(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0044】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る浴室を表す斜視図である。
図1に示した浴室100は、浴槽1と、洗い場床2と、壁3と、を備えている。浴槽1の底部裏面の四隅近傍には、支持脚6が設けられ、その支持脚6を介して、浴槽1は浴室設置面(例えば、建物の床)Sの上に設置される。支持脚6は、ボルト部を回転させることで高さを調節可能に構成されている。
【0045】
洗い場床2は、周縁部が上側に折り曲げられた浅底の器状(パン状)に形成され、浴室外部に湯水を漏出させない防水性を有する。洗い場床2は、支持脚231を介して浴室設置面S上に設置されている。支持脚231は、支持脚6と同様に、ボルト部を回転させることで高さを調節可能に構成されている。
【0046】
洗い場床2において、浴槽1との境界部近傍には、排水管5に連通する排水口が形成されている。なお、
図1では、この排水口は、着脱自在の蓋7で塞がれている。排水口が設けられた部分はくぼんでおり、洗い場床2の表面には、排水口に向けて下向きに傾斜した勾配が付けられている。洗い場床2の裏側において、浴槽1との境界部近傍には排水管5が設けられ、排水口は排水管5に接続されている。また、浴槽1の底部に設けられた図示しない排水口も、排水管5に接続されている。
【0047】
壁3は、浴室ユニットの4面を構成している。壁3は、壁面材である壁パネル31〜37によって構成されている。洗い場床2の外周部2aには、洗い場床2の上面と直交する方向に沿って壁面接続部材50が設けられている。壁面接続部材50は隣接する壁パネルの間に設けられ、隣接する壁パネル同士は壁面接続部材50によって連接されている。
【0048】
壁パネル31は、洗い場床2の浴槽1とは反対側に配置されており、2枚の壁パネルが図示しない壁面接続部材50によって連接されて形成されている。壁パネル32及び壁パネル33は、壁パネル31と直交し、互いに対向して配置されている。壁パネル34〜36は、浴槽1の縁のうち、洗い場床2側を除く3辺の縁の上に配置されている。壁パネル34及び壁パネル35の下側には、浴槽1と壁パネル32及び壁パネル33との間をつなぐ壁パネル37が設けられている。
図1に表した浴室ユニットでは、壁パネル33には図示しないドア取付枠を介してドアDRが設けられている。
【0049】
なお、本発明における壁面材の構成は、上記壁パネル31〜37には限定されない。例えば、壁パネル31がより多くのパネルから構成されていても良いし、その他の壁パネル32〜37が複数のパネルから構成されていても良い。また、壁パネル31が1枚のパネルから構成されていても良い。
【0050】
浴槽1と洗い場床2との境界には、浴槽1における洗い場床2側の側面を覆い隠すバスエプロン9が設けられている。バスエプロン9は、後述する床面材21を押圧するように設けられている。
【0051】
図2は、第1実施形態における壁面接続部材と壁パネルとの嵌合構造を表した断面図である。
図2では、壁パネルの面内方向と直交する方向に沿った断面を表している。
図2(a)は、同一平面で隣接する2つの壁パネルと、これらの間に設けられた壁面接続部材との嵌合構造を例示している。
図2(b)は、隅部で互いに直交する2つの壁パネルと、これらの間に設けられた壁面接続部材との嵌合構造を例示している。
以下の説明では、
図2(a)に例示した壁面接続部材50Aおよび
図2(b)に例示した壁面接続部材50Bをまとめて壁面接続部材50と称する。
【0052】
図2に表したように、壁パネル31は、第1壁パネル31−1と、第2壁パネル31−2と、から構成されている。それぞれの壁パネルは、母材と、母材に対して浴室の内側に設けられた鋼板と、を有する。母材は、石膏ボードなどで形成されており、鋼板は、補強のために母材の浴室内側の表面に貼り付けられている。例えば、第1壁パネル31−1は、母材310−1と、鋼板311−1と、を有する。第2壁パネル31−2は、母材310−2と、鋼板311−2と、を有する。
【0053】
壁面接続部材50は、薄板を折り曲げた中空構造を有する。壁面接続部材50の左右の折り返し部分501は、弾性を有している。
【0054】
図2(a)では、壁パネル31を構成する2つの壁パネル31−1および31−2の取り付け状態を表している。2つの壁パネル31−1及び31−2の鋼板311の左右の側面部には、それぞれ弾性を有した裏側への折り返し部分502−1及び502−2が設けられている。
【0055】
2つの壁パネル31−1及び31−2を壁面接続部材50Aに取り付けるには、折り返し部分502−1及び502−2を壁面接続部材50Aの左右の折り返し部分501の間に嵌め込む。折り返し部分502−1及び502−2は、左右の折り返し部分501の間を押し広げるようにして嵌め込まれることで、互いの方向に付勢される。折り返し部分502−1及び502−2が嵌め込まれると、2つの壁パネル31−1及び31−2が壁面接続部材50Aを間にして同一面状に固定される。
【0056】
図2(b)では、壁パネル31を構成する壁パネル31−2と、壁パネル32と、の取り付け状態を表している。壁パネル31−2の鋼板311−2には、折り返し部分502−1が設けられ、壁パネル32の鋼板321には、折り返し部分502−2が設けられている。折り返し部分502−1及び502−2は、それぞれ弾性を有する。
【0057】
折り返し部分502−1及び502−2は、左右の折り返し部分501の間を押し広げるようにして嵌め込まれる。折り返し部分502−1及び502−2が嵌め込まれると、2つの壁パネル31−2及び32は壁面接続部材50Aを間にして直交する状態に固定される。
【0058】
このように、壁面接続部材50の折り返し部分501と各壁パネルの折り返し部分502は、壁3に直交する面に沿って弾性を有するため、互いの設置位置が固定される。一方で、壁3の表面に沿った方向では、壁面接続部材50による位置の規制が無い。このため、それぞれの壁パネルは壁面接続部材50に嵌め込まれると、自重により下方に落下して、その下端(後述する先端部311a)が床面材21に当接する。
【0059】
図3は、第1実施形態における壁の取り付け構造を表す斜視図である。
図3に表したように、洗い場床2の上面と直交する方向に延びる複数の壁面接続部材50が、洗い場床2の外周部2aに取り付けられる。壁面接続部材50は、予め取り付けてあった壁面固定部材51にボルトやビス等の締結手段で固定される。このとき、壁面接続部材50の下端によって床面材21の外周部2aを下方に押圧するように、壁面接続部材50を固定してもよい。それぞれの壁面接続部材50に壁パネルを嵌合することで、壁パネル31〜35が固定される。壁パネル37は、浴槽1と壁面接続部材50との間に固定される。また、壁パネル36は、壁パネル34の一端と壁パネル35一端との間に固定される。
【0060】
図4は、第1実施形態に係る洗い場床の構成を説明する分解斜視図である。
図4に表したように、洗い場床2は、床基材20と、床基材20の上に配された表皮材23と、を有する。床基材20は、下から順に、支持材22、床面材21、およびクッション材201を有する。
【0061】
支持材22は、4隅に設けられる4本の支持脚231を有する。支持脚231は、ボルト部を回転させることで高さが調節可能に構成されている。支持材22には、強度が比較的高く、剛性のある平板状の素材が用いられる。このような素材として、例えば、サンドイッチパネルが挙げられる。サンドイッチパネルは、例えば、プラスチックの板材を2枚の鋼板で挟んだ構造であり、軽量かつ剛性が高く、ネジなどの締結部材も使用できる。支持材22には、作業者が床下にもぐることができるように作業口が設けられている。施工後、この作業口には蓋221が被せられる。
【0062】
床面材21には、後述するように、排水口となる凹形状部や洗い場床2の上面の勾配を形成するための傾斜面が付与されている。床面材21は、例えば熱可塑性樹脂によって形成されている。床面材21は、繊維強化プラスチック(FRP)によって形成されていてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタンなどが用いられる。
【0063】
床面材21の上には、クッション材201が設けられている。クッション材201には、例えば発泡ポリウレタン等の軟質素材が用いられる。クッション材201の硬さ(柔らかさ)を変えることで、表皮材23を踏んだ際に感じる床面の硬さ(柔らかさ)を変化させることができる。
【0064】
表皮材23は、洗い場床2の最表面に配されており、防水性および可撓性を有する軟質シート材が用いられる。表皮材202には、洗い場床2の表面の意匠性や水はけ性を向上させるために、凹凸加工や柄模様を施したりすることも可能である。
【0065】
床面材21の外周には、凹部が形成されており、壁3は、この凹部の上に設置される。この点について、
図5〜
図7を用いてより具体的に説明する。
図5は、第1実施形態に係る洗い場床の一部および壁の一部を拡大した斜視断面図である。
図6は、
図5の部分Bを拡大した斜視断面図である。
図7は、第1実施形態に係る洗い場床の一部および壁の一部を拡大した断面図である。
なお、
図5〜
図7では、支持材22が省略されている。
【0066】
図5〜
図7に表したように、鋼板311は、床面材21に向けて延在するとともに、先端部311aが、洗い場床2の外側に向けて屈曲している。床面材21の外周には凹部21Rが形成され、この凹部の内側にはガイドピース27が取り付けられている。ガイドピース27の上には、パッキンPK1を介して先端部311aが載置されている。床面材21は、壁3の自重により、下方に押圧される。また、先端部311aはガイドピース27により固定されている。こうすることで、洗い場床2と壁3との相対的な位置関係のずれを抑制している。
【0067】
凹部21Rの側面のうち、洗い場床2の内側方向に位置する側面S1と、壁3(壁パネル31)と、の隙間は、被覆部材25により覆われている。
【0068】
被覆部材25は、一端側の第1端部251と、他端側の第2端部252と、を有する。第1端部251は、表皮材23の下面または床面材21の上面に固定されており、表皮材23と床面材21との間に位置している。このとき、第1端部251が、クッション材201と表皮材23との間に位置していないことが望ましい。すなわち、クッション材201は、表皮材23の一部と床面材21の一部との間に位置し、第1端部251は、表皮材23の他の一部と床面材21の他の一部との間に位置することが望ましい。
【0069】
第2端部252は、鋼板311に当接している。被覆部材25の一部は、表皮材23の側面に沿って屈曲しており、第2端部252は、第1端部251よりも上方に位置している。被覆部材25は、表皮材23の側面23Sに沿って接する面25Sを有している。また、被覆部材25のうち、側面S1と壁パネル31との隙間を覆う部分の上面は、表皮材23の上面よりも上方に位置している。
【0070】
被覆部材25は、例えば、弾性を有する。さらに、被覆部材25は、軟質であっていてもよい。また、被覆部材25は、薄肉状に形成されていてもよい。被覆部材25が軟質および薄肉状の少なくともいずれかであることで、被覆部材25の第2端部252を上方に変形させる際に、容易に変形させることが可能となる。
【0071】
被覆部材25には、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレンやABS(acrylonitrile butadiene styrene copolymer)などのスチレン系樹脂、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、フッ素樹脂などを用いることができる。これらの材料を用いることで、被覆部材25に弾性および軟性を付与することができる。
【0072】
図8は、壁パネルが設置される前の状態の、洗い場床の凹部近傍を拡大した平面図である。
図9は、
図8のA−A’線における断面図である。
なお、
図8および
図9では、その後に載置される壁パネル31を破線で表している。
【0073】
図8および
図9に表したように、壁パネル31が設置されていない状態では、被覆部材25は、水平方向に延び、洗い場床2の外側に向かって突出している。このとき、凹部21R上に突出している部分の長さL1は、壁パネルが設置された状態における側面S1と鋼板311との間の距離D1よりも長い。このため、壁パネル31が設置された状態では、被覆部材25の第2端部252が鋼板311に当接して撓むことで、被覆部材25の上面が鋼板311から表皮材23に向けて下方に傾斜する。
【0074】
ここで、
図10〜
図13を用いて、第1実施形態に係る浴室の組み立て方法を説明する。
図10〜
図13は、第1実施形態に係る浴室の組み立て方法を表す断面図である。
まず、
図10(a)に表したように、表皮材23の下面の端に被覆部材25の第1端部251を固定する。このとき、被覆部材25の面25Sが、表皮材23の側面23Sに接するように、第1端部251を固定する。被覆部材25は、例えば、両面テープTにより表皮材23の下面に固定される。あるいは、接着剤や、熱による溶着、ステープルなどで固定されてもよい。
【0075】
次に、
図10(b)に表したように、凹部21R内にガイドピース27が設けられた床面材21の上面に、表皮材23を貼り合わせる。このとき、被覆部材25のうち、表皮材23に固定された部分が、表皮材23と床面材21との間に挟まれるように、表皮材23を床面材21に張り合わせる。
【0076】
床面材21の上に表皮材23が配された状態を、
図11(a)に表す。
図11(a)に表したように、被覆部材25は、凹部21Rの一部を覆うように、表皮材23の外側に向けて延びている。
【0077】
次に、
図11(b)および
図12(a)に表したように、被覆部材25の第2端部252を上方に変形させ、表皮材23に一時的に固定する。表皮材23への固定には、例えばマスキングテープMが用いられる。
【0078】
次に、
図12(b)および
図13(a)に表したように、床面材21および表皮材23の上方から凹部21Rへ、壁パネル31を下方に移動させ、床面材21の上に載置する。このとき、被覆部材25の第2端部252は表皮材23に固定されているため、壁パネル31と被覆部材25との接触を避けることができる。
【0079】
最後に、
図13(b)に表したように、被覆部材25の第2端部252に貼り付けられているマスキングテープMを取り除く。第2端部252の変形を解除して、被覆部材25の先端を鋼板311に当接させることで、側面S1と鋼板311との隙間が被覆部材25によって覆われる。このとき、被覆部材25が弾性を有する場合、第2端部252の変形を解除することで、
図11(a)に表した元の形状に戻る力が働くため、当該隙間を被覆部材25によって容易に覆うことができる。既に述べた通り、被覆部材25の突出部分の長さL1は、距離D1よりも長いため、被覆部材25が鋼板311に当接させることで、被覆部材25の上面が、鋼板311から表皮材23に向かって下方に傾斜する。
【0080】
上述した説明では、壁パネル31を例に説明したが、他の壁パネル32、33、および37も同様にして洗い場床2の上に設置される。
【0081】
なお、被覆部材25の形状として、
図7に表した例以外にも、例えば、
図14に表した形状を採用することも可能である。
図14は、第1実施形態に係る洗い場床の一部を拡大した断面図である。
【0082】
被覆部材25は、
図14(a)に表すように、両端に段差が形成された構造でも良い。具体的には、第1端部251側では、上面に段差が形成され、第2端部252側では下面に段差が形成されている。これにより、第2端部252の上面を、第1端部251の上面よりも上側に位置させることができる。また、第2端部252側の下面に段差を形成することで、第2端部252を壁3に沿って当接させ易くなる。なお、第1端部251の厚みと、第2端部252の厚みと、は、
図14(a)に表すように異なっていてもよいし、同じでも良い。
【0083】
または、被覆部材25は、
図14(b)に表すように、第2端部252側の厚みが、第1端部251から第2端部252に向かう方向において、漸減していてもよい。このとき、第2端部252側の上面の高さが一定のまま、下面の高さが変化するように、第2端部252側の厚みが漸減していることが望ましい。これにより、第2端部252の上面を、第1端部251の上面よりも上側に位置させることができる。
【0084】
次に、
図15を用いて、浴槽1の外周における構造を具体的に説明する。
図15は、第1実施形態に係る浴槽の一部および壁の一部を拡大した断面図である。
図15に表したように、壁パネル36は、母材360および裏板361を有する。浴槽1の外周には凹部1Rが形成されており、母材360の下端は、凹部1Rの底面にパッキンPK2を介して載置される。
【0085】
母材360は、凹部1Rの側面のうち、浴槽1の内側方向に位置する側面S2と対向している。側面S2鋼板311との隙間には、被覆部材26が設けられる。被覆部材26は、側面S2と母材360との隙間を覆っている。被覆部材26は、一端側の第1端部261と、他端側の第2端部262と、を有する。第1端部261は側面S2に固定され、第2端部262は、母材360に当接している。
【0086】
被覆部材26は、例えば、弾性を有する。また、被覆部材25と同様に、さらに、軟質および薄肉状の少なくともいずれかであってもよい。被覆部材26には、被覆部材25と同様の材料を用いることができる。
【0087】
図16は、壁パネルが設置される前の状態の凹部近傍を拡大した平面図である。
図17は、
図16のC−C’線における断面図である。
なお、
図16および
図17では、その後に載置される壁パネル36を破線で表している。
【0088】
図16および
図17に表したように、壁パネル36が設置されていない状態では、被覆部材26は、水平方向に延び、浴室の外側に向かって突出している。このとき、凹部1R上に突出している部分の長さL2は、壁パネルが設置された状態における側面S2と壁パネル36との間の距離D2よりも長い。このため、壁パネルが設置された状態では、被覆部材26の第2端部262が母材360に当接して撓むことで、被覆部材26の上面が母材360から浴槽1に向けて下方に傾斜する。
【0089】
浴槽1への被覆部材26の固定および壁パネル36の設置については、洗い場床2への被覆部材25の固定および壁パネル31の設置と同様にして行われる。
【0090】
すなわち、まず、被覆部材26の第1端部261が凹部1Rの側面S1に固定される。被覆部材26は、例えば、両面テープや接着剤などによって固定される。あるいは、熱による溶着や、ステープルなどで固定されてもよい。
【0091】
次に、被覆部材26の第2端部262を上方に変形させ、浴槽1に、例えばテープにより一時的に固定する。続いて浴槽1の上方から凹部1Rに向けて壁パネル36を移動させて載置する。このとき、第2端部262は浴槽1の内側に向けて変形され、固定されているため、壁パネル36と被覆部材26との接触を避けることができる。
【0092】
その後、被覆部材25の第2端部252の変形を解除すると、側面S2と母材360との隙間が被覆部材26で覆われるとともに、被覆部材26の先端が壁パネル36に当接する。既に述べた通り、被覆部材26の長さL2は、距離D2よりも長いため、被覆部材26は撓んだ状態で壁パネル36に当接し、被覆部材26の上面に傾斜が形成される。
【0093】
上述した説明では、壁パネル36を例に説明したが、他の壁パネル34および35も同様にして洗い場床2の上に設置される。
【0094】
次に、
図18および
図19を用いて、第1実施形態の変形例に係る浴室の構造を説明する。
図18は、第1実施形態の変形例に係る洗い場床の一部および壁の一部を拡大した断面図である。
図19は、第1実施形態の変形例に係る浴槽の一部および壁の一部を拡大した断面図である。
【0095】
図18に表したように、凹部21Rの側面S1と壁パネル31(鋼板311)との間には、コーキング材CK1が設けられていてもよい。被覆部材25の第1端部251は洗い場床2に固定され、コーキング材CK1は第2端部252により覆われる。被覆部材25に加えてコーキング材CK1が設けられることで、洗い場床2と壁3との間の止水性をより一層高めることが可能となる。
【0096】
図19に表したように、凹部1Rの側面S2と壁パネル36(母材360)との間には、コーキング材CK2が設けられていてもよい。被覆部材26の第1端部261は浴槽1に固定され、コーキング材CK2は第2端部262により覆われる。被覆部材26に加えてコーキング材CK2が設けられることで、浴槽1と壁3との間の止水性をより一層高めることが可能となる。
コーキング材CK1およびCK2には、例えばシリコーンが用いられる。
【0097】
なお、上述した第1実施形態では、洗い場床2が、支持材22、床面材21、クッション材201、および表皮材23から構成されている場合について説明したが、本実施形態は、このような構成以外の洗い場床に対しても適用可能である。例えば、洗い場床2は、支持材22および床面材21の2つから構成されていても良い。この場合、被覆部材25は、床面材21の外周に固定される。
【0098】
以上で説明した第1実施形態では、洗い場床2が被覆部材25を備え、被覆部材25の第1端部251が洗い場床2に固定され、第2端部252が洗い場床2の外側に向けて突出するとともに凹部21Rの少なくとも一部を覆っている。
このような構成の洗い場床2を用いた場合、洗い場床2と壁3との隙間を被覆部材25により覆い、これを乾式目地とすることができる。壁3を凹部21Rに載置する前に、予め被覆部材25が固定された洗い場床2を用いることで、乾式目地の取り付けを施工業者の手に委ねる必要が無く、乾式目地が外れやすい状態で施工されてしまったり、乾式目地の取り付け位置のずれによって漏水してしまうなどの課題の発生を抑制することが可能である。
【0099】
この被覆部材25は、例えば、表皮材23の外周の下面に固定される。従って、被覆部材25を備えた表皮材23を用いることでも、同様の効果を得ることが可能である。
【0100】
また、被覆部材25は、表皮材23の側面23Sに沿って接する面25Sを有し、第2端部252の上面が第1端部251の上面よりも上方に位置することが望ましい。このような構成によれば、第2端部252の上面に水を溜まりにくくできるとともに、表皮材23の側面23Sと被覆部材25との隙間を狭くし、当該隙間への水の流入を抑制すること可能である。これにより、被覆部材25におけるカビの発生を抑制することが可能となる。
【0101】
また、被覆部材25の第1端部251は、表皮材23と床面材22との間に固定されていることが望ましい。第1端部251を、表皮材23と床面材22との間に固定することで、例えば側面S1に固定する場合などに比べて、固定作業が容易になるとともに、固定面積をより広くとることが可能となる。
【0102】
また、被覆部材25の第2端部252の上面は、表皮材23の上面と同じ高さか、または表皮材23の上面よりも上方に位置していることが望ましい。このような構成の表皮材23を用いることで、被覆部材25から表皮材23への排水性を高め、被覆部材25におけるカビの発生を抑制することが可能である。
【0103】
また、被覆部材25を固定する場合、
図10(a)に表したように、表皮材23と床面材21とを貼り合わせる前に、被覆部材25の第1端部251を表皮材23の底面に固定することが望ましい。被覆部材25の面25Sを表皮材23の側面23Sに当接させた状態で、第1端部251を表皮材23と床面材21との間に固定することで、第1端部251をより強固に固定するとともに、被覆部材25と表皮材23との間に隙間が生じることを抑制できる。
【0104】
表皮材23に、下方に向けての力が加えられた際、クッション材201がその衝撃を吸収する。このとき、クッション材201が外力により変形する。そして、クッション材201の変形に伴って、表皮材23のクッション材201上に位置する部分の高さも変動する。従って、仮に被覆部材25の第1端部251が表皮材23とクッション材201との間に固定されていた場合、表皮材23に外力が加えられるたびに被覆部材25の高さ方向の位置も変化する。このため、側面S1と壁3との間の隙間が露出し、止水性が低下してしまう可能性がある。また、壁3に当接している被覆部材25の第2端部252が壁3と擦れ、摩耗することでも止水性の低下が生じうる。
【0105】
この点に対しては、クッション材201を、表皮材23の一部と床面材21の一部との間に位置させ、第1端部251を、表皮材23の他の一部と床面材21の他の一部との間に位置させることが望ましい。第1端部251を、クッション材201と重ならないように固定することで、止水性の低下を抑制することが可能となる。
【0106】
また、被覆部材25が弾性を有する場合、
図9に表したように、被覆部材25の第2端部252が、壁3の表面と交差する方向に延びていることで、第2端部252を壁3に当接させた際に、被覆部材25が壁3をより強く押圧する。被覆部材25が壁3をより強く押圧した状態で当接することで、被覆部材25と壁3との間に隙間を生じ難くし、被覆部材25による止水性を向上させることができる。
【0107】
浴槽1については、被覆部材26を備え、被覆部材26の第1端部261が第2側面S2に固定され、被覆部材26の第2端部262が浴槽1の外側に向けて突出するとともに凹部1Rの少なくとも一部を覆っている。従って、同様に、浴槽1と壁3との隙間を被覆部材26により覆い、これを乾式目地とすることができる。
【0108】
このとき、第2端部262の上面は、浴槽1の上面と同じ高さ、または浴槽1の上面よりも上方に位置していることが望ましい。このような構成の浴槽1および被覆部材26を用いることで、被覆部材26から浴槽1への排水性を高め、被覆部材26におけるカビの発生を抑制することが可能である。
【0109】
また、被覆部材26が弾性を有する場合、
図17に表したように、被覆部材26の第2端部262が、壁3の表面と交差する方向に延びていることで、第2端部262を壁3に当接させた際に、被覆部材26が壁3をより強く押圧する。被覆部材26が壁3をより強く押圧した状態で当接することで、被覆部材26と壁3との間に隙間を生じ難くし、被覆部材26による止水性を向上させることができる。
【0110】
また、
図2および
図3に表した壁パネル31のように、浴室の1つの壁面が複数のパネルによって構成される場合もある。この場合、1つの壁面を構成するそれぞれのパネルに乾式目地が取り付けられていると、これらの乾式目地同士の間で隙間が形成されやすくなる。
これに対して、本実施形態のように、乾式目地を洗い場床および浴槽に取り付けることで、1つの壁面が複数のパネルから構成されている場合であっても、乾式目地が複数に分割されず、漏水などの問題が生じる可能性を低減することができる。
【0111】
また、本実施形態に係る浴室では、壁3が載置される前に、被覆部材25が洗い場床2または壁3に固定され、被覆部材26が浴槽1または壁3に固定されるものである。このような構成によれば、被覆部材25および26を、浴室の組み立て前にあらかじめ取り付けておくことが可能である。被覆部材25および26を、浴槽1、洗い場床2、壁3の製造現場で取り付けておくことで、施工現場で施工者が乾式目地を取り付ける必要がなくなる。このため、乾式目地の取り付けを施工業者の手に委ねる必要が無く、乾式目地が外れやすい状態で施工されてしまったり、乾式目地の取り付け位置のずれによって漏水してしまうなどの課題の発生を抑制することが可能となる。
【0112】
(第2実施形態)
図20は、第2実施形態に係る洗い場床の一部および壁の一部を拡大した断面図である。
図20では、支持材22が省略されている。
【0113】
図20に表したように、第2実施形態に係る浴室は、例えば、壁パネル31に被覆部材28が取り付けられている点で、第1実施形態に係る浴室と異なる。被覆部材28は、一端側の第2端部282と、他端側の第1端部281と、を有する。第1端部281は、壁パネル31の浴室側の面に沿って延び、当該表面に固定されている。第2端部282は、第1端部281よりも浴室の内側に位置している。また、第2端部282は、洗い場床2の表面に当接し、側面S1と壁パネル31(鋼板311)との隙間を覆っている。
図20に表す例に限られず、第2端部282は、洗い場床2の表面の他の部分、例えば側面S1、に当接していてもよい。ただし、被覆部材28による止水性を向上させるためには、第2端部282は、洗い場床2の上面(表皮材23の上面)に当接していることが望ましい。第2端部282は、壁パネル31から洗い場床2に向けて下方に傾斜している。
【0114】
被覆部材28は、例えば、弾性を有する。さらに、被覆部材28は、軟質であっていてもよい。また、被覆部材28は、薄肉状に形成されていてもよい。被覆部材28が軟質および薄肉状の少なくともいずれかであることで、被覆部材28の第2端部282を上方に容易に変形させることが可能となる。
被覆部材28には、被覆部材25と同様の材料を用いることができる。
【0115】
次に、
図21を用いて、第2実施形態に係る被覆部材および壁パネルの取り付け手順を、
図20を参照して説明する。
なお、
図21(a)では、被覆部材28の第2端部282が変形される前の状態を、破線で表している。また、
図21(b)では、被覆部材28の第2端部282の変形が解除される前の状態を、破線で表している。
【0116】
まず、床面材21の上面に表皮材23を張り合わせ、床面材21外周の凹部21R内部にガイドピース27およびパッキンPK1を配する。続いて、
図20(a)に表すように、被覆部材28の第2端部282を上方に変形させ、マスキングテープMを用いて、第2端部282を壁パネル31の表面に固定する。
【0117】
なお、
図21(a)に表すように、被覆部材28の第2端部282は、変形されていない状態において、壁パネル31の表面に対して傾斜した方向に沿って下方に延びている。第1端部281が延びる壁パネル31の表面に沿った方向と、第2端部282が延びる当該表面に対して傾斜した方向と、の間の角度θは、鋭角(例えば45度以下)である。また、第2端部282は、凹部21Rの側面S1と壁パネル31との間の距離よりも長い。
【0118】
この状態で、壁パネル31を凹部21Rに載置する。続いて、
図21(b)に表すように、マスキングテープMを剥がすことで、被覆部材28の第2端部282の変形が解除される。その後、第2端部282を表皮材23の表面に当接させ、側面S1と鋼板311との隙間を覆う。このとき、被覆部材28が弾性を有する場合、第2端部282の変形を解除することで、
図21(a)の破線で表した元の形状に戻る力が働くため、側面S1と鋼板311との隙間を容易に覆うことができる。
【0119】
以上で説明した第2実施形態では、壁3(壁パネル31)が被覆部材28を備え、第1端部281が壁3の表面に固定されるとともに、第2端部282が第1端部281よりも浴室の内側に位置し、下方に向けて突出している。
このような構成の壁3を用いた場合、洗い場床2と壁3との隙間を被覆部材28により覆い、これを乾式目地とすることができる。このため、予め被覆部材28が固定された壁3を用いることで、乾式目地の取り付けを施工業者の手に委ねる必要が無く、乾式目地が外れやすい状態で施工されてしまったり、乾式目地の取り付け位置のずれによって漏水してしまうなどの課題の発生を抑制することが可能である。
【0120】
また、この被覆部材28について、第1端部281が延びる方向と、第2端部282が延びる方向と、の間の角度θは、45度以下であることが望ましい。角度θを45度以下とすることで、第2端部282を洗い場床2の表面に当接させた際に、第2端部282を、壁3から洗い場床2に向けて容易に下方に傾斜させることができる。また、洗い場床2の表面に対する傾斜角度をより急峻にすることができ、第2端部282の上面における排水性を向上させることができる。
【0121】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室100が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや、その設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。