(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生物学的硝化脱窒処理においては、脱窒槽内で活性汚泥中の微生物が酸化態窒素に含まれる酸素を呼吸に利用することで窒素ガスへの還元が行われるが、脱窒槽内に酸素が存在する環境では、酸素が先に消費され、酸化態窒素の窒素ガスへの還元が起こらなくなる。
特許文献1のように、脱窒槽で添加する水素供与体の量を酸化態窒素量に見合うように添加することは知られている。この方法では、脱窒槽内の溶存酸素により酸化される水素供与体の分を水素供与体の使用量を増やして対応しているため、水素供与体の使用量が多くなるという問題がある。また、脱窒槽内の溶存酸素濃度が高いほど、適切な水素供与体の添加量の見極めが困難となってくるため、脱窒槽内を効率的に還元性雰囲気とする必要がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、生物学的硝化脱窒処理において、脱窒槽での溶存酸素濃度を速やかに減少させて還元性雰囲気とし、窒素除去能力の安定化、水素供与体の使用量削減、運転管理の軽減を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、生物学的硝化脱窒処理において、脱窒槽内の溶存酸素を速やかに消費させるために、還元剤として第一鉄化合物を脱窒槽に添加することで、脱窒槽内の溶存酸素を速やかに消費させ、脱窒槽内を還元性雰囲気とすることが可能となることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の硝化脱窒システム及び硝化脱窒処理方法である。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の硝化脱窒システムは、硝化槽と、脱窒槽と、脱窒槽に還元剤を添加する還元剤添加部と、を備え、還元剤は第一鉄化合物であることを特徴とする。
【0009】
この硝化脱窒システムによれば、脱窒槽に還元剤として第一鉄化合物を添加することにより、2価の鉄イオンが3価に酸化されることを利用して、脱窒槽内の溶存酸素を速やかに消費させ、脱窒槽内を還元性雰囲気とすることが可能となる。その結果、脱窒槽内で酸化態窒素を窒素ガスに還元する反応が進みやすい環境とすることができ、処理水質の安定につながる。
また、一般に被処理水の水質は変動することが多く、被処理水中の溶存酸素濃度も変動するために、硝化脱窒システムの運転管理を困難としていたが、脱窒槽への溶存酸素流入の影響を排除することが可能となり、運転管理を容易にすることができる。
【0010】
更に、本発明の硝化脱窒システムの一実施態様としては、硝化槽の後段に脱窒槽を備え、脱窒槽の後段に沈殿槽を備え、沈殿槽で沈殿した活性汚泥を硝化槽に返送する返送汚泥ラインを備えることを特徴とする。
この特徴によれば、硝化槽から脱窒槽へ流入する処理水には、溶存酸素が含まれるが、この酸素が第一鉄化合物により消費され、脱窒槽内を還元性雰囲気とすることができ、脱窒反応効率が向上するという効果を奏する。
また、脱窒槽において2価の鉄イオンが3価の鉄イオンとなることで、凝集剤としての機能を有するようになる。したがって、沈殿槽における活性汚泥混合液の沈降性を高めるという効果も奏する。
【0011】
更に、本発明の硝化脱窒システムの一実施態様としては、脱窒槽の後段に硝化槽を備え、硝化槽の後段に沈殿槽を備え、硝化槽内の処理水の一部を脱窒槽に返送する循環液ラインと、沈殿槽で沈殿した活性汚泥を脱窒槽に返送する返送汚泥ラインを備えることを特徴とする。
この特徴によれば、脱窒槽に返送される循環液ラインからの処理水中に、溶存酸素が含まれるが、この酸素が第一鉄化合物により消費され、脱窒槽内を還元性雰囲気とすることができ、脱窒反応効率が向上するという効果を奏する。
また、硝化槽に送られる酸化態窒素濃度を低く維持することが可能となり、硝化槽での硝化反応を促進することも可能となる。
さらに、脱窒槽において2価の鉄イオンが3価の鉄イオンとなることで、凝集剤としての機能を有するようになる。したがって、沈殿槽における活性汚泥混合液の沈降性を高めるという効果も奏する。
【0012】
更に、本発明の硝化脱窒システムの一実施態様としては、脱窒槽の前段に、循環液ラインからの処理水と、返送汚泥ラインからの活性汚泥と、被処理水とを混合する混合部を備え、混合部から脱窒槽に、処理水と活性汚泥と被処理水をまとめて搬送することを特徴とする。
この特徴によれば、脱窒槽での環境変動に係る影響が小さくなるため、安定的な脱窒反応を行うことができる。
【0013】
更に、本発明の硝化脱窒システムの一実施態様としては、脱窒槽に、溶存酸素濃度又は酸化還元電位を測定する測定部を設け、測定部の測定値に基づき、還元剤添加部からの還元剤添加量を制御することを特徴とする。
この特徴によれば、脱窒槽の溶存酸素を消費するために必要な適正量の還元剤を添加することが可能となる。
【0014】
また、本発明の硝化脱窒処理方法は、被処理水中の窒素成分を、活性汚泥を用いて窒素ガスに還元する硝化脱窒処理方法であって、硝化槽と、脱窒槽と、脱窒槽に還元剤を添加する還元剤添加部と、を備える硝化脱窒システムを用い、脱窒槽に還元剤として第一鉄化合物を加えることを特徴とする。
この硝化脱窒処理方法によれば、脱窒槽内の溶存酸素を速やかに消費させ、脱窒槽内を還元性雰囲気とすることが可能となる。その結果、脱窒槽内で酸化態窒素を窒素ガスに還元する反応が進みやすい環境とすることができ、処理水質の安定につながる。
また、一般に被処理水の水質は変動することが多く、被処理水中の溶存酸素濃度も変動するために、硝化脱窒システムの運転管理を困難としていたが、脱窒槽への溶存酸素流入の影響を排除することが可能となり、運転管理を容易にすることができる。
さらに、硝化槽と脱窒槽の配設順序を問わず、利用することが可能である。
【0015】
また、本発明の硝化脱窒処理方法の一実施態様としては、脱窒槽に、溶存酸素濃度又は酸化還元電位を測定する測定部を設け、測定部の測定値に基づき、還元剤添加部からの還元剤添加量を制御することを特徴とする。
この特徴によれば、脱窒槽の溶存酸素を消費するために必要な適正量の還元剤を添加することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、硝化脱窒システムの脱窒槽に還元剤として第一鉄化合物を添加することにより、2価の鉄イオンが3価に酸化されることを利用して、脱窒槽内の溶存酸素を速やかに消費させ、脱窒槽内を還元性雰囲気とすることが可能となる。その結果、脱窒槽内で酸化態窒素を窒素ガスに還元する反応が進みやすい環境とすることができ、処理水質の安定につながる。
また、一般に被処理水の水質は変動することが多く、被処理水中の溶存酸素濃度も変動するために、硝化脱窒システムの運転管理を困難としていたが、脱窒槽への溶存酸素流入の影響を排除することが可能となり、運転管理を容易にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の硝化脱窒処理方法については、以下の硝化脱窒システムの構成及び作動の説明に置き換えるものとする。また、この実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0019】
[硝化脱窒システム]
本発明の硝化脱窒システムは、窒素成分を含む被処理水の生物学的硝化脱窒処理に利用するためのシステムである。
【0020】
本発明の硝化脱窒システムにより処理する被処理水の種類は、特に制限されないが、下水等からの排水を対象とすることが好ましい。
【0021】
本発明の硝化脱窒システムは、硝化槽と、脱窒槽と、脱窒槽に還元剤を添加する還元剤添加部と、を備え、還元剤は第一鉄化合物であることを特徴とするものである。すなわち、脱窒槽に存在する溶存酸素により2価の鉄イオンが3価に酸化されることで、脱窒槽内の酸素が消費される。その結果、脱窒槽内の還元性雰囲気が高まり、脱窒反応効率を向上させるものである。
【0022】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態の硝化脱窒システムの構成を示す概略図である。
本実施形態の硝化脱窒システム1aは、窒素成分を含む被処理水Wを処理するものであり、
図1に示すように、硝化槽2と、脱窒槽3と、脱窒槽3に還元剤を添加する還元剤添加部4と、それぞれの槽を接続するラインL1〜L4とを備えている。また、硝化槽2及び脱窒槽3内には、硝化菌及び脱窒菌等の微生物菌体を含む活性汚泥Sが投入されている。
【0023】
硝化脱窒システム1aでは、硝化槽2に、ラインL1を通じて窒素成分を含む被処理水Wが流入する。硝化槽2内では、酸化性(好気性)雰囲気下において硝化菌によりアンモニア性窒素を酸化態窒素に酸化する。硝化槽2で硝化処理された被処理水Wは、ラインL2を通じて脱窒槽3へ送られる。脱窒槽3内では、還元性(嫌気性)雰囲気下において脱窒菌により酸化態窒素を窒素ガスに還元する。窒素ガスがラインL3を通じて被処理水Wから十分に除去された後、被処理水Wは処理水W1として脱窒槽3からラインL4を通じて排出される。
【0024】
(硝化槽)
硝化槽2内では、硝化菌の働きにより、下記式(1)及び/又は(2)によりアンモニア性窒素が酸化態窒素に酸化される。
2NH
4++3O
2→2NO
2-+2H
2O+4H
+ …(1)
2NO
2-+O
2→2NO
3- …(2)
この酸化反応の際に用いられる酸素を供給する手段として、硝化槽2の槽底部に曝気撹拌装置(不図示)を設け、空気等の曝気により好気性雰囲気下とすることが好ましい。
【0025】
(脱窒槽)
脱窒槽3は、還元剤添加部4と、水素供与体添加部5及び測定部6を備える。
【0026】
脱窒槽3内では、脱窒菌の働きにより、下記式(3)及び/又は(4)により酸化態窒素が窒素ガスに還元される。
2NO
2-+6H
+→2H
2O+2OH
-+N
2 …(3)
2NO
3-+10H
+→4H
2O+2OH
-+N
2 …(4)
この還元反応の際に用いられる水素の供与体(水素供与体)としては、被処理水Wに含まれているBOD成分が用いられる。
【0027】
また、好気性の硝化槽2から脱窒槽3に流入した被処理水W中には、溶存酸素が含まれている。この溶存酸素は、脱窒菌が有機物を分解する際の呼吸や脱窒菌自体の内生呼吸により消費される。一方、溶存酸素が存在する間、脱窒菌は酸化態窒素分子内の酸素を消費せず、上記式(3)及び/又は(4)による還元反応が進まないため、脱窒槽3内の溶存酸素を速やかに除去する必要がある。
【0028】
(還元剤添加部)
還元剤添加部4は、脱窒槽3に還元剤を添加するための構成である。
還元剤としては第一鉄化合物を用いる。具体的には、塩化第一鉄(FeCl
2)、硫酸第一鉄(FeSO
4)が好ましい。
【0029】
還元剤添加部4から脱窒槽3に第一鉄化合物が添加されることで、第一鉄化合物の2価の鉄イオンが3価に酸化されて、脱窒槽内の溶存酸素が消費される。その結果、脱窒槽内の還元性雰囲気が高まり、上記式(3)及び/又は(4)による還元反応を進行させ、脱窒反応効率を向上させるものである。
【0030】
(水素供与体添加部)
水素供与体添加部5は、脱窒槽3に水素供与体を添加するための構成である。
上記式(3)及び/又は(4)による還元反応における水素供与体であるBOD成分が被処理水Wの水質や処理状況によって不足する場合には、易分解性の有機物を水素供与体として水素供与体添加部5より添加してもよい。
水素供与体は、通常メタノールが用いられ、脱窒菌の炭素源、エネルギー源としても作用する。なお、水素供与体としては、メタノール以外のアルコール、酢酸などの有機酸、糖を含む廃液などを使用してもよい。
【0031】
(測定部)
測定部6は、脱窒槽3内の溶存酸素濃度(DO)あるいは酸化還元電位(ORP)を測定するための構成である。
これにより、脱窒槽3内のDOあるいはORP値に応じて、還元剤添加部4から添加する還元剤の適正量を決定することが可能となり、硝化脱窒システムの適正な運転管理を容易とすることができる。
DOあるいはORPを測定するための具体的構成は特に限定されず、公知の技術を用いることができる。例えば、DOの測定には、隔膜式電極などが挙げられ、ORPの測定には、白金電極などが挙げられる。
なお、測定部6の測定結果に応じて必要な還元剤量を計算し、還元剤添加部4から添加する還元剤の量を自動制御する制御部(不図示)を設けてもよい。
【0032】
〔第2の実施形態〕
図2は本発明の第2の実施形態の硝化脱窒システムの構成を示す概略図である。
第2の実施形態の硝化脱窒システム1bは、
図2に示すように、第1の実施形態における硝化槽2と、脱窒槽3との配置順序を入れ替え、硝化槽2には、処理水の一部を脱窒槽に返送し、循環させる循環液ライン7を設けたものである。
硝化脱窒システム1bでは、脱窒槽3に、ラインL5を通じて窒素成分を含む被処理水Wが流入する。脱窒槽3内では、還元性(嫌気性)雰囲気下において脱窒菌により酸化態窒素を窒素ガスに還元する。窒素ガスがラインL6を通じて被処理水Wから十分に除去された後、脱窒槽3で脱窒処理された被処理水Wは、ラインL7を通じて硝化槽2へ送られる。硝化槽2内では、酸化性(好気性)雰囲気下において硝化菌によりアンモニア性窒素を酸化態窒素に酸化する。硝化槽2で硝化処理された被処理水Wは、一部の処理水W1は循環液ライン7を通じて脱窒槽3へ送られる。また、残りの処理水W2は硝化槽2からラインL8を通じて排出される。
【0033】
硝化脱窒システム1bにおいては、循環液ライン7を通じて脱窒槽3に流入した処理水W1中に、溶存酸素が含まれている。この溶存酸素を還元剤添加部4から添加される還元剤により消費し、脱窒槽3の還元性雰囲気を高めるものである。
【0034】
また、硝化脱窒システム1bでは、脱窒槽3における脱窒効率を高めることにより、後段の硝化槽2に流入する酸化態窒素量を少なくすることができ、硝化反応を促進することができるという効果も奏する。
【0035】
〔第3の実施形態〕
図3は本発明の第3の実施形態の硝化脱窒システムの構成を示す概略図である。
第3の実施形態の硝化脱窒システム1cは、
図3に示すように、第1の実施形態における脱窒槽3の後段に沈殿槽8を設け、沈殿槽8で固液分離された活性汚泥Sを硝化槽2に返送する返送汚泥ライン9を設けたものである。
硝化脱窒システム1cでは、硝化槽2に、ラインL9を通じて窒素成分を含む被処理水Wが流入する。硝化槽2で硝化処理された被処理水Wは、ラインL10を通じて脱窒槽3へ送られる。脱窒槽3内で生成した窒素ガスがラインL11を通じて被処理水Wから十分に除去された後、被処理水Wは脱窒槽3からラインL12を通じて沈殿槽8へ送られる。沈殿槽8において固液分離が行われ、処理水W1は沈殿槽8からラインL13を通じて排出される。
【0036】
(沈殿槽)
沈殿槽8は、脱窒槽3からラインL12を通じて供給された被処理水Wを、凝集物(活性汚泥Sを含む)と処理水W1とに固液分離するための構成である。また、凝集物の一部である活性汚泥Sを硝化脱窒反応に再利用するため、硝化槽2に返送する返送汚泥ライン9を備える。
沈殿槽8での固液分離の効率を上げるため、沈殿槽8の前段あるいは沈殿槽8において、凝集剤を添加してもよい(不図示)。
【0037】
凝集剤としては、特に制限されず、無機凝集剤、高分子凝集剤のいずれでもよい。無機凝集剤としては、例えば、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリシリカ鉄、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等が挙げられ、高分子凝集剤としては、ポリアミノアルキルメタクリレート、ポリエチレンイミン、ハロゲン化ポリジアリルアンモニウム、キトサン、尿素−ホルマリン樹脂等のカチオン性高分子凝集剤、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド部分加水分解物、部分スルホメチル化ポリアクリルアミド、ポリ(2−アクリルアミド)−2−メチルプロパン硫酸塩等のアニオン性高分子凝集剤、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等のノニオン性高分子凝集剤、アクリルアミドとアミノアルキルメタクリレートとアクリル酸ナトリウムの共重合体等の両性高分子凝集剤が挙げられる。凝集状態を良好に維持することができることから、無機凝集剤を使用することが好ましい。また、被処理水中の成分や凝集状態に応じて、無機凝集剤と高分子凝集剤を併用してもよい。
【0038】
ここで、脱窒槽3において還元剤として第一鉄化合物を添加しているため、脱窒槽3から沈殿槽8に供給される被処理水Wには、3価の鉄イオンが含まれている。この3価の鉄イオンが凝集剤として機能するため、使用する凝集剤の量を削減することが可能となる。
さらに、添加する凝集剤として3価の鉄イオンを含む凝集剤を選択することで、水酸化鉄(III)を由来とする汚泥発生量を増やすことなく、硝化脱窒処理を行うことができる。
【0039】
〔第4の実施形態〕
図4は本発明の第4の実施形態の硝化脱窒システムの構成を示す概略図である。
第4の実施形態の硝化脱窒システム1dとして、
図4に示すように、第3の実施形態における脱窒槽3と沈殿槽8の間に、再曝気槽10を設けてもよい。
硝化脱窒システム1dでは、硝化槽2に、ラインL14を通じて窒素成分を含む被処理水Wが流入する。硝化槽2で硝化処理された被処理水Wは、ラインL15を通じて脱窒槽3へ送られる。脱窒槽3内で生成した窒素ガスがラインL16を通じて被処理水Wから十分に除去された後、被処理水WはラインL17上に設けられた再曝気槽10を通過した後、沈殿槽8へ送られる。沈殿槽8において固液分離が行われ、処理水W1は沈殿槽8からラインL18を通じて排出される。
これにより、脱窒槽3で添加した2価の鉄イオンを確実に3価の鉄イオンとすることが可能となるため、凝集剤の添加量を削減し、かつ沈殿槽8での固液分離効率をより高めることができる。
【0040】
〔第5の実施形態〕
図5は本発明の第5の実施形態の硝化脱窒システムの構成を示す概略図である。
第5の実施形態の硝化脱窒システム1eは、
図5に示すように、第2の実施形態における硝化槽3の後段に、沈殿槽8を設け、沈殿槽で固液分離された活性汚泥Sを脱窒槽3に返送する返送汚泥ライン9を設けたものである。なお、沈殿槽8は、第3の実施形態における構成を採用するものである。
硝化脱窒システム1eでは、脱窒槽3に、ラインL19を通じて窒素成分を含む被処理水Wが流入する。脱窒槽3内で生成した窒素ガスがラインL20を通じて被処理水Wから十分に除去された後、脱窒槽3で脱窒処理された被処理水Wは、ラインL21を通じて硝化槽2へ送られる。硝化槽2で硝化処理された被処理水Wは、一部の処理水W1は循環液ライン7を通じて脱窒槽3へ送られる。また、残りの処理水はラインL22を通じて沈殿槽8へ送られる。沈殿槽8において固液分離が行われ、処理水W2は沈殿槽8からラインL23を通じて排出される。
【0041】
また、脱窒槽3の前段に、混合部11を設けてもよい。
図5に示すように、混合部11は、ラインL19上に設けられ、循環液ライン7からの処理水W1と、返送汚泥ライン9からの活性汚泥Sと、被処理水Wとを混合するものである。
【0042】
処理水W1と活性汚泥Sと被処理水Wをそれぞれ別々に脱窒槽3に流入させると、脱窒槽3内の環境を安定させることが困難となる。したがって、一旦、混合部11にて処理水W1と活性汚泥Sと被処理水Wを混合し、混合部11から脱窒槽3に、処理水W1と活性汚泥Sと被処理水Wをまとめて搬送することで、脱窒槽3内の環境制御を容易とするものである。