【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
A.評価方法
(1)相対粘度
96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した。
(2)引張強度、引張弾性率
ISO527−1、2に準拠して、常温下、引張速度5mm/分で測定した。
(3)シャルピー衝撃強さ
ISO179−1に準拠して、常温下、ノッチ付きで、エッジワイズで測定した。
【0020】
(4)限界PV値
JIS K7218 A法に準拠して、鈴木式摩擦摩耗試験機(東洋ボールドウィン社製MODEL EFM−III−E型)を用いて摩擦摩耗試験をおこなった。相手材は円筒状の鋼(S45C、#2000仕上げ)を用いて、試験速度は200mm/秒とした。開始時に試験荷重100Nをかけ、10分毎に100Nずつ上げ、試験片が溶融した試験荷重の直前の荷重の値を限界PV値とした。
本発明においては、限界PV値が0.6MPa.m/s以上の場合、合格と判断した。
【0021】
(5)摩耗体積量
JIS K7218 A法に準拠して、鈴木式摩擦摩耗試験機(東洋ボールドウィン社製MODEL EFM−III−E型)を用いて摩擦摩耗試験をおこなった。相手材としては円筒状の鋼(S45C、#2000仕上げ)を用いて、試験速度は200mm/秒とした。開始時に試験荷重100Nをかけ、1時間連続運転した。
連続運転後、磨耗量(g)を求め、ポリアミド樹脂組成物の密度を用いて摩耗体積量(cm
3/時間)を求めた。
本発明においては、摩耗体積量が7cm
3/h以下の場合、合格と判断した。
【0022】
(6)振動疲労性
試験条件は振動疲労試験機(東洋精機製作所社製)を用い、引張荷重制御、チャック間距離:25mm、雰囲気温度:30℃、周波数:30Hz、応力モード:引張の条件下で測定をおこなった。63MPaでの応力を負荷し、試験片が破壊するまでの応力負荷回数を計測した。試験片は、JIS K7160の2形試験片を用いた。
本発明においては、負荷回数が10
5以上の場合、合格と判断した。
【0023】
B.原料
(1)ポリアミド樹脂
・PA6−1:ユニチカ社製 E2046、ポリアミド66、相対粘度4.6
・PA6−2:ユニチカ社製 E2037、ポリアミド66、相対粘度3.7
・PA6−3:ユニチカ社製 E2033、ポリアミド66、相対粘度3.3
・PA6−4:ユニチカ社製 E2000、ポリアミド66、相対粘度2.8
・PA6−5:ユニチカ社製 E2001R、ポリアミド66、相対粘度2.5
・PA66−1:ユニチカ社製 A1030BRL、ポリアミド6、相対粘度2.5
・PA66−2:ユニチカ社製 A1030BRT、ポリアミド6、相対粘度3.5
【0024】
(2)ガラス繊維
・GF1:オーウェンコーニング社製 CS03DEFT2A、繊維径6.5μm、繊維長3mm
・GF2:日東紡績社製 CS03G459、繊維径9.0μm、繊維長3mm
・GF3:日本電気硝子社製 ECS03T262H社繊維径10.5μm、繊維長3mm
【0025】
(3)カップリング剤
・C1:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 Y−5187、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン
・C2:信越シリコーン社製 KBM−403社γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・C3:信越シリコーン社製 KBM−903社γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
【0026】
(4)耐熱剤
・ヨウ化銅(CuI)
・臭化カリウム(KI)
【0027】
実施例1〜
7、10〜11
、参考例1〜2および比較例1〜7
表1に記載したポリアミド樹脂およびガラス繊維をTEM26SS二軸混練機で溶融混練し、目的とするポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
その後、得られたペレットをシリンダー温度290℃、金型温度80℃で射出成形し、各種試験片を製造し、各種物性を評価した。
【0028】
実施例1〜
7、10〜11
、参考例1〜2および比較例1〜7の樹脂組成や得られたポリアミド樹脂組成物の評価を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例1〜
7、10〜11のポリアミド樹脂組成物は、引張強度、シャルピー衝撃強度が高く、磨耗量が小さく、振動疲労性に優れていた。
【0031】
比較例1のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂として1種類の高粘度のポリアミド樹脂のみを用いたため、振動疲労性に劣っていた。
比較例2のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂として1種類の低粘度のポリアミド樹脂のみを用いたため、磨耗体積量が多かった。
比較例3のポリアミド樹脂組成物は、用いるポリアミド樹脂混合物の相対粘度が低かったため、摩耗体積量が多かった。
比較例4のポリアミド樹脂組成物は、用いるポリアミド樹脂混合物の相対粘度の差異が小さかったため、振動疲労性に劣っていた。
比較例5のポリアミド樹脂組成物は、ガラス繊維を用いなかったため、限界PV値が小さく、振動疲労性に劣っていた。
比較例6のポリアミド樹脂組成物は、用いるガラス繊維の繊維径が大きかったため、限界PV値が小さく、摩耗体積量が多く、振動疲労性に劣っていた。
比較例7のポリアミド樹脂組成物は、カップリング剤を用いなかったため、限界PV値が小さく、磨耗体積量が多かった。