特許第6889541号(P6889541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6889541内部熱交換器一体型アキュムレータ及びこれを用いた冷凍サイクル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6889541
(24)【登録日】2021年5月25日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】内部熱交換器一体型アキュムレータ及びこれを用いた冷凍サイクル
(51)【国際特許分類】
   F25B 43/00 20060101AFI20210607BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20210607BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   F25B43/00 G
   F25B43/00 D
   B60H1/32 613A
   F25B1/00 331G
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-218287(P2016-218287)
(22)【出願日】2016年11月8日
(65)【公開番号】特開2018-76993(P2018-76993A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀込 俊
【審査官】 佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02136160(EP,A2)
【文献】 実開昭52−165360(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0121648(US,A1)
【文献】 実開昭54−017158(JP,U)
【文献】 特開2000−227289(JP,A)
【文献】 特表2004−526934(JP,A)
【文献】 特開2007−278688(JP,A)
【文献】 特開2004−100974(JP,A)
【文献】 特開2010−169387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 43/00
B60H 1/32
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる円筒状の外側部材と、外側部材内に配置された円筒状の内側部材と、内側部材内に設けられたアキュムレータ室と、外側部材と内側部材との間に設けられた内部熱交換室と、内部熱交換室内に配置された熱交換パイプとを備え、外部からアキュムレータ室に流入した低温冷媒をアキュムレータ室内で気液分離させた後、気体状の低温冷媒を内部熱交換室内に流入させるとともに、内部熱交換室内を流通する低温冷媒と熱交換パイプを流通する高温冷媒とを熱交換させるようにした内部熱交換器一体型アキュムレータであって、
前記外側部材、内側部材及び熱交換パイプをアルミニウムによって形成し、
熱交換パイプを外側部材と内側部材との間に外側部材及び内側部材の周方向に螺旋状に延びるように形成するとともに、
熱交換パイプを外側部材の内周面と内側部材の外周面に外側部材及び内側部材の周方向に亘ってろう付けし、
熱交換パイプの螺旋状部分の間に熱交換パイプに沿って低温冷媒を流通する螺旋状の冷媒流通路を形成し、
冷媒流通路内の低温冷媒と熱交換パイプ内の高温冷媒とを互いに反対方向に流通させるように構成し
内側部材を互いに隙間を有する内外二重の円筒状部材によって形成し、各円筒状部材間に断熱層を形成し
ことを特徴とする内部熱交換器一体型アキュムレータ。
【請求項2】
前記高温冷媒の流出側と低温冷媒の流入側を外側部材の上端側に配置し、
高温冷媒の流入側と低温冷媒の流出側を外側部材の下端側に配置した
ことを特徴とする請求項1記載の内部熱交換器一体型アキュムレータ。
【請求項3】
前記アキュムレータ室を内部熱交換室よりも下方に長く形成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の内部熱交換器一体型アキュムレータ。
【請求項4】
前記熱交換パイプを、温冷媒の流通方向下流側の螺旋状部分の間隔が上流側よりも徐々に広くなるように形成した
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項記載の内部熱交換器一体型アキュムレータ。
【請求項5】
前記熱交換パイプの流路断面積と前記冷媒流通路の流路断面積との比をS1 :S2 とすると、S1 を4としたときS2 が5以上になるように冷媒流通路を形成した
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項記載の内部熱交換器一体型アキュムレータ。
【請求項6】
少なくとも圧縮機、ガスクーラ、膨張弁、エバポレータからなり、
請求項1乃至の何れか一項記載の内部熱交換器一体型アキュムレータを備えた
ことを特徴とする冷凍サイクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空気調和装置の冷凍回路に用いられる内部熱交換器一体型アキュムレータ及びこれを用いた冷凍サイクルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗用車等の車両に用いられる空気調和装置は、図16に示すように、圧縮機1、エバポレータ2、ガスクーラ3、膨張弁4、アキュムレータ5を冷媒配管で接続することにより冷凍サイクルを構成し、圧縮機1によって冷媒を冷凍回路に循環させるようになっている。この場合、エバポレータ2から流出した低温冷媒とガスクーラ3から流出した高温冷媒とを内部熱交換器6によって熱交換することにより、冷凍効率を向上させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、前記アキュムレータ5と内部熱交換器6はそれぞれ別部品からなるが、これらを一体に構成したものも知られている(例えば、特許文献2または3参照)。図17に示す内部熱交換器一体型アキュムレータ7は、円筒状の本体7a内を仕切壁7bによって上下二つの空間7c,7dに仕切り、上方の空間7c内に熱交換パイプ7eを配置したもので、外部から下方の空間内に流入した低温冷媒を気液分離させた後、仕切壁7bの連通孔7fを介して気体状の低温冷媒を上方の空間内7cに流入させるとともに、上方の空間7c内を流通する低温冷媒と熱交換パイプ7eを流通する高温冷媒とを熱交換させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−192429
【特許文献2】特開2005−226972
【特許文献3】特開2012−2418
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記内部熱交換器一体型アキュムレータ7では、円筒状の本体7a内を仕切壁7bにより上下二つの空間に仕切るようにしているため、上方の空間7cの高さ寸法を大きくすることができず、仕切壁7bの連通孔7fから上方の空間7cの冷媒出口までの冷媒流通距離が短くなる。このため、上方の空間7c内で低温冷媒を熱交換パイプ7eと十分に熱交換させることができず、熱交換パイプ7eから低温冷媒への放熱効果が低いという問題点があった。また、前記従来例では、熱交換パイプ7eを上方の空間7c内に配置しているにすぎないため、熱交換パイプ7eは周囲の低温冷媒としか熱交換することができず、このような構成によっても熱交換パイプ7eから低温冷媒への放熱効果が低いという問題点があった。
【0006】
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低温冷媒と熱交換パイプとの熱交換効率を向上させることのできる内部熱交換器一体型アキュムレータ及びこれを用いた冷凍サイクルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内部熱交換器一体型アキュムレータは、前記目的を達成するために、上下方向に延びる円筒状の外側部材と、外側部材内に配置された円筒状の内側部材と、内側部材内に設けられたアキュムレータ室と、外側部材と内側部材との間に設けられた内部熱交換室と、内部熱交換室内に配置された熱交換パイプとを備え、外部からアキュムレータ室に流入した低温冷媒をアキュムレータ室内で気液分離させた後、気体状の低温冷媒を内部熱交換室内に流入させるとともに、内部熱交換室内を流通する低温冷媒と熱交換パイプを流通する高温冷媒とを熱交換させるようにした内部熱交換器一体型アキュムレータであって、前記外側部材、内側部材及び熱交換パイプをアルミニウムによって形成し、熱交換パイプを外側部材と内側部材との間に外側部材及び内側部材の周方向に螺旋状に延びるように形成するとともに、熱交換パイプを外側部材の内周面と内側部材の外周面に外側部材及び内側部材の周方向に亘ってろう付けし、熱交換パイプの螺旋状部分の間に熱交換パイプに沿って低温冷媒を流通する螺旋状の冷媒流通路を形成し、冷媒流通路内の低温冷媒と熱交換パイプ内の高温冷媒とを互いに反対方向に流通させるように構成し、内側部材を互いに隙間を有する内外二重の円筒状部材によって形成し、各円筒状部材間に断熱層を形成している。
【0008】
これにより、熱交換パイプが外側部材と内側部材との間に外側部材及び内側部材の周方向に螺旋状に延びるように形成されるとともに、熱交換パイプの螺旋状部分の間に低温冷媒を流通する螺旋状の冷媒流通路が形成されることから、熱交換パイプが十分な長さに形成されるとともに、低温冷媒が熱交換パイプに沿った螺旋状の冷媒流通路を流通することから、内部熱交換室内における低温冷媒の流通距離が長くなる。この場合、冷媒流通路内の低温冷媒と熱交換パイプ内の高温冷媒とが互いに反対方向に流通することから、内部熱交換室内における低温冷媒と高温冷媒の流れが対向流となる。また、少なくとも外側部材、内側部材及び熱交換パイプがアルミニウムによって形成されることから、ろう付けが可能になり、熱交換パイプが外側部材の内周面と内側部材の外周面に外側部材及び内側部材の周方向に亘ってろう付けされることから、外側部材、内側部材及び熱交換パイプがろう付けによって強固に接合される。更に、内側部材が互いに隙間を有する内外二重の円筒状部材によって形成されることから、各円筒状部材間に空気層からなる断熱層が形成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱交換パイプを十分な長さに形成することができるとともに、内部熱交換室内における低温冷媒の流通距離を長くすることができるので、低温冷媒と熱交換パイプとを十分に熱交換させることができ、熱交換パイプから低温冷媒への放熱効果を高めることができる。この場合、内部熱交換室内における低温冷媒と高温冷媒の流れを対向流とすることができるので、低温冷媒と高温冷媒との熱交換効率の向上に極めて有利である。また、外側部材、内側部材及び熱交換パイプをろう付けによって強固に接合することができるので、アキュムレータ全体の強度を高めることができる。これにより、外側部材と内側部材の板厚を薄くしても十分な強度を確保することができるので、部材の薄肉化による軽量化を図ることができる。また、円筒状部材のみで断熱層を形成することができるので、他の部品と共通の材料(アルミニウム)を用いることができ、加工及び組立を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の前提技術を示す内部熱交換器一体型アキュムレータの斜視図
図2】内部熱交換器一体型アキュムレータの正面断面図
図3】内部熱交換器一体型アキュムレータの分解斜視図
図4】内部熱交換器一体型アキュムレータの要部正面断面図
図5】内部熱交換器一体型アキュムレータの正面断面図
図6】内部熱交換器一体型アキュムレータの正面断面図
図7】内部熱交換器一体型アキュムレータを備えた冷凍サイクルの構成図
図8】内部熱交換器一体型アキュムレータを設置した車両の一部概略側面図
図9】従来の内部熱交換器一体型アキュムレータを設置した車両の一部概略側面図
図10】本発明の第2の前提技術を示す内部熱交換器一体型アキュムレータの斜視図
図11】本発明の第3の前提技術を示す内部熱交換器一体型アキュムレータの斜視図
図12】内部熱交換器一体型アキュムレータの要部正面断面図
図13第1の前提技術の変形例を示す内部熱交換器一体型アキュムレータの斜視図
図14】本発明の実施形態を示す内部熱交換器一体型アキュムレータの斜視図
図15第1の前提技術の他の変形例を示す内部熱交換器一体型アキュムレータの斜視図
図16】従来例を示す冷凍サイクルの構成図
図17】他の従来例を示す冷凍サイクルの構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図8は本発明の第1の前提技術を示すもので、車両用空気調和装置に用いられるアルミニウム製の内部熱交換器一体型アキュムレータを示すものである。
【0012】
前提技術の内部熱交換器一体型アキュムレータ10は、上下方向に延びる円筒状の外側部材20と、外側部材20内に配置された円筒状の内側部材30と、内側部材30内に設けられたアキュムレータ室40と、外側部材20と内側部材30との間に設けられた内部熱交換室50と、内部熱交換室50内に配置された熱交換パイプ60とから構成され、アキュムレータ室30と内部熱交換室50は互いに内側部材30を介して外側部材20の径方向に仕切られている。
【0013】
外側部材20は、上端を開口した縦長円筒状に形成され、その上端は円形の上面板21によって閉塞されている。上面板21には低温冷媒を流入する流入パイプ22が設けられ、流入パイプ22は上面板21の中央を貫通して外側部材20の内外に上下方向に延びている。また、上面板21には熱交換パイプ60の一端側を挿通する孔21aが設けられ、孔21aは上面板21の周縁側に配置されている。外側部材20の底面には低温冷媒を流出する流出パイプ23が設けられ、流出パイプ23は外側部材20の底面から下方に延出している。また、外側部材20の底面には熱交換パイプ60の他端側を挿通する孔20aが設けられ、孔20aは外側部材20の底面の周縁側に配置されている。
【0014】
内側部材30は、外側部材20よりも外径の小さい縦長円筒状に形成され、その上端及び下端をそれぞれ開口している。内側部材30は、その外周面と外側部材20の内周面との間に周方向均一の間隔を有するように外側部材20と同心円状に配置され、その下端は外側部材20の底面に接合されている。この場合、内側部材30は上端が外側部材20の上面板21よりも低い位置になるように形成され、内側部材30の上端と外側部材20の上面板21との間に隙間が形成されている。また、外側部材20の底面に設けられた流出パイプ23は内側部材30と外側部材20との間に配置されている。内側部材30には潤滑油を流出するためのオイル流出孔31が設けられ、オイル流出孔31は内側部材30の周面の下端側に配置されている。
【0015】
アキュムレータ室40は、内側部材30の内周面と外側部材20の底面によって囲まれた空間からなり、流入パイプ22から流入する液体状の低温冷媒を貯溜するようになっている。アキュムレータ室40の上端側には流入パイプ22の下端側が内側部材30の径方向中央からアキュムレータ室40内に延びるように配置されている。
【0016】
内部熱交換室50は、外側部材20と内側部材30との間の空間からなり、流入パイプ22から流入する気体状の低温冷媒を流通するようになっている。
【0017】
熱交換パイプ60は、内部熱交換室50の上端側から下端側に亘って外側部材20及び内側部材30の周方向に螺旋状に延びるように形成されるとともに、その下端側には外側部材20の底面を貫通して外部に延出する直線状の流入管部61が形成され、その上端側には外側部材20の上面板21を貫通して外部に延出する直線状の流出管部62が形成されている。熱交換パイプ60の螺旋状部分63は外側部材20と内側部材30との間に配置されるとともに、内側部材30を巻回するように外側部材20の内周面と内側部材30の外周面に接触しており、図4に示すように外側部材20と内側部材30との接触部分をろう付け60aにより外側部材20及び内側部材30の周方向に亘って接合されている。
【0018】
内部熱交換室50内には熱交換パイプ60の螺旋状部分63が配置され、熱交換パイプ60の螺旋状部分63によって内部熱交換室60内に螺旋状の冷媒流通路51が形成されている。即ち、冷媒流通路51は、熱交換パイプ60の螺旋状部分63の間と外側部材20及び内側部材30の周面との間に形成され、内部熱交換室50の上方から流入した低温冷媒が熱交換パイプ60の外部を熱交換パイプ60の螺旋状部分63に沿って流通し、内部熱交換室50の下端から流出パイプ23を介して外部に流出するようになっている。
【0019】
以上のように構成された内部熱交換器一体型アキュムレータ10は、図7に示す冷凍サイクルに用いられ、冷凍サイクルの冷媒には二酸化炭素冷媒が使用される。即ち、内部熱交換器一体型アキュムレータ10は、流入パイプ22にエバポレータ2の冷媒吐出側が接続され、流出パイプ23に圧縮機1の冷媒吸入側が接続される。また、熱交換パイプ60の流出管部61には膨張弁4の冷媒吸入側が接続され、熱交換パイプ60の流入管部62にはガスクーラ3の冷媒吐出側が接続されている。
【0020】
前記冷凍サイクルでは、低温冷媒(低圧冷媒)が図中実線矢印で示すように流通し、高温冷媒(高圧冷媒)が図中破線矢印で示すように流通する。即ち、圧縮機1から吐出した高温冷媒がガスクーラ3に流入し、ガスクーラ3で外部空気に放熱した後、内部熱交換室50内の熱交換パイプ60に流入する。熱交換パイプ60を流通した高温冷媒は膨張弁4を経て低温冷媒となり、エバポレータ2に流入し、エバポレータ2で外部空気から吸熱した後、アキュムレータ室30に流入し、アキュムレータ室30から内部熱交換室50を経て圧縮機1に吸入される。
【0021】
図5の実線矢印で示すように、アキュムレータ室30には気液混合の低温冷媒が流入パイプ22から流入し、気体状の低温冷媒R1 、液体状の低温冷媒R2 、潤滑油Jが上方から順に溜まることにより気液分離され、気体状の低温冷媒R1 のみがアキュムレータ室30の上端から内部熱交換室50に流出する。内部熱交換室50に流入した低温冷媒は、内部熱交換室50の上方から下方に向かって冷媒流通路51内を流通し、流出パイプ23から外部に流出する。その際、内部熱交換室50内の低温冷媒は、熱交換パイプ60に沿った螺旋状の冷媒流通路51を流通することから、熱交換パイプ60内の高温冷媒と冷媒流通路51内の低温冷媒とが効率よく熱交換される。また、アキュムレータ室30の下部に溜まった潤滑油Jはオイル流出孔31から内部熱交換室50内の底部に流出し、流出パイプ23から低温冷媒と共に外部に流出する。
【0022】
一方、図5の破線矢印で示すように、内部熱交換室50の熱交換パイプ60に流入管部61から流入した高温冷媒は、熱交換パイプ60の螺旋状部分63を流通しながら冷媒流通路51の気体状の低温冷媒に放熱した後、流出管部62から外部に流出する。その際、内部熱交換室50内を低温冷媒が上方から下方に向かって流通し、熱交換パイプ60内を高温冷媒が下方から上方に向かって流通することから、内部熱交換室50内における低温冷媒と高温冷媒の流れが対向流となる。
【0023】
また、前記内部熱交換器一体型アキュムレータ10は、図8に示すように車両Sのエンジンルーム内に設置される。その際、高温冷媒の流出側と低温冷媒の流入側は外側部材20の上端側に配置されることから、高温冷媒の流出側配管10aと低温冷媒の流入側配管10bを介して車内側の空気調和ユニット8内のエバポレータ2に最短距離で接続される。また、圧縮機1の冷媒流出側とガスクーラ3の冷媒流出側はエンジンルーム内の下部に配置されるが、アキュムレータ10の高温冷媒の流入側と低温冷媒の流出側は外側部材20の下端側に配置されることから、高温冷媒の流入側配管10cと低温冷媒の流出側配管10dを介して圧縮機1及びガスクーラ3に最短距離で接続される。即ち、図9に示すように、従来例(例えば、特許文献3)では、内部熱交換器一体型アキュムレータ9が、高温冷媒の流入側及び流出側と低温冷媒の流入側及び流出側が全て上端に設けられているため、高温冷媒の流出側と低温冷媒の流入側は高温冷媒の流出側配管9aと低温冷媒の流入側配管9bを介して車内側の空気調和ユニット8内のエバポレータ2に最短距離で接続されるが、アキュムレータ9の高温冷媒の流入側と低温冷媒の流出側は上方に立ち上げた高温冷媒の流入側配管9cと低温冷媒の流出側配管9dを介して圧縮機1の冷媒流出側とガスクーラ3の冷媒流出側に接続される。このため、高温冷媒の流入側配管9cの立ち上げ部分H1 と低温冷媒の流出側配管9dの立ち上げ部分H2 の分だけ本前提技術よりも配管が長くなる。
【0024】
このように、本前提技術によれば、熱交換パイプ60を外側部材20と内側部材30との間に外側部材20及び内側部材30の周方向に螺旋状に延びるように形成するとともに、熱交換パイプ60の螺旋状部分63の間に低温冷媒を流通する冷媒流通路51を形成したので、熱交換パイプ60を十分な長さに形成することができるとともに、低温冷媒を熱交換パイプ60に沿った螺旋状の冷媒流通路51を流通させることができる。これにより、内部熱交換室50内における低温冷媒の流通距離を長くすることができるので、低温冷媒と熱交換パイプ60とを十分に熱交換させることができ、熱交換パイプ60から低温冷媒への放熱効果を高めることができる。この場合、冷媒流通路51内の低温冷媒と熱交換パイプ60内の高温冷媒とを互いに反対方向に流通させるようにしたので、内部熱交換室50内における低温冷媒と高温冷媒の流れが対向流となり、低温冷媒と高温冷媒との熱交換効率の向上に極めて有利である。
【0025】
また、少なくとも外側部材20、内側部材30及び熱交換パイプ60がアルミニウムによって形成されているので、ろう付けが可能になり、強度を向上させることができる。即ち、熱交換パイプ60を外側部材20の内周面と内側部材30の外周面に外側部材20及び内側部材30の周方向に亘ってろう付けしたので、外側部材20、内側部材30及び熱交換パイプ60を強固に接合することができ、アキュムレータ全体の強度を高めることができる。これにより、外側部材20と内側部材30の板厚を薄くしても十分な強度を確保することができるので、部材の薄肉化による軽量化を図ることができる。
【0026】
更に、高温冷媒の流出側と低温冷媒の流入側を外側部材20の上端側に配置し、高温冷媒の流入側と低温冷媒の流出側を外側部材20の下端側に配置したので、圧縮機1の冷媒流出側とガスクーラ3の冷媒流出側がエンジンルーム内の下部に配置される場合でも、高温冷媒の流入側配管10cと低温冷媒の流出側配管10dを最短距離で圧縮機1及びガスクーラ3に接続することができ、配管の短縮による低コスト化と圧力損失の低減を図ることができる。
【0027】
図10は本発明の第2の前提技術を示すもので、第1の前提技術と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0028】
第1の前提技術では、内側部材30を上端が外側部材20の上面板21よりも低い位置になるように形成し、内側部材30の上端と外側部材20の上面板21との間に低温冷媒を流通させるようにしたものを示したが、本前提技術の内側部材70は外側部材20と同じ高さになるように形成され、内側部材70の上端を上面板21に接合されている。また、内側部材70の上部側面にはアキュムレータ室30内の低温冷媒を内部熱交換室50に流出する流出孔71が設けられている。
【0029】
これにより、内側部材70の上端が上面板21に接合されるので、上面板21の接合箇所を多くすることができ、強度の向上を図ることができる。
【0030】
図11及び図12は本発明の第3の前提技術を示すもので、第1の前提技術と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0031】
第1の前提技術では、熱交換パイプ60の螺旋状部分63が等間隔にしたものを示したが、本前提技術の熱交換パイプ80は、流入管部81と流出管部82との間の螺旋状部分83の間隔Pが高温冷媒の流通方向上流側よりも下流側が徐々に広くなるように形成されている。
【0032】
これにより、熱交換パイプ80の螺旋状部分83間に形成される低温冷媒の冷媒流通路51の流路断面積の冷媒流通方向下流側が上流側よりも徐々に大きくなることから、低温冷媒が熱交換パイプ80によって加熱されて体積が増大しても冷媒流通路51の圧力損失を抑制することができるという利点がある。
【0033】
また、本前提技術では、図12に示すように熱交換パイプ80の流路断面積をS1 、冷媒流通路51の流路断面積をS2 とし、その流路断面積の比をS1 :S2 とすると、S1 を4としたときS2 が5以上になるように冷媒流通路51形成している。即ち、螺旋状部分83の間隔Pが最も小さい部分(冷媒流通路51の最も上流側)の流路断面積の比S1 :S2 を4:5とし、冷媒流通路51の下流側に向かうにしたがって冷媒流通路51の流路断面積S2 が徐々に大きくなるように形成される。
【0034】
これにより、熱交換パイプ80の流路断面積をS1 に対して冷媒流通路51の流路断面積S2 が大きくなるので、内部熱交換室50内の高温冷媒に対する低温冷媒の流通量を十分に確保することができ、熱交換パイプ80の高温冷媒と冷媒流通路51の低温冷媒とを常に効率よく熱交換することができる。
【0035】
尚、前述のように流路断面積の比をS1 :S2 とし、S1 を4としたときS2 が5以上になるように冷媒流通路51形成する構成は他の前提技術、変形例、本発明の実施形態にも適用することができる。
【0036】
図13第1の前提技術の変形例を示すもので、第1の前提技術と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0037】
前提技術では、アキュムレータ室40と熱交換パイプ60との間に断熱層32が設けられ、断熱層32は周知の断熱塗料を内側部材30の内面に塗布することによって形成されている。これにより、断熱層32によってアキュムレータ室40と熱交換パイプ60との間が断熱されることから、アキュムレータ室40内に貯溜された液体状の低温冷媒R2 が熱交換パイプ60の加熱によって蒸発することがなく、アキュムレータ室40内に液体状の低温冷媒R2 を確実に貯溜しておくことができる。また、熱交換パイプ60内の高温冷媒の熱がアキュムレータ室40内の低温冷媒に奪われることがないので、高温冷媒によって内部熱交換室50の冷媒流通路51内の低温冷媒を十分に加熱することができ、内部熱交換室50の熱交換効率を低下させることがないという利点がある。更に、断熱層32に断熱塗料を用いているので、内側部材30の内面に断熱塗料を塗布することによって断熱層32を容易に形成することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0038】
図14は本発明の実施形態を示すもので、第1の前提技術と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0039】
本実施形態は、アキュムレータ室40と熱交換パイプ60との間に断熱層を設けた実施形態である。即ち、本実施形態の内側部材30は互いに隙間を有する内外二重の円筒状部材33,34によって形成され、各円筒状部材33,34間に空気層からなる断熱層35が形成されている。これにより、前記変形例と同様、断熱層35による効果を得ることができるとともに、円筒状部材33,34のみで断熱層35を形成することができるので、他の部品と共通の材料(アルミニウム)を用いることができ、加工及び組立を容易に行うことができる。
【0040】
図15第1の前提技術の他の変形例を示すもので、第1の前提技術と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0041】
変形例の内部熱交換器一体型アキュムレータ10は、上下方向に延びる円筒状の外側部材90と、外側部材90内に配置された円筒状の内側部材100と、内側部材100内に設けられたアキュムレータ室110と、外側部材90と内側部材100との間に設けられた内部熱交換室120と、内部熱交換室120内に配置された熱交換パイプ130とから構成され、アキュムレータ室110と内部熱交換室120は互いに内側部材100を介して外側部材90の径方向に仕切られている。
【0042】
外側部材90は、上端を開口した縦長円筒状に形成され、その上端は円形の上面板91によって閉塞されている。上面板21には低温冷媒を流入する流入パイプ92が設けられ、流入パイプ92は上面板91の中央を貫通して外側部材90の内外に上下方向に延びている。外側部材90の下部側面には低温冷媒を流出する流出パイプ93が設けられ、流出パイプ93は外側部材90の側面から外部に延出している。
【0043】
内側部材100は、外側部材90よりも外径の小さい縦長円筒状に形成され、その上端を開口している。内側部材100は、その外周面と外側部材20の内周面との間に周方向均一の間隔を有するように外側部材90と同心円状に配置され、その下端側は外側部材90の底面を貫通して外側部材90の下方に延出している。この場合、内側部材100は上端が外側部材90の上面板91よりも低い位置になるように形成され、内側部材100の上端と外側部材20の上面板91との間に隙間が形成されている。また、外側部材90の流出パイプ93は外側部材90から下方に向かって延びるとともに、横方向に屈曲して内側部材100の下方まで延び、更に下方に向かって屈曲している。内側部材100の底面には潤滑油を流出するためのオイル流出パイプ101が設けられ、オイル流出パイプ101は流出パイプ93に接続されている。
【0044】
アキュムレータ室110は、内側部材100の内周面と外側部材90の底面によって囲まれた空間からなり、流入パイプ92から流入する液体状の低温冷媒を貯溜するようになっている。アキュムレータ室110の上端側には流入パイプ92の下端側が内側部材100の径方向中央からアキュムレータ室110内に延びるように配置されている。
【0045】
内部熱交換室120は、外側部材90と内側部材100との間の空間からなり、流入パイプ92から流入する気体状の低温冷媒を流通するようになっている。本前提技術では、内側部材100の下端側が外側部材20の底面を貫通して外側部材90の下方に延出しているので、アキュムレータ室110が内部熱交換室120よりも下方に長く形成されている。
【0046】
熱交換パイプ130は、内部熱交換室120の上端側から下端側に亘って外側部材90及び内側部材100の周方向に螺旋状に延びるように形成されるとともに、その下端側には外側部材90の底面を貫通して外部に延出する直線状の流入管部131が形成され、その上端側には外側部材90の上面板91を貫通して外部に延出する直線状の流出管部132が形成されている。熱交換パイプ130の螺旋状部分133は外側部材90と内側部材100との間に配置されるとともに、内側部材100を巻回するように外側部材90の内周面と内側部材100の外周面に接触しており、外側部材90と内側部材100との接触部分をろう付けにより外側部材90及び内側部材100の周方向に亘って接合されている。
【0047】
内部熱交換室120内には熱交換パイプ130の螺旋状部分133が配置され、熱交換パイプ130の螺旋状部分133によって内部熱交換室130内に螺旋状の冷媒流通路121が形成されている。即ち、冷媒流通路121は、熱交換パイプ130の螺旋状部分133の間と外側部材90及び内側部材100の周面との間に形成され、内部熱交換室120の上方から流入した低温冷媒が熱交換パイプ130の外部を熱交換パイプ130の螺旋状部分133に沿って流通し、内部熱交換室120の下端から流出パイプ93を介して外部に流出するようになっている。
【0048】
変形例では、アキュムレータ室110を内部熱交換室120よりも下方に長く形成したので、アキュムレータ室110の下部側には熱交換パイプ130の螺旋状部分133が配置されていない。これにより、アキュムレータ室110内の下部側に貯溜された液体状の低温冷媒R2 が熱交換パイプ130の加熱によって蒸発することがなく、アキュムレータ室110内に液体状の低温冷媒R2 を確実に貯溜しておくことができる。また、熱交換パイプ130内の高温冷媒の熱がアキュムレータ室110内の液体状の低温冷媒R2 に奪われることがないので、高温冷媒によって内部熱交換室120の冷媒流通路121内の低温冷媒を十分に加熱することができ、内部熱交換室120の熱交換効率を低下させることがないという利点がある。
【符号の説明】
【0049】
10…内部熱交換器一体型アキュムレータ、20…外側部材、30…内側部材、32…断熱層、33,34…円筒状部材、35…断熱層、40…アキュムレータ室、50…内部熱交換室、51…冷媒流通路、60…熱交換パイプ、63…螺旋状部分、70…内側部材、80…熱交換パイプ、83…螺旋状部分、90…外側部材、100…内側部材、110…アキュムレータ室、120…内部熱交換室、121…冷媒流通路、130…熱交換パイプ、133…螺旋状部分。
図1
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