、作業者により操作され、各種コマンドが入力される。
【0039】
(ローカル通信線11)
ローカル通信線11は、専用通信線または社内イントラネットのような特定エリアに設けられた通信線である。ローカル通信線11により、通信中継部3、記憶部4、復号化部5、伝送制御部6、入力部8間相互でデータの送受信が行われる。
【0040】
[電力監視制御装置2m固有の構成]
電力監視制御装置2mの構成を
図3に示す。電力監視制御装置2mは、伝送制御部6に固有の構成を有する。電力監視制御装置2mの伝送制御部6mは、送受信部61、受信部62、記憶部63、制御部64を有する。
【0041】
前述のとおり伝送制御部6mは、送受信回路を有するマイクロコンピュータ等により構成される。伝送制御部6mの送受信部61、受信部62、記憶部63、制御部64は、マイクロコンピュータを構成する各部により実現される。
【0042】
(送受信部61)
送受信部61は、伝送制御部6mを構成するマイクロコンピュータの通信ポート等により構成される。送受信部61は、ローカル通信線11mに接続される。送受信部61は、ローカル通信線11mを介し通信中継部3mとの間で、データの送受信を行う。送受信部61のデータの送受信動作は、制御部64により制御される。
【0043】
送受信部61は、ローカル通信線11mを介し通信中継部3mから送信された以下の信号を受信する。
トラフィック監視情報T1
【0044】
トラフィック監視情報T1は、以下の情報を含む。
受信トラフィックT11
送信トラフィックT12
受信トラフィックの使用率T13
送信トラフィックの使用率T14
送受信トラフィックの合計使用率T15
エラーレートT16
廃棄レートT17
【0045】
また、送受信部61は、通信回線9、通信中継部3m、ローカル通信線11mを介し電力監視制御装置2aから送信された以下の信号を受信する。
リクエストエリアコマンドC1
解像度指定コマンドC2
【0046】
リクエストエリアコマンドC1とは、圧縮映像情報D2の送信をリクエストする、対象となる電力監視制御装置2a、2b、2cを区別するコマンドである。解像度指定コマンドC2とは、圧縮映像情報D2の解像度を指定するコマンドである。
【0047】
送受信部61は、ローカル通信線11m、通信中継部3m、通信回線9を介し電力監視制御装置2aに以下の信号を送信する。
圧縮映像情報D2
(電力監視制御装置2aの圧縮映像情報D2a)
(電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2b)
(電力監視制御装置2cの圧縮映像情報D2c)
【0048】
(受信部62)
受信部62は、伝送制御部6mを構成するマイクロコンピュータの通信ポート等により構成される。受信部62は、ローカル通信線11mに接続される。受信部62は、ローカル通信線11mを介し記憶部4mからデータを受信し、制御部64に出力する。受信部62のデータの受信動作は、制御部64により制御される。
【0049】
受信部62は、ローカル通信線11mを介し記憶部4mから以下の信号を受信する。
映像情報D1
(電力監視制御装置2aの電力系統の映像情報D1a)
(電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1b)
(電力監視制御装置2cの電力系統の映像情報D1c)
【0050】
(記憶部63)
記憶部63は、伝送制御部6mを構成するマイクロコンピュータのハードディスクメモリまたは半導体メモリ等により構成される。記憶部63の記憶動作は、制御部64により制御される。記憶部63は、受信部62により記憶部4mから受信したデータを一時保存する。
【0051】
記憶部63は、受信部62により記憶部4mから受信した以下のデータを一時保存する。
映像情報D1
(電力監視制御装置2aの電力系統の映像情報D1a)
(電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1b)
(電力監視制御装置2cの電力系統の映像情報D1c)
【0052】
また、記憶部63は、制御部64により演算生成された以下のデータを一時保存する。
圧縮映像情報D2
(電力監視制御装置2aの圧縮映像情報D2a)
(電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2b)
(電力監視制御装置2cの圧縮映像情報D2c)
【0053】
(制御部64)
制御部64は、伝送制御部6mを構成するマイクロコンピュータのCPUにより構成される。制御部64は、後述するコンピュータプログラムを内蔵する。制御部64は、送受信部61、受信部62、記憶部63に接続される。制御部64は、送受信部61、受信部62、記憶部63に対し、以下の演算および制御を行う。
【0054】
(A1)送受信部61に対する制御
制御部64は、ローカル通信線11mを介し通信中継部3mから送信された以下の信号を受信するように送受信部61を制御する。
トラフィック監視情報T1
【0055】
前述のとおりトラフィック監視情報T1は、以下の情報を含む。
受信トラフィックT11
送信トラフィックT12
受信トラフィックの使用率T13
送信トラフィックの使用率T14
送受信トラフィックの合計使用率T15
エラーレートT16
廃棄レートT17
【0056】
また、制御部64は、通信回線9、通信中継部3m、ローカル通信線11mを介し電力監視制御装置2aから送信された以下の信号を受信するように送受信部61を制御する。
リクエストエリアコマンドC1
解像度指定コマンドC2
【0057】
また、制御部64は、ローカル通信線11m、通信中継部3m、通信回線9を介し電力監視制御装置2aに以下の信号を送信するように送受信部61を制御する。
圧縮映像情報D2
(電力監視制御装置2aの圧縮映像情報D2a)
(電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2b)
(電力監視制御装置2cの圧縮映像情報D2c)
【0058】
(A2)受信部62に対する制御
制御部64は、ローカル通信線11mを介し記憶部4mから以下の信号を受信するように受信部62を制御する。
映像情報D1
(電力監視制御装置2aの電力系統の映像情報D1a)
(電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1b)
(電力監視制御装置2cの電力系統の映像情報D1c)
【0059】
(A3)記憶部63に対する制御
制御部64は、受信部62により記憶部4mから受信した以下のデータを一時保存するように記憶部63を制御する。
映像情報D1
(電力監視制御装置2aの電力系統の映像情報D1a)
(電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1b)
(電力監視制御装置2cの電力系統の映像情報D1c)
【0060】
また、制御部64は、演算生成した以下のデータを一時保存するように記憶部63を制御する。
圧縮映像情報D2
(電力監視制御装置2aの圧縮映像情報D2a)
(電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2b)
(電力監視制御装置2cの圧縮映像情報D2c)
【0061】
(制御部64による演算生成)
制御部64は、以下のデータの演算およびデータ生成を行う。
(a)トラフィック余裕度L1の算出
トラフィック監視情報T1に基づきトラフィック余裕度L1を算出する。
トラフィック余裕度L1(%)=
100(%)−送受信トラフィックの合計使用率T15(%) ・・・(式1)
【0062】
(b)圧縮映像情報D2の生成
(b1)リクエストエリアコマンドC1が電力監視制御装置2aの圧縮映像情報D2aをリクエストする場合:
トラフィック余裕度L1、解像度指定コマンドC2に基づき電力監視制御装置2aの電力系統の映像情報D1aを変換し、圧縮映像情報D2aを生成する。
【0063】
(b2)リクエストエリアコマンドC1が電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2bをリクエストする場合:
トラフィック余裕度L1、解像度指定コマンドC2に基づき電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1bを変換し、圧縮映像情報D2bを生成する。
【0064】
(c)リクエストエリアコマンドC1が電力監視制御装置2cの圧縮映像情報D2cをリクエストする場合:
トラフィック余裕度L1、解像度指定コマンドC2に基づき電力監視制御装置2cの電力系統の映像情報D1cを変換し、圧縮映像情報D2cを生成する。
【0065】
(その他の部分)
電力監視制御装置2mの通信中継部3m、記憶部4m、復号化部5m、表示部7m、入力部8m、ローカル通信線11mは、電力監視制御装置2と共通の構成であり、通信中継部3、記憶部4、復号化部5、表示部7、入力部8、ローカル通信線11と同じである。
【0066】
[電力監視制御装置2a固有の構成]
電力監視制御装置2aは、対象エリアaに設置された受配電設備(図中不示)からローカル通信線11aを介し、受配電設備および電力系統の状態を受信し、対象エリアaの電力系統の映像情報D1aを逐次記憶部4a記憶するとともに表示部7aに表示する。
【0067】
また、電力監視制御装置2aは、他の対象エリアbの電力系統の映像情報D1bにかかる圧縮映像情報D2bを電力監視制御装置2mから受信し、表示部7aに表示する。表示部7aには、対象エリアaの電力系統の映像情報D1aと、対象エリアbの圧縮映像情報D2bが併せて表示される。表示部7aに表示される映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置は、復号化部5aにより調整される。
【0068】
電力監視制御装置2aの構成を
図4に示す。電力監視制御装置2aは、復号化部5a、入力部8aに固有の構成を有する。電力監視制御装置2aの復号化部5aは、記憶部51を有する。電力監視制御装置2aの入力部8aは、操作部81、送受信部82、制御部83を有する。
【0069】
(記憶部51)
記憶部51は、復号化部5aに設けられたハードディスクメモリまたは半導体メモリ等の記憶装置により構成される。記憶部51は、復号化部5a内に設けられる。記憶部51は、
図5に示す解像度パターンテーブルを記憶する。記憶部51に記憶された解像度パターンテーブルは、入出力部8aにより読み出される。
【0070】
解像度パターンテーブルは記憶部51に予め設定される。解像度パターンテーブルは、
図5に示すように以下の情報がパターン化されたものである。
圧縮映像情報D2bの解像度
映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置
【0071】
(入力部8a)
入力部8aは、パーソナルコンピュータ等により構成される。入力部8aは、操作部81、送受信部82、制御部83を有する。操作部81、送受信部82、制御部83は、パーソナルコンピュータを構成する各部により実現される。
【0072】
(操作部81)
操作部81は、
図6に示すようにキーボードやマウス等の入力装置811にCRT等の表示装置812が組み合わされた装置により構成される。操作部81は、作業者により操作され、解像度パターンテーブルに示された解像度パターンの選択に使用される。表示装置812に表示された解像度パターンテーブルのうち所望の解像度パターンが、入力装置811を用い作業者により選択される。
【0073】
(送受信部82)
送受信部82は、入力部8aを構成するパーソナルコンピュータの通信ポート等により構成される。送受信部82は、ローカル通信線11aに接続される。送受信部82は、ローカル通信線11aを介し、データの送受信を行う。送受信部82のデータの送受信動作は、制御部83により制御される。
【0074】
送受信部82は、ローカル通信線11aを介し復号化部5aの記憶部51から以下のデータを受信する。
解像度パターンテーブル
【0075】
また、送受信部82は、ローカル通信線11a、通信中継部3a、通信回線9を介し電力監視制御装置2mに以下の信号を送信する。
リクエストエリアコマンドC1
解像度指定コマンドC2
【0076】
(制御部83)
制御部83は、入力部8aを構成するパーソナルコンピュータのCPUにより構成される。制御部83は、後述するコンピュータプログラムを内蔵する。制御部83は、操作部81、送受信部82に接続される。制御部83は、操作部81、送受信部82に対し、以下の演算および制御を行う。
【0077】
(B1)操作部81に対する制御
制御部83は、復号化部5aの記憶部51から受信した解像度パターンテーブルを表示装置812に表示させるように操作部81を制御する。
【0078】
また、制御部83は、作業者により入力装置811から入力された解像度パターン、リクエストエリアを操作部81から受信する。解像度パターンは、表示装置812に表示された解像度パターンテーブルのうち所望のパターンが、作業者により入力装置811を用い、選択される。
【0079】
(B2)送受信部82に対する制御
制御部83は、ローカル通信線11aを介し復号化部5aの記憶部51から解像度パターンテーブルを受信するように送受信部82を制御する。
【0080】
また、制御部83は、ローカル通信線11a、通信中継部3a、通信回線9を介し電力監視制御装置2mに以下の信号を送信するように送受信部82を制御する。
リクエストエリアコマンドC1
解像度指定コマンドC2
【0081】
(その他の部分)
電力監視制御装置2aの通信中継部3a、記憶部4a、伝送制御部6a、表示部7a、ローカル通信線11a、記憶部51を除く復号化部5aは、電力監視制御装置2共通の構成であり、通信中継部3、記憶部4、伝送制御部6、表示部7、ローカル通信線11、復号化部5と同じである。
【0082】
[1−2.作用]
次に、本実施形態の電力監視制御システム1の作用を、
図1〜
図9に基づき説明する。
【0083】
[O.初期状態]
電力監視制御装置2aは、対象エリアaに設置された受配電設備(図中不示)から受配電設備および電力系統の状態を受信し、対象エリアaの電力系統の映像情報D1aを、逐次記憶部4aに記憶するとともに表示部7aに表示している。同様に電力監視制御装置2bは、対象エリアbの電力系統の映像情報D1bを、逐次記憶部4bに記憶するとともに表示部7bに表示している。さらに電力監視制御装置2cは、対象エリアcの電力系統の映像情報D1cを、逐次記憶部4cに記憶するとともに表示部7cに表示している。
【0084】
電力監視制御装置2mは、バックアップ用の装置として使用されている。電力監視制御装置2mは、通信回線9を介し、電力監視制御装置2aの記憶部4aに記憶された映像情報D1a、電力監視制御装置2bの記憶部4bに記憶された映像情報D1b、電力監視制御装置2cの記憶部4cに記憶された映像情報D1cを逐次受信し、記憶部4mに記憶している。
【0085】
電力監視制御装置2aの復号化部5aの記憶部51には、
図5に示す解像度パターンテーブルが予め設定され記憶されている。前述のとおり
図5に示す解像度パターンテーブルは、以下の情報がパターン化されたものである。
圧縮映像情報D2bの解像度
映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置
圧縮映像情報D2bの解像度とは、圧縮映像情報D2bの画像データの分解能が数値にて表記されたものである。映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置とは、表示部7aを構成する表示器701a〜716aにおける、映像情報D1aおよび圧縮映像情報D2bの表示位置が図示されたものである。
【0086】
[A.電力監視制御システム1の動作]
一例として電力監視制御装置2mは、バックアップ用の装置として使用され、電力監視制御装置2aが電力監視制御装置2mに記憶された映像情報D1bにかかる圧縮映像情報D2bを表示する場合について説明する。電力監視制御システム1において、電力監視制御装置2aからの指示を受け、電力監視制御装置2mは、記憶部4mに記憶されている映像情報D1bを圧縮し、圧縮映像情報D2bとして電力監視制御装置2aに送信する。送信された圧縮映像情報D2bは、電力監視制御装置2aの表示部7aに表示される。
【0087】
上記のように、電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報である圧縮映像情報D2bが電力監視制御装置2aの表示部7aに表示されることは、例えば、作業者が電力監視制御装置2b近傍には不在であり、電力監視制御装置2aの近傍にいる作業者により電力監視制御装置2bの電力系統の確認が行われる場合や、故障のため電力監視制御装置2bの表示部7bが表示不能となった場合等に必要とされる。以下に電力監視制御システム1各部の動作の詳細について説明する。
【0088】
[B.電力監視制御装置2aの入力部8aの動作]
最初に、電力監視制御装置2aにおいて入力部8aが以下の動作を行う。電力監視制御装置2aの入力部8aは、
図7に示すプログラムに従って動作を行う。以下に電力監視制御装置2aの動作を
図7に示すプログラムに沿って説明する。
図7に示すプログラムは、入力部8aの制御部83に内蔵される。
図7に示すプログラムは、制御部83により、繰り返し実行される。
【0089】
(ステップR01:解像度パターンテーブルを受信する)
制御部83は、送受信部82により、ローカル通信線11aを介し復号化部5aの記憶部51から解像度パターンテーブルを受信する。解像度パターンテーブルは記憶部51に予め設定記憶されている。前述のとおり解像度パターンテーブルは、以下の情報がパターン化されたものである。
圧縮映像情報D2bの解像度
映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置
【0090】
(ステップR02:解像度パターンテーブルを表示する)
次に制御部83は、ステップR01にて受信した解像度パターンテーブルを操作部81の表示装置812に表示させる。
【0091】
(ステップR03:解像度パターン、リクエストエリアが入力されたか判断する)
次に制御部83は、操作部81の入力装置811から解像度パターン、リクエストエリアが入力されたかの判断を行う。解像度パターンは、表示装置812に表示された解像度パターンテーブルに基づき、入力装置811を用いて作業者により選択され入力される。リクエストエリアとは、圧縮映像情報D2の送信をリクエストする対象となる電力監視制御装置2a、2b、2cを区別するコードであり、入力装置811を用いて作業者により入力される。
【0092】
解像度パターン、リクエストエリアが入力されたと判断した場合(ステップR03のYES)、制御部83は、入力された解像度パターン、リクエストエリアを操作部81から受信し、ステップR04に移行する。解像度パターン、リクエストエリアが入力されたと判断しない場合(ステップR03のNO)、ステップR01に移行し、解像度パターン、リクエストエリアの入力待ち状態となる。
【0093】
(ステップR04:リクエストエリアコマンドC1、解像度指定コマンドC2の送信を行う)
ステップR03にて解像度パターン、リクエストエリアが入力されたと判断した場合、制御部83は、入力された解像度パターンに基づき解像度指定コマンドC2を作成する。また、制御部83は、入力されたリクエストエリアに基づきリクエストエリアコマンドC1を作成する。制御部83は、送受信部82により、ローカル通信線11a、通信中継部3a、通信回線9を介し電力監視制御装置2mにリクエストエリアコマンドC1および解像度指定コマンドC2を送信する。
【0094】
例えば、作業者により電力監視制御装置2bにかかる電力系統のエリアbがリクエストエリアとして入力される。これにより、リクエストエリアコマンドC1は、電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2bをリクエストする。また、例えば、作業者により
図5に示す解像度パターンテーブルに基づき、解像度として「圧縮映像情報D2bの解像度:5760×2160、映像情報D1aの解像度9600×2160」、表示の配置として「圧縮映像情報D2bの表示位置:表示器701a〜706aの6面、映像情報D1aの表示位置:707a〜716aの10面」を示すパターン3が入力される。これにより、解像度指定コマンドC2は、パターン3を指定する。
【0095】
[C.電力監視制御装置2mの伝送制御部6mの動作]
電力監視制御装置2mは、通信中継部3mにより観測されたトラフィックに基づき、記憶部4mに記憶された電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1bを圧縮して圧縮映像情報D2bを作成し、圧縮映像情報D2bを符号化して通信中継部3m、通信回線9を介し電力監視制御装置2aに送信する。
【0096】
電力監視制御装置2aから送信された解像度指定コマンドC2に基づき圧縮されたデータ量が、通信中継部3mにより観測されたトラフィックに基づき算出されたトラフィック余裕度L1以内のデータ量である場合は、圧縮映像情報D2bは、解像度指定コマンドC2に基づき、映像情報D1bが圧縮され作成される。
【0097】
一方、電力監視制御装置2aから送信された解像度指定コマンドC2に基づき圧縮されたデータ量が、通信中継部3mにより観測されたトラフィックに基づき算出されたトラフィック余裕度L1を超えるデータ量である場合は、圧縮映像情報D2bは、トラフィック余裕度L1以内のデータ量となるように、映像情報D1bが圧縮され作成される。
【0098】
以下に、電力監視制御装置2mの動作の詳細について説明する。電力監視制御装置2mにおいて伝送制御部6mが以下の動作を行う。電力監視制御装置2mの伝送制御部6mは、
図8に示すプログラムに従って動作を行う。
図8に示すプログラムは、伝送制御部6mの制御部64に内蔵される。
図8に示すプログラムは、制御部64により、繰り返し実行される。
【0099】
(ステップS01:リクエストエリアコマンドC1、解像度指定コマンドC2を受信したか判断する)
制御部64は、通信回線9、通信中継部3m、ローカル通信線11mを介し送受信部61が電力監視制御装置2aからリクエストエリアコマンドC1、解像度指定コマンドC2を受信したかの判断を行う。
【0100】
リクエストエリアコマンドC1、解像度指定コマンドC2を受信したと判断した場合(ステップS01のYES)、ステップS02に移行する。リクエストエリアコマンドC1、解像度指定コマンドC2を受信したと判断しない場合(ステップS01のNO)、再びステップS01に移行し、リクエストエリアコマンドC1、解像度指定コマンドC2の受信待ち状態となる。
【0101】
(ステップS02:リクエストエリアコマンドC1指定の映像情報D1bを受信する)
ステップS01にてリクエストエリアコマンドC1、解像度指定コマンドC2を受信したと判断された場合、制御部64は、受信部62によりローカル通信線11を介し記憶部4mから、リクエストエリアコマンドC1により指定された電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1bを受信する。
【0102】
(ステップS03:映像情報D1bを記憶する)
次に、制御部64は、ステップS02にて受信した電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1bを、記憶部63に一時保存する。
【0103】
(ステップS04:通信中継部3mからトラフィック監視情報T1を受信する)
次に、制御部64は、送受信部61によりローカル通信線11を介し通信中継部3mからトラフィック監視情報T1を受信する。トラフィック監視情報T1は、通信回線9の通信信号の混雑状況を示す信号である。前述のとおりトラフィック監視情報T1は、以下の情報を含む。
受信トラフィックT11
送信トラフィックT12
受信トラフィックの使用率T13
送信トラフィックの使用率T14
送受信トラフィックの合計使用率T15
エラーレートT16
廃棄レートT17
【0104】
(ステップS05:トラフィック余裕度L1を算出する)
次に、制御部64は、ステップS04にて受信したトラフィック監視情報T1に基づきトラフィック余裕度L1を算出する。トラフィック余裕度L1は、下記に再掲する(式1)により算出される。
トラフィック余裕度L1(%)=
100(%)−送受信トラフィックの合計使用率T15(%) ・・・(式1)
【0105】
(ステップS06:解像度指定コマンドC2に基づき圧縮したデータ量は、トラフィック余裕度L1以内のデータ量となるか判断する)
次に、制御部64は、ステップS02にて受信した解像度指定コマンドC2に基づき電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1bを圧縮した場合、圧縮後のデータ量である圧縮映像情報D2bのデータ量が、ステップS05にて算出されたトラフィック余裕度L1以内のデータ量となるかの判断を行う。
【0106】
圧縮後のデータ量が、トラフィック余裕度L1以内のデータ量となると判断した場合(ステップS06のYES)、ステップS07に移行する。圧縮後のデータ量が、トラフィック余裕度L1以内のデータ量となると判断しない場合(ステップS06のNO)、ステップS08に移行する。
【0107】
(ステップS07:解像度指定コマンドC2に基づき映像情報D1bを圧縮する)
ステップS06にて、圧縮後のデータ量がトラフィック余裕度L1以内のデータ量となると判断された場合、解像度指定コマンドC2に基づき電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1bを圧縮し、電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2bを生成する。
【0108】
(ステップS08:トラフィック余裕度L1に基づき映像情報D1bを圧縮する)
ステップS06にて、圧縮後のデータ量がトラフィック余裕度L1以内のデータ量となると判断されない場合、圧縮後のデータ量が、ステップS05にて算出されたトラフィック余裕度L1以内のデータ量となるように電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1bを圧縮し、電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2bを生成する。
【0109】
(ステップS09:圧縮映像情報D2bを符号化し、記憶部63に一時保存する)
次に、制御部64は、ステップS07またはステップS08にて生成された圧縮映像情報D2bを、通信回線9に対応したデータ形式に符号化する。符号化された圧縮映像情報D2bは記憶部63に一時保存される。
【0110】
(ステップS10:圧縮映像情報D2bを送信する)
次に、制御部64は、ステップS09にて符号化され、記憶部63に一時保存された圧縮映像情報D2bを、送受信部61からローカル通信線11m、通信中継部3m、通信回線9を介し電力監視制御装置2aに送信する。
【0111】
[D.電力監視制御装置2aの復号化部5aの動作]
次に、電力監視制御装置2aにおいて復号化部5aが以下の動作を行う。電力監視制御装置2aの復号化部5aは、
図9に示すプログラムに従って動作を行う。
図9に示すプログラムは、復号化部5aに内蔵される。
図9に示すプログラムは、復号化部5aにより、繰り返し実行される。
【0112】
(ステップR11:電力監視制御装置2mから圧縮映像情報D2bを受信したか判断する)
電力監視制御装置2aの復号化部5aは、電力監視制御装置2mから圧縮映像情報D2bを受信したかの判断を行う。電力監視制御装置2bの電力系統の映像情報D1bが圧縮されたデータである圧縮映像情報D2bは、電力監視制御装置2mから通信回線9、電力監視制御装置2aの通信中継部3a、ローカル通信線11aを介し、復号化部5aに送信される。
【0113】
圧縮映像情報D2bを受信したと判断した場合(ステップR11のYES)、ステップR12に移行する。圧縮映像情報D2bを受信したと判断しない場合(ステップR11のNO)、再びステップR11に移行し、圧縮映像情報D2bの受信待ち状態となる。
【0114】
(ステップR12:圧縮映像情報D2bは、解像度指定コマンドC2に基づき圧縮されているか判断する)
ステップR11にて、圧縮映像情報D2bを受信したと判断された場合、復号化部5aは、ステップR11にて受信した圧縮映像情報D2bが解像度指定コマンドC2に基づき圧縮されているかの判断を行う。
【0115】
圧縮映像情報D2bが解像度指定コマンドC2に基づき圧縮されていると判断した場合(ステップR12のYES)、ステップR13に移行する。圧縮映像情報D2bが解像度指定コマンドC2に基づき圧縮されていると判断しない場合(ステップR12のNO)、ステップR14に移行する。
【0116】
(ステップR13:解像度指定コマンドC2に基づき圧縮映像情報D2bを復号化する)
ステップS12にて、圧縮映像情報D2bが解像度指定コマンドC2に基づき圧縮されていると判断された場合、復号化部5aは、解像度指定コマンドC2に基づき圧縮映像情報D2bを復号化する。
【0117】
(ステップR14:圧縮された圧縮比に基づき圧縮映像情報D2bを復号化する)
ステップS12にて、圧縮映像情報D2bが解像度指定コマンドC2に基づき圧縮されていないと判断された場合、復号化部5aは、圧縮された圧縮比に基づき圧縮映像情報D2bを復号化する。ステップS12にて、圧縮映像情報D2bが解像度指定コマンドC2に基づき圧縮されていないと判断された場合、圧縮映像情報D2bは、電力監視制御装置2mの伝送制御部6mのステップS08にて、トラフィック余裕度L1に基づき圧縮されている。復号化部5aは、圧縮された圧縮比に基づき圧縮映像情報D2bを復号化する。
【0118】
(ステップR15:記憶部4aから映像情報D1aを受信する)
次に、復号化部5aは、記憶部4aから電力監視制御装置2aの電力系統の映像情報D1aを受信する。映像情報D1aは、自所である電力監視制御装置2aの電力系統の映像情報であり、圧縮されていない。
【0119】
(ステップR16:圧縮映像情報D2bおよび映像情報D1aを表示部7aに表示する)
次に、復号化部5aは、ステップR13またはステップR14にて復号化された圧縮映像情報D2bにかかる映像、およびステップR15にて記憶部4aから受信した映像情報D1aにかかる映像を表示部7aに表示させる。圧縮映像情報D2bにかかる映像、および映像情報D1aにかかる映像は、表示部7aに併せて表示される。
【0120】
圧縮映像情報D2bにかかる映像、および映像情報D1aにかかる映像は、選択された解像度パターンテーブルの映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置に従って表示される。
【0121】
その後、電力監視制御装置2mおよび電力監視制御装置2aは、一連のプログラムを終了する。
【0122】
以上が、電力監視制御システム1の動作である。上記のように電力監視制御装置2aの表示部7aに、電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2bにかかる映像、および電力監視制御装置2aの電力系統の映像情報D1aにかかる映像の方法が、併せて表示される。
【0123】
[1−3.効果]
(1)本実施形態によれば、電力監視制御装置2mは、通信中継部3mにより観測されたトラフィックに基づき、記憶部4mに記憶された対象エリアの電力系統の映像情報D1をデータ圧縮して圧縮映像情報D2を作成し、圧縮映像情報D2を符号化して通信中継部3mを介して通信回線9に送信する伝送制御部6mと、を有し、電力監視制御装置2aは、電力監視制御装置2mの伝送制御部6mから送信された、符号化された圧縮映像情報D2を復号化する復号化部5aと、復号化部5aにより復号化された、圧縮映像情報D2を表示する表示部7aと、を有するので電力系統の映像情報の送信時間の遅延を軽減することができる電力監視制御システム1、電力監視制御装置2、電力監視制御装置用プログラムおよび電力監視制御方法を提供することができる。
【0124】
圧縮映像情報D2は、通信中継部3mにより観測されたトラフィックに基づき算出されたトラフィック余裕度L1以内のデータ量となるように、映像情報D1が圧縮され作成される。このため、通信回線9を占有している通信量が過大となることを軽減することができ、電力系統の映像情報D1の送信時間の遅延を軽減することができる。
【0125】
(2)電力監視制御装置2aは、圧縮映像情報D2の解像度が入力される入力部8aと、入力された解像度を、通信中継部3aを介し通信回線9に送信し、電力監視制御装置2mの、通信中継部3mは、通信回線9に送信された解像度を受信し、この解像度に基づき映像情報D1を圧縮したデータが、トラフィックの余裕度L1以内である場合、伝送制御部6mは、解像度に基づき、対象エリアの電力系統の映像情報D1をデータ圧縮して圧縮映像情報D2を作成し、圧縮映像情報D2を符号化して通信回線9を介し電力監視制御装置2aに送信する。
【0126】
このため、送信される圧縮映像情報D2は、トラフィック余裕度L1以内のデータ量であり、かつ作業者所望の解像度を有する。その結果、通信回線9を占有している通信量が過大となることを軽減することができ、電力系統の映像情報D1の送信時間の遅延を軽減することができる。
【0127】
(3)電力監視制御装置2aの、入力部8aには、複数のエリアの電力系統のうち対象となるエリアを指定するコマンドが入力され、電力監視制御装置2mに送信され、電力監視制御装置2mの記憶部4mは複数のエリアの電力系統の映像情報D1を記憶し、伝送制御部6mは、複数のエリアの電力系統のうち対象となるエリアの電力系統の映像情報D1をデータ圧縮して圧縮映像情報D2を作成し、符号化して通信回線9を介し電力監視制御装置2aに送信するので、作業者は移動することなく一つの電力監視制御装置2aの表示部7aにより、複数個所の電力系統を圧縮映像情報D2にて確認することができる。これにより電力系統点検時等の作業者の移動時間を削減することができる。
【0128】
[2.他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0129】
(1)上記実施形態では、圧縮映像情報D2bの解像度、映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置がパターン化された解像度パターンテーブルが、電力監視制御装置2aの復号化部5aの記憶部51に予め設定されており、作業者による解像度の入力部8aへの入力は、表示装置812に表示された解像度パターンテーブルのうち所望の解像度パターンが、入力装置811を用い作業者により選択されるものであった。
【0130】
しかしながら、解像度の入力部8aへの入力方法は、これに限られない。解像度パターンの入力部8aへの入力方法は、以下のようなものであってもよい。例えば、映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの解像度、または、映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置が、作業者により、
図10(a)に示すように数値にて直接、または
図10(b)に示すように表示装置812に表示された表示器701a〜716aの画像の任意の箇所をマウス等の入力装置811にてポイントアウトすることにより、入力部8aの操作部81に入力されるようにしてもよい。
【0131】
前記のステップR04において、電力監視制御装置2aの入力部8aの制御部83により、入力された映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの解像度、または、映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置にかかる情報に基づき解像度指定コマンドC2が作成され、電力監視制御装置2mにリクエストエリアコマンドC1および解像度指定コマンドC2が送信される。
【0132】
このように構成することにより、予め設定された、解像度パターンテーブルにかかる圧縮映像情報D2bの解像度、映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置のパターンにかかわらず、作業者により任意の映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの解像度、または、映像情報D1aと圧縮映像情報D2bの表示の配置を設定することが可能となる。
【0133】
(2)上記実施形態では、電力監視制御システム1は、4つの電力監視制御装置2(2m、2a、2b、2c)を有するものとしたが、電力監視制御装置2の数量は、これに限られない。また、電力監視制御装置2mは、バックアップ用に使用されるものとしたが、電力監視制御装置2mにより常時対象エリアの電力監視制御が行われるものであってもよい。
【0134】
(3)上記実施形態では、電力監視制御装置2を構成する各部は、電力監視制御装置2の内部に構成された部分として定義したが、各部の構成は、これに限られない。電力監視制御装置2を構成する各部は、それぞれ単体の装置により構成されるものであってもよい。
【0135】
(4)上記実施形態において、通信中継部3は、インターネットに対応したル−ターにより構成されるものとしたが、通信中継部3は、これに限られない。通信中継部3は、例えば無線電波や光通信に対応したものであってもよい。
【0136】
(5)上記実施形態では、表示部7は、16枚の表示器701〜716により構成されるものとしたが、表示器の種類、枚数はこれに限られない。例えば、表示部7は、プラズマディスプレイにより構成されてもよい。また、表示部7は、16枚より多い数または少ない数の表示器により構成されてもよい。
【0137】
(6)上記実施形態では、伝送制御部6mの送受信部61、受信部62、記憶部63、制御部64は、電力監視制御装置2mが固有に有するものであるものとしたが、電力監視制御装置2a、2b、2cがこれらの構成を有するものであってもよい。
【0138】
(7)上記実施形態における、伝送制御部6mの送受信部61、受信部62、記憶部63、制御部64は、マイクロコンピュータのハードウェアにて実現されるものであってもよいしソフトウェアにより実現されるものであってもよい。例えば、伝送制御部6はカードスロットにより機能拡張されたマイクロコンピュータであってもよい。
【0139】
(8)上記実施形態では、復号化部5aの記憶部51、入力部8aの操作部81、送受信部82、制御部83は、電力監視制御装置2aが固有に有するものであるものとしたが、電力監視制御装置2m、2b、2cがこれらの構成を有するものであってもよい。
【0140】
(9)上記実施形態では、電力監視制御装置2aの表示部7aに電力監視制御装置2bの圧縮映像情報D2bが表示される場合について説明したが、これに代替し、電力監視制御装置2aの表示部7aに電力監視制御装置2cの圧縮映像情報D2cが表示されてもよい。また、電力監視制御装置2aの表示部7aに複数の圧縮映像情報D2b、D2cが表示されるようにしてもよい。
【0141】
(10)上記実施形態では、トラフィック余裕度L1は、送受信トラフィックの合計使用率T15に基づき算出されるものとしたが、トラフィック余裕度L1の算出方法は、これに限られない。トラフィック余裕度L1は、例えば下記の(式2)により算出されるものであってもよい。
トラフィック余裕度L1(%)=
100(%)−送受信トラフィックの合計使用率T15(%)
−エラーレートT16(%)−廃棄レートT17(%) ・・・(式2)