特許第6890109号(P6890109)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6890109情報生成装置、情報生成システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890109
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】情報生成装置、情報生成システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20210607BHJP
   H04L 12/26 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   G06Q10/04
   H04L12/26
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-181644(P2018-181644)
(22)【出願日】2018年9月27日
(65)【公開番号】特開2020-52747(P2020-52747A)
(43)【公開日】2020年4月2日
【審査請求日】2020年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 達史
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 雅典
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英
【審査官】 安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−207894(JP,A)
【文献】 特開2000−196705(JP,A)
【文献】 特表2009−528642(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/147362(WO,A1)
【文献】 特開2016−155442(JP,A)
【文献】 特表2017−506843(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第108257439(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
H04L 12/00−12/26
12/50−12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習対象のネットワークに発生させるネットワーク障害の種類を示す情報と、前記学習対象のネットワークに関するネットワークパラメータとを入力データとし、前記ネットワークを操作するタスクが定義されているタスク定義情報から選択される1以上の前記タスクを組み合わせたワークフローを出力データとし、前記ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えた結果生じるネットワーク障害の発生有無を教師データとして、前記ネットワーク障害の種類と、前記ネットワークパラメータと、前記ワークフローとの関係が学習された学習済みモデルと、
検査対象のネットワークに発生させるネットワーク障害の種類を示す障害種類情報と、検査対象のネットワークに関するネットワークパラメータとをそれぞれ取得する取得部と、
前記取得部が取得する前記障害種類情報と前記ネットワークパラメータとを前記学習済みモデルに対して供給する供給部と、
前記供給部から供給される入力データに基づいて前記学習済みモデルが出力する1以上の前記ワークフローを、前記障害種類情報が示す種類のネットワーク障害の発生確率に基づいて選択する選択部と、
前記選択部によって選択された前記ワークフローを出力する出力部と、
を備える情報生成装置。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、
複数の前記ワークフローを前記選択部に対して出力し、
前記選択部は、
前記学習済みモデルが出力する複数の前記ワークフローのうち、前記障害種類情報が示す種類のネットワーク障害の発生確率が相対的に高い前記ワークフローを選択する
請求項1に記載の情報生成装置。
【請求項3】
前記学習済みモデルが出力する前記ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えた結果生じる状況とネットワーク障害の発生有無との関係が定義されている障害判定ポリシに基づいて、ネットワーク障害の発生有無を判定する判定部と、
前記ワークフローと、当該ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えた結果生じる状況を前記判定部が判定した判定結果とが対応付けて記憶される記憶部と、
をさらに備え、
前記学習済みモデルは、
前記障害判定ポリシに基づいて判定されるネットワーク障害の発生有無を、前記教師データにして学習されている
請求項1または請求項2に記載の情報生成装置。
【請求項4】
前記学習済みモデルは、
前記記憶部に記憶されている前記ワークフローと前記判定結果との対応関係を前記教師データにして再学習される
請求項3に記載の情報生成装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の前記情報生成装置と、
前記出力部が出力する前記ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えるワークフロー制御部と、
前記ネットワークに生じる状況を監視し、監視した結果を前記情報生成装置の前記判定部に対して出力するネットワーク監視部と、
を備える情報生成システム。
【請求項6】
コンピュータに、
検査対象のネットワークに発生させるネットワーク障害の種類を示す障害種類情報と、検査対象のネットワークに関するネットワークパラメータとをそれぞれ取得する取得ステップと、
学習対象のネットワークに発生させるネットワーク障害の種類を示す情報と、前記学習対象のネットワークに関するネットワークパラメータとを入力データとし、前記ネットワークを操作するタスクが定義されているタスク定義情報から選択される1以上の前記タスクを組み合わせたワークフローを出力データとし、前記ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えた結果生じるネットワーク障害の発生有無を教師データとして、前記ネットワーク障害の種類と、前記ネットワークパラメータと、前記ワークフローとの関係が学習された学習済みモデルに対して、前記取得ステップにおいて取得される前記障害種類情報と前記ネットワークパラメータとを供給する供給ステップと、
前記供給ステップにおいて供給される入力データに基づいて前記学習済みモデルが出力する1以上の前記ワークフローを、前記障害種類情報が示す種類のネットワーク障害の発生確率に基づいて選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された前記ワークフローを出力する出力ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報生成装置、情報生成システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装置間の通信システムに対して疑似的に障害を発生させる障害シミュレータ技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−123783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来技術によると、疑似的な障害を発生させるためのコマンドの実行手順や実行内容を、例えば対象装置の構成に応じて変更する必要があり、運用工数が非常に大きいといった問題があった。
【0005】
本発明は、運用工数を低減することができる情報生成装置、情報生成システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、学習対象のネットワークに発生させるネットワーク障害の種類を示す情報と、前記学習対象のネットワークに関するネットワークパラメータとを入力データとし、前記ネットワークを操作するタスクが定義されているタスク定義情報から選択される1以上の前記タスクを組み合わせたワークフローを出力データとし、前記ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えた結果生じるネットワーク障害の発生有無を教師データとして、前記ネットワーク障害の種類と、前記ネットワークパラメータと、前記ワークフローとの関係が学習された学習済みモデルと、検査対象のネットワークに発生させるネットワーク障害の種類を示す障害種類情報と、検査対象のネットワークに関するネットワークパラメータとをそれぞれ取得する取得部と、前記取得部が取得する前記障害種類情報と前記ネットワークパラメータとを前記学習済みモデルに対して供給する供給部と、前記供給部から供給される入力データに基づいて前記学習済みモデルが出力する1以上の前記ワークフローを、前記障害種類情報が示す種類のネットワーク障害の発生確率に基づいて選択する選択部と、前記選択部によって選択された前記ワークフローを出力する出力部とを備える情報生成装置である。
【0007】
本発明の一実施形態の情報生成装置において、前記学習済みモデルは、複数の前記ワークフローを前記選択部に対して出力し、前記選択部は、前記学習済みモデルが出力する複数の前記ワークフローのうち、前記障害種類情報が示す種類のネットワーク障害の発生確率が相対的に高い前記ワークフローを選択する。
【0008】
本発明の一実施形態の情報生成装置において、前記学習済みモデルが出力する前記ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えた結果生じる状況とネットワーク障害の発生有無との関係が定義されている障害判定ポリシに基づいて、ネットワーク障害の発生有無を判定する判定部と、前記ワークフローと、当該ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えた結果生じる状況を前記判定部が判定した判定結果とが対応付けて記憶される記憶部と、をさらに備え、前記学習済みモデルは、前記障害判定ポリシに基づいて判定されるネットワーク障害の発生有無を、前記教師データにして学習されている。
【0009】
本発明の一実施形態の情報生成装置において、前記学習済みモデルは、前記記憶部に記憶されている前記ワークフローと前記判定結果との対応関係を前記教師データにして再学習される。
【0010】
本発明の一実施形態は、上述の情報生成装置と、前記出力部が出力する前記ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えるワークフロー制御部と、前記ネットワークに生じる状況を監視し、監視した結果を前記情報生成装置の前記判定部に対して出力するネットワーク監視部とを備える情報生成システムである。
【0011】
本発明の一実施形態は、コンピュータに、検査対象のネットワークに発生させるネットワーク障害の種類を示す障害種類情報と、検査対象のネットワークに関するネットワークパラメータとをそれぞれ取得する取得ステップと、学習対象のネットワークに発生させるネットワーク障害の種類を示す情報と、前記学習対象のネットワークに関するネットワークパラメータとを入力データとし、前記ネットワークを操作するタスクが定義されているタスク定義情報から選択される1以上の前記タスクを組み合わせたワークフローを出力データとし、前記ワークフローに基づく動作を前記ネットワークに与えた結果生じるネットワーク障害の発生有無を教師データとして、前記ネットワーク障害の種類と、前記ネットワークパラメータと、前記ワークフローとの関係が学習された学習済みモデルに対して、前記取得ステップにおいて取得される前記障害種類情報と前記ネットワークパラメータとを供給する供給ステップと、前記供給ステップにおいて供給される入力データに基づいて前記学習済みモデルが出力する1以上の前記ワークフローを、前記障害種類情報が示す種類のネットワーク障害の発生確率に基づいて選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された前記ワークフローを出力する出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運用工数を低減することができる情報生成装置、情報生成システム及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の情報生成システムの機能構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態のネットワークパラメータの一例を示す図である。
図3】本実施形態のタスク定義情報の一例を示す図である。
図4】本実施形態のワークフローの一例を示す図である。
図5】本実施形態の情報生成装置の機能構成の一例を示す図である。
図6】本実施形態の情報生成システムの学習段階における動作の一例を示す図である。
図7】本実施形態の情報生成システムの利活用段階における動作の一例を示す図である。
図8】本実施形態の情報生成システムの再学習の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
以下、図を参照して本実施形態の情報生成システム1の概要について説明する。
図1は、本実施形態の情報生成システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0015】
[情報生成システムの概要]
情報生成システム1は、種々の条件に基づいてネットワークNに関するワークフローWFを生成し、生成したワークフローWFに基づいた動作をネットワークNに対して実行する。また、情報生成システム1は、ワークフローWFに基づいた動作が実行された結果によって生じるネットワークNの状況を監視する。
なお、ここでいうワークフローWFには、「コマンドCMD」、「複数のコマンドCMDの列」、「コマンドCMDの列を定義するタスクTSK」及び「複数のタスクTSKの列」などが含まれる。また、ワークフローWFには、上述したコマンドCMD、タスクTSKなどの論理的な動作の指示だけでなく、ネットワークNを構成する配線の断線や短絡などの物理的な故障を発生させるための指示が含まれていてもよい。
【0016】
本実施形態の一例において、情報生成システム1は、ネットワークNにネットワーク障害Dを発生させるためのワークフローWFを生成する。ネットワーク障害Dの種類には、一例として、応答の遅延、応答の欠落(無応答)、コンポーネント間の同期失敗、通信されるデータの欠損、プロセスの競合によるリソースの枯渇などがある。また、ネットワーク障害Dの種類には、一例として、ネットワークNに接続されるノード(例えば、サーバ)に構築されるデータベースの障害、冗長系が構成されている場合の切替障害、サーバのオペレーティングシステム及びアプリケーションの障害がある。
一般に、ネットワークNにおいて、ある種類のネットワーク障害Dを発生させるためのワークフローWFは、ネットワークNの状況に応じて変化する。情報生成システム1は、発生させるネットワーク障害Dの種類と、ネットワーク障害Dを発生させる対象のネットワークNの状況とに基づいて、ワークフローWFを生成する。
【0017】
[情報生成システムの機能構成]
以下、情報生成システム1の機能構成について説明する。情報生成システム1は、情報生成装置10と、入出力装置20と、タスク定義サーバ30と、ワークフロー制御部40と、ネットワーク接続装置50とを備える。
【0018】
入出力装置20は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており、情報生成システム1を操作するユーザに対するユーザインタフェイス装置として機能する。この入出力装置20は、情報生成装置10に接続され、ユーザの操作に基づく種々の情報を情報生成装置10に供給する。また、入出力装置20は、情報生成装置10が出力する種々の情報をユーザに対して提示(例えば、画面表示や印字)する。
この一例では、入出力装置20は、情報生成装置10に対して障害種類情報DIと、ネットワークパラメータNPとを供給する。ここで、障害種類情報DIとは、ネットワークNに発生させるネットワーク障害Dの種類を示す情報である。ネットワークパラメータNPとは、ネットワーク障害Dを発生させる対象のネットワークNの状況を示す情報である。図2を参照して、ネットワークパラメータNPの一例について説明する。
【0019】
図2は、本実施形態のネットワークパラメータNPの一例を示す図である。この一例におけるネットワークパラメータNPには、ネットワークパラメータNPを識別するインデックス(Index)と、単位(Unit)と、値のレンジ(Value range)とが互いに対応付けられている。
【0020】
図1に戻り、タスク定義サーバ30には、タスク定義情報TIが記憶されている。タスク定義情報TIとは、タスクTSKネットワークを操作するタスクTSKを定義する情報である。図3を参照して、タスク定義情報TIの一例について説明する。
【0021】
図3は、本実施形態のタスク定義情報TIの一例を示す図である。この一例におけるタスク定義情報TIには、タスクTSKを識別するタスク番号と、実行される処理の内容(タスクTSK)とが互いに対応付けられている。
【0022】
図1に戻り、情報生成装置10は、入出力装置20から供給される障害種類情報DI及びネットワークパラメータNPと、タスク定義サーバ30から供給されるタスク定義情報TIとに基づいて、ワークフローWFを生成する。情報生成装置10は、生成したワークフローWFをワークフロー制御部40に対して出力する。ここで、図4を参照して、情報生成装置10が生成するワークフローWFの一例について説明する。
【0023】
図4は、本実施形態のワークフローWFの一例を示す図である。この一例において、ワークフローWF1は、タスク番号2、タスク番号38及びタスク番号3の順に各タスクTSKを実行すべきことを示す。ワークフローWF2は、タスク番号8及びタスク番号22の順に各タスクTSKを実行すべきことを示す。
【0024】
図1に戻り、ワークフロー制御部40は、いわゆるワークフローエンジンを備えており、情報生成装置10から出力されるワークフローWFを解釈することにより、取得したワークフローWFに基づくコマンドCMDをネットワーク接続装置50に対して出力する。すなわち、ワークフロー制御部40は、情報生成装置10が出力するワークフローWFに基づく動作をネットワークNに与える。
【0025】
ネットワーク接続装置50は、ワークフロー制御部40が出力するコマンドCMDに基づいて、ネットワークNに対する動作を実行する。ネットワーク接続装置50は、ネットワーク監視部510を備えている。ネットワーク監視部510は、ネットワークNに生じる状況を監視し、監視した結果(監視結果RS)を情報生成装置10に対して出力する。
次に、図5を参照して、情報生成装置10の機能構成について説明する。
【0026】
[情報生成装置の機能構成]
図5は、本実施形態の情報生成装置10の機能構成の一例を示す図である。情報生成装置10は、取得部110と、供給部120と、学習済みモデル130と、選択部140と、出力部150とを備える。
以下の説明において、ネットワークNについて、学習対象のネットワークNと、検査対象のネットワークNとを区別する場合には、それぞれ「学習対象のネットワークNL」、「検査対象のネットワークNE」と記載する。
【0027】
取得部110は、入出力装置20から種々の情報を取得する。本実施形態の一例では、取得部110は、障害種類情報DIと、ネットワークパラメータNPとをそれぞれ取得する。障害種類情報DIとは、検査対象のネットワークNEに発生させるネットワーク障害Dの種類を示す情報である。また、ネットワークパラメータNPとは、検査対象のネットワークNEに関する情報である。
取得部110は、取得した情報を供給部120に出力する。
【0028】
供給部120は、取得部110が取得する障害種類情報DIとネットワークパラメータNPとを学習済みモデル130に対して供給する。
【0029】
学習済みモデル130とは、機械学習によって得られた機械学習モデルである。本実施形態の130は、学習対象のネットワークNLに発生させるネットワーク障害Dの種類を示す情報と、学習対象のネットワークNLに関するネットワークパラメータNPとを入力データとし、ワークフローWFを出力データとし、ワークフローWFに基づく動作をネットワークNに与えた結果生じるネットワーク障害Dの発生有無を教師データTDとして、ネットワーク障害Dの種類と、ネットワークパラメータNPと、ワークフローWFとの関係が学習された機械学習モデルである。ここでいうワークフローWFとは、上述したように、ネットワークを操作するタスクTSKが定義されているタスク定義情報TIから選択される1以上のタスクTSKを組み合わせたものである。
【0030】
選択部140は、供給部120から供給される入力データに基づいて学習済みモデル130が出力する1以上のワークフローWFを、障害種類情報DIが示す種類のネットワーク障害Dの発生確率Pに基づいて選択する。
【0031】
ここで、学習済みモデル130は、複数のワークフローWFを選択部140に対して出力するように構成されてもよい。このように構成される場合、選択部140は、学習済みモデル130が出力する複数のワークフローWFのうち、障害種類情報DIが示す種類のネットワーク障害Dの発生確率Pが相対的に高いワークフローWFを選択する。
【0032】
出力部150は、選択部140によって選択されたワークフローWFを出力する。本実施形態の出力部150は、ワークフロー制御部40に対してワークフローWFを出力する。
【0033】
[情報生成装置10の機能構成変形例]
なお、情報生成装置10は、図5に示すように、判定部160と、記憶部170とをさらに備えていてもよい。
判定部160は、障害判定ポリシPCYに基づいて、ネットワーク障害Dの発生有無を判定する。ここで、障害判定ポリシPCYとは、学習済みモデル130が出力するワークフローWFに基づく動作をネットワークNに与えた結果生じる状況とネットワーク障害Dの発生有無との関係が定義されている情報である。
記憶部170は、ワークフローWFと、当該ワークフローWFに基づく動作をネットワークNに与えた結果生じる状況を判定部160が判定した判定結果とが対応付けて記憶される。
上述のように構成された情報生成装置10において、学習済みモデル130は、障害判定ポリシPCYに基づいて判定されるネットワーク障害Dの発生有無を、教師データTDにして学習されている。つまり、学習済みモデル130は、判定部160の判定結果に基づいて再学習されている。
【0034】
より具体的には、学習済みモデル130は、記憶部170に記憶されているワークフローWFと判定結果との対応関係を教師データTDにして再学習される。
【0035】
[情報生成システムの動作(学習段階)]
次に、図6から図8を参照して情報生成システム1の動作の一例について説明する。
図6は、本実施形態の情報生成システム1の学習段階における動作の一例を示す図である。以下の説明において、学習を終えていない(学習前の、又は学習中の)機械学習モデルを学習中モデルMLと記載し、学習を終えた機械学習モデルを学習済みモデルMと記載する。上述した学習済みモデル130とは、学習済みモデルMの一例である。
【0036】
(ステップS110)情報生成装置10は、障害種類情報DI及びネットワークパラメータNPを入出力装置20から取得する。
(ステップS120)情報生成装置10は、タスク定義情報TIをタスク定義サーバ30から取得する。
(ステップS130)情報生成装置10は、ステップS110及びステップS120において取得した各情報を、学習中モデルMLに供給する。この結果、学習中モデルMLは、ワークフローWFを生成する。
(ステップS140)情報生成装置10は、ステップS130において生成されたワークフローWFをワークフロー制御部40に対して供給する。ワークフロー制御部40は、供給されたワークフローWFに基づく動作を、ネットワーク接続装置50を介してネットワークNに対して実施する。
【0037】
(ステップS150)ネットワーク接続装置50のネットワーク監視部510は、ステップS140においてワークフローWFに基づく動作が実行されたネットワークNの状況を監視する。情報生成装置10は、ネットワーク監視部510によるネットワークNの状況の監視の結果(監視結果RS)を取得する。
(ステップS160)情報生成装置10は、ステップS150において取得した監視結果RSを評価する。具体的には、情報生成装置10は、ステップS110において取得された障害種類情報DIが示す種類のネットワーク障害Dが、ネットワークNに発生しているか否かを評価する。情報生成装置10は、ステップS110において取得された障害種類情報DIが示す種類のネットワーク障害Dが、ネットワークNに発生している場合には、ワークフローWFが正しく生成されたものと評価する。また、情報生成装置10は、ステップS110において取得された障害種類情報DIが示す種類のネットワーク障害Dが、ネットワークNに発生していない場合には、ワークフローWFが誤って生成されたものと評価する。ここで、障害種類情報DIが示す種類のネットワーク障害DがネットワークNに発生していない場合には、ワークフローWFに基づく動作が実行されたにもかかわらず、ネットワークNにネットワーク障害Dが発生していない場合と、障害種類情報DIが示す種類とは異なる種類のネットワーク障害Dが発生した場合とが含まれる。
【0038】
(ステップS170)情報生成装置10は、ステップS160における評価結果ERを教師データとして、学習中モデルMLに反映させる。
(ステップS180)情報生成装置10は、学習中モデルMLの学習結果が安定したか否か(すなわち、機械学習モデルの出力を利活用できる状態になるまで十分に学習がなされたか否か)に基づいて、学習の継続有無を判定する。情報生成装置10は、学習中モデルMLの学習結果が安定した場合(ステップS180;YES)には、学習処理を終了する。情報生成装置10は、学習中モデルMLの学習結果がまだ安定していない場合(ステップS180;NO)には、処理をステップS110に戻して、学習処理を継続する。
【0039】
[情報生成システムの動作(利活用段階)]
図7は、本実施形態の情報生成システム1の利活用段階における動作の一例を示す図である。ここで利活用段階とは、機械学習モデルの学習が済み、機械学習モデルの出力を本来の目的に利用又は活用することができる段階をいう。
(ステップS210)情報生成装置10は、障害種類情報DI及びネットワークパラメータNPを入出力装置20から取得する。
(ステップS220)情報生成装置10は、タスク定義情報TIをタスク定義サーバ30から取得する。
【0040】
(ステップS230)情報生成装置10は、ステップS210及びステップS220において取得した各情報を、学習済みモデルM(すなわち、学習済みモデル130)に供給する。この結果、学習済みモデル130は、ワークフローWFを生成する。
なお、この一例では、学習済みモデル130が、タスクTSKを適宜組み合わせることによってワークフローWFを学習結果に基づいて自動生成するとして説明するが、これに限られない。例えば、タスクTSKが人手によって組み合わされたワークフローWFが予め用意(例えば、タスク定義サーバ30、又は他の記憶装置(不図示)に記憶)されていてもよい。この場合、学習済みモデル130は、予め用意(例えば、記憶)されている複数種類の登録済みワークフローWFのなかから、学習結果に応じたワークフローWFを選択してもよい。
【0041】
(ステップS240)情報生成装置10は、ステップS230において生成されたワークフローWFをワークフロー制御部40に対して供給する。ワークフロー制御部40は、供給されたワークフローWFに基づく動作を、ネットワーク接続装置50を介してネットワークNに対して実行する。
(ステップS250)情報生成装置10は、処理の終了判定を行う。情報生成装置10は、処理の実行を終了する場合(ステップS250;YES)には、利活用段階における処理を終了する。情報生成装置10は、処理を終了しない場合(ステップS250;NO)には、処理をステップS210に戻して、利活用段階における処理を継続する。
【0042】
[情報生成システムの動作(再学習)]
図8は、本実施形態の情報生成システム1の再学習の動作の一例を示す図である。ここで再学習とは、学習済みモデルMを再び学習させることにより、学習済みモデルMの学習結果を更新することをいう。
ここで、ステップS310からステップS340までの各ステップの処理は、上述したステップS210からステップS240までの処理と同一であるため、説明を省略する。
【0043】
(ステップS350)ネットワーク接続装置50のネットワーク監視部510は、ステップS340においてワークフローWFに基づく動作が実行されたネットワークNの状況を取得する。情報生成装置10は、ネットワーク監視部510が取得したネットワークNの状況を示す情報を取得する。
(ステップS360)情報生成装置10は、処理の終了判定を行う。情報生成装置10は、処理を終了しない場合(ステップS360;NO)には、処理をステップS310に戻して、利活用段階における処理を継続する。情報生成装置10は、利活用段階における処理の実行を終了する場合(ステップS360;YES)には、処理をステップS370に進める。
【0044】
(ステップS370)情報生成装置10は、ステップS350において取得したネットワークNの状況を示す情報を評価する。具体的な動作は、上述したステップS160における動作と同一であるため説明を省略する。
(ステップS380)情報生成装置10は、情報生成装置10は、ステップS370における評価結果ERを教師データとして、学習済みモデル130に反映させて処理を終了する。
【0045】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の情報生成システム1において、情報生成装置10は、学習済みモデル130に基づいてワークフローWFを自動生成する。この学習済みモデル130は、学習対象のネットワークNLに発生させるネットワーク障害Dの種類を示す情報と、学習対象のネットワークNLに関するネットワークパラメータNPとを入力データとし、ネットワークを操作するタスクTSKが定義されているタスク定義情報TIから選択される1以上のタスクTSKを組み合わせたワークフローWFを出力データとし、ワークフローWFに基づく動作をネットワークNに与えた結果生じるネットワーク障害Dの発生有無を教師データTDとして、ネットワーク障害Dの種類と、ネットワークパラメータNPと、ワークフローWFとの関係が学習されている。このため、情報生成システム1によれば、所望の種類のネットワーク障害Dを発生させるためのワークフローWFを、人手を用いずに自動生成することができる。したがって、本実施形態の情報生成システム1によれば、ネットワーク障害Dを発生させるためのワークフローWFを作るための工数(すなわち、運用工数)を低減することができる。
【0046】
また、本実施形態の情報生成システム1は、学習済みモデル130が出力する複数のワークフローWFのうち、障害種類情報DIが示す種類のネットワーク障害Dの発生確率Pが相対的に高いワークフローWFを選択する選択部140を備えている。ここで、ある種類のネットワーク障害Dを発生させようとしても、ワークフローWFの選択結果によっては、所望の種類のネットワーク障害Dを発生させることができない場合がある。本実施形態の情報生成システム1は、所望の種類のネットワーク障害Dの発生確率Pが相対的に高いワークフローWFを選択部140が選択するため、所望の種類のネットワーク障害Dを発生させることができない状況の発生頻度を低減させることができる。つまり、本実施形態の情報生成システム1によれば、ワークフローWFの生成の運用工数を低減しつつ、所望の種類のネットワーク障害Dを精度よく発生させることができる。
【0047】
また、本実施形態の学習済みモデル130は、学習済みモデル130が出力したワークフローWFと、ワークフローWFに基づく動作をネットワークNに与えた結果生じるネットワークNの状況との対応関係を教師データTDにして再学習される。
また、本実施形態の情報生成システム1は、この再学習を実現するために、判定部160が、学習済みモデル130が出力するワークフローWFに基づく動作をネットワークNに与えた結果生じる状況とネットワーク障害Dの発生有無との関係が定義されている障害判定ポリシPCYに基づいて、ネットワーク障害Dの発生有無を判定する。さらに、情報生成システム1は、判定部160の判定結果を上述の対応関係として記憶する記憶部170を備えている。
本実施形態の情報生成システム1は、学習済みモデル130を再学習させることにより、発生させるネットワーク障害Dの種類の精度を向上させることができる。すなわち、本実施形態の情報生成システム1は、ワークフローWFの生成の運用工数を低減しつつ、所望の種類のネットワーク障害Dを精度よく発生させることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0049】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0050】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…情報生成システム、10…情報生成装置、20…入出力装置、30…タスク定義サーバ、40…ワークフロー制御部、50…ネットワーク接続装置、110…取得部、120…供給部、130…学習済みモデル、140…選択部、150…出力部、160…判定部、170…記憶部、N…ネットワーク、WF…ワークフロー、NP…ネットワークパラメータ
図1
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