(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
放電電極を内蔵してなる複数の電極パネルを積層した構造を有し、隣接する前記電極パネル間に形成されたガス流路にガスを流して電圧を印加することによりプラズマを発生させるプラズマパネル積層体を備えるプラズマリアクタであって、
前記複数の電極パネルは、面方向において前記ガス流路を挟んで互いに反対側に位置する一対の端部を有し、
前記端部に前記放電電極が露出しており、
複数の前記放電電極を電気的に接続する電気導通部を備え、
前記電極パネルは、前記一対の端部にそれぞれ設けられたスペーサを介して、隣接する前記電極パネルに対して積層され、
前記スペーサを介することによって隣接する前記電極パネル間に生じた空間に、絶縁部が前記スペーサに接するように配置されている
ことを特徴とするプラズマリアクタ。
前記電気導通部の形成材料は、ホウ化ジルコニウム及びタングステンカーバイドの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプラズマリアクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プラズマリアクタを車両等に搭載して使用する際には、プラズマリアクタのガス流路内に煤(PM)を含んだ排ガスが流入する。なお、排ガスには、水(具体的には、車両の冷間始動時において排気管内の結露に起因して発生する排気凝縮水)が含まれることもある。
【0006】
ところが、電極パネルは、セラミックグリーンシートの焼成等を経て形成されるものであるため、反りが生じやすい。よって、複数の電極パネルをスペーサを介して積層したとしても、電極パネルとスペーサとの間に隙間が生じる可能性が高い。その結果、ガス流路内の排ガスが、上記の隙間に侵入して電気導通部に接触するため、電気導通部に対して排ガス中のPMや水が付着する虞がある。なお、特許文献2〜4に記載の従来技術では、電気導通部が電極パネルの外部に露出しているため、排ガスが上記の隙間に侵入しない場合であっても、排ガスが電気導通部に接触する可能性がある。この場合、電気導通部に対してPMや水がいっそう付着しやすくなる。
【0007】
そして、電気導通部にPMや水が付着すると、隣接する電気導通部の間がPMや水を介して導通してしまうため、隣接する電気導通部間の絶縁を確保できないという問題がある。また、複数の電極パネルを積層した構造を有する積層体をケース内に収容し、積層体を収容したケースを排気管に取り付ける場合には、電気導通部とケースとの間がPMや水を介して導通してしまうため、電気導通部とケースとの間の絶縁を確保できないという問題がある。よって、これらの場合には、リーク電流が発生するため、投入電力に対するプラズマの発生量が少なくなり、排ガスの浄化効率が低くなる可能性がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、隣接する電気導通部間の絶縁や、電気導通部とケースとの間の絶縁を確保することにより、信頼性を向上させることが可能なプラズマリアクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段(手段1)としては、放電電極を内蔵してなる複数の電極パネルを積層した構造を有し、隣接する前記電極パネル間に形成されたガス流路にガスを流して電圧を印加することによりプラズマを発生させるプラズマパネル積層体を備えるプラズマリアクタであって、前記複数の電極パネルは、面方向において前記ガス流路を挟んで互いに反対側に位置する一対の端部を有し、前記端部に前記放電電極が露出しており、複数の前記放電電極を電気的に接続する電気導通部を備え、前記電極パネルは、前記一対の端部にそれぞれ設けられたスペーサを介して、隣接する前記電極パネルに対して積層され、前記スペーサを介することによって隣接する前記電極パネル間に生じた空間に、絶縁部が前記スペーサに接するように配置されていることを特徴とするプラズマリアクタがある。
【0010】
従って、上記手段1に記載の発明では、隣接する電極パネル間に生じた空間内において、絶縁部がスペーサに接するように配置されるため、電極パネルとスペーサとの間に生じる隙間へのガスの侵入を、絶縁部によって遮断することができる。従って、ガス流路内に流入したガスが、隙間を通過して電気導通部に到達することが防止されるため、ガス流路を流れる排ガス中のPMをプラズマを用いて酸化して除去する場合に、電気導通部への排ガス中のPMや水の付着が防止されるようになる。その結果、PMや水を介した隣接する電気導通部間の導通や、同じくPMや水を介した電気導通部−プラズマパネル積層体が収容されるケース間の導通が防止されるため、隣接する電気導通部間の絶縁や、電気導通部とケースとの間の絶縁を確保することができる。ゆえに、プラズマリアクタの信頼性を向上させることができる。
【0011】
上記プラズマリアクタを構成するプラズマパネル積層体は、放電電極を内蔵してなる複数の電極パネルを積層した構造を有する。放電電極の形成材料としては、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、酸化ルテニウム(RuO
2)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)などを挙げることができる。
【0012】
また、上記プラズマリアクタは、複数の放電電極を電気的に接続する電気導通部を備える。なお、電気導通部は、導電性金属ペーストの硬化物からなり、電極パネルの端部を覆うように形成されていることが好ましい。このようにした場合、電気導通部は、電極パネルの端部に密着するようになる。その結果、電気導通部を、端部に露出する放電電極に対して確実に接触させることができる。従って、複数の電極パネルの放電電極を、電気導通部を介して確実に導通させることができる。
【0013】
ここで、電気導通部の形成材料は、ニッケル、銅及び銀の少なくとも1つを含むことが好ましい。このようにすれば、電気導通部の導電性を向上させることができる。また、電気導通部の形成材料は、熱膨張係数が5〜7ppm/℃のホウ化ジルコニウム(ZrB
2)、及び、熱膨張係数が3〜5ppm/℃のタングステンカーバイド(WC)の少なくとも1つを含んでいてもよい。このようにすれば、電気導通部の熱膨張係数を電極パネルの熱膨張係数と同程度に近付けることができる。その結果、電気導通部と電極パネルとの熱膨張差に起因して生じる応力が小さくなるため、電極パネルでの割れ等の発生を抑制することができる。
【0014】
なお、電極パネルが、面方向においてガス流路を挟んで互いに反対側に位置する一対の端面を有し、放電電極が、放電電極本体から外周側に延出する電気取出部を有する場合、電気取出部の先端面は端面に露出していることが好ましい。このようにすれば、電気導通部を電極パネルの端面に密着させることにより、電気導通部と電気取出部(放電電極)とを確実に接触させることができる。従って、複数の電極パネルの放電電極を、電気導通部を介して確実に導通させることができる。
【0015】
しかも、電極パネルは、第1主面及び第2主面を有し、電気取出部の一部が、端部における第1主面上及び端部における第2主面上に形成されていてもよい。このようにした場合、電気取出部と電気導通部との接触面積が大きくなるため、両者をより確実に接触させることができる。ゆえに、プラズマリアクタの信頼性がよりいっそう向上する。
【0016】
なお、電気導通部には導体金属部材が内蔵されていてもよい。なお、電気導通部の形成材料よりも抵抗値が低い材料を用いて導体金属部材を形成すれば、体積抵抗率を低減することができるため、電力損失を抑制した、信頼性の高い導通を確保することができる。ここで、導体金属部材の形成材料としては、例えば、ステンレス(SUS304)や、コバール(ウェスティングハウス社の登録商標)などを挙げることができる。
【0017】
また、電極パネルは、一対の端部にそれぞれ設けられたスペーサを介して、隣接する電極パネルに対して積層される。さらに、スペーサを介することによって隣接する電極パネル間に生じた空間には、絶縁部がスペーサに接するように配置される。ここで、電極パネルは、面方向においてガス流路を挟んで互いに反対側に位置する一対の端面を有し、絶縁部は、スペーサよりも端面寄りに配置されていることが好ましい。このようにすれば、電極パネルとスペーサとの間に生じる隙間を通過したガスを、絶縁部によって確実に遮断することができる。さらに、スペーサは、電極パネルの端面側にて開口する凹部を有し、絶縁部は凹部内に配置されていることが好ましい。このようにした場合、絶縁部は、凹部の内側面に密着するようになる。その結果、絶縁部とスペーサとの接触面積が大きくなるため、電極パネルとスペーサとの間に生じる隙間へのガスの侵入を、絶縁部によって確実に遮断することができる。また、スペーサの設置領域内に絶縁部が配置されるため、プラズマパネル積層体が絶縁部の設置領域分だけ大型化することを防止できる。
【0018】
なお、絶縁部の形成材料は、無機粉末、無機繊維及び無機バインダーを含むことが好ましい。このようにすれば、絶縁部の熱膨張係数を電極パネルの熱膨張係数と同程度に近付けることができる。その結果、絶縁部と電極パネルとの熱膨張差に起因して生じる応力が小さくなるため、電極パネルでの割れ等の発生を抑制することができる。
【0019】
なお、無機粉末としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア及びムライトから選択される少なくとも1種以上のセラミック粒子を挙げることができる。無機繊維としては、アルミナ、シリカ及びムライトから選択される少なくとも1種以上のセラミックファイバーを挙げることができる。無機バインダーとしては、珪酸ナトリウム、珪酸リチウム、珪酸カリウムから選択される少なくとも1種以上の珪酸アルカリを挙げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のプラズマリアクタ1を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1〜
図4に示されるように、本実施形態のプラズマリアクタ1は、自動車のエンジン(図示略)の排ガスに含まれているPMを除去する装置であり、排気管2に取り付けられている。プラズマリアクタ1は、電源3、ケース10及びプラズマパネル積層体20を備えている。
【0023】
ケース10は、例えばステンレス鋼を用いて矩形筒状に形成されている。ケース10の第1端部(
図1では左端部)には第1コーン部11が接続され、ケース10の第2端部(
図1では右端部)には第2コーン部12が接続されている。さらに、第1コーン部11は、排気管2の上流側部分4(エンジン側の部分)に接続され、第2コーン部12は、排気管2の下流側部分5(エンジン側とは反対側の部分)に接続されている。なお、エンジンからの排ガスは、排気管2の上流側部分4から第1コーン部11を介してケース10内に流入し、ケース10内を通過した後、第2コーン部12を介して排気管2の下流側部分5に流出する。
【0024】
図4に示されるように、プラズマパネル積層体20は、ケース10内に収容されており、ケース10とプラズマパネル積層体20との間にはマット8が介在されている。マット8は、プラズマパネル積層体20をケース10に固定する機能を有している。ここで、マット8を構成する材料としては、例えば、セラミック繊維、金属繊維、発泡金属等の絶縁材料を用いることができる。
【0025】
図1,
図4,
図5に示されるように、プラズマパネル積層体20は、排ガスが流入する上流側端面21と、排ガスが流出する下流側端面22と、4つのガス非通過面23,24,25,26とを有する略直方体状を成している。上流側端面21及び下流側端面22は、プラズマパネル積層体20において互いに反対側に位置している。各ガス非通過面23〜26は、上流側端面21と下流側端面22との間に位置している。
【0026】
また、プラズマパネル積層体20は、複数の電極パネル30を積層した構造を有している。各電極パネル30は、上流側端面21側から下流側端面22側に流れる排ガスの通過方向F1(第1コーン部11から第2コーン部12に向かう方向)と平行に配置されており、互いに隙間(本実施形態では、0.5mmの隙間)を有するように配置されている。詳述すると、プラズマパネル積層体20は、隣接する電極パネル30間に、排ガスが通過するガス流路27(
図1参照)を有している。そして、ガス流路27は、上流側端面21及び下流側端面22において開口する開口部28を備えている。
【0027】
図1に示されるように、各電極パネル30には、プラズマパネル積層体20の厚さ方向に沿って第1の配線6及び第2の配線7が交互に電気的に接続されている。第1の配線6は、電源3の第1の端子に電気的に接続され、第2の配線7は、電源3の第2の端子に電気的に接続されている。
【0028】
図1,
図9に示されるように、本実施形態の電極パネル30は、第1主面31、第2主面32、第1端面37及び第2端面38を有し、縦100mm×横120mmの略矩形板状を成している。第1主面31及び第2主面32は、電極パネル30の厚さ方向において互いに反対側に位置している。また、第1端面37及び第2端面38は、面方向においてガス流路27を挟んで互いに反対側に位置している。さらに、電極パネル30は、矩形板状の誘電体33に放電電極34(厚さ10μm)を内蔵してなる構造を有している。本実施形態において、誘電体33はアルミナ(Al
2O
3)等のセラミックからなり、放電電極34はタングステン(W)からなっている。また、誘電体33の熱膨張係数は、2〜8ppm/℃程度であり、誘電体33がアルミナからなる本実施形態においては、7ppm/℃となっている。なお、誘電体33の熱膨張係数は、常温〜400℃間の測定値の平均値をいう。なお、各放電電極34は、平面視矩形状を成す放電電極本体35と、放電電極本体35から外周側に延出する電気取出部36とを有している。また、最上層の電極パネル30には、2層の放電電極34が内蔵されている。
【0029】
図6〜
図9に示されるように、各電極パネル30は、面方向においてガス流路27を挟んで互いに反対側に位置する第1端部41及び第2端部51を有している。また、電極パネル30は、第1端部41に設けられた第1スペーサ42と、第2端部51に設けられた第2スペーサ52とを介して、隣接する電極パネル30に対して積層されている。なお、両スペーサ42,52は、電極パネル30とは別体になっており、上記したガス流路27に沿って延びている。そして、本実施形態のプラズマパネル積層体20では、電極パネル30の第2主面32と下層側に隣接する電極パネル30の第1主面31との間、及び、第1スペーサ42の内端面43と第2スペーサ52の内側面53との間に、ガス流路27が構成される。
【0030】
そして、第1スペーサ42は、隣接するスペーサ(ここでは第2スペーサ52)に対向する内端面43と、第1スペーサ42の幅方向において内端面43の反対側に位置する外端面44とを有している。第1スペーサ42は、外端面44が電極パネル30の第1端面37と面一になるように配置されている。なお、本実施形態の第1スペーサ42は、長さ120mm×幅15mm×厚さ0.5mmの帯板状を成している。一方、第2スペーサ52も、隣接するスペーサ(ここでは第1スペーサ42)に対向する内端面53と、第2スペーサ52の幅方向において内端面53の反対側に位置する外端面54とを有している。第2スペーサ52は、外端面54が電極パネル30の第2端面38と面一になるように配置されている。なお、本実施形態の第2スペーサ52は、長さ120mm×幅15mm×厚さ0.5mmの帯板状を成している。
【0031】
また、
図6〜
図9に示されるスペーサ42,52は、帯板状の誘電体45,55によって構成されている。本実施形態において、誘電体45,55はアルミナ等のセラミックからなっている。即ち、本実施形態のスペーサ42,52は、電極パネル30と同じ材料を用いて形成されている。
【0032】
また、各第1スペーサ42は、第1端面37側、具体的には外端面44にて開口する平面視略矩形状の第1凹部46を有している。第1凹部46は、第1スペーサ42の中央部において、同第1スペーサ42の厚さ方向に貫通している。同様に、各第2スペーサ52は、第2端面38側、具体的には外端面54にて開口する平面視略矩形状の第2凹部56を有している。第2凹部56は、第2スペーサ52の中央部において、同第2スペーサ52の厚さ方向に貫通している。
【0033】
図6〜
図8に示されるように、第1スペーサ42を介することによって隣接する電極パネル30間に生じた空間には、第1内側絶縁部61が第1スペーサ42に接するように配置されている。第1内側絶縁部61は、第1スペーサ42よりも電極パネル30の第1端面37寄りに配置されている。具体的に言うと、第1内側絶縁部61は、第1スペーサ42の第1凹部46内に配置されている。第1内側絶縁部61は、隣接する絶縁部(ここでは第2内側絶縁部71)に対向する内側面62と、第1内側絶縁部61の幅方向において内側面62の反対側に位置する外側面63とを有している。内側面62全体は、第1凹部46の内側面に密着している。外側面63は、第1凹部46の開口部から露出しており、第1スペーサ42の外端面44よりも内端面43寄りに位置している。
【0034】
一方、第2スペーサ52を介することによって隣接する電極パネル30間に生じた空間には、第2内側絶縁部71が第2スペーサ52に接するように配置されている。第2内側絶縁部71は、第2スペーサ52よりも電極パネル30の第2端面38寄りに配置されている。具体的に言うと、第2内側絶縁部71は、第2スペーサ52の第2凹部56内に配置されている。第2内側絶縁部71は、隣接する絶縁部(ここでは第1内側絶縁部61)に対向する内側面72と、第2内側絶縁部71の幅方向において内側面72の反対側に位置する外側面73とを有している。内側面72全体は、第2凹部56の内側面に密着している。外側面73は、第2凹部56の開口部から露出しており、第2スペーサ52の外端面54よりも内端面53寄りに位置している。
【0035】
なお、各内側絶縁部61,71の形成材料は、無機粉末、無機繊維及び無機バインダーを含んでいる。具体的に言うと、内側絶縁部61,71は、アルミナ粉末及びシリカ粉末を無機粉末として含有している。また、内側絶縁部61,71は、アルミナファイバーを無機繊維として含有している。さらに、内側絶縁部61,71は、珪酸ナトリウムを無機バインダーとして含有している。また、本実施形態において、内側絶縁部61,71の熱膨張係数は6〜8ppm/℃程度となっている。即ち、内側絶縁部61,71の熱膨張係数は、誘電体33(電極パネル30)の熱膨張係数(7ppm/℃)と同程度になっている。なお、内側絶縁部61,71の熱膨張係数は、常温〜600℃間の測定値の平均値をいう。
【0036】
図6〜
図8に示されるように、プラズマパネル積層体20は、各電極パネル30の第1端部41側に形成された第1電気導通部81と、各電極パネル30の第2端部51側に形成された第2電気導通部82とを備えている。各電気導通部81,82は、導電性金属ペーストの硬化物からなっている。本実施形態において、各電気導通部81,82の形成材料は、ホウ化ジルコニウム(ZrB
2)を含んでいる。また、電気導通部81,82の熱膨張係数は、5〜7ppm/℃となっている。即ち、電気導通部81,82の熱膨張係数は、誘電体33の熱膨張係数(7ppm/℃)と同程度になっている。なお、電気導通部81,82の熱膨張係数は、常温〜600℃間の測定値の平均値をいう。
【0037】
また、各電気導通部81,82は、各電極パネル30を互いに固定保持する機能を有している。第1電気導通部81は、各電極パネル30の第1端部41を覆うように形成され、第2電気導通部82は、各電極パネル30の第2端部51を覆うように形成されている。具体的に言うと、第1電気導通部81は、各電極パネル30の第1端面37の中央部を覆うように形成されている。さらに、第1電気導通部81の一部は、上層側の電極パネル30の第2主面32と、下層側の電極パネル30の第1主面31と、第1内側絶縁部61の外側面63とによって囲まれた空間(第1凹部46)内に充填されている。また、第2電気導通部82は、各電極パネル30の第2端面38の中央部を覆うように形成されている。さらに、第2電気導通部82の一部は、上層側の電極パネル30の第2主面32と、下層側の電極パネル30の第1主面31と、第2内側絶縁部71の外側面73とによって囲まれた空間(第2凹部56)内に充填されている。なお、端面37,38上に形成されている電気導通部81,82の厚さT1は、少なくとも0.2mm以上であり、外側面63,73上に形成(即ち、空間内に充填)されている電気導通部81,82の厚さT2(本実施形態では1.5mm)よりも小さく、かつ、凹部46,56の深さD1(本実施形態では7mm)よりも小さくなっている。
【0038】
そして、
図6〜
図9に示されるように、各電気導通部81,82は、複数の放電電極34を電気的に接続するようになっている。具体的に言うと、電極パネル30の第1端部41または第2端部51には、放電電極34が露出している。本実施形態では、放電電極34の電気取出部36の先端面が、第1端面37または第2端面38に露出している。なお、電気取出部36の先端面には、モリブデン(Mo)やマンガン(Mn)等からなるメタライズ層が形成されている。そして、第1電気導通部81は、第1端面37に露出した電気取出部36の先端面に電気的に接続され、第2電気導通部82は、第2端面38に露出した電気取出部36の先端面に電気的に接続されている。
【0039】
図6〜
図8に示されるように、第1電気導通部81には第1導体金属部材91(厚さ0.2mm)が内蔵され、第2電気導通部82には第2導体金属部材92(厚さ0.2mm)が内蔵されている。各導体金属部材91,92は、各電極パネル30の端面37,38と平行に配置されており、電極パネル30の積層方向に沿って延びている。各導体金属部材91,92のガス非通過面23側の端縁は、最上層の電極パネル30の第1主面31と同じ高さに位置し、各導体金属部材91,92のガス非通過面25側の端縁は、最下層の電極パネル30の第2主面32と同じ高さに位置している。第1導体金属部材91は、第1電気導通部81内の略全体の領域において帯状に形成され、第2導体金属部材92は、第2電気導通部82内の略全体の領域において帯状に形成されている。なお、本実施形態の導体金属部材91,92は、ステンレス(SUS304)によって形成されたメッシュ状の導体である。
【0040】
図6〜
図8に示されるように、プラズマパネル積層体20は、各電極パネル30(プラズマパネル積層体20)をガス非通過面24側から挟み込んで保持する第1外側絶縁部101と、各電極パネル30をガス非通過面26側から挟み込んで保持する第2外側絶縁部102とを備えている。各外側絶縁部101,102は、電気導通部81,82を覆う機能と、各電極パネル30を積層方向に挟み込む機能とを有している。なお、本実施形態において、各外側絶縁部101,102の形成材料は、無機粉末、無機繊維及び無機バインダーを含んでいる。即ち、本実施形態の外側絶縁部101,102は、内側絶縁部61,71と同じ材料を用いて形成されているため、外側絶縁部101,102の熱膨張係数も、内側絶縁部61,71の熱膨張係数と等しくなる。
【0041】
また、外側絶縁部101,102は、絶縁部本体103及び絶縁部側部104を備えている。絶縁部本体103は、電極パネル30の積層方向に延びている。絶縁部本体103は、電気導通部81,82よりも幅広に形成されており、電気導通部81,82を側方から覆うようになっている。絶縁部側部104は、絶縁部本体103と一体に形成され、絶縁部本体103の両端部に配置されている。なお、各絶縁部側部104は、平面視略半円状(
図7参照)を成し、電気導通部材81,82のガス非通過面23側の端面、及び、電気導通部材81,82のガス非通過面25側の端面を覆うようになっている。そして、各絶縁部側部104の先端部は、最上層の電極パネル30の第1主面31(ガス非通過面23)、または、最下層の電極パネル30の第2主面32(ガス非通過面25)に接着されている。
【0042】
図2〜
図5に示されるように、プラズマリアクタ1は、一対の電源供給端子111,112を備えている。本実施形態の電源供給端子111,112は、スパークプラグと同様の構造を有している。詳述すると、電源供給端子111,112は、外部接続部、金属粉末を含む導電性シール、絶縁体、主体金具、滑石、パッキン類等を備えている。外部接続部は、導電性シールを介して中心軸113に接続されている。中心軸113は、先端部が絶縁体内に配置されている。なお、電源供給端子は、本実施形態のものに限定される訳ではなく、絶縁体によって外部接続部とケース10との間が絶縁されている構造であれば、他の構造であってもよい。
【0043】
また、各電源供給端子111,112は、基端部(中心軸113)が中継端子114(
図5参照)の先端部に電気的に接続され、先端部がケース10から露出している。そして、各電源供給端子111,112は、互いに同一方向に突出している。なお、本実施形態では、電源供給端子111の先端部が第1の配線6(
図1参照)に接続されるとともに、電源供給端子112の先端部が第2の配線7(
図1参照)に接続されるようになっている。また、中継端子114は、同中継端子114の基端部に設けられた軸部材115を介して、最上層の電極パネル30の第1主面31(ガス非通過面23)上に形成されたパッド116(
図6,
図7参照)に接続されている。パッド116は、ビア導体(図示略)等を介して放電電極34に電気的に接続されている。
【0044】
なお、
図1に示されるように、本実施形態のプラズマリアクタ1は、例えば、排ガスに含まれているPMを除去するために用いられる。この場合、電源3から隣接する電極パネル30間にパルス電圧(例えば、ピーク電圧:5kV(5000V)、パルス繰返し周波数:100Hz)が印加されると、誘電体バリア放電が生じ、放電電極34間に誘電体バリア放電によるプラズマが発生する。そして、プラズマの発生により、ガス流路27を流れる排ガスに含まれるPMが酸化(燃焼)されて除去される。
【0045】
次に、プラズマリアクタ1の製造方法を説明する。
【0046】
まず、アルミナ粉末を主成分とするセラミック材料を用いて、誘電体33となる第1,第2,第4,第5,第6のセラミックグリーンシートと、誘電体45,55(スペーサ42,52)となる第3のセラミックグリーンシートとを形成する。なお、セラミックグリーンシートの形成方法としては、テープ成形や押出成形などの周知の成形法を用いることができる。
【0047】
次に、第1,第4,第5のセラミックグリーンシートを支持台(図示略)に載置する。さらに、従来周知のペースト印刷装置(図示略)を用いて、第1,第4,第5のセラミックグリーンシートの裏面上に導電性ペースト(本実施形態では、タングステンペースト)を印刷する。その結果、第1,第4,第5のセラミックグリーンシートの裏面上に、放電電極34となる厚さ10μmの未焼成電極が形成される。なお、第1,第4,第5のセラミックグリーンシートに対する未焼成電極の印刷方法としては、スクリーン印刷などの周知の印刷法を使用することができる。
【0048】
そして、導電性ペーストの乾燥後、未焼成電極が印刷された第1のセラミックグリーンシートの裏面上に第2のセラミックグリーンシートを積層し、シート積層方向に押圧力を付与する。その結果、各セラミックグリーンシートが一体化され、第2層〜最下層の電極パネル30となるセラミック積層体が形成される。なお、第3のセラミックグリーンシートには、ガス流路27や、第1凹部46または第2凹部56の形状に合わせた打抜加工が施される。また、未焼成電極が印刷された第4のセラミックグリーンシートの裏面上に、同じく未焼成電極が印刷された第5のセラミックグリーンシートを積層した後、積層した第5のセラミックグリーンシートの裏面上に第6のセラミックグリーンシートを積層し、シート積層方向に押圧力を付与する。その結果、各セラミックグリーンシートが一体化され、最上層の電極パネル30となるセラミック積層体が形成される。
【0049】
次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、セラミックグリーンシート及び未焼成電極をアルミナ及びタングステンが焼結しうる所定の温度(例えば、1400℃〜1600℃程度)に加熱する同時焼成を行う。その結果、第1,第2,第4〜第6のセラミックグリーンシート中のアルミナ、及び、導電性ペースト中のタングステンが同時焼結し、誘電体33及び放電電極34が同時焼成によって形成され、第1,第2,第4〜第6のセラミックグリーンシートが電極パネル30となる。なお、このとき、放電電極34の電気取出部36の先端面が、電極パネル30の第1端面37や第2端面38に露出するようになる。また、第3のセラミックグリーンシート中のアルミナが焼結し、誘電体45,55が同時焼成によって形成され、第3のセラミックグリーンシートが第1スペーサ42及び第2スペーサ52となる。その後、積層工程を行い、得られた電極パネル30と得られたスペーサ42,52とを交互に複数枚積層して、プラズマパネル積層体20を形成する。
【0050】
次に、アルミナ粉末、シリカ粉末、アルミナファイバー、無機バインダーである珪酸ナトリウム、硬化補助材である酸化亜鉛を、水を用いて混練する。そして、混錬したものをペースト状に成形することにより、絶縁コート剤を得る。次に、得られた絶縁コート剤を、電極パネル30の第1凹部46及び第2凹部56に充填する。さらに、充填した絶縁コート剤を、大気雰囲気下にて25℃で12時間乾燥した後、400℃で2時間焼成する。その結果、絶縁コート剤が硬化して内側絶縁部61,71となる。
【0051】
次に、導電性金属ペースト(本実施形態では、ホウ化ジルコニウムを含むペースト)を、各電極パネル30の第1端面37の中央部と、各電極パネル30の第2端面38の中央部とに塗布する。このとき、第1端面37に塗布された導電性金属ペーストの一部は、上層側の電極パネル30の第2主面32と、下層側の電極パネル30の第1主面31と、第1内側絶縁部61の外側面63とによって囲まれた空間内に充填される。また、第2端面38に塗布された導電性金属ペーストの一部は、上層側の電極パネル30の第2主面32と、下層側の電極パネル30の第1主面31と、第2内側絶縁部71の外側面73とによって囲まれた空間内に充填される。さらに、第1端面37に塗布された導電性金属ペーストに第1導体金属部材91を埋め込むとともに、第2端面38に塗布された導電性金属ペーストに第2電気導通部材92を埋め込むようにする。そして、塗布及び充填した導電性金属ペーストを硬化させることにより、導電性金属ペーストが電気導通部81,82となる。
【0052】
次に、上記の絶縁コート剤を、電気導通部81,82の表面全体を覆うように塗布する。さらに、塗布した絶縁コート剤を、大気雰囲気下にて25℃で12時間乾燥した後、400℃で2時間焼成する。その結果、絶縁コート剤が硬化して外側絶縁部101,102となる。
【0053】
さらに、ろう付け等を行うことにより、最上層の電極パネル30の第1主面31上に形成されたパッド116に対して、軸部材115を介して中継端子114を接続した後、中継端子114に対して、電源供給端子111,112の中心軸113を電気的に接続する。次に、プラズマパネル積層体20の外表面を覆うようにマット8を取り付けた後、マット8の外表面を覆うようにケース10を取り付ける。その後、電源供給端子111の先端部に第1の配線6を接続するとともに、電源供給端子112の先端部に第2の配線7を接続する。以上のプロセスを経て、プラズマリアクタ1が完成する。
【0054】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0055】
(1)本実施形態のプラズマリアクタ1では、隣接する電極パネル30間に生じた空間内において、内側絶縁部61,71がスペーサ42,52に接するように配置されている。このため、電極パネル30とスペーサ42,52との間に生じる隙間への排ガスの侵入を、内側絶縁部61,71によって遮断することができる。従って、ガス流路27内に流入した排ガスが、隙間を通過して電気導通部81,82に到達することが防止されるため、電気導通部81,82への排ガス中のPMや水の付着が防止されるようになる。その結果、PMや水を介した隣接する電気導通部81,82間の導通や、同じくPMや水を介した電気導通部81,82−ケース10間の導通が防止されるため、隣接する電気導通部81,82間の絶縁や、電気導通部81,82とケース10との間の絶縁を確保することができる。ゆえに、プラズマリアクタ1の信頼性を向上させることができる。
【0056】
(2)本実施形態では、電気導通部81,82の形成材料が、熱膨張係数が5〜7ppm/℃のホウ化ジルコニウムを含んでいる。このため、電気導通部81,82の熱膨張係数は、電極パネル30の熱膨張係数(7ppm/℃)と同程度に近付くようになる。しかも、本実施形態では、内側絶縁部61,71及び外側絶縁部101,102の形成材料が、熱膨張係数が6〜8ppm/℃程度の材料を含んでいる。このため、内側絶縁部61,71及び外側絶縁部101,102の熱膨張係数も、電極パネル30の熱膨張係数と同程度に近付くようになる。以上の結果、電気導通部81,82と電極パネル30との熱膨張差、内側絶縁部61,71と電極パネル30との熱膨張差、及び、外側絶縁部101,102と電極パネル30との熱膨張差に起因して生じる応力が小さくなるため、電極パネル30での割れ等の発生を確実に抑制することができる。
【0057】
(3)本実施形態では、放電電極34の電気取出部36の先端面が端面37,38に露出し、電気取出部36の先端面にメタライズ層が形成されている。その結果、電気取出部36と電気導通部81,82との密着強度が向上するため、電気取出部36の先端面の面積が極めて小さい本実施形態においても、電気取出部36と電気導通部81,82とを確実に接触させることができる。ゆえに、複数の電極パネル30の放電電極34を、電気導通部81,82を介して確実に導通させることができるため、プラズマリアクタ1の信頼性がよりいっそう向上する。
【0058】
(4)本実施形態では、電気導通部81,82が各電極パネル30の端面37,38に接触するだけでなく、電気導通部81,82の一部が、上層側の電極パネル30の第2主面32と、下層側の電極パネル30の第1主面31との間に充填されている。その結果、電極パネル30と電気導通部81,82との接触面積が大きくなるため、両者の接合強度が向上する。ゆえに、プラズマリアクタ1の信頼性がよりいっそう向上する。
【0059】
(5)本実施形態のプラズマリアクタ1は、第1コーン部11及び第2コーン部12を介して排気管2に取り付けられている。その結果、排気管2の上流側部分4→第1コーン部11→プラズマリアクタ1→第2コーン部12→排気管2の下流側部分5の順番に排ガスが流れる排ガス流路内の抵抗が低減されるため、排ガス流路内における圧力損失を抑えることができる。ひいては、圧力損失に伴うエンジンの出力低下も防止することができる。
【0060】
なお、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
【0061】
・上記実施形態のプラズマパネル積層体20では、電気導通部81,82に導体金属部材91,92が内蔵されていた。しかし、
図10のプラズマパネル積層体120に示されるように、電気導通部121に導体金属部材91,92が内蔵されていなくてもよい。
【0062】
・
図11〜
図13に示されるように、プラズマパネル積層体130では、電気取出部131の一部が、電極パネル132の端面133、端部134における第1主面135上及び端部134における第2主面136上に形成されていてもよい。このようにすれば、電気取出部131と電気導通部137との接触面積が大きくなるため、両者をより確実に接触させることができる。ゆえに、プラズマリアクタ1の信頼性がよりいっそう向上する。なお、電気取出部131の先端面には、酸化を抑制するために、Ni等のめっきが施されることが好ましい。また、電気取出部131の先端面には、モリブデンやマンガン等からなるメタライズ層が形成されていてもよい。
【0063】
・上記実施形態のプラズマパネル積層体20では、内側絶縁部61,71の外側面63,73が、電極パネル30の端面37,38よりも内側(スペーサ42,52寄り)に位置しており、電気導通部81,82の一部が、上層側の電極パネル30の第2主面32と、下層側の電極パネル30の第1主面31と、外側面63,73とによって囲まれた空間内に充填されていた。しかし、内側絶縁部61,71の外側面63,73を電極パネル30の端面37,38と面一にして上記の空間を省略し、電気導通部81,82を、外側面63,73及び端面37,38を覆うように形成してもよい。
【0064】
・上記実施形態では、全ての第1スペーサ42が第1凹部46を有していたが、一部の第1スペーサ42のみが第1凹部46を有していてもよいし、全ての第1スペーサ42が第1凹部46を有していなくてもよい。なお、第1凹部46を有しない場合、第1内側絶縁部61は、例えば第1スペーサ42の外端面44を覆うように形成される。同様に、上記実施形態では、全ての第2スペーサ52が第2凹部56を有していたが、一部の第2スペーサ52のみが第2凹部56を有していてもよいし、全ての第2スペーサ52が第2凹部56を有していなくてもよい。なお、第2凹部56を有しない場合、第2内側絶縁部71は、例えば第2スペーサ52の外端面54を覆うように形成される。
【0065】
・上記実施形態では、内側絶縁部61,71が、スペーサ42,52よりも電極パネル30の端面37,38寄りに配置されていたが、スペーサ42,52よりも電極パネル30の中央部寄り(即ち、ガス流路27寄り)に配置されていてもよい。
【0066】
・上記実施形態のプラズマパネル積層体20では、放電電極34の電気取出部36の先端面が、電極パネル30の端面37,38に露出しており、電気導通部81,82が、端面37,38を覆うように形成されていた。しかし、電気取出部36の先端面は、端部41,51における端面37,38とは別の面、例えば、端部41,51における第1主面31や、端部41,51における第2主面32に露出していてもよい。また、これらの場合、端面37,38は、電気導通部81,82に覆われることなく露出していてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、電気導通部81,82の形成材料がホウ化ジルコニウムを含んでいた。しかし、電気導通部81の形成材料は、タングステンカーバイドを含んでいてもよいし、ホウ化ジルコニウム及びタングステンカーバイドの両方を含んでいてもよい。また、電気導通部81,82の形成材料は、ホウ化ジルコニウム及びタングステンカーバイドの少なくとも1つを含む代わりに、ニッケル、銅及び銀の少なくとも1つを含んでいてもよい。さらに、電気導通部81,82の形成材料は、ホウ化ジルコニウム及びタングステンカーバイドの少なくとも1つに加えて、ニッケル、銅及び銀の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0068】
・上記実施形態のプラズマパネル積層体20では、スペーサ42,52が電極パネル30とは別体になっていたが、スペーサ42,52は、電極パネル30と一体になっていてもよい。
【0069】
・上記実施形態のプラズマパネル積層体20は、1層の放電電極34を有する電極パネル30と、2層の放電電極34を有する電極パネル30とを積層した構造を有していた。しかし、プラズマパネル積層体は、2層の放電電極34を有する電極パネル30を有しない積層体であってもよい。
【0070】
・上記実施形態のプラズマリアクタ1は、自動車のエンジンの排ガス浄化に用いられていたが、例えば、船舶等の排ガス浄化に用いてもよい。また、プラズマリアクタ1は、プラズマ処理を行うものであればよく、排ガスの処理を行うものでなくてもよいし、浄化に用いるものでなくてもよい。
【0071】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0072】
(1)上記手段1において、前記スペーサは、隣接する前記スペーサに対向する内端面と、前記スペーサの幅方向において前記内端面の反対側に位置する外端面とを有することを特徴とするプラズマリアクタ。
【0073】
(2)上記手段1において、前記電極パネルは、第1主面及び第2主面を有し、前記絶縁部は、隣接する前記絶縁部に対向する内側面と、前記絶縁部の幅方向において前記内側面の反対側に位置する外側面とを有し、前記電気導通部の少なくとも一部は、上層側の前記電極パネルの前記第2主面と、下層側の前記電極パネルの前記第1主面と、前記絶縁部の前記外側面とによって囲まれた空間内に充填されていることを特徴とするプラズマリアクタ。
【0074】
(3)技術的思想(2)において、前記電極パネルは、面方向において前記ガス流路を挟んで互いに反対側に位置する一対の端面を有し、前記電気導通部は、前記端面を覆うように形成されており、前記端面に形成されている前記電気導通部の厚さは、前記凹部の深さよりも小さいことを特徴とするプラズマリアクタ。