【文献】
「ハッピージャグラーV」,パチスロ攻略マガジンドラゴン2010年5月号,株式会社双葉社,2010年 3月20日,p.144-145
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る遊技機の好ましい実施形態について、
図1〜
図14を参照して説明する。
なお、遊技機には、スロットマシン、パチンコ機など様々な種類があるが、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。
【0008】
図1〜3に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、回動可能に軸支された複数のリール41a,41b,41cが内蔵され、正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成され、内部には、マイクロコンピュータ等で構成された主制御部10、主制御部10からの指令により、スピーカ8,ランプ9,表示ユニット100等の報知手段を制御する副制御部20、及び必要な機械,装置等が収納されている。
【0009】
前扉1aは、
図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る複数の操作部が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0010】
操作部として、例えば、メダルが投入されるメダル投入口2と、装置内部にクレジットとして貯留されたメダルをゲームに投じるベットボタン2aと、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cなどが設けられている。
【0011】
さらに、前扉1aには、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認可能とする表示窓6が、各操作部の上側に設けられている。
表示窓6には、筐体側窓部6aが設けられ、この筐体側窓部6aからは、表示窓6の裏側に配置された表示ユニット100による演出表示が視認できるようになっている。
また、前扉1aの下部には、効果音、音声等が出力されるスピーカ8が設けられている。
【0012】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41a,41b,41cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ2bにより検出されるとともに、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0013】
主制御部10は、メインCPU、メインROM、メインRAMなどが一体化された制御用チップの搭載された主基板、これを収容する基板ケース等から構成され、上記の各操作部からの信号やメダルセレクタ2bからの信号に基づき、ドラムユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技を進行させる。
【0014】
具体的には、遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ2bにより検出され、検出信号が主制御部10に入力される。また、ベットボタン2aが操作された場合は、その操作信号が主制御部10に入力される。主制御部10は、これらの信号の入力の有無からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
ゲーム開始可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、主制御部10は、ドラムユニット4を駆動して、各リール41a,41b,41cを回転させる制御を行う。
【0015】
さらに、主制御部10は、スタートレバー3が操作されたときに、ボーナス遊技に移行する開始役であるボーナス役、小役、再遊技役などの複数の当選役(ハズレも含む)の中から今回ゲームの抽選結果をリール41の停止前に事前に決定する内部抽選を行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cの停止制御を行う。
【0016】
また、主制御部10は、各リール41a,41b,41cに停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口7bから払い出す。
【0017】
また、スロットマシン1では、上述したようなスロットマシン遊技において、主制御部10が所定の遊技タイミング(例えば、スタートレバー操作、停止ボタン操作、ボーナスゲーム開始、ボーナス役当選)において所定の制御信号を副制御部20に出力することで、副制御部20が、この制御信号に従い、予め記憶した演出プログラムに基づき、スピーカ8,ランプ9,表示ユニット100等の報知手段を制御して、所定の遊技演出を行うようになっている。
【0018】
主制御部10から副制御部20に出力される制御信号には、例えば、スタートレバー操作、停止ボタン操作、ボーナスゲーム開始などの遊技の進行を示す制御信号の他に、内部抽選の結果当選した抽選対象を示す当選対象信号(例えば、当選したボーナス役の種類[ビッグボーナス、レギュラーボーナス]、当選した小役の種類、再遊技役、ハズレなどを示す信号)などがある。
【0019】
副制御部20は、主制御部10と同様にコンピュータとして構成され、スピーカ8,ランプ(後記LED)9,表示ユニット100を制御することで、所定の音響演出や表示演出を行う。
副制御部20は、サブCPU、サブROM、サブRAMなどの演出用チップの搭載された副基板、これを収容する基板ケース等から構成され、サブCPUがサブROMに記憶されたプログラムを実行処理することで、表示ユニット100に所定の表示態様で表示演出を行わせるとともに、スピーカ8から所定の音データを出力させ、さらに、ランプ9の点灯制御を行う。
【0020】
このような構成からなる副制御部20は、サブCPUが、主制御部10からの制御信号に基づいてスロットマシン1のそのときの状態を判定し、その状態に応じた演出を行うようにスピーカ8,ランプ9,表示ユニット100を制御する。
例えば、主制御部10から内部抽選の結果当選した抽選対象を示す当選対象信号としてボーナス役の当選を示す制御信号を受信したときには、表示ユニット100を制御してボーナス当選に係る表示演出を行わせる。
また、ボーナス遊技に移行後は、ランプ9を所定のタイミングで点滅させるとともに、ファンファーレ音などの所定の効果音をスピーカ8から出力させる。
本実施形態のスロットマシン1は、このような一般的なスロットマシンの構成に加え、ランプカバーなどの部材として、特徴的な形状の装飾部材Lを用いている。
【0021】
[装飾部材Lについて]
装飾部材Lは、アクリルなどの樹脂部材からなり、所定の光透過率を有する有色の透光性部材からなるランプカバーである。
「光透過率」は、入射光の通過割合であり、例えば、無色透明の部材で約93%のものがある。「光透過率」は、一般に、無色透明のものよりも有色のものの方が低くなることが知られている。
このような装飾部材Lは、前扉1aの所定位置に設けたLED9の前方を覆うように設けられ、LED9が点灯すると、その出射光が装飾部材Lに入射し、内部を透過することで自らが発光するようになっている。
装飾部材Lは、
図4及び
図5に示すように、スロットマシン1の左側の「左側装飾部L1」と、スロットマシン1の右側の「右側装飾部L2」と、左側装飾部L1と右側装飾部L2の上方であって、左側装飾部L1と右側装飾部L2の間に亘る「上装飾部L3」の3つの装飾部によって構成され、表示窓6の周囲を囲むように設けられている。
なお、「左側装飾部L1」と「右側装飾部L2」は、左右対称であり同様の構造であることから、「左側装飾部L1」を例に挙げて説明し、「右側装飾部L2」の詳細な説明は省略する。
また、本実施形態において、「右」とは、遊技機側から遊技者の方を見た場合の右側(図面の左側)をいい、「左」とは、遊技機側から遊技者の方を見た場合の左側(図面の右側)をいう。また、「前」とは、遊技機の正面側をいい、「後」とは、遊技機の背面側をいう。
【0022】
左側装飾部L1は、上部と下部の装飾部により構成される。
例えば、
図5及び
図6に示すように、左側装飾部L1は、下部に左第1装飾部L1aを備え、上部に左第2装飾部L1bを備えている。
また、
図5及び
図7に示すように、右側装飾部L2は、下部に右第1装飾部L2aを備え、上部に右第2装飾部L2bを備えている。
これらの図に示すように、左側装飾部L1及び右側装飾部L2は、段部L11と膨出部L12を有することで、全体として、波形に膨出した形状部が階段状に形成されている。
【0023】
段部L11は、
図5〜
図7に示すように、左右方向に向かって複数形成した、前後方向に対する段差である。
このような段部L11は、正面視すると上下方向に沿って見える線状の部分であり(
図6(a)、
図7(a)参照)、側面視すると前側にやや湾曲して見える弓状の部分である(
図6(b)、
図7(b)参照)。
段部L11は、断面視するとわかるように、後方(裏側)に突出する部分である(
図6(c)、
図7(c)参照)。
【0024】
膨出部L12は、段部L11の少なくとも一部と一体的に形成され、前方に向かって膨出した形状を有する部分である。
具体的には、膨出部L12は、
図5〜
図7に示すように、隣接する段部L11と段部L11の間において、前方にU字状に突出した部分である。
【0025】
左第1装飾部L1aと左第2装飾部L1bの間には、左絞り部L13が設けられており、左第1装飾部L1a及び左第2装飾部L1bは、左絞り部L13に接する部分が、ほぼ同幅に形成されている(
図4参照)。
左絞り部L13は、表示窓6の上側に左右方向に沿って設けられた帯状部材(後記中央装飾部L4)の左端部である。
なお、左第2装飾部L1bは、上側が幅広で左絞り部L13に近くなるにつれて幅狭に形成されており、左第1装飾部L1aは、上下方向に沿ってほぼ同幅に形成されている。
このような左側装飾部L1によれば、あたかも、左第1装飾部L1a及び左第2装飾部L1bをからなる「幕」や「カーテン」が、左絞り部L13からなる留め具(タッセルなど)により絞り留められているかのように見せることができる。
【0026】
右側装飾部L2は、左側装飾部L1と左右対称に形成されているため、詳細な説明は省略する。
右側装飾部L2によれば、あたかも、右第1装飾部L2a及び右第2装飾部L2bからなる「幕」や「カーテン」が、右絞り部L23からなる留め具(タッセルなど)により絞り留められているかのように見せることができる。
【0027】
上装飾部L3は、スロットマシンの最上部に設けたランプカバーであり、左側の上第1装飾部L31と、右側の上第2装飾部L32と、上第1装飾部L31と上第2装飾部L32の間に形成される上絞り部L33と、を備えている。
上第1装飾部L31及び上第2装飾部L32は、本発明の上第1膨出部及び上第2膨出部に相当し、下方に向かって膨出した形状を有している。
上絞り部L33は、正面視半円状に形成され、その左側に上第1装飾部L31が設けられ、その右側に上第2装飾部L32が設けられている。
上第1装飾部L31及び上第2装飾部L32は、左側装飾部L1や右側装飾部L2の膨出部L11と同様の形状であるが、下方に向かって膨出しており、段差(段部)を有しない形状である。
また、上第1装飾部L31及び上第2装飾部L32は、ともに、上絞り部L33に接する部分が幅狭で、上絞り部L33から遠くなるにつれて幅広に形成されている。
このような上装飾部L3によれば、あたかも、上第1装飾部L31及び上第2装飾部L32からなる横長の「幕」が、上絞り部L33からなる留め具により絞り留められ、これにより、まるで、「幕」が中心部から吊られた状態で束ねられているように見せることができる。
【0028】
以上のように、本実施形態の遊技機によれば、装飾部材Lを、「幕」や「カーテン」のように見せることができ、装飾部材Lによって囲まれる領域にある表示窓6を、「幕」や「カーテン」により囲まれるステージや窓のように見せることができる。
これにより、遊技者は、まるでステージ上の舞台を観覧したり窓から景色を眺めるかのような感覚で、遊技結果を表示することが可能な遊技結果表示領域(リール配置領域)としての表示窓6に表示される遊技結果を見ることができる。
このため、装飾部材でもあるランプカバーによって遊技機の外観としての特定の世界観を構築することができ、遊技者の遊技意欲を高めることができる。
なお、周囲が囲まれた領域は一般に注意を引き易いことが経験的に知られている。
このため、装飾部材Lにより囲まれた表示窓6に遊技者の目線を無意識に向けさせることができ、これによっても遊技者の遊技意欲を高めることができる。
【0029】
[装飾部材Lにおける陰影演出について]
次に、装飾部材Lにおける陰影演出について左第1装飾部L1aを例示して説明する。
図5に示すように、左第1装飾部L1aは、LED9の前方を覆うランプカバーであり、LED9を点灯させると、LED9から出射された光が入射し、内部を透過することによって発光する。
このように左第1装飾部L1aは発光体でありながら、以下の構成を備えることで、所定の領域に陰影が見えるようにしている。
図8は、左第1装飾部L1aの断面図であり、陰影が見える仕組みを説明するための説明図である。
図8に示すように、左第1装飾部L1aは、段部L11の厚みt1と膨出部L12の厚みt2が異なり、段部L11の方が膨出部L12より肉厚に形成されている。
このような構成によれば、段部L11に入射する光Bの透過光量(図中b参照)は、膨出部L12に入射する光Aの透過光量(図中a参照)に比べ少なくなる。
これは、装飾部材Lが光透過性部材であるものの、その透光率は100%ではないため、厚みに比例して光の減衰量が多くなるからである。特に、左第1装飾部L1aは、有色(ピンク)の光透過性部材を用いているため、その傾向は高くなる。
【0030】
また、LED9の配置と段部L11の形状との関係に基づいても光量に差異が生じる。
図9(a)は、左第1装飾部L1aの要部断面図であり、
図9(b)は、
図9(a)の※部拡大図である。
図9に示すように、LED9は、左第1装飾部L1aの後方の左側に偏って配置されているため、左第1装飾部L1aに対し、左後方から右前方に向けて斜めに入射する光がある。
ここで、段部L11には、後方に突出する凸部(以下、後方凸部Xという)が形成されている。
このため、
図9に示すように、光Aは膨出部L12に直接入射し、その後透過するが(図中a参照)、光Bは、後方凸部X(図中点線部分)により遮蔽される結果光量が減少する(図中b参照)。
また、同図に示すように、斜め方向に入射する光の進行方向に基づけば、段部L11の周辺部の厚みt1’は、膨出部L12の厚みt2’に比べ肉厚になることから、段部L11の周辺部に入射する光Cの透過光量(図中c参照)は、光Aよりも少なくなる。
【0031】
以上のように、段部L11及び段部L11の周辺部において、それ以外の領域に比べ相対的に透過光量が少なくなる結果、
図10に示すように、段部L11及び段部L11の周辺部に陰影が視認可能に形成される。
これにより、装飾部材Lを、より奥行き感や立体感をもたせることができるため、本実施形態のように「幕」や「カーテン」を模したランプカバーについては、「幕」や「カーテン」をよりリアルに見せることができる。
【0032】
[センサを隠ぺいする装飾部材の構成について]
図4及び
図11に示すように、本実施形態の遊技機は、右絞り部L2と左絞り部L13の間に亘って設けられる中央装飾部L4を備えている(
図4等参照)。
中央装飾部L4は、
図11に示すように、測距センサL41と、測距センサL41の前方を覆うカバー部(本発明のカバー)L42と、を有している。
測距センサL41は、レーザ光などの光を前方に向けて投光する投光部L41aと、対象物からの反射光を受光する受光部L41bとを備え、反射光の入射角等に応じて対象物との距離を測定することができる。
このような測距センサL41によれば、近接する距離(例えば、数センチメートル)以内に人体の一部が近接したことを検出する検出手段として動作する。
このため、本実施形態の測距センサL41は、遊技者が近接位置で手をかざす操作を行ったことに応じ、副制御部20に所定の制御を行わせる操作手段として用いることができる。
例えば、ボーナス遊技状態中の手をかざす操作によって、後記表示ユニット100に所定の演出表示を行わせることができる。
【0033】
ここで、カバー部L42は、測距センサL41を視認困難に覆う被覆手段として用いる。
このように、カバー部L42によって側距センサL41を隠ぺいすることで、上記特定の演出表示が、上記操作を知る人にだけ提供できたり、偶発的に行われるため、測距センサL41を特別な操作手段とすることができる。
カバー部L42は、具体的には、
図11及び
図12に示すように、ハット帽子の形状に形成され、複数の色でデザインされている。
デザインは、
図12(a)に示すように、赤と白がストライプ状の領域(上部領域)と、「濃い青」が帯状に形成された領域(中部領域)と、全体が白の領域(下部領域)によって主に構成される。
このようなカバー部L42は、例えば、公知のシートインサート成形により、基材となる透明の樹脂部材をハット状に加工しつつ、白のベースシートをほぼ全面に施し、領域ごとに対応する色の装飾シートを施すことで作成することができる。なお、白のベースシートは、光の透過を抑え、装飾シートの色を透けることなく明瞭に見せるために用いる。
【0034】
ところで、中部領域の中には、
図11及び
図12に示すように、測距センサL41の前方を直接覆う領域(以下、特定領域Sという)が含まれる。
しかしながら、デザインに従って中部領域に「濃い青」の装飾シートを施すと、「濃い青」が光を吸収する性質を有する色であるため、投光部L41aから投光された光や対象物から反射された光が特定領域Sの部分で吸収され、測距センサL41が正常に機能しなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、特定領域Sに対し、特定領域Sの色(第1の色という)に対応する透光性を有する色(第2の色という)を施すようにしている。
ここで、「第1の色」とは、特定領域Sにおけるデザイン上の色であって、これを見た者(遊技者)が感じる色(つまり「濃い青」)をいう。
一方、「第2の色」とは、特定領域Sに対し実際に施す色(つまり「透明の青」)をいう。
具体的には、
図12(c)に示すように、特定領域Sには白のベースシートを施さず、中部領域には透明青の装飾シートを施す。
このようにすると、投光部L41aからの投光や受光部L41bにおける受光が、特定領域Sにより妨げられないため、測距センサL41の機能が損なわれることはない。
また、測距センサL41の前方にカバー部L42が配置されるところ、測距センサL41とカバー部材L42の間の隙間をなくすことで、特定領域Sに光が入らないようにして暗くしている。
これにより、特定領域Sの色は、実際には透明青であるにもかかわらず、「暗い青」である「濃い青」に見せることができる。
また、「青」は、明るい場所で見ると黒ずんで見えるところ、遊技機は、比較的明るい遊技場に設けられていることからも、特定領域Sは、「濃い青」に見える。
このため、遊技者がカバー部L42を見たときに、特定領域Sは「濃い青」に見せつつ、その後方の測距センサL41の存在を気付きにくくすることができる。
したがって、このようなカバー部L42によれば、操作手段である測距センサL41を自然な態様で隠ぺいしながらも、測距センサL41による操作を適切に行うことができ、かつ、所定のデザインに沿った色味を実現することができる。
【0035】
[装飾部材Lの取付構造について]
図13に示すように、遊技機の上部には、上部ランプユニットが設けられている。
この上部ランプユニットは、LED9が設けられているユニットフレームMと、装飾部材Lである上装飾部L3(上第1装飾部L31・上第2装飾部L32・上絞り部L33)によって構成される。
ここで、上装飾部L3の取付構造について、上第1装飾部L31を例示して説明する。
上第1装飾部L31は、
図13に示すように、ユニットフレームMに取り付けられ、このユニットフレームMは遊技機本体である前扉1aのフレームに取り付けられる。
図14(a)は、上第1装飾部L31の取付前の平面模式図、
図14(b)は、
図14(a)の側面模式図、
図14(c)は、上第1装飾部L31の取付時の平面模式図、
図14(d)は、
図14(c)の側面模式図、
図14(e)は、
図14(c)のD−D断面の模式図である。
これらの図に示すように、上第1装飾部L31は、中間部材であるユニットフレームMを介して遊技機本体である前扉1aに取り付けられる。
【0036】
ユニットフレームMは、表側(装飾部材側)と裏側(前扉側)とを連通する、矩形状の開口部からなる連通部Nを設けている(
図13及び
図14(a)〜(e)参照)。
前扉1aには、連通部Nに対応する位置に、前方に向けて突出した先細り形状の凸部P(本発明の第1の凸状部材)を、当該前扉1aのフレームと一体に形成している(
図14(b)(d)(e)参照)。
このような凸部Pは、ユニットフレームMを、前扉1aの所定の取付位置で重ねると、連通部Nの下側に挿入するように形成されている(
図14(c)〜(e)参照)。
上第1装飾部L31には、連通部Nに対応する位置に、後方に向けて突出した爪部Q(本発明の第2の凸状部材)を、当該上第1装飾部L31をなす樹脂部材と一体に形成している(
図13及び
図14(a)〜(e)参照)。
このような爪部Qは、上第1装飾部L31を、ユニットフレームMの所定の取付位置で重ねると、連通部Nの上側に挿入するように形成されている(
図14(c)〜(e)参照)。
このため、ユニットフレームMを、前扉1aの所定の取付位置で重ね、上第1装飾部L31を、ユニットフレームMの所定の取付位置で重ねることにより、爪部Qと凸部Pがともに連通部Nに挿入される。
【0037】
ここで、
図14(e)に示すように、凸部Pは先細り形状であるため、当該凸部Pが連通部Nに挿入されることに応じて爪部Qや連通部Nを押圧し、また、連通部Nに挿入された爪部Qが係合部に係合されるため、爪部Q及び凸部Pと連通部Nは、それぞれが係合された状態で固定される。
このように、上第1装飾部L31とユニットフレームMと前扉1aを重ねることで、上第1装飾部L31を、ボス部材などの固定部材を用いることなく、しっかりと固定することができる。
これに対し、従来は、ボス部材を前扉1aのフレームやユニットフレームMに設け、これにより、ランプカバーである装飾部材Lを強固に固定していた。
しかしながら、ボス部材などの固定部材は立体構造であるため、LED9の点灯時にその陰がランプカバーに映し出されたり、これを回避するためランプカバーの大きさが制限されるなどの問題があった。
本発明の装飾部材Lの取付構造によれば、ボス部材などの固定部材を設ける必要がないため、このような問題を生じることなく、しっかりと装飾部材Lを固定することができる。
【0038】
[表示ユニットについて]
次に、表示ユニット100について、
図15〜
図19を参照して説明する。
表示ユニット100は、例えば、ボーナス役に内部当選したことを表示演出により報知する報知手段として動作する。
表示ユニット100は、液晶表示装置によって構成され、遊技者は、液晶画面に表示される遊技の進行に関連する識別情報を、表示窓6を通して視認できるようになっている。
図15は、識別情報が所定の軌跡を描くように移動する表示演出を行う例を示している。
同図において、識別情報は、「AAAAA」からなる文字情報であり、軌跡はループ状の軌跡Kとしてある。
具体的には、
図15(a)に示す、中文字の「AAAAA」からなる文字情報1631が円上の領域151aの左側に配置された画像、
図15(b)に示す、大文字の「AAAAA」からなる文字情報1621が領域151aの中に配置された画像、
図15(c)に示す、中文字の「AAAAA」からなる文字情報1632が領域151aの右側に配置された画像、
図15(d)に示す、小文字の「AAAAA」からなる文字情報1633が領域151aの右側に配置された画像を、順次切り替える。
図15(a)〜(d)の切替タイミングは、「AAAAA」がループ状の軌跡を一定の速度で移動するものと仮定したタイミングとすることが好ましい。
これにより、識別情報(「AAAAA」)がループ状の軌跡を描くように反時計回りで移動する表示演出を行うことができる。
なお、他の識別情報「BBBBBB」を併せて表示することもできる(
図15参照)。
【0039】
また、
図15(a)〜(d)に加え、識別情報1621,1631〜1633が一切表示されない特別画像(図示省略)を用いた表示演出を行うこともできる。
例えば、「AAAAA」が軌跡Kを1周10秒で移動するものとし、軌跡Kに占める一部Ka及び他部Kbそれぞれの距離(長さ)の比率から一部Kaを4秒、他部Kbを6秒で移動するものと算出されたときには、識別情報(「AAAAA」)が軌跡Kの一部Kaを移動しているものと仮定される「4秒」の間で、
図15(a)〜(d)を切り替えて表示し、軌跡Kの他部Kbを移動しているものと仮定される「6秒」の間は、特別画像を表示する。
これにより、識別情報があたかも仮想空間(他部Kb)においても移動しているような印象を与えることができ、演出の信憑性を高めることができる。
【0040】
図16は、窓部121から観測される映像の輝度を変化させた表示演出を示している。
例えば、
図16(a)は、領域151aと、「AAAAA」の文字情報1621と、「BBBBBB」の文字情報1712とを、それぞれの同じ輝度にしたときの表示演出であり、
図16(b)は、「AAAAA」の文字情報1621の輝度を他より高めたときの表示演出であり、
図16(c)は、「AAAAA」の文字情報1621の輝度をさらに高めたときの表示演出である。
このように輝度を変えることにより、表示演出ごとや場面に応じて強調したい情報や領域を変えることができる。
また、
図16(a)〜(c)の表示演出をそれぞれ階調制御の一演出とし、これらを連続的に切り替えることにより、明るさのグラデーション演出を行うこともできる。
【0041】
図17は、
図15に示した表示演出の変形例であり、識別情報が所定の軌跡を移動する表示演出を行う例を示している。
例えば、
図17(a)は、文字情報1631,1632をそれぞれ領域151aの左側と右側に配置させた画像を用い、これを、文字情報1621を領域151aの中に配置させた画像(
図17(b))と交互に切り替えて表示する。
これにより、「AAAAA」の文字情報が、軌跡Kの一部Kaに沿って、左右から中央に集まったり、左右に分離したりする演出を行うことができる。
【0042】
図18(a)は、図形情報1612を配置した画像であり、
図18(b)は、図形情報1612と、この図形情報より一回り大きい図形情報1611を配置した画像である。
これらの画像を時間的に切り替えることにより、図形情報1612と図形情報1611との組合せによって、円形が大きくなったり(b)、小さくなったり(a)見える演出を行うことができる。
この場合、図形情報1611と図形情報1612の色は同じ色にすることが好ましい。
【0043】
また、
図19(a)〜(d)に示すように、同じ位置に配置した識別情報を大きさを変えた画像を用いることもできる。
この場合、
図19(a)〜(d)の順、又は、
図19(d)〜(a)の順に、切り替えて表示することにより、「AAAAA」の文字情報が大きくなったり、小さくなったり見える演出を行うことができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、遊技機の右側部に設けられる右側装飾部と、遊技機の左側部に設けられる左側装飾部と、右側装飾部と左側装飾部の上方であって、右側装飾部と左側装飾部の間に亘って設けられる上装飾部と、を備え、幕やカーテンの形状を模した右側装飾部、左側装飾部、及び上装飾部により囲まれた領域を、遊技の結果を表示することが可能な遊技結果表示領域として備えている。
これにより、表示窓6に表示される表示結果をステージに見立てた状態で遊技を行わせ、遊技者を表示窓6に注目させることで、興趣を高めることができる。
【0045】
一方、従来の遊技機は、特許文献1に開示されているように、凹凸形状(階段状又は波形状)のランプカバーを備えるものの、ランプカバーなどの装飾部材によって囲まれた領域を遊技結果表示領域として備えたものではなく、遊技者の遊技意欲を高めきれるものはなかった。
以上のように、本実施形態のスロットマシン1によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0046】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る遊技機の好ましい実施形態について、
図20〜
図29を参照して説明する。
なお、第1実施形態と共通の構成はあるものの、第1実施形態とは別の独立した符号を付して説明する。例えば、「表示窓6」のように、第1実施形態と同じ符号のものもあるが、「スピーカ9」、「操作部S」、「装飾パネルP」のように、第1実施形態における符号が本実施形態では異なる構成を示すものがある(第1実施形態では、「ランプ(LED)9」、「特定領域S」、「凸部P」としている)。
【0047】
スロットマシン1は、本発明に係る遊技機の一実施形態であり、通常のスロットマシンと同様、前面に開口部を有する筐体1bと、開口部を開閉可能に覆う前扉1aとを備えている。
前扉1aは、リール41a〜41cそれぞれに表された連続する3つの図柄(識別情報)を機外から識別可能に構成されるとともに、遊技者により操作される複数の操作手段を備え、筐体1bは、リール41a〜41cを回転駆動させるドラムユニット4、メダルの払い出しを行うメダル払出装置7などの複数の装置、コンピュータとして動作する主制御部10、副制御部20などを備えている。
【0048】
このようなスロットマシン1は、主制御部10が特典付与手段などとして動作することにより、以下のようなスロットマシン遊技を実行可能に構成されている。
【0049】
ゲームの開始にあたり、メダル(クレジットメダルも含む)を用いて掛け数の設定を行う。
掛け数の設定は、メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法と、ベットボタン2aを押下操作して設定する方法とがある。
【0050】
メダル投入口2からメダルを投入して掛け数を設定する方法では、投入されたメダルが前扉1a裏面に設けられたメダルセレクタ2b(メダル検知手段)によって検知されることにより、投入分のメダル枚数に対応する掛け数(ただし、メダル3枚に対応する掛け数「3」が上限)が設定されることになる。
なお、掛け数の上限は、「1」、「2」、又は「4」以上でもよい。
【0051】
ベットボタン2aは、遊技者の操作を受け付け可能な操作手段の一例であり、これが押下操作されると、内部的にデータとして記憶されたクレジットメダルから、所定数(例えば、3枚)のメダル数が減算され、減算された分が掛け数として設定されることになる。
なお、ベットボタンは、ベットボタン2aのみに限らず、設定される掛け数のそれぞれ異なるベットボタンを複数設けることもできる。また、クレジットメダルは、メダル投入口2からのメダル投入や入賞により加算され、例えば、メダル50枚までクレジット(記憶)することができる。
【0052】
このように、メダル投入口2からの直接投入やベットボタン2aの押下操作により設定された掛け数は、主制御部10に備えるRAMなどの記憶手段に記憶される。
そして、掛け数が所定数(例えば、3枚)になったときに、1回の遊技を実行可能な権利を保有するゲーム開始可能な状態となる。
【0053】
このゲーム開始可能な状態では、スタートレバー3の操作が有効状態となる。この有効状態になっているときに、スタートレバー3が傾動操作されると、ゲームが開始され、複数の図柄の表されたリール41a〜41cが変動(以下、回転ということもある)を開始するとともに、リプレイ役、小役、ボーナス役などの複数の当選役(はずれを含む)の中から今回ゲームの抽選結果をリール41の停止前に事前に決定する内部抽選処理が実行される。
なお、本実施形態では、内部抽選処理は、後述するリール41a〜41cが定常回転に達する前に完了するものであるが、リール41a〜41cが回転を開始する前に完了するようにしてもよい。
【0054】
各リール41a〜41cは、可変表示手段の一例であり、各リール41a〜41cの周面には、識別情報となる複数(通常21個)の図柄として、例えば、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「チェリー」、「7」などがそれぞれ表されており、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。
このような定常回転に達すると、各リール41a〜41cに対応して設けられた停止ボタン5a〜5cが押下操作可能な状態(停止ボタン5操作の有効化)となる。
【0055】
停止ボタン5a〜5cは、遊技者の操作を受け付け可能な操作手段の一例であり、例えば、停止ボタン5a〜5cに内蔵されたLED等の発光手段が点灯することにより押下操作可能な状態となり、このような状態において各停止ボタン5が押下操作されると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果とにより許容される図柄の組合せで停止(導出ともいう)するように、各リール41a〜41cが停止制御される。
【0056】
停止状態では、リール41a〜41cそれぞれに表された上下方向に連続する3つの図柄が表示窓6から機外に臨むように停止(停止表示ということもある)し、このときの停止表示態様に基づいて入賞の有無が判定される。
入賞の判定は、所定の入賞ライン上に停止した図柄の組合せに基づいて判定され、例えば、上・中・下段3つのラインと斜め2つのラインの計5ラインいずれかの入賞ライン上に停止した図柄の組合せに基づいて判定される。
判定される図柄の組合せには、小役に対応する図柄の組合せとして、「左リール41a・中リール41b・右リール41c」の順で、「ベル・ベル・ベル」(ベル役)、「チェリー・ANY・ANY」(チェリー役、ただしANYは任意の図柄)、「スイカ・スイカ・スイカ」(スイカ役)などがある。
また、リプレイ役に対応する図柄の組合せとして、「リプレイ・リプレイ・リプレイ」(通常リプレイ)、「7・7・7」(昇格リプレイ)、「リプレイ・リプレイ・ベル」(転落リプレイ)などがある。
そして、入賞ライン上に停止した図柄の組合せを判定した結果、図柄の組合せが小役などに対応する表示結果であるときに、図柄の組合せに応じた遊技価値が付与される。
【0057】
例えば、ベル役、チェリー役、スイカ役などの小役に対応する図柄の組合せの停止により、入賞が判定され、メダル払出装置7が駆動制御されることにより、メダルの貯留されたホッパー7aからメダル払出口7bを介して所定数のメダルが払い出され、具体的には、「ベル役」に対応する図柄の組合せ(「ベル・ベル・ベル」)の停止により8枚のメダルが払い出され、「チェリー役」に対応する図柄の組合せ(「チェリー・ANY・ANY」)の停止により1枚のメダルが払い出され、「スイカ役」に対応する図柄の組合せ(「スイカ・スイカ・スイカ」)の停止表示により5枚のメダルが払い出される。
なお、メダルの払い出しは、クレジットメダルの上限数を超える分のみが払い出されるように構成することもできるが、図示しない所定の設定ボタンを事前に操作することにより、入賞が発生するごとに、入賞に対応するメダルが払い出されるように構成することもできる。
また、「リプレイ役」に対応する図柄の組合せ(例えば、「リプレイ・リプレイ・リプレイ」など)の停止により、入賞が判定され、次回ゲームにおいてメダルの投入を行うことなく遊技可能な状態となる。
【0058】
このような一連の動作を1回の遊技とするスロットマシン遊技は、
図22に示すように、主制御部10が、ベットボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5などの操作手段やメダルセレクタ2bなどの入力手段からの入力情報に基づいて、リール41a〜41cやこれらを回転駆動させるパルスモータなどを備えるドラムユニット4、メダル払出装置7などの出力手段を制御することにより実現される。
【0059】
さらに、主制御部10は、遊技状態の移行制御を行う。
主制御部10により制御される遊技状態として、例えば、通常遊技状態と特定遊技状態とがある。
通常遊技状態はメダルの増加し難い遊技者に不利な遊技状態となっており、特定遊技状態はメダルが増加し易い遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0060】
本実施形態では、特定遊技状態をARTとしてある。
ARTは、ATとRTの二つの状態が組み合わされた遊技状態である。
ATは、アシスト・タイムの略称であり、各停止ボタン5に対する操作順序や、目押しの目安となる図柄等を報知することにより、内部抽選処理の抽選結果に対応する図柄の組合せの導出をアシストする遊技状態である。
例えば、内部抽選処理において抽選される小役やリプレイ役の中には、対応する図柄の組合せが停止ボタン5a〜5cに対して行う6通りの操作順序それぞれに対応して導出可能な押し順指定の当選役があり、ATでは、これらの小役やリプレイ役に当選したときに、遊技者にとって有利な遊技結果が得られるように、それぞれに対応する押し順を表示器8などの報知手段を介して報知する。
なお、このような押し順の報知に代えて又は加えて、小役やリプレイ役に当選したときに、これらに対応する図柄を表示器8などの出力手段を介して報知することにより、目押しをアシストすることもできる。
【0061】
RTは、リプレイ・タイムの略称であり、内部抽選処理において抽選される通常リプレイの当選確率が、通常遊技状態よりも高い有利な遊技状態である。
ARTは、このようなATとRTとが組み合わされた遊技状態であり、リプレイ役に高確率で当選しつつ、停止ボタン5に対する操作のアシストにより小役入賞が得られることから、手持ちのメダルが増加し易い遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0062】
このようなARTは、始期及び終期を有している。
ARTの始期は、例えば、通常遊技状態において、所定の小役(例えば、チェリー,スイカなどのレア小役)に当選すること、かつ、この当選時に行われるART(AT)抽選処理において当選すること、その後、さらに、RTの開始に係る当選役である昇格リプレイに当選し、これに対応する図柄の組合せ(例えば、「7・7・7」)が導出することなどを始期することができる。この図柄の組合せは、昇格リプレイに対応する各停止ボタン5に対する操作順序や、目押しの目安となる図柄等が報知されることにより導出可能となる。
このように、主制御部10は、特典付与手段として機能することにより、上記のような所定条件が成立したことに基づいて、遊技者にARTという特典を付与する。
また、ARTの終期は、例えば、所定ゲーム数の消化、所定数のメダル獲得、所定小役の所定回数当選などを終期とすることができる。
【0063】
また、RTにおいて、通常リプレイ(「リプレイ・リプレイ・リプレイ」)及び転落リプレイ(「リプレイ・リプレイ・ベル」)に重複当選する重複当選役が設定され、当該重複役の当選時に、例えば、1/6の押し順で通常リプレイが停止表示され、5/6の押し順で転落リプレイが停止表示されるようになっており、通常リプレイが停止表示される場合にはRTを維持するが、転落リプレイが停止表示される場合には、RTを終了させる。
また、同様に、1/6の押し順でベル(8枚役)が停止表示され、5/6で1枚役が停止表示される可能性のあるベル(押し順ベル)が重複当選役として設定され、押し順ベルの取りこぼしで(1枚役の停止で)、非RTに移行する。
これらの重複当選役は、AT中であればその当選時に、押し順が報知され、1/6の押し順を正解することができる。
【0064】
また、通常遊技状態において、通常リプレイ(「リプレイ・リプレイ・リプレイ」)及び昇格リプレイ(「7・7・7」)に重複当選する重複当選役が設定され、例えば、1/6の押し順で昇格リプレイが停止表示され、5/6の押し順で通常リプレイが停止表示されるようになっている。
また、1/6の押し順でベル(8枚役)が停止表示され、5/6で1枚役が停止表示される可能性のあるベル(押し順ベル)が重複当選役として設定されている。通常遊技状態では、押し順の報知は行われないことから、昇格リプレイやベルが停止表示される可能性は低い。
このようなことから、通常遊技状態は、特定遊技状態に比べて、手持ちのメダルが増加し難い遊技者に不利な遊技状態となっている。
【0065】
また、スロットマシン1では、このようなスロットマシン遊技に同期した遊技演出も行われる。例えば、ARTなどへの移行を示す画像演出、ファンファーレ音、及びランプ演出などがそれぞれ、液晶TVなどの表示器8(表示手段)、スピーカ9、及びLED等の発光手段を備えるランプ11などの報知手段を介して出力される。
このような報知手段は、副制御部20により制御される。また、副制御部20は、主制御部10から所定の遊技タイミングごとに受信する制御コマンドに基づいてこれらを制御する。
【0066】
副制御部20は、演出制御手段の一例であり、主制御部10からの指令に従った動作を実行可能に構成される。
例えば、副制御部20は、主制御部10に設けられた出力ポートなどの送信手段から所定の遊技タイミングごとに送信される制御コマンドを、当該副制御部20に備える入力ポートなどの受信手段を介して受信するとともに、受信した制御コマンドを解読し、制御コマンドに応じた演出を行うように表示器8などの報知手段を制御する。
【0067】
スロットマシン1は、このような通常のスロットマシンと同様の構成に加えて、以下に示す特徴を有している。
【0068】
具体的には、前述のART抽選処理が実行された場合、その当否の結果を、報知手段により報知する。
このとき、当否結果の報知に先立ち、遊技者が操作可能な操作手段への操作を促す画像として操作手段の表示を含む操作画像を表示器8に表示する。この表示に従って遊技者がその操作手段を操作したときに、当否の結果が報知される。
【0069】
スロットマシン1は、このような操作画像の表示を行うときに、その表示態様において特徴を備えている。
具体的には、表示態様と当否結果とが相関関係を有しており、例えば、遊技者に操作を促す操作手段を表示器8に表示する表示態様において、その操作手段の表示を含むスロットマシン1の表示範囲が広いほど、当選の期待度が高いように設定されている。
【0070】
ここで、当否結果の報知に先立って遊技者が操作可能な操作手段について説明する。
操作手段としては、前述のベットボタン2aに加え、表示器ボタン12、レバー13、演出用ボタン14を備えている。
各操作手段はそれぞれ、
図20に示すように、遊技者が操作可能なようにスロットマシン1の前扉1aに配置されている。
例えば、表示器ボタン12は、スロットマシン1の上部であって、表示器8の前面に配置され、レバー14は、表示窓6の右側に配置され、ベットボタン2aは、メダル投入口2、スタートレバー3、及び停止ボタン5などのスロットマシン遊技の進行に係る操作手段を有する操作部Sに配置され、演出用ボタン14は、スロットマシン1の下部であって、装飾パネルPの一角(右下)に配置されている。
各操作手段にはセンサなどの検知手段が設けられ、各操作手段はそれぞれがこの検知手段を介して副制御部20に接続されている(
図22参照)。
また、各操作手段は、
図23〜26に示すように、遊技者の操作を検知可能に構成されている。
【0071】
具体的には、表示器ボタン12は、
図23に示すように、表示器8の前面を覆う透明な板状部材で形成され、スロットマシン前面側からの押し込み操作を受け付け可能に構成されている。
表示器ボタン12は、副制御部20によって押し込み操作可能な状態と押し込み操作不能な状態とに制御される。例えば、副制御部20に接続されるソレノイド121を備え、
図23(a)に示すように、ソレノイド121が「オフ」のときに、押し込み操作不能な状態となり、
図23(b)に示すように、ソレノイド121が「オン」のときに、押し込み操作可能な状態となる。
押し込み操作可能な状態のときに、スロットマシン前面側から表示器ボタン12を押し込むように操作することで、
図23(a)に示す状態から
図23(b)に示す状態に変位し、その変位が検知手段により検知されるとともに、その検知信号が副制御部20に伝送されることにより、遊技者の操作が検知される。また、無負荷状態では、
図23(a)に示す状態に復元する。
表示器ボタン12は、表示器8の前面を覆う板面全体で遊技者の押し込み操作を受け付け可能に構成され、例えば、片手のみならず、両手での押し込み操作を受け付けることもでき、その受け付け面積(操作領域)は、操作手段2a,12〜14の中で最も広い。
また、押し込み操作に係る操作量A(変位量)は、例えば、15mmであり、操作手段2a,12〜14の操作量の中で最も大きい。
なお、表示器ボタン12は、押し込み操作不能な状態となることなく、ソレノイド121を取り除くなどして、常時、押し込み操作可能な状態となるように構成することもできる。
【0072】
レバー13は、
図24に示すように、棒状のレバー部材で形成され、遊技者の傾動操作を受け付け可能に構成されている。
レバー13は、常時傾動操作可能に構成され、
図24(a)に示す状態において、レバー13を下方に押し下げる傾動操作を行うと、
図24(b)に示す状態に変位し、その変位が検知手段により検知されるとともに、その検知信号が副制御部20に伝送されることにより、遊技者の操作が検知される。また、無負荷状態では、
図24(a)に示す状態に復元する。
レバー13は、遊技者が取手を片手で握って操作するように構成され、その操作の受け付け面積(操作領域)は、操作手段2a,12〜14の中で、表示器ボタン12の次に広い。
また、傾動操作に係る操作量B(変位量)は、例えば、10mmであり、操作手段2a,12〜14の操作量の中で、表示器ボタン12の次に大きい。
【0073】
ベットボタン2a(いわゆるMAXベットボタン)は、
図25に示すように、ボタン部材で形成され、遊技者の押下操作を受け付け可能に構成されている。
ベットボタン2aは、常時押下操作可能に構成され、
図25(a)に示す状態において、ベットボタン2aを押圧する押下操作を行うと、
図25(b)に示す状態に変位し、その変位が検知手段により検知されるとともに、その検知信号が副制御部20に伝送されることにより、遊技者の操作が検知される。また、無負荷状態では、
図25(a)に示す状態に復元する。
ベットボタン2aは、遊技者が指で操作するように構成され、その操作の受け付け面積(操作領域)は、操作手段2a,12〜14の中で、レバー13の次に広い。
また、押下操作に係る操作量C(変位量)は、例えば、8mmであり、操作手段2a,12〜14の操作量の中で、レバー13の次に大きい。
【0074】
演出用ボタン14は、
図26に示すように、ボタン部材で形成され、遊技者の押下操作を受け付け可能に構成されている。
演出用ボタン14は、副制御部20により押下操作可能な状態と押下操作不能な状態に制御される。例えば、副制御部20に接続されるモータを備え(不図示)、モータ非作動時では、
図26(a)に示すように、可動台座141が装飾パネルP内に収容され、押下操作不能な状態となり、モータ作動時では、
図26(b)に示すように、可動台座141が装飾パネルPから突出し、押下操作可能な状態となる。
押下操作可能な状態のときに、演出用ボタン14を押圧する押下操作を行うと、
図26(c)に示す状態から
図26(d)に示す状態に変位し、その変位が検知手段により検知されるとともに、その検知信号が副制御部20に伝送されることにより、遊技者の操作が検知される。また、無負荷状態では、
図26(c)に示す状態に復元する。
演出用ボタン14は、遊技者が指で操作するように構成され、その操作の受け付け面積(操作領域)は、操作手段2a,12〜14の中で最も狭い。
また、押下操作に係る操作量D(変位量)は、例えば、5mmであり、操作手段2a,12〜14の操作量の中で最も小さい。
【0075】
ここで、操作手段2a,12〜14の操作面積及び操作量についてまとめると、操作面積に関しては、表示器ボタン12が最も広く、表示器ボタン12>レバー13>ベットボタン2a>演出用ボタン14の関係を有しており、操作量(変位量)に関しては、表示器ボタン12が最も大きく、表示器ボタン12>レバー13>ベットボタン2a>演出用ボタン14の関係を有している。また、操作量(変位量)が大きいほど、初期位置(復元位置)から操作完了位置(操作検知位置)までの変位に要する時間も長くなる傾向がある。
なお、各操作手段に規定された操作量の操作を行うことにより(操作可動範囲一杯に操作することにより)、各検知手段が対応する操作手段の操作を検知するようにしているが、規定された操作量の操作を行わなくても(操作途中でも)、各検知手段が対応する操作手段の操作を検知するようにしてもよい。なお、規定された操作量の操作を行わずに(操作途中に)各検知手段が対応する操作手段の操作を検知する場合でも、初期位置から操作が検知されるまでの操作量は、12>13>2a>14の順であることが好ましいがこの限りではない。
【0076】
以上説明したような操作手段2a,12〜14が、操作手段への操作を促す操作画像の中で表示される。
ここで、操作画像について説明する。
図27は、表示手段の一例である表示器8において、当否結果の報知に先立って表示される画像であって、各操作手段2a,12〜14への操作を促す操作画像の一例である。
【0077】
例えば、
図27(a)は、表示器ボタン12への操作を促す操作画像であり、この画像には、表示器ボタン12を含むスロットマシン1全体を表す部位表示81aと、「表示器を押せ」のメッセージ表示82と、スロットマシン1における表示器ボタン12の位置を示すマーク表示83(例えば、矢印)と、が表示される。
また、
図27(b)は、レバー13への操作を促す操作画像であり、この画像には、レバー13を含むスロットマシン1の一部であって表示窓6の周辺、操作部S及び装飾パネルPを表す部位表示81bと、「レバーを引け」のメッセージ表示82と、スロットマシン1におけるレバー13の位置を示すマーク表示83(例えば、矢印)と、が表示される。
また、
図27(c)は、ベットボタン2aへの操作を促す操作画像であり、この画像には、ベットボタン2aを含むスロットマシン1の一部であって操作部Sを表す部位表示81cと、「ベットボタンを押せ」のメッセージ表示82と、スロットマシン1におけるベットボタン2aの位置を示すマーク表示83(例えば、矢印)と、が表示される。
また、
図27(d)は、演出用ボタン14への操作を促す操作画像であり、この画像には、演出用ボタン14を含むスロットマシン1の一部であって可動台座141を上方から見た画像を表す部位表示81dと、「演出用ボタンを押せ」のメッセージ82表示とが表示され、スロットマシン1における演出用ボタン14の位置を示すマークは表示されない。
このように、本実施形態では、複数の操作手段2a,12〜14それぞれへの操作を促す操作画像が当否結果の報知に先立って表示されることから、操作画像についての興趣を高めることができる。
なお、このような操作画像は、一回のスロットマシン遊技が終了する前、すなわち、スタートレバー3が操作されリール41が回転を開始してから、すべてのリール41が停止するまでのいずれかの期間に表示されるが、スタートレバー3の操作直後であって内部抽選処理の実行後に表示されることが好ましい。
また、部位表示81a〜81dに用いる画像は、遊技機を実写した写真(例えば、部位表示81aは筐体の写真)でもよいし、イラスト(例えば、部位表示81aは筐体のイラスト)、CG(例えば、部位表示81aは筐体のCG)等でもよい。
【0078】
また、各操作手段2a,12〜14への操作を促す操作画像は、その表示態様において以下のような違いがある。
具体的には、部位表示81において、スロットマシン1の全体(正面全体)を表示するか又はその一部を表示するか、また、その一部を表示する場合にはその範囲が広いか狭いかというように、部位表示81に表示されるスロットマシン1の表示範囲に違いを有している。
例えば、
図27(a)に示す表示器ボタン12を含む操作画像では、部位表示81aにおいてスロットマシン1全体が表されていることから、
図27(b)に示すレバー13を含む操作画像の部位表示81bよりも、部位表示81に表示されるスロットマシン1の範囲が広く、つまり、部位表示81に表示されるスロットマシン1の部位が多い。
同様な傾向は、
図27(c)以降にも云えることであり、操作画像において、
図27(a)に示す部位表示81aが最も広く(多く)、81a>81b>81c>81d(=
図27(a)>
図27(b)>
図27(c)>
図27(d))の関係を有している。
【0079】
そして、このような部位表示81の広狭(多少)と、当否結果とに相関を持たせることが好ましい。
例えば、部位表示81において表示されるスロットマシン1の表示範囲が広いほど、つまり、表示されるスロットマシン1の部位が多くなるほど、当選の期待度が高くなるように設定することが好ましい。
【0080】
このような設定は、操作画像抽選テーブルにおける数値設定により実現される。
図28は、操作画像抽選処理の実行時に参照される操作画像抽選テーブルを示す図表である。
操作画像抽選処理とは、ART抽選処理の抽選結果に基づいて実行される処理であり、表示器8に表示される操作画像を抽選により決定する処理である。
この操作画像抽選処理では、ART抽選処理の抽選結果が当選のときには(当選時)、
図28(a)に示す操作画像抽選テーブルを参照して抽選が行われ、ART抽選処理の抽選結果が非当選のときには(ハズレ時)、
図28(b)に示す操作画像抽選テーブルを参照して抽選が行われる。
【0081】
各操作画像抽選テーブルにおいて抽選対象として設定される操作画像には、
図27の各図に示した「表示器ボタン」(a)、「レバー」(b)、「ベットボタン」(c)、「演出用ボタン」(d)に加え、「全操作」がある。
「全操作」とは、例えば、
図27の(d)〜(a)の順に、操作画像を順次切り替えて表示するという画像であり、この切り替え表示に従って各操作手段2a,12〜14すべてを操作するように促す操作画像である。なお、操作手段2a,12〜14のうち一部であって複数の操作手段を一斉に(ほぼ同時に)操作する操作画像があってもよい。
また、「全操作」を、
図27の(a)〜(d)の順に、操作画像を順次切り替えて表示する操作画像としてもよい。
【0082】
また、各操作画像の出現率は、各操作画像抽選テーブルにおいてそれぞれ設定されている。例えば、「全操作」は、当選時に参照される操作画像抽選テーブルでは、5/100の割合で出現するように設定され、ハズレ時に参照される操作画像抽選テーブルでは、0/100の割合で出現、つまり、出現しないように設定されている。
また、例えば、「演出用ボタン」は、当選時に参照される操作画像抽選テーブルでは、5/100の割合で出現するように設定され、ハズレ時に参照される操作画像抽選テーブルでは、40/100の割合で出現するように設定されている。
このように、各操作画像の出現率は当選時とハズレ時とで分けて設定されている。
なお、表中における出現率は、一例であり、適宜変更可能である。
【0083】
このような各操作画像の出現率の設定に基づいて、各操作画像が表示器8に表示されたときのART当選の期待度が算出される。
各操作画像が表示器8に表示されたときの当選期待度は、当選時とハズレ時のトータルの出現率に占める当選時の出現率の割合として算出され、具体的には、当選期待度=当選時出現率÷(当選時出現率+ハズレ時出現率)により算出される。
このように算出された各操作画像が表示されたときの当選期待度を
図28(c)に示す。
例えば、「全操作」が操作画像として表示器8に表示されたときには、当選期待度が100%となり、これが表示された時点で、ART当選が確定する。
また、「表示器ボタン」が操作画像として表示器8に表示されたときには、当選期待度が83%となり、これが表示された時点で、ART当選の確率がかなり高いことが示唆される。
また、「レバー」が操作画像として表示器8に表示されたときには、当選期待度が50%となり、これが表示された時点では、ART当選と非当選の確率が半々であることが示唆される。
また、「ベットボタン」が操作画像として表示器8に表示されたときには、当選期待度が33%となり、これが表示された時点では、ART当選の確率が約1/3であることが示唆される。
また、「演出用ボタン」が操作画像として表示器8に表示されたときには、当選期待度が11%となり、これが表示された時点では、ART当選の確率が低いことが示唆される。
このように、本実施形態では、操作画像の部位表示81において表示されるスロットマシン1の表示範囲が広いほど、つまり、表示されるスロットマシン1の部位が多くなるほど、ART当選の期待度が高くなるように設定されている。
【0084】
さらに、本実施形態では、操作面積に関して、表示器ボタン12が最も広く、表示器ボタン12>レバー13>ベットボタン2a>演出用ボタン14の関係を有していることから、操作面積が広いほど、当選の期待度が高くなるように設定されていることになる。
また、操作量に関して、表示器ボタン12が最も大きく、表示器ボタン12>レバー13>ベットボタン2a>演出用ボタン14の関係を有していることから、操作量が大きいほど、当選の期待度が高くなるように設定されていることになる。
また、操作完了(操作検知)までに要する時間に関して、「全操作」が最も長く、「全操作」>表示器ボタン12>レバー13>ベットボタン2a>演出用ボタン14の関係を有していることから、操作完了までに要する時間が長いほど、当選の期待度が高くなるように設定されていることになる。
さらに、操作画像に表示される操作手段のスロットマシンにおける位置に関して、操作手段がスロットマシンの上部に位置するほど、当選の期待度が高くなるように設定されていることになる。
【0085】
このように、本実施形態では、部位表示81において表示されるスロットマシン1の表示範囲が広いほど、操作面積が広いほど、操作量が大きいほど、操作完了までに要する時間が長いほど、操作手段がスロットマシンの上部に位置するほど、ART当選の期待度が高く設定されるというように、表示範囲、操作面積、操作量、操作完了までに要する時間、及びスロットマシンにおける位置などの物理量と、当選期待度とに相関関係を有している。
このような相関関係を持たせることにより、当否結果の報知に先立ち、操作画像において表示される操作手段やスロットマシンの表示範囲を遊技者が注視することになり、興趣を高めることができる。
【0086】
なお、本実施形態では、好ましい実施形態として、表示範囲が広いほど、操作面積が広いほど、操作量が大きいほど、操作完了までに要する時間が長いほど、操作手段がスロットマシンの上部に位置するほど、当選の期待度が高くなるという正の相関関係を有するように設定したが、一部の物理量に違いがあっても、当選の期待度を同じとしてもよく(例えば、「全操作」と「表示器ボタン」の期待度が同じなど)、また、表示範囲が狭いほど、操作面積が狭いほど、操作量が小さいほど、操作完了までに要する時間が短いほど、操作手段がスロットマシンの下部に位置するほど、当選の期待度が高く設定されるという負の相関関係を有するように設定することもできる。
また、操作画像抽選テーブルにおける各操作画像の出現率を均等にするなどして、このような物理量と当選期待度とに相関関係を持たせないようにすることもできる。
【0087】
また、操作画像を表示するときの演出は、特定の演出タイミングにおいて実行される上述の操作画像抽選処理により決定されることが好ましい。
ただし、演出自体が異なることにより選択される操作手段も異なってもよく、つまり、演出によって選択され得る操作画像が異なってもよい。
例えば、演出Aでは表示器ボタン12の操作画像や、レバー13の操作画像等、複数の操作手段の操作画像がそれぞれ選択されるような場合があり、演出Bでは表示器ボタン12の操作画像のみが固定的に選択され、演出Cではレバー13の操作画像のみが固定的に選択される場合がある等、操作画像を表示する演出として、複数の操作手段(操作画像)が選択される演出が存在する場合と、各操作手段(操作画像)に対応する固有の演出が存在する場合があってもよく、また、これらの演出が混在してもよい。
【0088】
また、このようなスロットマシンの表示範囲、操作面積、操作量、操作時間、及び位置などの物理量に着目することなく、操作画像におけるマーク表示83の有無に着目して、マーク表示83の有無と、当選の期待度とに相関関係を持たせることもできる。
つまり、操作画像において、スロットマシン1における各操作手段2a,12〜14の位置を示すマーク表示83が表示されている場合と非表示の場合とで、当選の期待度に違いを持たせることもできる。
【0089】
例えば、操作画像において、
図27(a)〜(c)に示すように、マーク表示83が表示されているときには、
図27(d)に示すように、マーク表示83が表示されていないときよりも、当選の期待度を高く設定することもできる。
本実施形態では、上記の物理量を度外視した場合においても、
図28(c)に示すように、マーク表示83を有する「表示器ボタン」、「レバー」、及び「ベットボタン」の操作画像が表示される方が、マーク表示83を有さない「演出用ボタン」の操作画像が表示されるよりも、当選の期待度が高く設定されている。
このように、操作画像におけるマーク表示83の有無に応じて当選の期待度に違いを持たせることにより、遊技者の目を操作画像に注視させることができ、興趣を高めることができる。
【0090】
なお、本実施形態では、好ましい実施形態として、マーク表示83が表示されているときの方が、マーク表示83が表示されていないときよりも、当選の期待度を高くなるという正の相関関係を有するように設定したが、マーク表示83が表示されていないときの方が、マーク表示83が表示されているときよりも、当選の期待度を高くなるという負の相関関係を有するように設定することもできる。
【0091】
また、
図28に示す各操作画像抽選テーブルにおいて、各操作画像にマーク表示83の有無を項目(抽選対象)として追加するとともに、それぞれの項目に出現率を設定することもできる。これにより、同じ操作手段を含む操作画像であってもマーク表示83の有無に応じて当選の期待度を異ならせることもできる。このとき、操作画像がそれぞれ異なるものの、マーク表示83が共に表示される二つの操作画像がある場合には、スロットマシンの表示範囲が広いほど、操作面積が広いほど、操作量が大きいほど、操作完了までに要する時間が長いほど、操作手段がスロットマシンの上部に位置するほど、当選の期待度を高く設定することが好ましい。
【0092】
以上のような操作画像が表示器8に表示されたときに、遊技者が操作画像に表示された操作手段を操作することにより、ART抽選処理における当否の結果として表示器8に特別画像が表示されることになる。
ART抽選処理に当選したときには、特別画像として、例えば、「ART確定」などのメッセージが表示器8に表示される。また、このとき、当選を祝福するファンファーレ音をスピーカ9から出力することが好ましい。
また、ART抽選処理に非当選、すなわち、「ハズレ」のときには、特別画像として、例えば、「残念」などのメッセージが表示器8に表示される。
なお、本実施形態では、操作画像が表示された場合、遊技者が操作画像に表示された操作手段を所定時間(例えば、5秒)以内に操作しなかったときには、上記のような特別画像を表示しないこととする。これにより、ART抽選処理における当否の結果は、次回以降のゲームにおいて知得可能であるものの、いち早く知得したいという遊技者の要求に答えるとともに、積極的に遊技に参加させることで、遊技者を退屈させずに遊技に集中させることができる。
また、上記に限らず、遊技者が操作画像に表示された操作手段を所定時間(例えば、5秒)以内に操作しなかったときでも、所定時間経過後に特別画像を表示させてもよい。
【0093】
また、「全操作」では、
図27の(d)〜(a)の順又は(a)〜(d)の順に、操作画像を順次切り替えて表示するが、この切り替え表示は、各操作画像に表示された操作手段が遊技者の操作を受け付けたことを条件に、順次切り替わることが好ましく、各操作画像に表示された操作手段がすべて操作されて初めて、特別画像が表示されることが好ましい。この場合、遊技者が操作画像に表示された操作手段を所定時間(例えば、5秒)以内に操作しなかったときには、次の操作手段に係る操作画像が表示されず、最終的に特別画像も表示されないことになるが、特別画像の表示は行ってもよい。
なお、操作画像に対応しない操作手段への操作で操作画像が順次切り替わるようにしてもよい。
また、「全操作」では、操作画像の切り替えタイミングを上記のように操作手段が遊技者の操作を受け付けたときとすることなく、所定時間ごとに順次切り替え表示を行ってもよい。この場合、「全操作」に係る一連の操作画像が表示されている間であれば、現に表示中の操作画像に対応する操作手段に限らず、どの操作手段を操作しても、特別画像が表示されるようにすることが好ましい。
【0094】
以上説明したような操作画像の表示は、以下に示す操作画像表示処理の実行により実現される。この処理は、主制御部10や副制御部20に備えるROMなどの記憶手段にプログラムとして記憶されており、主制御部10や副制御部20に備えるCPUがそれぞれ又は協働してこれを実行することにより、表示器8に操作画像が表示されることになる。
図29は、このプログラムの流れを示すフローチャートである。
【0095】
この処理では、まず、ART抽選条件が成立したか否かの判定を行う(S1)。例えば、通常遊技状態において、所定の小役(例えば、チェリー,スイカなどのレア小役)に当選したことなどをART抽選条件とすることができる。
次いで、ART抽選条件が成立した場合には(S1−Yes)、ART抽選処理を実行する(S2)。この抽選処理では、当選した小役に応じて当否の重みづけがされており、例えば、当選頻度の低い小役に当選したときほど、ART当選率が高くなるように設定されている。
次いで、このART抽選処理の当否結果に基づいて、表示器8に表示される操作画像を抽選により決定する操作画像抽選処理を実行する(S3)。
この操作画像抽選処理では、ART抽選処理において当選したときには、
図28(a)に示す操作画像抽選テーブルを参照して抽選を行い、ART抽選処理において非当選、すなわち「ハズレ」が決定されたときには、
図28(b)に示す操作画像抽選テーブルを参照して抽選を行い、当否の結果と操作画像抽選テーブルにおいて設定された出現率とに基づいて、「全操作」、「表示器ボタン」、「レバー」、「ベットボタン」、及び「演出用ボタン」の操作画像(
図27参照)の中からいずれかの操作画像を決定する。
続いて、操作画像抽選処理において決定された操作画像を表示器8において表示する(S4)。
そして、操作画像に表示された操作手段2a,12〜14が所定時間内に操作されたか否かの判定を行い(S5)、操作されたときには(S5−Yes)、ART抽選処理の抽選結果として特別画像を表示する(S6)。例えば、抽選結果に係る特別画像として、ART抽選処理に当選したときには、「ART確定」などのメッセージを表示器8に表示するとともに、当選を祝福するファンファーレ音をスピーカ9から出力する。一方、ART抽選処理において「ハズレ」が決定されたときには、「残念」などのメッセージを表示器8に表示する。
なお、本実施形態では、所定時間内に操作されなかったときには(S5−No)、抽選結果を表示しないこととしたが、抽選結果を表示してもよい。
また、操作画像抽選処理において、「全操作」、「表示器ボタン」、「レバー」、「ベットボタン」、及び「演出用ボタン」を抽選対象としたが、「操作画像の非表示」を抽選対象に含め、これに当選したときには、他の画像を表示してもよい。
なお、本実施形態では、小役に当選したゲームにおいて、上記操作画像表示処理を行うことで、操作画像を表示するようにしているが、S3以降の処理を次ゲーム以降に行うことで、操作画像を表示するようにしてもよい。
【0096】
以上説明したように、本発明の第2実施形態のスロットマシン1によれば、所定のタイミングにおいて複数の操作手段それぞれに対応する操作画像を表示するので、操作画像のバリエーションを増加させることができ、飽きの来ない遊技性を提供することができる。また、スロットマシンの表示範囲や、操作面積、操作量などの物理量と、ARTなどの特定遊技状態への移行をかけた抽選処理における当否とが相関関係を有することにより、遊技者に対して期待度の高低を容易に認識させることができるとともに、遊技者を操作画像に注目させることができ、興趣を高めることができる。
また、スロットマシン1における各操作手段2a,12〜14の位置を示すマーク表示83の有無と、ARTなどの特定遊技状態への移行をかけた抽選処理における当否とが相関関係を有することにより、遊技者に対して期待度の高低を容易に認識させることができるとともに、遊技者を操作画像に注目させることができ、興趣を高めることができる。
【0097】
一方、従来の遊技機は、操作手段への操作を促す操作画像の表示を行うものはあるものの、操作画像の表示態様によって特定遊技状態に移行する期待度が異ならせたものはなく、興趣に欠けていた。
以上のように、本発明の第2実施形態のスロットマシン1によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0098】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0099】
例えば、第1実施形態において、透明なランプカバー内に、実際の布でできた幕やカーテンを封入することによって、よりリアルなステージとして見せることができる。
また、表示ユニット100は、液晶表示装置ではなく、例えば、識別情報や図形情報を施した一又は複数の導光板を備えた表示装置を用いることもできる。
例えば、このような表示装置において、光源であるLEDの点灯制御を行い、これにより対応する画像を切り換えて表示することによって、同様の表示演出を行うことができる。
【0100】
また、第2実施形態において、操作手段については、以下のような構成を変形実施例とすることができる。
具体的には、本実施形態では、4つの操作手段2a,12〜14を設けたが、3つ以下設けても、5つ以上設けてもよい。
また、4つの操作手段2a,12〜14それぞれを異なる形状・大きさとしたが、同じ形状・大きさの操作手段を複数備えるようにしてもよい。
また、操作手段として、装飾パネルPを表示器ボタン12と同様に、押圧するタイプのものを採用してもよい。
また、操作手段として、タッチセンサ(タッチするもの)を採用してもよい。
また、操作手段として、ジョグダイアル等の回転操作するものを採用してもよい。
また、操作手段として、押圧に限らず、引き出すもの(レバーなど)を採用してもよい。
また、本実施形態では、操作画像に表示される操作手段がスロットマシン1の上部に位置するほど当選の期待度が高くなるように設定したが、下部に位置するほど期待度が高くなるようにしてもよいし、このような位置関係を考慮せずに、設定してもよい。
また、全操作手段の間で当選の期待度が異なるようにしたが、一部又は全部で同じ期待度としてもよい。
また、操作画像において、スロットマシン1(筐体)の大部分を表示すれば当選の期待度が高くなるようにしたが、大部分を表示するほど期待度が低くなるようにしてもよい。
また、スロットマシン1(筐体)の大部分を表示するか否かを、当選の期待度に反映させなくてもよい。
また、演出用ボタン14については、その位置が分かりづらいので、操作画像として、
図27(e)に示すように、スロットマシン1全体を表示した上で(部位表示81a)、その表示のどこに存在するのかをマーク表示83により示すとともに、押下操作を促すこともできる。
なお、1つの操作手段について、例えば、演出用ボタン14について、
図27(d)に示す操作画像と、
図27(e)に示す操作画像のように、スロットマシン1の一部のみを表示する場合と、スロットマシン1全体を表示する場合とを実行可能とし、スロットマシン1全体を表示する場合の方が、その一部を表示する場合よりも期待度が高い、又は、低いようにしてもよい。
【0101】
また、操作画像については、以下のような構成を変形実施例とすることができる。
具体的には、操作画像として、各操作手段それぞれへの操作を促す操作画像と、全ての操作手段への操作を促す「全操作」があるが、2以上の操作手段への操作を促す操作画像の表示を行うようにしてもよい。
また、2以上の操作手段への操作を促す操作画像を行う場合、促された操作手段の数が多ければ多いほど、期待度を高くしたり、低くしたりすることができる。
また、実際に操作させたい操作手段を示す操作画像とは異なるダミーの操作画像の表示を行ってから、実際(真)の操作画像の表示を行うようにしてもよい(例えば、
図27(d)の操作画像から
図27(b)の操作画像への切り替え表示など)。このとき、ダミーで表示する操作画像が実際(真)の操作画像に変化しても違和感のないように操作画像の内容や操作手段のデザインに関連性を持たせておくことが望ましい(例えば、
図27(b)の操作画像は
図27(d)の操作画像を含むように構成され、演出用ボタン14のデザインがレバー13の一部にも使用されているなど)。
また、表示器8上で、操作画像が表示される位置によって期待度が異なるようにしてもよい。
また、操作画像を表示した際に、表示器8上に表示されている操作手段を発光させる表示を行い、さらに現物の操作手段に設けた発光手段(例えば、LED)も同期して発光させる(例えば、点滅間隔や色等を揃える)ようにしてもよい。
また、表示器8上においてカメラのズームイン、ズームアウトのように対象となる操作手段を注視させる演出を行ってもよい。
【0102】
また、以上の他に、以下のような構成を変形実施例とすることができる。
具体的には、一の操作手段への操作完了から所定時間内に他の操作手段を操作させる切り替え画像演出を行ってもよい。特に、当該演出を物理的に距離が遠い操作手段間で行う場合には期待度が高くなるようにしてもよい。
また、各操作手段の使用有無、頻度等を遊技者又はホール係員が設定できるようにしてもよい。
また、通常は各操作画像の表示に際して出力される音声が異なるように設定しておき、特定の場合にだけ一の操作画像に対応する音声を他の操作画像に対応する音声として出力してもよい。
また、通常は操作画像に応じて各操作手段を操作したときに出力される音声が異なるように設定しておき(例えば、操作手段ごとに固有の音声を出力するなど)、特定の場合にだけ一の操作手段への操作に対応する音声を他の操作手段への操作に対応する音声として出力してもよい。
また、特別画像をART抽選処理の抽選結果の表示としたが、ボーナス抽選結果の表示、ART上乗せゲーム数の抽選結果の表示など、遊技者に有利な特典の付与に係る他の表示とすることができる。
つまり、操作画像が表示されるタイミングは、ART抽選処理の抽選に係るタイミングに限らず、遊技者に有利な特典の付与に先立つタイミングであればよい。
【0103】
また、本発明をスロットマシンに適用したがパチンコ(例えば、玉スロ)などその他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。
【0104】
また、可変表示手段としてモータにより駆動制御されるリールを用いたが、これに代えて又はこれに加えて、液晶表示器などの表示器にリール等の図柄が変動する画像を表示させることにより、表示器を識別情報の可変表示手段として用いることもできる。