(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属層と前記金属層の内面に設けられた樹脂接着層とをそれぞれ含む第1基材および第2基材と、前記第1基材の前記樹脂接着層と前記第2基材の前記樹脂接着層とが溶着して、前記第1基材と前記第2基材との間に封止空間を形成するシール部と、を有する外装体と、
前記封止空間に設けられた膜電極接合体であって、積層方向に交互に積層された複数の第1電極板および複数の第2電極板を有する膜電極接合体と、
第1方向において前記膜電極接合体の両端部に設けられた一対のタブと、
前記第1方向で見たときの前記膜電極接合体の周囲に巻き付けられた絶縁シートと、を備え、
前記絶縁シートは、前記膜電極接合体に溶着されている、
積層型電池。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、積層型電池は、使用時に外部から振動や衝撃等による力を受ける場合がある。ラミネートフィルム型外装体の厚さは薄いため、外部からの力が外装体の内部に伝達されやすく、そのような力により第1電極板および第2電極板が互いに対して位置ずれを起こすおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、外部からの力を受けた場合であっても、電極板が位置ずれすることを防止することができる積層型電池および当該積層型電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による積層型電池は、
金属層と前記金属層の内面に設けられた樹脂接着層とをそれぞれ含む第1基材および第2基材と、前記第1基材の前記樹脂接着層と前記第2基材の前記樹脂接着層とが溶着して、前記第1基材と前記第2基材との間に封止空間を形成するシール部と、を有する外装体と、
前記封止空間に設けられた膜電極接合体であって、積層方向に交互に積層された複数の第1電極板および複数の第2電極板を有する膜電極接合体と、
第1方向において前記膜電極接合体の両端部に設けられた一対のタブと、
前記第1方向で見たときの前記膜電極接合体の周囲に巻き付けられた絶縁シートと、を備える。
【0008】
本発明による積層型電池において、
前記絶縁シートは、前記第1方向で見たときの前記膜電極接合体の周方向において一端側に設けられた第1端部と、他端側に設けられた第2端部と、を有し、
前記絶縁シートは、前記第1端部から前記膜電極接合体の周囲に巻き付けられて前記第1端部を越えて延びて、前記絶縁シート同士が互いに重なった重なり部を形成し、
前記重なり部で前記絶縁シート同士が互いに接合されている、
ようにしてもよい。
【0009】
本発明による積層型電池において、
前記第1端部および前記第2端部は、前記第1方向で見たときに前記積層方向と直交する第2方向において前記膜電極接合体の一側に配置されている、
ようにしてもよい。
【0010】
本発明による積層型電池において、
前記絶縁シートは、前記膜電極接合体の側に設けられた粘着層を有する、
ようにしてもよい。
【0011】
本発明による積層型電池において、
前記絶縁シートは、前記膜電極接合体に溶着されている、
ようにしてもよい。
【0012】
本発明による積層型電池において、
前記膜電極接合体の前記積層方向における最外面は、結着剤を含む被接合層によって構成され、
前記絶縁シートは、前記膜電極接合体の側に設けられた接合層を有し、
前記接合層と前記被接合層とが互いに接合されている、
ようにしてもよい。
【0013】
本発明による積層型電池において、
前記接合層は、接合材料で形成され、
前記接合材料は、前記結着剤を構成する材料と同一の材料を含む、
ようにしてもよい。
【0014】
本発明による積層型電池において、
前記第2電極板は、電極集電体と、前記電極集電体に設けられた電極活物質層と、を含み、
前記被接合層は、前記電極活物質層によって構成されている、
ようにしてもよい。
【0015】
本発明による積層型電池において、
前記第2電極板は、電極集電体と、前記電極集電体に設けられた電極活物質層と、を含み、
前記被接合層は、前記電極活物質層によって構成され、
前記接合層は、接合材料で形成され、
前記接合材料は、極性基を有する樹脂材料を含む、
ようにしてもよい。
【0016】
本発明による積層型電池の製造方法は、
積層方向に交互に積層された複数の第1電極板および複数の第2電極板を有する膜電極接合体を準備する第1準備工程と、
金属層と前記金属層の一側に設けられた樹脂接着層とをそれぞれ含む第1基材および第2基材を準備する第2準備工程と、
第1方向において前記膜電極接合体の両端部に一対のタブを取り付けるタブ取付工程と、
前記第1方向で見たときの前記膜電極接合体の周囲に絶縁シートを巻き付ける巻付工程と、
前記巻付工程の後、前記第1基材と前記第2基材との間に前記膜電極接合体を配置して、前記第1基材の前記樹脂接着層と前記第2基材の前記樹脂接着層とを溶着して、前記膜電極接合体を前記第1基材と前記第2基材との間に封止する封止工程と、を備える。
【0017】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記絶縁シートは、前記第1方向で見たときの前記膜電極接合体の周方向において一端側に設けられた第1端部と、他端側に設けられた第2端部と、を有し、
前記巻付工程において、前記絶縁シートは、前記第1端部から前記膜電極接合体の周囲に巻き付けられて前記第1端部を越えて延びて、前記絶縁シート同士が互いに重なった重なり部を形成し、前記重なり部で前記絶縁シート同士が互いに接合される、
ようにしてもよい。
【0018】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記巻付工程において、前記第1端部および前記第2端部は、前記第1方向で見たときに前記積層方向と直交する第2方向において前記膜電極接合体の一側に配置される、
ようにしてもよい。
【0019】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記巻付工程は、前記タブ取付工程の後に行われる、
ようにしてもよい。
【0020】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記巻付工程は、前記タブ取付工程の前に行われる、
ようにしてもよい。
【0021】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記絶縁シートは、前記膜電極接合体の側に設けられた粘着層を有し、
前記巻付工程において、前記膜電極接合体の前記積層方向における最外面は、前記粘着層に粘着される、
ようにしてもよい。
【0022】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記巻付工程の後、前記絶縁シートを前記膜電極接合体に溶着する溶着工程を更に備える、
ようにしてもよい。
【0023】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記第1準備工程において準備される前記膜電極接合体の前記積層方向における最外面は、結着剤を含む被接合層によって構成され、
前記絶縁シートは、前記膜電極接合体の側に設けられた接合層を有し、
前記巻付工程において、前記接合層と前記被接合層とが互いに接合される、
ようにしてもよい。
【0024】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記接合層は、接合材料で形成され、
前記接合材料は、前記結着剤を構成する材料と同一の材料を含む、
ようにしてもよい。
【0025】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記第1準備工程において準備される前記第2電極板は、電極集電体と、前記電極集電体に設けられた電極活物質層と、を含み、
前記被接合層は、前記電極活物質層によって構成されている、
ようにしてもよい。
【0026】
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記第1準備工程において準備される前記第2電極板は、電極集電体と、前記電極集電体に設けられた電極活物質層と、を含み、
前記被接合層は、前記電極活物質層によって構成され、
前記接合層は、接合材料で形成され、
前記接合材料は、極性基を有する樹脂材料を含む、
ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、外部からの力を受けた場合であっても、電極板が位置ずれすることを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0030】
[積層型電池]
図1〜
図6は、本発明の実施の形態による積層型電池を説明するための図である。
【0031】
図1および
図2に示すように、本実施の形態による積層型電池1は、外装体40と、外装体40内に収容された膜電極接合体5と、膜電極接合体5に接続された一対のタブ16,26と、膜電極接合体5の周囲に巻き付けられた絶縁シート50と、を備えている。外装体40は、その内部に膜電極接合体5を収容している。タブ16,26は、外装体40の内部から外部へと延び出している。住宅用や系統電力用等の定置の分野および電気自動車等の自動車の分野においては、複数の積層型電池1を組み合わせることにより構成されるモジュールが用いられる。複数の積層型電池1の間の電気的な接続は、タブ16,26を介して実現される。絶縁シート50は、後述する電極板10X,20Yの位置ずれを防止するために、膜電極接合体5をその周囲で保持している。
【0032】
以下、積層型電池1の各構成要素について説明する。
【0033】
(外装体)
外装体40は、膜電極接合体5を封止するための包装材である。外装体40は、第1基材41(上側外装体)と、第1基材41に対向する第2基材42(下側外装体)と、を有している(
図5参照)。本実施の形態による第1基材41と第2基材42は、別体として構成されている。第2基材42は、シート状に形成されている。一方、第1基材41は、凸状に形成されている。すなわち、第1基材41は、周辺部43と、周辺部43に対して外側(第2基材42の側とは反対側)に膨出した膨出部44と、を有している。この膨出部44により、第1基材41と第2基材42との間に、封止空間45が画定されている。この封止空間45に、膜電極接合体5が収容されている。このような膨出部44は、例えば、シート状の第1基材41のうち所望の領域を押圧すること(絞り加工)により形成される。この場合、周辺部43と膨出部44は一体的に形成される。
【0034】
外装体40は、フレキシブル性を有していてもよい。外装体40の第1基材41および第2基材42はそれぞれ、金属層40aと、金属層40aの一側に設けられた樹脂接着層40bと、を有するラミネートフィルムで構成されている。金属層40aは、高ガスバリア性と成形加工性を有していてもよい。このような金属層40aは、アルミニウム箔やステンレス箔等の金属材料により形成されていてもよい。樹脂接着層40bは、金属層40aの内面に位置し、金属層40aを接合するためのシール層として機能する。樹脂接着層40bは、接着性に加え、絶縁性、耐薬品性、熱可塑性等を有していてもよい。このような樹脂接着層40bは、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂材料により形成されていてもよい。
【0035】
本実施の形態による積層型電池1は、第1基材41と第2基材42との間に膜電極接合体5を配置した後、ラミネート加工される。すなわち、外装体40の周縁部において、第1基材41および第2基材42の各々の内面に形成された樹脂接着層40bがヒートシール(熱溶着)されて、シール部46が形成される。このようにして、第1基材41と第2基材42とが接合されて、外装体40の内部を封止した封止空間45に、膜電極接合体5が収容される。
【0036】
(膜電極接合体)
膜電極接合体5は、積層方向dLに交互に積層された正極板10X(第1電極板)および負極板20Y(第2電極板)を含む複数の電極板10X,20Yを有している。
【0037】
本実施の形態においては、膜電極接合体5がリチウムイオン二次電池を構成する例について説明する。この例において、第1電極板は正極板10Xを構成し、第2電極板は負極板20Yを構成するものとする。ただし、以下に説明する作用効果の記載からも理解され得るように、第1電極板が負極板20Yを構成し、第2電極板が正極板10Xを構成してもよい。更には、リチウムイオン二次電池に限定されることなく、第1電極板および第2電極板を交互に積層してなる膜電極接合体5に広く適用され得る。
【0038】
図1〜
図6に示すように、膜電極接合体5は、複数の正極板10Xおよび複数の負極板20Yを有している。正極板10Xおよび負極板20Yは、積層方向dLに沿って交互に配列されて積層されている。本実施の形態においては、積層方向dLにおける膜電極接合体5の最下部および最上部に、負極板20Yが配置されている。膜電極接合体5および積層型電池1は、全体的に偏平形状を有し、積層方向dLへの厚さが薄く、積層方向dLに直交する方向d1,d2に広がっている。
【0039】
図示された例において、正極板10Xおよび負極板20Yは、積層方向dLで見たときに、全体的に長方形形状の外輪郭を有している。積層型電池1は、一対のタブ16,26が配列される方向である第1方向d1と、第1方向d1に直交する第2方向d2と、を有している。図示された例においては、第1方向d1が、積層型電池1の長手方向(長さ方向)に相当し、第2方向d2が、積層型電池1の短手方向(幅方向)に相当する。しかしながら、第1方向d1が、積層型電池1の短手方向に相当し、第2方向d2が、積層型電池1の長手方向に相当するようにしてもよい。積層方向dLは、第1方向d1および第2方向d2の両方に直交している。正極板10Xおよび負極板20Yは、第1方向d1にずらして配置されている。より具体的には、複数の正極板10Xは、第1方向d1における一側(
図3における右側)に寄って配置され、複数の負極板20Yは、第1方向d1における他側(
図3における左側)に寄って配置されている。正極板10Xおよび負極板20Yは、第1方向d1における中央部(後述する正極有効領域b1および負極有効領域b2)において、積層方向dLに重なり合っている。
【0040】
正極板10Xは、図示するように、シート状の外形状を有している。正極板10Xは、正極集電体11X(第1電極集電体)と、正極集電体11X上に設けられた正極活物質層12X(第1電極活物質層)と、を有している。正極活物質層12Xは、長方形形状の外輪郭を有している。リチウムイオン二次電池において、正極板10Xは、放電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時にリチウムイオンを放出する。
【0041】
正極集電体11Xは、互いに反対側に位置する第1面11aおよび第2面11bを主面として有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの第1面11aおよび第2面11bの少なくとも一方の面上に形成される。本実施の形態においては、各正極板10Xの正極集電体11Xの両側に、正極活物質層12Xがそれぞれ設けられており、各正極板10Xは、互いに同一に構成され得る。
【0042】
正極集電体11Xおよび正極活物質層12Xは、積層型電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、正極集電体11Xは、アルミニウム箔によって形成され得る。正極活物質層12Xは、例えば、正極活物質、導電助剤、およびバインダーとなる結着剤を含んでいてもよい。正極活物質層12Xは、正極活物質、導電助剤および結着剤を溶媒に分散させてなる正極用スラリーを、正極集電体11Xをなす材料上に塗工して固化させることで、作製され得る。正極活物質として、例えば、一般式LiM
xO
y(ただし、Mは1種または2種以上の金属であり、xおよびyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物が用いられる。金属酸リチウム化合物の具体例として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム等が例示され得る。正極活物質の別の例として、例えば、一般式LiM
xP
yO
z(ただし、Mは1種または2種以上の金属であり、x、yおよびzは金属MとリンPと酸素Oの組成比である)で表されるリン酸金属リチウムが用いられる。リン酸金属リチウムの具体例として、リン酸鉄リチウム、リン酸コバルトリチウム、リン酸ニッケルリチウム、リン酸マンガンリチウム等が例示され得る。導電助剤としては、黒鉛粉末やアセチレンブラック等が用いられ得る。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等が用いられ得る。
【0043】
図3に示すように、正極集電体11Xは、互いに隣接する正極接続領域a1(第1接続領域)および正極有効領域b1(第1有効領域)を有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの正極有効領域b1のみに配置されている。正極有効領域b1は、長方形形状の外輪郭を有しており、全体的に正極活物質層12Xが設けられた領域になっている。正極接続領域a1および正極有効領域b1は、正極板10Xの第1方向d1に配列されている。正極接続領域a1は、正極有効領域b1よりも正極板10Xの第1方向d1における外側(
図3における右側)に位置している。
【0044】
複数の正極集電体11Xは、正極接続領域a1において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、溶着等によって接合され、電気的に接続されている。このように、各々の正極集電体11Xの正極接続領域a1によって、正極接続部13(第1接続部)が構成されている。正極接続部13は、第1基材41の側の面である第1面13aと、第2基材42の側の面である第2面13bと、を有している。第1面13aは、複数の正極集電体11Xのうち最も第1基材41の側に配置された正極集電体11Xの正極接続領域a1における第1面11aに相当する。また、第2面13bは、複数の正極集電体11Xのうち最も第2基材42の側に配置された正極集電体11Xの正極接続領域a1における第2面11bに相当する。本実施の形態では、第2面13bに、正極タブ16(第1タブ)が電気的に接続されている。
【0045】
一方、
図3に示すように、正極有効領域b1は、積層方向dLで見たときに、負極板20Yの後述する負極活物質層22Yに対向する領域内に設けられている。このため、正極板10Xの正極有効領域b1の第1方向d1の寸法は、負極板20Yの後述する負極有効領域b2の第1方向d1の寸法よりも小さくなっている。また、正極板10Xの第2方向d2の寸法は、負極板20Yの第2方向d2の寸法よりも小さくなっている。このような正極有効領域b1の配置により、負極活物質層22Yからのリチウムの析出を防止することができる。
【0046】
次に、負極板20Yについて説明する。負極板20Yも、正極板10Xと同様に、シート状の外形状を有している。負極板20Yは、負極集電体21Y(第2電極集電体)と、負極集電体21Y上に設けられた負極活物質層22Y(第2電極活物質層)と、を有している。負極活物質層22Yは、長方形形状の外輪郭を有している。リチウムイオン二次電池において、負極板20Yは、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵する。
【0047】
負極集電体21Yは、互いに反対側に位置する第1面21aおよび第2面21bを主面として有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの第1面21aおよび第2面21bの少なくとも一方の面上に形成される。本実施の形態においては、各負極板20Yの負極集電体21Yの両側に、負極活物質層22Yがそれぞれ設けられており、各負極板20Yは、互いに同一に構成され得る。なお、最も第1基材41の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第1面21aには、負極活物質層22Yは設けられていなくてもよい。また、最も第2基材42の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第2面21bにも、負極活物質層22Yは設けられていなくてもよい。本実施の形態においては、絶縁性を向上させる観点から、最も第1基材41の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第1面21aおよび最も第2基材42の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第2面21bにも、負極活物質層22Yがそれぞれ設けられている。すなわち、膜電極接合体5の積層方向dLにおける最外面5a、5b(第1基材41の側の最外面5aおよび第2基材42の側の最外面5b)は、それぞれ負極活物質層22Yによって構成されている。
【0048】
負極集電体21Yおよび負極活物質層22Yは、積層型電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、負極集電体21Yは、例えば銅箔によって形成される。負極活物質層22Yは、例えば、負極活物質、バインダーとなる結着剤、および増粘剤を含んでいてもよい。負極活物質層22Yは、負極活物質、結着剤および増粘剤を溶媒に分散させてなる負極用スラリーを、負極集電体21Yをなす材料上に塗工して固化させることで、作製され得る。負極活物質として、例えば、炭素粉末や黒鉛粉末等が用いられる。結着剤としては、スチレンブタジエンゴム等が用いられ得る。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース等が用いられ得る。
【0049】
図3に示すように、負極集電体21Yは、互いに隣接する負極接続領域a2(第2接続領域)および負極有効領域b2(第2有効領域)を有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの負極有効領域b2のみに配置されている。負極有効領域b2は、長方形形状の外輪郭を有しており、全体的に負極活物質層22Yが設けられた領域になっている。負極接続領域a2および負極有効領域b2は、負極板20Yの第1方向d1に配列されている。負極接続領域a2は、負極有効領域b2よりも負極板20Yの第1方向d1における外側(
図3における左側)に位置している。
【0050】
複数の負極集電体21Yは、負極接続領域a2において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、溶着等によって接合され、電気的に接続されている。このように、各々の負極集電体21Yの負極接続領域a2によって、負極接続部23(第2接続部)が構成されている。負極接続部23は、第1基材41の側の面である第1面23aと、第2基材42の側の面である第2面23bと、を有している。第1面23aは、複数の負極集電体21Yのうち最も第1基材41の側に配置された負極集電体21Yの負極接続領域a2における第1面21aに相当する。また、第2面13bは、複数の負極集電体21Yのうち最も第2基材42の側に配置された負極集電体21Yの負極接続領域a2における第2面21bに相当する。本実施の形態では、第2面13bに、負極タブ26(第2タブ)が電気的に接続されている。
【0051】
一方、
図3に示すように、負極有効領域b2は、積層方向dLで見たときに、正極板10Xの正極活物質層12Xに対向する領域を内包するように広がっている。すなわち、負極有効領域b2は、積層方向dLで見たときに、全周に亘って、正極活物質層12Xの外側にはみ出すように広がっている。このため、上述したように、負極板20Yの負極有効領域b2の第1方向d1の寸法は、正極板10Xの正極有効領域b1の第1方向d1の寸法よりも大きくなっている。また、負極板20Yの第2方向d2の寸法は、正極板10Xの第2方向d2の寸法よりも大きくなっている。
【0052】
図4に示すように、正極板10Xおよび負極板20Yの少なくとも一方が、他方に対向する面に機能層30Aを有していてもよい。機能層30Aは、絶縁性を有し、正極板10Xおよび負極板20Yが短絡することを防止する。図示された例においては、負極板20Yが機能層30Aを有している。機能層30Aは、負極活物質層22Yの正極板10Xの側の面(正極板10Xに対向する面)に設けられている。すなわち、各負極活物質層22Yの対向する正極板10Xの側の面に機能層30Aが設けられている。各負極活物質層22Yの当該面は、機能層30Aにより覆われている。そして、負極板20Yのうち正極板10Xの正極活物質層12Xと積層方向dLに対向する面が、機能層30Aによって形成されている。なお、膜電極接合体5の最外面5a,5bを構成する負極活物質層22Yには、機能層30Aは設けられていなくてもよい。また、
図4に示す機能層30Aの代わりに、あるいは加えて、正極板10Xが、各正極活物質層12Xを覆う機能層30Aを有することも可能である。
【0053】
機能層30Aは、負極活物質層22Yよりも高い空孔率を有していてもよい。また、機能層30Aは、優れた耐熱性を有していてもよい。このような機能層30Aの材料には、例えば、無機材料を用いてもよい。無機材料は、高い空孔率とともに優れた耐熱性、例えば150℃以上の耐熱性を機能層30Aに付与することができる。無機材料としては、アルミナ、シリカ、チタニア等の粒子状物が挙げられる。また、機能層30Aの材料には、例えば、有機材料を用いてもよい。有機材料は、高い空孔率とともに優れた接着性、保液性および耐衝撃性を機能層30Aに付与することができる。有機材料としては、セルロースおよびその変成体、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等の繊維状物や粒子状物が挙げられる。機能層30Aは、例えば、無機材料の粒子状物と有機材料の樹脂状物とを溶剤に分散溶解させた組成物を、負極活物質層22Y上に塗工し、乾燥して固化させることで、作製され得る。
【0054】
(タブ)
図1〜
図3に示すように、膜電極接合体5の正極接続部13に正極タブ16が電気的に接続され、膜電極接合体5の負極接続部23に負極タブ26が電気的に接続されている。図示された例においては、正極タブ16は、膜電極接合体5の正極接続部13の第2面13bに取り付けられており、負極タブ26は、膜電極接合体5の負極接続部23の第2面23bに取り付けられている。タブ16,26はそれぞれ、溶着等によって取り付けられている。これにより、正極タブ16は、正極集電体11Xと電気的に接続され、負極タブ26は、負極集電体21Yと電気的に接続される。
【0055】
図1および
図2に示すように、タブ16,26はそれぞれ、第1方向d1において外装体40の内部からシール部46を通って外装体40の外部に延び出ている。タブ16,26はそれぞれ、積層型電池1における端子として機能する。外装体40の第1基材41と各タブ16,26とは、シーラント18,28を介してヒートシールされる。同様に、外装体40の第2基材42と各タブ16,26とは、シーラント18,28を介してヒートシールされる。このようにして、封止空間45と外装体40の外部とを連通するような隙間が各タブ16,26の周囲に形成されることを防止している。
【0056】
正極タブ16は、アルミニウム等を用いて形成され得る。負極タブ26は、ニッケル、ニッケルメッキ銅等を用いて形成され得る。シーラント18,28は、外装体40の樹脂接着層40bとタブ16,26とに溶着可能な材料から構成される。シーラント18,28の材料としては、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
【0057】
(絶縁シート)
図2、
図3、
図5および
図6に示すように、第1方向d1で見たときの膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50が巻き付けられている。本実施の形態においては、1つの絶縁シート50が、膜電極接合体5の周囲に一周巻き付けられている。絶縁シート50は、シート状に形成されており、第1方向d1で見たときの膜電極接合体5の周方向に長手方向を有するように長尺状に形成されていてもよい。絶縁シート50の短手方向(第1方向d1)の寸法は、負極集電体21Yに設けられた負極活物質層22Yの第1方向d1の寸法よりも短くなっていてもよい。
【0058】
図6に示すように、絶縁シート50は、第1方向d1で見たときの膜電極接合体5の周方向において一端側に設けられた第1端部51と、他端側に設けられた第2端部52と、を有している。図示された例においては、第1端部51および第2端部52は、膜電極接合体5の第2方向d2における一側(
図6における左側)に位置している。絶縁シート50は、第1端部51から
図6における反時計回りに膜電極接合体5の周囲に延びて、膜電極接合体5の第2方向d2における一側(
図6における左側)まで延びている。
【0059】
絶縁シート50は、膜電極接合体5を積層方向dLに押圧するように巻き付けられており、膜電極接合体5の積層方向dLにおける最外面5a,5bと接触している。絶縁シート50は、膜電極接合体5の第2方向d2における一側(
図6における左側)で絶縁シート5同士が互いに重なった重なり部53を形成している。重なり部53では、後述するように絶縁シート50同士が接合されている。
【0060】
このような絶縁シート50により膜電極接合体5はその周囲でしっかりと保持されている。このため、絶縁シート50は、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yが互いに対して位置ずれすることを防止することができる。また、積層型電池1の使用時に、内部の温度が上昇することにより、膜電極接合体5が膨潤して厚みが増大する場合がある。この膜電極接合体5の厚みの増大によって絶縁シート50が破断することを防止するために、絶縁シート50は、伸縮性を有していてもよい。例えば、絶縁シート50は、2%以上200%以下の伸び率を有していてもよい。絶縁シート50の伸び率は、JIS K 7127で定義される方法により、測定することができる。
【0061】
本実施の形態においては、
図6に示すように、絶縁シート50は、基材層50aと、基材層50aに積層され、膜電極接合体5の側に設けられた粘着層50bと、を有している。粘着層50bは、粘着性を有しており、膜電極接合体5および基材層50aに粘着可能に構成されている。このため、絶縁シート50と接触している膜電極接合体5の最外面5a,5bは、粘着層50bに粘着され、絶縁シート50と膜電極接合体5とが接合されている。このことにより、膜電極接合体5がより一層しっかりと保持され得る。また、重なり部53では、第2端部52の側の粘着層50bが第1端部51の側の基材層50aに粘着し、絶縁シート50同士が接合されている。このことにより、絶縁シート50が膜電極接合体5から解かれることを防止することができる。
【0062】
基材層50aは、絶縁性、耐薬品性、耐熱性等を有していてもよい。基材層50aを構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アラミドを用いることができる。粘着層50bは、粘着性に加え、絶縁性、耐薬品性、耐熱性等を有していてもよい。粘着層50bを構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、ゴム、シリコーン樹脂を用いることができる。
【0063】
絶縁シート50の厚さは、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。このことにより、積層型電池1の厚さの増大を抑制することができ、エネルギー密度の低下を抑制することができる。また、絶縁シート50の厚さは、絶縁性を確保するとともに取り付け作業時に破断することを防止可能な強度を持たせるために、8μm以上であってもよい。このような厚さの絶縁シート50を構成するために、基材層50aの厚さは、例えば5μm〜30μmである。粘着層50bの厚さは、例えば3μm〜20μmである。
【0064】
[積層型電池の製造方法]
次に、リチウムイオン二次電池として構成された本実施の形態に係る積層型電池1の製造方法について説明する。以下に説明する積層型電池の製造方法は、膜電極接合体5を準備する膜電極接合体準備工程(第1準備工程)と、第1基材41および第2基材42を準備する外装体準備工程(第2準備工程)と、膜電極接合体5の両端部にタブ16,26を取り付けるタブ取付工程と、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50を巻き付ける巻付工程と、膜電極接合体5を第1基材41と第2基材42との間に封止する封止工程と、を備える。以下、各工程について説明する。
【0065】
(膜電極接合体準備工程)
膜電極接合体準備工程では、膜電極接合体5を準備する。膜電極接合体準備工程は、正極板10Xおよび負極板20Yをそれぞれ作製する工程と、正極板10Xおよび負極板20Yを交互に積層する工程と、正極集電体11Xおよび負極集電体21Yをそれぞれ接合する工程と、を含んでいる。
【0066】
まず、正極板10Xおよび負極板20Yをそれぞれ作製する工程について説明する。まず、正極集電体11Xを構成するようになる長尺のアルミニウム箔上に、正極活物質層12Xを構成するようになる組成物(スラリー)を塗工して固化する。次に、所望の大きさに断裁し、枚葉状の正極板10Xが作製され得る。同様に、負極集電体21Yを構成するようになる長尺の銅箔上に、負極活物質層22Yを構成するようになる組成物(スラリー)を塗工して固化する。次に、所望の大きさに断裁し、枚葉状の負極板20Yが作製され得る。なお、正極板10Xおよび負極板20Yの少なくとも一方に機能層30Aを付与する場合には、例えば、電極板10X,20Yをなすようになる断裁前の長尺材上または断裁後の枚葉材上に、無機材料の粒子状物と有機材料の樹脂状物とを溶剤に分散溶解させた組成物を塗布し、乾燥して固化させることで機能層30Aを作製することができる。
【0067】
次に、正極板10Xおよび負極板20Yを交互に積層する工程を実施する。この工程においては、正極板10Xの正極活物質層12Xと負極板20Yの負極活物質層22Yとが正対するようにして、正極板10Xおよび負極板20Yを積層していく。積層方向dLにおける最下部および最上部には、負極板20Yが配置される。
【0068】
続いて、正極集電体11Xおよび負極集電体21Yをそれぞれ接合する工程を実施する。この工程においては、積層された正極板10Xの正極集電体11Xを、正極接続領域a1において束ねて、超音波溶接等によって接合する。これにより、複数の正極接続領域a1が、積層方向dLに積層されて互いに電気的に接続された正極接続部13が形成される。同様に、積層された負極板20Yの負極集電体21Yを、負極接続領域a2において束ねて、超音波溶接等によって接合する。これにより、複数の負極接続領域a2が、積層方向dLに積層されて互いに電気的に接続された負極接続部23が形成される。
【0069】
このようにして、正極板10Xおよび負極板20Yが交互に積層された膜電極接合体5を得ることができる。
【0070】
(外装体準備工程)
外装体準備工程では、第1基材41および第2基材42を準備する。外装体準備工程は、第1基材41を作製する工程と、第2基材42を作製する工程と、を含んでいる。
【0071】
第1基材41を作製する工程においては、まず、金属層40aを構成するアルミニウム箔の一側に、樹脂接着層40bを構成するようになる樹脂材料の組成物を塗工して固化する。次に、所望の大きさに断裁し、平板状の第1基材41が得られる。その後、平板状の第1基材41に対して、絞り加工を行い、膨出部44を形成する。これにより、周辺部43に対して膨出した膨出部44を有する第1基材41が作製され得る(
図5参照)。
【0072】
第2基材42を作製する工程においては、まず、金属層40aを構成するアルミニウム箔の一側に、樹脂接着層40bを構成するようになる樹脂材料の組成物を塗工して固化する。次に、所望の大きさに断裁し、平板状の第2基材42が得られる(
図5参照)。
【0073】
このようにして、膜電極接合体5を封止する外装体40を構成する第1基材41および第2基材42を得ることができる。
【0074】
(タブ取付工程)
膜電極接合体準備工程および外装体準備工程の後に、タブ取付工程が行われる。タブ取付工程では、膜電極接合体5の両端部に一対のタブ16,26を取り付ける。タブ取付工程は、タブ16,26を準備する工程と、膜電極接合体5にタブ16,26を取り付ける工程と、を含んでいる。
【0075】
まず、タブ16,26を準備する工程を実施する。この工程においては、アルミニウム金属で形成された正極タブ16であって、正極シーラント18が取り付けられた正極タブ16を準備する。正極シーラント18は、第1方向d1において正極タブ16の一部を覆うように取り付けられ、第2方向d2において正極タブ16の両側に延び出るように取り付けられる。また、銅金属で形成された負極タブ26であって、負極シーラント28が取り付けられた負極タブ26を準備する。負極シーラント28は、第1方向d1において負極タブ26の一部を覆うように取り付けられ、第2方向d2において負極タブ26の両側に延び出るように取り付けられる。
【0076】
次に、膜電極接合体5にタブ16,26を取り付ける工程を実施する。この工程においては、準備したタブ16,26を、第1方向d1において膜電極接合体5の両端部に設けられた接続部13,23にそれぞれ取り付ける。より具体的には、まず、正極タブ16をステージ上に載置する。続いて、正極タブ16の上面と膜電極接合体5の正極接続部13の第2面13bとが部分的に重なるように、膜電極接合体5を載置する。この際、第2方向d2における正極接続領域a1の中心位置と正極タブ16の中心位置とが一致するように、正極タブ16に対する膜電極接合体5の位置合わせを行う。その後、抵抗溶接や超音波溶接等によって正極タブ16を膜電極接合体5の正極接続部13に融着させる。これにより、正極タブ16を膜電極接合体5の正極接続部13に電気的に接続させることができる。同様にして、準備した負極タブ26を膜電極接合体5の負極接続部23に電気的に接続させることができる。
【0077】
このようにして、タブ16,26が取り付けられた膜電極接合体5を得ることができる。
【0078】
(巻付工程)
タブ取付工程の後に、巻付工程が行われる。巻付工程では、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50を巻き付ける。巻付工程は、絶縁シート50を準備する工程と、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50を巻き付ける工程と、を含んでいる。
【0079】
絶縁シート50を準備する工程においては、基材層50aに粘着層50bが積層された絶縁シート50を準備する。準備される絶縁シート50の短手方向の寸法は、負極活物質層22Yの第1方向d1の寸法よりも短くてもよく、長手方向の寸法は、第1方向d1で見たときの膜電極接合体5の周長よりも長くてもよい。
【0080】
次に、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50を巻き付ける工程を実施する。この工程においては、準備した絶縁シート50を、第1方向d1で見たときの膜電極接合体5の周囲に巻き付ける。より具体的には、まず、絶縁シート50の一端側に設けられた第1端部51が膜電極接合体5の第2方向d2における一側(
図6における左側)に配置される。この際、絶縁シート50の粘着層50bが、膜電極接合体5の側に配置される。続いて、絶縁シート50を、膜電極接合体5の周囲に巻き付けて、絶縁シート50の他端側に設けられた第2端部52を第1端部51に重ね合わせる。これにより、膜電極接合体5の第2方向d2における一側(
図6における左側)に、絶縁シート5同士が互いに重なった重なり部53が形成される。重なり部53では、第1端部51の側の基材層50aが、第2端部52の側の粘着層50bに粘着される。また、絶縁シート50を巻き付ける際、絶縁シート50の粘着層50bが、膜電極接合体5の最外面5a、5bと接触し、膜電極接合体5の最外面5a、5bが、絶縁シート50の粘着層50bに粘着される。また、絶縁シート50を巻き付ける際、絶縁シート50に張力が付与される。これにより、絶縁シート50は、膜電極接合体5を積層方向dLに押圧するように膜電極接合体5の周囲に巻き付けられる。
【0081】
このようにして、
図6に示すような絶縁シート50が巻き付けられた膜電極接合体5を得ることができる。
【0082】
(封止工程)
巻付工程の後に、封止工程が行われる。封止工程では、外装体40内に膜電極接合体5を封止する。
【0083】
この封止工程においては、まず、樹脂接着層40bが上を向くように、ステージ上に第2基材42を載置する。続いて、第2基材42上に膜電極接合体5を載置する。次に、膜電極接合体5の上から、膜電極接合体5が膨出部44内に収容されるように、第1基材41を被せる。第1基材41は、第1基材41の樹脂接着層40bが第2基材42の樹脂接着層40bに対向するように被せる。この際、タブ16,26が外部に延び出た状態で、膜電極接合体5が第1基材41の膨出部44と第2基材42との間に配置される。その後、膜電極接合体5の周囲において、第1基材41と第2基材42とが、例えば150℃〜200℃の温度を有する金属製のヒートバーにより押圧される。これにより、ヒートバーにより押圧された領域の近傍において、第1基材41と第2基材42の各々の内面に形成された樹脂接着層40bが溶解し、それらが互いにヒートシール(熱溶着)して、シール部46が形成される。なお、第1基材41と第2基材42とは、一体的に連続状に形成されていてもよい。この場合、第1基材41と第2基材42との間の部分で折り曲げることにより、第2基材42に載置された膜電極接合体5上に第1基材41を被せることができる。この折り曲げた部分にはシール部46が形成されていなくてもよく、当該部分は、第2方向d2における一側に配置されてもよい。
【0084】
シール部46において、外装体40とタブ16,26との間に、シーラント18,28が介在されている。このため、ヒートシールの際、第1基材41の樹脂接着層40b、第2基材42の樹脂接着層40bおよびシーラント18,28がそれぞれ溶解する。このため、第1基材41とタブ16,26とがヒートシールされるとともに、第2基材42とタブ16,26とがヒートシールされる。これにより、タブ16,26の周囲に、封止空間45と外装体40の外部とを連通するような隙間が形成されることを防止することができる。ヒートシール工程は、減圧チャンバ内で行われ、ヒートシール後の封止空間45は減圧される。
【0085】
このようにして、
図1に示すような、外装体40内に膜電極接合体5が封止された積層型電池1を得ることができる。
【0086】
このように本実施の形態によれば、絶縁シート50が、第1方向d1で見たときの膜電極接合体5の周囲に巻き付けられている。このことにより、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをしっかりと保持することができる。このため、積層型電池1が外部から力を受けた場合であっても、内部の正極板10Xおよび負極板20Yが互いに対して位置ずれすることを防止することができる。
【0087】
また、外装体40として金属層40aと樹脂接着層40bとを有するラミネートフィルム型外装体を用いているため、外装体40は、外部からの力により変形し得る。例えば、外部から受けた力により外装体40が凹状に変形すると、この凹状変形部の周囲領域において正極板10Xと負極板20Yとの間の間隔が広がる場合がある。電極板10X,20Yがシート状であるため、このような電極板10X,20Y間の間隔の広がりが、より顕著に発生し得る。電極板10X,20Y間の間隔が広がると、電極板10X,20Y間に気泡が介在し、この気泡によりリチウムイオンの移動が部分的に阻害され得る。この結果、積層型電池1の出力電流が不均一化し、積層型電池1の性能が低下し得る。これに対して本実施の形態によれば、絶縁シート50が、第1方向d1で見たときの膜電極接合体5の周囲に巻き付けられている。このことにより、外装体40が外部から力を受けた場合であっても、正極板10Xと負極板20Yとの間の間隔が広がることを防止することができ、積層型電池1の電池性能の低下を抑制することができる。
【0088】
また、本実施の形態によれば、絶縁シート50同士が互いに重なった重なり部53が形成され、その重なり部53で絶縁シート50同士が互いに接合されている。このことにより、絶縁シート50が、膜電極接合体5から解かれることを防止することができる。このため、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをより一層しっかりと保持することができる。この結果、内部の正極板10Xおよび負極板20Yが互いに対して位置ずれすることをより効果的に防止することができる。
【0089】
また、本実施の形態によれば、絶縁シート50の第1端部51および第2端部52は、第2方向d2において膜電極接合体5の一側に配置されている。このことにより、積層方向dLにおいて膜電極接合体5の一側または他側に、第1端部51および第2端部52による段差が生じることを回避することができる。このため、外装体40内の封止空間45の積層方向dLにおける高さの増大を抑制することができる。この結果、封止空間45の体積の増大を抑制することができ、積層型電池1のエネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0090】
また、本実施の形態によれば、絶縁シート50は、膜電極接合体5の側に設けられた粘着層50bを有している。このことにより、絶縁シート50は、膜電極接合体5の積層方向dLにおける最外面5a,5bに接合されることができる。このことにより、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをより一層しっかりと保持することができる。この結果、内部の正極板10Xおよび負極板20Yが互いに対して位置ずれすることをより効果的に防止することができる。
【0091】
また、本実施の形態によれば、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50を巻き付ける巻付工程は、膜電極接合体5にタブ16,26を取り付けるタブ取付工程の後に行われる。このことにより、膜電極接合体5の作製と膜電極接合体5へのタブ16,26の取り付けを、連続した一連の工程で行うことができる。例えば、膜電極接合体5を作製した後、膜電極接合体5を移動させずにタブ16、26を取り付ける場合には、この工程の連続性を維持することができ、作業効率の低下を抑制することができる。
【0092】
以上において、具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述した具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0093】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0094】
(第1の変形例)
上述した実施の形態において、1つの絶縁シート50が、膜電極接合体5の周囲に巻き付けられている例を示した。しかしながら、このことに限定されることはなく、2つ以上の絶縁シート50が、膜電極接合体5の周囲に巻き付けられていてもよい。
【0095】
図7に示す例では、2つの絶縁シート50が、第1方向d1で見たときの膜電極接合体5の周囲に巻き付けられている。2つの絶縁シート50は、第1方向d1に並んで、離間して配置されている。
【0096】
このような場合であっても、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをしっかりと保持することができる。
【0097】
(第2の変形例)
上述した実施の形態において、絶縁シート50が、膜電極接合体5の周囲に一周巻き付けられている例を示した。しかしながら、このことに限定されることはなく、絶縁シート50が、膜電極接合体5の周囲に二周以上巻き付けられていてもよい。すなわち、長手方向の寸法が第1方向d1で見たときの膜電極接合体5の周長よりも2倍以上長い絶縁シート50を準備し、このような絶縁シート50を膜電極接合体5の周囲に二周以上巻き付けてもよい。
【0098】
このように、絶縁シート50を膜電極接合体5の周囲に二周以上巻き付けることで、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをより一層しっかりと保持することができる。
【0099】
(第3の変形例)
上述した実施の形態において、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50を巻き付ける巻付工程が、膜電極接合体5にタブ16,26を取り付けるタブ取付工程の後に行われる例を示した。しかしながら、このことに限定されることはなく、巻付工程が、タブ取付工程の前に行われてもよい。
【0100】
膜電極接合体5にタブ16,26を取り付ける際、タブ16,26を取り付けるために、膜電極接合体5を移動させることがある。この移動時に、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yが互いに位置ずれを起こすことが考えられる。本変形例によれば、膜電極接合体5にタブ16,26を取り付ける前に、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50が巻き付けられる。このことにより、絶縁シート50は、タブ16,26の取り付け時にも、膜電極接合体の正極板10Xおよび負極板20Yが互いに位置ずれを起こすことを防止することができる。
【0101】
(第4の変形例)
上述した実施の形態において、絶縁シート50が、膜電極接合体5の側に設けられた粘着層50bを有している例を示した。しかしながら、このことに限定されることはなく、絶縁シート50が、粘着層50bを有していなくてもよい。この場合において、膜電極接合体の最外面5a,5bは、絶縁シート50により接合されていなくてもよい。
【0102】
このような場合であっても、絶縁シート50が、膜電極接合体5の周囲に巻き付けられていることにより、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをしっかりと保持することができる。
【0103】
(第5の変形例)
上述した実施の形態において、絶縁シート50が、膜電極接合体5の側に設けられた粘着層50bを有している例を示した。しかしながら、このことに限定されることはなく、
図8に示すように、絶縁シート50が、粘着層50bに代えて、膜電極接合体5の最外面5a,5bに溶着可能な溶着層50cを有していてもよい。
【0104】
例えば、積層型電池1の製造時において、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50を巻き付ける巻付工程の後に、絶縁シート50を膜電極接合体5に熱溶着(溶着)する熱溶着工程(溶着工程)を設けてもよい。この熱溶着工程においては、絶縁シート50が巻き付けられた膜電極接合体5の上面(最外面5a)および下面(最外面5b)を、絶縁シート50を介して、例えば80℃〜120℃の温度を有する金属製のヒートバーにより挟み込み、例えば0.1MPa〜50MPaの圧力で押圧する。これにより、ヒートバーにより押圧された領域とその近傍において、絶縁シート50の溶着層50cが溶解し、膜電極接合体5の最外面5a,5bに溶着する。このことにより、絶縁シート50が膜電極接合体5に接合されることができる。なお、溶着時の温度を120℃以下にすることにより、負極活物質層22Yが劣化することを防止し、積層型電池1の信頼性を確保することができる。溶着層50cを構成する材料としては、例えば、オレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)を用いることができる。基材層50aは、溶着層50cの溶着時に溶解しないような材料から構成され得る。このような材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを用いることができる。
【0105】
このように絶縁シート50を膜電極接合体5に溶着させることで、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをより一層しっかりと保持することができる。
【0106】
(第6の変形例)
上述した実施の形態において、絶縁シート50が、膜電極接合体5の側に設けられた粘着層50bを有している例を示した。しかしながら、このことに限定されることはなく、
図8に示すように、絶縁シート50が、粘着層50bに代えて、膜電極接合体5の側に設けられた接合層50dであって、負極活物質層22Yに含まれる結着剤を構成する材料と同一の材料を含む接合材料で形成された接合層50dを有していてもよい。すなわち、負極活物質層22Yの結着剤としてスチレンブタジエンゴムが用いられる場合には、絶縁シート50が、スチレンブタジエンゴムで形成された接合層50dを有していてもよい。
【0107】
上述したように、膜電極接合体5の最外面5a,5bは、それぞれ負極活物質層22Yによって構成されている。このような膜電極接合体5の最外面5a,5bを構成する負極活物質層22Yは、絶縁シート50の接合層50dと接合する被接合層として機能する。上述したように、巻付工程において、絶縁シート50は、膜電極接合体5の最外面5a,5bと接触する。絶縁シート50の接合層50dと膜電極接合体5の最外面5a,5bとが接触すると、接合層50dの接合材料が、膜電極接合体5の最外面5a,5bを構成する負極活物質層22Yの凹凸に入り込んで濡れ広がり、接合層50dの接合材料と負極活物質層22Yに含まれる結着剤を構成する材料との間に、水素結合・双極子相互作用・ファンデルワールス力等の分子間力が生じる。とりわけ、負極活物質層22Yの結着剤の材料が接合層50dの接合材料と同一の材料を含んでいる場合、両者の間に働く分子間力がより強くなり得る。このような材料として、粘着性を有する材料を用いてもよい。本実施の形態においては、接合層50dの接合材料および負極活物質層22Yの結着剤の材料としてスチレンブタジエンゴムが用いられている。スチレンブタジエンゴムは粘着性を有するとともに、スチレンブタジエンゴム同士が接触すると互いに濡れ広がりやすい。このため、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50を巻き付けた際、接合層50dの接合材料と負極活物質層22Yの結着剤とが互いに濡れ広がり、両者の間にファンデルワールス力が生じ、絶縁シート50と膜電極接合体5とが互いに粘着して接合される。
【0108】
このように、本変形例によれば、絶縁シート50は、膜電極接合体5の側に設けられた接合層50dを有し、接合層50dを構成する接合材料が、負極板20Yの負極活物質層22Yに含まれる結着剤を構成する材料と同一の材料を含んでいる。このことにより、絶縁シート50と膜電極接合体5とが互いにしっかりと接合されることができる。このため、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをより一層しっかりと保持することができる。
【0109】
(第7の変形例)
上述した第6の変形例において、膜電極接合体5の最外面5a,5bが、負極活物質層22Yによって構成されている例を示した。しかしながら、このことに限定されることはなく、膜電極接合体5の最外面5a,5bが、負極活物質層22Yによって構成されていなくてもよい。すなわち、最も第1基材41の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第1面21aおよび最も第2基材42の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第2面21bに、負極活物質層22Yが設けられていなくてもよい。
【0110】
この場合において、
図9に示すように、最も第1基材41の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第1面21aおよび最も第2基材42の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第2面21bに、結着剤から成る結着剤層31が設けられていてもよい。すなわち、膜電極接合体5の最外面5a,5bが、結着剤層31によって構成されていてもよい。また、絶縁シート50が、接合層50dに代えて、膜電極接合体5の側に設けられた接合層50eであって、結着剤層31に含まれる結着剤を構成する材料と同一の材料を含む接合材料で形成された接合層50eを有していてもよい。
【0111】
結着剤層31は、膜電極接合体準備工程において、最も第1基材41の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第1面21aおよび最も第2基材42の側に配置される負極板20Yの負極集電体21Yの第2面21bに、溶剤に分散溶解した結着剤を塗工し、乾燥して固化することで形成され得る。このような結着剤層31は、絶縁シート50の接合層50eと接合する被接合層として機能する。結着剤層31に含まれる結着剤として、ポリフッ化ビニリデンやスチレンブタジエンゴム等、正極活物質層12Xや負極活物質層22Yに含まれる結着剤を構成する材料と同一の材料が用いられてもよい。接合層50eに含まれる接合材料として、このような結着剤を構成する材料と同一の材料が用いられてもよい。
【0112】
このように、本変形例によれば、膜電極接合体5の最外面5a,5bが負極活物質層22Yによって構成されていない場合において、結着剤から成る結着剤層31で膜電極接合体5の最外面5a,5bを構成するとともに、絶縁シート50の接合層50eを、結着剤層31に含まれる結着剤を構成する材料と同一の材料を含む接合材料で形成している。このことにより、膜電極接合体5の最外面5a,5bが負極活物質層22Yによって構成されていない場合であっても、絶縁シート50と膜電極接合体5とが互いにしっかりと接合されることができる。このため、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをより一層しっかりと保持することができる。
【0113】
(第8の変形例)
上述した実施の形態において、絶縁シート50が、膜電極接合体5の側に設けられた粘着層50bを有している例を示した。しかしながら、このことに限定されることはなく、
図8に示すように、絶縁シート50が、粘着層50bに代えて、膜電極接合体5の側に設けられた接合層50fであって、極性基を有する樹脂材料を含む接合材料で形成された接合層50fを有していてもよい。極性基としては、例えば、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、炭酸エステル結合、ウレタン結合、尿素結合等のC=O結合を含む材料、カルボキシル基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、シラノール基等のO−H結合を含む材料、C−F結合を含む材料、C−O結合を含む材料、C−N結合を含む材料が挙げられる。このような極性基を有する樹脂材料として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリ酢酸ビニル共重合体等を用いることができる。
【0114】
上述したように、膜電極接合体5の最外面5a,5bは、それぞれ負極活物質層22Yによって構成されている。このような膜電極接合体5の最外面5a,5bを構成する負極活物質層22Yは、絶縁シート50の接合層50fと接合する被接合層として機能する。上述したように、巻付工程において、絶縁シート50は、膜電極接合体5の最外面5a,5bと接触する。絶縁シート50と膜電極接合体5の最外面5a,5bとが接触し、必要に応じて加熱されると、極性基を有する樹脂材料を含む接合層50fと結着剤を含む負極活物質層22Yとの間に、イオン結合、クーロン力、共有結合、水素結合等が生じる。このため、膜電極接合体5の周囲に絶縁シート50を巻き付けた際、絶縁シート50と膜電極接合体5とが互いに接合される。
【0115】
このように、本変形例によれば、絶縁シート50は、膜電極接合体5の側に設けられた接合層50fを有し、接合層50fを構成する接合材料が、極性基を有する樹脂材料を含んでいる。このことにより、絶縁シート50と膜電極接合体5とが互いにしっかりと接合されることができる。このため、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをより一層しっかりと保持することができる。
【0116】
(第9の変形例)
上述した実施の形態において、正極板10Xおよび負極板20Yの少なくとも一方が、機能層30Aを有する例を示した。しかしながら、
図10に示すように、正極板10Xおよび負極板20Yの少なくとも一方が機能層30Aを含むことに加えて、もしくは代えて、正極板10Xおよび負極板20Yの間に、正極板10Xおよび負極板20Yとは別部材として構成された絶縁シート60が配置されるようにしてもよい。この場合、絶縁シート60は、正極板10Xと負極板20Yとの間に介在されて、セパレータとして機能する。
図10に示す例では、絶縁シート60は、正極板10Xの機能層30Aと負極板20Yの負極活物質層22Yとの間に配置されている。このような絶縁シート60は、例えば、不織布や多孔質材から形成され得る。この例において、外装体40内に収容された電解液又はゲル状電解液が、絶縁シート60に含浸して保持される。この例に用いられる絶縁シート60は、特に限定されることはなく、積層型電池1、とりわけリチウムイオン二次電池に適用され得る種々の絶縁体を用いることができる。
【0117】
本変形例によれば、正極板10Xと負極板20Yとの間に絶縁シート60を介在させることにより、正極板10Xと負極板20Yとが短絡することをより一層防止することができる。
【0118】
以上において、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を少なくとも部分的に適宜組み合わせて適用することも可能である。