(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記延伸部分と前記非延伸部分が、径の異なる凹部分と凸部分とを有する2本の凹凸ロールを互いの凹部と凸部によって噛み合わせたロール延伸によって形成される、請求項1から6までのいずれかに記載の伸縮性積層体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、軽量化と伸長強度を両立し、安定した生産が可能な、伸縮性積層体を提供することにある。また、そのような伸縮性積層体を含む物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の伸縮性積層体は、
エラストマー層の少なくとも一方の側にオレフィン系樹脂層を有する、長尺状の伸縮性積層体であって、
長尺方向をMD方向、長尺方向と直交する方向をCD方向とするとき、
該伸縮性積層体の〔MD方向10%伸長強度(N/30mm)〕/〔坪量(gsm)〕が0.14(N/30mm・gsm)以上である。
【0008】
一つの実施形態においては、上記〔MD方向10%伸長強度(N/30mm)〕/〔坪量(gsm)〕が0.15(N/30mm・gsm)以上である。
【0009】
一つの実施形態においては、上記伸縮性積層体を100%伸長した状態でガラス板の上に貼付け固定し、該伸縮性積層体表面にベビーオイル(ピジョン製、ベビーオイル、主成分:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)を0.5mL滴下してから60分後において、該伸縮性積層体に穴が形成しない。
【0010】
一つの実施形態においては、上記オレフィン系樹脂層が非エラストマー性オレフィン系樹脂を含む。
【0011】
一つの実施形態においては、上記非エラストマー性オレフィン系樹脂がα−オレフィンのホモポリマーを含む。
【0012】
一つの実施形態においては、上記α−オレフィンのホモポリマーが、ポリエチレン、ホモポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種である。
【0013】
一つの実施形態においては、上記ポリエチレンが高密度ポリエチレンである。
【0014】
一つの実施形態においては、上記エラストマー層がオレフィン系エラストマーを含む。
【0015】
一つの実施形態においては、上記オレフィン系エラストマーがα−オレフィン系エラストマーである。
【0016】
一つの実施形態においては、上記α−オレフィン系エラストマーが、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種である。
【0017】
一つの実施形態においては、本発明の伸縮性積層体は、上記CD方向に沿って延伸部分と非延伸部分とが存在する。
【0018】
一つの実施形態においては、上記CD方向に沿って延伸部分と非延伸部分とが交互に存在する。
【0019】
一つの実施形態においては、上記延伸部分と上記非延伸部分の面積比率(延伸部分:非延伸部分)が、1:0.5〜1:3である。
【0020】
一つの実施形態においては、上記面積比率(延伸部分:非延伸部分)が、1:0.5〜1:1.2である。
【0021】
一つの実施形態においては、本発明の伸縮性積層体は、事前延伸されている。
【0022】
一つの実施形態においては、上記事前延伸が部分延伸である。
【0023】
一つの実施形態においては、上記部分延伸の延伸倍率が50%以上1000%未満である。
【0024】
一つの実施形態においては、上記延伸倍率が100%以上900%未満である。
【0025】
一つの実施形態においては、上記延伸部分と上記非延伸部分が、径の異なる凹部分と凸部分とを有する2本の凹凸ロールを互いの凹部と凸部によって噛み合わせたロール延伸によって形成される。
【0026】
一つの実施形態においては、上記凹部分のピッチ幅が上記凸部分のピッチ幅よりも大きい。
【0027】
一つの実施形態においては、上記凹部分のピッチ幅が0.5mm〜5mmであり、上記凸部分のピッチ幅が0.1mm〜3mmである。
【0028】
一つの実施形態においては、本発明の伸縮性積層体は、衛生用品に用いられる。
【0029】
本発明の物品は、本発明の伸縮性積層体を含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、軽量化と伸長強度を両立し、安定した生産が可能な、伸縮性積層体を提供することができる。また、そのような伸縮性積層体を含む物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
≪≪伸縮性積層体≫≫
本発明の伸縮性積層体は、エラストマー層の少なくとも一方の側にオレフィン系樹脂層を有する。すなわち、本発明の伸縮性積層体は、エラストマー層の片方の側のみにオレフィン系樹脂層を有していても良いし、エラストマー層の両方の側にオレフィン系樹脂層を有していても良い。本発明の伸縮性積層体がこのような構成を有すれば、本発明の伸縮性積層体は、耐オイル性に優れ得る。また、エラストマー性を有する樹脂(例えば、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーなど)からなる層は、それ同士が積層された場合にブロッキングが起こりやすい。このため、例えば、エラストマー性を有する樹脂からなる層同士が積層されるような状態で伸縮性積層体をロール体とした場合には、エラストマー性を有する樹脂からなる層同士が容易にブロッキングしてしまい、巻戻しが困難になりやすい。本発明の伸縮性積層体は、エラストマー層の少なくとも一方の側にオレフィン系樹脂層を有するので、耐ブロッキング性に優れ得る。
【0033】
本発明の伸縮性積層体は、長尺状の伸縮性積層体である。本発明の伸縮性積層体においては、長尺方向をMD方向、長尺方向と直交する方向をCD方向とする。
【0034】
本発明の伸縮性積層体は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の任意の適切な層を含んでいても良い。このような他の任意の適切な層は、1層のみでも良いし、2層以上でも良い。
【0035】
本発明の伸縮性積層体においては、オレフィン系樹脂層は、好ましくは、エラストマー層に直接に積層されている。すなわち、本発明の伸縮性積層体の好ましい実施形態の一つは、エラストマー層の少なくとも一方の側にオレフィン系樹脂層が直接に積層されている形態である。このように、オレフィン系樹脂層がエラストマー層に直接に積層されていることによって、本発明の伸縮性積層体は、耐オイル性により優れ得るとともに、耐ブロッキング性により優れ得る。
【0036】
図1は、本発明の一つの実施形態による伸縮性積層体の概略断面図である。
図1に示す伸縮性積層体100は、エラストマー層10と該エラストマー層10の一方の側に設けられたオレフィン系樹脂層20aと、該エラストマー層10の該オレフィン系樹脂層20aの反対側に設けられたオレフィン系樹脂層20bとを有する。エラストマー層10とオレフィン系樹脂層20aとの間、および/または、エラストマー層10とオレフィン系樹脂層20bとの間には、これら両者を接着するための材料が存在していても良い。このような材料としては、例えば、接着剤、粘着剤、ホットメルト粘着剤などが挙げられる。
【0037】
本発明の伸縮性積層体の厚みは、エラストマー層の厚みや、オレフィン系樹脂層の厚みによって左右されるが、好ましくは10μm〜500μmであり、より好ましくは10μm〜250μmであり、さらに好ましくは10μm〜200μmであり、さらに好ましくは10μm〜100μmであり、特に好ましくは10μm〜70μmであり、最も好ましくは10μm〜50μmである。本発明の伸縮性積層体の厚みをこのような範囲内とすれば、本発明の伸縮性積層体を軽量化でき、おむつやマスクなどの衛生用品等の物品に用いる部材として用いやすくなる。
【0038】
本発明の伸縮性積層体は、伸縮性積層体の〔MD方向10%伸長強度(N/30mm)〕/〔坪量(gsm)〕が0.14(N/30mm・gsm)以上であり、好ましくは0.145(N/30mm・gsm)以上であり、より好ましくは0.15(N/30mm・gsm)以上であり、さらに好ましくは0.155(N/30mm・gsm)以上であり、特に好ましくは0.16(N/30mm・gsm)以上である。上記〔MD方向10%伸長強度(N/30mm)〕/〔坪量(gsm)〕の上限は、大きければ大きいほどよいが、現実的には、好ましくは2.0(N/30mm・gsm)以下である。上記〔MD方向10%伸長強度(N/30mm)〕/〔坪量(gsm)〕の値が上記範囲内にあれば、本発明の伸縮性積層体は、軽量化されているにもかかわらずMD方向における伸長強度が強く、軽量化と伸長強度を両立でき、安定した生産が可能なものとなる。
【0039】
本発明の伸縮性積層体の坪量は、好ましくは5gsm〜500gsmであり、より好ましくは5gsm〜250gsmであり、さらに好ましくは5gsm〜200gsmであり、特に好ましくは5gsm〜100gsmであり、最も好ましくは5gsm〜50gsmである。本発明の伸縮性積層体の坪量が上記範囲内にあれば、本発明の伸縮性積層体は、十分に軽量化され得る。
【0040】
従来の伸縮性積層体は、耐オイル性が低いことがある。例えば、ベビーオイルなどの脂肪族系オイルなどによって、伸縮性積層体に穴が開いたりするという問題が起こることがある。
【0041】
本発明の伸縮性積層体は、好ましくは、該伸縮性積層体を100%伸長した状態でガラス板の上に貼付け固定し、該伸縮性積層体表面にベビーオイル(ピジョン製、ベビーオイル、主成分:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)を0.5mL滴下してから60分後において、該伸縮性積層体に穴が形成しない。本発明の伸縮性積層体がこのような特徴を有することにより、本発明の伸縮性積層体は耐オイル性に優れる。なお、本発明において、上記試験により「伸縮性積層体に穴が形成しない」とは、代表的には、ベビーオイルによって伸縮性積層体が溶解することで形成される目視可能な穴や亀裂が形成されないことを意味する。このような耐オイル性の試験方法の詳細については、後述する。
【0042】
本発明の伸縮性積層体を100%伸長した状態でガラス板の上に貼付け固定し、該伸縮性積層体表面にベビーオイル(ピジョン製、ベビーオイル、主成分:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)を0.5mL滴下してから、該伸縮性積層体に穴が形成しない状態を維持できる時間は、好ましくは2時間であり、より好ましくは5時間であり、さらに好ましくは10時間であり、特に好ましくは24時間である。上記時間が上記のような好ましい時間であることにより、本発明の伸縮性積層体は耐オイル性により優れる。
【0043】
本発明の伸縮性積層体は、好ましくは、CD方向に沿って延伸部分と非延伸部分とが存在し、より好ましくは、CD方向に沿って延伸部分と非延伸部分とが交互に存在する。本発明の伸縮性積層体がこのような構造を有することによって、本発明の伸縮性積層体は、軽量化と伸長強度をより両立でき、より安定した生産が可能となる。
【0044】
図2は、本発明の伸縮性積層体においてCD方向に沿って延伸部分と非延伸部分とが交互に存在する場合の、本発明の一つの実施形態による伸縮性積層体の概略平面図である。
図2において、伸縮性積層体100には、CD方向に沿って延伸部分30と非延伸部分40とが交互に存在する。本発明の伸縮性積層体がこのような構造を有すれば、非延伸部分がMD方向に連続的に残るため、MD方向には非エラスティック性が残り、他方、CD方向にはエラスティック性が発現できる。これにより、本発明の伸縮性積層体は、優れた非エラスティック性とすぐれたエラスティック性とを両立して発現でき、軽量化と伸長強度をより両立でき、より安定した生産が可能となる。
【0045】
本発明の伸縮性積層体においてCD方向に沿って延伸部分と非延伸部分とが存在する場合、該延伸部分と該非延伸部分の面積比率(延伸部分:非延伸部分)は、好ましくは1:0.5〜1:3であり、より好ましくは1:0.5〜1:2.5であり、さらに好ましくは1:0.5〜1:2であり、特に好ましくは1:0.5〜1:1.5であり、最も好ましくは1:0.5〜1:1.2である。上記面積比率(延伸部分:非延伸部分)が上記範囲内にあれば、本発明の伸縮性積層体は、軽量化と伸長強度をより両立でき、より安定した生産が可能となる。
【0046】
本発明の伸縮性積層体は、優れたエラスティック性能を発現させるために、事前延伸されている。なお、この事前延伸は、本発明の伸縮性積層体が最終利用(例えば、オムツの製造時およびオムツの使用時)において再度延伸されることがあるという意味の事前延伸である。
【0047】
事前延伸は、好ましくは、本発明の伸縮性積層体の製造過程において十分に固化した後に行われる。
【0048】
事前延伸は、好ましくは、部分延伸である。事前延伸は、任意の方向に行うことができ、好ましくは、CD方向における延伸である。
【0049】
事前延伸の延伸倍率は、好ましくは50%以上1000%未満であり、より好ましくは100%以上900%未満であり、さらに好ましくは300%以上850%未満であり、特に好ましくは500%以上800%未満である。なお、例えば、100%の事前延伸とは、2倍に延伸することを意味する。このような延伸倍率で事前延伸することにより、本発明の伸縮性積層体は、より優れたエラスティック性能を発現し得る。
【0050】
本発明の伸縮性積層体においてCD方向に沿って延伸部分と非延伸部分とが存在する場合、好ましくは、該延伸部分と該非延伸部分が、径の異なる凹部分と凸部分とを有する2本の凹凸ロールを互いの凹部と凸部によって噛み合わせたロール延伸によって形成される。このようにして形成された延伸部分と非延伸部分とを有する伸縮性積層体は、軽量化と伸長強度をより両立でき、より安定した生産が可能となる。
【0051】
図3、
図4は、本発明の伸縮性積層体においてCD方向に沿って延伸部分と非延伸部分とが交互に存在する場合の、該延伸部分と該非延伸部分を形成するために用い得る、径の異なる凹部分と凸部分とを有する2本の凹凸ロールを互いの凹部と凸部によって噛み合わせたロール延伸装置の一つの実施形態の概略図であり、(a)、(b)、(c)は、それぞれ、概略正面図、概略側面図、概略斜視図である。
【0052】
図3は、2本の凹凸ロールの間に積層体を通過させて伸縮性積層体とする前の状態のロール延伸装置の一つの実施形態の概略図である。
図3において、ロール1000とロール2000は互いに対向して配置している。ロール1000は、小径ロール部1100と大径ロール部1200を有し、大径ロール部1200が凸部分となり、隣り合う2つの大径ロール部1200の間が凹部分となる。ロール2000は、小径ロール部2100と大径ロール部2200を有し、大径ロール部2200が凸部分となり、隣り合う2つの大径ロール部2200の間が凹部分となる。
図3の(a)に示すように、ロール1000とロール2000は、ロール1000の凸部がロール2000の凹部に噛み合うような配置(ロール1000の凹部がロール2000の凸部に噛み合うような配置)となっている。
【0053】
図4は、2本の凹凸ロールの間に積層体を通過させて本発明の伸縮性積層体とする際の状態のロール延伸装置の一つの実施形態の概略図である。
図4に示すように、本発明の伸縮性積層体を得るために、2本の凹凸ロール(ロール1000とロール2000)の間に、エラストマー層の少なくとも一方の側にオレフィン系樹脂層を有する長尺状の積層体200を通過させるとともに、該2本の凹凸ロール(ロール1000とロール2000)の互いの凹部と凸部が噛み合うように配置させる。これにより、
図4の(a)に示すように、ロール1000の凸部(大径ロール部1200)がロール2000の凹部(隣り合う2つの大径ロール部2200の間)に噛み合うことによって、積層体200が該ロール2000の凹部(隣り合う2つの大径ロール部2200の間)の箇所において延伸される。このように2本の凹凸ロール(ロール1000とロール2000)の間を長尺状の積層体200が通過することにより、
図4の(c)に示すように、CD方向に沿って延伸部分と非延伸部分とが交互に存在する伸縮性積層体300が得られる。
【0054】
上記凹部分のピッチ幅(
図3の(a)のp1)は、好ましくは、上記凸部分のピッチ幅(
図3の(a)のp2)よりも大きい。このような状態であることによって形成された延伸部分と非延伸部分とを有する伸縮性積層体は、軽量化と伸長強度をより両立でき、より安定した生産が可能となる。
【0055】
上記凹部分のピッチ幅は、好ましくは0.5mm〜5mmであり、より好ましくは1mm〜4mmであり、さらに好ましくは1.2mm〜3mmであり、特に好ましくは1.5mm〜2.5mmである。上記凹部分のピッチ幅が上記範囲内にあれば、本発明の伸縮性積層体は、軽量化と伸長強度をより両立でき、より安定した生産が可能となる。
【0056】
上記凸部分のピッチ幅は、好ましくは0.1mm〜3mmであり、より好ましくは0.2mm〜2.5mmであり、さらに好ましくは0.3mm〜2mmであり、特に好ましくは0.5mm〜1.5mmである。上記凸部分のピッチ幅が上記範囲内にあれば、本発明の伸縮性積層体は、軽量化と伸長強度をより両立でき、より安定した生産が可能となる。
【0057】
事前伸張は、好ましくは、エラストマー層またはオレフィン系樹脂層のいずれかの融点未満の温度で実施される。このような温度で事前伸張することにより、本発明の伸縮性積層体は、より優れたエラスティック性能を発現し得る。
【0058】
本発明の伸縮性積層体は、好ましくは、このように事前伸張させることにより、オレフィン系樹脂層が塑性変形したりオレフィン系樹脂層の脆性破壊点を超えて伸長されたりして、優れたエラスティック性能を発現し得る。すなわち、本発明の伸縮性積層体は、好ましくは、事前伸張させる前においてはオレフィン系樹脂層の存在によってエラスティック性が発現され難く、このために、取り扱い性が良好であり、一方、事前伸張させた後においては、優れたエラスティック性能が発現され得る。
【0059】
≪エラストマー層≫
エラストマー層の層数は、任意の適切な数を採用し得る。このようなエラストマー層の層数は、好ましくは1層〜5層であり、より好ましくは1層〜3層であり、さらに好ましくは1層〜2層であり、特に好ましくは1層である。
【0060】
エラストマー層の層数が複数である場合、それらの各層は、全て同種の層であっても良いし、少なくとも2層が異種の層であっても良い。
【0061】
エラストマー層は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な樹脂を含み得る。このような樹脂としては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。好ましくは、エラストマー層はオレフィン系エラストマーを含む。エラストマー層がオレフィン系エラストマーを含むことによって、本発明の効果をより発現し得るとともに、本発明の伸縮性積層体は耐オイル性により優れ得る。
【0062】
オレフィン系エラストマーは、1種のみであっても良いし、2種以上のブレンドであっても良い。
【0063】
エラストマー層がオレフィン系エラストマーを含むことによって、熱安定性が向上し、例えば、本発明の伸縮性積層体を製造する際の熱劣化を抑制し得る。また、エラストマー層がオレフィン系エラストマーを含むことによって、保存安定性が向上し、本発明の伸縮性積層体を保存している間における物性値の変動を抑制し得る。
【0064】
また、エラストマー層がオレフィン系エラストマーを含むことによって、エラストマー層の製造における工程が簡素化でき、加工費を抑制し得る。これは、オレフィン系エラストマーを採用すると、エラストマー層の製造において用いる樹脂の種類を少なくして押出成形することが可能となり、マスターバッチを作製する必要がなくなり得るからである。
【0065】
エラストマー層中のオレフィン系エラストマーの含有割合は、本発明の効果がより発現する点で、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは70重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは80重量%〜100重量%であり、特に好ましくは90重量%〜100重量%であり、最も好ましくは95重量%〜100重量%である。エラストマー層中のオレフィン系エラストマーの含有割合を上記範囲内とすれば、本発明の効果をより発現し得るとともに、本発明の伸縮性積層体は耐オイル性により優れ得る。
【0066】
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、オレフィンブロックコポリマー、オレフィンランダムコポリマー、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、エチレンオレフィンブロックコポリマー、プロピレンオレフィンブロックコポリマー、エチレンオレフィンランダムコポリマー、プロピレンオレフィンランダムコポリマー、エチレンプロピレンランダムコポリマー、エチレン(1−ブテン)ランダムコポリマー、エチレン(1−ペンテン)オレフィンブロックコポリマー、エチレン(1−ヘキセン)ランダムコポリマー、エチレン(1−ヘプテン)オレフィンブロックコポリマー、エチレン(1−オクテン)オレフィンブロックコポリマー、エチレン(1−ノネン)オレフィンブロックコポリマー、エチレン(1−デセン)オレフィンブロックコポリマー、プロピレンエチレンオレフィンブロックコポリマー、エチレン(α−オレフィン)コポリマー、エチレン(α−オレフィン)ランダムコポリマー、エチレン(α−オレフィン)ブロックコポリマー、またはこれらの組み合わせ、などが挙げられる。
【0067】
オレフィン系エラストマーとしては、その密度が、好ましくは0.890g/cm
3〜0.830g/cm
3であり、より好ましくは0.888g/cm
3〜0.835g/cm
3であり、さらに好ましくは0.886g/cm
3〜0.835g/cm
3であり、特に好ましくは0.885g/cm
3〜0.840g/cm
3であり、最も好ましくは0.885g/cm
3〜0.845g/cm
3である。密度が上記範囲に収まるオレフィン系エラストマーをエラストマー層中に含有させることにより、本発明の効果をより発現し得るとともに、本発明の伸縮性積層体は耐オイル性により優れ得る。
【0068】
オレフィン系エラストマーとしては、その230℃で2.16kgfにおけるMFRが、好ましくは1.0g/10分〜25.0g/10分であり、より好ましくは2.0g/10分〜23.0g/10分であり、さらに好ましくは2.0g/10分〜21.0g/10分であり、特に好ましくは2.0g/10分〜20.0g/10分であり、最も好ましくは2.0g/10分〜19.0g/10分である。MFRが上記範囲に収まるオレフィン系エラストマーをエラストマー層中に含有させることにより、本発明の効果をより発現し得るとともに、本発明の伸縮性積層体は耐オイル性により優れ得る。
【0069】
オレフィン系エラストマーとしては、具体的には、好ましくは、α−オレフィン系エラストマーである。すなわち、2種以上のα−オレフィンの共重合体であって、エラストマー特性を有するものである。このようなα−オレフィン系エラストマーの中でも、より好ましくは、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマー、1−ブテン系エラストマーから選ばれるいずれかである。このようなα−オレフィン系エラストマーをオレフィン系エラストマーとして採用することにより、本発明の効果をより発現し得るとともに、本発明の伸縮性積層体は耐オイル性により優れ得る。
【0070】
α−オレフィン系エラストマーの中でも、特に、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーが好ましい。エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーをオレフィン系エラストマーとして採用することにより、本発明の伸縮性積層体は、本発明の効果をより発現し得るとともに、本発明の伸縮性積層体は耐オイル性により優れ得る。
【0071】
α−オレフィン系エラストマーとしては、市販品として入手することも可能である。このような市販品としては、例えば、三井化学株式会社製の「タフマー」(登録商標)シリーズの中のいくつか(例えば、タフマーPN−3560等)、エクソンモービル社製の「ビスタマックス(Vistamaxx)」(登録商標)シリーズの中のいくつか(例えば、ビスタマックス6202、ビスタマックス7010等)が挙げられる。
【0072】
α−オレフィン系エラストマーは、好ましくは、メタロセン触媒を用いて製造されたものである。メタロセン触媒を用いて製造されたα−オレフィン系エラストマーを採用することにより、本発明の伸縮性積層体は、本発明の効果をより発現し得るとともに、本発明の伸縮性積層体は耐オイル性により優れ得る。
【0073】
エラストマー層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでいても良い。このような他の成分としては、例えば、他のポリマー、粘着付与剤、可塑剤、劣化防止剤、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、発泡剤、熱安定化剤、光安定化剤、無機フィラー、有機フィラーなどが挙げられる。これらは、1種のみであっても、2種以上であっても良い。エラストマー層中の他の成分の含有割合は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下であり、最も好ましくは1重量%以下である。
【0074】
エラストマー層の厚みは、好ましくは8μm〜450μmであり、より好ましくは8μm〜220μmであり、さらに好ましくは8μm〜180μmであり、特に好ましくは8μm〜90μmであり、最も好ましくは8μm〜67μmである。エラストマー層の厚みをこのような範囲内とすれば、より優れたフィット性を有する伸縮性積層体を提供することが可能となる。また、エラストマー層の厚みをこのような範囲内とすれば、本発明の伸縮性積層体を軽量化でき、おむつやマスクなどの衛生用品等の物品に用いる部材として用いやすくなる。
【0075】
≪オレフィン系樹脂層≫
オレフィン系樹脂層の層数は、任意の適切な数を採用し得る。このようなオレフィン系樹脂層の層数は、好ましくは1層〜5層であり、より好ましくは1層〜3層であり、さらに好ましくは1層〜2層であり、特に好ましくは2層(例えば、エラストマー層の両側に1層ずつ)である。
【0076】
オレフィン系樹脂層の層数が複数である場合、それらの各層は、全て同種の層であっても良いし、少なくとも2層が異種の層であっても良い。
【0077】
オレフィン系樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な樹脂を含み得る。オレフィン系樹脂層は、好ましくは、非エラストマー性オレフィン系樹脂を含む。非エラストマー性オレフィン系樹脂とは、エラストマー性オレフィン系樹脂ではないオレフィン系樹脂を意味する。オレフィン系樹脂層が非エラストマー性オレフィン系樹脂を含むことによって、本発明の効果をより発現し得るとともに、本発明の伸縮性積層体は、耐オイル性により優れ得、耐ブロッキング性により優れ得る。
【0078】
非エラストマー性オレフィン系樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上のブレンドや共重合体であっても良い。
【0079】
オレフィン系樹脂層中の非エラストマー性オレフィン系樹脂の含有割合は、本発明の効果がより発現する点で、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは70重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは80重量%〜100重量%であり、特に好ましくは90重量%〜100重量%であり、最も好ましくは95重量%〜100重量%である。オレフィン系樹脂層中の非エラストマー性オレフィン系樹脂の含有割合を上記範囲内にすれば、本発明の効果をより発現し得るとともに、本発明の伸縮性積層体は、耐オイル性により優れ得、耐ブロッキング性により優れ得る。
【0080】
非エラストマー性オレフィン系樹脂としては、例えば、α−オレフィンのホモポリマー、2種類以上のα−オレフィンの共重合体、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、1種または2種以上のα−オレフィンと他のビニルモノマーの共重合体などが挙げられる。共重合体における共重合の形態としては、例えば、ブロック形態やランダム形態が挙げられる。
【0081】
α−オレフィンとしては、例えば、炭素原子数2〜12のα−オレフィンが挙げられる。このようなα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。
【0082】
α−オレフィンのホモポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ホモポリプロピレン(PP)、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などが挙げられる。
【0083】
ポリエチレン(PE)としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などが挙げられる。
【0084】
ホモポリプロピレン(PP)の構造は、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックのいずれであってもよい。
【0085】
本発明の効果をより発現させ得る点で、非エラストマー性オレフィン系樹脂は、好ましくは、α−オレフィンのホモポリマーを含み、より好ましくは、ポリエチレン(PE)、ホモポリプロピレン(PP)から選ばれる少なくとも1種を含み、さらに好ましくは、高密度ポリエチレン(HDPE)、ホモポリプロピレン(PP)から選ばれる少なくとも1種を含む。非エラストマー性オレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレン(HDPE)、ホモポリプロピレン(PP)から選ばれる少なくとも1種を含むことにより、耐オイル性により一層優れた伸縮性積層体を提供することができる。非エラストマー性オレフィン系樹脂中のα−オレフィンのホモポリマーの含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは70重量%〜100重量%であり、より好ましくは80重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは90重量%〜100重量%であり、特に好ましくは95重量%〜100重量%であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。
【0086】
2種類以上のα−オレフィンの共重合体としては、例えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/炭素原子数5〜12のα−オレフィン共重合体、プロピレン/炭素原子数5〜12のα−オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0087】
1種または2種以上のα−オレフィンと他のビニルモノマーの共重合体としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン/メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体などが挙げられる。
【0088】
非エラストマー性オレフィン系樹脂は市販品を用いてもよい。
【0089】
オレフィン系樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでいても良い。このような他の成分としては、例えば、離型剤、紫外線吸収剤、耐熱安定化剤、充填剤、滑剤、着色剤(染料など)、酸化防止剤、目ヤニ防止剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。これらは、1種のみであっても、2種以上であっても良い。オレフィン系樹脂層中の他の成分の含有割合は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下であり、最も好ましくは1重量%以下である。
【0090】
離型剤としては、例えば、脂肪酸アマイド系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤等が挙げられる。剥離性とブリードアウトによる汚染性のバランスにより優れた剥離層を形成し得るという観点からは、好ましくは脂肪酸アマイド系離型剤であり、より好ましくは飽和脂肪酸ビスアマイドである。離型剤の含有量は、任意の適切な含有量を採用し得る。代表的には、オレフィン系樹脂層中の樹脂成分(好ましくは、非エラストマー性オレフィン系樹脂)に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%である。
【0091】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。紫外線吸収剤の含有量は、成形時にブリードアウトしない限りにおいて、任意の適切な含有量を採用し得る。代表的には、オレフィン系樹脂層中の樹脂成分(好ましくは、非エラストマー性オレフィン系樹脂)に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%である。
【0092】
耐熱安定化剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物およびシアノアクリレート系化合物等が挙げられる。耐熱安定化剤の含有量は、成形時にブリードアウトしない限りにおいて、任意の適切な含有量を採用し得る。代表的には、オレフィン系樹脂層中の樹脂成分(好ましくは、非エラストマー性オレフィン系樹脂)に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%である。
【0093】
充填剤としては、例えば、タルク、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、マイカ、硫酸バリウム、ウィスカー、水酸化マグネシウム等の無機充填剤が挙げられる。充填剤の平均粒径は、好ましくは、0.1μm〜20μmである。充填剤の含有量は、任意の適切な含有量を採用し得る。代表的には、オレフィン系樹脂層中の樹脂成分(好ましくは、非エラストマー性オレフィン系樹脂)に対して、好ましくは1重量%〜200重量%である。
【0094】
オレフィン系樹脂層の厚みは、好ましくは2μm〜50μmであり、より好ましくは2μm〜30μmであり、さらに好ましくは2μm〜20μmであり、特に好ましくは2μm〜10μmであり、最も好ましくは2μm〜8μmである。オレフィン系樹脂層の厚みをこのような範囲内にすれば、本発明の伸縮性積層体を軽量化でき、おむつやマスクなどの衛生用品等の物品に用いる部材として用いやすくなる。
【0095】
≪伸縮性積層体の製造≫
本発明の伸縮性積層体を製造する方法としては、エラストマー層の少なくとも一方の側にオレフィン系樹脂層を有するような構成を構築できる方法であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。
【0096】
本発明の伸縮性積層体を製造する方法としては、代表的には、多層押し出しTダイ成形機を用いて積層体を成型して製造する方法が挙げられる。例えば、オレフィン系樹脂層/エラストマー層/オレフィン系樹脂層の積層構成からなる伸縮性積層体を製造する場合は、3層押し出しTダイ成形機を用いて、オレフィン系樹脂層の成型材料/エラストマー層の成型材料/オレフィン系樹脂層の成型材料を、Tダイから共押出して一体化させ、好ましくは前述したような事前延伸(より好ましくは前述したような部分延伸、さらに好ましくは
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)で説明したような部分延伸)を行い、その後、ロール状に巻き取ることによって、伸縮性積層体のロール体を製造することができる。Tダイを用いるTダイ法以外に、インフレーション法なども採用し得る。
【0097】
≪本発明の伸縮性積層体の用途≫
本発明の伸縮性積層体は、本発明の効果を有効に利用できる任意の適切な物品に用いることができる。すなわち、本発明の物品は、本発明の伸縮性積層体を含む。このような物品としては、代表的には、例えば、衛生用品などが挙げられる。このような衛生用品としては、例えば、おむつ(特に、イヤー(耳)部分や、腰周りや脚周りの開口部分の伸縮性部材(ウエストバント゛やギャザー)として本発明の伸縮性積層体が使用されたおむつ)、サポーター、マスクなどが挙げられる。
【実施例】
【0098】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。また、特に断りがない限り、部は重量部を意味し、%は重量%を意味する。
【0099】
<MD方向10%伸長強度>
実施例および比較例にて得られた伸縮性積層体または積層体を幅方向で30mmに切断し、長手方向にチャック間40mmにて引張試験機(島津製作所製:AG−20kNG)にセットし、引張速度300mm/minにて10%まで伸長した際の引張強度を測定した。
【0100】
<坪量>
実施例および比較例にて得られた伸縮性積層体または積層体を幅方向で100mm、長手方向で200mmに切断し、試験片の重量を電子天秤にて測定した。本測定を3回繰り返し、重量の平均値から坪量(平米面積当たりの重量)を算出した。
【0101】
<ブロッキング性の評価>
実施例および比較例にて得られた伸縮性積層体または積層体のロール体を幅方向で30mmに切断し、23℃×50RH%の状態で24時間保存した後、巻戻速度300mm/minにて巻き戻した。その巻き戻しの際に、伸縮性積層体または積層体が破断したものを×、破断しなかったものを○とし、破断せず、かつ、保存前後で巻戻し感に全く変化が見られなかったものを◎とした。
【0102】
<滴下耐オイル性の評価>
実施例および比較例にて得られた伸縮性積層体または積層体を長手方向に50mm、幅方向に10mmで切断し、長手方向に100%伸長した状態で、ガラス板の上に貼付け固定した。伸長された伸縮性積層体または積層体の表面にベビーオイル(ピジョン製、ベビーオイルQ、主成分:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)を0.5mL滴下し、下記の基準で評価した。
×:60分後に伸縮性積層体または積層体に、ベビーオイルによって溶解することによる穴や亀裂が発生して破断している。
△:60分後に伸縮性積層体または積層体に、ベビーオイルによって溶解することによる穴や亀裂ができているが破断まで至っていない。
○:60分後に伸縮性積層体または積層体に、ベビーオイルによって溶解することによる穴や亀裂が形成していない。
なお、本発明において、滴下耐オイル性の試験に使用される「ベビーオイル」としては、上記「ベビーオイルQ」以外にも、ピジョン株式会社から販売されている「ベビーオイルP」等のトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを主成分とする「ベビーオイル」を使用することができる。
【0103】
<エラスティック性試験>
実施例および比較例にて得られた伸縮性積層体または積層体を幅方向で30mmに切断し、長手方向にチャック間40mmにて引張試験機(島津製作所製:AG−20kNG)にセットし、引張速度300mm/minにて100%伸長した。100%伸長後、伸長状態にて固定し、10分間室温にて保持した。10分後、伸長状態を解放し、初期チャック間距離40mm(A)、試験後フィルム長さ(40+α)mm(B)を計測後、[{(B)−(A)}/(A)]×100にて変動率を計測した。変動率が20%を超えたものを×、20%以下のものを○とした。
【0104】
<成形条件>
実施例および比較例において、3種3層(A層/B層/C層)押し出しTダイ成形機を用いて伸縮性積層体または積層体を成形した。その押出温度は以下の条件にて実施した。
A層:200℃
B層:200℃
C層:200℃
ダイス温度:200℃
Tダイから共押出成形して一体化させ、得られた伸縮性積層体または積層体が十分に固化した後に、ロール形状に巻き取ることによってロール体とした。
部分延伸する場合は、凸部のピッチ幅が1mm、凹部のピッチ幅(凸部と凸部の間隔)が2mmの2本の凹凸ロールを、上下から3.5mm重ね合わせた間に、ロール体から繰り出した伸縮性積層体または積層体を20m/minの速度で通過させ、700%延伸を実施した。
全面延伸する場合は、ロール体から繰り出した伸縮性積層体または積層体のエッジをテンタークリップで掴み、幅方向に400%伸張させた。
【0105】
〔実施例1〕
非エラストマー性オレフィン系樹脂としてHDPE(東ソー社製、商品名:ニポロンハード1000)を押出機のA層に、オレフィン系エラストマーとしてEPR(エクソンモービル社製、商品名:ビスタマックス6202)を押出機のB層に、非エラストマー性オレフィン系樹脂としてHDPE(東ソー社製、商品名:ニポロンハード1000)を押出機のC層に投入し、A層/B層/C層=4μm/32μm/4μm、計40μmの厚みの積層体を押し出した。得られた積層体を部分延伸することで、伸縮性積層(1)を得た。
結果を表1に示した。
【0106】
〔実施例2〕
非エラストマー性オレフィン系樹脂としてHDPE(Basell社製、商品名:52518)を使用した以外は実施例1と同様にして、伸縮性積層体(2)を得た。
結果を表1に示した。
【0107】
〔実施例3〕
A層/B層/C層=5.5μm/44μm/5.5μm、計55μmの厚みとした以外は実施例1と同様にして、伸縮性積層体(3)を得た。
結果を表1に示した。
【0108】
〔実施例4〕
オレフィン系エラストマーとしてEPR(エクソンモービル社製、商品名:ビスタマックス7010)を使用した以外は実施例1と同様にして、伸縮性積層体(4)を得た。
結果を表1に示した。
【0109】
〔実施例5〕
オレフィン系エラストマーの代わりにスチレン系エラストマーとしてSIS(日本ゼオン株式会社製、商品名:クインタック3390)を使用した以外は実施例1と同様にして、伸縮性積層体(5)を得た。
結果を表1に示した。
【0110】
〔実施例6〕
オレフィン系エラストマーの代わりにスチレン系エラストマーとしてSBS(クレイトンポリマー製、商品名:クレイトンD1191)を使用した以外は実施例1と同様にして、伸縮性積層体(C1)を得た。
結果を表1に示した。
【0111】
〔比較例1〕
部分延伸する代わりに全面延伸を実施した以外は実施例1と同様にして、伸縮性積層体(C1)を得た。
結果を表1に示した。
【0112】
〔比較例2〕
部分延伸する代わりに全面延伸を実施した以外は実施例3と同様にして、伸縮性積層体(C2)を得た。
結果を表1に示した。
【0113】
【表1】