(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
実施の形態に係る機械式駐車場を得るに至った経緯を説明する。近年、機械式駐車場の安全基準の見直しが行われ、公益社団法人立体駐車場工業会の新たな認証基準では、操作盤で入出庫のための操作を開始するときから完了するまでの間は、原則、他のユーザの操作を受付できてはならないことが要件となっている。すなわち、新たな認証基準では、入出庫の際、乗降室扉を開くための第1の認証操作と、車両を出し入れした後に乗降室扉を閉じるための第2の認証操作とを同一のユーザが行う必要がある。この新たな認証基準によれば、入出庫を行っているユーザが乗降室内にいるにもかかわらず、他のユーザが誤って乗降室扉を閉じてしまうのを防止できる。
【0014】
しかしながら、新基準では、次のケース1〜4のいずれかの状況に陥ると、原則、他のユーザによる入出庫が不可能となる。
【0015】
ケース1:車両を入庫するべく第1の認証操作を行って乗降室扉を開いたユーザが、車両を入庫するのを中止したものの、第2の認証操作を行わずに、すなわち乗降室扉を開いたまま放置した場合
【0016】
ケース2:車両を入庫するべく第1の認証操作を行って乗降室扉を開いたユーザが、乗降室内に車両を入れたものの、第2の認証操作を行わずに、すなわち車両を乗降室内に放置し、かつ、乗降室扉を開いたまま放置した場合
【0017】
ケース3:車両を出庫するべく第1の認証操作を行って車両を乗降室に移動させ、かつ、乗降室扉を開いたユーザが、第2の認証操作を行わずに、すなわち車両を乗降室から出さずに乗降室内に放置し、かつ、乗降室扉を開いたまま放置した場合
【0018】
ケース4:車両を出庫するべく第1の認証操作を行って車両を乗降室に移動させ、かつ、乗降室扉を開いたユーザが、第2の認証操作を行わずに、すなわち車両を乗降室から出したものの、乗降室扉を開いたまま放置した場合
【0019】
そのため、機械式駐車場では、他のユーザの入出庫を可能とするために、係員がケース1〜4の状況を解消できることが当然に要求される。加えて、ケース1〜4の状況を生じさせたユーザに注意して再発を防止させるために、係員がそのユーザを容易に特定できることが要求される。以上より、本発明者は、実施の形態に係る機械式駐車場に想到した。以下、具体的に説明する。
【0020】
図1は、実施の形態に係る機械式駐車場10の正面図である。
図2は、
図1の乗降室12の側面図である。機械式駐車場10は、地上に設けられた建物104の地下に格納棚が設けられた地下式の機械式駐車場である。なお、機械式駐車場10は、格納棚が建物104のなかに設けられた地上式の機械式駐車場であってもよい。
【0021】
機械式駐車場10は、地下1階の駐車室であるB1F駐車室14と、地下2階の駐車室であるB2F駐車室16と、地下3階の駐車室であるB3F駐車室18と、複数のパレット32と、第1移載装置56と、複数の第2移載装置58と、リフトフレーム88と、断面が略矩形の昇降路96の四隅に支柱として設けられた4本のマスト90と、昇降装置94と、管理装置60を、を備える。
【0022】
機械式駐車場10は、パレットを用いたパレット式の駐車場である。このパレット式の機械式駐車場10は、昇降装置94を用いて自動車20、バイク74、自転車等の車両が搭載された状態のパレット32を昇降させたり、あるいは第1移載装置56や第2移載装置58を使用して面方向に移動させたりすることにより、駐車室に車両を駐車させる構成とされている。
【0023】
機械式駐車場10へ車両を入れたり機械式駐車場10から車両を取り出したりするための乗降室12は建物104内に設けられている。乗降室12は、入出庫口12aを除く周囲(側面、天井面)が壁で囲われており、入出庫口12aには乗降室扉26が設けられる。乗降室12は昇降路96の上端に設けられる。乗降室12には乗降室12と昇降路96とを連通するパレット開口100が設けられている。
【0024】
昇降路96は、鉛直方向(z方向)に沿って設けられている。昇降路96は、B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18のそれぞれと連通する。昇降路96の下端には、リフトフレーム88を昇降させる昇降装置94が設置される。昇降路96の四隅には、4本のマスト90が設けられる。
【0025】
リフトフレーム88は、4本のマスト90に昇降自在に支持され、昇降装置94により昇降路96に沿って昇降する。リフトフレーム88の上部には第1移載装置56が設けられる。なお、リフトフレーム88、4本のマスト90、および昇降装置94には、本出願人が先に出願した特開2009−197417号公報に記載のリフトフレーム、4本のマスト、昇降装置、をそれぞれ適用することができる。
【0026】
パレット32は、平板状の部材である。パレット32の車両が搭載される上面である車両積載面32aは略矩形である。パレット32は、画一的な大きさを有する。
【0027】
B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18はそれぞれ複数の駐車スペースを含む。各駐車スペースは、パレット32を収容可能に構成される。駐車スペースは、パレットと共に車両が駐車されうる駐車室内の1駐車領域(駐車の1単位)である。
【0028】
第1移載装置56は、リフトフレーム88の上部に設けられ、パレットをx方向に移動させる。第1移載装置56により、パレットは、昇降路96と各駐車室との間を移動する。第2移載装置58は各駐車スペースに設けられており、パレット32をx方向またはy方向に移動させる。第2移載装置58により、パレットは駐車スペースの間を移動する。第1移載装置56および第2移載装置58には、本出願人が先に出願した特公平7−29681号公報に記載の搬送装置を適用することができる。
【0029】
管理装置60は、乗降室12の外側に設けられた操作盤28と、操作盤28と接続された制御装置30と、を備える。操作盤28は、機械式駐車場10のユーザまたは係員に対するユーザインタフェースとしての機能を有する。
図3は、操作盤28を示す正面図である。操作盤28は、タッチパネル44と、モード切替部46と、を含む。タッチパネル44は、ユーザの操作が入力される操作入力部の機能と制御装置30からの指示に応じて各種画像を表示する表示部の機能を含む。
図3では、タッチパネル44には、ユーザを特定するIDである管理番号を入力するための「管理番号入力画面」が表示されている。ユーザおよび係員は、テンキー61をタッチすることで番号表示領域62に管理番号を表示させる。Enterをタッチすると、後述の認証部112による認証が実行される。
【0030】
モード切替部46は、機械式駐車場10の動作モードを切り替えるときに、係員が所持している鍵を用いて操作される。「運転」モードは機械式駐車場10を通常稼働させるモードであり、「停止」モードは機械式駐車場10の稼働を停止させるモードであり、「管理」モードは、所定の管理メニューを実行するためのモードである。
【0031】
操作盤28は、制御装置30と接続されており、タッチパネル44に入力された操作に応じて制御装置30に制御信号を送信するとともに、制御装置30からの制御信号を受信してタッチパネル44に必要な情報を表示させる。例えば入庫開始指示の操作が入力されると、操作盤28は入庫開始信号を生成し、制御装置30に送信する。また例えば、格納開始指示の操作が入力されると、操作盤28は格納開始信号を生成し、制御装置30に送信する。また例えば、出庫開始指示の操作が入力されると、操作盤28は出庫開始信号を生成し、制御装置30に送信する。また例えば、出庫終了指示の操作が入力されると、操作盤28は出庫終了信号を生成し、制御装置30に送信する。
【0032】
図4は、制御装置30の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0033】
制御装置30は、認証部112と、突合部114と、入庫処理部118と、出庫処理部120と、通報部122と、通知部124と、ユーザ情報出力部126と、ユーザ情報保持部130と、を含む。
【0034】
ユーザ情報保持部130は、駐車契約を結んでいる正式な契約者として利用登録されたユーザ(以下、「正規ユーザ」とも呼ぶ)に関する情報を保持する。ユーザ情報保持部130は、正規ユーザを一意に特定するIDである管理番号と、正規ユーザの連絡先と、を対応付けて保持する。連絡先は、例えば正規ユーザのメールアドレスや携帯端末の電話番号である。
【0035】
認証部112は、ユーザにより第1の認証操作(すなわち乗降室扉26を開かせるための管理番号の入力)または第2の認証操作(すなわち操作盤28を閉じさせるための管理番号の入力)が実行されると、そのユーザが正規ユーザであるか否かを認証する。具体的には、認証部112は、管理番号入力画面において入力された管理番号と同じ管理番号のレコードがユーザ情報保持部130に存在するか否かを判定する。認証部112は、同じ管理番号のレコードが存在する場合、ユーザを正規ユーザと認証する。
【0036】
突合部114は、第1の認証操作を行った正規ユーザと第2の認証操作を行った正規ユーザが一致する(同一人物である)か否かを判定する。具体的には、突合部114は、第1の認証操作における第1の認証情報(すなわち入力された管理番号)と第2の認証操作における第2の認証情報(すなわち入力された管理番号)とが一致するかを判定する。一致する場合、突合部114は第1の認証操作を行った正規ユーザと第2の認証操作を行った正規ユーザが同一人物であると判定し、一致しない場合、突合部114は第1の認証操作を行った正規ユーザと第2の認証操作を行った正規ユーザが異なる人物であると判定する。
【0037】
入庫処理部118は、入庫開始信号を受けると、昇降装置94、第1移載装置56、第2移載装置58を制御して空きパレットを乗降室12に配置されるようにするとともに、乗降室扉26を開閉するための不図示の扉開閉機構に乗降室扉26を開かせる。入庫処理部118は、音声や車両誘導案内灯(不図示)によって入庫対象の車両を、乗降室12に配置されたパレット32上の停車位置に誘導する。
【0038】
入庫処理部118は、格納開始信号を受けると、扉開閉機構に乗降室扉26を閉めさせるとともに、車両が搭載されたパレットを乗降室12から所定の駐車スペースに移動させるよう昇降装置94、第1移載装置56、第2移載装置58を制御する。入庫処理部118は、格納開始指示を受けても、入庫開始指示を行ったユーザと格納開始指示を行ったユーザが異なる人物であると突合部114により判定された場合、閉扉処理および格納処理は実施せずにエラーを表示させる。
【0039】
出庫処理部120は、出庫開始信号を受けると、出庫開始信号に含まれる管理番号によって特定される車両が搭載されたパレットを、格納棚から乗降室12へ移動させるよう昇降装置94、第1移載装置56、第2移載装置58を制御するとともに、扉開閉機構に乗降室扉26を開かせる。出庫処理部120は、車両を乗降室12外に誘導する。
【0040】
出庫処理部120は、出庫終了信号を受けると、扉開閉機構に乗降室扉26を閉めさせる。一方、出庫処理部120は、出庫終了信号を受けても、出庫開始指示を行ったユーザと出庫終了指示を行ったユーザが異なる人物であると突合部114により判定された場合、閉扉処理を実施せずにエラー表示させる。
【0041】
通報部122は、入庫時または出庫時において、乗降室扉26が開かれたまま放置された状態が第1の時間継続した場合、画面表示および/または音声出力により、その旨を係員に通報する。例えば、通報部122は、係員が参照する表示部(例えば係員の携帯端末の表示部や係員の待機場所に設置されているモニター等)に、乗降室扉26が開かれたまま放置されている旨を表示させる。係員は、この通報を受けて機械式駐車場10の操作盤28の前に駆けつけ、後述のようにケース1〜4の状況を解消させる。
【0042】
通知部124は、入庫時または出庫時において、乗降室扉26が開かれたまま放置された状態が第2の時間継続した場合、その旨を乗降室扉26を開いたまま放置しているユーザ(以下、「放置ユーザ」と呼ぶ)に通知する。具体的には、通知部124は、ユーザ情報保持部130に登録されている放置ユーザの連絡先にメールを送信したり自動音声電話を掛けることにより、乗降室扉26を開けたまま放置していることを放置ユーザに通知する。これにより、例えば放置ユーザが機械式駐車場10の近くにいる場合、通報を受けた係員が駆けつける前に乗降室扉26を閉じて放置状態を少しでも早く解消できる。
【0043】
第2の時間は、第1の時間と実質的に同じ長さであってもよい。あるいはまた、第2の時間は、第1の時間よりも短い時間であってもよい。この場合、乗降室扉26が開いたまま放置されていることがまず放置ユーザに通知される。放置ユーザは機械式駐車場10の近くにいる可能性が高いため、放置状態が早く解消されることが期待される。また、いたずらに係員に通報されて係員の負担が増えるのを抑止できる。
【0044】
ユーザ情報出力部126は、係員が操作盤28において所定の管理者入力を実行すると、操作盤28のタッチパネル44に放置ユーザの管理番号を出力する。本実施の形態では、係員は、管理者入力として、係員が所持している鍵を
図3の操作盤28のモード切替部46の鍵穴にさして「管理」モードに回し、タッチパネル44に表示された
図5の管理メニュー画面において放置ユーザの管理番号ボタン48をタッチする。これにより、
図6のごとく、放置ユーザの管理番号が管理メニュー画面に表示される。
【0045】
係員は、特定した放置ユーザの管理番号を使用して、ケース1〜4の状況を解消する。例えば、ケース1の状況に陥っている場合は、特定した放置ユーザの管理番号を使用して入庫処理をキャンセルすることにより乗降室扉26を閉じる。ケース2の状況に陥っている場合は、特定した放置ユーザの管理番号を使用して格納処理を実行することにより、車両を格納棚に格納させるとともに乗降室扉26を閉じる。なお、車両がパレット32上の停車位置に止まっていない場合は、特定した管理番号の正規ユーザを呼び出すことにより、この状況を解消する。ケース3の状況に陥っている場合は、特定した放置ユーザの管理番号を使用して出庫処理をキャンセルすることにより乗降室扉26を閉じるとともに車両を格納棚に戻す。ケース4の状況に陥っている場合は、閉扉処理を実行することにより乗降室扉26を閉じる。
【0046】
また係員は、係員が所有している正規ユーザのリスト等を参照して、特定した放置ユーザの管理番号に対応する正規ユーザを特定する。これにより、放置ユーザに対してケース1〜4のいずれかの状況を生じさせたことを注意したり、その放置ユーザが操作を理解できていない場合は操作を再度説明する。
【0047】
以上のように構成された機械式駐車場10の動作を説明する。
図7は、機械式駐車場10の入庫時の一連の処理を示すフローチャートである。ここでは、第1の時間は第2の時間よりも長いものとして説明する。
【0048】
認証部112は、操作盤28を介して、ユーザから第1の認証操作(すなわち管理番号の入力)を受け付ける(S10)。認証部112は、入力された管理番号が正規ユーザの管理番号であるか否か判定する(S12)。入庫処理部118は、入力された管理番号が正規ユーザの管理番号である場合(S12のY)、空きパレットを乗降室扉26内に配置させる(S14)とともに乗降室扉26を開き(S16)、車両を乗降室12内のパレット32に誘導する(S18)。入力された管理番号が正規ユーザの管理番号ではない場合(S12のN)、例えばエラーを表示してS10に戻る。
【0049】
認証部112は、第1の時間および第2の時間が経過する前にユーザから第2の認証操作(すなわち管理番号の入力)を受け付けた場合(S20のY、S22のYおよびS24)、入力された管理番号が正規ユーザの管理番号であるか否か判定する(S26)。入力された管理番号が正規ユーザの管理番号である場合(S26のY)、突合部114は、第1の認証操作を行ったユーザと第2の認証操作を行ったユーザが同一人物であるか否か、すなわち第1の認証操作における第1の認証情報(すなわち入力された管理番号)と第2の認証操作における第2の認証情報(すなわち入力された管理番号)とが一致するか否かを判定する(S28)。一致する場合(S28のY)、入庫処理部118は、乗降室扉26を閉じて車両が搭載されたパレット32を格納棚に移動する(S30)。一致しない場合(S28のN)、例えばエラーを表示してS24に戻る。
【0050】
通知部124は、第2の認証操作を受け付けないまま第2の時間が経過した場合(S20のN)、乗降室扉26が開いたまま放置されていることを放置ユーザに通知する(S32)。通報部122は、第2の認証操作を受け付けないまま第1の時間が経過した場合(S22のN)、乗降室扉26が開かれたまま放置されていることを係員に通報する(S34)。ユーザ情報出力部126は、通報を受けて駆けつけた係員から操作盤28を介して管理者入力による放置ユーザの管理番号の特定要求を受け付けると(S36)、操作盤28のタッチパネル44に放置ユーザの管理番号を出力させる(S38)。入庫処理部118は、特定された管理番号により係員が第2認証操作を行うと(S24、S26およびS28)、乗降室扉26を閉じて車両が搭載されたパレット32を格納棚に移動する(S30)。
【0051】
図8は、機械式駐車場10の出庫時の一連の処理を示すフローチャートである。入庫時と同様、第1の時間は第2の時間よりも長いものとして説明する。
【0052】
認証部112は、ユーザから第1の認証操作(すなわち管理番号の入力)を受け付ける(S40)。認証部112は、入力された管理番号が正規ユーザの管理番号であるか否か判定する(S42)。出庫処理部120は、入力された管理番号が正規ユーザの管理番号である場合(S42のY)、管理番号によって特定される車両が搭載されたパレットを格納棚から乗降室12へ移動させる(S44)とともに乗降室扉26を開き(S46)、車両を乗降室12外に誘導する(S48)。認証部112は、入力された管理番号が正規ユーザの管理番号ではない場合(S42のN)、例えばエラーを表示してS40に戻る。
【0053】
認証部112は、第1の時間および第2の時間が経過する前にユーザから第2の認証操作(すなわち管理番号の入力)を受け付けた場合(S50のY、S52のYおよびS54)、入力された管理番号が正規ユーザの管理番号であるか否か判定する(S56)。入力された管理番号が正規ユーザの管理番号である場合(S56のY)、突合部114は、第1の認証操作を行ったユーザと第2の認証操作を行ったユーザが同一人物であるか否か、すなわち第1の認証操作における第1の認証情報(すなわち入力された管理番号)と第2の認証操作における第2の認証情報(すなわち入力された管理番号)とが一致するか否かを判定する(S58)。一致する場合(S58のY)、出庫処理部120は、乗降室扉26を閉じる(S60)。一致しない場合(S58のN)、例えばエラーを表示してS54に戻る。
【0054】
通知部124は、第2の認証操作を受け付けないまま第2の時間が経過した場合(S50のN)、乗降室扉26が開いたまま放置されていることを放置ユーザに通知する(S62)。通報部122は、第2の認証操作を受け付けないまま第1の時間が経過した場合(S52のN)、乗降室扉26が開かれたまま放置されていることを係員に通報する(S64)。ユーザ情報出力部126は、通報を受けて駆けつけた係員から操作盤28を介して管理者入力による放置ユーザの管理番号の特定要求を受け付けると(S66)、操作盤28のタッチパネル44に放置ユーザの管理番号を表示させる(S68)。出庫処理部120は、特定された管理番号により係員が第2認証操作を行うと(S54、S56およびS58)、乗降室扉26を閉じる(S60)。
【0055】
以上説明した機械式駐車場10によると、機械式駐車場10の係員が、放置ユーザの管理番号ひいては放置ユーザを、容易に特定できる。これにより、放置ユーザに注意等して再発を抑止できる。また、係員が特定した放置ユーザの管理番号を用いて放置ユーザの代わりに乗降室扉26を閉じることができる。これにより、他のユーザによる入出庫が不可能になる時間を短くできる。
【0056】
以上、実施の形態に係る機械式駐車場の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0057】
(変形例1)
実施の形態では、通報部122は、乗降室扉26が開かれた状態が第1の時間継続した場合、その旨を係員に通報する場合について説明したが、これに限られない。例えば、通報部122は、操作盤28で所定の入力を行うこと(例えば、他のユーザがタッチパネルに表示された通報ボタンをタッチすること)により、第1の時間を待たずに乗降室扉26が開かれたまま放置されている旨を係員に通報してもよい。実施の形態と同様に、係員は、この通報を受けて機械式駐車場10の操作盤28の前に駆けつけ、放置ユーザの管理番号を特定し、ケース1〜4の状況を解消する。
【0058】
(変形例2)
実施の形態では、乗降室扉26が開かれた状態が第1の時間継続した場合、通報部122が係員に通報し、通報を受けて駆けつけた係員が操作盤28を操作して放置ユーザの管理番号を特定する場合について説明した。また、上述の変形例では、操作盤28で所定の入力を行うことにより、通報部122が係員に通報し、通報を受けて駆けつけた係員が操作盤28を操作して放置ユーザの管理番号を特定する場合について説明した。しかしながら、これらに限られない。例えば、乗降室扉26が開かれたまま放置された状態が第1の時間継続した場合、通報部122がその旨を通報するのに加えて、または通報部122がその旨を通報に代えて、ユーザ情報出力部126が放置ユーザの管理番号を係員に通報してもよい。また例えば、操作盤28で所定の入力を行うことにより、通報部122が通報するのに加えて、または通報部122が通報するのに代えて、ユーザ情報出力部126が放置ユーザの管理番号を係員に通報してもよい。この場合、係員は、遠隔操作によりリカバリ操作を実行してもよい。
【0059】
(変形例3)
実施の形態では、通報部122は、乗降室扉26が開かれた状態が第1の時間継続した場合に係員に通報する場合について説明したが、これに限られない。
【0060】
図9は、変形例に係る機械式駐車場の乗降室の側面図である。
図9は
図2に対応する。本変形例では、機械式駐車場は、乗降室12内に居る人を検出する人検出手段40を備える。例えば、人検出手段40は、レーザ光をスキャン照射可能な反射型のレーザセンサを含み、所定タイミングでレーザセンサを駆動してスキャン動作させ、そのスキャンデータの変化に基づいて乗降室12内に居る人を検出する。また例えば、人検出手段40は、カメラを含み、撮影した画像を処理して画像認識手法により乗降室12内の人を検出するものであってもよい。通報部122は、乗降室扉26が開かれたまま放置された状態が第1の時間以上継続している場合であっても、人検出手段40が乗降室12内に人が居ることを検出しているときには、通報しない。乗降室12内に人(すなわち入出庫中の正規ユーザと思われる人)が居る場合、他のユーザが来たら速やかに入出庫を進めると考えられるためである。
【0061】
また、本変形例では、機械式駐車場は、乗降室12の入出庫口12aの周辺の領域であって乗降室12の外側の領域(例えば入出庫口12aから5mの距離までの領域)に存在する車両を検出する車両検出手段42を備える。車両検出手段42は、例えば、人検出手段40と同様に、レーザセンサを含んで構成されても、カメラを含んで構成されてもよい。通報部122は、入庫時において、車両検出手段42により車両が検出されている間は、すなわち入出庫口12aの周辺に車両がある間は、乗降室扉26が開かれたまま放置された状態が第1の時間以上継続した場合であっても通報しない。この場合、他のユーザが来たら速やかに入庫を進めることが考えられるためである。
【0062】
また、通報部122は、入庫時において、車両が入出庫口12aの周辺から離れ去ったことを車両検出手段42が検出した場合、乗降室扉26が開かれたまま放置された状態が第1の時間未満しか継続していない場合であっても、第1の時間の経過を待たずに通報してもよい。また、通報部122は、出庫時において、車両が入出庫口12aから出て離れ去ったことを車両検出手段42が検出した場合、乗降室扉26が開かれたまま放置された状態が第1の時間未満しか継続していない場合であっても、第1の時間の経過を待たずに通報してもよい。車両ごとユーザが機械式駐車場10から立ち去ってしまったので、第1の時間まで待っても乗降室扉26が閉じられる可能性が低いと考えられるためである。
【0063】
(変形例4)
実施の形態および上述の変形例では特に言及しなかったが、通報部122が通報するまでの時間は、ユーザごとに異なっていても、または入庫時と出庫時とで異なっていても、ユーザごと且つ入庫時と出庫時とで異なっていてもよい。
【0064】
図10は、変形例に係る機械式駐車場のユーザ情報保持部130の一例を示すデータ構造図である。
図10の例では、ユーザ情報保持部130は、正規ユーザの管理番号と、正規ユーザの連絡先と、入庫時通報時間と、出庫時通報時間と、を対応づけて保持する。入庫時通報時間は、入庫処理時に乗降室扉26が開かれた状態が継続している場合に係員に通報するまでの時間であり、出庫時通報時間は、出庫処理時に乗降室扉26が開かれた状態が継続している場合に係員に通報するまでの時間である。
図10に示すように、入庫時通報時間と出庫時通報時間とには、異なる時間を設定できる。また、入庫時通報時間および出庫時通報時間にはユーザごとに異なる時間を設定できる。通報部122は、ユーザ情報保持部130を参照して、入庫時においては乗降室扉26が開かれた状態が入庫時通報時間継続している場合に係員に通報し、出庫時においては乗降室扉26が開かれた状態が出庫時通報時間継続している場合に係員に通報する。
【0065】
本変形例によれば、入出庫に時間が掛かるユーザ、例えばお年寄りや小さい子供がいる親などの入庫時通報時間および出庫時通報時間に、そうではないユーザの入庫時通報時間および出庫時通報時間よりも長い時間を設定できる。これにより、乗降室扉26の閉め忘れではないにもかかわらず係員に通報されるのを抑止できる。
【0066】
また、本発明者による調査によれば、建物104がマンションであり、機械式駐車場10がマンションの地下に設けられたマンションの住人のための地下式の機械式駐車場である場合、外出先での目的を終えて帰宅した住人の入庫は、外出先での目的のための外出する住人の出庫よりも時間が掛かる傾向にある。これに対し、本変形例によれば、入庫時通報時間を出庫時通報時間よりも長い時間に設定できる。これにより、乗降室扉26の閉め忘れではないにもかかわらず係員に通報されるのを抑止できる。
【0067】
(変形例5)
実施の形態では特に言及しなかったが、乗降室扉26が開いたまま放置した放置ユーザに対して、次回の入出庫時に、前回の入出庫時に乗降室扉26を開いたまま放置していた旨を操作盤28の表示部に画面表示して通知し、次回から気をつけるよう注意を促してもよい。例えば、ケース1またはケース2の状況を引き起こしたユーザが次回出庫するときに、前回の入庫時に乗降室扉26を開いたまま放置していた旨を操作盤28のタッチパネル44に表示してもよい。また例えば、ケース3またはケース4の事態を引き起こしたユーザが次回入庫するときに、前回の出庫時に乗降室扉26を開いたまま放置していた旨を操作盤28のタッチパネル44に表示してもよい。また、これらの場合に、操作方法を説明する画面を表示させてもよい。
【0068】
(変形例6)
実施の形態では、ユーザを特定するIDとして管理番号を用いる場合について説明したが、これに限られず、ユーザを特定するIDは、例えば生態情報や、ICカード等であってもよい。
【0069】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。