特許第6890011号(P6890011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6890011-低弾性率層を含む再帰反射性シート材 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890011
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】低弾性率層を含む再帰反射性シート材
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/124 20060101AFI20210607BHJP
   B29C 55/02 20060101ALI20210607BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20210607BHJP
【FI】
   G02B5/124
   B29C55/02
   B32B7/023
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-536308(P2016-536308)
(86)(22)【出願日】2014年8月13日
(65)【公表番号】特表2016-529554(P2016-529554A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】US2014050798
(87)【国際公開番号】WO2015026581
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年8月10日
【審判番号】不服2020-9637(P2020-9637/J1)
【審判請求日】2020年7月9日
(31)【優先権主張番号】61/867,427
(32)【優先日】2013年8月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】リーマ チャッタージー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エー.ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ピー.ガーラック
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ダブリュ.メイツ
【合議体】
【審判長】 里村 利光
【審判官】 樋口 信宏
【審判官】 河原 正
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−509276(JP,A)
【文献】 特表2000−508086(JP,A)
【文献】 特表2013−530411(JP,A)
【文献】 特表2004−523792(JP,A)
【文献】 特表2000−509168(JP,A)
【文献】 特開2001−254210(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0106486(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/166448(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/124
B29C 55/02
B32B 7/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰反射性物品であって、
1750MPa以上の弾性率と20μm〜1000μmの厚さとを有する1つのみの本体層と、
複数の切頭キューブコーナー素子と、
前記本体層と前記キューブコーナー素子との間の1つのみのポリマー層と、を含み、前記ポリマー層が1750MPa未満の弾性率と0.25μm〜5μmの厚さと15%未満の結晶化度を有する、再帰反射性物品。
【請求項2】
前記本体層が二軸延伸され、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アクリルコポリマー、及びポリウレタンのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項3】
前記本体層が少なくとも2500MPaの弾性率を有し、前記ポリマー層が1500MPa未満の弾性率を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の再帰反射性物品。
【請求項4】
前記ポリマー層が、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)とのコポリマー、1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンテレフタレート)コポリエステル(PETGコポリエステル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)コポリエステル(PENコポリエステル)、80:20のテレフタレート/イソフタレートCoPET、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、エチレンアクリル酸、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、UV硬化アクリレート若しくはUV硬化エポキシアクリレートポリマー、又はこれらの分散体のうち少なくとも1つを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の再帰反射性物品。
【請求項5】
請求項1記載の再帰反射性物品を形成する方法であって、
(a)1750MPa以上の弾性率と20μm〜1000μmの厚さとを有する1つのみの本体層と、
(b)1750MPa未満の弾性率と0.25μm〜5μmの厚さと15%未満の結晶化度を有する1つのみのポリマー層と、
を含む基材を提供することと、
前記基材の前記ポリマー層上に複数の切頭キューブコーナー素子を形成することと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、再帰反射性物品及び再帰反射性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再帰反射性物品は、材料に入射した光を発光源に戻す方向に転換できる機能を特徴とする。この特性により、例えば、交通安全及び個人の安全用途に使用されるシート状の再帰反射性物品が、幅広い用途で使用されるようになっている。再帰反射性シート材は、一般に様々な交通制御物品、例えば、道路標識、バリケード、ナンバープレート、路面表示、及びマーキングテープ、並びに車両及び衣類用の再帰反射性テープに用いられる。
【0003】
キューブコーナーシート材は、再帰反射性シート材の1種であり、プリズムミラー、マイクロプリズムミラー、三面鏡、又は内部全反射シート材と呼ばれることがある。この種の再帰反射性シート材は、典型的には、入射光を再帰反射する多数のキューブコーナー素子を含む。再帰反射性シート材は、典型的には、略平面状の前面と、裏面から突出しているキューブコーナー素子の配列とを有する。キューブコーナー反射素子には、一般に、単一のコーナーですなわちキューブコーナーで交わる、3つの相互にほぼ垂直な横方向面を有する、三面構造が含まれる。使用する際、再帰反射器は、通常、意図される観察者及び光源の予想位置にその前面を向けて配置される。前面上に入射した光は、シートに入り、素子の3面のそれぞれによって反射されてシートの本体を通過し、実質的に光源と平行な方向へ前面から出るようになっている。
【0004】
このようなプリズム状キューブコーナーシート材の一製造方法は、例えば、米国特許第3,689,346号(Rowland)及び米国特許第5,691,846号(Benson et al)に記載されている。上記特許は、概して、複製される凹状の成形表面に架橋可能な部分重合された樹脂を堆積させ、この樹脂を化学光又は熱に曝露させて樹脂を固化することにより、キューブコーナー再帰反射性物品を連続して複製する方法を記載している。このプロセスは、材料が堆積された後に硬化されるため、「注型硬化(cast and cure)」と呼ばれることが多い。この製造方法の欠点は、得られるシート材のキューブコーナー素子が、固化又は硬化中に、比較的高度の収縮を示し、それにより、キューブコーナーの微細構造に光学的欠陥、すなわち光の散乱を生じさせるキューブコーナー面同士に角度変化が生じ、所望する最大限の再帰反射性が得られないことである。(例えば、収縮の影響、離型時の変形、又は熱的若しくは機械的応力による変形のために)複製されたキューブコーナー素子面同士の角度を制御及び維持できない場合、再帰反射効率に著しく影響を及ぼす。キューブコーナー形状の制御及び維持をわずかでも欠くと、結果として得られる再帰反射効率に著しく悪影響を与え得る。
【0005】
米国特許第5,988,820号(Huang et al)は、高弾性率のキューブと低弾性率の本体層について記載している。この組み合わせは、シート材の屈曲性が高く、実質的に再帰反射性の損失を伴わないため、有利である。キューブコーナー素子は、曲げ時に極度の寸法安定性を示し、それにより、適合時に良好な再帰反射性能をもたらす。この寸法安定性及び良好な再帰反射性能は、高温で維持され得る。しかしながら、低弾性率の本体層の使用は、注型硬化の製造プロセスでは効果的ではない。他方で、低弾性率の本体層を使用して、注型硬化の加工を可能にするには、キャリア(例えば、ポリエステルキャリア)の使用が必要となる。キャリアを用いない場合、曲げ伸ばし加工中に低弾性率の本体層が過剰に引き伸ばされる。
【0006】
米国特許第6,325,515号(Coderre et al)及び第7,329,447号(Chirhart et al)は、PET及びCOPETを含む「二層」オーバーレイ層について記載している。この特許のオーバーレイ層は、その下の光学構造体(例えば、キューブコーナー素子)を環境から保護する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明者らは、所望の輝度(すなわち再帰反射性)を有する再帰反射性物品を形成するため、注型硬化の加工が可能であり、十分なキューブコーナー素子の忠実度を有する、低コストかつ柔軟性のある再帰反射性物品の必要性を認識した。本願の発明者らは、本体層と切頭キューブコーナー素子との間に低弾性率のポリマー層を含む再帰反射性物品を形成することにより、これらの目標全てを実現し得ると考えた。ポリマー層は、弾性率が1750MPa未満であり、本体層は、弾性率が1750MPa超である。発明者らは、低弾性率を有するポリマー層を包含することは、加工中に物品にかかる応力のうち少なくとも一部を吸収、放散、及び/又は調整することを認識した。これらの応力は、注型硬化の加工時に特に高くなる。したがって、忠実度の改善されたキューブコーナー素子を形成することができる。その結果、低弾性率を有するポリマー層を含む再帰反射性物品は、低弾性率のポリマー層のない再帰反射性物品と比較して、向上した輝度を有する。
【0008】
いくつかの実施形態は、(1)1750MPa以上の弾性率を有する本体層、(2)複数の切頭キューブコーナー素子、及び(3)本体層とキューブコーナー素子との間のポリマー層を含み、ポリマー層が1750MPa未満の弾性率を有する、再帰反射性物品に関する。
【0009】
いくつかの実施形態は、(1)(a)1750MPa以上の弾性率を有する本体層、及び(b)1750MPa未満の弾性率を有するポリマー層を含む基材を提供すること、並びに(2)切頭キューブコーナー素子がポリマー層と隣接するように、複数の切頭キューブコーナー素子を基材上に形成することを含む、再帰反射性物品の形成方法に関する。いくつかの実施形態は、複数の切頭キューブコーナー素子上に鏡面反射層を形成することを更に含む。いくつかの実施形態では、基材の本体層及びポリマー層は共押出される。いくつかの実施形態では、基材の本体層及びポリマー層は共押出され、二軸延伸される。いくつかの実施形態では、本体層及びポリマー層は吹込みフィルム加工により作製される。
【0010】
いくつかの実施形態では、本体層は少なくとも2300MPaの弾性率を有する。いくつかの実施形態では、本体層は少なくとも2500MPaの弾性率を有する。いくつかの実施形態では、本体層は少なくとも2700MPaの弾性率を有する。いくつかの実施形態では、本体層は3000MPa超の弾性率を有する。いくつかの実施形態では、本体層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アクリルコポリマー、及びポリウレタンのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、本体層は二軸延伸される。いくつかの実施形態では、本体層は、約20μm〜約2500μmの厚さを有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、切頭キューブコーナー素子は、約1.8ミル(45μm)〜約2.5ミル(63.5μm)の平均高さを有する。いくつかの実施形態では、隣接する切頭キューブコーナー素子は、ランド層によって分離されている。いくつかの実施形態では、切頭キューブコーナー素子は、別個の切頭キューブコーナー素子である。
【0012】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は1750MPa未満の弾性率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は1500MPa未満の弾性率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は1300MPa未満の弾性率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は1100MPa未満の弾性率を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は、ポリエチレン、ビニル、エチレンアクリル酸、又はポリウレタンのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー層は、二軸延伸されたポリマーを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は非晶質であり、20%未満の結晶化度を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は15%未満の結晶化度を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は10%未満の結晶化度を有する。ポリマー層中に非晶質ポリマーが存在する実施形態では、ポリマー層に使用する例示的なポリマーとして、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)との非晶質コポリマー;1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンテレフタレート)コポリエステル(PETGコポリエステル);1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)コポリエステル(PENコポリエステル);ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル;ポリ(エチレン−コ−アクリル酸);ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート);ポリカーボネート;PMMA;非晶質コポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートグリコール(PCTG)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレン−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)(PCCD)、イソフタレートコポリマー、コポリエステルエーテル(例えば、Eastman NEOSTAR(商標)エラストマー、FN005、FN006、及びFN007、並びにECDEL(商標)エラストマー、9965、9966、及び9967(米国特許第20090130606144号(Bacon)にも記載)))、80/20のCoPET(テレフタレート/イソフタレート)、並びにPET/CoPET(60/40のテレフタル酸/セバシン酸CoPET)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリマー層は、ポリ(エチレンテレフタレート)のホモポリマーを含まない。
【0015】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は、約0.25μm〜約4ミル(101μm)の厚さを有するいくつかの実施形態では、ポリマー層は、約5μm〜3ミル(76μm)の厚さを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポリマー層とキューブコーナー素子とは、相互侵入網目構造を形成する。いくつかの実施形態では、実質的なポリマー層は約45℃〜160℃の軟化点を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、物品は、別個の切頭キューブコーナー素子と接触する感圧性接着剤層を更に含み、この感圧性接着剤層は、少なくとも1つの別個のバリア層を含む。いくつかの実施形態では、再帰反射性物品は、キューブコーナー素子と隣接する鏡面反射層を更に含む。いくつかの実施形態では、物品は少なくとも250カンデラ/lux/mの輝度を有する。いくつかの実施形態では、再帰反射性物品は、高速道路標識物品、道路標識物品、ナンバープレート用シート材、ナンバープレート、個人用保護具、個人用安全衣類、被視認性物品、車両警告物品、又は布コーティング物品のうちの1つである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本体層及び低弾性率のポリマー層を含む基材の断面側面図である。
図2】複数の切頭キューブコーナー素子に隣接する、図1に示す基材を含む再帰反射性物品の断面側面図である。
図3】鏡面反射層又はコーティングに隣接する図2の物品を含む、再帰反射性物品の断面側面図である。
図4】ランド層によって分離された複数の切頭キューブコーナー素子に隣接する、図1の基材を含む再帰反射性物品の断面側面図である。
【0019】
図は、必ずしも原寸に比例していない。図中用いられる同様の数字は、同様の構成要素を示す。しかしながら、所与の図中の構成要素を指す数字の使用は、同一数字を付された別の図中の構成要素を限定するものではないことが理解されよう。
【0020】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成し、1つの例示的な特定の実施形態が例として示されている添付の図面を参照する場合がある。他の実施形態が企図され、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施され得ることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
様々な実施形態及び履行について詳細に説明する。これらの実施形態及び実施態様は、いかなる場合も本出願の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、変更及び修正を行うことができる。例えば、実施形態、実施、及び例の多くは再帰反射性シート材を具体的に参照して説明されているが、本特許出願の範囲をこの1つの代表的な実施に限定するように解釈されるべきではない。更に、いくつかの最終用途のみを本明細書で説明しているが、本明細書に記述されていない最終用途も本特許出願の範囲内に含まれる。したがって、本特許出願の範囲は、その請求項によってのみ決定されるべきではない。
【0022】
本発明で使用する場合、「シート材」はポリマー(例えば、合成)材料の薄片を意味する。シート材は、任意の幅及び長さであってよく、このような寸法は、シート材が作製された設備(例えば、工具の幅、スロットダイオリフィスの幅など)によってのみ制限される。再帰反射性シート材の厚さは、通常、約0.004インチ(0.1016mm)〜約0.10インチ(2.54mm)の範囲である。いくつかの実施形態では、再帰反射性シート材の厚さは、約0.012インチ(0.3048mm)未満である。いくつかの実施形態では、再帰反射性シート材の厚さは、約0.010インチ(0.254mm)未満である。再帰反射性シート材に関して、幅は、通常、少なくとも12インチ(30cm)である。いくつかの実施形態では、幅は少なくとも48インチ(76cm)である。いくつかの実施形態では、シート材は、最大50ヤード(45.5m)〜100ヤード(91m)の長さにわたって連続し、シート材は取り扱いに便利なロール状で提供される。ただし、シート材はロール状ではなく個々のシート材として製造してもよい。このような実施形態では、シートが完成品の寸法に対応していることが好ましい。例えば、再帰反射性シート材は、米国標準標識の寸法(例えば、30インチ×30インチ(76cm×76cm))を有してよく、したがってシート材の作製に用いられる微細構造工具は、これとほぼ同一寸法であり得る。
【0023】
本開示は、概して、本体層と切頭キューブコーナー素子との間に低弾性率を有するポリマー層を含む、再帰反射性物品に関する。低弾性率を有するポリマー層は、加工中に再帰反射性物品にかかる応力のうち少なくとも一部を吸収、放散、及び/又は調整する。この応力は、注型硬化の加工時に特に高くなる。したがって、忠実度の改善された切頭キューブコーナー素子を形成することができる。その結果、低弾性率を有するポリマー層を含む再帰反射性物品は、低弾性率のポリマー層が欠けている以外は同一材料を用いて同一の工程で製造された再帰反射性物品と比較して、向上した輝度を有する。
【0024】
図1は、基材13が本体層10及びポリマー層12を含む、本開示の一例示的実施形態の断面側面図である。ポリマー層12は、1750MPa未満の弾性率を有する。
【0025】
図2は、再帰反射性物品15が(図1の)基材13、及びポリマー層12と隣接する複数の切頭キューブコーナー素子14を含む、本開示の一例示的実施形態の断面側面図である。入射光(光線20により表示)は、複数のキューブコーナー素子のうちの1つにより再帰反射され、物品に入射した角度とほぼ同一の角度で再帰反射性物品から出る(光線21により表示)。
【0026】
図3は、本開示による再帰反射性物品18の一実施形態の断面側面図である。再帰反射性物品18は、本体層10、ポリマー層12、ポリマー層12と隣接する複数の切頭キューブコーナー素子14、及び複数の切頭キューブコーナー素子14上の鏡面反射層又はコーティング16を含む。入射光(光線20により表示)は、複数のキューブコーナー素子のうちの1つにより再帰反射され、物品に入射した角度とほぼ同一の角度で再帰反射性物品から出る(光線21により表示)。
【0027】
図4は、再帰反射性物品22の断面側面図である。再帰反射性物品22は、再帰反射性物品22が、隣接するキューブコーナー素子14間にランド層24を含むことを除き、図2の再帰反射性物品15と実質的に同様である。いくつかの実施形態では、再帰反射性物品22は、鏡面反射層(図示せず)を更に含む。
【0028】
用語「本体層」は、典型的には、切頭キューブコーナー素子が接合されるか又はそれに隣接する材料を意味する。本開示では、ポリマー層が本体層の一部である場合、キューブコーナー素子は本体層に接合されるか、又は直接隣接する。ポリマー層が本体層の一部でない場合、キューブコーナー素子は本体層に接合されずに隣接する(例えば、近傍にある)か、又は直接隣接する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本体層は、約20μm〜約1,000μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、本体層及び切頭キューブコーナー素子は同一材料を含む。いくつかの実施形態では、本体層は、切頭キューブコーナー素子とは異なる材料である。いくつかの実施形態では、本体材料は、1つ又は2つ以上の光透過性又は透明ポリマー材料である。いくつかの実施形態では、本体層は、それ自体が2つ以上の層を含んでよい。本体層が複数層を含むいくつかの実施形態では、これらの層は2つ以上の組成物を含んでよく、組成物は層によって異なってよい。
【0030】
いくつかの代表的な本体層は、例えば、その全体が参照として本明細書に組み込まれる米国特許第7,611,251号(Thakkar et al)に記載されている。本体層に使用される例示材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アクリルコポリマー、及びポリウレタンが挙げられる。いくつかの実施形態では、本体層はポリオレフィンを含む。いくつかの実施形態では、本体層は、2〜8個の炭素原子を有するアルキレン単位(例えば、エチレン及びプロピレン)を少なくとも50重量パーセント(wt%)含む。いくつかの実施形態では、本体層は、二軸延伸されたポリマーを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、本体層は比較的硬く、これは1750MPa以上の弾性率を有することを意味する。いくつかの実施形態では、本体層は少なくとも2000MPaの弾性率を有する。いくつかの実施形態では、本体層は少なくとも2300MPaの弾性率を有する。いくつかの実施形態では、本体層は少なくとも2500MPaの弾性率を有する。いくつかの実施形態では、本体層は少なくとも2700MPaの弾性率を有する。用語「弾性率」は、原子間力顕微鏡法(AFM)を使用した、弾性率に関する以下の「試験方法」のセクションに示す試験に従って測定される弾性率を意味する。
【0032】
いくつかの実施形態では、本体層は1つ又は2つ以上のUV吸収剤(「UVA」とも称する)を含む。UVAは、例えば、光学層を含むフィルムを太陽光スペクトルの太陽の有害な光(約290nm〜400nm)から保護するために、再帰反射性シート材で使用される。一部の例示的なUVA材料は、例えば、いずれもその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,450,235号(Smith et al)及びPCT国際公開第2012/135595号(Meitz et al)に記載されている。
【0033】
本開示の物品は、本体層と切頭キューブコーナー素子との間にポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー層は本体層の一部である。いくつかの実施形態では、ポリマー層は分離層である。
【0034】
ポリマー層は、低弾性率を有する。本発明で使用する場合、用語「低弾性率」又は「低弾性率ポリマー層」は、ポリマー層が1750MPa以下であることを意味する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は1700MPa未満の弾性率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は1500MPa未満の弾性率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は1300MPa未満の弾性率を有する。
【0035】
ポリマー層に使用される例示的なポリマーとして、DSM NeoResins(Wilmington MA)から入手可能なNeoRez R600、NeoRez 9660、NeoRez 9060、NeoRezR 9330などのポリウレタン系水性分散体;Alberdingk Boleyから入手可能なAlberdingk U 9380、Alberdingk U 9380などの脂肪族ポリエステルポリウレタン;Permuthaneコーティング;Michelmanから入手可能なMichem 4983及びMichem 5931などのエチレン系コ−ターポリマー分散体;ポリ塩化ビニル;エチレンアクリル酸、エチレンビニルアセテート、エチレンとビニルアセテートとのコポリマー(EVA)、酸若しくは無水物変性したEVA、エチレン系コ−ターポリマー、ウレタン/アクリルコポリマー、非イオン性ポリエステルウレタン分散体、アクリル分散体、ポリエーテル、ポリアミド、エチレン系コポリマーのアイオノマー、ポリオレフィン、ポリEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン)、スチレンアクリロニトリルコポリマー、可塑性ハロゲン化ビニルポリマー、ABSコポリマー、又はこれらの組み合わせが挙げられる。一部の更なる例示材料は、アクリル系ポリマー材料(例えば、アクリレート又はメチルアクリレートのポリマー又はコポリマー、ポリエチレングリコールジアクリレート、及びヒドロキシメチルジアセトンアクリルアミド);並びに、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)とのコ−ポリエチレンテレフタレート(COPET)コポリマー、1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンテレフタレート)コポリエステル(PETGコポリエステル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)コポリエステル(PENコポリエステル)である。
【0036】
いくつかの実施形態では、低弾性率ポリマー層は、実質的に非晶質であるポリマーを含む。ポリマーの結晶化度は、ポリマーの非晶質性の尺度として使用される場合が多い。本明細書で使用する場合、用語「実質的に非晶質」又は「実質的に非晶質であるポリマー」は、結晶化度が20%未満のポリマーを意味する。いくつかの実施形態では、結晶化度は15%未満である。いくつかの実施形態では、結晶化度は10%未満である。結晶化度の測定方法は周知であり、例えば、X線回折が挙げられる。非晶質ポリマー層に使用する例示的なポリマーとして、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)との非晶質コポリマー;1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンテレフタレート)コポリエステル(PETGコポリエステル);1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)コポリエステル(PENコポリエステル);ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル;ポリ(エチレン−コ−アクリル酸);ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート);ポリカーボネート;PMMA;非晶質コポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートグリコール(PCTG)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレン−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)(PCCD)、イソフタレートコポリマー、コポリエステルエーテル(例えば、Eastman NEOSTAR(商標)エラストマー、FN005、FN006、及びFN007、並びにECDEL(商標)エラストマー、9965、9966、及び9967(米国特許第20090130606144号(Bacon)にも記載)))、80/20 CoPET(テレフタレート/イソフタレート)、並びにPET/CoPET(60/40テレフタル酸/セバシン酸CoPET)が挙げられる。いくつかの実施形態では、非晶質ポリマー層は、ポリ(エチレンテレフタレート)のホモポリマーを含まない。
【0037】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は、約0.2ミル(70nm)〜約4ミル(101μm)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、実質的なポリマー層は約45℃〜160℃の軟化点を有する。いくつかの実施形態では、実質的なポリマー層は約75℃〜150℃の軟化点を有する。軟化点は、Anasys Instruments,Nano TA(商標):Nano Thermal analysis,application note #3,「Multilayer Biaxially Oriented Polypropylene(BOPP)Films」(著者:Nicolaas−Alexander Gotzen,Guy Van Assche)に記載の通り、AFM(原子間力顕微鏡法)を用いたナノ熱分析によって測定する。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は、切頭キューブコーナー素子のうち少なくとも一部と相互侵入網目構造を形成する。いくつかの実施形態では、キューブコーナー素子の樹脂組成物がポリマー層と接触する場合、樹脂組成物がポリマー層に浸透することにより、一次硬化処理後、キューブコーナー素子の材料とポリマー層の材料との間に相互侵入網目構造が形成される。
【0039】
本開示のキューブコーナー素子は、切頭キューブコーナー素子である。一般に、切頭キューブコーナー素子の2つの隣接するキューブコーナー素子配列の底縁は、ほぼ共面となる。いくつかの実施形態では、切頭キューブコーナー素子は、一連の溝を含み、これが平面な基材(例えば、金属板)の表面に形成され、複数の切頭キューブコーナー素子を構成するマスターモールドを形成する。周知の技術の1つにおいては、3組の平行溝が互いに60度の夾角で交差して、それぞれが底面正三角形を有するキューブコーナー素子の配列が形成される(その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3,712,706号(Stamm)を参照)。別の技術においては、2組の溝が60度よりも大きな角度で互いに交差し、第3の組の溝が60度未満の角度で他の2組のそれぞれと互いに交差して、傾斜したキューブコーナー素子が嵌まり合った組の配列が形成される(その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,588,258号(Hoopman)を参照)。いくつかの実施形態では、切頭キューブコーナー素子は、約1.8ミル(45μm)〜約2.5ミル(63.5μm)の高さを有する。
【0040】
切頭キューブコーナー素子は、例えば、いずれもその全体が組み込まれる米国特許第3,712,706号又は第4,588,258号に記載されたような任意の所望の材料を含み得る。別個の切頭キューブコーナー素子に使用される一部の例示材料として、例えば、重合性樹脂が挙げられる。キューブコーナー素子の配列を形成するために好適な例示的重合性樹脂は、光開始剤と、アクリレート基を有する少なくとも1つの化合物との混合物であってよい。いくつかの実施形態では、樹脂混合物は、照射時に架橋ポリマー網状組織の形成を確実にするために、一官能性、二官能性、又は多官能性化合物を含有する。
【0041】
本明細書に記載する実施形態で使用可能な、フリーラジカル機構によって重合可能な樹脂の代表的実施例としては、エポキシ、ポリエステル、ポリエーテル、及びウレタン、エチレン系不飽和化合物、少なくとも1つのペンダントアクリレート基を有するイソシアネート誘導体、アクリレート化エポキシ以外のエポキシ樹脂、並びにこれらの混合物及び組み合わせから誘導されるアクリル系樹脂が挙げられる。本明細書では、用語「アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含するように使用される。米国特許第4,576,850号(Martens)は、本開示のキューブコーナー素子の配列に使用されてもよい架橋樹脂の例を開示している。例えば、米国特許第7,611,251号(Thakkar)に開示されている種類の重合性樹脂を、本開示のキューブコーナー素子の配列に使用してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、キューブコーナー素子は、例えば、本明細書にその全体が組み込まれるPCT国際公開第2012/166460号(Benson et al)に記載されているような複合体キューブコーナー素子である。複合体の切頭キューブコーナー素子は、キューブコーナー素子の第1の領域に第1の樹脂を含み、キューブコーナー素子の第2の領域に第2の樹脂を含む。ポリマー層と直接隣接するのが第1又は第2の樹脂いずれであっても、ポリマー層と同じであっても異なっていてもよい。複数のキューブコーナー素子は、本明細書にその全体が組み込まれるPCT国際公開第2012/166460号に記載された、複数からなるキューブコーナー素子のうちいずれの種類であってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、切頭キューブコーナー素子は、個々のキューブコーナー素子を融合又は結合するランド部分を有しない、別個のキューブコーナー素子である。隣接する別個の切頭キューブコーナー素子は、むしろ互いに分離されている。これは、例えば、本明細書にその全体が組み込まれる米国特許第5,691,846号(図6図8及びそれに関連する説明を参照)に示されている条件である。
【0044】
いくつかの実施形態は、切頭キューブコーナー素子上に、金属コーティングなどの鏡面反射コーティングを含む。これらの実施形態は、多くの場合、「金属化再帰反射性シート材」と称される。鏡面反射性コーティングは、アルミニウム、銀、又はニッケルなどの金属を蒸着する又は化学的に析出させるなどの公知の方法によって、塗布することが可能である。鏡面反射性コーティングの接着を促すために、キューブコーナー素子の裏面にプライマー層を塗布してもよい。金属化シート材の製造に使用される材料、及びその製造法など、金属化シート材に関する更なる情報は、例えば、米国特許第4,801,193号(Martin)、及び同第4,703,999号(Benson)(これら両方の全体が本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、再帰反射性物品の観察面上に分離したオーバーレイフィルムがある。オーバーレイフィルムは、改善された(例えば、屋外)耐久性の提供、又は画像受容面の提供を助け得る。長期の風化(例えば、1年、3年)後に、ASTM D49560−1aで求められるものなどの十分な輝度仕様を維持することは、そのような屋外耐久性を示すものである。いくつかの実施形態では、CAP−Y白色度は、風化(例えば、1年、3年)の前後で30超である。
【0046】
本願の再帰反射性物品に、1つ又は2つ以上のシール層(sealing layers)(単数形で「seal film」又は「sealing film」又は「seal layer」とも称する)を使用してもよい。シール層(複数可)は、例えば、米国特許第4,025,159号(McGrath)、第7,611,251号(Thakkar et al)、及び米国特許公開第2013/114143号(Thakkar et al)(いずれもその全体が参照として組み込まれる)に記載された材料のいずれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、シール層(複数可)は、例えば、その全体が参照として本明細書に組み込まれる米国特許出願第61/838,562号に記載されているように構造化される。
【0047】
いくつかの実施形態は、別個の切頭キューブコーナー素子と多層シールフィルムとの間に延在する複数の個々のシール脚を含む。いくつかの実施形態では、これらのシール脚は、1つ又は2つ以上のセルを形成する。低屈折率材料(例えば、気体、空気、エアロゲル、又は、例えば、米国特許公開第2010/0265584号(Coggio et al)に記載される超低屈折率材料)が、セルのそれぞれに密封され得る。低屈折率材料の存在は、別個の切頭キューブコーナー素子と低屈折率材料との間に屈折率の差異を生み出す。これは、別個の切頭キューブコーナー素子の表面での内部全反射を可能にする。低屈折率材料として空気が使用される実施形態では、空気と別個の切頭キューブコーナー素子との間の界面は、多くの場合、空気界面と称される。
【0048】
いくつかの実施形態では、シール層は、例えば、PCT国際公開第2011/091132号(Dennison et al)(その全体が本明細書に組み込まれる)に、図2及び関連する説明を具体的に参照し、シール層、接着剤層28、並びに剥離層30及びライナー層32として記載される層を含む多層フィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、受容体層22の代わりにシール層を有するフィルム20を具体的に参照して、国際公開第2011/091132号に記載される層を含む。そのような場合、シール層はコア層24となり、プライマー層26は、シール層の反対側のコア層24上にある。国際公開第2011/091132号の多層フィルム20は、コア層24の反対側のプライマー層26上の接着剤層28と、プライマー層26の反対側の接着剤層28上の剥離層32と、接着剤層28の反対側の剥離層30上のライナー層32と、を更に含む。多層フィルムは、概して、接着剤層28と剥離層30との間の界面に沿って分離され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、再帰反射性シート材は、キューブコーナー素子上に、シールフィルム及び/又は鏡面反射性、つまり金属コーティングを欠く。代表的なシート構造体は、例えば、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第2013/0034682号(Free et al)に記載されている。これらの実施形態では、再帰反射性シート材は、入射光が、例えばキューブコーナー素子などの構造化面によって再帰反射される光学活性領域と、入射光が構造化面によって実質的に再帰反射されない1つ又は2つ以上の光学不活性領域と、を備える。1つ又は2つ以上の光学活性領域は、構造化面の一部に隣接する低屈折率層又は材料を備える。1つ又は2つ以上の光学不活性領域は、構造化面の一部に隣接する感圧性接着剤を備える。感圧性接着剤は、直接隣接する構造化面の部分の再帰反射性を実質的に破壊する。低屈折率層は、構造化面と感圧性接着剤との間に「バリア」を形成することにより、隣接する構造化面の再帰反射性の維持を支援する。いくつかの実施形態では、再帰反射性シート材は、感圧性接着剤と低屈折率層との間にバリア層を備える。バリア層は十分な構造的一体性を有しており、低屈折率層への感圧性接着剤の流入を実質的に防ぐ。バリア層のための例示の材料としては、樹脂、高分子材料、インク、染料、及びビニルが挙げられる。いくつかの実施形態では、バリア層は低屈折率層内の低屈折率材料を閉じ込める。低屈折率材料は、1.3未満の屈折率を有する材料(例えば、空気及び低指数材料(例えば、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2012/0038984号(Patel et al)に記載されている低屈折率材料))である。いくつかの実施形態では、再帰反射性シート材は、別個の切頭キューブコーナー素子のうち少なくとも一部と接触する感圧性接着剤層を含む。感圧性接着剤層は、少なくとも1つの別個のバリア層を含む。いくつかの実施形態において、感圧性接着剤は複数の別個のバリア層を含む。
【0050】
上記の再帰反射性物品を形成するため、種々の方法を使用してもよい。一部の方法は、(1)(a)本体層と、(b)低弾性率ポリマー層を含むポリマー層と、を含む基材を提供することと、(2)基材のポリマー層上に複数の切頭キューブコーナー素子を形成することと、を伴う。いくつかの実施形態では、これらの方法は、例えば、いずれも本明細書にその全体が組み込まれる、米国特許第3,689,346号(Rowland)及び第5,691,846号(Benson)に記載されている、注型硬化加工を伴う。いくつかの実施形態では、基材の本体層及びポリマー層は共押出される。いくつかの実施形態では、基材の本体層及びポリマー層は共押出され、二軸延伸される。いくつかの実施形態では、本体層及びポリマー層は吹込みフィルム加工により作製される。他の実施形態では、ポリマー層は本体層にコーティングされる。
【0051】
いくつかの方法は、切頭キューブコーナー素子上に鏡面反射性コーティングを形成することを更に含む。鏡面反射性コーティングは、金属を蒸着する又は化学的に析出させるなどの公知の方法によって、塗布することが可能である。このような方法の追加詳細は、例えば、いずれも本明細書にその全体が組み込まれる、米国特許第4,801,193号(Martin)及び第4,703,999号(Benson)に記載されている。あるいは、鏡面反射性コーティングの代わりにシール層を使用する方法、又は別個のバリア層を含む感圧性接着剤層を使用する方法も挙げられる。
【0052】
本開示の再帰反射性物品は、多くの用途を有する。一部の例示的用途として、高速道路又は道路標識物品、ナンバープレート用シート材、個人用保護具、個人用安全衣類、被視認性応用材、車両警告、布コーティングなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、再帰反射性物品は、高速道路標識物品、道路標識物品、ナンバープレート用シート材、ナンバープレート、個人用保護具、個人用安全衣類、被視認性物品、車両警告物品、又は布コーティング物品のうちの1つである。再帰反射性物品がシート材として使用される場合、再帰反射性シート材が接着され得るいくつかの例示的な基材としては、例えば、木材、アルミニウムシート材、亜鉛めっき鋼、ポリマー材料(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリフッ化ビニル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン)、並びにこれら及び他の材料から製造される様々な積層体が挙げられる。
【0053】
本開示の再帰反射性物品は、種々の利点及び/又はメリットを有する。例えば、再帰反射性物品の多くの実施形態は、優れた柔軟性を示す。少なくともいくつかの実施形態において、本物品は屈曲可能であるが、伸張性はない。この柔軟性は、ある種の再帰反射性シートの応用、例えば、円筒物への巻きつけ、トラックの被視認性などに特に望ましい。更に、本開示の再帰反射性物品のいくつかの実施形態は、反復した又は長時間の重度の変形及び/又は曲げ変形から回復する能力に対して機械的耐久性があると同時に、再帰反射効率及び優れた外観によって規定される優れた光学特性を維持できる。また、再帰反射性物品は、長期の摩耗及び風化に曝されても耐えることができ、光学特性又は再帰反射輝度が著しく劣化することがない。物品の一部は、少なくとも250カンデラ/lux/mの輝度を有する。
【0054】
以下の実施例は、再帰反射性物品の各種の実施例の幾つかの例示の構造体及び本出願に記載の再帰反射性物品の製造方法について説明する。以下の実施例は、例示を目的としたものであって、本出願の範囲を限定することを目的としたものではない。
【実施例】
【0055】
材料
以下の材料を比較実施例A〜B、及び実施例1〜4の作製において使用した。
【0056】
【表1】
【0057】
試験方法
再帰反射効率(輝度)(R):輝度は、ASTM E810−03「Standard Test Method for Coefficient of Retroreflection of Retroreflective Sheeting Utilizing the Coplanar Geometry」に記載の方法で一般に使用する、再帰反射率計(DELTA Danish Electronics,Light & Acoustics(Denmark)から市販されているRetrosign GR3)を使用して測定した。結果はcd/lux.mで示す。
【0058】
厚さ及び弾性率:再帰反射性シート材断面の層厚及び弾性率の測定は、原子間力顕微鏡法(AFM)を使用して行った。比較実施例A〜B及び実施例1〜4の反射性シート材は、3×5mmの長方形サンプルに切り出し、分析するフィルム縁部を露出させて金属バイスに配置した。サンプル縁部は、Diatomeダイアモンドエッジナイフを使用したLeica UC7 Ultramicrotomeを用いて、シート材の層が全て露出するように、極めて平坦かつ平滑な断面にミクロトームした。層のイメージングには、Peak Force Quantitative Nano Mechanical Technology(PF QNM)搭載のBruker Icon AFMを使用した。PF QNMのフォースカーブは、チップを垂直方向に維持したまま2Kヘルツで生成した。弾性率は、Derjaguin−Muller−Toporov(DMT)モデルを使用して得た。イメージ処理及びデータ解析は、付属ソフトウェアを用いて行った。イメージは、単一線データを取得可能なソフトウェアの断面機能、又は複数線データを取得可能な回転ボックスを使用して、イメージのy方向の平均を算出して解析した。弾性率データは、DMT係数のイメージにおいて断面解析の回転ボックス機能を使用して得た。厚さは、高さとDMT係数の両方のイメージを使用して決定した。厚さはミクロン(μm)で、弾性率はMPaで示した。
【0059】
ポリマー層組成物1〜4
以下の表1に記載されている樹脂を、電磁攪拌器を使用して室温で脱イオン(DI)水と混合することによってポリマー層組成物1〜4を調製した。この溶液に界面活性剤をゆっくりと添加して、5分間混合させた。次に、この混合物に架橋剤をゆっくりと添加し、5分間撹拌した。次いで(使用する場合は)追加の成分を添加し、5分間撹拌した。ポリマー層組成物1〜4に使用する成分を以下の表1に示す。量を重量%(wt%)で表す。
【0060】
【表2】
【0061】
比較実施例A
米国特許第7,862,187号(Thakkar et al)(この開示は本明細書にその全体が参照として組み込まれる)に一般に記載されているように、キューブコーナー素子を本体層に注型し、次いでキューブコーナー素子を硬化して、再帰反射性物品を作製した。結晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)の本体層を使用した以外は、米国特許第7,862,187号の比較実施例Bに一般に記載されているように比較実施例Aを作製した。1重量%のUV 1164と混合したPETのペレットを押し出し、その押出フィルムを二軸延伸(幅出し)してPETを結晶化することによって本体層を作製した。PET本体層の片側を1Jでコロナ処理し、約50μm厚さの本体層を得た。
【0062】
PET本体層のコロナ処理された側に、25重量%のビスフェノールAエポキシジアクリレート(EBECRYL 3720)、50重量%のTMPTA、25重量%のHDDA、0.5pphのLUCIRIN TPO、及び0.5pphのDAROCURE 1173を含むキューブコーナー樹脂を使用して、キューブコーナー素子を注型した。米国特許第7,862,187号の比較実施例Bに記載されているようにキューブコーナー素子を硬化した。
【0063】
比較実施例B
例えば、米国特許第6,893,731号及び米国特許第2009/0029129号、第2011/0019280号(例えば、[0038]を参照)、第2011/0103036号(例えば、[0102]を参照)(全て参照として本明細書に組み込まれる)に一般に記載されているように、本体層がPET本体層の片側にコーティングされたプライマー組成物を更に含む以外は、比較実施例Aの記載と同様に再帰反射性物品を作製した。プライマー層は、6重量%のRHOPLEX 3208、0.6重量%のCYMEL 327、0.1重量%のCYCAT 4045、0.1重量%のTOMADOL 25−9、及び0.1重量%のPS BEADSの混合物を含んでいた。
【0064】
(実施例1〜4)
2000MPa超の弾性率を有するポリマー層をキューブコーナー素子と本体層との間に供した以外は、比較実施例Aの記載と同様に再帰反射性物品を作製した。比較実施例Aに一般に記載しているように作製されたPET本体層を、マイヤーロッド又はオンライングラビアコーター(online gravure coater)を使用して、それぞれポリマー層組成物1〜4を用いてコーティングし、異なるコーティング厚さを得た。次に、コーティングされたフィルムをクロスウェブ方向に延伸(幅出し)し、約230〜260℃の温度で硬化した。実施例1〜4で使用されたコーティング方法を以下の表2に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
比較実施例A〜B及び実施例1〜4の本体層及びポリマー層の弾性率と厚さを上記の試験方法を使用して測定した。結果を以下の表3に示すが、ここで「N/M」は「測定不能」を意味する。特に、比較実施例Bのポリマー層は薄すぎたため、厚さを測定不能であった。加えて、比較実施例A〜B及び実施例1〜4の再帰反射効率を、上記のように観測角0.2°及び入射角−4°で測定した。結果を以下の表3に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
比較実施例及び実施例5〜6
(i)本願の比較実施例AのPET本体層を使用したことと、(ii)複合体のキューブコーナー素子に使用した第1及び第2の組成物が、以下の表4に示されたものであること以外は、PCT国際公開第2012/166448号(Spurgeon et al)(参照として本明細書に組み込まれる)の実施例4に一般に記載されているように、再帰反射性物品を作製した。国際公開第2012/166448号に教示されているように、第1の組成物を使用して、金型内のキューブコーナーキャビティを部分的に充填(すなわち、キューブコーナー素子の頂点を形成)した。部分的に充填されたキャビティを第2の組成物を使用して完全に充填し、キューブコーナー素子の底部を形成した。比較実施例Cでは、第1及び第2の組成物として同じ樹脂を使用した。実施例5及び6では、低弾性率のポリマーを含む樹脂を第2の(すなわち、底部を形成する)樹脂組成物として使用した。比較実施例C及び実施例5〜6で使用した樹脂組成物の成分を以下の表4に示す。量を重量%(wt%)で表す。
【0069】
【表5】
【0070】
比較実施例C及び実施例5〜6で使用した樹脂組成物を以下の表5に示す。ここでの弾性率データは25℃での貯蔵弾性率である。加えて、比較実施例C及び実施例5〜6の再帰反射効率を、上記のように観測角0.2°及び入射角−4°で測定した。結果を表5に示す。
【0071】
【表6】
【0072】
本明細書で言及された参考文献は全て、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0073】
本明細書で使用する場合、「上に」及び「隣接する」という語は、直接的に何かの上に、及び可能性として他の層がそれらの間に位置した状態で間接的に何かの上にある両方の層を包含する。
【0074】
本明細書で使用する場合、「主表面(単数)」及び「主表面(複数)」という用語は、3組の対向する表面を有する、三次元形状上の最も大きい表面積を有する表面を指す。
【0075】
他に指示がない限り、本開示及び「特許請求の範囲」で使用される特徴の大きさ、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示される教示を用いて当業者が得ようとする所望の特性に応じて異なり得る近似値である。全ての数値範囲は、他に断りがない限り、それらの端点、及び端点間の非整数値を含む。
【0076】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、文脈による明確な別様の指示がない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0077】
本開示及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「又は」という用語は、文脈による明確な別様の指示がない限り、概して、「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0078】
品目リストがその後に続く「〜のうちの少なくとも1つ」及び「〜のうちの少なくとも1つを含む」という表現は、リスト内の品目のいずれか1つ及び2つ以上の品目の任意の組み合わせを含むことを指す。
【0079】
本開示の様々な実施形態及び実施態様が開示される。開示された実施形態は例証するために提示されるもので、制限するためのものではない。上記の実施態様及び他の実施態様は、以下の「特許請求の範囲」の範囲内である。当業者であれば、本開示が、開示されたもの以外の実施形態及び実施態様により実行され得ることを理解するであろう。当業者であれば、上記の実施形態及び実施態様の詳細に、本発明の基礎をなす原理から逸脱することなく多くの変更を加えることができることを理解するであろう。本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって過度に限定されるものではなく、そのような実施例及び実施形態は、単に例として提示され、本発明の範囲は、以下のように本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ限定されるよう意図されることを理解されたい。更に、本開示に対する様々な修正及び変形が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく当業者に明らかになるであろう。したがって、本出願の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定められるべきである。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[53]に記載する。
[1]
再帰反射性物品であって、
1750MPa以上の弾性率を有する本体層と、
複数の切頭キューブコーナー素子と、
前記本体層と前記キューブコーナー素子との間のポリマー層と、を含み、前記ポリマー層が1750MPa未満の弾性率を有する、再帰反射性物品。
[2]
前記本体層が少なくとも2000MPaの弾性率を有する、項目1に記載の再帰反射性物品。
[3]
前記本体層が少なくとも3500MPaの弾性率を有する、項目1又は2に記載の再帰反射性物品。
[4]
前記本体層が少なくとも2500MPaの弾性率を有する、項目1又は2に記載の再帰反射性物品。
[5]
前記本体層が、ポリメチルメタクリレート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アクリルコポリマー、及びポリウレタンのうち少なくとも1つを含む、項目1〜4のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[6]
前記本体層が二軸延伸され、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アクリルコポリマー、及びポリウレタンのうち少なくとも1つを含む、項目1〜5のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[7]
前記本体層が約20μm〜約1000μmの厚みを有する、項目1〜6のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[8]
前記切頭キューブコーナー素子が、約1.8ミル(45μm)〜約2.5ミル(63.5μm)の平均高さを有する、項目1〜7のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[9]
前記ポリマー層が1700MPa未満の弾性率を有する、項目1〜8のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[10]
前記ポリマー層が1500MPa未満の弾性率を有する、項目1〜8のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[11]
前記ポリマー層が1300MPa未満の弾性率を有する、項目1〜8のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[12]
前記ポリマー層が1100MPa未満の弾性率を有する、項目1〜8のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[13]
前記ポリマー層が、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)とのコポリマー、1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンテレフタレート)コポリエステル(PETGコポリエステル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)コポリエステル(PENコポリエステル)、80:20のテレフタレート/イソフタレートCoPET、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、エチレンアクリル酸、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、UV硬化アクリレート若しくはUV硬化エポキシアクリレートポリマー、又はこれらの分散体のうち少なくとも1つを含む、項目1〜12のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[14]
前記ポリマー層が約0.2ミル(5.1μm)〜約4ミル(102μm)の厚みを有する、項目1〜13のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[15]
前記ポリマー層が約1ミル(25μm)〜3ミル(76μm)の厚みを有する、項目1〜14のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[16]
別個の切頭キューブコーナー素子と接触する感圧性接着剤層を更に含み、前記感圧性接着剤層が、少なくとも1つの別個のバリア層を含む、項目1〜15のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[17]
前記切頭キューブコーナー素子が複合体のキューブコーナー素子である、項目1〜16のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[18]
前記切頭キューブコーナー素子が別個である、項目17に記載の再帰反射性物品。
[19]
前記キューブコーナー素子に隣接する鏡面反射層を更に含む、項目1〜18のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[20]
前記物品が少なくとも250カンデラ/lux/mの輝度を有する、項目1〜19のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[21]
前記再帰反射性物品が、再帰反射シート材、高速道路標識物品、道路標識物品、ナンバープレート用シート材、ナンバープレート、個人用保護具、個人用安全衣類、被視認性物品、車両警告物品、又は布コーティング物品のうちの1つである、項目1〜20のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[22]
前記ポリマー層が15%未満の結晶化度を有する、項目1〜21のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[23]
前記ポリマー層が10%未満の結晶化度を有する、項目1〜22のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[24]
前記ポリマー層と前記キューブコーナー素子とが相互侵入網目構造を形成する、項目1〜23のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[25]
前記実質的なポリマー層が約45℃〜160℃の軟化点を有する、項目1〜24のいずれかに記載の再帰反射性物品。
[26]
再帰反射性物品を形成する方法であって、
(a)1750MPa以上の弾性率を有する本体層と、
(b)1750MPa未満の弾性率を有するポリマー層と、を含む基材を提供することと、
前記基材の前記ポリマー層上に複数の切頭キューブコーナー素子を形成することと、を含む方法。
[27]
前記複数の切頭キューブコーナー素子上に鏡面反射層を形成することを更に含む、項目26に記載の方法。
[28]
前記再帰反射性物品を硬化することを更に含む、項目26又は27に記載の方法。
[29]
前記複数の切頭キューブコーナー素子を形成することが、前記キューブコーナー素子を注型することを伴う、項目26〜28のいずれかに記載の方法。
[30]
前記本体層が少なくとも2000MPaの弾性率を有する、項目26〜29のいずれかに記載の方法。
[31]
前記本体層が少なくとも2300MPaの弾性率を有する、項目26〜30のいずれかに記載の方法。
[32]
前記本体層が、ポリメチルメタクリレート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アクリルコポリマー、又はポリウレタンのうち少なくとも1つを含む、項目26〜31のいずれかに記載の方法。
[33]
前記本体層が二軸延伸されており、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アクリルコポリマー、及びポリウレタンのうち少なくとも1つを含む、項目26〜32のいずれかに記載の方法。
[34]
前記本体層が約20μm〜約1000μmの厚みを有する、項目26〜33のいずれかに記載の方法。
[35]
前記切頭キューブコーナー素子が、約1.8ミル(45μm)〜約2.5ミル(63.5μm)の平均高さを有する、項目26〜34のいずれかに記載の方法。
[36]
前記ポリマー層が1500MPa未満の弾性率を有する、項目26〜35のいずれかに記載の方法。
[37]
前記ポリマー層が1300MPa未満の弾性率を有する、項目26〜36のいずれかに記載の方法。
[38]
前記ポリマー層が1000MPa未満の弾性率を有する、項目26〜37のいずれかに記載の方法。
[39]
前記ポリマー層が、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)とのコポリマー、1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンテレフタレート)コポリエステル(PETGコポリエステル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール含有ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)コポリエステル(PENコポリエステル)、80/20のテレフタレート/イソフタレートCoPET、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、エチレンアクリル酸、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、UV硬化アクリレートポリマー、UV硬化エポキシアクリレートポリマー、又はこれらの分散体のうち少なくとも1つを含む、項目26〜38のいずれかに記載の方法。
[40]
前記ポリマー層が約0.2ミル(5.1μm)〜約4ミル(102μm)の厚みを有する、項目26〜39のいずれかに記載の方法。
[41]
別個の切頭キューブコーナー素子と接触する感圧性接着剤層を更に含み、前記感圧性接着剤層が、少なくとも1つの別個のバリア層を含む、項目26〜40のいずれかに記載の方法。
[42]
隣接する切頭キューブコーナー素子が、ランド層によって分離されている、項目26〜41のいずれかに記載の方法。
[43]
前記切頭キューブコーナー素子が複合体のキューブコーナー素子である、項目26〜42のいずれかに記載の方法。
[44]
前記物品が少なくとも250カンデラ/lux/mの輝度を有する、項目26〜43のいずれかに記載の方法。
[45]
前記切頭キューブコーナー素子が別個のキューブコーナー素子である、項目26〜44のいずれかに記載の方法。
[46]
前記再帰反射性物品が、再帰反射シート材、高速道路標識物品、道路標識物品、ナンバープレート用シート材、ナンバープレート、個人用保護具、個人用安全衣類、被視認性物品、車両警告物品、又は布コーティング物品のうちの1つである、項目26〜45のいずれかに記載の方法。
[47]
前記ポリマー層が20%未満の結晶化度を有する、項目26〜46のいずれかに記載の方法。
[48]
前記ポリマー層が10%未満の結晶化度を有する、項目26〜47のいずれかに記載の方法。
[49]
前記ポリマー層と前記キューブコーナー素子とが相互侵入網目構造を形成する、項目26〜48のいずれかに記載の方法。
[50]
前記実質的なポリマー層が約75℃〜150℃の軟化点を有する、項目26〜49のいずれかに記載の方法。
[51]
前記ポリマー層が二軸延伸されたポリマーを含む、項目26〜50のいずれかに記載の方法。
[52]
前記本体層と前記ポリマー層とが共押出される、項目26〜51のいずれかに記載の方法。
[53]
前記本体層とポリマー層が、(1)共押出、並びに(2)二軸延伸及び吹込みのうち少なくとも1つで加工される、項目52に記載の方法。
図1
図2
図3
図4