【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、フルエンスマップを生成するための方法、及び/または放射線治療計画のためのフルエンスマップ最適化(FMO)が記載されている。FMOのための方法の一変形例は、平滑化された非可微分ペナルティ関数を用いた近接勾配法(例えば、FISTAなどの加速近接勾配法)を含み、放射線療法システムが使用することができるフルエンスマップを計算し、指定された放射線量を、1つまたは複数の対象の領域(ROI)または対象の体積(VOI)に照射することができる。このフルエンスマップは、所定の放射線量計画(例えば、治療計画)に由来する放射線小線束データ(例えば、小線束強度データ)のセットを含むことができる。フルエンスマップを使用して、ROIに対して1つまたは複数の選択された角度に放射線源を位置決めし、所望の放射線量がROIに照射するように、放射線源のビーム強度を調整し、同時に放射線被曝による臓器の危険性(OAR)を低減することができる。本明細書に記載された方法は、OARの放射線被曝が、予め選択された閾値未満となるように、フルエンスマップを計算することができ、同時に、依然として、選択された放射線量をROIに送達することができる。いくつかの変形例が、1つまたは複数のL
1型ペナルティまたはコスト関数を使用することができ、これに対して、他の変形例は、1つまたは複数のL
2型ペナルティまたはコスト関数を使用することができる。
【0005】
放射線療法のためのフルエンスマップを計算または生成することには、対象の体積を選択すること、対象の体積内の複数のボクセルを選択すること、及び候補小線束のセットb={b
i}を選択することが含まれる。小線束は、(例えば、
図1Bに示すように)多分割コリメータ分割開口により画定される全放射線ビームの一部とすることができる。複数のボクセルの各々が、許容線量範囲(例えば、最大放射線量基準及び最小放射線量基準)を有することができ、この許容線量範囲は、治療計画及び/または臨床医により画定される。候補小線束のセットは、初期小線束強度重みx
0={x
i0}を有することができる。この方法は、候補小線束のセットbに基づいて、対象の体積に対する線量マトリクスAを計算することを含むことができる。この線量マトリクスAは、候補小線束のセットbにより複数のボクセルの各々に送達されるボクセル当たりの線量を表す。n個の候補小線束{b
i}及びk個の予め選択されたボクセルを有するVOIに対する線量計算マトリクスAの一例は、(k×n)マトリクスである。線量計算マトリクスAの第i番目の列(k個の要素を有する)は、単一重み付け小線束b
iからk個の各ボクセルへの線量寄与を表す。線量マトリクスAは、例えば、患者の体積を貫通する経路に沿って各小線束のアパーチャを光線追跡し、k個のボクセルの各々に対する単一重み付け小線束の寄与を計算することによって、列単位で計算されることができる。この線量計算処理のためのいくつかの既知のアルゴリズムが存在し、それらの精度及び速度には、違いがある。本明細書に記載された任意の方法で用いることができる線量計算アルゴリズムのいくつかの例としては、モンテカルロシミュレーション、コラプストコーンコンボリューションスーパーポジション、ペンシルビームコンボリューションなどを挙げることができる。
【0006】
また、フルエンスマップ生成方法は、1つまたは複数の線形ペナルティを含むペナルティ関数を用いる近接勾配法(x
k−1→x
k)に従って、初期小線束強度重みを調整することによって、小線束強度重みの最終セットx
kを有するフルエンスマップを計算することも含むことができる。この近接勾配法は、高速反復縮小閾値アルゴリズム(FISTA)などの加速近接勾配法とすることができる。近接勾配法は、小線束強度重みの反復間の変化が所定の誤差基準未満となるように、調整される小線束強度重みが小線束強度重みの最終セットに収斂するまで、初期小線束強度重みに関して反復することができる。より一般的には、この方法は、任意の近接方法を用いることができる。最適化問題を解くことは、実数値関数を最小化または最大化する入力値を見つけることを必要とする。最小化が使用される場合、関数は、多くの場合、「コスト関数」または「ペナルティ関数」と呼ばれる。凸最適化は、様々な種類の関数をいわゆる凸関数に限定する。凸最適化のためのアルゴリズムは、グローバル最小値への収斂を保証し、他の有用な特性を有することができる。近接アルゴリズムまたは方法は、凸最適化問題を解くためのアルゴリズムであり、フルエンスマップ生成において、例えば凸ペナルティ関数を最小化するためのアルゴリズムであり得る。近接アルゴリズムは、ペナルティ関数の成分の近接演算子を使用する。関数の近接演算子を評価するには、小規模な凸最適化問題を解く必要がある。これらの小規模なサブ問題の場合、通常、閉形式解が存在し、アルゴリズム全体を効率よくする。近接勾配アルゴリズムは、近接アルゴリズムの一例であり、コストまたはペナルティ関数は、f(x)+g(x)として分離されることができると仮定され、ここで、f(x)は、微分可能であり、g(x)は、近接演算子の単純な閉形式を有する。放射線療法フルエンスマップ最適化及び/またはフルエンスマップ生成の場合、最適化問題は、多重小線束及び多重ボクセルを必要とするが、ペナルティ関数は、スカラ実数値関数である必要がある。通常使用されるペナルティ関数(またはコスト関数)は、多重成分の総和を含むことができ、各成分は、反復処理を実行して特定の問題目標を満たすような解に誘導する。放射線療法の場合において、満たされるべき問題目標は、患者内のVOI(または複数のVOI)に対する処方標的線量である。そして次にまた、各成分は、多重ボクセルの多重小線束にわたる総和でもある。ペナルティ関数成分の一般的な選択は、L
2ペナルティであり、2次ペナルティとしても知られている。二次ペナルティまたはコスト関数は、二乗和であり、例えばsum
i(d
i2)は、線量全体を最小化する傾向があるペナルティである。ペナルティまたはコスト関数のいくつかの成分は、また、線形ペナルティとしても知られているL
1ペナルティとすることができ、このペナルティは、単純な総和、例えばsum
i(d
i)である。ペナルティまたはコスト関数は、1つのまたは複数のL
1ペナルティ、及び/または1つもしくは複数のL
2ペナルティを含むことができる。加速近接勾配法は、(運動量項などの)加算項を含み、解集合への収斂に直接関連し、かつ/または加速させる(すなわち、反復の割合を増加させる、反復の回数を減少させる)のに役立つことができる。
【0007】
フルエンスマップを生成または計算することは、ペナルティ関数が微分可能となるように、そのペナルティ関数を平滑化することを含むことができる。例えば、ペナルティ関数は、Moreau−Yosida正則化を用いて平滑化されることができる。小線束強度重みの初期セット{x
0}は、オールゼロベクトルである。候補小線束のセットb中の小線束が、発射位置または発射角度のより小さいセット{f
i}間で分割されている。発射位置は、放射線源が、小線束を発射するように(例えば、患者領域に対して)位置決めされることができる場所である。放射線源が円形の回転可能なガントリ上に搭載されている放射線治療システムでは、発射位置は、発射角度であり、患者治療領域の周りの円形ガントリの周りの場所(0度から360度まで)によって特定されることができる。例えば、発射角度のセット{f
i}は、放射線治療装置の患者領域の周りの複数の角度を含むことができる。この複数の発射角度は、患者領域の周りに360度均一に分布されることができる。
【0008】
本明細書に記載された任意の近接勾配法ペナルティ関数は、1つまたは複数の二次またはL
2ペナルティを含むことができる。ペナルティ関数は、許容線量範囲外のボクセル線量エクスカーションにペナルティを科すことができる。すなわち、近接勾配法反復の一部として、許容線量範囲外の線量偏差の大きさが、小線束重みのセットの計算の中に組み込まれる。そのようなペナルティ関数は、結果として許容線量範囲内にないボクセルまたはVOIへの線量送達となる小線束を抑止することができる。いくつかの方法は、対象の体積内の全ボクセルのうちの許容線量範囲外のボクセル線量エクスカーションを集約する一価ペナルティ関数を含むペナルティ関数を有することができる。複数のボクセルの各々の許容線量範囲は、治療計画によって少なくとも部分的に決定されることができる。
【0009】
フルエンススマップの生成または計算は、第2の対象の体積を選択すること、ボクセルの各々が許容線量範囲を有する、第2の対象の体積内の第2の複数のボクセルを選択すること、ならびに第2の対象の体積及び第2の複数のボクセルを含むように線量マトリクスAを計算することを含むことができる。すなわち、線量マトリクスAは、候補小線束のセットbによって第1及び第2の複数のボクセルの各々に送達されるボクセル当たりの線量を表すことができる。別の選択肢として、いくつかの方法は、フルエンスマップを分割して多分割コリメータ及び放射線源位置決め命令のセットにすることを含むことができる。
【0010】
また、放射線治療のためのフルエンスマップを計算または生成するためのシステムが、本明細書に記載されている。システムは、プロセッサであって、対象の体積を選択することと、対象の体積内の複数のボクセルを選択することであって、ボクセルの各々が許容線量範囲を有する複数のボクセルを選択することと、初期小線束強度重みx
0={x
i0}を有する候補小線束のセットb={b
i}を選択することと、候補小線束のセットbに基づいて対象の体積に対する線量マトリクスAを計算することであって、この線量マトリクスAは、候補小線束のセットbによって複数のボクセルの各々に送達されるボクセル当たりの線量を表す、計算することと、小線束強度重みの反復間の変化が所定の誤差基準未満となるように、調整される小線束強度重みが小線束強度重みの最終セットに収斂するまで、前記初期小線束強度重みに対して反復する1つまたは複数の線形ペナルティを含むペナルティ関数を用いて、近接勾配法更新(x
k−1→x
k)に従って前記初期小線束強度重みを調整することにより、小線束強度重みの最終セットx
kを含むフルエンスマップを計算することと、を行なうように構成されたプロセッサ、を含むことができる。また、このプロセッサは、フルエンスマップをプロセッサメモリに保存するように構成されることもできる。小線束は、(例えば、
図1Bに示すように)多分割コリメータ分割開口により画定される全放射線ビームの一部とすることができる。複数のボクセルの各々が、許容線量範囲(例えば、最大放射線量基準及び最小放射線量基準)を有することができ、この許容線量範囲は、治療計画及び/または臨床医により画定される。候補小線束のセットは、初期小線束強度重みx
0={x
i0}を有することができる。この線量マトリクスAは、候補小線束のセットbにより複数のボクセルの各々に送達されるボクセル当たりの線量を表す。n個の候補小線束{b
i}、及びk個の予め選択されたボクセルを有するVOIに対する線量計算マトリクスAの一例は、(kxn)マトリクスである。線量計算マトリクスAの第i番目の列(k個の要素を有する)は、単一重み付け小線束b
iから各k個のボクセルへの線量寄与を表す。線量マトリクスAは、例えば、患者の体積を貫通する経路に沿って各小線束のアパーチャを光線追跡し、k個のボクセルの各々に対する単一重み付け小線束の寄与を計算することによって、列単位で計算されることができる。この線量計算処理のためのいくつかの既知のアルゴリズムが存在し、それらの精度及び速度には、違いがある。本明細書に記載された任意の方法で用いることができる線量計算アルゴリズムのいくつかの例としては、モンテカルロシミュレーション、コラプストコーンコンボリューションスーパーポジション、ペンシルビームコンボリューションなどが挙げられる。
【0011】
システムプロセッサが、高速反復縮小閾値アルゴリズム(FISTA)などの加速近接勾配法とすることができる近接勾配法の上で反復するように構成されることができる。近接勾配法は、小線束強度重みの反復間の変化が所定の誤差基準未満となるように、調整される小線束強度重みが小線束強度重みの最終セットに収斂するまで、初期小線束強度重みに関して反復することができる。より一般的には、この方法は、任意の近接方法を用いることができる。最適化問題を解くことは、実数値関数を最小化または最大化する入力値を見つけることを必要とする。最小化が使用される場合、関数は、多くの場合、「コスト関数」または「ペナルティ関数」と呼ばれる。凸最適化は、様々な種類の関数をいわゆる凸関数に限定する。凸最適化のためのアルゴリズムは、グローバル最小値への収斂を保証し、他の有用な特性を有することができる。近接アルゴリズムまたは方法は、凸最適化問題を解くためのアルゴリズムであり、フルエンスマップ生成において、例えば凸ペナルティ関数を最小化するためのアルゴリズムであり得る。近接アルゴリズムは、ペナルティ関数の成分の近接演算子を使用する。関数の近接演算子を評価するには、小規模な凸最適化問題を解く必要がある。これらの小規模なサブ問題の場合、通常、閉形式解が存在し、アルゴリズム全体を効率よくする。近接勾配アルゴリズムは、近接アルゴリズムの一例であり、コストまたはペナルティ関数は、f(x)+g(x)として分離されることができると仮定され、ここで、f(x)は、微分可能であり、g(x)は、近接演算子の単純な閉形式を有する。放射線療法フルエンスマップ最適化及び/またはフルエンスマップ生成の場合、最適化問題は、多重小線束及び多重ボクセルを必要とするが、ペナルティ関数は、スカラ実数値関数である必要がある。通常使用されるペナルティ関数(またはコスト関数)は、多重成分の総和を含むことができ、各成分は、反復処理を実行して特定の問題目標を満たすような解に誘導する。放射線療法の場合において、満たされるべき問題目標は、患者内のVOI(または複数のVOI)に対する処方標的線量である。そして次にまた、各成分は、多重ボクセルの多重小線束にわたる総和でもある。ペナルティ関数成分に対する一般的な選択は、L
2ペナルティであり、二次ペナルティとしても知られている。二次ペナルティまたはコスト関数は、二乗和であり、例えばsum
i(d
i2)は、線量全体を最小化する傾向があるであろうペナルティである。ペナルティまたはコスト関数のいくつかの成分は、また、線形ペナルティとしても知られているL
1ペナルティとすることができ、このペナルティは、単純な総和、例えばsum
i(d
i)である。ペナルティまたはコスト関数は、1つのまたは複数のL
1ペナルティ、及び/または1つもしくは複数のL
2ペナルティを含むことができる。加速近接勾配法は、(運動量項などの)加算項を含み、解集合への収斂に直接関連し、かつ/または加速させる(すなわち、反復の割合を増加させる、反復の回数を減少させる)のに役立つことができる。
【0012】
フルエンスマップを生成するために構成されたいくつかのプロセッサは、ペナルティ関数が微分可能となるように、そのペナルティ関数を平滑化するように構成されることができる。例えば、ペナルティ関数は、Moreau−Yosida正則化を用いて平滑化されることができる。小線束強度重みの初期セット{x
0}は、オールゼロベクトルである。候補小線束のセットb中の小線束が、発射位置または発射角度のより小さいセット{f
i}間で分割されている。発射位置は、放射線源が、小線束を発射するように(例えば、患者領域に対して)位置決めされることができる場所である。放射線源が円形の回転可能なガントリ上に搭載されている放射線治療システムでは、発射位置は、発射角度であり、患者治療領域の周りの円形ガントリの周りの場所(0度から360度まで)によって特定されることができる。例えば、発射角度のセット{f
i}は、放射線治療装置の患者領域の周りの複数の角度を含むことができる。この複数の発射角度は、患者領域の周りに360度均一に分布されることができる。
【0013】
フルエンスマップを生成するように構成されたシステムプロセッサは、1つまたは複数の二次またはL
2ペナルティを有する、本明細書に記載された任意の近接勾配法ペナルティ関数を使用することができる。ペナルティ関数は、許容線量範囲外のボクセル線量エクスカーションにペナルティを科すことができる。すなわち、近接勾配法反復の一部として、許容線量範囲外の線量偏差の大きさが、小線束重みのセットの計算の中に組み込まれる。そのようなペナルティ関数は、結果として許容線量範囲内にないボクセルまたはVOIへの線量送達となる小線束を抑止することができる。いくつかの方法は、対象の体積内の全ボクセルのうちの許容線量範囲外のボクセル線量エクスカーションを集約する一価ペナルティ関数を含むペナルティ関数を有することができる。複数のボクセルの各々の許容線量範囲は、治療計画によって少なくとも部分的に決定されることができる。
【0014】
フルエンスマップを生成するためのシステムが、プロセッサであって、第2の対象の体積を選択し、第2の対象の体積内の第2の複数のボクセルであって前記ボクセルの各々が許容線量範囲を有する第2の複数のボクセルを選択し、そして第2の対象の体積及び第2の複数のボクセルを含むように線量マトリクスAを計算するように構成されるプロセッサを含むことができる。すなわち、線量マトリクスAは、候補小線束のセットbによって第1及び第2の複数のボクセルの各々に送達されるボクセル当たりの線量を表すことができる。放射線システムが、治療用放射線源のビーム経路内に配設された多分割コリメータをさらに含み、プロセッサが、フルエンスマップを分割して多分割コリメータ命令のセットにし、放射線治療システムにそれらの命令を送信するように構成されることができる。放射線治療システムは、1つまたは複数のPET検出器を含むことができる。放射線治療システムの治療用放射線源は、少なくとも約40RPMの速度で患者領域の周りで移動可能とすることができる。
【0015】
1つまたは複数の平滑化された線形ペナルティ(例えば、正則化されたL
1ペナルティ)を有するペナルティ関数(コスト関数としても知られている)を用いた近接勾配法を含むフルエンスマップ生成方法は、重み付け二次ペナルティを使用するフルエンスマップ生成方法をしのぐ利点を有することができる。フルエンスマップ生成方法は、通常、ペナルティ関数全体の成分としてユーザが特定した線量制限に由来する重み付け二次ペナルティ(例えば、L
2ペナルティ)を使用する。ボクセルにおける最小及び最大線量制約をモデル化するために二次ペナルティを使用することは、多くの場合、結果として所望の線量制約(例えば、最小線量、または最大線量または他の線量)のうちで多くのわずかな大きさの違反を伴う解を生じさせ、臨床上望まれるものを越えるペナルティ関数の最小線量を増加するように、または最大線量を減少するように、ユーザに要求し、その結果、問題が、元の臨床的に望ましい制約に違反することなく、解に収斂させることができる。ユーザが採用する別の方策としては、ペナルティ関数成分の重み付けを手入力で調整することである。二次ペナルティは、また、小線束重みのセットに収斂する前に、より多くの反復回数を要求することもできる。場合によっては、二次ペナルティまたはコスト関数を含むフルエンスマップ生成方法は、結果として、ユーザが課した制約のうちより多くの違反をもたらす小線束重みのセットを生成する可能性がある。対照的に、ペナルティ関数内に線形(例えば、L
1ペナルティ)成分を有する近接勾配法(例えば、FISTAである加速近接勾配法)を含む本明細書に記載されるフルエンスマップ生成方法は、小線束重みのセットにより速く(すなわち、より少ない反復で)収斂させることができ、結果として、臨床治療の線量の違反がより少なく、かつユーザが必要となる介入(重み付け調整など)がより少ない解とすることができ、プロセッサ内での実行をより単純に、かつ計算処理量を少なくし、ならびに/またはマルチコアCPU及び/もしくはGPU上での並列化に一層適用可能とすることができる。1つまたは複数のL
1ペナルティを有するペナルティまたはコスト関数を伴う近接勾配法を含むフルエンスマップ生成方法は、1つまたは複数のL
2ペナルティを有するペナルティまたはコスト関数を伴う方法と比較すると、ユーザが特定した計画目標、例えば最小標的ROI線量またはVOI線量、最大OAR線量に対してより良好な計画適合性を促進することができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
放射線療法のためのフルエンスマップを計算するための方法であって、前記方法は、
対象の体積を選択することと、
前記ボクセルの各々が許容線量範囲を有する、前記対象の体積内の複数のボクセルを選択することと、
初期小線束強度重みx
0={x
i0}を有する候補小線束のセットb={b
i}を選択することと、
前記線量マトリクスAは、前記候補小線束のセットbによって前記複数のボクセルの各々に送達されるボクセル当たりの線量を表す、前記候補小線束のセットbに基づいて前記対象の体積に対する線量マトリクスAを計算することと、
小線束強度重みの反復間の変化が所定の誤差基準未満となるように、調整される小線束強度重みが小線束強度重みの最終セットに収斂するまで、前記初期小線束強度重みに対して反復する1つまたは複数の線形ペナルティを含むペナルティ関数を用いて、近接勾配法(x
k−1→x
k)に従って前記初期小線束強度重みを調整することにより、小線束強度重みの最終セットx
kを有するフルエンスマップを計算することと、を含む、方法。
(項目2)
前記近接勾配法が、加速近接勾配法である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記近接勾配法が、高速反復縮小閾値アルゴリズム(FISTA)である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記1つまたは複数の線形ペナルティが、1つまたは複数のL
1ペナルティを含む、項目1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記ペナルティ関数が、微分可能であるように平滑化されている、項目1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記ペナルティ関数が、Moreau−Yosida正則化を用いて平滑化されている、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記小線束強度重みの初期セット{x
0}が、オールゼロベクトルである、項目1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記候補小線束のセットb中の前記小線束が、発射角度のより小さいセット{f
i}間で分割されている、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記発射角度のセット{f
i}が、放射線治療装置の患者領域の周りの複数の角度を含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記複数の発射角度が、前記患者領域の周りに360度均一に分布している、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記近接勾配法ペナルティ関数が、1つまたは複数の2次のペナルティを含む、項目1〜10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記1つまたは複数の2次のペナルティが、1つまたは複数のL
2ペナルティを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記ペナルティ関数が、前記許容線量範囲外のボクセル線量エクスカーションにペナルティを科す、項目1〜12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記ペナルティ関数が、前記対象の体積中のボクセルの全ての前記許容線量範囲外の前記ボクセル線量エクスカーションを集約する一価ペナルティ関数である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記複数のボクセルの各々の前記許容線量範囲が、治療計画によって少なくとも部分的に決定される、項目1〜14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記対象の体積が、第1の対象の体積であり、前記方法が、
第2の対象の体積を選択することと、
前記ボクセルの各々が許容線量範囲を有する、前記第2の対象の体積内の第2の複数のボクセルを選択することと、をさらに含み、
前記線量マトリックスAを計算することは、前記候補小線束のセットbに基づいて前記第1及び第2の対象の体積に対する前記線量マトリクスAを計算することをさらに含み、前記線量マトリクスAは、前記候補小線束のセットbによって前記第1及び第2の複数のボクセルの各々に送達されるボクセル当たりの線量を表す、項目1〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記フルエンスマップを分割して、多分割コリメータ及び放射線源位置決め命令のセットにすることをさらに含む、項目1〜16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
放射線治療のためのフルエンスマップを計算するためのシステムであって、前記システムは、
プロセッサであって、前記プロセッサは、
対象の体積を選択することと、
前記ボクセルの各々が許容線量範囲を有する、前記対象の体積内の複数のボクセルを選択することと、
初期小線束強度重みx
0={x
i0}を有する候補小線束のセットb={b
i}を選択することと、
前記線量マトリクスAは、前記候補小線束のセットbによって前記複数のボクセルの各々に送達されるボクセル当たりの線量を表す、前記候補小線束のセットbに基づいて前記対象の体積に対する線量マトリクスAを計算することと、
小線束強度重みの反復間の変化が所定の誤差基準未満となるように、調整される小線束強度重みが小線束強度重みの最終セットに収斂するまで、前記初期小線束強度重みに対して反復する1つまたは複数の線形ペナルティを含むペナルティ関数を用いて、近接勾配法更新(x
k−1→x
k)に従って前記初期小線束強度重みを調整することにより、小線束強度重みの最終セットx
kを含むフルエンスマップを計算することと、
前記フルエンスマップをプロセッサメモリに保存することと、を行なうように構成された、プロセッサを備える、システム。
(項目19)
前記近接勾配法が、加速近接勾配法である、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記加速近接勾配法が、高速反復縮小閾値アルゴリズム(FISTA)である、項目19に記載のシステム。
(項目21)
前記1つまたは複数の線形ペナルティが、1つまたは複数のL
1ペナルティを含む、項目18〜20のいずれか1項に記載のシステム。
(項目22)
前記ペナルティ関数が、微分可能であるように平滑化されている、項目18〜21のいずれか1項に記載のシステム。
(項目23)
前記ペナルティ関数が、Moreau−Yosida正則化を用いて平滑化されている、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記ペナルティ関数が、前記許容線量範囲外のボクセル線量エクスカーションにペナルティを科す、項目18〜23のいずれか1項に記載のシステム。
(項目25)
前記ペナルティ関数が、前記対象の体積内の前記ボクセルの全ての前記許容線量範囲外の前記ボクセル線量エクスカーションを集約する一価ペナルティ関数である、項目24に記載のシステム。
(項目26)
前記複数のボクセルの各々の前記許容線量範囲が、治療計画によって少なくとも部分的に決定されている、項目18〜25のいずれか1項に記載のシステム。
(項目27)
前記プロセッサが、
第2の対象の体積を選択することと、
前記ボクセルの各々が許容線量範囲を有する、前記第2の対象の体積内の第2の複数のボクセルを選択することと、を行なうように、さらに構成され、
前記線量マトリックスAを計算することは、前記候補小線束のセットbに基づいて、前記第1及び第2の対象の体積に対する前記線量マトリクスAを計算することをさらに含み、前記線量マトリクスAは、前記候補小線束のセットbによって前記第1及び第2の複数のボクセルの各々に送達されるボクセル当たりの線量を表す、項目18〜26のいずれか1項に記載のシステム。
(項目28)
患者領域の周りを移動可能であり、かつ前記フルエンスマップに従って前記患者領域に放射線小線束を照射するように構成された治療用放射線源を含む放射線治療システムをさらに備える、項目18〜27のいずれか1項に記載のシステム。
(項目29)
前記発射角度のセット{f
i}が、放射線治療装置の前記患者領域の周りの複数の角度を含む、項目28に記載のシステム。
(項目30)
前記複数の発射角度が、前記患者領域の周りに360度均一に分布している、項目29に記載のシステム。
(項目31)
前記放射線治療システムが、前記治療用放射線源のビーム経路内に配設された多分割コリメータをさらに備え、前記プロセッサが、前記フルエンスマップを分割して多分割コリメータ命令のセットにし、前記放射線治療システムに前記命令を送信するように構成されている、項目28〜30のいずれか1項に記載のシステム。
(項目32)
前記放射線治療システムが、1つまたは複数のPET検出器をさらに備える、項目28〜31のいずれか1項に記載のシステム。
(項目33)
前記治療用放射線源が、少なくとも約40RPMの速度で前記患者領域の周りで移動可能である、項目28〜32のいずれか1項に記載のシステム。