特許第6889613号(P6889613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6889613
(24)【登録日】2021年5月25日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】レバー付きコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   H01R13/629
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-107659(P2017-107659)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-206519(P2018-206519A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】新味 義史
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−303452(JP,A)
【文献】 特開平08−185926(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0305536(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56−13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一軸に沿って相手コネクタハウジングに挿入されるコネクタハウジングと、
該コネクタハウジングの両側面から前記第一軸に直交する第二軸に沿ってそれぞれ略ピン状に突出する一対のボス部と、
該一対のボス部に組み付けられるとともに前記コネクタハウジングの挿入開始時における第一位置及び挿入終了時における第二位置の間を回転方向に移動するレバーと、
前記第二位置で係止状態が形成される前記コネクタハウジングのハウジングロック部及び前記レバーのレバーロック部と、
を備え、
前記一対のボス部には、前記第二軸の方向にのびて、前記レバーのスライドを許容するためのスライド許容部形成され
前記コネクタハウジング及び前記レバーにおいては、前記ハウジングロック部及び前記レバーロック部を前記第二軸の方向にずらして配置し、且つ、前記コネクタハウジング及び前記レバーには、該レバーのスライド後の前記ハウジングロック部及び前記レバーロック部による前記係止状態を維持するための係止維持部をそれぞれ形成し、
前記コネクタハウジング側の前記係止維持部としては、前記一対のボス部のうちの片方に圧入部分となるような状態に形成し、且つ、前記レバー側の前記係止維持部としては、前記圧入部分の圧入先になる被圧入部分となるような状態に形成する
ことを特徴とするレバー付きコネクタ。
【請求項2】
請求項に記載のレバー付きコネクタにおいて、
前記コネクタハウジング側としては、前記一対のボス部のうちの前記片方に被当接部を形成し、且つ、前記レバー側としては、該レバーのスライド時に前記被当接部に当接する当接部を形成する
ことを特徴とするレバー付きコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングに設けられたレバーを操作することにより相手コネクタハウジングとの挿入が進み、そして、コネクタ同士が嵌合し合うような構造になるレバー付きコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
レバー付きコネクタとしては、下記特許文献1に開示されたものが知られる。下記特許文献1のレバー付きコネクタは、コネクタハウジングと、このコネクタハウジングの端子収容室に収容される端子金具と、コネクタハウジングに設けられるレバーとを備えて構成される。レバーは、相手コネクタハウジングに対するコネクタハウジングの挿入開始時に第一の位置にあり、挿入終了時には第二の位置にあるような回転方向に移動可能な部材に形成される。
【0003】
レバー付きコネクタは、レバーを操作して上記第二の位置までレバーを回転移動させると、この時、レバーのレバーロック部がコネクタハウジングのハウジングロック部に対し乗り越えて係止状態が形成されるようになる。係止状態が形成されると、これによりハウジング同士の挿入及びコネクタ同士の嵌合が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−27652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術にあっては、レバーを第一の位置から第二の位置まで回転移動させるためのレバー操作力が必要になる他、レバーのレバーロック部をコネクタハウジングのハウジングロック部に対し乗り越えさせる際に付加的に生じるレバー操作力も必要になることから、全体的にレバー操作力が大きくなって作業性が悪くなるという問題点を有する。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、レバー操作力の低減を図ることが可能な構造を有するレバー付きコネクタの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明のレバー付きコネクタは、第一軸に沿って相手コネクタハウジングに挿入されるコネクタハウジングと、該コネクタハウジングの両側面から前記第一軸に直交する第二軸に沿ってそれぞれ略ピン状に突出する一対のボス部と、該一対のボス部に組み付けられるとともに前記コネクタハウジングの挿入開始時における第一位置及び挿入終了時における第二位置の間を回転方向に移動するレバーと、前記第二位置で係止状態が形成される前記コネクタハウジングのハウジングロック部及び前記レバーのレバーロック部と、を備え、前記一対のボス部には、記第二軸の方向にのびて、前記レバーのスライドを許容するためのスライド許容部形成され、前記コネクタハウジング及び前記レバーにおいては、前記ハウジングロック部及び前記レバーロック部を前記第二軸の方向にずらして配置し、且つ、前記コネクタハウジング及び前記レバーには、該レバーのスライド後の前記ハウジングロック部及び前記レバーロック部による前記係止状態を維持するための係止維持部をそれぞれ形成し、前記コネクタハウジング側の前記係止維持部としては、前記一対のボス部のうちの片方に圧入部分となるような状態に形成し、且つ、前記レバー側の前記係止維持部としては、前記圧入部分の圧入先になる被圧入部分となるような状態に形成することを特徴とする。
【0008】
このような請求項1の特徴を有する本発明によれば、ハウジングロック部に対しレバーロック部を乗り越えさせて係止状態を形成するような構造のレバー付きコネクタではなく、第二位置でレバーをスライド(横スライド)させて、それまでずれた配置にあったハウジングロック部とレバーロック部との位置関係を変えて係止状態を形成するような構造のレバー付きコネクタになる。従って、レバーの回転操作に係り、レバー操作力を付加する必要はなく、結果、従来構造よりもレバー操作力の低減を図ることができる。
【0010】
更に、このような請求項の特徴を有する本発明によれば、圧入構造により、スライド後のレバーの位置を保持することができ、結果、ハウジングロック部とレバーロック部との係止状態を維持することができる。
【0011】
請求項に記載の本発明は、請求項に記載のレバー付きコネクタにおいて、前記コネクタハウジング側としては、前記一対のボス部のうちの前記片方に被当接部を形成し、且つ、前記レバー側としては、該レバーのスライド時に前記被当接部に当接する当接部を形成することを特徴とする。
【0012】
このような請求項の特徴を有する本発明によれば、当接構造により、レバーのスライド量を規制することができ、結果、レバーの最適な位置決めをすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のレバー付きコネクタによれば、レバー操作力の低減を図ることができ、以て作業性の向上を図ることもできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のレバー付きコネクタの一実施形態を示す図であり、(a)はレバーが第一位置にある時の斜視図、(b)はハウジングロック部とレバーロック部との位置関係を示す断面図、(c)はボス部とボス部回転穴との位置関係を示す斜視図である。
図2】コネクタハウジングの図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のハウジングロック部の断面図である。
図3】(a)はハウジングロック部の拡大斜視図、(b)はボス部の拡大斜視図である。
図4】(a)はレバーの正面図、(b)は(a)のレバーロック部の拡大図である。
図5】レバーが第一位置にある時のレバー付きコネクタ及び相手コネクタの斜視図である。
図6図5の断面図である。
図7】(a)は図5及び図6のハウジングロック部とレバーロック部との位置関係を示す断面図、(b)は図5及び図6のボス部とボス部回転穴との位置関係を示す斜視図、(c)は(b)の矢印方向から見た図である。
図8】レバーが第一位置及び第二位置の途中にある時のレバー付きコネクタ及び相手コネクタの斜視図である。
図9図8の断面図である。
図10】(a)は図8及び図9のハウジングロック部とレバーロック部との位置関係を示す断面図、(b)は図8及び図9のボス部とボス部回転穴との位置関係を示す斜視図、(c)は(b)の矢印方向から見た図である。
図11】レバーが第二位置まできた時のレバー付きコネクタ及び相手コネクタの斜視図(レバーを横スライドさせる前の図)である。
図12図11の断面図である。
図13】(a)は図11及び図12のハウジングロック部とレバーロック部との位置関係を示す断面図、(b)は図11及び図12のボス部とボス部回転穴との位置関係を示す斜視図、(c)は(b)の矢印方向から見た図である。
図14】レバーが第二位置にある時のレバー付きコネクタ及び相手コネクタの斜視図(レバーを横スライドさせた後の図)である。
図15図14の断面図である。
図16】(a)は図14及び図15のハウジングロック部とレバーロック部との位置関係を示す断面図、(b)は図14及び図15のボス部とボス部回転穴との位置関係を示す斜視図、(c)は(b)の矢印方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
レバー付きコネクタは、コネクタハウジングと、一対のボス部と、レバーと、ハウジングロック部及びレバーロック部とを備える。一対のボス部には、これを横方向にのばしてスライド許容部を形成する。コネクタハウジング及びレバーにおいては、ハウジングロック部及びレバーロック部を横方向にずらして配置する。コネクタハウジング及びレバーには、レバーを横スライドさせた後の、ハウジングロック部及びレバーロック部による係止状態を維持するための係止維持部をそれぞれ形成する。
【0016】
コネクタハウジング側の係止維持部としては、片方のボス部に圧入部を形成する。また、レバー側の係止維持部としては、圧入部の圧入先になる被圧入部を形成する。この他、コネクタハウジング側としては、片方のボス部に被当接部を形成する。また、レバー側としては、レバーの横スライド時に被当接部に当接する当接部を形成する。
【実施例】
【0017】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明のレバー付きコネクタの一実施形態を示す図である。また、図2及び図3はコネクタハウジングの図、図4はレバーの図である。また、図5図7はレバーが第一位置にある時の図、図8図10はレバーが第一位置及び第二位置の途中にある時の図、図11図13はレバーが第二位置まできた時(レバー横スライド前)の図、図14図16はレバーが第二位置にある時(レバー横スライド後)の図である。
【0018】
尚、図中の二つの一点鎖線は、特許請求の範囲に記載された第一軸L1と第二軸L2とを示す。第一軸L1の方向は、コネクタ嵌合の方向やハウジング挿入方向に一致するものとする。また、第二軸L2は、第一軸L1に対して直交するものとする。
【0019】
<レバー付きコネクタ1及び相手コネクタ2について>
図1において、引用符号1はレバー付きコネクタを示す。また、引用符号2はレバー付きコネクタ1のコネクタ嵌合相手となる相手コネクタを示す。レバー付きコネクタ1及び相手コネクタ2は、共に多極コネクタであって、コネクタ嵌合における挿入力の低減のために公知のLIF機構(ここでは詳細な説明は省略するものとする)が採用される。レバー付きコネクタ1及び相手コネクタ2は、例えば自動車用として用いられる。
【0020】
先ず、相手コネクタ2の構成について簡単に説明をし、次に、レバー付きコネクタ1の構成及び構造について詳細に説明をする。
【0021】
<相手コネクタ2について>
図1及び図5において、相手コネクタ2は、図示しない固定部材の表面に載置固定されるコネクタとして用いられる。相手コネクタ2は、脚状の一対の固定部3を有する絶縁性の相手コネクタハウジング4と、この相手コネクタハウジング4の端子収容室5に収容される導電性の図示しない端子金具とを備えて構成される。端子金具は、図示しない電線端末の導体に接続される。相手コネクタハウジング4には、一対の係合突起6が形成される。この一対の係合突起6は、相手コネクタハウジング4の両側面にそれぞれ配置形成される。
【0022】
<レバー付きコネクタ1について>
図1及び図5において、レバー付きコネクタ1は、固定状態にある相手コネクタ2に対し挿入するような格好で電気的な接続がなされるコネクタであって、コネクタ本体7と、樹脂製のレバー8とを備えて構成される。コネクタ本体7は、絶縁性を有する樹脂製のコネクタハウジング9と、このコネクタハウジング9の端子収容室10に収容される導電性の図示しない端子金具とを備えて構成される。端子金具は、図示しない電線端末の導体に接続される。
【0023】
<コネクタハウジング9の前面及び左右両側面について>
図1及び図2において、図中の矢印Pを上下方向、矢印Qを左右方向、矢印Rを前後方向と定義すると、コネクタハウジング9の前面には、相手コネクタ2との(相手コネクタハウジング4との)嵌合部11が開口形成される。また、この嵌合部11の近傍には、一対のガイド溝12が形成される。一対のガイド溝12は、相手コネクタハウジング4の一対の係合突起6にそれぞれ差し込まれて案内されるような部分に形成される。このような一対のガイド溝12の近傍には(コネクタハウジング9の左右両側面には)、一対のボス部13が一体に形成される。
【0024】
<一対のボス部13について>
図1ないし図3において、一対のボス部13は、後述するレバー8の回転軸及び横スライド部分として形成される。一対のボス部13は、第二軸L2や矢印Qの左右方向に沿ってそれぞれ略ピン状に突出する部分に形成される。一対のボス部13には、それぞれスライド許容部14が形成される。スライド許容部14は、第二軸L2の方向にのびてレバー8の横スライドを許容するための部分に形成される。
【0025】
一対のボス部13のうちの片方のボス部13には(右側のボス部13には)、被当接部15と、係止維持部16とが形成される。また、もう片方のボス部13には(左側のボス部13には)、被当接部17(図6参照)が形成される。
【0026】
右側のボス部13における被当接部15は、ボス部13の先端位置に配置形成される。被当接部15は、上記先端位置における下部から下方に突出する片状の部分に形成される。被当接部15は、ストッパとして機能するような部分に形成される。
【0027】
右側のボス部13における係止維持部16は、被当接部15よりも若干内側に配置され、上半分の外周面からフランジ状に突出するような状態に形成される。また、係止維持部16は、変形可能で圧入部分となるような状態に形成される。尚、本実施例ではボス部13の位置に係止維持部16が形成されるが、後述するレバー8の横スライド後における係止状態(後述する)を維持することができれば他の箇所であってもよいものとする。
【0028】
一方、左側のボス部13における被当接部17(図6参照)は、右側の被当接部15と同様な位置及び形状に形成される。
【0029】
<コネクタハウジング9の上面について>
図1ないし図3において、コネクタハウジング9の上面には、アーム部18が形成される。このアーム部18は、コネクタハウジング9の後側に基端部が形成されるとともに、自由端部が前側にのびるような形状に形成される。アーム部18は、この中間部がコネクタハウジング9の上面に対して平行な部分に形成される。アーム部18の中間部は、この中央位置がコネクタハウジング9の中心軸C1(第一軸L1及び第二軸L2にそれぞれ直交する縦軸)に一致するように形成される(図2(b)参照)。アーム部18の中間部の上面には、ハウジングロック部19が形成される。
【0030】
<ハウジングロック部19について>
図2図3図6、及び図7において、ハウジングロック部19は、後述するレバー8を係止するための部分に形成される。ハウジングロック部19は、コネクタハウジング9の前面側が係止面になるように形成される。ハウジングロック部19は、係止用の突起部分に形成される。ハウジングロック部19は、上下方向に短く突出するように、また、左右方向にのびるように形成される。ハウジングロック部19は、この中心軸C2が上記中心軸C1に対して寸法G1の分だけずれるような位置に形成される(ズレの方向は第二軸L2に沿った方向である)。ハウジングロック部19は、レバー8の後述するレバーロック部25の回転軌跡上に存在しないような位置及び大きさに形成される。
【0031】
<レバー8について>
図1図4、及び図5において、レバー8は、相手コネクタハウジング4に対するコネクタハウジング9の挿入開始時における第一位置20(図5参照)及び挿入終了時における第二位置21(図11及び図14参照)の間を回転方向に移動させることが可能な部材に形成される。また、第二位置21にある状態では、第二軸L2に沿って横スライドさせることも可能な部材に形成される。
【0032】
レバー8は、コネクタハウジング9の左右両側面に対向するような一対の脚部22と、これら一対の脚部22をコネクタハウジング9の上面側で繋ぐ横桟部23とを有して図示の形状に形成される。一対の脚部22には、ボス部回転穴24がそれぞれ形成される。また、横桟部23には、レバーロック部25と、操作部26とが形成される。
【0033】
<一対のボス部回転穴24について>
図5及び図7において、一対のボス部回転穴24は、コネクタハウジング9の一対のボス部13の形状に合わせた穴形状に形成される。また、一対のボス部回転穴24は、一対のボス部13に軸支されるような部分にも形成される。図7において、このような一対のボス部回転穴24のうち、右側のボス部回転穴24には、当接部27と、係止維持部28とが形成される。
【0034】
図7において、当接部27は、ボス部回転穴24の外縁の一部を凹ませるような部分に形成される。当接部27は、レバー8の横スライドの際に右側のボス部13の被当接部15に当接する部分として形成される。当接部27と被当接部15は、レバー8の横スライド量を規制する部分として、また、レバー8の最適な位置決めをする部分として形成される。当接部27は、レバー8が上記第一位置20にある時に、被当接部15に対して当接しない位置(図7(c)参照)にあるように形成される。
【0035】
図7において、係止維持部28は、ボス部回転穴24の外縁の上半分に配置形成される。係止維持部28は、レバー8の横スライド後における係止状態(後述する)を維持する部分として形成される。係止維持部28は、ボス部13の係止維持部16の圧入先になる被圧入部分として形成される。
【0036】
<レバーロック部25について>
図4ないし図7において、レバーロック部25は、コネクタハウジング9のハウジングロック部19により係止される部分に形成される。また、レバーロック部25は、ハウジングロック部19の係止面に対し面接触するような被係止面を有する部分に形成される。さらに、レバーロック部25は、ハウジングロック部19と同様のサイズの突起部分に形成される。レバーロック部25は、この中心軸C3がレバー8の中心軸C4に対して寸法G2の分だけずれるような位置に形成される(ズレの方向は第二軸L2に沿った方向である)。レバーロック部25は、自身の回転軌跡上にハウジングロック部19が存在しないように配置形成される。
【0037】
<レバー8が第一位置20にある時のレバー付きコネクタ1の状態について>
図5ないし図7において、レバー8が第一位置20にある時、レバー付きコネクタ1は、このコネクタハウジング9が相手コネクタハウジング4に対し挿入を開始することが可能な状態になる。レバー8は、左寄りに配置され、この時、ハウジングロック部19とレバーロック部25は、正面視でラップしない状態(左右にずれた状態)になる。また、レバー8が左寄りであることから、右側のボス部13の先端位置が右側のボス部回転穴24から突出した状態になる。
【0038】
レバー付きコネクタ1のコネクタハウジング9が相手コネクタハウジング4に対し挿入され始めると、コネクタハウジング9のガイド溝12に相手コネクタハウジング4の係合突起6が差し込まれて案内される。レバー8の脚部22の図示しない弧状テコ溝の挿入端部分に係合突起6が位置するまで挿入がなされると、レバー8の回転操作が可能な状態になる。尚、弧状テコ溝はレバー8の二つの脚部22の対向内面側に配置されており、LIF機構を構成している。
【0039】
<レバー8の回転操作が開始された時のレバー付きコネクタ1の状態について>
図8ないし図10において、レバー8の回転操作が開始されると、レバー8の脚部22(内側の図示しない弧状テコ溝)と相手コネクタハウジング4の係合突起6(図5参照)とが係合し合い、レバー付きコネクタ1は相手コネクタ2に引き寄せられるような状態になる。内部においては、電気的な接続が進行する。尚、レバー8の回転操作が開始されても、レバー8は左寄りのままである。そのためハウジングロック部19とレバーロック部25は、正面視でラップしない状態に変わりがない。また、右側のボス部13の先端位置が右側のボス部回転穴24から突出した状態も変わりがない。
【0040】
<レバー8が第二位置21まできた時のレバー付きコネクタ1の状態について>
図11ないし図13において、回転操作によりレバー8が第二位置21まできた時、レバー付きコネクタ1は、このコネクタハウジング9が相手コネクタハウジング4に対し挿入を終了した状態になる(電気的な接続自体も完了した状態になる)。尚、レバー8が第二位置21まで来る直前にレバーロック部25がハウジングロック部19の横を通過する。レバーロック部25は、ハウジングロック部19の横を通過するだけであることから、回転操作に係りレバー操作力を付加する必要はない(ハウジングロック部19に対しレバーロック部25が乗り越えるような状態にならないため、レバー操作力を付加する必要はない)。
【0041】
回転操作によりレバー8が第二位置21まできてもレバー8は左寄りのままであり、ハウジングロック部19とレバーロック部25は、正面視でラップしない状態に変わりがない。また、右側のボス部13の先端位置が右側のボス部回転穴24から突出した状態も変わりがない。
【0042】
<レバー8を横スライドさせた時のレバー付きコネクタ1の状態について>
図14ないし図16において、レバー8が第二位置21まできた後にレバー8を横スライドさせると、レバーロック部25が右方向に移動してハウジングロック部19にラップするような位置関係になり、レバーロック部25とハウジングロック部19との間では、係止面同士が対向して係止状態が形成される。すなわち、レバー8が係止された状態が形成される。係止状態が形成されると、レバー8は回転操作が規制された状態になる。
【0043】
レバー8の横スライドは、レバー8の当接部27がボス部13の被当接部15に当接するまで行われる。この時、ボス部13の係止維持部16がボス部回転穴24の係止維持部28に圧入される。係止維持部16と係止維持部28との圧入状態が形成されると、レバー8の右方向へのスライドが規制される。レバー8の横スライドが規制されると、相手コネクタ2に対するレバー付きコネクタ1のコネクタ嵌合が完了する。
【0044】
<レバー付きコネクタ1の効果について>
以上、図1ないし図16を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるレバー付きコネクタ1によれば、従来構造、すなわちハウジングロック部に対しレバーロック部を乗り越えさせて係止状態を形成するような構造のレバー付きコネクタではなく、第二位置21でレバー8を横スライドさせて、それまでずれた配置にあったハウジングロック部19とレバーロック部25との位置関係を変えて係止状態を形成するような構造のレバー付きコネクタ1になる。従って、レバー8の回転操作に係り、レバー操作力を付加する必要はなく、結果、従来よりもレバー操作力の低減を図ることができるという効果を奏する。
【0045】
また、レバー付きコネクタ1によれば、係止維持部16と係止維持部28との圧入構造により、横スライド後のレバー8の位置を保持することができ、結果、ハウジングロック部19とレバーロック部25との係止状態を維持することができるという効果も奏する。
【0046】
また、レバー付きコネクタ1によれば、レバー8の当接部27とボス部13の被当接部15との当接構造により、レバー8のスライド量を規制することができ、結果、レバー8の最適な位置決めをすることができるという効果も奏する。
【0047】
従って、レバー付きコネクタ1は、レバー操作力の低減を図ることができ、以て作業性の向上を図ることもできるという効果を奏する。
【0048】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
1…レバー付きコネクタ、 2…相手コネクタ、 3…固定部、 4…相手コネクタハウジング、 5…端子収容室、 6…係合突起、 7…コネクタ本体、 8…レバー、 9…コネクタハウジング、 10…端子収容室、 11…嵌合部、 12…ガイド溝、 13…ボス部、 14…スライド許容部、 15…被当接部、 16…係止維持部、 17…被当接部、 18…アーム部、 19…ハウジングロック部、 20…第一位置、 21…第二位置、 22…脚部、 23…横桟部、 24…ボス部回転穴、 25…レバーロック部、 26…操作部、 27…当接部、 28…係止維持部、 L1…第一軸、 L2…第二軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16