(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6889997
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】半導体集積回路およびタイミングコントローラ、表示装置
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20210607BHJP
G01R 31/08 20200101ALI20210607BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
H04L25/02 301B
G01R31/08
G01R31/28 V
H04L25/02 V
【請求項の数】24
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-196718(P2016-196718)
(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公開番号】特開2017-76961(P2017-76961A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2019年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-203167(P2015-203167)
(32)【優先日】2015年10月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】志水 孝至
【審査官】
北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−213246(JP,A)
【文献】
特開平03−048357(JP,A)
【文献】
特開2015−008424(JP,A)
【文献】
特開2015−008423(JP,A)
【文献】
特開平09−331361(JP,A)
【文献】
特開平09−139721(JP,A)
【文献】
特開2000−057677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
G01R 31/08
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動出力ピンと、
それぞれが、対応する差動出力ピンを介して対応するチャンネルの差動伝送線路を駆動する、N個の差動トランスミッタと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
を含み、
前記異常検出回路は、それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の一方の信号線の電圧を所定の第2しきい値電圧と比較する、N個の第2コンパレータをさらに含み、
前記第2しきい値電圧は、前記差動伝送線路を伝搬する差動信号の変動レンジより高く定められており、
前記ロジック回路は、前記N個の第2コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第2モードの異常を検出することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動入力ピンと、
それぞれが、対応する差動入力ピンを介して、対応するチャンネルの差動信号を受信する、N個の差動レシーバと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
を含み、
前記異常検出回路は、それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の一方の信号線の電圧を所定の第2しきい値電圧と比較する、N個の第2コンパレータをさらに含み、
前記第2しきい値電圧は、前記差動伝送線路を伝搬する差動信号の変動レンジより高く定められており、
前記ロジック回路は、前記N個の第2コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第2モードの異常を検出することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
前記異常検出回路は、それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の一方の信号線の電圧を所定の第3しきい値電圧と比較する、N個の第3コンパレータをさらに含み、
前記第3しきい値電圧は、前記差動伝送線路を伝搬する差動信号の変動レンジより低く定められており、
前記ロジック回路は、前記N個の第3コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第3モードの異常を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動出力ピンと、
それぞれが、対応する差動出力ピンを介して対応するチャンネルの差動伝送線路を駆動する、N個の差動トランスミッタと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
を含み、
前記異常検出回路は、それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の一方の信号線の電圧を所定の第3しきい値電圧と比較する、N個の第3コンパレータをさらに含み、
前記第3しきい値電圧は、前記差動伝送線路を伝搬する差動信号の変動レンジより低く定められており、
前記ロジック回路は、前記N個の第3コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第3モードの異常を検出することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項5】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動入力ピンと、
それぞれが、対応する差動入力ピンを介して、対応するチャンネルの差動信号を受信する、N個の差動レシーバと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
を含み、
前記異常検出回路は、それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の一方の信号線の電圧を所定の第3しきい値電圧と比較する、N個の第3コンパレータをさらに含み、
前記第3しきい値電圧は、前記差動伝送線路を伝搬する差動信号の変動レンジより低く定められており、
前記ロジック回路は、前記N個の第3コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第3モードの異常を検出することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
前記異常検出回路は、
それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の他方の信号線の電圧を前記第2しきい値電圧と比較する、N個の第4コンパレータをさらに含み、
前記ロジック回路は、前記N個の第4コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第2モードの異常を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記異常検出回路は、
それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の他方の信号線の電圧を前記第3しきい値電圧と比較する、N個の第5コンパレータをさらに含み、
前記ロジック回路は、前記N個の第5コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第3モードの異常を検出することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記異常検出回路はレジスタをさらに含み、
前記ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、前記レジスタに、異常が発生したチャンネルが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込むことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項9】
前記ロジック回路は、前記レジスタに、発生した異常のモードが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込むことを特徴とする請求項8に記載の半導体集積回路。
【請求項10】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動出力ピンと、
それぞれが、対応する差動出力ピンを介して対応するチャンネルの差動伝送線路を駆動する、N個の差動トランスミッタと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
レジスタと、
を含み、
前記ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、前記レジスタに、異常が発生したチャンネルおよび異常のモードが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込むことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項11】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動入力ピンと、
それぞれが、対応する差動入力ピンを介して、対応するチャンネルの差動信号を受信する、N個の差動レシーバと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
レジスタと、
を含み、
前記ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、前記レジスタに、異常が発生したチャンネルおよび異常のモードが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込むことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項12】
前記異常検出回路はレジスタをさらに含み、
前記ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、前記レジスタに、発生した異常のモードが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込むことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項13】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動出力ピンと、
それぞれが、対応する差動出力ピンを介して対応するチャンネルの差動伝送線路を駆動する、N個の差動トランスミッタと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
レジスタと、
を含み、
前記ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、前記レジスタに、発生した異常のモードが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込むことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項14】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動入力ピンと、
それぞれが、対応する差動入力ピンを介して、対応するチャンネルの差動信号を受信する、N個の差動レシーバと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
レジスタと、
を含み、
前記ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、前記レジスタに、発生した異常のモードが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込むことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項15】
前記レジスタは、Nチャンネルに割り当てられるN個のアドレスを含み、
前記ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、そのチャンネルに対応するアドレスに、異常の発生を示すデータを書き込むことを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項16】
前記レジスタは、想定される複数のモードに割り当てられる複数のアドレスを含み、
前記ロジック回路は、あるモードの異常を検出すると、そのモードに対応するアドレスに、異常の発生を示すデータを書き込むことを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項17】
インタフェース回路をさらに備え、
前記レジスタのデータに外部からアクセス可能であることを特徴とする請求項8から16のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項18】
フェイル端子をさらに備え、
前記ロジック回路は、少なくともひとつの差動伝送線路の異常を検出すると、フェイル端子のフェイル信号をアサートすることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項19】
前記差動伝送線路には、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)信号が伝搬することを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項20】
N≧2であり、
前記アンプおよび前記第1コンパレータのセットを、N個より少ないM個(1≦M<N)に減らし、複数チャンネル間で、前記アンプおよび前記第1コンパレータのセットを時分割で共有することを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項21】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動出力ピンと、
それぞれが、対応する差動出力ピンを介して対応するチャンネルの差動伝送線路を駆動する、N個の差動トランスミッタと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
を含み、
N≧2であり、
前記アンプおよび前記第1コンパレータのセットを、N個より少ないM個(1≦M<N)に減らし、複数チャンネル間で、前記アンプおよび前記第1コンパレータのセットを時分割で共有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項22】
Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される、半導体集積回路であって、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動入力ピンと、
それぞれが、対応する差動入力ピンを介して、対応するチャンネルの差動信号を受信する、N個の差動レシーバと、
前記Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、
を備え、
前記異常検出回路は、
それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、
それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、
前記N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、
を含み、
N≧2であり、
前記アンプおよび前記第1コンパレータのセットを、N個より少ないM個(1≦M<N)に減らし、複数チャンネル間で、前記アンプおよび前記第1コンパレータのセットを時分割で共有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項23】
ディスプレイドライバに複数の差動伝送線路を介して画像データを送信するタイミングコントローラであって、
請求項1から22のいずれかに記載の半導体集積回路を備えることを特徴とするタイミングコントローラ。
【請求項24】
請求項23に記載のタイミングコントローラを備えることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路に関し、特にその異常検出に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる半導体集積回路の間で高速なデータ伝送を行うために、差動信号が利用される。
図1は、差動信号を利用した差動伝送システムを示す回路図である。差動伝送システム1rは、第1の半導体集積回路(以下、送信回路という)2と、第2の半導体集積回路(以下、受信回路という)4と、を備える。送信回路2と受信回路4の間は、差動伝送線路3を介して接続される。差動伝送線路3は、一対の信号線3
P・3
Nを含む。送信回路2は、差動トランスミッタ6を備える。差動トランスミッタ6は、送信すべきデータに応じて差動伝送線路3を駆動する。受信回路4は、差動レシーバ8を備える。
【0003】
いくつかの用途では、送信回路2と受信回路4の間は、複数チャンネルの差動伝送線路3を介して接続され、送信回路2には複数の差動トランスミッタ6が、受信回路4には複数の差動レシーバ8が内蔵される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−278797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1の差動伝送システム1rにおいては、以下の異常、故障が発生しうる。
図2(a)〜(d)は、異常、故障を示す図である。
・差動伝送線路3のペア3
P、3
N間のショート …
図2(a)
・差動伝送線路3の一方の信号線3
P(3
N)がオープン…
図2(b)
・差動伝送線路3の一方の信号線3
P(3
N)がグランドショート(地絡)…
図2(c)
・差動伝送線路3の一方の信号線3
P(3
N)が電源ショート(天絡)…
図2(d)
このような異常、故障が発生すると、正確なデータ伝送が不可能となるばかりか、大電流が流れて発熱の要因となり、他の回路に悪影響を及ぼす可能性もある。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、差動伝送線路の異常を検出可能な半導体集積回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される半導体集積回路に関する。半導体集積回路は、それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動出力ピンと、それぞれが、対応する差動出力ピンを介して対応するチャンネルの差動伝送線路を駆動する、N個の差動トランスミッタと、Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、を備える。異常検出回路は、それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、を含む。
【0008】
この態様によると、差動信号を送信する機能を備える半導体集積回路において、複数のチャンネルの差動伝送線路それぞれについて、第1ライン(非反転、正相)と第2ライン(反転、逆相)の間のショートを検出することができる。
【0009】
本発明の別の態様も、Nチャンネル(Nは自然数)の差動伝送線路を介して、別の回路と接続される半導体集積回路に関する。半導体集積回路は、それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路と接続されるN対の差動入力ピンと、それぞれが、対応する差動入力ピンを介して、対応するチャンネルの差動信号を受信するN個の差動レシーバと、Nチャンネルの差動伝送線路に生ずる異常を検出する異常検出回路と、を備える。異常検出回路は、それぞれが対応するチャンネルの差動伝送線路の電位差を検出するN個のアンプと、それぞれが対応するアンプの出力電圧を所定の第1しきい値電圧と比較する、N個の第1コンパレータと、N個の第1コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第1モードの異常を検出するロジック回路と、を含む。
【0010】
この態様によると、差動信号を受信する機能を備える半導体集積回路において、複数のチャンネルの差動伝送線路それぞれについて、第1ライン(非反転)と第2ライン(反転)の間のショートを検出することができる。
【0011】
ある態様の半導体集積回路は、フェイル端子をさらに備えてもよい。ロジック回路は、少なくともひとつの差動伝送線路の異常を検出すると、フェイル端子のフェイル信号をアサートしてもよい。これにより、外部の回路に、差動伝送線路の異常を通知することができ、必要に応じて保護処理を行うことができる。
【0012】
異常検出回路は、それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の一方の信号線の電圧を所定の第2しきい値電圧と比較する、N個の第2コンパレータをさらに含んでもよい。第2しきい値電圧は、差動伝送線路を伝搬する差動信号の変動レンジより高く定められており、ロジック回路は、N個の第2コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第2モードの異常を検出してもよい。
これにより、差動伝送線路の天絡に起因する異常を検出できる。
【0013】
異常検出回路は、それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の一方の信号線の電圧を所定の第3しきい値電圧と比較する、N個の第3コンパレータをさらに含んでもよい。第3しきい値電圧は、差動伝送線路を伝搬する差動信号の変動レンジより低く定められており、ロジック回路は、N個の第3コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第3モードの異常を検出してもよい。
これにより、差動伝送線路の地絡に起因する異常を検出できる。
【0014】
異常検出回路は、それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の他方の信号線の電圧を第2しきい値電圧と比較する、N個の第4コンパレータをさらに含んでもよい。ロジック回路は、N個の第4コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第2モードの異常を検出してもよい。
【0015】
異常検出回路は、それぞれが、対応するチャンネルの差動伝送線路の他方の信号線の電圧を第3しきい値電圧と比較する、N個の第5コンパレータをさらに含んでもよい。ロジック回路は、N個の第5コンパレータそれぞれの出力にもとづいて、対応するチャンネルの差動伝送線路の第3モードの異常を検出してもよい。
【0016】
異常検出回路はレジスタをさらに含んでもよい。ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、レジスタに、異常が発生したチャンネルが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込んでもよい。
レジスタにアクセスすることにより、異常の発生したチャンネルを特定できる。
【0017】
ロジック回路は、レジスタに、発生した異常のモードが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込んでもよい。
レジスタにアクセスすることにより、異常のモードを特定できる。
【0018】
前記異常検出回路はレジスタをさらに含んでもよい。ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、レジスタに、発生した異常のモードが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込んでもよい。
レジスタにアクセスすることにより、異常のモードを特定できる。
【0019】
レジスタは、Nチャンネルに割り当てられるN個のアドレスを含んでもよい。ロジック回路は、いずれかのチャンネルの差動伝送線路の異常を検出すると、そのチャンネルに対応するアドレスに、異常の発生を示すデータを書き込んでもよい。
【0020】
レジスタは、想定される複数のモードに割り当てられる複数のアドレスを含んでもよい。ロジック回路は、あるモードの異常を検出すると、そのモードに対応するアドレスに、異常の発生を示すデータを書き込んでもよい。
【0021】
半導体集積回路は、インタフェース回路をさらに備え、レジスタのデータに外部からアクセス可能であってもよい。
外部からレジスタにアクセスすることで、異常の様子を調べることができる。
【0022】
差動伝送線路には、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)信号が伝搬してもよい。LVDSシステムでは、差動レシーバの入力間、つまり差動伝送線路のラインペアの間に抵抗が設けられる。オープン故障が発生したとき、この抵抗によりラインペアの電位が近接するため、第1モードの故障として検出することができる。
【0023】
本発明の別の態様は、ディスプレイドライバに複数の差動伝送線路を介して画像データを送信するタイミングコントローラに関する。タイミングコントローラは、上述のいずれかの半導体集積回路を備えてもよい。
【0024】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0025】
本発明のある態様によれば、差動伝送線路の異常を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】差動信号を利用した差動伝送システムを示す回路図である。
【
図2】
図2(a)〜(d)は、異常、故障を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る半導体集積回路の回路図である。
【
図4】
図4(a)〜(d)は、レジスタを示す図である。
【
図5】
図5(a)〜(d)は、半導体集積回路の動作波形図である。
【
図6】半導体集積回路を備える表示装置のブロック図である。
【
図7】第6変形例に係る半導体集積回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0028】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0029】
図3は、実施の形態に係る半導体集積回路100の回路図である。半導体集積回路100は、Nチャンネルの差動伝送線路3を介して、別の回路(受信回路)と接続される。本実施の形態では、チャンネル数をN(Nは自然数)とする。またチャンネルの番号は、添え字で示す。
【0030】
半導体集積回路100は、N個の差動出力ピンOUTP/OUTN、N個の差動トランスミッタ10_1〜10_N、内部回路12、異常検出回路20、インタフェース回路40を備える。
【0031】
内部回路12は、所定の信号処理を行うデジタル回路あるいはアナログデジタル混載回路であり、受信回路に対して送信すべきデータを生成する。このデータは、Nチャンネルの差動伝送線路3_1〜3_Nを介して、別回路にシリアル伝送される。シリアル伝送には、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)伝送、mini−LVDS伝送などを用いることができるが、伝送方式は特に問わない。
【0032】
N個の差動出力ピンOUTP/OUTNはそれぞれ、対応するチャンネルの差動伝送線路3と接続される。N個の差動トランスミッタ10_1〜10_Nは、複数のチャンネルCH1〜CHNの差動伝送線路3_1〜3_Nに対応する。i番目(1≦i≦N)の差動トランスミッタ10_iは、対応する差動出力ピンOUTP/OUTNを介して、対応するチャンネルCHiの差動伝送線路3_iを駆動する。差動トランスミッタ10の構成も特に限定されず、図示しない受信回路に搭載される差動レシーバと対をなして、差動信号を伝送可能に構成すればよく、公知技術を用いればよい。
【0033】
異常検出回路20は、NチャンネルCH1〜CHNの差動伝送線路3_1〜3_Nに生ずる異常を検出する。異常検出回路20は、異なる3つのモードの異常を検出可能である。
【0034】
異常検出回路20は、NチャンネルCH1〜CHNに対応するN個のアナログフロントエンド回路22_1〜22_Nと、ロジック回路24、レジスタ26、を備える。
【0035】
アナログフロントエンド回路22_1〜22_Nは同様に構成され、それぞれが、第1コンパレータCMP1、アンプAMP1、第2コンパレータCMP2、第3コンパレータCMP3、第4コンパレータCMP4、第5コンパレータCMP5を含む。
【0036】
(第1モードの異常)
アンプAMP1_iは、対応するチャンネルCHiの差動伝送線路3_iの電位差を検出する。第1コンパレータCMP1_iは、対応するアンプAMP1_iの出力電圧V
Sを所定の第1しきい値電圧V
TH1と比較する。ロジック回路24は、第1コンパレータCMP1_iの出力にもとづいて、対応するチャンネルCHiの差動伝送線路3_iにおいて生ずる第1モードの異常を検出する。たとえばロジック回路24は、V
S<V
TH1の状態が、所定時間にわたり持続すると、第1モードの異常が発生したものと判定してもよい。所定時間は、差動信号の周期の数サイクルであってもよい。
【0037】
アンプAMP1の利得をg、差動信号の振幅をΔVとすると、
V
S=g×(V
P−V
N)=g×2ΔV
である。ΔV
TH=V
TH1/(2g)とすれば、
ΔV<ΔV
TH
のときに、第1モードの異常と判定される。
【0038】
(第2モードの異常)
第2コンパレータCMP2_iは、対応するチャンネルCHiの差動伝送線路3の一方の信号線3
Pの電圧V
Pを所定の第2しきい値電圧V
THHと比較する。第4コンパレータCMP4_iは、対応するチャンネルCHiの差動伝送線路3の他方の信号線3
Pの電圧V
Nを第2しきい値電圧V
THHと比較する。第2しきい値電圧V
THHは、差動伝送線路3_iを伝搬する差動信号の変動レンジより高く定められる。つまり差動信号の半値振幅をΔV、差動信号のコモン電圧をV
COMとするとき、
V
THH>V
COM+ΔV
を満たす。
【0039】
ロジック回路24は、第2コンパレータCMP2_iの出力にもとづいて、対応するチャンネルCHiの差動伝送線路3_iにおいて生ずる第2モードの異常を検出する。たとえばロジック回路24は、V
P>V
THHの状態が、所定時間にわたり持続すると、第2モードの異常が発生したものと判定してもよい。同様にロジック回路24は、第4コンパレータCMP4_iの出力を参照し、V
N>V
THHの状態が、所定時間にわたり持続すると、第2モードの異常が発生したものと判定してもよい。
【0040】
(第3モードの異常)
第3コンパレータCMP3_iは、対応するチャンネルCHiの差動伝送線路3の一方の信号線3
Pの電圧V
Pを所定の第3しきい値電圧V
THLと比較する。第5コンパレータCMP5_iは、対応するチャンネルCHiの差動伝送線路3の他方の信号線3
Pの電圧V
Nを第3しきい値電圧V
THLと比較する。第3しきい値電圧V
THLは、差動伝送線路3_iを伝搬する差動信号の変動レンジより低く定められる。つまり差動信号の半値振幅をΔV、差動信号のコモン電圧をV
COMとするとき、
V
TH><V
COM−ΔV
を満たす。
【0041】
ロジック回路24は、第3コンパレータCMP3_iの出力にもとづいて、対応するチャンネルCHiの差動伝送線路3_iにおいて生ずる第3モードの異常を検出する。たとえばロジック回路24は、V
P<V
THLの状態が、所定時間にわたり持続すると、第3モードの異常が発生したものと判定してもよい。同様にロジック回路24は、第5コンパレータCMP5_iの出力を参照し、V
N<V
THLの状態が、所定時間にわたり持続すると、第3モードの異常が発生したものと判定してもよい。
【0042】
半導体集積回路100には、フェイル(FAIL)端子が設けられる。ロジック回路24は、NチャンネルCH1〜CHNのいずれかの差動伝送線路3の異常を検出すると、FAIL端子のフェイル信号をアサートする。たとえばロジック回路24は、FAIL端子から、ハイレベル/ローレベル2値のフェイル信号を出力してもよいし、オープンコレクタ(オープンドレイン)形式で、FAIL端子をローレベル状態とハイインピーダンス状態の2状態で切りかえてもよい。
【0043】
レジスタ26は、インタフェース回路40およびバスを介して図示しない外部回路と接続されており、外部回路から参照可能であり、また外部回路によりデータを書き込み可能となっている。インタフェース回路40はたとえばI
2C(Inter IC)インタフェースなどのシリアルインタフェースであってもよい。あるいはインタフェース回路40はパラレルインタフェースであってもよい。
【0044】
ロジック回路24は、いずれかのチャンネルCHj(1≦j≦N)の差動伝送線路3_jの異常を検出すると、レジスタ26に、異常が発生したチャンネルCHjが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込む(すなわち異常フラグを立てる)。より好ましくはロジック回路24は、レジスタ26に、発生した異常のモードが識別可能な態様にて、異常の発生を示すデータを書き込む。
【0045】
図4(a)〜(d)は、レジスタ26を示す図である。
図4(a)のレジスタ26は、全チャンネルCH1〜CHNについて、コンパレータCMP1〜CMP5に対応する複数のアドレスADR
11〜ADR
N5を含んでもよい。1≦j≦N、1≦k≦5として、アドレスADR
jkには、チャンネルCHjのk番目のコンパレータCMPkにより異常が検出されたときに、異常を示す値(たとえば1)が書き込まれる。
【0046】
図4(a)において、同じチャンネル内のADR
j2とADR
j4は第2モードの異常を示すため冗長とも言える。同様に同じチャンネル内のADR
j3とADR
j5は第3モードの異常を示すため冗長とも言える。そこで
図4(b)のレジスタ26は、全チャンネルCH1〜CHNについて、3つのモードに対応する複数のアドレスADR
11〜ADR
N3を含んでもよい。1≦j≦N、1≦m≦3として、アドレスADR
jmには、チャンネルCHjの第mモードの異常が検出されたときに、異常を示す値(たとえば1)が書き込まれる。
【0047】
いずれのチャンネルで異常が生じたかのみを記録したい場合、
図4(c)に示すように、レジスタ26は、チャンネルCH1〜CHNに対応するN個のアドレスADR
1〜ADR
Nで構成することができる。1≦j≦Nとして、アドレスADR
jには、チャンネルCHjにおいて、第1モードから第3モードのいずれかの異常が検出されたときに、異常を示す値(たとえば1)が書き込まれる。
【0048】
いずれのモードの異常が生じたかのみを記録したい場合、
図4(d)に示すように、レジスタ26は、3つのモードに対応する3個のアドレスADR
1〜ADR
3で構成することができる。1≦m≦3として、アドレスADR
mには、いずれかのチャンネルCHにおいて、第mモードの異常が検出されたときに、異常を示す値(たとえば1)が書き込まれる。
【0049】
以上が半導体集積回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
図5(a)〜(d)は、半導体集積回路100の動作波形図である。
図5(a)は、差動伝送線路3が正常であるときの波形図である。このときV
PとV
Nの電位差、つまり振幅ΔVは、ΔV
THよりも大きいため、第1モードに関して正常と判定される。
【0050】
またV
THL<V
P<V
THH、V
THL<V
P<V
THHが成り立つため、第2モード、第3モードに関しても正常と判定される。
【0051】
図5(b)は、差動伝送線路3の非反転ライン(正相ライン)3
Pと反転ライン(逆相ライン)3
Nがショートした場合を示す。このときV
PとV
Nの電位差は実質的にゼロとなり、したがってΔV<ΔV
THが成り立つから、第1モードの異常と判定される。
【0052】
なおLVDS伝送システムでは、
図1に示すように受信回路の差動レシーバ8の入力に、差動伝送線路3
P、3
N間を接続する抵抗Rが設けられる。この抵抗Rがショート故障した場合にも、
図5(b)の波形が観測されうる。したがって第1モードの異常は、受信回路の内部の故障も検出対象となっている。
【0053】
図5(c)は、差動伝送線路3の一方のライン(ここでは非反転ライン3
P)が電源ラインにショート(天絡)したときの波形図である。このときV
P≒V
DDとなり、V
P>V
THHが成り立つから、第2モードの異常と判定される。
【0054】
図5(d)は、差動伝送線路3の一方のライン(ここでは非反転ライン3
P)が接地ラインにショート(地絡)したときの波形図である。このときV
P≒V
GND(0V)となり、V
P<V
THLが成り立つから、第3モードの異常と判定される。
【0055】
また、図示しないが差動伝送線路3の一方のラインが、オープン故障した場合には、その電位は不定となる。したがって、第1モードから第3モードのいずれかの異常として検出されることとなる。なおLVDS伝送システムでは、上述のように、受信回路の差動レシーバの入力に、差動伝送線路3
P、3
N間を接続する抵抗が設けられ、したがって差動伝送線路3の一方のラインがオープン故障した場合、オープン故障したラインの電位は、レシーバ側の抵抗を介して正常なラインの電位に近づくこととなる。したがってLVDSシステムにおいては、オープン故障は、第1モードとして検出することが可能である。
【0056】
以上が半導体集積回路100の動作である。
実施の形態に係る半導体集積回路100によれば、差動伝送線路3のペア間のショートを第1モードの異常として、差動伝送線路3の一方のラインの天絡を第2モードの異常として、差動伝送線路3の一方のラインの地絡を第3モードの異常として検出することができる。
【0057】
また、何らかの異常を検出すると、FLG端子の信号をアサートすることにより、外部回路に異常の発生を通知することができる。通知を受けた外部回路は、それに応答して、必要な保護処理を実行できる。すなわち半導体集積回路100は、異常が発生したときの保護処理を外部回路(たとえばホストプロセッサ)に委ねることができる。
【0058】
半導体集積回路100では、レジスタ26に、異常が発生したチャンネル、発生したモードが区別可能な態様にて、異常を示すフラグが書き込まれる。したがってFLG信号のアサートを検出した外部回路は、インタフェース回路40を介してレジスタ26にアクセスすることにより、具体的に異常が発生した箇所、また異常の状態を知ることができる。
【0059】
続いて、半導体集積回路100の用途を説明する。
図6は、半導体集積回路100を備える表示装置200のブロック図である。表示装置200は、ホストプロセッサ202、タイミングコントローラ204、ソースドライバ206、ゲートドライバ208、ディスプレイパネル210を備える。ディスプレイパネル210は、液晶パネルや有機ELパネルなどのマトリクス型表示デバイスであり、複数のデータライン、複数の走査ラインおよび複数の画素を有する。
【0060】
ホストプロセッサ(グラフィックプロセッサ)202は、ディスプレイパネル210に表示すべき画像データS1を生成する。画像データS1は、ホストプロセッサ202からタイミングコントローラ204へとシリアル伝送される。タイミングコントローラ204は、データ入力DATAINに画像データS1を受ける。
【0061】
タイミングコントローラ204は、上述の半導体集積回路100に相当する機能IC(Integrated Circuit)である。タイミングコントローラ204は、
図3に示す半導体集積回路100の機能ブロックに加えて、画像データS1を受信するレシーバをさらに備える。タイミングコントローラ204の内部回路12は、画像データS1に所定の信号処理を施し、データ処理後の画素データ(RGBデータ)を生成するとともに、ソースドライバ206やゲートドライバ208に対する制御信号を生成する。制御信号には、垂直同期信号(VSYNC)、水平同期信号(HSYNC)、データイネーブル(DE)信号などが含まれる。半導体集積回路100の複数の差動トランスミッタ10は、内部回路12が生成したRGBデータを、シリアル差動形式の画素データS3として、ソースドライバ206へと送信する。
【0062】
ゲートドライバ(走査ドライバ)208は、タイミングコントローラ204からの制御信号S2と同期して、ディスプレイパネル210の複数の走査ラインを順に選択する。
【0063】
ソースドライバ(データドライバ)206は、ディスプレイパネル210の複数のデータラインそれぞれに、タイミングコントローラ204から送信される画素データS3に応じた駆動電圧S4を印加する。ソースドライバ206は、複数のICに分割されてもよい。
【0064】
このような表示装置200においては、タイミングコントローラ204とソースドライバ206の間は、数十〜数百本の差動伝送線路3が設けられる。タイミングコントローラ204を、実施の形態に係る半導体集積回路100のアーキテクチャを採用することで、複数の差動伝送線路3において生ずる様々な異常、故障を検出することができる。
【0065】
また、
図6に示すように、FLG端子をホストプロセッサ202と接続することにより、ホストプロセッサ202は、差動伝送線路3において生ずる異常を検知できる。また、タイミングコントローラ204のI/F端子とホストプロセッサ202は、I
2Cバスを介して接続することで、ホストプロセッサ202は、タイミングコントローラ204内のレジスタ26を参照することで、異常の発生箇所、異常のモードを検出できる。
【0066】
図6の表示装置200は、車載用のコンソールディスプレイに用いることができる。あるいは表示装置200は、スマートホンやタブレットPC、ノート型ディスプレイ、カーナビゲーションシステムなどの電子機器にも搭載可能である。そのほか、汎用ディスプレイ、テレビなどにも搭載可能である。
【0067】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0068】
(第1変形例)
実施の形態では、半導体集積回路100を第1モードから第3モードの異常を検出可能としたが、本発明はそれには限定されない。たとえば第2コンパレータCMP2〜第5コンパレータCMP5を省略して、第1モードのみを検出可能としてもよい。この場合でも、差動伝送線路3のペア間のショートを検出でき、またLVDSシステムのようにレシーバが差動間の抵抗Rを有する構成では、差動伝送線路3のラインのオープンを検出することができ、これで十分なアプリケーションもあり得る。
【0069】
あるいは、第2モードのみ、第3モードのみを検出可能に構成してもよいし、第1モードから第3モードの任意の組み合わせを検出可能としてもよい。
【0070】
(第2変形例)
実施の形態では、1チャンネルごとに1個のアナログフロントエンド回路22を設けることとしたが、本発明はそれには限定されない。複数のチャンネル(たとえば2チャンネル、4チャンネル)ごとに、1個のアナログフロントエンド回路22を設け、1個のアナログフロントエンド回路22を時分割で複数チャンネルで共有してもよい。これにより回路面積を削減できる。
【0071】
(第3変形例)
実施の形態では、半導体集積回路100において異常が検出されたとき、保護処理を外部回路に委ねることとしたが、半導体集積回路100の内部において、何らかの保護処理を講じてもよい。たとえば、異常が検出されたチャンネルの差動トランスミッタ10を停止してもよい。
【0072】
(第4変形例)
図6の表示装置200に関して、以下の処理を行ってもよい。多くの画像データにおいて、隣接する画素の輝度(画素値)は近い傾向にある。そこであるチャンネルの差動伝送線路3において異常が発生した場合、受信回路であるソースドライバ206に、そのチャンネルを通知する。ソースドライバ206は、異常が発生したチャンネルに対応する複数の画素(異常画素)を特定し、異常画素と隣接する別の画素値を用いて、異常画素に対応するデータラインを駆動することも可能である。
【0073】
(第5変形例)
実施の形態では、半導体集積回路100の用途として表示装置200を説明したが、本発明はそれには限定されない。差動伝送線路3を介して伝送されるデータは、画像データには限定されず、オーディオデータ、数値データなど別のデータであってもよい。
【0074】
(第6変形例)
実施の形態では、差動トランスミッタを備える半導体集積回路100について説明したが、その限りではなく、差動レシーバを備える半導体集積回路にも本発明は適用可能である。
【0075】
図7は、第6変形例に係る半導体集積回路100Aの回路図である。半導体集積回路100は、Nチャンネルの差動伝送線路3を介して、別の回路(受信回路)と接続される。
【0076】
半導体集積回路100は、N個の差動入力ピンINP/INN、N個の差動レシーバ14_1〜14_N、内部回路16、異常検出回路20A、インタフェース回路40Aを備える。
【0077】
N個の差動入力ピンINP/INNはそれぞれ、対応するチャンネルの差動伝送線路3と接続される。差動伝送線路3を介したシリアル伝送には、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)伝送、mini−LVDS伝送などを用いることができるが、伝送方式は特に問わない。
【0078】
N個の差動レシーバ14_1〜14_Nは、複数のチャンネルCH1〜CHNの差動伝送線路3_1〜3_Nに対応する。i番目(1≦i≦N)の差動レシーバ14_iは、対応する差動入力ピンINP/INNを介して、対応する差動信号を受信する。差動レシーバ14の構成も特に限定されず、図示しない送信回路に搭載される差動トランスミッタと対をなして、差動信号を伝送可能に構成すればよく、公知技術を用いればよい。
【0079】
内部回路16は、所定の信号処理を行うデジタル回路あるいはアナログデジタル混載回路であり、差動レシーバ14が受信したデータを処理する。
【0080】
異常検出回路20Aは、NチャンネルCH1〜CHNの差動伝送線路3_1〜3_Nに生ずる異常を検出する。異常検出回路20Aは、
図3の異常検出回路20と同様に構成され、同様の処理を行う。
【0081】
この変形例によれば、差動信号を受信する機能を備える半導体集積回路において、複数のチャンネルの差動伝送線路それぞれについて、異なるモードの異常を検出できる。
【0082】
図7の半導体集積回路100Aは、
図6のタイミングコントローラ204であってもよい。タイミングコントローラ204とホストプロセッサ202の間は、差動伝送線路を介して接続され、タイミングコントローラ204は、DATAINピンに、差動シリアル形式の画像データを受ける。したがってタイミングコントローラ204のレシーバ回路を、
図7のアーキテクチャで構成することが可能である。
【0083】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0084】
1…差動伝送システム、100…半導体集積回路、10…差動トランスミッタ、12…内部回路、14…差動レシーバ、16…内部回路、20…異常検出回路、AMP1…アンプ、CMP1…第1コンパレータ、CMP2…第2コンパレータ、CMP3…第3コンパレータ、CMP4…第4コンパレータ、CMP5…第5コンパレータ、22…アナログフロントエンド回路、24…ロジック回路、26…レジスタ、40…インタフェース回路、2…送信回路、3…差動伝送線路、4…受信回路、6…差動トランスミッタ、8…差動レシーバ、200…表示装置、202…ホストプロセッサ、204…タイミングコントローラ、206…ソースドライバ、208…ゲートドライバ、210…ディスプレイパネル。