特許第6889633号(P6889633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オリンピアの特許一覧

<>
  • 特許6889633-遊技機 図000002
  • 特許6889633-遊技機 図000003
  • 特許6889633-遊技機 図000004
  • 特許6889633-遊技機 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6889633
(24)【登録日】2021年5月25日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   A63F5/04 601A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-152760(P2017-152760)
(22)【出願日】2017年8月7日
(65)【公開番号】特開2019-30438(P2019-30438A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2019年3月22日
【審判番号】不服2020-2763(P2020-2763/J1)
【審判請求日】2020年2月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】特許業務法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】石井 敬一
【合議体】
【審判長】 長崎 洋一
【審判官】 石井 哲
【審判官】 澤田 真治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−5382(JP,A)
【文献】 特開2008−119093(JP,A)
【文献】 特開2006−223504(JP,A)
【文献】 特開2010−172775(JP,A)
【文献】 特開2004−147989(JP,A)
【文献】 特開2011−212381(JP,A)
【文献】 特開2007−268173(JP,A)
【文献】 特開2002−35208(JP,A)
【文献】 特開2017−94164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示画面を有する表示装置と、
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
前記表示装置の下方に配置され、かつ上端が前記表示画面の下端より奥となるように配置され、前記複数のリールのそれぞれの一部を表示する表示窓と、
前記表示窓の外周に沿って配置され、前記表示窓の前方に開口を形成する窓外周部と、を備え、
前記窓外周部は、前記表示窓の左右前方側にそれぞれ配置され、前記表示窓から前記開口までを繋ぐ左側面及び右側面を有し、
前記表示窓は、上方に向くように傾斜して配置され、
前記左側面及び前記右側面は、前記開口の下方の幅より前記開口の上方の幅が大きくなるように形成されている、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記左側面及び前記右側面は、前記表示窓の左右方向の幅よりも前記開口の左右方向の幅が大きくなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
上述のような遊技機の中には、複数のリールを視認可能にする表示窓の前方側(遊技者側)に窓枠部材を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に記載のものは、窓枠部材の下方部分を構成する下横枠部に、奥方向に向かって上方に傾斜した傾斜面が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−267312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表示窓の前方側に配置される窓外周部は、例えば表示窓に隣接して電飾装置を配置したり、演出用のボタンを配置したりしたときに、前後方向の厚みを揃えた方が良好なデザイン性が得られるため、厚みが厚くなり易い。しかしながら、窓外周部の前後方向の厚みが厚いほど、窓外周部の開口位置に対して表示窓が奥方向に埋もれた位置となり、例えばホールで遊技する遊技機を選ぶ遊技者や隣接する遊技機で遊技している遊技者からリールの視認性が悪いという問題がある。また、表示窓が窓外周部の開口位置に対して奥側になるほど、窓外周部に囲まれて視認性が悪く、圧迫感も生じるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、表示窓の外周に沿って配置される窓外周部を備えるものでありながら、複数のリールの視認性を向上することが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る遊技機(1)は、
画像を表示する表示画面を有する表示装置(52)と、
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリール(R1,R2,R3)と、
前記表示装置(52)の下方に配置され、かつ上端が前記表示画面の下端より奥となるように配置され、前記複数のリールのそれぞれの一部を表示する表示窓(51)と、
前記表示窓の外周に沿って配置され、前記表示窓の前方に開口(OP2)を形成する窓外周部(90)と、を備え、
前記窓外周部は、前記表示窓の左右前方側にそれぞれ配置され、前記表示窓から前記開口までを繋ぐ左側面(92)及び右側面(91)を有し、
前記表示窓(51)は、上方に向くように傾斜して配置され、
前記左側面及び前記右側面は、前記開口の下方の幅(W3)より前記開口の上方の幅(W4)が大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明に係る遊技機(1)は、
前記左側面及び前記右側面は、前記表示窓の左右方向の幅(W1)よりも前記開口の左右方向の幅(W2)が大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、表示窓の外周に沿って配置される窓外周部を備えるものでありながら、窓外周部の左側面及び右側面が、開口の方の幅より開口の上方の幅が大きくなるように形成されているので、複数のリールの視認性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るスロットマシンを示す全体斜視図。
図2】本実施形態に係る上扉ユニット示す正面図。
図3】本実施形態に係る上扉ユニットを示す分解斜視図。
図4】(A)は本実施形態に係るリール枠部材を示す正面図、(B)は(A)におけるB−B矢視断面図、(C)は(A)におけるC−C矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施の形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。更に、以下の説明において基本的に「前後」とは、遊技機の前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、遊技機側が「後」を意味し、「上下」とは遊技機の上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とは遊技機を遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0014】
1.遊技機の全体構成
まず、本発明の実施の形態に係る遊技機としてのスロットマシン1の全体構成について図1に基づいて説明をする。本実施の形態に係るスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。図1に示すように、スロットマシン1は、6面体構造のうち遊技者に対向する前面が開口した筐体10を備えていると共に、この開口した筐体10の前面を開閉可能な前扉50により被覆して構成されている。また、筐体10の内部には、複数の回転リールとしての第1リールR1〜第3リールR3を備えたリールユニット30が収められていると共に、このリールユニット30の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット(不図示)が収められている。
【0015】
第1リールR1〜第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で21の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また、第1リールR1〜第3リールR3は、リールを駆動させるアクチュエータとしての第1ステッピングモータ〜第3ステッピングモータに軸支されており、それぞれステッピングモータの軸周りに回転駆動され、ステッピングモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。
【0016】
前扉50は、上扉ユニット50Uと、下扉ユニット50Lとに上下に分割して構成されており、上扉ユニット50Uは、その中央部から上方部に亘って大型の液晶からなる表示装置52が設けられていると共に、表示装置52の下方には、第1リールR1〜第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓51が設けられている。第1リールR1〜第3リールR3の停止状態では、第1リールR1〜第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓51を通じて観察できるようになっている。
【0017】
また、本実施形態のスロットマシン1では、各リールの上段・中段・下段の表示位置の組合せ(例えば中段一列)によって有効ラインLfが設定されている。なお、本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数が3枚に設定され、規定投入数に相当するメダルが投入されると第1リールR1〜第3リールR3の中段によって構成される有効ラインLfが有効化される。
【0018】
前扉50の下扉ユニット50Lには、演出用の絵柄などを表示する下パネル55が設けられていると共に、下パネル55の上方には各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンBT及び規定投入数のメダルを投入するマックスベットを実行するマックスベットボタンMB、第1リールR1〜第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、第1ステッピングモータ〜第3ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1〜ストップボタンB3などが設けられている。
【0019】
更に、下扉ユニット50Lには、遊技者がメダルを投入するメダル投入口56が設けられており、このメダル投入口56から投入されたメダルは、下扉ユニット50Lの裏側に設けられたセレクタ(不図示)によってカウントされてホッパーユニットへと案内されるようになっている。本実施の形態のスロットマシン1では、遊技者がメダルをメダル投入口56に投入するか、メダルが規定投入数以上にクレジットされている場合に、シングルベットボタンBTを規定投入数と同じ回数押下する操作又はマックスベットボタンMBを押下する操作を行うことで、第1リールR1〜第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLを押下、つまり遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行すると、主制御基板ユニット(不図示)において乱数値を用いた内部抽選が行われた後に第1リールR1〜第3リールR3をステッピングモータの駆動により回転開始させ、第1リールR1〜第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇し定常回転になったことを条件に、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下操作が許可、即ちストップボタンB1〜ストップボタンB3による停止操作が有効化される。
【0020】
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1〜ストップボタンB3を押下(以下、「押下タイミング」と記載)し、遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1〜ストップボタンB3を解放すると、ストップボタンB1〜ストップボタンB3のそれぞれに対応するストップスイッチがオフ動作を行い、主制御基板ユニット(不図示)へ出力するリール停止信号をオン状態からオフ状態に変化させる。
【0021】
そして、主制御基板ユニットは、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のオフ状態からオン状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1〜第3リールR3を停止させる。
【0022】
また、主制御基板ユニットは、第1リールR1〜第3リールR3を停止させた後に、有効ラインLf上に停止している図柄の組合せに応じて、各種処理を実行する。主制御基板ユニットが実行する各種処理としては、例えば、有効ラインLf上に停止している図柄の組合せが複数種類の役のうちメダルの払い出しを伴う小役の図柄組合せである場合、即ち小役が入賞した場合に、入賞した小役に設定されている配当に基づきホッパーユニットからメダルを払い出す払出処理や、有効ラインLf上に停止している図柄の組合せが遊技者にメダルを消費させることなく1回遊技を実行可能にするリプレイの図柄組合せである場合に、今回の遊技における規定投入数のメダルを投入状態に設定するリプレイ処理等がある。
【0023】
また、下扉ユニット50Lの下部にはメダル受け皿60が設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口からメダル受け皿60へ払い出されるようになっている。更に、例えば、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンが押下された場合、精算ボタンの押下に伴ってホッパーユニットからクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口からメダル受け皿60へメダルを払い出す。
【0024】
更に、前扉50(特に上扉ユニット50U)には、遊技を盛り上げるために音響装置(不図示)、電飾装置(特に75,76L,76R,77,80)、演出用の可動役物(特に71)、及び上述した表示装置52などの複数の演出装置が設けられている。具体的には、表示装置52の前面には、可動役物としてシャッタ装置71が設けられており、遊技の進行に応じて左右のシャッタ(可動部材)71L,71Rを移動(開閉)させて表示装置52の画面を遮蔽させたり露出させたりすることができるようになっている。
【0025】
また、電飾装置として、表示装置52の上方には上部ランプユニット75が設けられていると共に、表示装置52の左右側方には、サイドランプユニット76L,76Rが設けられている。更に、リールユニット30の図柄を観察する表示窓51の左右側方には、演出用の図柄を発光させる電飾装置であるランプ装置77及び演出時に遊技者が操作可能なプッシュボタンSBが設けられている。また、表示装置52とリールユニット30の図柄を観察する表示窓51との間には、電飾装置であるナビランプユニット80が設けられている。これらの電飾装置である上部ランプユニット75及びサイドランプユニット76L,76R及びナビランプユニット80は、遊技に合わせて点灯して演出用の照明装置として機能したり、遊技に係る情報を遊技者に報知する報知装置として機能したりする。そして、ランプ装置77、プッシュボタンSB、ナビランプユニット80を覆い、かつ表示窓51を囲うように、以下に説明するリール枠部材90が配置されている。
【0026】
2.リール枠部材の詳細
続いて、本実施形態のスロットマシン1におけるリール枠部材の詳細について図2乃至図4を用いて説明する。図2は本実施形態に係る上扉ユニット示す正面図、図3は本実施形態に係る上扉ユニットを示す分解斜視図、図4(A)は本実施形態に係るリール枠部材を示す正面図、図4(B)は(A)におけるB−B矢視断面図、図4(C)は(A)におけるC−C矢視断面図である。
【0027】
図2に示すように、上扉ユニット50Uには、一般的な遊技者の目の高さとして設定される設計上の視線高さUSに表示装置52が配置されており、その表示装置52の下方には、第1リールR1〜第3リールR3の一部(それぞれ3コマ)(図1参照)を表示して視認可能にする表示窓51が配置されている。そして、その表示窓51を形成すると共に表示窓51の周囲を囲む窓外周部としてのリール枠部材90が配置されている。即ち、リール枠部材90は、図3に示すように、上記プッシュボタンSB、リールユニット30(図1参照)の前方に配置された透明部材のリールパネル53、及び上記ランプ装置77、の前方側からそれらを覆うように配置される。
【0028】
リール枠部材90は、大まかに、当該リール枠部材90の右側部分を構成する枠右方部96、当該リール枠部材90の左側部分を構成する枠左方部97、当該リール枠部材90の下側部分を構成する枠下方部98、当該リール枠部材90の上側部分を構成する枠上方部99、を有しており、これらに上下左右が囲まれる形で表示窓51の前方で開口する前方開口部OP2が形成されている。このうちの枠右方部96には、プッシュボタンSBが貫通して配置される貫通孔96aが形成されており、枠左方部97には、ランプ装置77が貫通して配置される貫通孔97aが形成されている。なお、プッシュボタンSBは、枠右方部96の前面よりも突出するように配置されて、プッシュボタンSBを押下し易いように構成されており、ランプ装置77の前面と枠左方部97の前面は略同一平面上になるように配置されて、スロットマシン1のデザイン性が良好となるように構成されている。
【0029】
また、リール枠部材90には、枠右方部96の端部で前方開口部OP2を形成する部分から後方側に向けて延設された右側板(右側面)91、枠左方部97の端部で前方開口部OP2を形成する部分から後方側に向けて延設された左側板(左側面)92、枠下方部98の端部で前方開口部OP2を形成する部分から後方側に向けて延設された下側板94、枠上方部99の端部で前方開口部OP2を形成する部分から後方側に向けて延設された上側板93、の4つの側板を有しており、これら4つの側板によって第1リールR1〜第3リールR3(図1参照)を視認可能にする貫通孔を構成している。そして、右側板91、左側板92、上側板93、下側板94のそれぞれの後方の端部によって後方開口部OP1が形成されている。
【0030】
この後方開口部OP1は、リール枠部材90が上扉ユニット50Uとして組立てられた状態で、上記リールユニット30の前方に配置されたリールパネル53に当接しており(図1及び図3参照)、リールパネル53における後方開口部OP1に対応する領域が第1リールR1〜第3リールR3(図1参照)を視認可能にする表示窓51を構成していることになる。そして、表示窓51の左右前方側に右側板91及び左側板92が、表示窓51の上下前方に上側板93及び下側板94が配置されていることになり、換言すると、右側板91、左側板92、上側板93、下側板94のそれぞれは、表示窓51から前方開口部OP2までを繋ぐように構成されていることになる。
【0031】
次に、リールパネル53及びリール枠部材90の各部における立体的な傾斜角度について図4を用いて説明する。まず、図3及び図4(C)に示すように、リールパネル53(即ち後方開口部OP1や表示窓51も)は、上方に向くように(前側が下方にかつ後側が上方となるように)傾斜して配置されている。即ち、図4(C)に示すように、上扉ユニット50Uの前面は表示装置52の前面に代表されるように(図1参照)、上下方向に垂直な仮想面VS5に沿う形で構成されており、リールパネル53及び後方開口部OP1は、仮想面VS5に対して傾斜角θ7(例えば23度)に傾斜した仮想面VS9に沿って(平行に)配置されている。即ち、上述したように設計上の視線高さUS(図2参照)が上方にあって、第1リールR1〜第3リールR3(図1参照)を視認する際に遊技者の視線が下方になるため、遊技者の視線に対してなるべく直交するようにリールパネル53が傾斜して配置されることで、第1リールR1〜第3リールR3の視認性の向上が図られている。また、リールパネル53が傾斜して配置されることで、遊技者の視線方向から視て、リールパネル53が第1リールR1〜第3リールR3の外周の接線方向に近づけることができており、リールパネル53と第1リールR1〜第3リールR3の外周とが近接配置できるので、第1リールR1〜第3リールR3の視認性の向上が図られている。
【0032】
上記リール枠部材90の下側板94は、図4(C)に示すように、前後方向に略々水平に形成されている。なお、本実施形態において、下側板94は後方側が上方となる段差状に形成されているが、これは下扉ユニット50L(図1参照)の上方端部が嵌合するように構成されているためである(図1参照)。
【0033】
上記リール枠部材90の上側板93は、図4(C)に示すように、前方が上方にかつ後方が下方となるように形成して配置されており、リールパネル53に沿った仮想面VS9に対して略々直交する仮想面VS10に沿う形で傾斜されている。なお、仮想面VS9と仮想面VS10との傾斜角θ8は例えば93度に設定されている。これにより、遊技者の視線が表示窓51の上端の近くまで届き、つまり遊技者は表示窓51の全体が容易に視認できるように構成されている。また、上述したように下側板94が前後方向に略々水平に形成されているため、上側板93と下側板94との関係は、前方に向かって拡がる関係となっている。
【0034】
一方、図4(B)に示すように、上記リール枠部材90の枠右方部96の前面は、上記上下方向に垂直な仮想面VS5に対して、傾斜角θ3(例えば5度)で左側が後方にかつ右側が前方に傾斜する仮想面VS6に沿う形で構成されている。さらに、上記リール枠部材90の枠左方部97の前面は、上記上下方向に垂直な仮想面VS5に対して、傾斜角θ4(例えば5度)で右側が後方にかつ左側が前方に傾斜する仮想面VS7に沿う形で構成されている。即ち、上記プッシュボタンSBとランプ装置77とは(図3参照)、互いに遊技者に向かうように傾斜しており、遊技者によりプッシュボタンSBが押下し易く、また、遊技者がランプ装置77の発光表示を見易くなるように構成されている。
【0035】
上記リール枠部材90の枠右方部96から表示窓51(即ちリールパネル53)までを繋ぐ右側板91は、表示窓51に対して垂直で前後方向に延びる仮想面VS1に対して、5度以上傾斜した傾斜角θ1(例えば10度)で後側が左方にかつ前側が右方に傾斜する仮想面VS2に沿う形で構成されている。また、上記リール枠部材90の枠左方部97から表示窓51までを繋ぐ左側板92は、表示窓51に対して垂直で前後方向に延びる仮想面VS3に対して、5度以上傾斜した傾斜角θ2(例えば10度)で後側が右方にかつ前側が左方に傾斜する仮想面VS4に沿う形で構成されている。即ち、右側板91及び左側板92は、後方よりも前方が拡がるように構成されており、図4(A)に示すように、表示窓51に近接する後方開口部OP1の左右方向の幅W1よりも前方開口部OP2の左右方向の幅W2の方が大きくなるように構成されている。
【0036】
また、図4(A)に示すように、上記右側板91は、表示窓51に対して垂直で前後方向に延びる仮想面VS1に対して、前方開口部OP2を形成する部分を通る仮想線VL2(仮想面VS2内に位置する仮想線)が、下方が左側かつ上方が右側となるように傾斜した傾斜角θ5(例えば7度)で構成されている。さらに、上記左側板92は、表示窓51に対して垂直で前後方向に延びる仮想面VS3に対して、前方開口部OP2を形成する部分を通る仮想線VL4(仮想面VS4内に位置する仮想線)が、下方が右側かつ上方が左側となるように傾斜した傾斜角θ6(例えば7度)で構成されている。即ち、右側板91及び左側板92は、下方よりも上方が拡がるように構成されており、図4(A)に示すように、前方開口部OP2の下方(上下方向の一方)の端部の幅W3よりも前方開口部OP2の上方(上下方向の他方)の端部の幅W4の方が大きくなるように構成されている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るスロットマシン1のリール枠部材90において、右側板91及び左側板92は、後方開口部OP1の左右方向の幅W1よりも前方開口部OP2の左右方向の幅W2の方が大きくなるように形成され、つまり前方に向けて拡がるように形成されているので、左右方向である横方向からの第1リールR1〜第3リールR3の視認性を向上することができる。要するに、例えば隣接するスロットマシンで遊技している遊技者や、遊技するスロットマシンを選んでいる遊技者に対しても、第1リールR1〜第3リールR3の視認性を向上することができる。また、前方に向けて拡がっていることで、表示窓51に対する圧迫感が緩和され、当該スロットマシン1を遊技している遊技者の視認性も向上することができる。
【0038】
また具体的に右側板91及び左側板92は、表示窓51の上下方向において表示窓51と直交する方向、即ち仮想面VS1,VS3に対して、左右方向へ5度以上(本実施形態では例えば10度)傾斜していることで、横方向からの第1リールR1〜第3リールR3の視認性を向上することができる。なお、一般的にリール枠部材を金型によって成形する場合には、金型からの抜き勾配として1〜3度程度の傾斜を設けることがあるが、本スロットマシン1のリール枠部材90における右側板91及び左側板92は、このような抜き勾配とは異なり、視認性の向上のために5度以上の角度で形成されるものである。即ち、抜き勾配だけでは、第1リールR1〜第3リールR3の視認性が良好ではないものと言える。
【0039】
また、右側板91及び左側板92は、前方開口部OP2の下方の端部の幅W3よりも前方開口部OP2の上方の端部の幅W4の方が大きくなるように形成されているので、表示窓51が傾斜しているために表示窓51の上方が下方よりも後方で奥になるが、そのように表示窓51に傾斜があっても横方向からの第1リールR1〜第3リールR3の視認性を向上することができる。従って、表示窓51が遊技者の視線に対してなるべく直交するように傾斜されて視認性の向上が図られているものでありながら、横方向からの第1リールR1〜第3リールR3の視認性を向上することができる。さらに、右側板91及び左側板92が上方に向けて拡がっていることで、表示窓51に対する圧迫感が緩和されるため、当該スロットマシン1を遊技している遊技者の視認性も向上することができる。
【0040】
3.変形例
なお、以上説明した本実施形態に係るスロットマシン1においては、右側板91と左側板92とが平板(側面が平面)のものを説明したが、これに限らず、湾曲した曲面であったり、段差状に形成されていたり、さらには複雑な凹凸形状が施されていたりしてもよい。これらの平板ではない形状であった場合でも、表示窓51(後方開口部OP1)に対して前方開口部OP2における左右方向の幅が大きくなるように形成されていれば、或いは前方開口部OP2の上下方向の一方の幅より他方の幅(遊技者の設計上の視点高さに近い方の幅)が大きくなるように形成されていれば、横方向からの視認性の向上を図ることができる。
【0041】
また、本実施形態に係るスロットマシン1においては、表示装置52の下方に表示窓51(リールユニット30)が配置されたものを説明したが、これに限らず、遊技者の設計上の視線高さにある表示装置52の上方に表示窓(リールユニット)が配置されたものであってもよい。この場合は、リール枠部材の前方開口部の上方の端部の幅よりも下方の端部の幅の方が大きくなるように構成されていることが好ましく、また、表示窓(リールパネル)が下方に向けて傾斜して、つまり遊技者の視線に直交する方向に近づけて向くように構成されていることが好ましい。
【0042】
また、本実施形態で説明した傾斜角については、全て一例であり、どのような角度であっても構わず、特に右側板及び左側板の角度は、リール枠部材の金型からの抜き勾配よりも明らかに大きな角度であれば、本発明の適用範囲である。
【0043】
また、本実施形態に係るスロットマシン1においては、リール枠部材90がランプ装置77やプッシュボタンSBを覆うものについて説明したが、特にこれらの装置やボタンに限らず、役物や表示装置などであってもよく、つまりリール枠部材が覆うものは、どのようなものであってもよい。さらに、リール枠部材90が表示窓51の左右方向でランプ装置77やプッシュボタンSBを覆うものについて説明したが、これらを覆う部品が別体であってもよく、つまりリール枠部材は単に表示窓を枠状に囲うものであれば、どのようなものであってもよい。
【0044】
また、本実施形態に係るスロットマシン1においては、リール枠部材90の後方開口部OP1の左右方向の端部、即ち右側板91及び左側板92の後方側の端部であって表示窓51の左右方向の端部が、上下方向に垂直なものを説明したが、これに限らず、上下方向に対して傾斜していてもよく、つまり後方開口部OP1が台形(逆台形)に形成されていても構わない。この場合は、例えば右側板91及び左側板92が左右方向に拡がらず、かつ上下方向の一方が他方に対して拡がっている形状であっても構わない。
【0045】
また、本実施形態に係るスロットマシン1においては、表示窓51(リールパネル53)が垂直方向に対して傾斜したものを説明したが、表示窓が垂直方向に設置されていても(つまり傾斜していなくても)構わない。この場合は、例えば右側板91及び左側板92が左右方向に拡がっていても、後方開口部OP1と前方開口部OP2とが平行であれば、前方開口部OP2において上下方向の一方の幅が他方の幅よりも大きくする必要はなく、つまり長方形となっていても構わない。
【0046】
また、本実施形態に係るスロットマシン1においては、リール枠部材90が上側板93及び下側板94を有するものについて説明したが、これら上下の側面は一方或いは両方を有していないものであっても構わない。即ち、例えば表示窓51と表示装置52とが連続的に繋がっていても構わない。
【符号の説明】
【0047】
1…遊技機(スロットマシン)
51…表示窓
90…窓外周部(リール枠部材)
91…右側面(右側板)
92…左側面(左側板)
OP2…開口(前方開口部)
R1…リール(第1リール)
R2…リール(第2リール)
R3…リール(第3リール)
W1…表示窓の左右方向の幅
W2…開口の左右方向の幅
W3…開口の上下方向の一方の幅
W4…開口の上下方向の他方の幅
図1
図2
図3
図4