特許第6889990号(P6889990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6889990
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】検査具
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20210607BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   G01N33/48 T
   G01N33/543 521
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-150026(P2016-150026)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-17681(P2018-17681A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(72)【発明者】
【氏名】宮本 重彦
【審査官】 西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−504320(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0001854(US,A1)
【文献】 特表2005−509852(JP,A)
【文献】 特開昭59−228943(JP,A)
【文献】 特開平09−297139(JP,A)
【文献】 特表2007−523335(JP,A)
【文献】 特表昭63−502927(JP,A)
【文献】 特表平11−506213(JP,A)
【文献】 特開2004−037453(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/032278(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査体と、該複数の検査体を連結する連結部材と、を備える検査具であって、
複数の前記検査体のそれぞれは、
一方向に延在すると共に撥水性を有する基材と、
前記基材の一面に配置され、被検液を展開すると共に当該被検液に含まれる標的物質を検出して表示する検出部と、
前記基材の前記一面において前記検出部における展開方向の終端部側に配置され、前記被検液を吸収する吸収部と、を有し、
前記連結部材は、前記基材の前記一面とは反対側の他面に接合されているか、又は、前記基材と一体に成形されており、前記一方向に直交する他方向において複数の前記検査体が所定の間隔をあけて配置されるように、複数の前記検査体を連結し、
前記連結部材の少なくとも一部は、前記検出部における前記展開方向の始端部側に位置する前記基材の端部と、前記基材の一方向における中央部との間の範囲内に設けられている、検査具。
【請求項2】
前記検査体は、前記基材の一面において前記始端部側に配置され、前記被検液を採取する採取部を有し、
前記検出部は、前記採取部と前記吸収部との間に配置されている、請求項1に記載の検査具。
【請求項3】
前記検査体は、前記基材の前記一面において前記採取部と前記検出部との間に配置され、前記被検液の前記標的物質と反応する標識物を保持する試薬保持部を備える、請求項2に記載の検査具。
【請求項4】
前記終端部側に位置する前記連結部材の端部は、前記終端部側に位置する前記基材の端部に位置している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の検査具。
【請求項5】
前記連結部材は、前記他方向に沿って延在している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の検査具。
【請求項6】
複数の前記検査体それぞれの前記基材の前記一面は同じ方向を向いており、
前記基材の前記一面に直交する方向は、前記一方向及び前記他方向と直交している、請求項5に記載の検査具。
【請求項7】
前記連結部材には、前記検出部の検出結果の視認性を補助する目盛が設けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の検査具。
【請求項8】
前記連結部材には、前記一方向に沿って切れ目が設けられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の検査具。
【請求項9】
前記連結部材は、撥水性を有している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の検査具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イムノクロマトグラフィー法又は核酸クロマトグラフィー法に用いられる検査具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、イムノクロマトグラフィー法又は核酸クロマトグラフィー法には、標的物質を検出する検出部を備えたストリップ状の検査体が用いられている。検査体は、例えば、標的物質を含む被検液(試料液体)が溜められた容器に挿入されることで、被検液を毛細管現象により吸収し、標的物質を検出する。
【0003】
検査体による検査は、例えば、ウェルプレートに一列に配置された複数のチューブ内の被検液に対して実施されることがある。この場合、検査体を各チューブに1本ずつ挿入する必要があるため、作業性がよくない。また、チューブに挿入した検査体がチューブ内で回転することがあり、検査結果が見難くなるといった問題も生じ得る。そこで、例えば、特許文献1に記載された検査具が知られている。特許文献1に記載の検査具は、標的物質を検出する検出部(第2の領域)を有する複数の検査体(フィンガ)が連結部材で連結されている。特許文献1に記載の検査具では、連結部材は、各検査体において、被検液に浸漬される端部とは反対側の端部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013−531261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来の検査具では、連結部材が、被検液に浸漬される端部とは反対側の端部に設けられる。検査体は、一般的に、プラスチック等からなるシート状の基材に検出部が配置されている。この構成では、被検液が溜まっている容器に各検査体を挿入するときに、基材が撓むことがある。これにより、従来の検査具では、一列に並設された容器に検査体を挿入するときに、検査体の端部の位置がずれることがある。これにより、作業効率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明の一側面は、複数の検査体を容器に対してスムーズに挿入できる検査具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として本明細書では以下の発明を開示する。
(1)一方向に延在する基材と、基材の一面に配置され、被検液を展開すると共に当該被検液に含まれる標的物質を検出して表示する検出部と、基材の一面において検出部における展開方向の終端部側に配置され、被検液を吸収する吸収部と、をそれぞれ有する複数の検査体と、一方向に直交する他方向において複数の検査体が所定の間隔をあけて配置されるように、複数の検査体を連結する連結部材と、を備え、連結部材の少なくとも一部は、検出部における展開方向の始端部側に位置する基材の端部と、基材の一方向における中央部との間の範囲内に設けられている、検査具。
【0008】
(2)検査体は、基材の一面において上記始端部側に配置され、被検液を採取する採取部を有し、検出部は、採取部と吸収部との間に配置されている、(1)に記載の検査具。
【0009】
(3)検査体は、基材の一面において採取部と検出部との間に配置され、被検液の標的物質と反応する標識物を保持する試薬保持部を備える、(2)に記載の検査具。
【0010】
(4)上記終端部側に位置する連結部材の端部は、上記終端部側に位置する基材の端部に位置している、(1)〜(3)のいずれかに記載の検査具。
【0011】
(5)連結部材は、他方向に沿って延在しており、基材の一面とは反対側の他面に接合されている、(1)〜(4)のいずれかに記載の検査具。
【0012】
(6)複数の検査体それぞれの基材の一面は同じ方向を向いており、基材の一面に直交する方向は、一方向及び他方向と直交している、(5)に記載の検査具。
【0013】
(7)連結部材には、検出部の検出結果の視認性を補助する目盛が設けられている、(1)〜(6)のいずれかに記載の検査具。
【0014】
(8)連結部材には、一方向に沿って切れ目が設けられている、(1)〜(7)のいずれかに記載の検査具。
【0015】
(9)連結部材は、撥水性を有している、(1)〜(8)のいずれかに記載の検査具。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、複数の検査体を容器に対してスムーズに挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る検査具の斜視図である。
図2図1に示す検査具の正面図である。
図3図1に示す検査具の背面図である。
図4図1に示す検査具の側面図である。
図5】検査具の断面構成を示す図である。
図6】検査具の使用方法を示す図である。
図7】他の実施形態に係る検査具を示す図である。
図8】他の実施形態に係る検査具を示す図である。
図9】他の実施形態に係る検査具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1に示されるように、検査具1は、複数の検査体3と、連結部材5と、を備えている。本実施形態では、8個の検査体3を備える検査具1を一例として説明する。検査具1は、例えば、イムノクロマトグラフィー法、又は、核酸クロマトグラフィー法に用いられる。以下の説明では、各図に示すX方向及びY方向を説明に用いる場合もある。
【0020】
[検査体]
複数の検査体3のそれぞれは、同じ構成を有している。以下では、1つの検査体3を一例に具体的に説明する。検査体3は、バッキングシート(基材)7と、メンブレン(検出部)9と、吸収パッド(吸収部)11と、を備える。本実施形態では、検査体3は、図1図4に示されるように、バッキングシート(基材)7と、メンブレン(検出部)9と、吸収パッド(吸収部)11と、サンプルパッド(採取部)13と、コンジュゲートパッド(試薬保持部)15と、を備えている。検査体3では、被検液は、サンプルパッド13、コンジュゲートパッド15、メンブレン9及び吸収パッド11の順番で展開される(図5参照)。
【0021】
バッキングシート7は、メンブレン9、吸収パッド11、サンプルパッド13及びコンジュゲートパッド15を支持する。バッキングシート7は、一方向に延在する帯状の板部材である。バッキングシート7は、長手方向(一方向、Y方向)の寸法が幅方向(X方向)の寸法よりも大きい。図5に示されるように、バッキングシート7は、第1面(一面)7aと、第1面7aとは反対側の第2面(他面)7bと、を有する。バッキングシート7は、撥水性を有する。バッキングシート7は、撥水性を有する材料で形成されていてもよい。撥水性を有する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル等が挙げられる。また、バッキングシート7は、その表面に撥水加工が施されていてもよい。バッキングシート7の長さL(図2参照)、幅及び厚さは、設計に応じて適宜設定される。後述するチューブC(図6参照)がPCRチューブである場合、バッキングシート7の幅は、例えば、1.5mm以上6.0mm以下であり、2.5mm以上4.0mm以下であることが好ましい。幅が1.5mm未満であると後述するテストライン9a〜9cの識別性が低下し、幅が6.0mmよりも大きいとPCRチューブに挿入できない。
【0022】
メンブレン9は、被検液を展開すると共に被検液に含まれる標的物質を検出して表示する。標的物質は、例えば、核酸クロマトグラフィー法においては核酸であり、イムノクロマト法においてはタンパク質、脂質、糖質、核酸、金属イオン、薬剤等の低分子化合物等である。メンブレン9は、バッキングシート7の第1面7aに配置されている。図2に示されるように、メンブレン9には、複数(ここでは3個)のテストライン9a,9b,9cが設けられている。テストライン9a〜9cは、被検液の展開方向において、所定の間隔を開けて複数配置されている。テストライン9a〜9cは、標的物質と結合可能な物質(核酸、抗原、抗体等)が固相化されたものである。
【0023】
メンブレン9としては、定性濾紙、定量濾紙、分液濾紙、硝子繊維濾紙、シリカ繊維濾紙、複合繊維濾紙等の濾紙が挙げられる。また、メンブレン9としては、ニトロセルロース等のセルロースの濾紙、ポリエーテルスルフォンメンブレン等の合成樹脂の膜、又は、シリカゲル、アガロース、デキストラン、ゼラチン等の多孔質ゲルも使用できる。また、メンブレン9としては、ナイロンメンブレンも使用できる。
【0024】
吸収パッド11は、メンブレン9を展開した被検液を吸収する。吸収パッド11は、バッキングシート7の第1面7aに配置されている。吸収パッド11は、メンブレン9の展開方向における終端部側に配置されている。本実施形態では、吸収パッド11は、バッキングシート7の長手方向の一方(展開方向下流側)の端部8a側に配置されている。本実施形態では、図5に示されるように、吸収パッド11の展開方向における始端部側は、メンブレン9の終端部側と重なっている。吸収パッド11としては、例えば、定性濾紙、定量濾紙、分液濾紙、硝子繊維濾紙、シリカ繊維濾紙、複合繊維濾紙等の吸水性を有する濾紙が挙げられる。
【0025】
サンプルパッド13は、被検液を採取する。サンプルパッド13は、バッキングシート7の第1面7aに配置されている。サンプルパッド13は、メンブレン9の展開方向の始端部側に位置している。本実施形態では、サンプルパッド13は、バッキングシート7の長手方向の他方(展開方向上流側)の端部8b側に配置されている。サンプルパッド13としては、例えば、定性濾紙、定量濾紙、分液濾紙、硝子繊維濾紙、シリカ繊維濾紙、複合繊維濾紙等の吸水性を有する濾紙が挙げられる。
【0026】
コンジュゲートパッド15は、被検液の標的物質と反応する標識物を保持する。標識物は、例えば、着色担体である。着色担体は、例えば、着色粒子(コロイド粒子、着色ラテックス、シリカナノ粒子等)を用いることができる。コンジュゲートパッド15は、バッキングシート7の第1面7aに配置されている。コンジュゲートパッド15は、サンプルパッド13とメンブレン9との間に配置されている。本実施形態では、図5に示されるように、コンジュゲートパッド15の展開方向における始端部側は、サンプルパッド13の終端部側と重なっている。本実施形態では、コンジュゲートパッド15の終端部側は、メンブレン9の始端部側と重なっている。コンジュゲートパッド15としては、定性濾紙、定量濾紙、分液濾紙、硝子繊維濾紙、シリカ繊維濾紙、複合繊維濾紙等の濾紙が挙げられる。
【0027】
[連結部材]
連結部材5は、複数(少なくとも2個以上)の検査体3を連結する。連結部材5は、バッキングシート7の長手方向(Y方向)に直交する他方向(X方向)において複数の検査体3が所定の間隔をあけて配置されるように、複数の検査体3を連結する。検査具1では、バッキングシート7の第1面7aに直交する方向は、バッキングシート7の長手方向及び上記他方向(複数の検査体3の配列方向)と直交している。なお、直交とは、略直交を含むものであり、例えば±3°程度の範囲を含み得る。連結部材5は、複数の検査体3を連結する部材であれば、どのような部材であってもよい。本実施形態では、連結部材5は、矩形状を呈する板部材である。連結部材5は、撥水性を有する材料で形成されている。連結部材5は、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル等により形成される。連結部材5の厚さは、設計に応じて適宜設定される。連結部材5の厚さは、例えば、1mm〜2mm程度である。
【0028】
連結部材5は、バッキングシート7の第2面7bに、例えば接着剤により接合されている。連結部材5は、各検査体3のバッキングシート7の第1面7aが同じ方向を向くように、各検査体3を連結している。図2に示されるように、連結部材5は、隣り合う検査体3が所定の間隔Dを有して離間して配置されるように、各検査体3を連結している。間隔Dは、例えば、図6に示されるチューブCの配列間隔に応じて適宜設定される。間隔Dは、例えば、隣り合う検査体3の幅方向の中心間の距離が9mm程度となるように設定される。
【0029】
連結部材5の少なくとも一部は、メンブレン9における展開方向の始端部側に位置するバッキングシート7の端部8bと、バッキングシート7の長手方向における中央部との間の範囲内に設けられている。中央部は、図2に示されるように、バッキングシート7の長さL1の1/2の位置である。つまり、中央部とバッキングシート7の端部8bとの間の長さL2は、長さL1の1/2となる。
【0030】
本実施形態では、連結部材5における展開方向下流側の端部5aは、バッキングシート7の端部8aに位置し、連結部材5における展開方向上流側の端部5bは、バッキングシート7の中央部よりも展開方向上流側に位置している。具体的には、連結部材5における展開方向上流側の端部5bは、コンジュゲートパッド15の展開方向の終端部に位置している。連結部材5は、コンジュゲートパッド15の展開方向の終端部から吸収パッド11の展開方向の終端部にわたって配置されている。図2に示されるように、連結部材5の長さL3は、長さL1よりも短く、且つ、長さL2より長い(L2<L3<L1)。
【0031】
連結部材5の端部5bとバッキングシート7の端部8bとの間の長さは、被検液が溜められる容器に応じて適宜設定される。連結部材5の端部5bとバッキングシート7の端部8bとの間の長さが短すぎると、容器の上縁と連結部材5とが当接し、容器内に検査体3が十分に挿入されないおそれがある。この場合、検査具1が倒れ、容器から検査体3が抜ける可能性がある。そのため、連結部材5の端部5bとバッキングシート7の端部8bとの間の長さは、例えば、容器が図6に示すチューブCの場合、チューブCの高さ方向の中央付近まで検査体3が到達するように設定されることが好ましい。チューブCがPCRチューブである場合、連結部材5の端部5bとバッキングシート7の端部8bとの間の長さは、例えば、1cm〜3cm程度に設定される。
【0032】
連結部材5には、目盛り20が設けられている。目盛り20は、メンブレン9の検出結果、つまりテストライン9a〜9cの視認性を補助する。目盛り20は、複数の検査体3の配列方向(X方向)に沿った直線である。目盛り20は、バッキングシート7の第2面7bに接合される面に表示されている。目盛り20は、メンブレン9の展開方向の両端部を含む位置(当該両端部を含むX方向に沿った仮想線の範囲内)に、テストライン9a〜9cに対応して設けられている。目盛り20は、各検査体3が連結部材5に取り付けられる前に設けられていてもよいし、連結部材5に各検査体3が取り付けられた後に設けられてもよい。また、目盛り20には、線だけではなく、文字(例えば、数字、記号等)が設けられてもよい。
【0033】
検査具1の使用方法について説明する。以下では、図6に示されるように、複数の連結されたチューブ(容器)Cに溜められた被検液の検査を行う形態を一例に説明する。チューブCは、例えば、ウェルプレートに一列に配置されている。検査具1を使用するときには、図6(a)に示されるように、検査具1の各検査体3を各チューブCの上方に位置させ、図6(b)に示されるように、各検査体3を各チューブCに挿入する。また、検査具1の他の使用方法としては、例えば、サンプルパッド13が上側を向くように検査具1を配置し、サンプルパッド13に被検液を滴下する方法がある。
【0034】
従来の検査具では、連結部材が被検液に浸漬される端部とは反対側の端部に設けられるため、一列に並設された容器に検査体を挿入するときに、検査体の端部の位置がずれることがある。そのため、従来の検査具では、各検査体を容器に対してスムーズに挿入できないおそれがある。特に、検査体が挿入される容器がPCRチューブ等の開口部が小さいチューブである場合、この問題が特に顕著となる。
【0035】
本実施形態に係る検査具1では、連結部材5の少なくとも一部は、メンブレン9における展開方向の始端部側に位置するバッキングシート7の端部8bと、バッキングシート7の長手方向における中間位置との間の範囲内に設けられている。これにより、検査具1は、従来の検査具に比べて、被検液に浸漬されるバッキングシート7の端部8bと連結部材5との間の距離が短い。そのため、検査具1では、バッキングシート7の撓み量を小さくすることができる。したがって、検査具1は、一列に配置されたチューブCに各検査体3を挿入するときに、検査体3の端部のずれ量を小さくできる。つまり、検査具1を図4に示す側面から見たときに、検査体3の端部が図示左右方向にずれることを抑制できる。したがって、検査具1では、複数の検査体3をチューブCに対してスムーズに挿入できる。その結果、作業効率の向上を図ることができる。
【0036】
また、検査具1では、連結部材5の少なくとも一部を、メンブレン9における展開方向の始端部側に位置するバッキングシート7の端部8bと、バッキングシート7の長手方向における中間位置との間の範囲内に設けているため、連結部材5の重心の位置を低く設定できる。したがって、検査具1をチューブCに挿入したときに、検査具1が倒れることを抑制できる。
【0037】
本実施形態に係る検査具1では、連結部材5の端部5aは、バッキングシート7の端部8aに位置している。この構成では、連結部材5の端部5bが、バッキングシート7の中央部よりも展開方向の上流側に位置し、連結部材5の端部5aが、バッキングシート7の端部8aに位置する。そのため、連結部材5は、バッキングシート7の長さの1/2以上の領域にわたって配置される。これにより、連結部材5によって各検査体3を安定的に保持できる。
【0038】
本実施形態に係る検査具1では、連結部材5は、シート状であり、バッキングシート7の第2面7bに接合されている。この構成では、連結部材5に各検査体3を接着剤等で接合すればよいため、構成の簡易化を図れる。
【0039】
本実施形態に係る検査具1では、連結部材5は、複数の検査体3それぞれのバッキングシート7の第1面7aが同じ方向を向くように、各検査体3を連結している。この構成では、各検査体3をチューブCに挿入したときに、メンブレン9が同じ方向を向くため、メンブレン9における検出結果を容易に確認することができる。
【0040】
本実施形態に係る検査具1では、連結部材5には、メンブレン9の検出結果の視認性を補助する目盛り20が設けられている。この構成では、メンブレン9の検出結果をより明確に確認することができる。
【0041】
本実施形態に係る検査具1では、連結部材5は、撥水性を有している。この構成では、一の検査体3を展開する被検液が連結部材5を介して他の検査体3に展開することを抑制できる。したがって、検査具1の信頼性の低下を抑制できる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0043】
上記実施形態では、検査具1に8個の検査体3が設けられている形態を一例に説明した。しかし、検査体3の数は、設計に応じて適宜設定される。
【0044】
上記実施形態では、連結部材5に目盛り20が設けられている形態を一例に説明した。しかし、連結部材5に目盛り20が設けられていなくてもよい。
【0045】
上記実施形態では、メンブレン9に3つのテストライン9a〜9cが設けられている形態を一例に説明した。しかし、メンブレン9に設けられるテストラインの数は適宜設定される。
【0046】
上記実施形態では、各検査体3が同じ方向を向くように、連結部材5が各検査体3を連結する形態を一例に説明した。しかし、各検査体3が同じ方向を向いていなくてもよい。
【0047】
上記実施形態では、連結部材5が板部材である形態を一例に説明した。しかし、連結部材は、例えば、棒状部材、格子状部材等であってもよい。
【0048】
上記実施形態では、連結部材5をバッキングシート7の第2面7bに接合する形態を一例に説明した。しかし、連結部材5による検査体3の保持形態は、これに限定されない。例えば、連結部材5は、検査体3を挟持することにより、検査体3を保持してもよい。また、連結部材5は、吸収パッド11等に接合されてもよい。
【0049】
上記実施形態では、連結部材5が各検査体3のバッキングシート7の第2面7bに接合される形態を一例に説明した。しかし、連結部材5は、バッキングシート7の長手方向に直交する他方向において複数の検査体3が所定の間隔をあけて配置されるように、複数の検査体3を連結すればよい。例えば、一の検査体3のバッキングシート7の第1面7aと、当該一の検査体と隣り合う他の検査体3のバッキングシート7の第2面7bとが対向するように、連結部材5が複数の検査体3を連結してもよい。
【0050】
上記実施形態に加えて、図7に示されるように、検査具1Aは、連結部材5Aに切れ目22が設けられていてもよい。切れ目22は、バッキングシート7の長手方向に沿って設けられている。切れ目22は、例えば、隣り合う検査体3の中央に設けられている。この構成では、切れ目22に沿って連結部材5Aを分断することにより、検査体3を一又は複数に分離できる。したがって、使用形態に応じて、検査体3の数を適宜設定できる。
【0051】
上記実施形態では、連結部材5の端部5bがコンジュゲートパッド15の展開方向の終端部に位置している形態を一例に説明した。しかし、連結部材5の端部5bは、必ずしも、コンジュゲートパッド15の展開方向の終端部に位置していなくてもよい。
【0052】
上記実施形態では、連結部材5の端部5aがバッキングシート7の端部8aに位置している形態を一例に説明した。しかし、図8に示す検査具1Bのように、連結部材の端部5aが、バッキングシート7の端部8aよりも展開方向下流側に位置していてもよい。
【0053】
上記実施形態では、検査体3がサンプルパッド13及びコンジュゲートパッド15を有する形態を一例に説明した。しかし、サンプルパッド13及びコンジュゲートパッド15が設けられていなくてもよい。例えば、図9に示す検査具1Cでは、検査体3Aは、バッキングシート7と、メンブレン9Aと、吸収パッド11と、を有している。つまり、検査体3Aには、サンプルパッド及びコンジュゲートパッドが設けられていない。また、サンプルパッド13及びコンジュゲートパッド15の少なくとも一方が設けられていなくてもよい。なお、コンジュゲートパッド15を設けない場合には、標的物質を着色粒子等と容器内で予め反応させ、生じた複合体を検査体に展開して検出する。
【0054】
上記実施形態に加えて、検査具1は、一部又は全部が透明な保護フィルム等で覆われていてもよい。サンプルパッド13の展開方向の始端部側の一部は露出していることが好ましい。保護フィルムで覆うことにより、例えば、サンプルパッド13以外の部分において検査具1に液体が付着することを抑制できる。
【0055】
上記実施形態では、連結部材5とバッキングシート7とが別部材である形態を一例に説明した。しかし、連結部材とバッキングシートとが一体に成形された形態であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B,1C…検査具、3,3A…検査体、5…連結部材、5a,5b…端部、7…バッキングシート(基材)、7a…第1面(一面)、8a,8b…端部、9,9A…メンブレン(検出部)、11…吸収パッド(吸収部)、13…サンプルパッド(採取部)、15…コンジュゲートパッド(試薬保持部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9