特許第6889425号(P6889425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6889425
(24)【登録日】2021年5月25日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】廃液監視装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20210607BHJP
   G01N 30/24 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   G01N30/86 V
   G01N30/24 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-506114(P2020-506114)
(86)(22)【出願日】2018年8月31日
(86)【国際出願番号】JP2018032319
(87)【国際公開番号】WO2019176136
(87)【国際公開日】20190919
【審査請求日】2020年8月6日
(31)【優先権主張番号】特願2018-46900(P2018-46900)
(32)【優先日】2018年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 翔太郎
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−172824(JP,A)
【文献】 特開2015−014533(JP,A)
【文献】 特開2016−003967(JP,A)
【文献】 特開2014−002099(JP,A)
【文献】 特開平11−142336(JP,A)
【文献】 特開2016−205996(JP,A)
【文献】 中国実用新案第208743271(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 − 30/96
G01N 35/00 − 37/00
G01N 1/00 − 1/44
G01M 3/00 − 3/40
B01D 25/00 − 25/38
E02D 27/00 − 27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を用いて分析を行なうための分析システムを構成する少なくとも1つの分析用装置からの廃液の排出経路上に設けられ、前記廃液を一時的に受けて排出するための廃液受け部と、
前記廃液受け部との間に仕切りを介して設けられ、前記仕切りを越えて前記廃液受け部から流出した廃液を受けるための流出液受け部と、
前記流出液受け部内に設けられ、前記廃液受け部から流出した廃液を検知するための液センサと、を備え
前記流出液受け部は前記分析用装置におけるリーク液を受けるように構成され、前記流出液受け部内に流入したリーク液が、前記液センサ又は別途設けられた第2の液センサによって検出される廃液監視装置。
【請求項2】
前記廃液受け部と前記流出液受け部は共通の容器内で前記仕切りによって仕切られた区画であり、前記仕切りは前記容器の外壁よりも低い高さで設けられている、請求項1に記載の廃液監視装置。
【請求項3】
前記廃液受け部と前記流出液受け部の各々は、個別の容器で構成されており、
前記仕切りは、相互に接続される、前記廃液受け部の容器の壁面と前記流出液受け部の容器の壁面とによって構成され、
前記仕切りは、前記廃液受け部の容器の他の壁面および前記流出液受け部の容器の他の壁面よりも、低い高さで設けられている、請求項1に記載の廃液監視装置。
【請求項4】
複数の廃液が共通の前記廃液受け部によって受けられるように構成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の廃液監視装置。
【請求項5】
前記廃液受け部が複数設けられており、
複数の廃液が互いに異なる前記廃液受け部によって受けられるように構成されており、
複数の前記廃液受け部は互いに異なる廃液タンクに通じている、請求項1からのいずれか一項に記載の廃液監視装置。
【請求項6】
いずれか1つの前記廃液受け部から流出した廃液が前記流出液受け部から溢れたときに、前記流出液受け部から溢れた廃液が別の前記廃液受け部を介して当該廃液受け部と通じている廃液タンクに排出されるように構成されている、請求項に記載の廃液監視装置。
【請求項7】
前記複数の廃液受け部の各々と前記流出受け部との間の前記仕切りは、それぞれ高さが異なっている、請求項又はに記載の廃液監視装置。
【請求項8】
前記流出液受け部内に流入した廃液は廃液タンクに排出されるように構成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の廃液監視装置。
【請求項9】
前記分析システムは液体クロマトグラフィー分析を行なうための分析システムであり、
前記廃液受け部及び前記流出液受け部は前記分析システムをなす前記分析用装置の1つであるオートサンプラ内に設けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の廃液監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィー分析などのように液体を用いた分析を行なうための分析システムにおいて発生する廃液を監視するための廃液監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィー分析システムは、移動相を送液するための送液装置、送液装置からの移動相が流れる分析流路中に試料を注入するためのオートサンプラ、オートサンプラによって注入された試料を分離するための分離カラムを有するカラムオーブン、分離カラムにおいて分離した試料成分を検出するための検出器といった複数の分析用装置が組み合わされて構成される。
【0003】
このような分析システムでは、分析流路を構成する各要素間を配管によって接続する上、流路内が高圧状態となるため、配管の接続部分等から液漏れが発生する虞がある。液漏れが発生すると、リーク液によって分析用装置内の電気部品が故障したり、漏れた有機溶媒によって分析者が中毒になったりする虞がある。そのため、各分析用装置において液漏れの発生しやすい箇所にリーク液を受ける受け部を配置するとともに、その受け部に液を検知するセンサを配置して、液漏れの発生をセンサによって検知できるように構成されることが一般的である(特許文献1参照。)。
【0004】
また、上記のような分析システムでは、分析に供された後の移動相溶媒や洗浄液のほか、オートサンプラ等に設けられている除湿クーラーで発生する除湿水といった液が廃液として発生する。通常、これらの廃液はチューブによって各分析用装置とは別に設けられた廃液タンクへ導かれて各分析用装置から排出されるようになっているため、各分析用装置内の部品が廃液で濡れることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−155837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、廃液タンクが廃液で満たされたままであったり廃液を排出するためのチューブに詰まりが生じたりした場合には、廃液が分析用装置からうまく排出されず、分析用装置内で廃液の漏れが発生する。分析用装置内で廃液が漏れると、分析用装置内の電気部品が故障したり、漏れた有機溶媒によって分析者が中毒になったりする虞がある。そのため、廃液の排出に異常があったときにそれを迅速に検知できることが望ましい。
【0007】
しかしながら、廃液は排出されることが通常であるため、リーク液を検知するのと同様に廃液の排出経路上にセンサを配置しても、廃液の流れの異常を検知することは困難である。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、分析システムを構成する分析用装置で発生した廃液の排出異常を検知できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る廃液監視装置は、液体を用いて分析を行なうための分析システムを構成する少なくとも1つの分析用装置からの廃液の排出経路上に設けられ、前記廃液を一時的に受けて排出するための廃液受け部と、前記廃液受け部との間に仕切りを介して設けられ、前記仕切りを越えて前記廃液受け部から流出した廃液を受けるための流出液受け部と、前記流出液受け部内に設けられ、前記廃液受け部から流出した廃液を検知するための液センサと、を備えている。
【0010】
すなわち、本発明では、分析用装置で発生した廃液を直接的に廃液タンクへ排出するのではなく、廃液タンクまでの排出経路上に設けられた廃液受け部によって一旦、廃液を受けるようにする。そして、廃液受け部に隣接して流出液受け部を配置し、廃液受け部と流出液受け部を一定の高さの仕切りによって仕切り、流出液受け部に液センサを配置する。廃液の排出に異常がない場合は、廃液受け部で受けられた廃液は迅速に廃液受け部から排出される一方で、廃液受け部からのチューブ内に詰まりが生じたり廃液タンクが廃液で満杯になったりして廃液の排出に異常が発生した場合は、廃液受け部内に廃液が溜まっていくことになる。廃液受け部内に一定量の廃液が溜まると、廃液が仕切りを越えて流出液受け部側へ流入し、流出液受け部に流入した廃液が液センサによって検知される。流出液受け部に廃液が流入するのは廃液の排出に異常が生じている場合だけであるので、廃液の排出異常を液センサによって検知できることになる。
【0011】
前記廃液受け部と前記流出液受け部は共通の容器内に設けることができる。その場合、前記廃液受け部と前記流出液受け部を仕切っている前記仕切りを前記容器の外壁よりも低い高さで設けることで、廃液の排出に異常があった場合に、その廃液が前記容器から溢れる前に前記液センサによって異常を検知することができる。
【0012】
また、前記廃液受け部と前記流出液受け部の各々は、個別の容器で構成されており、前記仕切りは、相互に接続される、前記廃液受け部の容器の壁面と前記流出液受け部の容器の壁面とによって構成され、前記仕切りは、前記廃液受け部の容器の他の壁面および前記流出液受け部の容器の他の壁面よりも、低い高さで設けられていてもよい。
【0013】
また、前記流出液受け部で前記分析用装置におけるリーク液を受けるように構成し、前記流出受け部内に流入したリーク液が、前記液センサ又は別途設けられた第2の液センサによって検出されるようにしてもよい。そうすれば、前記液センサに、前記分析用装置におけるリーク液を検知するためのリークセンサとしての機能をもたせることができる。この場合、流出液受け部で受けたリーク液は廃液受け部を通じて廃液タンクに排出することができる。
【0014】
分析システムでは、通常は複数の廃液が発生する。例えば、液体クロマトグラフィーシステムのオートサンプラでは、サンプリングニードルの洗浄に使用された洗浄液や除湿クーラーで発生した除湿水などが廃液として発生する。本発明では、これら複数の廃液を共通の廃液受け部で受けられるように装置を構成してもよい。そうすれば、装置構成が簡単になり、コストの低減を図ることができる。
【0015】
一方で、廃液受け部を複数設け、複数の廃液を互いに異なる廃液受け部によって受けるように装置を構成してもよい。その場合、複数の廃液受け部が互いに異なる廃液タンクに通じるようにすることで、例えば有機溶媒を含む廃液と含まない廃液といったように廃液の性質によって排出先を分けることができる。
【0016】
上記の場合でも、いずれかの廃液受け部側で廃液の排出に異常が発生したときに、その廃液受け部から流出した廃液が流出液受け部から溢れたときに、別の廃液受け部を介して当該別の廃液受け部と通じている廃液タンクに排出されるように構成されていることが好ましい。そうすれば、廃液が流出液受け部から溢れた場合でも、溢れた廃液が分析用装置内を濡らして故障等を発生させることを防止できる。
【0017】
好ましい実施形態では、前記複数の廃液受け部の各々と前記流出受け部との間の前記仕切りは、それぞれ高さが異なっている。
【0018】
また、前記流出液受け部内に流入した廃液は廃液タンクに排出されるように構成されていることが好ましい。
【0019】
前記分析システムとしては液体クロマトグラフィー分析を行なうための分析システムが挙げられる。この場合、前記廃液受け部及び前記流出液受け部は前記分析システムをなす前記分析用装置の1つであるオートサンプラ内に設けることができる。なお、前記廃液受け部及び前記流出液受け部はオートサンプラ以外の分析用装置内に設けても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る廃液監視装置では、廃液タンクまでの経路上に設けられた廃液受け部によって廃液を受け、仕切りを介して廃液受け部に隣接するように設けられた流出液受け部内に液センサが配置されているので、廃液の排出異常を液センサによって検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】廃液監視装置の一実施例を示す概略構成図である。
図2】同実施例において廃液の排出に異常が生じたときの廃液の状態を示す図である。
図3】同実施例においてリーク液が発生したときのリーク液の流れを示す図である。
図4】廃液監視装置の他の実施例を示す概略構成図である。
図5】同実施例において廃液1の流れに異常が生じたときの廃液の状態を示す図である。
図6】同実施例において廃液2の流れに異常が生じたときの廃液の状態を示す図である。
図7】同実施例においてリーク液が発生したときのリーク液の流れを示す図である。
図8】液体クロマトグラフィー分析システムへの廃液監視装置の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、廃液監視装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
図1は廃液監視装置の一実施例を示す概略構成図である。
【0024】
この実施例の廃液監視装置は、廃液受け部4、流出液受け部6、仕切り8、及び液センサ10を備えている。廃液受け部4と流出液受け部6は共通の容器2内において仕切り8によって仕切られた区画である。仕切り8は容器2の外壁よりも低く設けられている。
【0025】
廃液受け部4の上方には、分析システムを構成する分析用装置(例えば、オートサンプラ)で発生した廃液用の流路12、14の端部が配置されており、流路12、14の端部から滴下される廃液A、Bが廃液受け部4によって受けられるようになっている。廃液A、Bは、例えば、サンプリングニードルの洗浄に用いられた洗浄液や除湿クーラーで発生した除湿水などである。廃液受け部4は排出チューブ11を介して廃液タンクに通じており、廃液受け部4によって受けられた廃液A、Bは排出チューブ11を通じて廃液タンクに排出されるように構成されている。すなわち、廃液受け部4は、分析用装置で発生した廃液が廃液タンクへ排出されるまでの排出経路上で廃液を一時的に受けるためのものである。
【0026】
なお、この実施例では、2種類の廃液A、Bを廃液受け部4で受けるようになっているが、1種類のみの廃液、又は3種類以上の廃液が廃液受け部4で受けるようになっていてもよい。
【0027】
流出液受け部6の上方には、分析用装置で発生したリーク液用の流路16の端部が配置されており、流路16の端部から滴下されたリーク液が流出液受け部6によって受けられるようになっている。
【0028】
液センサ10は流出液受け部6内に設けられており、流出液受け部6内に流入した液を検知することができる。流出液受け部6内に設けられた液センサ10は、リーク液を検知するリークセンサとしての機能と、廃液の排出異常を検知する廃液センサとしての機能を兼ね備えるものである。液センサ10は、例えば、静電容量センサや電極間抵抗検知センサのほか、フロート式センサ、超音波式センサ、重量式センサなどによって実現することができる。
【0029】
廃液の排出異常とは、排出チューブ11に詰まりが生じたり廃液タンクが満杯になったりして、廃液受け部4から廃液タンクへ廃液が流れない状態、若しくは流れにくくなる状態になることをいう。廃液の排出に異常が発生すると、図2に示されているように、廃液受け部4内に廃液が溜まり、廃液受け部4から溢れた廃液が仕切り8を越えて流出液受け部6内に流入し、液センサ10によって検知される。
【0030】
この実施例では、液センサ10の出力信号が、分析システムの動作管理を行なうシステム管理装置100に送信されるようになっている。廃液の排出に異常が発生した状態で分析が続行されると、容器2内に廃液が溜まり続け、いずれ廃液が容器2から外部へ流出する。このような事態を避けるために、廃液の排出に異常が発生した場合に、液センサ10からの出力信号を受けたシステム管理装置100は、分析システムにおける分析動作を停止させたりユーザに警告を発したりするようになっていることが好ましい。
【0031】
また、流出液受け部6は廃液タンクに通じていないため、分析用装置で液漏れが発生したときにリーク液が流出液受け部6に溜まり続けるが、図3に示されているように、流出液受け部6から溢れたリーク液は廃液受け部4に流入し、排出チューブ11を通じて廃液タンクへ排出されるので、リーク液が容器2から溢れることはない。
【0032】
上記実施例では、流出液受け部6にリーク液が滴下されることによって液センサ10により液漏れを検知することができるように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、リーク液を検知するためのリークセンサを液センサ10とは別に第2の液センサとして設けてもよい。
【0033】
また、上記実施例では、廃液受け部4と流出液受け部6とが共通の1つの容器で構成されているが、これに限定されず、廃液受け部4と流出液受け部6の各々は個別の容器で構成されて相互に接続されていてもよい。この場合、仕切りは、相互に接続される、廃液受け部4の容器の壁面と流出液受け部6の容器の壁面とによって構成されている。仕切りは、廃液受け部4の容器の他の壁面および流出液受け部6の容器の他の壁面よりも、低い高さで設けられている。
【0034】
また、上記実施例では、流出受け部6には排出チューブが設けられていないが、これに限定されず、流出受け部6も排出チューブを介して廃液タンクへ接続されていてもよい。この場合、流出受け部6に溜まったリーク液や廃液を、流出受け部6に接続された排出チューブを介して廃液タンクへ排出することができる。
【0035】
これらの変形は、以下の実施例においてもそれぞれ適用することができる。
【0036】
また、上記実施例では、複数種類の廃液A、Bを共通の廃液受け部4で受けるように構成されているが、廃液の種類によって別々の廃液受け部で受けるようにしてもよい。
【0037】
図4は、種類の異なる廃液を異なる廃液受け部で受けるようにした実施例を示す概略構成図である。
【0038】
この実施例では、容器2内に、流路12から滴下される廃液Aを受けるための廃液受け部4a、流路14から滴下される廃液Bを受けるための廃液受け部4b、及び流出液受け部6が設けられている。廃液受け部4aは仕切り8aを介して流出液受け部6と隣接しており、廃液受け部4bは仕切り8bを介して流出液受け部6と隣接している。流出液受け部6内に液センサ10が設けられている。流路16から滴下されるリーク液を流出液受け部6で受けるようになっており、液漏れを液センサ10によって検知できるように構成されている。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、リーク液を検知するためのリークセンサを液センサ10とは別に設けてもよい。
【0039】
廃液受け部4aは排出チューブ11aを介して廃液タンクAに通じており、廃液受け部4bは排出チューブ11bを介して廃液タンクBに通じている。この廃液監視装置が液体クロマトグラフィー分析システムに適用される場合、除湿クーラーで発生した除湿水のような有機溶媒を含まない廃液を廃液Aとし、サンプリングニードルの洗浄に供された洗浄液のような有機溶媒を含む廃液を廃液Bとすることができる。これにより、有機溶媒を含まない廃液Aと有機溶媒を含む廃液Bを異なる廃液タンクA、Bへ排出することができ、廃液の管理が容易になる。
【0040】
液センサ10は、リーク液のほか、廃液受け部4aから流出液受け部6に流入してきた廃液A、及び廃液受け部4bから流出液受け部6に流入してきた廃液Bを検知することができる。
【0041】
廃液受け部4aから廃液タンクAへの廃液の排出に異常が生じた場合は、図5に示されているように、廃液受け部4aから溢れた廃液Aが流出液受け部6に流入し、液センサ10によって検知される。この状態が維持されたとしても、流出液受け部6から溢れた廃液Aは廃液受け部4bに流入し、排出チューブ11bを通じて廃液タンクBへ排出されるので、容器2から流出することはない。
【0042】
廃液受け部4bから廃液タンクBへの廃液の排出に異常が生じた場合は、図6に示されているように、廃液受け部4bから溢れた廃液Bが流出液受け部6に流入し、液センサ10によって検知される。この状態が維持されたとしても、流出液受け部6から溢れた廃液Bは廃液受け部4aに流入し、排出チューブ11aを通じて廃液タンクAへ排出されるので、容器2から流出することはない。
【0043】
また、図7に示されているように、廃液受け部4bと流出液受け部6との間に介在する仕切り8bは、廃液受け部4aと流出液受け部6との間に介在する仕切り8aよりも低くなっており、流出液受け部6から溢れたリーク液は廃液受け部4b側へ流出し、廃液タンクBへ排出されるようになっている。これにより、有機溶媒を含むリーク液が発生した場合に、有機溶媒を含むリーク液が有機溶媒を含まない廃液Aを貯留するための廃液タンクAに混入することを防止できる。
【0044】
以上において説明した廃液監視装置を液体クロマトグラフィー分析システムに適用した例を、図8を用いて説明する。
【0045】
この例の液体クロマトグラフィー分析システムは、当該分析システムを構成する分析用装置として、システム全体の動作管理を行なうシステム管理装置100、移動相を送液する送液装置200、試料を自動的に採取して分析流路中に注入するオートサンプラ300、試料を成分ごとに分離するための分離カラム内部に収容するカラムオーブン400、及び分離カラムで分離された試料成分を検出するための検出器500を備えている。
【0046】
廃液監視装置の容器2はオートサンプラ300内に設けられており、容器2に設けられた廃液受け部4と流出液受け部6に、この分析システムを構成する各分析用装置で発生した廃液とリーク液が滴下されるように構成されている。廃液受け部4に滴下される廃液としては、オートサンプラ300に設けられている除湿クーラーで発生した除湿水やサンプリングニードルの洗浄に供された洗浄液のほか、検出器500から流出した移動相などが挙げられる。流出液受け部6に滴下されるリーク液は、この分析システムを構成する各分析用装置で発生したリーク液である。
【0047】
流出液受け部6内に設けられている液センサ10の出力信号はシステム管理装置100に取り込まれるようになっており、液センサ10がリーク液の存在、若しくは廃液の流れの異常を検知したときに、システム管理装置100が分析動作を停止させたり、ユーザに対して警告を表示したりするようになっている。
【0048】
上記のように構成すれば、分析システム内で発生したリーク液を1つの液センサ10によって検知することができるだけでなく、分析システム内で発生した廃液の排出の流れも1つの液センサ10によって監視することができる。
【符号の説明】
【0049】
2 容器
4,4a,4b 廃液受け部
6 流出液受け部
8,8a,8b 仕切り
10 液センサ
11,11a,11b 排出チューブ
12,14,16 流路
100 システム管理装置
200 送液装置
300 オートサンプラ
400 カラムオーブン
500 検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8