(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る電流検出装置1は、バスバー3を流れる電流によって発生する磁界55(
図4等参照)を検出することでバスバー3を流れる電流を検出するものであり、
図1、
図2等で示すように、バスバー3の他に、シールド部材5と電流センサ(磁界検出素子;ホールIC)7とを備えて構成されている。
【0013】
ここで説明の便宜のために、所定の一方向を長手方向とし、この長手方向に対して直交する所定の一方向を横方向とし、長手方向と横方向とに対して直交する方向を高さ方向とする。
【0014】
シールド部材5は、強磁性体(たとえば、鉄とニッケルとの合金であるパーマロイ)で構成されている。
【0015】
バスバー3は、導電体で構成されており、シールド部材5の内側を通って、長手方向に延伸している。すなわち、バスバー3は、シールド部材5には非接触でシールド部材5を通り抜けて長手方向に長く延伸している。
【0016】
バスバー3には、長手方向の一方の端から他方の端に向かって電流が流れるようになっている。また、バスバー3をこの延伸方向(長手方向)で見ると、
図2(b)等で示すように、所定の狭い幅tで、たとえば「コ」字状に屈伸している。なお、バスバー3は、たとえば、横方向の寸法が大きくなることを防ぐために上記屈伸をしている。
【0017】
長手方向で見ると、
図2(b)で示すように、バスバー3は、少なくとも一部で折れ曲がって、たとえば、横方向や高さ方向に延びている。長手方向で見たときのバスバー3の幅寸法(厚さ寸法)tの値は、プレス加工や曲げ加工が容易な値(3mm以下の値)になっている。
【0018】
なお、上記屈伸では、長手方向で見て、バスバー3が、曲げ箇所の円弧を無視すると、この中間部でたとえば90°の角度で急激に曲がっているが、バスバー3が湾曲している場合も、上記屈伸に含めるものとする。
【0019】
電流センサ7は、配線板(回路基板)8に設けられており、バスバー3を流れる電流によって発生する磁界55(
図4等参照)を検出するようになっている。そして、たとえば、電流センサ7で検出された磁束密度は、配線板8によって電流値に変換されるようになっている。
【0020】
なお、バスバー3の長手方向の寸法の値は、
図1や
図2(a)で示すように、シールド部材5の長手方向の寸法の値よりも大きくなっており、高さ方向や幅方向で見ると、バスバー3の中間部にシールド部材5が配置されている。また、高さ方向や幅方向で見ると、シールド部材5の中間部に電流センサ7が配置されている。
【0021】
さらに説明すると、長手方向で見ると、
図2(a)で示すように、バスバー3は、上述したように、「コ」字状に形成されている。すなわち、長手方向で見ると、バスバー3は、底板部9と一対の側板部11、13とを備えて「コ」字状に形成されている。また、長手方向で見ると、底板部9は、横方向に細長い矩形状に形成されており、高さ方向の寸法tの値が、横方向の寸法の値に比べて十分に小さく、上述したように、たとえば3mm以内の値になっている。
【0022】
長手方向で見ると、一対の側板部のうちの一方の側板部11は、高さ方向に細長い矩形状に形成されており、底板部9の横方向の一方の端から高さ方向上側に起立している。また、長手方向で見ると、一方の側板部11は、横方向の寸法tの値が、高さ方向の寸法の値に比べて十分に小さく、上述したように、たとえば、3mm以内の値になっているとともに、底板部9の高さ寸法tの値と等しくなっている。
【0023】
長手方向で見ると、一対の側板部のうちの他方の側板部13は、一方の側板部11と同形状に形成されており、底板部9の横方向の他方の端から、一方の側板部11と同じ高さだけ高さ方向上側に起立している。
【0024】
バスバー3は、底板部9と一方の側板部11との境界および底板部9と他方の側板部13との境界との2箇所で、直角に折れ曲がっていることで、長手方向で見て「コ」字状に形成されている。
【0025】
さらに説明すると、バスバー3は、厚さ寸法が3mm以下の矩形な細長い平板状の素材を、2本の直線状の曲げ線にところで曲げ加工した(曲げて90°程度の角度曲げて塑性変形させた)ことで形成されている。2本の直線状の曲げ線は、お互いが離れて平行になって、細長い平板状の素材の長手方向に延びている。
【0026】
また、上記説明では、底板部9からの一方の側板部11の起立寸法(高さ寸法)の値と底板部9からの他方の側板部13の起立寸法の値とがお互いに一致しているが、一方の側板部の起立寸法の値と他方の側板部の起立寸法の値とが異なっていてもよい。
【0027】
長手方向で見ると、電流センサ7は、
図2(b)で示すように、バスバー3の「コ」字の外側に設けられている。
【0028】
すなわち、長手方向で見ると、バスバー3が、上述したように、底板部9と一対の側板部11、13とを備えて「コ」字状に形成されているので、底板部9と一方の側板部11との境界のところの所定の点、一方の側板部11の先端(上端)のところの所定の点、他方の側板部13の先端(上端)のところの所定の点、底板部9と他方の側板部13との境界のところの所定の点を、この順に4本の線分で結ぶと、「コ」字がちょうど内部に収まる矩形が形成される。長手方向で見て、電流センサ7は、上記矩形の外側で上記矩形から離れて設けられている。
【0029】
長手方向で見ると、シールド部材5は、
図2(b)で示すように、一部に開口部(切り欠き)15が設けられている(一部が切り欠かれている)ことで一部が途切れた環状(たとえば、1つの辺の中間部が途切れた矩形な環状)に形成されている。また、長手方向で見ると、バスバー3は、上述したようにシールド部材5から離れて、シールド部材5の環の内側に配置されている。
【0030】
電流センサ7は、シールド部材5の開口部15のところの磁界55(
図4等参照)もしくはシールド部材5の開口部15の近傍の磁界55を検出するように構成されている。
【0031】
なお、
図2(b)で示す態様では、電流センサ7は、横方向では開口部15の中央部に設けられており、高さ方向で、開口部15よりもわずかに下側(シールド部材5の、詳しくは後述する一端側部位17の内側)に設けられている。なお、電流センサ7は、長手方向では、シールド部材5の内側に配置されている。
【0032】
図2(c)で示すように、電流センサ7の位置を、たとえば、高さ方向で適宜変更してもよい。すなわち、
図2(c)に参照符号7Aで示す位置(開口部15のところ)に設けてもよいし、
図2(c)に参照符号7Bで示す位置(開口部15よりも僅かに上側;シールド部材5の外側)に設けてもよい。
【0033】
さらに説明すると、電流センサ(第1の電流センサ)7が設置されているシールド部材5の一方の端部(長手方向における一方の端部)17(
図1、
図2(a)参照)は、長手方向で見ると、上述したように、一部に開口部15が設けられていることで一部が途切れた環状に形成されておいる(
図2(b)参照)。
【0034】
また、シールド部材5は、一方の端部17に加えて他方の端部19を備えて構成されている。シールド部材5の他方の端部(長手方向における他方の端部)19は、長手方向で見ると、「コ」字状に形成されている(
図1、
図2(a)参照)。
【0035】
シールド部材5の他方の端部19にも電流センサ(第2の電流センサ)21が設けられている。これにより、電流検出装置1には、少なくとも2つの電流センサが設けられていることになる。
【0036】
2つの電流センサのうちの一方の電流センサ(第1の電流センサ)7は、長手方向でのシールド部材5の一方の端部17で、上述したように、シールド部材5の開口部15のところの磁界55もしくはシールド部材5の開口部15の近傍の磁界55を検出するように構成されている。
【0037】
2つの電流センサのうちの他方の電流センサ(第2の電流センサ)21は、長手方向でのシールド部材5の端部19で、「コ」字を形成している一対の側板部23、25の間の磁界を検出するように構成されている。
【0038】
さらに詳しく説明すると、シールド部材5は所定な適宜の形状の平板状の素材が、直線状の複数の曲げ線で適宜折り曲げた状態になっていることで形成されている。
【0039】
シールド部材5は長手方向で一方の端から他方の端に向かって、一端側部位(一方の端部)17、中間部位27、他端側部位(他方の端部)19がこの順にならんでいる。
【0040】
上述したように、長手方向で見て、
図2(b)等で示すように、一端側部位17は、一部に開口部15が設けられている矩形な環状に形成されており、他端側部位19は、長手方向で見て、「コ」字状に形成されており、また、中間部位27も、長手方向で見て、「コ」字状に形成されている。
【0041】
長手方向で見て、一端側部位17は、底板部29と、底板部29の両端から起立している一対の側板部31、33と、一対の側板部31、33のそれぞれの先端から底板部29と平行になってしかもお互いが接近する方向に延伸している一対の上板部35、37とを備えている。
【0042】
他端側部位19は、底板部39と、底板部39の両端から起立している一対の側板部23、25とを備えている。
【0043】
中間部位27は、底板部41と、底板部41の両端から起立している一対の側板部43、45とを備えている。
【0044】
また、長手方向で見て、一端側部位17の底板部29と他端側部位19の底板部39と中間部位27の底板部41とは、お互いが一致している。
【0045】
他端側部位19の一対の側板部23、25の底板部39からの起立高さの値は、一端側部位17の一対の側板部31、33の底板部29からの起立高さの値よりも大きくなっており、一端側部位17の一対の側板部31、33の底板部29からの起立高さの値は、中間部位27の一対の側板部43、45の底板部41からの起立高さの値よりも大きくなっている。
【0046】
また、長手方向で見て、一端側部位17の一対の上板部35、37の先端は、横方向でお互いが離れており、一端側部位17は、一部が途切れた矩形な環状に形成されている。
【0047】
さらに、長手方向で見ると、一端側部位17の一方の上板部35の横方向の寸法の値と、一端側部位17の他方の上板部37の横方向の寸法の値とはお互いが一致している。
【0048】
第1の電流センサ7は、長手方向では、一端側部位17の内側に配置されており、横方向では、一対の上板部35、37の間に形成されている空間(開口部)15の中央部に設けられている。また、第1の電流センサ7が、高さ方向で、上述したように、一対の上板部35、37のところに設けられていてもよいし、一対の上板部35、37よりも僅かに下側に設けられていてもよいし、一対の上板部35、37よりも僅かに上側に設けられていてもよい。
【0049】
第2の電流センサ21は、長手方向では、他端側部位19の内側に配置されており、横方向では、他端側部位19の一対の側板部23、25の間に形成されている空間の中央部に設けられている。また、第2の電流センサ21は、高さ方向では、第1の電流センサ7と同じところに設けられており、第1の電流センサ7と同様に配置位置を若干変更することができるが、他端側部位19の一対の側板部23、25の上端よりも上側に配置されることはない。
【0050】
長手方向で見て、バスバー3はシールド部材5の内側の中央部に配置されている。なお、
図12で示すように、「コ」字状のバスバー3の姿勢を適宜変更してもよい。
図12(a)で示す態様では、
図2(b)で示す態様に対して、バスバー3を180°回転し、底板部9を側板部11、13の上側に配置させている。
【0051】
図12(b)で示す態様では、
図2(b)で示す態様に対して、バスバー3を90°回転し、側板部11、13が底板部9から横方向に延びている。さらに、
図2(b)で示す態様に対して、バスバー3を任意の角度回転した態様にしてもよい。
【0052】
次に、バスバー3の他のバスバー(相手バスバー)47、49への設置について、
図11を参照しつつ説明する。
【0053】
図11(a)で示すように、バスバー3の長手方向の一方の端部(所定の長さを備えている一方の端部)が、相手バスバー47にボルト57等の締結具を用いて接続されている。
【0054】
さらに説明すると、相手バスバー47の上面は、たとえば、長手方向および横方向に所定の寸法を備えた矩形な平面になっている。バスバー3の長手方向の一方の端部の底板部9の底面(下面)が、相手バスバー47の上面に面接触している。なお、相手バスバー47の上面の横方向の寸法の値が、バスバー3の底面の横方向の値よりも大きくなっているとともに、横方向で、バスバー3の中心と相手バスバー47の中心とがお互いに一致している。
【0055】
バスバー3の長手方向の他方の端部も、一方の端部と同様にして、相手バスバー49にボルト57等の締結具を用いて接続されている。
【0056】
なお、バスバー3の他のバスバー(相手バスバー)47、49への設置の態様を
図11(b)や
図11(c)で示すように変更してもよい。
図11(b)や
図11(c)で示す態様でも、相手バスバー47の上面は、たとえば、長手方向および横方向で所定も寸法を備えた矩形な平面になっている。
【0057】
図11(b)で示す態様では、バスバー3の長手方向の一方の端部(所定の長さを備えて一方の端部)が、矩形な平板状に形成されている。
【0058】
そして、バスバー3の長手方向の一方の端部の底板部9の底面(下面)が、相手バスバー47(49)の上面に面接触している。なお、相手バスバー47(49)の上面の横方向の寸法の値と、バスバー3の底面の横方向の値とはお互いが等しくなっているとともに、横方向で、バスバー3の中心と相手バスバー47(49)の中心とがお互いに一致している。
【0059】
図11(c)で示す態様では、バスバー3の長手方向の一方の端部(所定の長さを備えて一方の端部)が、矩形な平板状に形成されている先端側部位51と、「コ」字状に形成されている基端側部位53とで構成されている。
【0060】
そして、バスバー3の基端側部位53の底板部9の底面(下面)と、バスバー3の先端側部位51の下面とが、相手バスバー47(49)の上面に面接触している。なお、相手バスバー47(49)の上面の横方向の寸法の値と、バスバー3の先端側部位51の横方向の寸法の値とはお互いが等しくなっているとともに、横方向で、バスバー3の中心と相手バスバー47(49)の中心とがお互いに一致している。
【0061】
さらに、基端側部位53の底板部9の横方向の寸法の値は、先端側部位51の横方向の寸法の値よりも小さくなっており、横方向で、先端側部位51の中心と基端側部位53の中心とがお互いに一致している。
【0062】
次に、電流検出装置1の動作について説明する。
【0063】
電流検出装置1のバスバー3に電流が流れると、
図4で示すように、磁界55が発生する。磁界55の磁束密度は、バスバー3を流れる電流の値に応じて変化するとともに、シールド部材5の肉部を除けば、シールド部材5の開口部15のところで大きくなる。第1の電流センサ7が、シールド部材5の開口部15のところのおける磁束密度を検出することで、バスバー3を流れる電流の値がもとめられる。
【0064】
第2の電流センサ21によっても、第1の電流センサ7と同様にして、バスバー3を流れる電流の値を求めることができる。ただし、他端側部位19の一対の側板部23、25の間の発生する磁束密度の値は、一端側部位17の開口部15で発生する磁束密度の値よりも小さいので、第1の電流センサ7によって、バスバー3を流れる小電流の値がもとめられ、第2の電流センサ21によってバスバー3を流れる小電流の値がもとめられる。
【0065】
ここで、第1の電流センサ7および第2の電流センサ21における電流値と磁束密度との関係について、
図5を参照しつつ説明する。
図5に示す線
図G1は、第1の電流センサ7のものであり、
図5に示す線
図G2は、第2の電流センサ21のものである。
【0066】
第1の電流センサ7では、範囲RG1の磁束密度を検出することで、バスバー3を流れる範囲RG2の電流値を測定することができるようになっている。第2の電流センサ21では、範囲RG3の磁束密度を検出することで、バスバー3を流れる範囲RG4の電流値を測定することができるようになっている。なお、線
図G1、G2はリニア(直線状)になっている。
【0067】
バスバー3に流れる電流値が大きい場合の直線性であるが、
図6に線
図G3で示すように、良好なものになっている。
【0068】
次に、バスバー3に一定の電流が流れ続けたときの、電流検出装置1の温度変化について、
図7を参照しつつ説明する。電流検出装置1の温度の測定は、バスバー3、第1の電流センサ7、第2の電流センサ21の三箇所でされている。
【0069】
図7に示す線
図G4は、バスバー3の温度変化(温度上昇)を示しており、
図7に示す線
図G5は、第1の電流センサ7および第2の電流センサ21の温度変化(温度上昇)を示している。温度の上昇による問題は特に発生しない。
【0070】
次に、「コ」字状のバスバー3の寸法を変えて、バスバー3に一定の電流を流した場合における磁束密度の変化について
図8を参照しつつ説明する。
【0071】
なお、
図8における「V11」、「V12」、「V13」は、第1の電流センサ7のところにおける磁束密度であり、「V21」、「V22」、「V23」は、第2の電流センサ21のところにおける磁束密度である。
【0072】
なお、
図8に示す寸法「B1」、「B2」、「B3」の大きさは、B2>B1>B3になっているが、これらの差は、数%以下の僅かなものになっている。
図8に示す磁束密度の値「V11」、「V12」、「V13」の大きさは、V13>V11>V12になっているが、これらの差は、数%以下の僅かなものになっている。また、
図8に示す磁束密度の値「V21」、「V22」、「V23」の大きさは、V23>V21>V22になっているが、これらの差は、数%以下の僅かなものになっている。
【0073】
図8における「V31」、「V32」、「V33」は、シールド部材5における最大の磁束密度である。
図8を参照するに、「コ」字状のバスバー3の寸法を変えても、磁束密度はほとんど変化しない。すなわち、
図8に示す「V31」、「V32」、「V33」の大きさは、お互いがほぼ等しくなっている。
【0074】
ところで、バスバー3を「コ」字状にすると、バスバー3と相手バスバー47や相手バスバー49との接触面積(より精確には、相手バスバー47や相手バスバー49に接続されている部位におけるバスバー3の断面積)が小さくなる。これにより、電流密度分布と発熱について、
図9、
図10、
図11を参照して説明する。
【0075】
図9、
図10で示す態様で、バスバー3に一定の電流が流れている場合、バスバー3の底板部9には、10.5MA/m
2程度の電流が流れ、バスバー3の側板部11、13には、10.4MA/m
2程度の電流が流れ、バスバー3の底板部9と相手バスバー47(49)の接触面には、5.3MA/m
2程度の電流が流れ、相手バスバー47(49)には、9.5MA/m
2程度の電流が流れる。なお、
図10で示す部位AE1に流れる電流密度の値は、上述した他の部位での電流密度の値よりも大きくなるが、特に問題は発生しない。
【0076】
また、バスバー3に550Aの電流を20分間流し続けた場合、バスバー3では47.5℃温度が上昇し、電流センサ7、21では、36.6℃温度が上昇した。ここで、環境温度を70℃と仮定しても、70℃+47.5℃=117.5℃<150℃であり、特に問題は発生しない。
【0077】
図11(a)に示す態様(
図9、
図10で示す態様とほぼ同じ態様)で、バスバー3に一定の電流を20分間流し続けた場合、環境温度を70℃と仮定しても、バスバー3の温度T11は150℃よりも低く、第1の電流センサ7の温度T12は150℃よりも低く、第2の電流センサ21の温度T12は150℃よりも低く、特に問題は発生しない。
【0078】
図11(b)、(c)で示す態様においても、同様にして、特に温度上昇に関する問題は発生しない。すなわち、温度T21、T22、T23、T31、T32、T33はいずれもが150℃より低くなっている。
【0079】
電流検出装置1によれば、長手方向で見たときに、バスバー3が狭い幅寸法(薄い厚さ)tで、しかも曲がって延びているので、生産性を落とすことなく、また、大型化することなく、大きな電流を検出することができる。
【0080】
すなわち、バスバー3の厚さ寸法tが3mm以下の小さい値になっているので、3mm以下の厚さの平板状の素材からバスバー3を製造するときに、上記平板状の素材へのプレス加工等が容易になっており、生産性を落とすことなく、バスバー3を製造することができる。
【0081】
また、長手方向で見て、バスバー3が屈伸している(曲がっている)ので、
図18で示すように、横方向に長い直線状の形状にした場合に比べて、バスバー3の横寸法の値を小さくすることができ、電流検出装置1が大きくなることを防ぐことができる。
【0082】
そして、電流検出装置1の搭載スペース(設置スペース)が大きくなることが防止され、電流検出装置1の汎用性が高まるとともに、搭載された電流検出装置1の周辺の空間の有効利用をはかることができる。
【0083】
また、長手方向で見て、バスバー3が屈伸しているので、電流が流れるバスバー3の断面積を大きくすることができ、バスバー3に流れる電流の値を大きくすることができ、電流センサ7でバスバー3に流れる大きな電流を検出することができる。
【0084】
また、長手方向で見て、バスバー3が屈伸しているので、バスバー3を囲っているシールド部材5が大きくなることを防ぐことができ、比較的高価な材料で構成されているシールド部材5の価格が高騰することが防止され、コストダウンをはかることができる。
【0085】
また、電流検出装置1によれば、長手方向で見て、バスバー3が「コ」字状に形成されているので、バスバー3の形状が単純化されており、バスバー3の製造(加工)が容易になる。
【0086】
また、バスバー3が「コ」字状に形成されていることで、
図5の試験結果で示すように、バスバー3を流れる電流値に対する磁束密度(電流センサ7が検出する磁束密度)の直線性(
図5に示す2本の線
図G1、G2の直線性)を確保することができ、バスバー3を流れる電流値を容易にしかも正確に検出することができる。
【0087】
また、
図17(b)で示すように、従来の電流検出装置301では、高さ方向(
図17(b)の上下方向)で、若干のスペース余裕がある場合があるが、この場合、
図17(b)で示す電流検出装置301のバスバー303のみを本発明の実施形態に係る電流検出装置の「コ」字状のバスバーに置換することができ、バスバー取り付けの互換性を確保することができる場合がある。
【0088】
また、バスバー3を流れる電流値が大きい場合には、「コ」字を構成している3本の線分のうちの少なくとも1本の線分を長くすることで、バスバーの断面積を大きくし、対応することができる。
【0089】
また、電流検出装置1によれば、長手方向で見て、電流センサ7がバスバー3の「コ」字の外側に設けられているので、配線板8とバスバー3との干渉を容易に回避しつつ、配線板8に直接設置されている電流センサ7の設置をすることができる。
【0090】
また、電流検出装置1によれば、長手方向で見て、シールド部材5が一部に開口部15が設けられていることで一部が途切れた環状に形成されており、バスバー3が、シールド部材5の環の内側に配置されているので、
図4で示すように、シールド部材5を通り抜けているバスバー3の部位まわりにおける外部磁界の影響を極力減らすことができる。
【0091】
すなわち、
図3で示すように、シールド部材が設けられていない構成では、磁束密度が低くなっており、また、矢印AR1で示すような外部磁界(ノイズ)が働くと、外部磁界の影響を受けてしまい、バスバー3を流れる電流の値を正確に検出することが困難になる。
【0092】
一方、
図4で示す電流検出装置1のように、シールド部材5が設けられていると、磁束密度(電流センサ7のまわり磁束密度)が高くなり、矢印AR2で示すような外部磁界が働いても、矢印AR3で示すように、外部磁界の磁束がシールド部材5を通り抜け、電流センサ7のまわりにおける磁束にほとんど変化を与えることはない。そして、バスバー3を流れる電流の値を正確に検出することができる。
【0093】
さらに説明すると、電流検出装置1によれば、
図3で示すようなシールド部材が設けられていない電流検出装置に比べて、S/N比の値が大きい状態で、バスバー3を流れる電流の値を検出することができる。
【0094】
なお、
図4では、矢印AR2で示すように外部磁界が横方向に走っているが、外部磁界が横方向だけでなく、高さ方向や斜め方向に走っていても、外部磁界の磁束がシールド部材5を通り抜け、バスバー3を流れる電流の値を正確に検出することができる。また、
図3、
図4では、シールド部材5での磁界の表示を省略している。
【0095】
また、電流検出装置1によれば、電流センサ7がシールド部材5の開口部15の近傍の磁界55を検出するように構成されているので、バスバー3を流れる電流によって発生する磁界55の強度が高くなっている部位(磁束密度が大きくなっている部位)で磁界55を検出することができ、S/N比の値が大きい状態でバスバー3を流れる電流値を検出することができる。
【0096】
また、電流検出装置1によれば、第2の電流センサ21がシールド部材5の他端側部位19の「コ」字を形成している一対の側板部23、25の間の磁界55を検出するように構成されているので、バスバー3を流れる電流値が大きい場合に、S/N比の値が大きい状態でバスバー3を流れる電流値を検出することができる。
【0097】
次に、
図12(a)で示す態様の電流検出装置1について説明する。
図12(a)で示す態様の電流検出装置1は、
図2(b)で示す態様の電流検出装置1のバスバー3を、この中心を回転中心軸にして180°回転した点が、
図2(b)で示す態様の電流検出装置1と異なり、その他の点は、
図2(b)で示す態様の電流検出装置1と同様に構成されており、同様の効果を奏する。
【0098】
ここで、
図12(a)で示す態様の電流検出装置1の第1の電流センサ7および第2の電流センサ21とにおける電流値と磁束密度との関係について、
図13を参照しつつ説明する。
図13に示す線
図G6は、第1の電流センサ7のものであり、
図13に示す線
図G7は、第2の電流センサ21のものである。
【0099】
第1の電流センサ7では、範囲RG5の磁束密度を検出することで、バスバー3を流れる範囲RG6の電流値を測定することができるようになっている。第2の電流センサ21では、範囲RG7の磁束密度を検出することで、バスバー3を流れる範囲RG8の電流値を測定することができるようになっている。なお、線
図G6、G7も、
図5で示す線
図G1、G2と同様に、リニア(直線状)になっている。
【0100】
また、
図12(a)で示す態様の電流検出装置1に電流が流れると、
図14で示すように、磁界55が発生する。磁界55の磁束密度は、
図2(b)で示す態様の電流検出装置1と同様に、バスバー3を流れる電流の値に応じて変化するとともに、シールド部材5の肉部を除けば、シールド部材5の開口部15のところで大きくなる。第1の電流センサ7が、シールド部材5の開口部15のところのおける磁束密度を検出することで、バスバー3を流れる電流の値がもとめられる。なお、
図14では、シールド部材5での磁界の表示を省略している。
【0101】
次に、
図12(a)で示す態様の電流検出装置1のバスバー3に一定の電流が流れ続けたときの、電流検出装置1の温度変化について
図15を参照しつつ説明する。電流検出装置1の温度の測定は、バスバー3、第1の電流センサ7、第2の電流センサ21の三箇所でされている。
【0102】
図15に示す線
図G8は、バスバー3の温度変化(温度上昇)を示しており、
図15に示す線
図G9は、第1の電流センサ7および第2の電流センサ21の温度変化(温度上昇)を示している。
【0103】
ところで、上記説明では、長手方向で見て、バスバー3が「コ」字状に形成されている場合を例に掲げて説明したが、
図16で示すように、長手方向で見て、バスバー3が「コ」字状以外の形状に形成されていてもよい。
【0104】
図16(b)(c)(d)で示すように、長手方向で見て、バスバー3が横方向の両端部を180°折り曲げた態様で形成されていてもよい。
【0105】
図16(b)で示す態様では、お互いが重なっている部位が接しており、
図16(b)で示す態様では、お互いが重なっている部位が僅かに離れており(高さ方向で僅かに離れており)、
図16(d)で示す態様では、折り曲げがされた部位とこの近傍では、お互いが重なっている部位が僅かに離れており、折り曲げがされた部位から離れて部位では、お互いが重なっている部位が接している。
【0106】
また、
図16(e)(f)で示すように、長手方向で見て、バスバー3が横方向の中央で180°折り曲げた態様で形成されていてもよい。
図16(e)で示す態様では、お互いが重なっている部位が接しており、
図16(f)で示す態様では、お互いが重なっている部位が僅かに離れている。
【0107】
また、
図16(g)(h)で示すように、長手方向で見て、バスバー3の底板部9に対して、側板部11、13が90°以外の角度で曲がっていてもよいし、
図16(i)で示すように、バスバー3が、長手方向で見て、3箇所以上の複数箇所で曲がっていることで、たとえば「W」字状に形成されていてもよい。
【0108】
さらに、
図16(b)(c)(d)(g)(h)(i)で示す態様の他に、バスバー3が、横方向に対して直交しているとともにバスバー3の中心(長手方向に延びている中心軸)を含んでいる平面(中心平面)に対して、対称に形成されていてもよい。
【0109】
また、
図16で示すバスバー3がこの中心軸(長手方向に延びている中心軸)まわりで、30°、45°、60°、90°、120°等の任意の角度回転させた状態で設置されてもよい。
【0110】
また、
図16(a)で示すように、バスバー3が2つ以上の複数の薄い部材を重ねたことで形成されていてもよい。すなわり、バスバー3が、長手方向で見て、加工が容易な3mm以下の薄い部材をこの厚さ方向で複数枚重ねたことで構成されている。なお、
図16(a)で示すバスバー3において、少なくとも1枚の薄い部材が、長手方向で見て屈伸していてもよい。