特許第6890063号(P6890063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6890063粘着テープ、ワイヤーハーネス及び粘着テープの端末処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890063
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】粘着テープ、ワイヤーハーネス及び粘着テープの端末処理方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20210607BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   C09J7/38
   H01B7/00 301
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-152956(P2017-152956)
(22)【出願日】2017年8月8日
(65)【公開番号】特開2019-31613(P2019-31613A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和也
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−279198(JP,A)
【文献】 特開2001−270649(JP,A)
【文献】 実開昭60−113347(JP,U)
【文献】 特開2008−303023(JP,A)
【文献】 実開昭59−157672(JP,U)
【文献】 実開昭57−167744(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0119292(US,A1)
【文献】 特開2013−107969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、前記コアに対してロール状に巻かれ、基材と前記基材の片面に設けられた粘着層とを有するテープ部と、を備えた粘着テープであって、
前記テープ部は、ロール状に巻かれて最外周側となる端末から所定長さまでの領域である端末部の粘着層が、凹凸を有するエンボス構造となっており、前記所定長さを超える領域である非端末部の粘着層が、凹凸を有しない非エンボス構造となっている
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記基材は、前記端末部が凹凸を有するエンボス構造となっており、前記非端末部が凹凸を有しない非エンボス構造となっている
ことを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記端末部の粘着層は、その面積に占める凸部の面積が10%以下となっている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
電線と、
前記電線の周囲に巻き回される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粘着テープの前記テープ部と、
を備えることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項5】
コアと、前記コアに対してロール状に巻かれ、基材と前記基材の片面に設けられた粘着層とを有するテープ部とを備えた粘着テープの端末処理方法であって、
前記コアに前記テープ部を巻き取る巻取工程と、
前記巻取工程により前記コアに所定長巻き取られた前記テープ部に対して、カッターを動作させて前記テープ部を切断する切断工程と、
前記切断工程における前記カッターの動作に連動させて、凹凸を有した金型を動作させることにより、前記テープ部のうち前記カッターによる切断部から所定長さまでの領域である端末部を、凹凸を有するエンボス構造に処理する端末処理工程と、
を有することを特徴とする粘着テープの端末処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ、ワイヤーハーネス及び粘着テープの端末処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電線などの線状体を束ねたり、電線のジョイント部などを絶縁したりする目的で、電線等に巻き付けられる粘着テープが知られている(例えば特許文献1〜3参照)。粘着テープは、一般に、コアと、コアに対してロール状に巻かれるテープ部とを備えており、テープ部は基材と基材の片面に設けられた粘着層とを備えている。
【0003】
このような粘着テープは、テープ部のうち、ロール状に巻かれて最外周側となる端末部の識別性が高く(見つけ易く)、且つ剥離性が高い(剥がし易い)ことが好ましい。そこで、テープ部の端末部に加工を施す端末処理方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。この特許文献4に記載の端末処理方法は、端末部の粘着層にホットメルト型物質を加温塗布し、その後端末部を冷却して粘着層を不活性とするものである。また、特許文献4には、粘着層に粉体を直接噴霧して付着させたり、溶液を塗布して化学変化や揮発性溶剤を揮散させたりして粘着層を不活性とする端末処理方法も提案されている。さらに、特許文献4には、粘着層中の粘着剤を熱や紫外線で化学変化させて粘着層を不活性層とする端末処理方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−40740号公報
【特許文献2】実開平4−25834号公報
【特許文献3】実開平5−44525号公報
【特許文献4】特開2001−270649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献4に記載の端末処理方法では、粘着層と異質の物質を用いて粘着層を不活性としていることから、異質の物質が電線等に接触した場合における悪影響(例えば電線被覆部の早期劣化の可能性など)については何ら考慮されていない。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、粘着層と異質の物質を用いることなく端末部の剥離性を高めることが可能な粘着テープ、ワイヤーハーネス及び粘着テープの端末処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粘着テープは、コアと、前記コアに対してロール状に巻かれ、基材と前記基材の片面に設けられた粘着層とを有するテープ部と、を備えた粘着テープであって、前記テープ部は、ロール状に巻かれて最外周側となる端末から所定長さまでの領域である端末部の粘着層が、凹凸を有するエンボス構造となっており、前記所定長さを超える領域である非端末部の粘着層が、凹凸を有しない非エンボス構造となっていることを特徴とする。
【0008】
この粘着テープによれば、端末から所定長さまでの領域である端末部の粘着層が凹凸を有するエンボス構造となっており、所定長さを超える領域である非端末部が凹凸を有しない非エンボス構造となっている。このため、端末部においては粘着層のうち凸部が粘着に寄与して凹部が粘着に寄与し難くなり、粘着力を低下させることができる。従って、粘着層と異質の物質を用いることなく端末部の剥離性を高めることができる。
【0009】
また、本発明の粘着テープにおいて、前記基材は、前記端末部が凹凸を有するエンボス構造となっており、前記非端末部が凹凸を有しない非エンボス構造となっていることが好ましい。
【0010】
この粘着テープによれば、基材についても端末部がエンボス構造となっているため、基材側から視認した場合においても凹凸が確認でき、端末部を見つけ易く、端末部の識別性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の粘着テープにおいて、前記端末部の粘着層は、その面積に占める凸部の面積が10%以下となっていることが好ましい。
【0012】
この粘着テープによれば、端末部は、その面積に占める凸部の面積が10%以下となっているため端末部全域の粘着層を不活性とした場合と同等の剥離性を発揮することができる。
【0013】
また、本発明のワイヤーハーネスは、電線と、前記電線の周囲に巻き回される上記のいずれか1つに記載の粘着テープの前記テープ部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このワイヤーハーネスによれば、電線と、電線の周囲に巻き回される上記の粘着テープのテープ部とを備えるため、剥離性を向上させた粘着テープを用いてワイヤーハーネスが製造されることとなり、製造時間の短縮化を図り、コストの低減につなげることができる。
【0015】
また、本発明の粘着テープの端末処理方法は、コアと、前記コアに対してロール状に巻かれ、基材と前記基材の片面に設けられた粘着層とを有するテープ部とを備えた粘着テープの端末処理方法であって、前記コアに前記テープ部を巻き取る巻取工程と、前記巻取工程により前記コアに所定長巻き取られた前記テープ部に対して、カッターを動作させて前記テープ部を切断する切断工程と、前記切断工程における前記カッターの動作に連動させて、凹凸を有した金型を動作させることにより、前記テープ部のうち前記カッターによる切断部から所定長さまでの領域である端末部を、凹凸を有するエンボス構造に処理する端末処理工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
この粘着テープの端末処理方法によれば、カッターの動作に連動させて凹凸を有した金型を動作させ端末部をエンボス構造に処理するため、粘着テープを切断する際に形成される端末部に対して、切断と同時に端末処理を行うことができる。よって、粘着テープを製造する際に、粘着層と異質の物質を用いることなく剥離性を高めた端末部を形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粘着層と異質の物質を用いることなく、且つ剥がし易くすることが可能な粘着テープ、ワイヤーハーネス及び粘着テープの端末処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る粘着テープのテープ部を含むワイヤーハーネスの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る粘着テープを示す側面図である。
図3図2に示した粘着テープの一部拡大断面図である。
図4】本実施形態に係る粘着テープの端末処理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることは言うまでもない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る粘着テープのテープ部を含むワイヤーハーネスの斜視図である。ワイヤーハーネスWHは、例えば複数の電線Wと、後述の粘着テープ(図2の符号1参照)のテープ部20とを備えており、複数の電線Wをテープ部20によって束ねた構造となっている。テープ部20は、後述する粘着層(図3の符号22参照)を有しており、粘着層の粘着力を利用して複数の電線Wを束ねたまま保持している。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係る粘着テープを示す側面図であり、図3は、図2に示した粘着テープの一部拡大断面図である。なお、図2においては、粘着テープを端末側から一部剥離した状態を示している。
【0022】
図2に示すように、粘着テープ1は、コア10と、コア10にロール状に巻かれるテープ部20とを備えている。コア10は、テープ部20を巻き取るための芯材である。テープ部20は、図3に示すように、基材21と、基材21の片面に設けられた粘着層22とを有してる。テープ部20は、粘着層22が内側となり基材21が外側となるように、コア10に巻き取られている。
【0023】
さらに、本実施形態においてテープ部20は端末部EPに所定の加工が施されている。端末部EPは、ロール状に巻かれて最外周となる端末Eから所定長さまでの領域をいう。一方、非端末部NEPは、端末Eから所定長さを超える領域をいう。本実施形態において端末部EPは、粘着層22が凹凸を有するエンボス構造となっている。例えば図3に示すように、非端末部NEPの粘着層22の表面を基準面S1とした場合、端末部EPは、基準面S1から押し込まれるように形成された凹部22aが長手方向に断続的に形成されている。一方、非端末部NEPは、粘着層22が凹凸を有しない非エンボス構造となっている。なお、図3に示す例において所定長さは、端末Eから、凹部22aのうち最も端末Eから離れた部位P1までの長さである。
【0024】
このように、本実施形態においてテープ部20の端末部EPは、粘着層22に断続的に複数の凹部22aが形成されるため、凹部22aが1周内側の基材21に接触し難くなる。すなわち、端末部EPにおいては凹部22aが粘着に寄与し難くなり凸部22bが粘着に寄与することから、端末部EPの剥離性を高めることができる。しかも、端末部EPの粘着層22を基準面S1から押し込んで凹部22aを形成するだけで剥離性を高めることができるため、粘着層22にホットメルト型物質等の異質の物質を用いる必要がなくなる。一方、非端末部NEPについては、エンボス構造となっていないことから、端末部EP以外の部位における粘着力を維持することができる。
【0025】
なお、図3に示す例において凹部22aは、テープ部20の幅方向に連続する溝として形成されているが、特にこれに限られるものではない。例えば凹部22aは、テープ部20を平面視して千鳥状や市松模様状に形成されていてもよいし、テープ部20の長手方向に連続する溝として形成されていてもよい。
【0026】
加えて、端末部EPは、粘着層22に凹凸を有するだけでなく、基材21側にも凹凸を有している。本実施形態において基材21は、端末部EPにおいて基準面S2から突出する突出部Pを有している。具体的に説明すると、基材21は、端末部EPにおいて、粘着層22の凹部22aに対応する部位が基準面S2から突出する凸部21aとなっている。一方、基材21は、凸部22bに対応する部位が基準面S2から突出しない凹部21bとなっている。これにより、端末部EPの基材21側に、断続的に突出する部位が形成されるため、端末部EPの識別性が向上することとなる。なお、基材21は、非端末部NEPにおいて粘着層22と同様に非エンボス構造となっている。
【0027】
次に、本実施形態に係る粘着テープ1の端末処理方法を説明する。図4は、本実施形態に係る粘着テープ1の端末処理方法を示す図である。
【0028】
図4に示すように、本実施形態においては、コア10によってテープ部20が巻き取られるようになっている(巻取工程)。コア10は、複数のタッチロール30によって巻取済みのテープ部20と共に回転させられて、供給されるテープ部20を巻き取る。
【0029】
コア10によってテープ部20が所定長巻き取られたとすると、テープ部20に対してカッター40を動作させてテープ部20を切断する(切断工程)。さらに、このカッター40の動作に連動して、凹凸を有したエンボス金型50についても動作させる(端末処理工程)。これにより、テープ部20のうちカッター40による切断部CP(すなわち端末E)から所定長さまでの領域である端末部EPを、エンボス構造に処理する。
【0030】
よって、本実施形態では、粘着テープ1を切断する際に形成される端末部EPに対して、切断と同時に端末処理を行うことができる。
【0031】
なお、カッター40により切断されたテープ部20のうちエンボス処理されない側には、次の粘着テープ1を製造するためのコア10’が準備されており、端末処理工程の後には、次のコア10’が複数のタッチロール30にセットされる。
【0032】
次に、実施例及び比較例を説明する。実施例1〜10及び比較例1,2に示す粘着テープには、基材として塩化ビニルフィルムを用い、粘着層としてゴム系の粘着剤を用いた。
【0033】
実施例1〜10については、図4に示す端末処理方法にて端末処理した粘着テープを製造した。この際、端末部となる端末からの所定長さを10mmとし、端末から19mm(すなわち非端末部が9mm)を試料とした。なお、エンボス金型については、実施例1〜10でそれぞれ異なるものを用いて、端末部における粘着接触面積の割合(図3においては端末部EPの面積に対する凸部22bの面積)を変化させた。
【0034】
比較例1については、図4に示す端末処理構成からエンボス金型を除き、端末処理を行うことなく粘着テープを得た。この粘着テープのうち、端末から19mmを試料とした。なお、比較例1においては端末処理を行っていないことから、端末部における粘着接触面積の割合は100%となる。
【0035】
比較例2については、粘着テープの端末から10mmの部分に有色のPP(polypropylene)フィルムを貼り付けたものを採用し、端末から19mmを試料とした。なお、比較例2においては端末から10mmの部分がPPフィルムで覆われることから、端末部における粘着接触面積の割合は0%となる。
【0036】
以上のような、実施例1〜10及び比較例1,2に係る粘着テープに対して、剥離性及び識別性を評価した。
【0037】
剥離性については、10個の粘着テープの端末部を剥がすまでに要する時間を測定し、60秒以上掛かった場合を「1」とし、45秒以上60秒未満掛かった場合を「2」とし、30秒以上45秒未満掛かった場合を「3」とし、15秒以上30秒未満掛かった場合を「4」とし、15秒未満しか掛からなかった場合を「5」とした。
【0038】
識別性については、10個の粘着テープの端末部を見つけるまでに要する時間を測定し、30秒以上掛かった場合を「1」とし、25秒以上30秒未満掛かった場合を「2」とし、20秒以上25秒未満掛かった場合を「3」とし、15秒以上20秒未満掛かった場合を「4」とし、15秒未満しか掛からなかった場合を「5」とした。
【0039】
剥離性及び識別性の結果を表1に示す。
【表1】
【0040】
表1に示すように、実施例1〜10の全てにおいて剥離性及び識別性が向上していることがわかった。さらに、実施例9,10に示すように、粘着接触面積の割合が10%以下となると、有色のPPフィルムを貼り付けた場合(すなわち粘着接触面積の割合が0%)と同等の剥離性及び識別性を達成できることがわかった。
【0041】
このようにして、本実施形態に係る粘着テープ1によれば、端末Eから所定長さまでの領域である端末部EPの粘着層22が凹凸を有するエンボス構造となっており、所定長さを超える領域である非端末部NEPが凹凸を有しない非エンボス構造となっている。このため、端末部EPにおいては粘着層22のうち凸部22bが粘着に寄与して凹部22aが粘着に寄与し難くなり、粘着力を低下させることができる。従って、粘着層22と異質の物質を用いることなく端末部EPの剥離性を高めることができる。
【0042】
また、基材21についても端末部EPがエンボス構造となっているため、基材21側から視認した場合においても凹凸が確認でき、端末部EPを見つけ易く、端末部EPの識別性を向上させることができる。
【0043】
また、端末部EPは、その面積に占める凸部22bの面積が10%以下となっているため端末部EP全域の粘着層22を不活性とした場合と同等の剥離性を発揮することができる。
【0044】
また、本実施形態に係るワイヤーハーネスWHによれば、電線Wと、電線Wの周囲に巻き回される粘着テープ1のテープ部20とを備えるため、剥離性を向上させた粘着テープ1を用いてワイヤーハーネスWHが製造されることとなり、製造時間の短縮化を図り、コストの低減につなげることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る粘着テープ1の端末処理方法によれば、カッター40の動作に連動させて凹凸を有したエンボス金型50を動作させ端末部EPをエンボス構造に処理するため、粘着テープ1を切断する際に形成される端末部EPに対して、切断と同時に端末処理を行うことができる。よって、粘着テープ1を製造する際に、粘着層22と異質の物質を用いることなく剥離性を高めた端末部EPを形成することができる。
【0046】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0047】
例えば、本実施形態において粘着テープ1は、粘着層22に凹部22aを有すると共に、基材21に突出部Pを有しているが、これに限らず、粘着層22に凹部22aを有するのみであってもよい。
【0048】
また、本実施形態に係る粘着テープ1において凹部22aが断続的に複数設けられているが、これに限らず、1つだけ設けられていてもよい。さらに、テープ部20の端末Eは凸部22bとなっているが、凹部22aであってもよい。なお、凸部22bである方が、テープ部20の端末Eからゴミ等が付着し難くなるため、好ましいといえる。
【0049】
加えて、本実施形態において端末部EPは、粘着層22が基材21側へ押し込まれて凹部22aが形成されている。すなわち、凸部22bが基準面S1と面一となっている。しかし、これに限らず、基材21が粘着層22側に押し込まれて粘着層22に基準面S1から飛び出す凸部22bが形成されてもよい。加えて、凸部22bが基準面S1よりも突出し、凹部22aが基準面S1より凹む構造であってもよい。基材21についても基準面S2に対して同様である。
【0050】
また、本実施形態において粘着層22の凹部22aと基材21の凸部21bとは位置が対応している。さらに、粘着層22の凸部22bと基材21の凹部21aとは位置が対応している。しかし、これに限らず、非対応であってもよい。
【0051】
さらに、基材21や粘着層22は、エンボス金型50によってエンボス構造とされる場合に限らず、例えば、基材21や粘着層22がその厚みの範囲内で一部が削り取られてエンボス構造とされてもよい。さらに、粘着層22上に同一物質が部分的に積層されてエンボス構造とされてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 :粘着テープ
10 :コア
20 :テープ部
21 :基材
21a :凸部
21b :凹部
22 :粘着層
22a :凹部
40 :カッター
50 :エンボス金型(金型)
CP :切断部
E :端末
EP :端末部
NEP :非端末部
W :電線
WH :ワイヤーハーネス
図1
図2
図3
図4