特許第6890107号(P6890107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヨコオの特許一覧

特許6890107制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム
<>
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000002
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000003
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000004
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000005
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000006
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000007
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000008
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000009
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000010
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000011
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000012
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000013
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000014
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000015
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000016
  • 特許6890107-制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890107
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20210607BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20210607BHJP
   E05B 19/00 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   B60R25/24
   E05B19/00 J
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-139177(P2018-139177)
(22)【出願日】2018年7月25日
(65)【公開番号】特開2020-16065(P2020-16065A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2021年3月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】風間 利裕
(72)【発明者】
【氏名】内田 晴久
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】深谷 拓範
(72)【発明者】
【氏名】橋本 衛
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−5353(JP,A)
【文献】 特開2016−12369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー又は前記回路部が取り付けられることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
所与の情報を取得する第1の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記所与の情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え
前記発動制御部は、前記車両電子キーに設けられたドア解錠ボタンが押し下げられた時に当該押し下げを検知するために前記回路部に設けられた検知回路を検知状態とすることで前記発動制御を行う、
制御装置。
【請求項2】
車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー又は前記回路部が取り付けられることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
所与の情報を取得する第1の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記所与の情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え
前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタンを有し、
前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンを押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させることで前記発動制御を行う、
制御装置。
【請求項3】
前記第1の取得制御部は、前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体からユーザ認証に使用する第1のユーザ認証情報を前記所与の情報として取得し、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記第1のユーザ認証情報に基づいて前記車両の使用許否判定を行う使用許否判定部、を更に備え、
前記実行制御部は、前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされて前記使用許否判定部により合格と判定された場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
近距離無線通信を行う近距離無線通信部を更に備え、
前記情報担持媒体は、前記近距離無線通信のための通信回路を有し、
前記第1の取得制御部は、前記近距離無線通信部を制御して前記第1のユーザ認証情報を取得する、
請求項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記情報担持媒体は、電子機器又はICカードである、
請求項又はに記載の制御装置。
【請求項6】
前記ユーザの第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムに通信接続して前記第2のユーザ認証情報を取得する第2の取得制御部、
を更に備え、
前記使用拒否判定部は、前記第1の取得制御部により取得された前記第1のユーザ認証情報と、前記第2の取得制御部により取得された前記第2のユーザ認証情報とに基づいて前記車両の使用許否判定を行う、
請求項の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記サーバシステムは、前記第2のユーザ認証情報と関連付けて、前記ユーザによる前記車両の使用を許可する日時を示す許可日時情報を管理し、
前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムから前記第2のユーザ認証情報及び前記許可日時情報を取得し、
前記実行制御部は、前記使用許否判定を行う日時が前記許可日時情報に適合し、且つ、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合する場合に合格と判定する前記使用許否判定を行う、
請求項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記回路部は、所定の電源に基づいて回路動作を行い、前記回路動作には、前記車両がエンジン始動時に所定の認証処理を行う際の認証キーを発信することを含み、
前記発動制御部は、前記回路部への電源供給制御を行う電源供給制御部を有し、
前記実行制御部は、前記使用許否判定によって合格と判定するまでは前記電源供給制御部による電源供給制御を抑止し、合格と判定した場合に電源供給制御を行わせる、
請求項の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー又は前記回路部が取り付けられることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体からユーザ認証に使用する第1のユーザ認証情報を取得する第1の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記第1のユーザ認証情報に基づいて前記車両の使用許否判定を行う使用許否判定部と、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされて前記使用許否判定部により合格と判定された場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え
前記回路部は、所定の電源に基づいて回路動作を行い、前記回路動作には、前記車両がエンジン始動時に所定の認証処理を行う際の認証キーを発信することを含み、
前記発動制御部は、前記回路部への電源供給制御を行う電源供給制御部を有し、
前記実行制御部は、前記使用許否判定によって合格と判定するまでは前記電源供給制御部による電源供給制御を抑止し、合格と判定した場合に電源供給制御を行わせる、
制御装置。
【請求項10】
第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムであって、請求項又はに記載の制御装置からの要求に応じて前記第2のユーザ認証情報を提供するサーバシステム。
【請求項11】
請求項又はに記載の制御装置と、
前記第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムであって、前記制御装置からの要求に応じて前記第2のユーザ認証情報を提供するサーバシステムと、
を具備した車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアの解錠等を制御するための制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の1つの使用形態として、特定の車両を複数のユーザが共同使用するカーシェアリングが知られている。カーシェアリングでは、車両ドアを解錠するための物理的な鍵である車両電子キーをユーザ間で受け渡すことが困難であることから、車両電子キーを必要とせずに車両ドアを解錠する仕組みが求められている。例えば、特許文献1には、ユーザ端末を用いてユーザ認証を行い、その結果認証された場合に車両ドアのアンロック処理等を実行する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−206813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の技術では、車両内に設置した車両端末を車両診断用コネクタを介して自動車各部を制御する制御ユニットと接続し、CAN(Controller Area Network)通信を利用することで、アンロック処理を行っている。すなわち、特許文献1の技術は、車載ネットワークに物理的に接続する装置を車両内に取り付けて、車載ネットワークにアクセスして車両ドアの解錠制御を直接行うものであった。
【0005】
以上のように、従来の技術では、車載ネットワークに物理的に接続する装置を車両内に取り付ける必要があった。
【0006】
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、車載ネットワークに物理的に接続する装置を車両内に取り付ける必要がなく、車両ドアの解錠を行うことができる新たな技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための本発明の第1の態様は、車両に設置される制御装置であって、前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー又は前記回路部が取り付けられることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、所与の情報を取得する第1の取得制御部と、前記第1の取得制御部による前記所与の情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、を備えた制御装置である。
【0008】
第2の態様は、前記発動制御部は、前記車両電子キーに設けられたドア解錠ボタンが押し下げられた時に当該押し下げを検知するために前記回路部に設けられた検知回路を検知状態とすることで前記発動制御を行う、第1の態様の制御装置である。
【0009】
第3の態様は、前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタンを有し、前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンを押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させることで前記発動制御を行う、第1の態様の制御装置である。
【0010】
第4の態様は、前記第1の取得制御部は、前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体からユーザ認証に使用する第1のユーザ認証情報を前記所与の情報として取得し、前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記第1のユーザ認証情報に基づいて前記車両の使用許否判定を行う使用許否判定部、を更に備え、前記実行制御部は、前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされて前記使用許否判定部により合格と判定された場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、第1〜第3の何れかの態様の制御装置である。
【0011】
第5の態様は、近距離無線通信を行う近距離無線通信部を更に備え、前記情報担持媒体は、前記近距離無線通信のための通信回路を有し、前記第1の取得制御部は、前記近距離無線通信部を制御して前記第1のユーザ認証情報を取得する、第4の態様の制御装置である。
【0012】
第6の態様は、前記情報担持媒体は、電子機器又はICカードである、第4又は第5の態様の制御装置である。
【0013】
第7の態様は、前記ユーザの第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムに通信接続して前記第2のユーザ認証情報を取得する第2の取得制御部、を更に備え、前記使用拒否判定部は、前記第1の取得制御部により取得された前記第1のユーザ認証情報と、前記第2の取得制御部により取得された前記第2のユーザ認証情報とに基づいて前記車両の使用許否判定を行う、第4〜第6の何れかの態様の制御装置である。
【0014】
第8の態様は、前記サーバシステムは、前記第2のユーザ認証情報と関連付けて、前記ユーザによる前記車両の使用を許可する日時を示す許可日時情報を管理し、前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムから前記第2のユーザ認証情報及び前記許可日時情報を取得し、前記実行制御部は、前記使用許否判定を行う日時が前記許可日時情報に適合し、且つ、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合する場合に合格と判定する前記使用許否判定を行う、第7の態様の制御装置である。
【0015】
第9の態様は、前記回路部は、所定の電源に基づいて回路動作を行い、前記回路動作には、前記車両がエンジン始動時に所定の認証処理を行う際の認証キーを発信することを含み、前記発動制御部は、前記回路部への電源供給制御を行う電源供給制御部を有し、前記実行制御部は、前記使用許否判定によって合格と判定するまでは前記電源供給制御部による電源供給制御を抑止し、合格と判定した場合に電源供給制御を行わせる、第4〜第8の何れかの態様の制御装置である。
【0016】
第10の態様は、第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムであって、第7又は第8の態様の制御装置からの要求に応じて前記第2のユーザ認証情報を提供するサーバシステムである。
【0017】
第11の態様は、第7又は第8の態様の制御装置と、前記第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムであって、前記制御装置からの要求に応じて前記第2のユーザ認証情報を提供するサーバシステムと、を具備した車両管理システムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車載ネットワークに物理的に接続する装置を車両内に取り付ける必要がなく、車両ドアの解錠を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】車両管理システムの全体構成例を示す図。
図2】車両電子キーの構成例を示す模式図。
図3】車両ドア制御装置の機能構成例を示すブロック図。
図4】車両ドア制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図。
図5】キー回路部と制御回路との接続例を示す図。
図6】ユーザ端末の機能構成例を示すブロック図。
図7】管理サーバの機能構成例を示すブロック図。
図8】ユーザ情報のデータ構成例を示す図。
図9】車種情報のデータ構成例を示す図。
図10】予約情報のデータ構成例を示す図。
図11】アカウント登録及び使用予約に係る処理の流れを示す図。
図12】乗車時の処理の流れを示す図。
図13】返却時の処理の流れを示す図。
図14】変形例1における発動制御部の構成例を示す図。
図15】変形例6における使用予約に係る処理の流れを示す図。
図16】変形例6における乗車時の処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。
【0021】
図1は、本実施形態の車両管理システム100の全体構成例を示す図である。本実施形態では、車両管理システム100として、複数のユーザが車両1を共同で使用することができるカーシェアリングサービスに係る管理システムへの適用例を示す。ここで、車両1は、車両ドア19を備え、車両ドア19には、これを解錠及び施錠する機構(図示略)が設けられている。したがって、カーシェアリングにおいては、同じ車両1を使用する複数のユーザの各々がその使用に際して車両ドア19を解錠し、施錠する仕組みが必要となる。本実施形態の車両管理システム100は、カーシェアリング用の自動車(以下適宜「シェアカー」という。)である車両1の使用予約と、その予約情報を用いた車両ドア19の解錠及び施錠とを実現する。
【0022】
具体的には、車両管理システム100は、図1に示すように、制御装置としての車両ドア制御装置30と、情報担持媒体5としてのユーザ端末50と、サーバシステムとしての管理サーバ70とを含み、これらがネットワークNを介して通信可能に接続されて構成されている。ネットワークNは、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む。また、車両ドア制御装置30とユーザ端末50とは、各々がBluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)規格、IEEE802.11規格、IEEE802.15規格等に準拠した通信機(無線通信モジュール)を搭載しており、互いに近距離無線通信が可能に構成されている。なお、情報担持媒体5として、ユーザ端末50の代わりに、ICチップ503を搭載したICカード501を使用することもできるが、この形態については後述する。
【0023】
車両ドア制御装置30は、車両管理システム100が管理対象としている各シェアカーの車両1にそれぞれ設置される。具体的には、車両ドア制御装置30は、車両ドア19を開閉するための車両電子キー10から取り出されたキー回路部15とともに箱型の筐体(キーボックス)に収められ、車両1の適所に設置される。本実施形態では、例えば、グローブボックスや、助手席のシート下等の車両1内のスペースに設置されるものとする。また、車両ドア制御装置30は筐体に収められた形態でなくともよい。
【0024】
図2は、車両電子キー10の構成例を示す模式図である。図2に示すように、車両電子キー10は、車両ドア19を解錠するためのドア解錠ボタン11と、車両ドア19を施錠するためのドア施錠ボタン13とを前面に配置して備える。また、その他にも、例えばトランクやバックドアの解錠ボタン等、別の機能が割り当てられたボタンが適宜配置されて構成される。そして、車両電子キー10は、回路部としてのキー回路部15を内蔵するとともに、このキー回路部15に電源を供給するためのボタン電池の収容部17を背面等の適所に備える。車両電子キー10の外装は、ネジや嵌合爪等によって複数の外装パーツが組み合わされて構成されている。この外装を取り外すことによって、車両電子キー10からキー回路部15を取り出すことができる。キー回路部15には、ドア解錠ボタン11やドア施錠ボタン13等の各ボタンの押し下げ位置に、当該ボタンの押し下げを検知する検知回路の一種であるスイッチ回路151が実装されている。
【0025】
キー回路部15は、所定の電源に基づいて回路動作を行う。本実施形態では、ボタン電池からではなく、後述する電源供給制御部313の制御のもと、車両ドア制御装置30からキー回路部15に電源が供給される。当該キー回路部15が行う回路動作は、(1)ドア解錠ボタン11の押し下げを検知してドア解錠信号を発信することと、(2)ドア施錠ボタン13の押し下げを検知してドア施錠信号を発信すること、とを含む。これにより、ドア解錠ボタン11を押下すると車両ドア19が解錠され、ドア施錠ボタン13を押下すると車両ドア19が施錠されることとなる。また、キー回路部15には、車両1との間の無線通信による所定の認証処理に使われる認証キーが記録されている。キー回路部15の回路動作は、(3)車両がエンジン始動時に行う所定の認証処理で用いる認証キーを発信すること、を含む。後述するように、本実施形態では、車両ドア制御装置30を構成する発動制御部31(図3を参照)にこのキー回路部15を電気的に接続して取り付ける。キー回路部15が行う(1)〜(3)の回路動作は、一般的な車両電子キー10が実行可能な公知の回路動作である。
【0026】
そして、車両ドア制御装置30は、シェアカーの使用予約を行ったユーザの車両1への乗車に際し、ユーザ認証を含む使用許否判定を行う。使用許否判定は、ユーザ端末50との近距離無線通信で取得した端末予約情報を、管理サーバ70から配信された車両1に係る予約情報と照合することで行う。その結果合格と判定し、当該ユーザ端末50のユーザによる車両1の使用を許可する場合には、ドア解錠信号を車両電子キー10のキー回路部15から発信させる発動制御を行って、車両ドア19を解錠させる。また、ユーザは、予約期間の終了までに車両1を返却するが、その際には、解錠時と同様の要領でユーザ認証を行った上で、車両ドア19を施錠させる。
【0027】
図1に戻る。ユーザ端末50は、ユーザが所有し携帯する電子機器であって、近距離無線通信による車両ドア制御装置30とのデータ通信とは別に、携帯電話基地局や無線通信基地局等を経由してネットワークNに接続することで、管理サーバ70とデータ通信を行うことができる。例えば、ユーザ端末50は、スマートフォン、携帯電話機、パソコン、タブレット型コンピュータ、ウェアラブルコンピュータ等の形態を取り得る。ここで、ユーザは、カーシェアリングサービスへのアカウント登録手続きを事前に済ませたシェアカーの車両1の使用者である。なお、事前にアカウント登録手続きを済ませていないユーザもあり得る。その場合には、本サービスを利用するためのアカウント登録手続きを新規に行うこととする。ユーザは、ユーザ端末50で管理サーバ70にアクセスし、自身のアカウントにより予約サイトにログインして、シェアカーの使用予約手続きを行う。そして、シェアカーの車両1への乗車時には、ユーザ端末50とその車両1内に設置された車両ドア制御装置30との近距離無線通信を利用した乗車手続きを行い、車両ドア19を解錠する。また、返却時には、当該近距離無線通信を利用した返却手続きを行い、車両ドア19を施錠する。
【0028】
管理サーバ70は、アカウント登録に必要な処理を行うとともに、予約サイトを公開して、シェアカーの使用予約に係る各種処理等を行う。なお、管理サーバ70は、単体の構成に限らず、各機能を分担する複数のサーバを搭載して相互に内部バスを介してデータ通信可能に接続した構成であってもよい。或いは、離れた場所に設置された独立した複数のサーバを、ネットワークNを介してデータ通信させることで、全体として管理サーバ70として機能させる構成であってもよい。
【0029】
1.車両ドア制御装置
図3は、車両ドア制御装置30の機能構成例を示すブロック図である。図4は、車両ドア制御装置30のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3に示すように、機能構成として、車両ドア制御装置30は、発動制御部31と、処理部33と、通信部35と、近距離無線通信部36と、記憶部37とを備える。ハードウェア構成としては、車両ドア制御装置30は、発動制御部31と、プロセッサ3033と、通信回路部3035と、近距離無線通信回路部3036と、メモリ3037と、入力部3061と、表示部3063とを備える。
【0030】
発動制御部31は、図3中に破線で示すキー回路部15からドア解錠信号を発信させる制御(以下、「解錠発動制御」という)と、ドア施錠信号を発信させる制御(以下、「施錠発動制御」という)とを発動制御として行う。発動制御部31は、例えば専用の回路で構成され、図4に示したハードウェア構成においても、独立したブロックとして構成される。具体的には、発動制御部31は、ドア解錠信号、ドア施錠信号、及び認証キーの発信を含む回路動作を行う制御回路311を有し、車両電子キー10から取り出したキー回路部15が取り付けられることで、上記発動制御が可能となる。キー回路部15は、車両電子キー10の外装を取り外すことで、車両電子キー10から取り出すことができる。本実施形態では、車両電子キー10からキー回路部15を取り出した上で、キー回路部15に実装されている車両電子キー10の各ボタンに対応するスイッチ回路151それぞれを制御回路311と配線接続することによって、当該キー回路部15が発動制御部31に取り付けられる。
【0031】
また、キー回路部15に電源を供給するボタン電池も取り外され、キー回路部15の電源ラインが制御回路311の電源供給制御部313に接続されることで、キー回路部15が発動制御部31に取り付けられる。キー回路部15への電源供給は、電源供給制御部313によって行われる。
【0032】
キー回路部15と制御回路311との接続は種々の形態が考えられる。例えば、図5に示すように、キー回路部15は、図2のドア解錠ボタン11に対応するスイッチ回路151aと、ドア施錠ボタン13に対応するスイッチ回路151bと、ボタン電池が装着された場合に当該ボタン電池のプラス電極およびマイナス電極に接触する接触片157とを備える。スイッチ回路151a,151bには、物理的なボタン(ドア解錠ボタン11やドア施錠ボタン13)の押し下げによって電気的に短絡されるパッド部(図5中の黒色四角形)が設けられており、このパッド部と制御回路311とを電線で接続する。パッド部が短絡された状態は、ボタンが押し下げられたことをスイッチ回路151が検知した状態を意味する。このため、制御回路311は、パッド部を電気的に短絡することでスイッチ回路151を検知状態とさせ、ボタンが押し下げられた状態を擬似的に再現する。スイッチ回路151を検知状態とする制御により、発動制御部31は、キー回路部15からドア解錠信号を発信させる解錠発動制御や、ドア施錠信号を発信させる施錠発動制御を行う。また、接触片157は、制御回路311の電源供給制御部313と接続する。
【0033】
また、別の形態として、スイッチ回路151のパッド部間を短絡させるスイッチ素子(フォトリレー等)を設け、当該スイッチ素子の動作を制御回路311が制御するように構成することとしてもよい。
【0034】
なお、発動制御部31を含む車両ドア制御装置30は、バッテリーを備える。或いは、車両1のシガーソケット等を経由して車両1のバッテリーと電気的に接続される。これにより、車両ドア制御装置30は常時起動状態にあり、取り付けられたキー回路部15は電源供給制御部313の制御の下、回路動作可能な状態にある。
【0035】
処理部33は、図4のプロセッサ3033に該当し、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ICメモリ等の電子部品によって実現される。なお、図4ではプロセッサ3033をあたかも1つの回路で構成されているように図示しているが、物理的に一体の回路である必要はない。離れて設置された複数のプロセッサがバス接続された回路ブロックであってもよい。
【0036】
処理部33は、装置各部との間でデータの入出力制御を行い、所定のプログラムやデータ、管理サーバ70やユーザ端末50から受信したデータ等に基づき各種の演算処理を実行して、車両ドア制御装置30の動作を統括制御する。本実施形態では、処理部33は、第2の取得制御部としての対象車両予約情報管理部331と、第1の取得制御としての端末予約情報取得制御部333と、実行制御部としての発動実行制御部335とを含む。なお、これら処理部33を構成する機能部は、プログラムを実行することによりソフトウェアとして実現される処理ブロックであってもよいし、専用のモジュール回路等のハードウェアによって実現される回路ブロックであってもよい。本実施形態では、処理部33が制御プログラム371を実行することによりソフトウェアとして実現される処理ブロックとして説明する。
【0037】
対象車両予約情報管理部331は、管理サーバ70から車両1(当該車両ドア制御装置30が設置された車両)に係る予約情報850(図10参照)を取得する制御を行い、対象車両予約情報380として管理する。ここでの予約情報の取得制御は、所定の時間間隔で定期的に管理サーバ70に予約情報配信要求を通知し、当該通知を受けて管理サーバ70から返信された車両1に係る新たな予約情報を受信処理することで行う。ただし、これに限らず、返却手続きが完了して車両1が所定場所(後述する利用店舗における当該車両1の駐車場所)に返却された時点等の適宜タイミングで取得する構成でもよい。或いは、管理サーバ70側が、例えば使用予約を新規に受け付けた時点等の適宜タイミングでその予約情報850(図10を参照)を該当する車両の車両ドア制御装置30に配信するようにし、対象車両予約情報管理部331は、管理サーバ70から配信された車両1に係る新たな予約情報を随時受信処理して取得する構成としてもよい。
【0038】
端末予約情報取得制御部333は、近距離無線通信部36を介した近距離無線通信を制御して、通信圏内のユーザ端末50から端末予約情報を取得する。本実施形態では、ユーザ端末50から解錠要求とともに送信された端末予約情報を受信処理するとともに、施錠要求とともに送信された端末予約情報を受信処理する。
【0039】
発動実行制御部335は、発動制御部31による発動制御の実行を制御する。この発動実行制御部335は、車両1の使用許否判定を行う使用許否判定部337を備え、使用許否判定部337が合格と判定した場合に、発動制御部31に発動制御を行わせる。本実施形態では、端末予約情報取得制御部333がユーザ端末50から端末予約情報を取得した際に、対象車両予約情報380を参照して、端末予約情報を用いた使用許否判定を行う。なお、使用許否判定部337は、発動実行制御部335とは別個の機能部として設けることとしてもよい。
【0040】
ここで、後述するように、本実施形態では、対象車両予約情報380及び端末予約情報の各予約情報は、ユーザ認証情報として、予約番号と、予約パスワードとを含む。また、少なくとも対象車両予約情報380は、許可日時情報として、シェアカーの使用日時(使用開始日時及び使用終了日時)を設定した予約期間データを含む。そして、発動実行制御部335の使用許否判定部337が行う使用許否判定は次のようにして行われる。先ず、予約番号と予約パスワードの組み合わせが一致するか否かの第1の適合判定をユーザ認証として行い、端末予約情報との比較でその組み合わせが一致する対象車両予約情報380があれば、当該対象車両予約情報380についてユーザ認証情報が適合すると判定する。そして、適合すると判定した対象車両予約情報380があったときには、続いて第2の適合判定を行い、当該対象車両予約情報380の予約期間データに従って、その使用日時に現在日時が適合するか否かを判定する。例えば、現在日時が使用開始日時から使用終了日時までの期間内の場合、適合すると判定する。また、現在日時が使用開始日時前或いは使用終了日時後の場合でも、その時間差が所定の許容時間差内であれば、適合すると判定する。許容時間差は適宜設定しておけばよく、例えば30分等とすることができる。なお、第1の適合判定で適合すると判定した対象車両予約情報が複数あるときは、そのそれぞれについて現在日時が適合するかを判定する。最終的に、適合する対象車両予約情報380がある場合に、当該使用許否判定の結果を合格とする。
【0041】
また、発動実行制御部335は、使用許否判定部337が使用許否判定で合格と判定するまでの間は、電源供給制御部313によるキー回路部15への電源供給を抑止する。そして、使用許否判定部337が合格と判定したならば、電源供給制御部313にキー回路部15への電源供給制御を行わせる。これにより、使用許否判定部337が使用許否判定の結果を合格と判定するとキー回路部15に電源が供給され、キー回路部15の回路動作が可能な状態とされる。また、解錠発動制御が行われることで、キー回路部15からドア解錠信号が発信されることとなる。
【0042】
通信部35は、所定の通信回線(無線通信回線やLAN等)に接続し、ネットワークNを介して外部装置(例えば管理サーバ70)とのデータ通信を行う。通信部35は、図4の通信回路部3035に該当し、例えば、無線LAN等の無線通信モジュール、モデム、TA等によって実現される。
【0043】
近距離無線通信部36は、近距離無線通信のための通信回路を有し、後述するユーザ端末50の近距離無線通信部57と近距離無線通信を行って、ユーザ端末50から端末予約情報を受信する。近距離無線通信部36は、図4の近距離無線通信回路部3036に該当し、例えば、Bluetooth(登録商標)や、NFC規格、IEEE802.11規格による無線LAN等の無線通信モジュールによって実現される。
【0044】
記憶部37には、処理部33を動作させ、当該車両ドア制御装置30が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、当該プログラムの実行中に使用されるデータ等が予め記憶され、或いは処理の都度一時的に記憶される。記憶部37は、図4のメモリ3037に該当し、例えば、RAMやROM等のICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク等によって実現される。この記憶部37には、制御プログラム371と、対象車両予約情報380とが記憶される。
【0045】
制御プログラム371は、処理部33を対象車両予約情報管理部331、端末予約情報取得制御部333、及び発動実行制御部335として機能させるためのプログラムである。
【0046】
対象車両予約情報380は、管理サーバ70から取得した車両1に係る予約情報である。車両1についての使用予約が複数ある場合は、使用予約毎の対象車両予約情報380が記憶される。そして、1つの対象車両予約情報380は、予約番号381と、予約パスワード382と、予約期間データ383と、使用者データ386と、使用車両データ388とを格納する。
【0047】
また、車両ドア制御装置30は、図4に示すように、設定操作用の各種スイッチやボタンである入力部3061と、小型の液晶表示装置等の表示部3063とを備え、メンテナンス用のユーザインターフェースとして用いられる。
【0048】
2.ユーザ端末
図6は、ユーザ端末50の機能構成例を示すブロック図である。図6に示すように、ユーザ端末50は、操作入力部51と、端末処理部53と、表示部55と、通信部56と、近距離無線通信部57と、端末記憶部58とを備える。
【0049】
操作入力部51は、登録ユーザが各種操作を入力するためのものであり、例えば、ボタンスイッチ、ジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、CCDモジュール等によって実現される。
【0050】
端末処理部53は、例えばCPU、GPU、ASIC、FPGA等の演算回路やICメモリ等の電子部品によって実現され、装置各部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部51からの操作入力信号、管理サーバ70や車両ドア制御装置30から受信したデータ等に基づいて各種の演算処理を行い、ユーザ端末50の動作を統括制御する。
【0051】
本実施形態では、端末処理部53は、(1)アカウント登録操作を受け付けて管理サーバ70にアカウント登録要求を通知し、ユーザがアカウント登録手続きをするための登録時処理と、(2)使用予約操作を受け付けて管理サーバ70に使用予約要求を通知し、ユーザが使用予約手続きをするための使用予約時処理と、(3)車両ドア制御装置30との近距離無線通信を行って解錠要求とともに端末予約情報590を送信し、ユーザが乗車手続きをするための乗車時処理と、(4)車両ドア制御装置30との近距離無線通信を行って施錠要求とともに端末予約情報590を送信し、ユーザが返却手続きをするための返却時処理とを実行する。
【0052】
表示部55は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置によって実現され、端末処理部53からの表示信号に基づく各種表示を行う。
【0053】
通信部56は、所定の通信回線(無線通信回線やLAN等)に接続し、ネットワークNを介して外部装置(例えば、管理サーバ70)とのデータ通信を行う。例えば、無線LAN等の無線通信モジュール、モデム、TA等によって実現される。
【0054】
近距離無線通信部57は、近距離無線通信のための通信回路を有し、車両ドア制御装置30の近距離無線通信部36と近距離無線通信を行って車両ドア制御装置30に端末予約情報を送信する。例えば、Bluetooth(登録商標)や、IEEE802.11規格による無線LAN等の無線通信モジュールによって実現される。
【0055】
端末記憶部58には、ユーザ端末50を動作させ、当該ユーザ端末50が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等が予め記憶され、或いは処理の都度一時的に記憶される。例えば、RAMやROM等のICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROMやDVD等の光学ディスク等によって実現される。この端末記憶部58には、端末プログラム581と、端末予約情報590とが記憶される。
【0056】
端末プログラム581は、端末処理部53が行う登録時処理、使用予約時処理、乗車時処理、及び返却時処理を実現するためのプログラムである。
【0057】
端末予約情報590は、使用予約手続きに際して管理サーバ70から送信された予約情報である。当該ユーザ端末50のユーザが複数の使用予約手続きを行っている場合は、使用予約手続き毎の端末予約情報590が記憶される。そして、1つの端末予約情報590は、予約番号591及び予約パスワード592を含む、所与の情報であって第1のユーザ認証情報の一例である。また、本実施形態では、端末予約情報590は、管理サーバ70が管理する予約情報850(図10を参照)の全項目が送信されるため、その他にも、予約期間データ593と、使用者データ594と、使用車両データ595とを含む。
【0058】
3.管理サーバ
図7は、管理サーバ70の機能構成例を示すブロック図である。図7に示すように、管理サーバ70は、操作入力部71と、サーバ処理部73と、表示部75と、通信部77と、サーバ記憶部79とを備える。
【0059】
操作入力部71は、システム管理や保守等のための各種操作を入力するためのものであり、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等で実現できる。
【0060】
サーバ処理部73は、例えばCPU、GPU、ASIC、FPGA等の演算回路やICメモリ等の電子部品によって実現され、装置各部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部71からの操作入力信号、ユーザ端末50や車両ドア制御装置30から受信したデータ等に基づいて各種の演算処理を行い、管理サーバ70の動作を統括制御する。本実施形態では、サーバ処理部73は、ユーザ管理部731と、予約管理部733とを備える。
【0061】
ユーザ管理部731は、アカウント登録に係る処理を行う。具体的には、ユーザ端末50からのアカウント登録要求に応答してそのユーザに固有のアカウントを付与するとともに、当該ユーザ端末50との間で必要なデータを送受して、アカウント別にユーザ情報810を登録管理する。例えば、ユーザ端末50で入力を受け付けたユーザの免許証番号や住所、電話番号、メールアドレス等の個人情報を設定したユーザ情報810を生成し、ユーザ情報DB81に登録する。
【0062】
予約管理部733は、シェアカーの使用予約に係る処理を行う。具体的には、ユーザ端末50からの使用予約要求に応答して当該ユーザ端末50との間で使用予約に必要なデータを送受し、使用予約要求別に予約情報850を登録管理する。この予約管理部733は、パスワード発行部735と、予約情報提供処理部737とを備える。
【0063】
パスワード発行部735は、登録する使用予約に固有の予約番号を割り振り、当該使用予約に係る予約パスワードを発行する。
【0064】
予約情報提供処理部737は、未配信の予約情報850を該当する車両の車両ドア制御装置30へと提供するための処理を行う。本実施形態では、車両ドア制御装置30から定期的に送信される問合せ通知に応答し、車両ID859(図10を参照)がその車両1の車両IDである未配信の予約情報850を返信処理する。なお、ここでは、予約情報850のデータ項目の全てをユーザ端末50に送信することとするが、少なくとも予約番号851と予約パスワード852とを含む一部の項目を送信する構成としてもよい。
【0065】
表示部75は、LCD等の表示装置によって実現され、システム管理等のための各種画面を表示する。
【0066】
通信部77は、所定の通信回線(無線通信回線やLAN等)に接続し、ネットワークNを介して外部装置(例えば車両ドア制御装置30やユーザ端末50)とのデータ通信を行う。例えば、無線LAN等の無線通信モジュール、モデム、TA等によって実現される。
【0067】
サーバ記憶部79には、サーバ処理部73を動作させ、当該管理サーバ70が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等が予め記憶され、或いは処理の都度一時的に記憶される。例えば、RAMやROM等のICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROMやDVD等の光学ディスク等によって実現される。このサーバ記憶部79には、車両管理プログラム791と、ユーザ情報DB81と、車両情報DB83と、予約情報DB85とが記憶される。
【0068】
車両管理プログラム791は、サーバ処理部73をユーザ管理部731および予約管理部733として機能させるためのプログラムである。
【0069】
ユーザ情報DB81は、アカウント登録済みの各ユーザのユーザ情報810を蓄積する。図8は、ユーザ情報DB81に蓄積される1つのユーザ情報810のデータ構成例を示す図である。図8に示すように、1つのユーザ情報810は、ユーザID811と、ログインパスワード812と、免許証番号813と、携帯電話番号814と、メールアドレス815と、住所816と、当該ユーザが所有するユーザ端末50の装置ID及び通信先IDである端末ID817と、を含む。
【0070】
車両情報DB83は、車両管理システム100による管理対象の各シェアカーの車両情報830を蓄積する。図9は、車両情報DB83に蓄積される1つの車両情報830のデータ構成例を示す図である。図9に示すように、1つの車両情報830は、車両ID831と、車種情報832と、所在店舗833と、駐車場所834と、当該シェアカーの車両1内に設置される車両ドア制御装置30の装置ID及び通信先IDである制御装置ID835と、を含む。
【0071】
予約情報DB85は、アカウント登録済みの各ユーザによる使用予約毎の予約情報850を蓄積する。図10は、予約情報DB85に蓄積される1つの予約情報850のデータ構成例を示す図である。図10に示すように、1つの予約情報850は、第2のユーザ認証情報としての予約番号851及び予約パスワード852と、許可日時情報としての予約期間データ853と、使用者データ856と、使用車両データ858とを格納する。予約期間データ853は、使用開始日時854と使用終了日時855とを格納する。使用者データ856は、ユーザID857を含む。使用車両データ858は、車両ID859を含む。
【0072】
図11図13は、車両ドア制御装置30、ユーザ端末50、及び管理サーバ70における処理の流れを示すフローチャートである。
【0073】
アカウント登録に際しては、図11に示すように、先ずユーザ端末50がネットワークNを介して管理サーバ70に接続し、アカウント登録要求を管理サーバ70に通知する(ステップS101)。そして、管理サーバ70においてユーザ端末50からアカウント登録要求を受信すると(ステップS301)、ユーザ管理部731が、当該ユーザ端末50のユーザに係るユーザ情報810を生成して、ユーザ情報DB81に登録する(ステップS303)。
【0074】
次に、シェアカーの使用予約に際しては、先ずユーザ端末50がネットワークNを介して管理サーバ70に接続し、使用予約要求を管理サーバ70に通知する(ステップS105)。そして、管理サーバ70においてユーザ端末50からの使用予約要求を受信すると(ステップS305)、パスワード発行部735が、当該使用予約に予約番号を割り振って予約パスワードを発行する(ステップS307)。続いて、予約管理部733が、予約番号及び予約パスワードを含めて当該使用予約に係る予約情報850を生成して、予約情報DB85に登録する(ステップS309)。その後、予約管理部733は、生成した予約情報850を、当該使用予約要求を通知したユーザ端末50に送信処理する(ステップS311)。そして、ユーザ端末50では、予約情報を受信したら(ステップS111)、端末予約情報590として端末記憶部58に格納する(ステップS113)。
【0075】
一方で、車両ドア制御装置30は、例えば定期的に管理サーバ70に問合せを行う。すなわち、問合せのタイミングになると(ステップS215:YES)、対象車両予約情報管理部331が、管理サーバ70に問合せを通知する(ステップS217)。そして、管理サーバ70では、この問合せ通知を受信すると(ステップS317)、予約情報提供処理部737が、当該問合せを通知した車両ドア制御装置30のシェアカーについて未配信の予約情報を、当該車両ドア制御装置30に返信処理する(ステップS319)。そして、車両ドア制御装置30では、予約情報を受信したら(ステップS219)、対象車両予約情報管理部331は、受信した予約情報を対象車両予約情報380として、記憶部37に格納する(ステップS221)。
【0076】
次に、使用開始日時が到来してユーザがシェアカーの車両1に乗車する際には、図12に示すように、先ずユーザ端末50が、当該シェアカーの車両1内の車両ドア制御装置30と近距離無線通信を行う。そして、該当する使用予約についての端末予約情報590を、解錠要求とともに車両ドア制御装置30へと送信処理する(ステップS123)。
【0077】
一方、車両ドア制御装置30では、端末予約情報取得制御部333が、ユーザ端末50から送信された端末予約情報を受信処理して取得する(ステップS223)。そして、端末予約情報を取得したら、発動実行制御部335において使用許否判定部337が、使用許否判定として先ず、第1の適合判定を行う(ステップS225)。ここでは、対象車両予約情報380を参照し、ステップS223で取得した端末予約情報と予約番号が同じで予約パスワードも同じ対象車両予約情報380がある場合に、ユーザ認証情報が適合すると判定する。
【0078】
第1の適合判定で適合すると判定した対象車両予約情報380があったときには(ステップS227:YES)、使用許否判定部337は、続いて第2の適合判定を行う(ステップS229)。ここでは、ステップS225で適合すると判定した対象車両予約情報380に従って、その使用日時に現在日時が適合するか否かを判定する。適合すると判定した場合は、使用許否判定を合格と判定する。
【0079】
そして、合格の場合には(ステップS231:YES)、発動実行制御部335は、発動制御部31の電源供給制御部313に、電源供給制御を行わせる(ステップS233)。ここでの制御により、キー回路部15への電源供給が開始される。その後、発動実行制御部335は、発動制御部31に解錠発動制御を行わせる(ステップS235)。ここでの制御によりキー回路部15がドア解錠信号を発信し、車両1の車両ドア19が解錠されることとなる。
【0080】
解錠が行われてユーザが車両1に乗車した後は、車両電子キー10が車両1内に持ち込まれた従来の状態と同様となる。すなわち、キー回路部15には電源が供給されているため回路動作が可能となっている。そのため、車両1のエンジンボタンが押されてエンジンが始動される際に、車両1とキー回路部15との間の無線通信による所定の認証処理が行われて、その際にキー回路部15は認証キーを車両1側に発信することが可能である。
【0081】
その後、発動実行制御部335は、管理サーバ70に乗車手続きを完了した旨の完了通知を送信処理する(ステップS237)。管理サーバ70は、これを受信し(ステップS337)、シェアカーの使用管理等の別の処理に用いる。
【0082】
以上の処理により、ユーザ端末50から車両1内の車両ドア制御装置30に対して所与の情報(上記実施形態では端末予約情報)が送信されて車両ドア制御装置30がこれを取得すると、発動制御部31が解錠発動制御を行って車両ドア19を解錠させる制御が実現される。
【0083】
なお、第1の適合判定で適合しないと判定され(ステップS227:NO)、或いは、第2の適合判定で適合しないと判定されて使用許否判定が不合格の場合には(ステップS231:NO)、所定のエラー処理を行う(ステップS239)。その際、エラー処理を行った旨のエラー通知を管理サーバ70に送信処理するようにしてもよい。
【0084】
次に、使用終了日時が到来してユーザがシェアカーを返却する際には、図13に示すように、先ずユーザ端末50が、当該シェアカーの車両1内の車両ドア制御装置30と近距離無線通信を行う。そして、該当する使用予約についての端末予約情報590を、施錠要求とともに車両ドア制御装置30へと送信処理する(ステップS141)。
【0085】
一方、車両ドア制御装置30では、端末予約情報取得制御部333が、ユーザ端末50から送信された端末予約情報を受信処理して取得する(ステップS241)。そして、端末予約情報を取得したならば、例えば、ステップS225と同様の要領で第1の適合判定を行い(ステップS243)、第1の適合判定で適合すると判定した対象車両予約情報380があったときには(ステップS245:YES)、ステップS229と同様の要領で第2の適合判定を行う(ステップS247)。そして、第2の適合判定で適合すると判定した場合に(ステップS249)、発動実行制御部335が、発動制御部31に施錠発動制御を行わせる(ステップS251)。ここでの制御によりキー回路部15がドア施錠信号を発信し、車両1の車両ドア19が施錠されることとなる。なお、ステップS243の第2の適合判定については省略し、ステップS247での第1の適合判定(つまりユーザ認証)のみ行う構成としてもよい。その後、発動実行制御部335は、発動制御部31の電源供給制御部313に、電源供給制御を終了させる(ステップS253)。ここでの制御により、キー回路部15への電源供給が終了される。また、発動実行制御部335は、管理サーバ70に返却手続きがされた旨の通知を送信処理する(ステップS255)。管理サーバ70は、これを受信し(ステップS355)、シェアカーの使用管理等の別の処理に用いる。
【0086】
なお、第1の適合判定で適合しないと判定され(ステップS245:NO)、或いは、第2の適合判定で適合しないと判定されて使用許否判定が不合格の場合には(ステップS249:NO)、所定のエラー処理を行う(ステップS257)。その際、エラー処理を行った旨のエラー通知を管理サーバ70に送信処理するようにしてもよい。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、車両に設置される車両ドア制御装置30において、車両のドア解錠信号を発信する車両電子キーのキー回路部15を取り付けて発動制御部31を構成することで、ドア解錠信号をキー回路部15から発信させる発動制御が実現できる。しかも、ユーザ端末50から、第1のユーザ認証情報(端末予約情報590)という所与の情報の取得がなされた場合に、発動制御がなされることとなる。より詳細には、管理サーバ70から取得した対象車両予約情報380と、ユーザ端末50から取得した端末予約情報590とに基づいて車両の使用許否判定を行い、合格と判定した場合に発動制御部31に発動制御を行わせることができる。したがって、正規の使用者かどうかを判断した上で、車両ドア19の解錠を適正に行うことが可能となる。
【0088】
また、本実施形態の車両ドア制御装置30は、車両診断用コネクタを利用する仕組みではなく、車載ネットワーク(CAN)にアクセスする必要のない仕組みである。また、車両ドア内に特殊な装置を組み込んで車両ドアを解錠する仕組みではないため、車両ドアを施工する必要がない。
【0089】
また、その他にも、車両診断用コネクタを利用しない仕組みとして、車両ドア内に特殊な装置を組み込んで車両ドアを解錠する仕組みが考えられるが、その場合には、専門的な配線施工が必要となり、施工費用や施工時間を要するといった問題が想定される。本実施形態によれば、車両ドア内にそのような特殊な装置を組み込む必要がなく、専門的な配線施工も必要ないため、施工費用や施工時間を削減できる。
【0090】
なお、本発明の適用形態は、上記した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない限りにおいて適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0091】
[変形例1]
例えば、発動制御部の構成は、図3に例示したような回路部15を取り付ける構成に限定されない。図14は、変形例1における発動制御部31Aの構成例を示す図である。なお、図14において、上記実施形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0092】
図14に示すように、本変形例の発動制御部31Aは、制御回路311と、押し下げ機構部315と、車両電子キー10が取り付けられる取り付け部317とを有し、車両電子キー10が取り付け部317に取り付けられることで発動制御が可能となる。上記実施形態の発動制御部31とは異なり、車両電子キー10のまま発動制御部31Aの取り付け部317に取り付け可能な構成となっている。押し下げ機構部315は、車両電子キー10のドア解錠ボタン11及びドア施錠ボタン13を別個に押し下げるための押し下げ部を備える。車両電子キー10がその他のボタンを備えている場合は、それらの押し下げ部も備える。例えば、モータやソレノイド等を用いて押し下げ機構部315を構成することができる。
【0093】
そして、本変形例では、車両ドア制御装置30の発動実行制御部335は、使用許否判定の合格判定時に押し下げ機構部315を作動させることで、発動制御の実行を制御する。具体的には、車両ドア19の解錠時はドア解錠ボタン11の押し下げ部を押し下げ動作させて、ドア解錠信号を発信させる。一方、車両ドア19の施錠時には、ドア施錠ボタン13の押し下げ部を押し下げ動作させてドア施錠信号を発信させる。
【0094】
なお、本変形例においても、車両電子キー10への電源供給については、電源供給制御部313が行うこととする。ボタン電池と同じ位置にプラス/マイナスの接点を持ち、ボタン電池と同じ形状としたダミー電池プラグを収容部17に収容し、このダミー電池プラグを介して、電源供給制御部313が電源を供給することとすると好適である。この場合、車両電子キー10は分解する必要がなく、ボタン電池の代わりにダミー電池プラグが収容部17に収容されるだけとなる。
【0095】
[変形例2]
また、乗車手続きの後、返却手続きがされるまでの間は、ドア解錠ボタン11及びドア施錠ボタン13に対する操作指示をユーザ端末50にて受け付けるようにしてもよい。例えば、各ボタン11,13の操作指示を行うための操作画面を表示することで実現できる。そして、当該操作指示を受け付けたときには、操作情報を近距離無線通信で車両ドア制御装置30に送信処理する。一方、車両ドア制御装置30では、各ボタン11,13の操作情報を受信すると、発動実行制御部335が発動制御部31に解錠発動制御を行わせ、或いは発動制御部31に施錠発動制御を行わせる。車両電子キー10がドア解錠ボタン及びドア施錠ボタン13以外のボタンを備えている場合には、その操作指示についても併せて操作画面で受け付けるようにし、該当するボタンの押し下げに係る信号をキー回路部15から発信させるための制御を行えばよい。
【0096】
[変形例3]
また、車両ドア制御装置30において対象車両予約情報管理部331が行う管理サーバ70からの第2のユーザ認証情報(予約情報850)の取得や、端末予約情報取得制御部333が行うユーザ端末50からの第1のユーザ認証情報(端末予約情報590)の取得は、公知の暗号化方式を適宜採用して行う構成としてよい。
【0097】
また、ユーザ端末50は、ユーザが個人的に所有している電子機器であることとして説明したが、別途用意される電子機器であってもよい。例えば、上記実施形態のカーシェアリングサービスを提供する事業者側がユーザに有償/無償あるいは貸与という形で提供する電子機器であってもよい。その場合、当該電子機器を、管理サーバ70及び車両ドア制御装置30との間で通信可能な状態となるように設定登録が完了された状態とし、上記実施形態のユーザ端末50と同様に使用できる状態としておくと好適である。
【0098】
また、第1のユーザ認証情報の取得に際しては、ユーザによる予約番号や予約パスワードの入力操作を受け付けるようにしてもよい。そして、その入力内容を用いて第1の適合判定(ユーザ認証)を行う構成としてもよい。
【0099】
[変形例4]
また、上記実施形態では、ユーザによる使用予約手続きに際して予約パスワードを発行し、予約番号と併せて用いてユーザ認証を行う構成を説明した。これに対し、ユーザ認証は、予約パスワードのみを用いて行ってもよい。また、予約パスワードの発行は必須ではなく、アカウント登録時に発行するログインパスワードを用いてユーザ認証を行う構成としてもよい。
【0100】
この場合は、予約情報850において、使用者データ856に第2のユーザ認証情報としてログインパスワードを含める。そして、車両ドア制御装置30での第1のユーザ認証情報の取得に際してユーザによるログインパスワードの入力を受け付け、その入力内容を用いてユーザ認証を行う。或いは、車両ドア制御装置30は、ユーザの乗車手続き時や施錠手続き時等の際に管理サーバ70との間で必要なデータを送受することで、ユーザ認証を行うのでもよい。
【0101】
[変形例5]
また、上記実施形態では、情報担持媒体5としてユーザ端末50を例示したが、ユーザが所有するICカード501(図1を参照)を用いることもできる。例えば、NFC規格に対応したICチップ503を搭載しているICカード501を用いることができ、IC運転免許証が好適である。情報担持媒体5としてICカード(IC運転免許証)501を用いる場合には、車両の後部座席の窓部分等にICカード501を読み取るための読取装置を設置する。そして、読取装置は、窓越しにICカード501がかざされた場合に、免許証番号を読み取って車両ドア制御装置30に出力する。この場合には、車両ドア制御装置30は、読取装置から入力された免許証番号を用い、適宜管理サーバ70との間で必要なデータを送受する等してユーザ認証を含む使用許否判定を行う。そして、その上で、解錠発動制御や施錠発動制御の発動制御を行う。
【0102】
なお、ユーザ端末50(スマートフォン等の電子機器)がNFC規格に対応している場合には、車両ドア制御装置30は、読取装置を介してユーザ端末50から必要な情報を取得し、ユーザ認証を行うこともできる。例えば、Bluetooth(登録商標)等による近距離無線通信接続が不能となった場合の非常手段として用いることができる。
【0103】
[変形例6]
また、車両ドア制御装置30、ユーザ端末50、及び管理サーバ70における処理の流れは、図11〜13に示した処理の流れに限定されない。図15及び図16は、変形例6における車両ドア制御装置30、ユーザ端末50、及び管理サーバ70における処理の流れを示すフローチャートである。なお、図15及び図16において、上記実施形態と同様の処理工程には、同一の符号を付している。
【0104】
図15に示すように、本変形例におけるシェアカーの使用予約に関する処理は、基本的に上記実施形態と同様に行うが、シェアカーの使用予約に際して車両ドア制御装置30は特に処理を行わず、上記実施形態で説明した管理サーバ70への問合せと予約情報の取得(図11に示したステップS215〜S221,S317〜S319)は行わない。
【0105】
次に、使用開始日時が到来してユーザがシェアカーに乗車する際には、図16に示すように、先ずユーザ端末50が、当該シェアカーの車両1内の車両ドア制御装置30と近距離無線通信を行う。そして、該当する使用予約についての端末予約情報590を解錠要求情報(所与の情報)として、車両ドア制御装置30へと送信処理する(ステップS161)。
【0106】
一方、車両ドア制御装置30では、ユーザ端末50から送信された解錠要求情報を受信処理して取得する(ステップS261)。そして、本変形例では、車両ドア制御装置30は、取得した解錠要求情報を管理サーバ70へと送信処理し、管理サーバ70に問合せを行う(ステップS263)。そして、管理サーバ70では、解錠要求情報を受信すると(ステップS363:YES)、使用許否判定として先ず、第1の適合判定を行う(ステップS365)。ここでは、予約情報DB85を参照し、ステップS223で取得した端末予約情報である解錠要求情報と予約番号が同じで予約パスワードも同じ予約情報850がある場合に、ユーザ認証情報が適合すると判定する。
【0107】
第1の適合判定で適合すると判定した予約情報850があったときには(ステップS367:YES)、管理サーバ70は、続いて第2の適合判定を行う(ステップS369)。ここでは、ステップS225で適合すると判定した予約情報850に従って、その使用日時に現在日時が適合するか否かを判定する。適合すると判定した場合は、使用許否判定を合格と判定する。
【0108】
なお、第1の適合判定で適合しないと判定され(ステップS367:NO)、或いは、第2の適合判定で適合しないと判定されて使用許否判定が不合格の場合には(ステップS371:NO)、所定のエラー処理を行う(ステップS373)。
【0109】
そして、合格の場合には(ステップS371:YES)、管理サーバ70は、解錠許可信号を車両ドア制御装置30に送信する(ステップ375)。一方、車両ドア制御装置30では、解錠許可信号を受信したならば(ステップS275:YES)、発動実行制御部335が、発動制御部31の電源供給制御部313に、電源供給制御を行わせる(ステップS277)。ここでの制御により、キー回路部15への電源供給が開始される。その後、発動実行制御部335は、発動制御部31に解錠発動制御を行わせる(ステップS279)。ここでの制御によりキー回路部15がドア解錠信号を発信し、車両1の車両ドア19が解錠されることとなる。その後、発動実行制御部335は、管理サーバ70に乗車手続きを完了した旨の完了通知を送信処理する(ステップS281)。管理サーバ70は、これを受信し(ステップS381)、シェアカーの使用管理等の別の処理に用いる。
【0110】
[その他の変形例]
また、本発明は、上記実施形態で例示したカーシェアリングサービスに限らず、例えば、レンタカーの使用予約を行って予約期間中に貸し出すレンタカーサービス等にも、同様に適用が可能である。
【符号の説明】
【0111】
100…車両管理システム、30…車両ドア制御装置、31,31A…発動制御部、311…制御回路、313…電源供給制御部、315…押し下げ機構部、33…処理部、331…対象車両予約情報管理部、333…端末予約情報取得制御部、335…発動実行制御部、337…使用許否判定部、35…通信部、36…近距離無線通信部、37…記憶部、371…制御プログラム、380…対象車両予約情報、5…情報担持媒体、50…ユーザ端末、53…端末処理部、56…通信部、57…近距離無線通信部、58…端末記憶部、581…端末プログラム、590…端末予約情報、591…予約番号、592…予約パスワード、70…管理サーバ、73…サーバ処理部、731…ユーザ管理部、733…予約管理部、735…パスワード発行部、737…予約情報提供処理部、77…通信部、79…サーバ記憶部、791…車両管理プログラム、81…ユーザ情報DB、810…ユーザ情報、83…車両情報DB、830…車両情報、85…予約情報DB、850…予約情報、851…予約番号、852…予約パスワード、853…予約期間データ、856…使用者データ、858…使用車両データ、1…車両、19…車両ドア、51…ICカード、N…ネットワーク、10…車両電子キー、11…ドア解錠ボタン、13…ドア施錠ボタン、15…キー回路部、151…スイッチ回路、17…収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16