(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記吐水装置本体には、上記リブと上記絞り流路との間において、上記リブと上記リブと対向する面との間の流路断面積より大きな流路断面積を有する拡大空間部が形成されている請求項1又は2に記載の浴槽用吐水装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、側壁の左右方向の広がりを抑えながら湾曲させたとしても、水流がこの湾曲された側壁に沿って誘導されるとき、水が側壁から除々に剥離して渦流を発生することがある。その結果、吐水口からの幅広状の吐水流が乱れてしまう、または吐水口からの幅広状の吐水流が割れてしまうという問題が生じた。
【0006】
そこで、本発明は、幅広形状の吐水口からの幅広の吐水が乱れてしまうこと又は割れてしまうことを抑制することができる浴槽用吐水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、浴槽に設置され、幅広状の水を吐水させる浴槽用吐水装置であって、供給される水を左右方向に幅広形状に形成された吐水口から吐水させる吐水装置本体を備え、上記吐水装置本体には、供給管と接続する流入口から流入した水を、一時的に貯留するとともに左右方向に広げる貯留室と、上記貯留室と上記吐水口とを連通させ、上記貯留室から流入した水を加速させるように、上記貯留室の流路断面積より小さい流路断面積を有するように形成されている絞り流路と、が形成され、上記貯留室の側壁は上記流入口近傍から上記吐水口に向けて湾曲され、上記貯留室には、上記流入口より下流側且つ上記貯留室の両側の側壁の近傍領域においてリブが設けられ、上記リブは底面又は天井面から突出して対向する面との間の流路断面積を小さくするように形成され、上記貯留室内に流入されて減速された水流が再び加速され、上記貯留室の上記側壁に沿って流れる水の上記側壁からの剥離による渦流の形成を抑制することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、リブが貯留室内における両側の側壁の近傍領域において、底面又は天井面から突出して対向する面との間の流路断面積を小さくするように形成されている。このリブにより、貯留室内に流入されて減速された水流を再び加速させ、湾曲する側壁に沿って流れる水の側壁からの剥離による渦流の形成を抑制することができる。従って、幅広形状の吐水口からの幅広の吐水が乱れてしまうこと又は割れてしまうことを抑制することができる。
また、例えば貯留室の前後方向の長さを従来からほぼ変更せずに、浴槽用吐水装置の前後方向の長さを比較的抑えた状態で、湾曲する側壁に沿って流れる水の側壁からの剥離による渦流の形成を抑制することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記リブと、上記リブに対向する上記底面又は上記天井面との間の隙間の流路は、左右方向に一定の大きさに形成されている。
このように構成された本発明においては、リブと、このリブに対向する底面又は天井面との間の隙間の流路は、左右方向に一定の大きさに形成されている。よって、水流の加速を、左右方向に一定の大きさとすることができる。従って、幅広形状の吐水口からの幅広の吐水が乱れてしまうこと又は割れてしまうことを抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記吐水装置本体には、上記リブと、上記絞り流路との間において、上記リブと上記リブと対向する面との間の流路断面積より大きな流路断面積を有する拡大空間部が形成されている。
このように構成された本発明においては、拡大空間部がリブとこのリブと対向する面との間の流路断面積より大きな流路断面積を有するので、拡大空間部がリブにより加速された水流を絞り流路に流入する前に再び減速させ、水を再び広げることができる。よって、渦流の形成を抑制した状態で貯水室内の左右方向まで水を行き渡らせることができる。従って、吐水口からの幅広の吐水をより確実に行うことができ、吐水口からの幅広の吐水が乱れてしまうこと又は割れてしまうことを抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記リブは、上記貯留室の両側の上記側壁から左右方向に上記貯留室を横断するように形成される。
このように構成された本発明においては、リブが貯留室の両側の側壁から左右方向に貯留室を横断するように形成されている。従って、リブが貯留室内における両側の側壁の近傍領域のみに形成されている場合と比べて、貯留室の中央近傍領域を流れる水についても渦流を形成してしまうことを抑制することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記リブの上流側の端部は、上記絞り流路の入口より上記流入口に近い位置に配置されている。
このように構成された本発明においては、リブの上流側の端部は、絞り流路の入口よりも流入口に近い位置に配置されている。よって、貯留室内に流入されて減速された水流を、比較的早期にリブと対向する面との間の流路断面積を小さくした領域を通過させ、加速させることができる。従って、流入口から流入した水流が渦流を形成してしまう前の比較的早期のタイミングにおいて、水流を加速させ、渦流を形成することを抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記リブは、上下方向よりも前後方向の長さが長くなるように形成される。
このように構成された本発明においては、リブと対抗する面との間の流路が所定の長さにわたって形成されるので、この流路により水を整流しながら加速させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の浴槽用吐水装置によれば、幅広形状の吐水口からの幅広の吐水が乱れてしまうこと又は割れてしまうことを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、添付図面を参照して本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置が適用される浴槽用吐水システムを説明する。
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1が適用される浴槽用吐水システム3は、施設、家庭等の浴場、風呂場又は浴室等の浴槽2を備える。浴槽用吐水装置1は、浴槽2の上端近傍に配置される。浴槽2は、浴槽水としての水を貯留する。ここで、本発明において使用する用語「水」は、浴槽2を使用する使用者が入浴できる温度範囲にある湯水を含む意味で使用されている。
【0016】
浴槽2は、入浴している使用者の臀部又は足部が接する底部2aと、入浴している使用者の背中が接する縦壁2bと、縦壁2bの上部と接続され且つ浴槽2の上面を形成する上端部2cとを備えている。上端部2cは、浴槽内に座って入浴している使用者Hの上半身、例えば頭部、首部、又は肩部に比較的近い高さ位置に形成される。さらに、浴槽2には、外部の給水源及び給湯装置等から湯水を浴槽2内に給水できる給水装置(図示せず)が設けられている。
【0017】
浴槽用吐水装置1は、供給される水を左右方向に幅広形状に形成された吐水口4から吐水させる吐水装置本体5を備えている。吐水口4は、浴槽2の上端部2c上に配置される。吐水口4が、左右方向に幅広の水を座って入浴している状態の使用者の首や肩付近に向けて吐水させる肩湯吐水を行うようになっている。幅広形状の吐水口4は、使用者の肩幅程度の幅の帯状の吐水をすることができる。吐水口4の左右方向は、吐水口の吐水方向に対して左右方向であり、浴槽2の使用者の背中が接する縦壁2bの左右方向である。
【0018】
図3及び
図4に示すように、浴槽用吐水システム3は、さらに、浴槽2の側壁2dに形成された第1取水口6から延びる第1流路8と、第1流路8上に設けられ且つ浴槽2内の水を吸引して下流側に圧送するポンプ10と、第1流路8の下流端で水の流れを制御する三方弁12と、三方弁12から吐水口4側に延びる第2流路14と、三方弁12から第2流路14と別に延びる第3流路16と、第3流路16から供給された水を浴槽2の上下方向の中央よりわずかに下方から浴槽2内にブロー吐水するブロー吐水部18と、第2流路14の下流部分に設けられるジェットポンプユニット20と、浴槽2の側壁に形成された第2取水口22からジェットポンプユニット20まで延びる第4流路24と、ジェットポンプユニット20から垂直上方に延びる上昇管(供給管)26と、ポンプ10及び三方弁12を制御する制御部28と、使用者Hが操作する操作部30と、を備えている。
【0019】
第1流路8は、第1取水口6からポンプ10を介して三方弁12まで延びる流路を形成している。ポンプ10は、吸引した水に圧力をかけて圧送する機能を有するポンプである。ポンプ10は、電気的に駆動される電動モータ(図示せず)に直結されたインペラ(図示せず)の回転に伴って水を吸引し且つ下流側に圧送する。ポンプ10は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により駆動制御されるようになっている。
【0020】
三方弁12は、第1流路8から供給される水を、第2流路14、及び第3流路16のうちの両方又はいずれか一方に選択的に供給することができる。第2流路14及び第3流路16を同時に開放している場合には、三方弁12は、流量の分配割合を自由に変更することができる。三方弁12は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により電気的に開閉制御されるようになっている。三方弁12は、吐水口4への水の供給と、ブロー吐水部18への水の供給との両方又はいずれか一方を選択的に実行できる。
【0021】
第2流路14は、三方弁12からジェットポンプユニット20まで延びる流路を形成している。第3流路16は、三方弁12からブロー吐水部18まで延びる流路を形成している。
【0022】
ブロー吐水部18は、浴槽2の吐水口4側の縦壁2bにおいて2つ設けられている。ブロー吐水部18は、その内部の流路の径を、上流側の流路の径よりも絞るように形成されている。ブロー吐水部18は、水平に近い横向きに取付けられており、ブロー吐水部18から横向きに高速のブロー吐水を吐水する。ブロー吐水部18は、ポンプ10から第3流路16を介して圧送された水流を直接噴出する。従って、ブロー吐水部18は、ポンプ10の圧送する送出水量に応じた比較的小流量且つ高速の吐水流を形成する。ブロー吐水部18から吐水されたブロー吐水が使用者Hの腰や背中に衝突することにより、使用者Hの腰や背中を押圧し、マッサージの効果を奏することができる。
【0023】
制御部28は、ポンプ10、三方弁12、操作部30等と、電気的に接続され、電気信号を相互に送受信することができ、上述の各部分を電気的に操作できるようになっている。制御部28は、操作部30からの操作信号を受けて又は記憶されたプログラム等に従って各機器の制御を行う。制御部28は、浴槽用吐水装置1を適切に制御することができるようなメモリ等の記憶装置(図示せず)及び演算装置(図示せず)を備えている。制御部28は、浴室の壁面(図示せず)の裏側に取付けられている。
【0024】
操作部30は、使用者Hが希望する操作を行うことができる操作パネル等の操作部であり、浴室内の壁面に取付けられている。使用者Hが操作部30を操作した情報が電気信号により操作部30から制御部28に送られる。
【0025】
ジェットポンプユニット20は、ジェットポンプ作用により引き込まれる水が貯留されるチャンバー部32と、第2流路14の下流端に配置されたジェットノズル34と、を備えている。浴槽用吐水装置1はジェットポンプユニット20を採用することにより比較的小型のポンプ10を使用して吐水口4から大流量の肩湯吐水を行うことができる。
【0026】
チャンバー部32は、箱型の貯水室を形成し、第4流路24の下流端がチャンバー部32に接続されている。チャンバー部32は、浴槽2と連通されているので、浴槽2内に水が貯水される場合に浴槽2の水がチャンバー部32内に流入された状態となる。チャンバー部32の底部には、ジェットノズル34が垂直上方に向けて取りつけられている。チャンバー部32の上面においては、このジェットノズル34と対向する位置に開口が形成され、この開口から上昇管26が上方に延びている。
【0027】
ジェットノズル34は、ポンプ10から供給された水をチャンバー部32を通して上昇管26内に向けて噴射する。ジェットノズル34は、チャンバー部32を通るように水を噴射するので、チャンバー部32内から水を引き込むジェットポンプ作用を誘発させる。ジェットノズル34は、その内部の流路の径を、ジェットノズル34の上流側の第2流路14の径よりも絞るように形成されている。従って、ポンプ10により圧送された水は、ジェットノズル34内でさらに加速され、ジェットノズル34から高速の水流として噴出される。ジェットノズル34から噴射された高速の噴流は、チャンバー部32内の水を引き込むことによりその流量が増大され且つ流速が減少する。
【0028】
上昇管26は、チャンバー部32から垂直上方に延びる円管状の流路を形成している。上昇管26は、ポンプ10からジェットポンプユニット20を介して水が供給され、ジェットポンプユニット20から供給された水を吐水口4に供給するようになっている。
【0029】
浴槽2内の水が、第1流路8、第2流路14、ジェットポンプユニット20までの延びる第4流路24、上昇管26等を介して吐水口4から浴槽2内に循環される浴槽循環流路が構成されている。また、浴槽2内の水が、第1流路8、第3流路16等を介してブロー吐水部18から浴槽2内に循環される浴槽循環流路も構成されている。このように浴槽用吐水装置1は、浴槽循環型の吐水装置を構成している。
【0030】
次に、
図5乃至
図7を参照して、吐水装置本体5の吐水口4近傍の流路について説明する。
吐水装置本体5には、さらに、流入口36aから流入した水を、一時的に貯留するとともに自身の内部の左右方向に広げる貯留室36と、貯留室36と吐水口4とを連通させる絞り流路38と、絞り流路38の底面38aに形成され且つ絞り流路38よりも上流側まで延びる溝部40と、絞り流路38の入口38bから上流側に向けて下降する傾斜面を形成するテーパー部42とが形成されている。
【0031】
テーパー部42は、貯留室36と絞り流路38との間に設けられる。テーパー部42は、絞り流路38より上流側において、上流側に向けて下降する傾斜面を形成している。
【0032】
絞り流路38は、流入した水を加速させるように、貯留室36及びテーパー部42の流路断面積より小さい流路断面積を有するように形成されている。絞り流路38の底面38aは、ほぼ平坦に形成されている。絞り流路38の下流端には吐水口4が形成されている。吐水口4は、上面視で円弧状に形成されている。
【0033】
溝部40は、絞り流路38、テーパー部42及び貯留室36の底面に形成されている。溝部40は、これらの底面をU字形状に窪ませるような溝を形成している。溝部40は、絞り流路38から、上流側に、テーパー部42を通り、貯留室36の流入口36aの傾斜面まで継続して延びている。溝部40の上流端40aは、貯留室36の流入口36aの傾斜面に設けられる。一方、溝部40の下流端40bは、絞り流路38内に設けられ、吐水口4より上流側で終端するように形成されている。
【0034】
次に、貯留室36について説明する。
貯留室36は、上昇管26の下流端に接続され、この上昇管26と接続する流入口36aが貯留室36の底面36bに形成されている。
【0035】
貯留室36の側壁36eは、貯留室36の左右両端側の壁面を形成している。側壁36eは、後部の流入口36a近傍から前部の下流側の吐水口4に向かうにつれ徐々に前方向きに湾曲するように形成されている。側壁36eは、前部においては、上面視で、前方側が左右方向に広がるように形成されている。ここで、浴槽用吐水装置1の前後方向は、吐水口4側を前方側とし、吐水口4に対して流入口36a側を後方側としている。
【0036】
貯留室36には、流入口36aより下流側且つ貯留室36の両側の側壁36eの近傍領域において、リブ44が設けられている。このリブ44は、天井面36dから縦方向に突出して対向する底面36bとの間の流路断面積を小さくするように形成されている。
【0037】
貯留室36は、流入口36aの上部から左右方向に広がる内部流路を形成しており、この内部流路において水を減速させ且つ一時的に貯留するとともに、水を左右方向に広げるようになっている。従って、貯留室36は、リブ44の上流側において流入口36aから流入した水を減速させることにより水を内部に広げる減速部48を形成している。
【0038】
リブ44により、流路断面積が小さくされ、減速部48において減速された水流を再び加速させ、貯留室36の側壁36eに沿って流れる水の湾曲した面からの剥離による渦流の形成を抑制する。リブ44は、底面36bから縦方向に突出して対向する天井面36dとの間の流路断面積を小さくするように形成されていてもよい。
【0039】
リブ44は、貯留室36の前後方向の断面において凸状に突出するように形成されている。リブ44は、貯留室36内において左右方向に延び、貯留室36の両側の側壁36eから左右方向に貯留室36を横断するように形成される。リブ44の下端部となる先端部44aと、リブ44に対向する底面36bとは、貯留室36の左右方向においてほぼ平行に形成されている。よって、リブ44の先端部44aと、底面36bとの間の隙間の流路の大きさは、左右方向に一定の大きさに形成されている。一定の大きさとは、差分が2mm以内となっている大きさである。リブ44と貯留室36の底面36bとの間の流路断面積が、左右方向にほぼ均一に狭くなっているので、水が左右方向においてほぼ均一に前方向きに加速される。
なお、リブ44が底面36bから縦方向に突出して形成される場合には、リブ44の先端部44aと、リブ44に対向する天井面36dとの間の隙間の流路の大きさが、左右方向に一定の大きさに形成される。
【0040】
リブ44は、リブ44の上下方向よりも前後方向の長さが長くなるように形成される。リブ44の先端部44aと底面36bとの間の隙間の流路は、例えば前後方向に10mm〜20mmの範囲の長さにわたって幅が一定の流路を形成している。このようにリブ44と底面36bとの間の流路が所定の長さにわたって形成されるので、この流路により水を整流しながら加速することができる。
【0041】
なお、リブ44は、貯留室36内における両側の側壁36eの近傍領域に形成されていればよいので、リブ44が、側壁36eの近傍領域においてのみ形成されていてもよい。すなわち、リブ44が、中央領域において形成されないように構成されていてもよい。このとき、リブ44は側壁36eを横断するように延びる全体のうち中央領域を除いた左右両側領域において凸状部分を形成する。
【0042】
リブ44の上流側の端部44bは、絞り流路38の入口38bよりも流入口36aに近い位置に配置されている。絞り流路38の入口38bとリブ44の端部44bとの間の距離よりも貯留室36の流入口36aとリブ44の端部44bとの間の距離が小さくなるように、リブ44の上流側の端部44bが配置されている。リブ44の上流側の端部44bは、前後方向の断面において、流入口36aの下流端36cの近傍の位置に配置される。
【0043】
リブ44は、その下流側の絞り流路38と離間するように配置され、リブ44により加速された水流を絞り流路38に流入する前に再び減速させる再減速部52(拡大空間部)を形成している。よって、再減速部52は、吐水装置本体5において、リブ44と絞り流路38との間、すなわちリブ44より下流側且つ絞り流路38より上流側に設けられている。再減速部52は、リブ44とテーパー部42との間に設けられているが、テーパー部42の上部領域も含んでいてもよい。再減速部52は、再減速部52の天井面52aと底面36bとの間の高さが、リブ44の先端部44aと底面36bとの間の高さよりも高くなるように形成されている。よって、再減速部52は、リブ44と底面36bとの間の流路断面積よりも大きな流路断面積を有する。再減速部52は、リブ44の下流側においてリブ44よりも上下方向及び左右方向に広がる流路を形成しており、この流路において水を再び減速させるとともに、渦流を形成してしまうことを抑制しながら水を左右方向に広げるようになっている。
【0044】
次に、
図8及び
図9により、浴槽用吐水装置1による吐水口4からの吐水が行われている状態(動作)を説明する。ポンプ10は、浴槽2内の水を第1流路8から吸引し、下流側の第2流路14に圧送する。水は、第2流路14からジェットノズル34に供給され、ジェットノズル34から噴射された湯水がジェットポンプ作用によりチャンバー部32内の水を引き込みながら上昇管26を上昇し、流入口36aから貯留室36内に流入する。
【0045】
図9に示すように、流入口36aから貯留室36内に流入した水は、減速部48に流入される。水は、矢印F1に示すように、減速部48において減速されるとともに左右方向に広がるように流れる。減速されるとともに左右方向に広がった水は、側壁36eの湾曲した面から剥離する等して渦流を形成してしまう前に、リブ44と底面36bとの間に流入する。このとき、リブ44と貯留室36の底面36bとの間の流路断面積が、狭くなっているので、水が、矢印F2に示すように、加速される。F2はリブ44の下部を流れるため点線により示す。このとき、リブ44と底面36bとの間の流路断面積は、左右方向においてほぼ均一に狭くなっているので、水が左右方向のいずれの位置においてもほぼ均一に加速される。このとき、リブ44は各水流のベクトルを維持したまま加速させている。従って、水が加速されることにより、渦流を形成してしまうことを抑制することができるとともに、左右方向においてほぼ均一に整流された流れを形成することができる。
【0046】
リブ44を通過した水は、再減速部52に流入する。水は、矢印F3に示すように、再減速部52において減速されるとともにさらに左右方向に広がるように流れる。再減速部52において水は、矢印F3に示すように、渦流を形成してしまうほどに乱れることは抑制され、左右方向のいずれの位置においてもほぼ均一に整流された流れを維持することができる。
【0047】
再減速部52において左右方向に広がった水は、矢印F4に示すように、テーパー部42及び絞り流路38において再び加速される。よって、水は、矢印F5に示すように、流入したときのほぼ均一に整流された流れを維持した状態で吐水口4より吐水される。水が、矢印F5に示すように、左右方向のいずれの位置においてもほぼ均一に整流された流れとして、吐水口4から幅広状に吐水される。
【0048】
図8に示すように、吐水口4から幅広状に吐水された水は、ほぼ一定の幅及び厚みの安定した帯状(水膜状)の流水の流れとして空中に放物線を描いて下方に流下する。よって、使用者Hが浴槽2内に座った姿勢をとる場合に、吐水口4から吐水される水が、首、肩等の上半身の広範囲にほぼ均一に当たる。このように当たった水が、肩から使用者Hの正面側(胸側)に広がるように流れる、及び/又は肩から使用者Hの背面側(背中側)に広がるように流れる。従って、半身浴をしている使用者に対して、首、肩のみならず、胸、腹、背中及び腰等も温めることができる。
【0049】
次に、
図10により、比較例として、リブが設けられていない浴槽用吐水装置101において吐水口104からの吐水が行われている状態(動作)を説明する。
ポンプから供給された水が、流入口136aから貯留室136内に流入する。流入口136aから貯留室136内に流入した水は、減速部148に流入される。水は、矢印F11に示すように、減速部148において減速されるとともに左右方向に広がるように流れる。減速部148は、テーパー部142のほぼ入口まで続くので、水が、さらに減速されるとともにさらに左右方向に広がることとなる。このようにさらに左右方向に広がった水は、矢印F12に示すように、前方側及び左右方向側に広がるにつれ、減速され、側壁136eの湾曲した面から剥離する等して乱れたり渦流を形成する。よって、テーパー部142及び絞り流路138の入口近傍において、矢印F13に示すように、左右方向においてほぼ均一に整流された流れを形成しておらず、水の流れの向きが位置ごとに異なっている。
【0050】
テーパー部142及び絞り流路138の入口近傍に到達した水は、矢印F13に示すように、テーパー部142及び絞り流路138において再び加速される。水は、これらに到達したときの流れの向きを維持しながら加速される。よって、吐水口104から吐水された水が、矢印F14に示すように、左右方向の位置ごとに異なった向きに吐水され、吐水口104からの吐水に偏りや割れなどの乱れが生じる。
【0051】
上述した本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、リブ44が貯留室36内における両側の側壁36eの近傍領域において、底面36b又は天井面36dから突出して対向する面との間の流路断面積を小さくするように形成されている。このリブ44により、貯留室36内に流入されて減速された水流を再び加速させ、湾曲する側壁36eに沿って流れる水の側壁36eからの剥離による渦流の形成を抑制することができる。従って、幅広形状の吐水口4からの幅広の吐水が乱れてしまうこと又は割れてしまうことを抑制することができる。
また、例えば貯留室36の前後方向の長さを従来からほぼ変更せずに、浴槽用吐水装置1の前後方向の長さを比較的抑えた状態で、湾曲する側壁36eに沿って流れる水の側壁からの剥離による渦流の形成を抑制することができる。
【0052】
また、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、リブ44と、このリブ44に対向する底面36b又は天井面36dとの間の隙間の流路は、左右方向に一定の大きさに形成されている。よって、水流の加速を、左右方向に一定の大きさとすることができる。従って、幅広形状の吐水口4からの幅広の吐水が乱れてしまうこと又は割れてしまうことを抑制することができる。
【0053】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、再減速部52がリブ44とこのリブ44と対向する面との間の流路断面積より大きな流路断面積を有するので、再減速部52がリブ44により加速された水流を絞り流路38に流入する前に再び減速させ、水を再び広げることができる。よって、渦流の形成を抑制した状態で貯留室36内の左右方向まで水を行き渡らせることができる。従って、吐水口4からの幅広の吐水をより確実に行うことができ、吐水口4からの幅広の吐水が乱れてしまうこと又は割れてしまうことを抑制することができる。
【0054】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、リブ44が貯留室36の両側の側壁36eから左右方向に貯留室36を横断するように形成されている。従って、リブ44が貯留室36内における両側の側壁36eの近傍領域のみに形成されている場合と比べて、貯留室36の中央近傍領域を流れる水についても渦流を形成してしまうことを抑制することができる。
【0055】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、リブ44の上流側の端部44bは、絞り流路38の入口38bよりも流入口36aに近い位置に配置されている。よって、貯留室36内に流入されて減速された水流を、比較的早期にリブ44と対向する底面36bとの間の流路断面積を小さくした領域を通過させ、加速させることができる。従って、流入口36aから貯留室36内に流入した水流が渦流を形成してしまう前の比較的早期のタイミングにおいて、水流を加速させ、渦流を形成することを抑制することができる。
【0056】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、リブ44と底面36bとの間の流路が所定の長さにわたって形成されるので、この流路により水を整流しながら加速することができる。