特許第6889819号(P6889819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6889819
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】小腸留置チューブの挿入補助具
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20210607BHJP
   A61M 25/04 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   A61J15/00 Z
   A61M25/04
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-240748(P2016-240748)
(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公開番号】特開2018-94037(P2018-94037A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上潟口 典久
【審査官】 村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04758219(US,A)
【文献】 特開2004−261566(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0185155(US,A1)
【文献】 特開2009−183437(JP,A)
【文献】 特開2014−236891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
A61M 25/02
A61M 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体表側から胃瘻を介して小腸に留置されるチューブ本体と、前記チューブ本体の外周面の途中に設けられて胃の内壁に係止される可撓性のバンパー部とを備える小腸留置チューブを胃瘻に挿入する際に用いられる小腸留置チューブの挿入補助具であって、
筒状の把持部と、前記把持部の内部に進退自在に挿入される筒状の押出部と、前記押出部の先端に連設され前記把持部の先端から突出する筒状の挿入部と、前記把持部の内部に固定され、前記押出部及び前記挿入部の内部を進退自在に挿通されたロッドと、を備え、
前記押出部の基端には、前記把持部の基端から突出され、軸方向先端側に押し込む操作をすることにより、前記把持部の内部を前記押出部及び前記挿入部が前進することで前記押出部及び前記挿入部の内部を前記ロッドが相対的に後退し、かつ、軸方向基端側に引っ張る操作をすることにより前記把持部の内部を前記押出部及び前記挿入部が後退することで前記押出部及び前記挿入部の内部を前記ロッドが相対的に前進する操作部が設けられ、
前記挿入部は、前記チューブ本体に挿入されたときに、少なくとも前記挿入部の先端部が前記バンパー部まで達する長さに形成されるとともに、前記先端部の外周に外方に向かって変形自在であって、変形したときに前記チューブ本体の内壁に圧接する圧接部を備え、
前記圧接部は、弾性体からなり、前記挿入部の前記圧接部より先端側が前記ロッドの先端部に固定され、前記ロッドが前記押出部及び前記挿入部の内部を相対的に後退したときに外方に向かって変形することを特徴とする小腸留置チューブの挿入補助具。
【請求項2】
請求項1記載の小腸留置チューブの挿入補助具において、
前記把持部には、その内部に該把持部の内周面から軸方向に直交する方向に向かって延びて前記ロッドを支持する柱部が設けられ、
前記押出部には、軸方向に直交する方向に該押出部を貫通する溝部が設けられ、
前記溝部は、前記押出部の前記柱部に対応する位置に設けられることでその内部に前記柱部を収納し、前記操作部を操作したときに溝部の内部において柱部の相対的な進退が許容されるように、軸方向に所定の長さ延設されていることを特徴とする小腸留置チューブの挿入補助具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の小腸留置チューブの挿入補助具において、
前記圧接部は、前記挿入部の先端に軸方向に沿って設けられた複数のスリットによって分割されていて前記ロッドが該挿入部の内部を相対的に後退したときに外方に向かって夫々屈曲する複数の板状部からなることを特徴とする小腸留置チューブの挿入補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小腸留置チューブを胃に挿入する際に用いられる挿入補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食物を経口摂取できない患者のために、患者の腹部に体外から胃内に貫通した胃瘻を穿設し、胃瘻に胃瘻チューブを挿入して胃内に直接栄養物を供給することが行われている。前記胃瘻チューブとして、例えば、チューブ本体と、チューブ本体の先端に設けられて胃の内壁に係止される可撓性のバンパー部と、チューブ本体の基端部に設けられて体表に係止される体表係止部とを備えるものが知られている。
【0003】
また、このような前記胃瘻チューブを胃瘻に挿入する際に用いられる、棒状の挿入補助具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記棒状の挿入補助具を用いて、前記胃瘻チューブを胃瘻に挿入する際には、まず前記挿入補助具をチューブ本体内に挿入する。そして、チューブ本体の先端の内壁に、チューブ本体の軸線に向かって内側に突出する係止部を設けておき、該係止部に前記バンパー部の先端を係合させる。そこから、さらに押し込むことによりバンパー部をその軸線に沿って先端方向に向かって細長く変形させ、この状態で前記胃瘻チューブを胃瘻に挿入する。次いで、胃瘻に挿入されたバンパー部が胃内に達したら、挿入補助具をチューブ本体から抜き去ることにより、バンパー部を原状に復帰させて胃の内壁に係止することができる。
【0005】
一方、十二指腸から続く小腸の一部、例えば空腸に直接薬剤、栄養等を投与するために、小腸留置チューブが用いられている。前記小腸留置チューブは、前記胃瘻チューブにおいて、前記チューブ本体を前記バンパー部の先にさらに延長した形状を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−261566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記小腸留置チューブは、基本的な形状が前記胃瘻チューブと共通しているので、前記胃瘻チューブと同様の挿入補助具によって胃瘻に挿入することが考えられる。ところが、前記小腸留置チューブに前記挿入補助具の先端が係止される係止部を形成すると、挿入補助具を抜き去った後、チューブ本体内を介して薬剤、栄養等を投与する際に、該係止部により薬剤、栄養等の流れが妨げられるという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる不都合を解消して、係止部を有さない小腸留置チューブを容易に胃瘻に挿入することができる小腸留置チューブの挿入補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の小腸留置チューブの挿入補助具は、体表側から胃瘻を介して小腸に留置されるチューブ本体と、該チューブ本体の外周面の途中に設けられて胃の内壁に係止される可撓性のバンパー部とを備える小腸留置チューブを胃瘻に挿入する際に用いられる小腸留置チューブの挿入補助具であって、把持部と、該把持部の先端に設けられ前記チューブ本体に挿入される挿入部とを備え、該挿入部は、該チューブ本体に挿入されたときに、少なくとも該挿入部の先端部が前記バンパー部まで達する長さに形成されるとともに、該先端部の外周に外方に向かって変形自在であって、変形したときに該チューブ本体の内壁に圧接する圧接部を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の小腸留置チューブの挿入補助具(以下、挿入補助具と略記する)は、前記チューブ本体と、前記バンパー部とを備える小腸留置チューブを胃瘻に挿入する際に用いられる。
【0011】
本発明の挿入補助具は、前記把持部の先端に設けられた前記挿入部の先端部の外周に、外方に向かって変形自在の圧接部を備えている。そこで、本発明の挿入補助具は、前記挿入部を前記小腸留置チューブの前記チューブ本体に挿入し、その先端部が少なくとも前記バンパー部を超える部分まで達したときに、前記圧接部を外方に向かって変形させることにより該圧接部を該チューブ本体の内壁に圧接させる。
【0012】
そして、チューブ本体を先端から胃瘻に挿入していき、前記圧接部で前記チューブ本体の内壁に圧接させた状態で、本発明の挿入補助具によって小腸留置チューブを押し込むことにより、可撓性を有するバンパー部をその軸線に沿って基端方向に向かって細長く変形させることができる。従って、本発明の挿入補助具によれば、係止部を有さない小腸留置チューブであっても容易に胃瘻に挿入することができる。
【0013】
以上のとおり、本発明の挿入補助具によれば、前記バンパー部を細長く変形させて前記小腸留置チューブを胃瘻に挿入し、該バンパー部が胃内に達することにより、バンパー部を原状に復帰させて胃の内壁に係止することができる。その後、本発明の挿入補助具は、前記圧接部の変形を原状に復帰させ前記チューブ本体の内壁に対する圧接を解除することにより該チューブ本体から抜き去ることができる。
【0014】
本発明の挿入補助具において、前記挿入部は中空筒状に形成されるとともに、該挿入部の内部を進退自在なロッドを備え、前記圧接部は、弾性体からなり、前記挿入部の該圧接部より先端側が前記ロッドの先端部に固定され、該ロッドが該挿入部の内部を相対的に後退したときに外方に向かって変形するよう構成することができる。
【0015】
前記構成によれば、前記挿入部を前記小腸留置チューブの前記チューブ本体に挿入し、その先端部が少なくとも前記バンパー部まで達したときに、前記挿入部に対して前記ロッドを後退させる。このようにすると、前記ロッドの先端は、挿入部の先端部に固定されているので、該挿入部の先端部が基端部に近づけられる方向、即ち、挿入部の長さが短くなる方向につぶされる圧力がかかる。この結果、圧接部は弾性体からなるので、外方に向かって変形されてチューブ本体の内壁を圧接する。
【0016】
また、前記構成によれば、前記挿入部に対して前記ロッドを前進させると、前記圧接部はそれ自体の弾性により原状に復帰するので、前記チューブ本体の内壁に対する圧接を解除することができる。
【0017】
さらに、上記構成を備える挿入補助具において、前記圧接部は、前記挿入部の先端に軸方向に沿って設けられた複数のスリットによって分割されていて前記ロッドが該挿入部の内部を相対的に後退したときに外方に向かって夫々屈曲する複数の板状部からなるよう構成することができる。
【0018】
前記構成によれば、前記挿入部の先端に軸方向に沿って複数のスリットを設けることにより、前記挿入部の先端部を分割することで、複数の板状部が形成される。そして、この各板状部は弾性体からなるので、ロッドが挿入部の内部を相対的に後退すると、外方に向かって夫々屈曲してチューブ本体の内壁を圧接する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】小腸留置チューブと、本発明の小腸留置チューブの挿入補助具との一構成例を示す斜視図。
図2図1に示す本発明の挿入補助具の断面図
図3】Aは本発明の挿入補助具をチューブ本体に挿入した状態を示す断面図、Bは本発明の挿入補助具の圧接部をチューブ本体の内壁に圧接した状態を示す断面図。
図4】本発明の挿入補助具を用いて小腸留置チューブを胃瘻に挿入する方法を示し、Aは初期状態の模式的断面図、Bは小腸留置チューブを胃瘻に挿入する状態を示す模式的断面図、Cは小腸留置チューブの挿入が完了した状態を示す模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0021】
図1に示す本実施形態のオブチュレーター(挿入補助具)1は、小腸留置チューブ10を図示しない胃瘻に挿入する際に用いられる。まず、本実施形態のオブチュレーター(挿入補助具)1が用いられる小腸留置チューブ10について説明する。
【0022】
図1に示すように、小腸留置チューブ10は、チューブ本体11と、チューブ本体11の外周面の途中に設けられた可撓性を有するシリコーンゴム製のバンパー部12と、チューブ本体11の基端に径方向外方に延設された体表係止部13とからなる。チューブ本体11はバンパー部12の前後で同一の内径を備えている。また、体表係止部13にはチューブ本体11に連通するポート14を閉塞する栓体15が連設されている。
【0023】
小腸留置チューブ10において、バンパー部12は、先端方向に向かってドーム状に拡径するドーム壁部16と、チューブ本体11に固定された環状の固定部17とを備えている。ドーム壁部16は、平面視円形状に形成されており、その中央部に形成された挿通孔18には、チューブ本体11が挿通されている。挿通孔18は、その内径がチューブ本体11の外径よりも大きく形成されており、これにより、ドーム壁部16はチューブ本体11の長手方向への移動が許容されている。
【0024】
また、ドーム壁部16と固定部17とは、周方向に所定間隔を存して設けられた複数(本実施形態では4つ)の連結部19により連結されている。各連結部19は湾曲する帯状に形成されており、ドーム壁部16と固定部17とを一体に連結している。ドーム壁部16と連結部19とは同じ肉厚で形成されているが、その形状の違いにより連結部19がドーム壁部16よりも撓みやすくなっている。
【0025】
次に、本実施形態のオブチュレーター(挿入補助具)1について説明する。図1及び図2に示すように、オブチュレーター1は、円筒状の把持部2と、把持部2の内部に進退自在に挿入される円筒状の押出部3と備える。押出部3の先端には、把持部2の先端から突出する円筒状の挿入部4が連設されている。なお、本実施形態では、押出部3及び挿入部4は円筒状に形成されているが、本発明はこれに限られず、角筒状など筒状であればよい。
【0026】
押出部3及び挿入部4の内部にはロッド5が進退自在に挿通されている。このロッド5は、把持部2の内部に固定されている。これにより、把持部2の内部を押出部3及び挿入部4が進退すると、ロッド5が押出部3及び挿入部4の内部を相対的に進退する。
【0027】
以上の把持部2、押出部3、挿入部4及びロッド5の中心軸は一致しているため、以下、基端から先端に向かう方向を単に軸方向という。
【0028】
把持部2は、合成樹脂製の中空円筒状からなり、把持部2の軸心を境に左右対称に指掛け部21,21が設けられている。
【0029】
把持部2の外径はポート14の内径以上に形成されている。また、把持部2の先端側には、外径がポート14の内径以下の小径部22が段差部23を介して設けられている。
【0030】
把持部2の内部は、軸方向に押出部3が進退自在な第1内部通路24となっている。
【0031】
第1内部通路24の先端は、前記小径部22によって塞がれている。小径部22は、把持部2の軸心に沿って貫通孔25が設けられている。貫通孔25は、挿入部4の外径以上かつ押出部3の外径未満に形成されている。これにより、把持部2の先端から、挿入部4の突出は許容され、押出部3の突出は制限されている。
【0032】
第1内部通路24の中央部には、一対の柱部26,26が設けられている。軸方向と指掛け部21,21を結ぶ線とに直交する方向を上下方向と定義すると、柱部26,26は、ロッド5を挟んだ状態で、第1内部通路24の上下面を結び、軸方向に延びている。ロッド5はこの柱部26,26に挟まれた状態で固定されている。
【0033】
なお、柱部26は、ロッド5を支持できればよいため、第1内部通路24の上面から下面まで達しなくても、一方面から軸心を超える程度の高さを持っていればよい。また、柱部26の個数に限定はなく、1つの柱部にロッド5を固定してもよく、上面及び下面から夫々2つずつ、合計4つの柱部26を設けてロッド5を挟持してもよい。
【0034】
以上の把持部2は、本実施形態では、射出成形によって、上下2つのパーツからなり、組立可能になっている。
【0035】
押出部3は、合成樹脂製の中空円筒状からなり、基端には操作部31が設けられている。操作部31は、正面視でO字状に形成されている。操作部31を軸方向に操作することにより、押出部3及び挿入部4は、前記第1内部通路24内を進退する。
【0036】
押出部3の内部は、軸方向にロッド5が相対的に進退自在な第2内部通路32となっている。第2内部通路32のうち、柱部26,26に対応する位置には、上下方向に貫通して軸方向に延びる溝部33が設けられている。溝部33の幅(図2の上下方向)は、柱部26,26の幅以上に形成されている。これにより、操作部31を操作した際、溝部33の内部において柱部26,26の相対的な進退が許容される。
【0037】
押出部3の先端には孔部34が設けられており、この孔部34に挿入部4の基端が差し込まれて支持されている。
【0038】
挿入部4は、合成樹脂製の中空円筒状の弾性部材からなり、その外径はチューブ本体11の内径未満であるためチューブ本体11に挿入可能である。
【0039】
挿入部4の内部は、前記第2内部通路32とは連通されて、軸方向にロッド5が相対的に進退自在な第3内部通路41となっている。
【0040】
挿入部4の先端部には、複数(本実施形態では4つ)のスリット42が形成されている。これにより、該先端部は、円筒が分割されて形成された瓦状(本発明の板状部に相当)の圧接部43が複数(本実施形態では4つ)形成されている。
【0041】
挿入部4は、同じ肉厚の円筒状に形成されているが、スリット42で分割されて細くなっている形状の相違によって、圧接部43は他の領域より撓みやすくなっている。なお、本実施形態では、挿入部4全体を弾性部材によって形成したが、本発明はこれに限られるものではなく、圧接部43が弾性変形可能であればよい。
【0042】
挿入部4は、小腸留置チューブ10のチューブ本体11に挿入したとき、少なくとも圧接部43がバンパー部12の基端を超える位置、より好ましくは圧接部43が少なくとも固定部17まで達する長さを備えるよう形成されている。
【0043】
ロッド5の先端には、挿入部4の先端開口の内径より大径の大径部51が設けられ、挿入部4の先端に掛止されている。なお、大径部51を設けることなく、ロッド5の先端と挿入部4の先端とを接着等により固定することもできる。
【0044】
次に、図3A及び図3Bを参照して、本実施形態のオブチュレーター1を小腸留置チューブ10に装着する際のオブチュレーター1の作動について説明する。
【0045】
まず、把持部2を把持して、小腸留置チューブ10の体表係止部13に形成されたポート14から、挿入部4をチューブ本体11内に挿入していく。これにより、小径部22まではポート14の内部まで挿入され、把持部2の段差部23はポート14の端部に接して、オブチュレーター1のさらなる挿入が制限される。
【0046】
このとき、挿入部4は前述した所定の長さを有するため、圧接部43は、チューブ本体11内において、固定部17に対応する位置または固定部17より先端側に配置される。
【0047】
次に、把持部2の指掛け部21,21に指を掛け、操作部31を先端側に押し込む。これにより、把持部2と把持部2に固定されたロッド5とに対して、押出部3及び挿入部4が前進しようとする。しかしながら、挿入部4は、ロッド5の大径部51によって掛止されているので、挿入部4は相対的に軸方向の両側から軸が短くなる方向に圧せられた状態になる。このとき、挿入部4は前述のとおり弾性変形可能であるため、分割により幅狭になっている圧接部43は、図3Bに示すように、外方に向けて弾性的に変形される。本実施形態では、圧接部43の先端、中央部及び基端に周方向に沿って夫々折目線が設けられているため、圧接部43は断面視V字状に屈曲される。
【0048】
この結果、圧接部43がチューブ本体11の内壁に圧接され、オブチュレーター1が小腸留置チューブ10に装着される。
【0049】
次に、図4A乃至図4Cを参照して、オブチュレーター1を用いて小腸留置チューブ10を胃瘻に挿入する方法について説明する。
【0050】
オブチュレーター1を用いて小腸留置チューブ10を胃瘻に挿入するときには、まず、図4Aに示すように、オブチュレーター1を装着した小腸留置チューブ10のチューブ本体11の先端側を胃瘻Gに挿入し、バンパー部12を胃瘻Gの体表B側の開口部に当接する。
【0051】
次に、図4Bに示すように、オブチュレーター1によりチューブ本体11を胃壁S側に押圧すると、シリコーンゴムからなり可撓性を有するバンパー部12が体表Bに押されて挿通孔18がチューブ本体11に沿って上方に移動し、バンパー部12が細長く変形する。そこで、オブチュレーター1によりさらにチューブ本体11を胃壁S側に押圧することにより、細長く変形されたバンパー部12が胃瘻Gから胃壁S内、すなわち胃内に押入される。
【0052】
このとき、挿入部4の圧接部43は、チューブ本体11内において、バンパー部12の先端側に配される固定部17より先端側を圧接しているため、バンパー部12を体表Bに押しつけたときに確実に細長く変形させることができる。
【0053】
次に、バンパー部12は胃壁S内に押入されると、それ自体の弾性により原状に復帰し、胃壁Sの内壁に係止され、小腸留置チューブ10の胃瘻Gへの挿入が完了する。
【0054】
そこで、図4Cに示すように、操作部31を基端側に引っ張り押出部3及び挿入部4を後退させ、圧接部43を原状に復帰させ、これにより、チューブ本体11の内壁に対する圧接を解除する。そして、オブチュレーター1を図4Cに矢示するようにチューブ本体11から抜き去る。
【0055】
尚、本実施形態のオブチュレーター1は、小腸留置チューブ10に対するだけではなく、胃瘻チューブを胃瘻に挿入する際にも用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…オブチュレーター(挿入補助具)、 2…把持部、 4…挿入部、 5…ロッド、 6…花弁状部(圧接部)、 10…小腸留置チューブ、 11…チューブ本体、 12…バンパー部、 42…スリット、 43…圧接部43。
図1
図2
図3
図4