特許第6890119号(P6890119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6890119高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを含む美白用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890119
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを含む美白用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20210607BHJP
   A61K 36/258 20060101ALI20210607BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20210607BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61K36/258
   A61Q19/02
   A61P17/00
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-515230(P2018-515230)
(86)(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公表番号】特表2018-528971(P2018-528971A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】KR2016010605
(87)【国際公開番号】WO2017052242
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2019年6月5日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0134534
(32)【優先日】2015年9月23日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0104381
(32)【優先日】2016年8月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ソ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ウン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ピン, ボム ホ
(72)【発明者】
【氏名】フヮン, キョン フヮン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ウン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ, テ リョン
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−013086(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103462846(CN,A)
【文献】 中国特許第103271891(CN,B)
【文献】 韓国公開特許第2012−0037179(KR,A)
【文献】 中国特許出願公開第103519178(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−99、36/00−9068
A61Q 1/00−90/00
A61P 1/00−43/00
A23L 2/00−84、23/00−35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高麗人参の細胞外液から分離した球形のナノサイズの粒子を有効成分として含む美白用組成物であって
前記粒子は、
50〜100nmの直径を有し、
イオジキサノール(iodixanol)での浮遊密度が1.00〜1.20g/mlであり、
前記美白用組成物は、前記粒子を1μg/mL以上の濃度で含む、
美白用組成物。
【請求項2】
前記粒子は、高麗人参の根の細胞外液から分離したものである、請求項1に記載の美白用組成物。
【請求項3】
前記粒子は、高麗人参の細胞外液の100,000×g以上の超遠心分離で沈降するものである、請求項1に記載の美白用組成物。
【請求項4】
前記粒子は、イオジキサノール(iodixanol)での浮遊密度が1.08g/mlのものである、請求項1に記載の美白用組成物。
【請求項5】
前記有効成分はメラニン生成を抑制する、請求項1に記載の美白用組成物。
【請求項6】
前記有効成分は、しみ、そばかす、黒色斑点、母斑、黒色腫、薬物による色素沈着、炎症後色素沈着、及び皮膚炎で発生する色素沈着からなる群から選択される1以上の皮膚色素沈着疾患を予防、改善又は治療する、請求項1に記載の美白用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを含む美白用組成物、及び前記高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを製造する方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
多くの動物細胞は、多様な大きさや成分を有する細胞内起源の細胞外小胞(extracellular vesicle)を分泌できる能力を持っており、このような細胞外小胞は、血液、小便、唾液及び細胞培養液を含むすべての生物学的流体(biological fluids)から発見される(非特許文献1非特許文献2)。
【0003】
細胞外小胞は、小さくは直径約20nmから大きくは直径約5μmの大きさを有する膜構造小胞体であって、その大きさと構成において異質性があり、エクソソーム(exosome、約30〜100nm)、エクトソーム(ectosome)、微小胞(microvesicle、約100〜1,000nm)、微粒子(microparticle)などの多数の相違する種を含む。
【0004】
前記細胞外小胞の相違する類型は、その起源、直径、スクロースでの密度、形状、沈降速度、脂質組成物、タンパク質マーカーまたは分泌方式(すなわち、シグナル(誘導性)によるものか自発的(構成的)なものか)などに基づいて区別される。例えば、微小胞は、約100〜1,000nmの不規則な形状を有する膜小胞であって、円形質膜の外側に向けて出芽(円形質膜から起源)し、インテグリン、セレクチン、CD40リガンドを含むマーカー、ホスファチジルセリンを含む脂質を有すると知られている。一方、エクソソームは、約30〜100nm(<200nm)のカップ形状を有する最も小さい膜小胞であって、後期エンドソームの内側から出芽(エンドソーム起源)し、CD63、CD9のテトラスパニン、TSG101、ESCRTを含むマーカー、コレステロール、スフィンゴミエリン、セラマイド、ホスファチジルセリンを含む脂質を有すると知られている。
【0005】
細胞外小胞は、分泌する起源細胞(ドナー細胞)の状態を反映し、どの細胞から分泌したかによって多様な生物学的活性を示し、細胞間で遺伝物質とタンパク質を移しながら細胞間相互作用に重要な役割をする。
【0006】
植物においても円形質膜と多胞体の融合は、細胞外空間への小さい小胞の放出を引き起こし、多様な植物種の多様な植物細胞において多胞体内小胞が細胞外空間で観察される(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。また、近年の研究では、植物細胞由来のエクソソーム様ナノ粒子(exosome−like nanoparticle)は哺乳動物細胞由来のエクソソームとナノ大きさの小胞構造及びナノ粒子組成物が類似すると報告されたことがある(特許文献6、特許文献7)。
【0007】
従来のエクソソームは、主にバイオマーカーとして用いられてきており、エクソソーム自体の効能を用いてエクソソームを特定の用途として用いる技術についての開発はまだ十分でない実情である。特に、植物細胞由来のエクソソーム様の膜構造小胞体の特定の用途については知られたところがほとんどなく、高麗人参の場合、高麗人参由来の抽出物や単一成分の美白効能は報告されたことがあるが、高麗人参由来のエクソソーム様の膜構造小胞体の美白効能については報告されたところがない。高麗人参の抽出物に関する先行技術は特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2009−0130801号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Loyer X, Vion AC, Tedgui A, Boulanger CM, Microvesicles as cell-cell messengers in cardiovascular diseases. Circ Res, 2014;114:345-53
【非特許文献2】Ohno S, Ishikawa A, Kuroda M, Roles of exosomes and microvesicles in disease pathogenesis, Adv Drug Deliv Rev, 2013;65:398-401
【非特許文献3】Marchant R, Peat A, Banbury GH, The ultrastructural basis of hyphal growth. New Phytol., 1967;66:623-629
【非特許文献4】Halperin W, Jensen WA, Ultrastructural changes during growth and embryogenesis in carrot cell cultures. J Ultrastruct Res., 1967;18:428-443
【非特許文献5】Marchant R, Robards AW, Membrane systems associated with the plasmalemma of plant cells. Ann Bot., 1968;32:457-471
【非特許文献6】Qianli An, Ralph Huckelhoven, Karl-Heinz Kogel and Aart J. E. van Bel, Multivesicular bodies participate in a cell wall-associated defence response in barley leaves attacked by the pathogenic powdery mildew fungus. Cellular Microbiology (2006)8(6), 1009-1019
【非特許文献7】Regente M, Pinedo M, Elizalde M and de la Canal L. Apoplastic exosomelike vesicles:a new way of protein secretion in plants ?, Plant Signal Behav, 2012 May,7(5):544-546
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一側面において、本明細書は、高麗人参の抽出物ではない高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを有効成分として含む美白用組成物を提供することを目的とする。
【0011】
他の側面において、本明細書は、前記高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に開示された技術は、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル(exosome−like vesicle)を有効成分として含む美白用組成物を提供する。
【0013】
一側面において、前記エクソソーム様ベジクルは、高麗人参の根から分離したものであってよい。
【0014】
他の側面において、前記エクソソーム様ベジクルは、直径20〜500nmの大きさを有するものであってよい。
【0015】
他の側面において、前記エクソソーム様ベジクルは、高麗人参の細胞外液の100,000×g以上の超遠心分離で沈降するものであってよい。
【0016】
他の側面において、前記エクソソーム様ベジクルは、イオジキサノール(iodixanol)での浮遊密度が1.00〜1.20g/mlのものであってよい。
【0017】
他の側面において、前記有効成分は、メラニン生成を抑制するものであってよい。
【0018】
他の側面において、前記有効成分は、しみ、そばかす、黒色斑点、母斑、黒色腫、薬物による色素沈着、炎症後色素沈着、及び皮膚炎に起因する色素沈着からなる群から選択される1以上の皮膚色素沈着疾患を予防、改善又は治療するものであってよい。
【0019】
また、本明細書に開示された技術は、前記高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル(exosome−like vesicle)を製造する方法であって、(1)高麗人参を搾汁して搾汁液を収得する段階;(2)前記搾汁液を遠心分離して残滓を除去し上層液を収得する段階;及び(3)前記上層液を超遠心分離してエクソソーム様ベジクル(exosome−like vesicle)を収得する段階を含む高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルの製造方法を提供する。
【0020】
一側面において、前記段階(2)における遠心分離は、500〜3、000×gで10〜30分間実施していてよい。
【0021】
他の側面において、前記段階(3)における超遠心分離は、スクロースクッション密度勾配及びイオジキサノール(iodixanol)密度勾配を用いて超遠心分離するものであってよい。
【0022】
他の側面において、前記段階(3)における超遠心分離は、100,000〜200,000×gで1〜6時間実施していてよい。
【0023】
他の側面において、前記段階(3)においてエクソソーム様ベジクルは、上層液を超遠心分離した後、イオジキサノール(iodixanol)で1.00〜1.20g/mlの浮遊密度を有するフラクションを分離する段階を含んで収得していてよい。
【発明の効果】
【0024】
一側面において、本明細書に開示された技術は、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを有効成分として含む美白用組成物を提供する効果がある。
【0025】
他の側面において、本明細書に開示された技術は、前記高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを製造する方法を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本明細書の一実施例に係る高麗人参の根の搾汁液からエクソソーム様ベジクルを分離する過程を段階別に示した図である。
図2】本明細書の一実験例に係る高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルの透過電子顕微鏡による撮像結果を示した図である。
図3】本明細書の一実験例に係る高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルをMNT−1細胞に処理した後のメラニン生成量を比べた結果を示した図である。
図4】本明細書の一実験例に係る高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルと陽性対照群(自社の代表的な美白素材であるmelasolvとcompound K、発酵サポニン)をヒト色素形成細胞に処理した後のメラニン生成量を比べた結果を示した図である。
図5】本明細書の一実験例に係る高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルと高麗人参の搾汁液をヒト色素形成細胞に処理した後の細胞生存率を比べた結果を示した図である。
図6】本明細書の一実験例に係る高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルと高麗人参の搾汁液をヒト色素形成細胞に処理した後のメラニン生成量を比べた結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0028】
本明細書は、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル(exosome−like vesicle)を有効成分として含む美白用組成物を提供する。本明細書は、高麗人参由来の抽出物ではない高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル、具体的に、高麗人参の細胞外液由来のエクソソーム様ベジクルを有効成分として含む美白用組成物を提供する。
【0029】
例示的な一具現例において、前記高麗人参は、トチバニンジン属(Panax species)植物の種子、根、幹、葉及び実からなる群から選択される一つ以上であってよく、具体的なトチバニンジン属植物としては、高麗人参(Panax ginseng)、アメリカニンジン(Panax quinquefolium)、サンシチニンジン(Panax notoginseng)、竹節人参(Panax japonicum)、三葉人参(Panax trifolium)、ヒマラヤ人参(Panax pseudoginseng)又はベトナム人参(Panax vietnamensis)などがあり、加工の有無や生育環境に分けられる紅参、水参、白参、栽培参、長脳参、山参培養根を含む山参(深山に野生する高麗人参)など、品種や種類に制限されることなく使用可能である。
【0030】
本明細書において「エクソソーム様ベジクル(exosome−like vesicle)」は、細胞から分泌して細胞外空間に放出されたナノ大きさの細胞外小胞、すなわち、細胞外ベジクル(extracellular vesicle)を意味するものであって、前記ベジクルは、エクソソームを含み、エクソソームとナノ大きさのベジクル構造及びその組成物が類似のベジクルをいずれも含む最広義の概念である。
【0031】
前記エクソソーム様ベジクルは、多胞体(multivesicular body)がエキソサイトーシスにて円形質膜と融合して細胞外空間に放出される。また、前記エクソソーム様ベジクルは、細胞膜成分からなる脂質二重膜によって内部と外部とに区分され、細胞の細胞膜脂質と膜タンパク質、遺伝物質及び細胞質成分を有していることから、細胞の性質や状態を間接的に把握できるようにする。さらに、前記エクソソーム様ベジクルは、他の細胞及び組織に結合して膜構成要素、mRNAs、miRNAs、タンパク質(成長ホルモン、サイトカインなど)などを伝達し、これらの伝達物質を受容細胞に伝達することで細胞−細胞間の疎通を媒介する細胞外伝達体として作用する。
【0032】
本明細書において「高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル」は、高麗人参の細胞から分泌したナノ大きさのエクソソーム様ベジクルを意味する。前記エクソソーム様ベジクルは、高麗人参の細胞外液(extracellular fluid)から分離したものであってよく、分離されたエクソソーム様ベジクルは、全体的に又は部分的に本来存在する組織または細胞から物理的に分離したものであってよい。
【0033】
例示的な一具現例において、前記エクソソーム様ベジクルは、高麗人参の根から分離したものであってよい。
【0034】
一側面において、前記エクソソーム様ベジクルは、20〜500nmの直径を有する細胞外ベジクルであってよい。他の側面において、前記エクソソーム様ベジクルは、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、80nm以上、90nm以上、または100nm以上であり、且つ500nm以下、450nm以下、400nm以下、350nm以下、300nm以下、250nm以下、200nm以下、150nm以下、または100nm以下の直径を有する細胞外ベジクルであってよい。
【0035】
他の側面において、前記エクソソーム様ベジクルは、高麗人参の細胞外液の100,000×g以上、具体的に、100,000〜200,000×g、または100,000×gの超遠心分離で沈降するものであってよい。
【0036】
他の側面において、前記エクソソーム様ベジクルは、イオジキサノール(iodixanol)での浮遊密度が1.00〜1.20g/ml、または1.03〜1.20g/ml、または1.06〜1.20g/mlのものであってよい。前記浮遊密度は、密度勾配遠心法によって測定された密度を言う。
【0037】
他の側面において、前記エクソソーム様ベジクルは、例えば、標的細胞で所望の機能を効率的に行い得るように膜成分が化学的又は物理的に変形されたものであってよい。例えば、エクソソーム様ベジクルの膜成分がチオール基(−SH)又はアミン基(−NH)を用いて化学的な方法で変形されたものであるか、又はエクソソーム様ベジクルに標的誘導物質、細胞膜融合物質、ポリエチレングリコールを化学的に結合させて膜成分が化学的に変形されたものであってよい。
【0038】
例示的な一具現例において、前記エクソソーム様ベジクルは、超遠心分離(ultracentrifugation)、分画遠心分離(Differential Centrifugation)、平衡密度勾配遠心分離(Equilibrium Density Centrifugation)、密度勾配(density gradient)、濾過(filtration)、透析(dialysis)、及び自由流動電気泳動(free−flow electrophoresis)からなる群から選択される一つ以上の方法を用いて分離していてよいが、エクソソーム様ベジクルの分離方法がこられに制限されるものではない。
【0039】
密度勾配は、密度が異なる物質を区分するときに最も多く用いられる方法であって、本明細書に係るエクソソーム様ベジクルは、密度が区分されていて密度勾配を通じて分離していてよい。この方法の具体的な例としては、フィコール(ficoll)、グリセロール(glycerol)、スクロース(sucrose)、塩化セシウム(cesium chloride)、イオジキサノール(iodixanol)などの密度勾配分離材料を用いて実施することができるが、これに制限されるものではない。一側面において、密度勾配は、超遠心分離などとともに用いられていてよい。他の側面において、エクソソーム様ベジクルを選別するためにゲル濾過(gel filtration)又は限外濾過(ultrafiltration)を用いていてよい。また他の側面において、大きさの小さい分子を除去するために、濾過に代えて透析を用いていてもよい。また他の側面において、自由流動電気泳動を用いていてよい。
【0040】
例示的な一具現例において、前記高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルは、(1)高麗人参から高麗人参の細胞外液を含む液汁を収得する段階;(2)前記液汁を遠心分離して残滓を除去し上層液を収得する段階;及び(3)前記上層液を超遠心分離してエクソソーム様ベジクルを収得する段階を含んで収得されていてよい。
【0041】
例示的な一具現例において、前記段階(1)において液汁は、高麗人参から搾り出した液体であって、機械的分解、化学物質処理などの方法を適宜用いて収得していてよい。一側面において、液汁は、高麗人参を搾汁して収得していてよく、前記搾汁工程は、当該技術分野における周知の方法に従い通常の技術者が適宜選択して実施していてよい。
【0042】
例示的な一具現例において、前記段階(2)における遠心分離は、500〜3,000×gで10〜30分間実施していてよい。このとき、前記遠心分離は、速度又は時間を変化させて段階的に実施していてもよい。
【0043】
例示的な一具現例において、前記段階(3)における超遠心分離は、スクロースクッション密度勾配及びイオジキサノール(iodixanol)密度勾配を用いて超遠心分離するものであってよい。
【0044】
例示的な一具現例において、前記段階(3)における超遠心分離は、100,000〜200,000×gで1〜6時間実施していてよい。このとき、前記超遠心分離は、速度又は時間を変化させて段階的に実施していてもよい。
【0045】
例示的な一具現例において、前記段階(3)における超遠心分離は、100,000〜200,000×gで1〜6時間スクロースクッション密度勾配を用いた超遠心分離及びイオジキサノール(iodixanol)密度勾配を用いた超遠心分離を含む一連の超遠心分離工程を通じて実施していてよい。
【0046】
例示的な一具現例において、前記段階(3)においてエクソソーム様ベジクルは、上層液を超遠心分離した後に分別(fractionation)して得た1.00〜1.20g/mlの浮遊密度を有するフラクションを分離する段階を含んで収得していてよい。このとき、前記分離されたフラクションは、緩衝溶液に希釈し超遠心分離する段階をさらに含んでいてよく、具体的に、100,000×gで2時間超遠心分離し、直径20〜500nmを有するペレット化したエクソソーム様ベジクルを分離していてよい。
【0047】
例示的な一具現例において、前記有効成分は、メラニン増加と直接又は間接的に関連がある皮膚損傷又は皮膚疾患を予防、治療又は改善する効果がある。すなわち、前記有効成分は、メラニン生成を有効に抑制するため、メラニンの過剰生成による疾患を予防、治療又は改善する効果がある。
【0048】
他の側面において、本明細書に開示された技術は、皮膚美白増進に有効な量の高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを、これを必要とする対象に投与することを含む皮膚美白増進方法を提供する。
【0049】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、メラニン生成抑制に有効な量の高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを、これを必要とする対象に投与することを含むメラニン生成抑制方法を提供する。
【0050】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、メラニン増加と直接又は間接的に関連がある皮膚損傷又は皮膚疾患、及び/又はメラニンの過剰生成による疾患の予防、治療及び/又は改善に有効な量の高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを、これを必要とする対象に投与することを含むメラニン増加と直接又は間接的に関連がある皮膚損傷又は皮膚疾患、及び/又はメラニンの過剰生成による疾患の予防、治療及び/又は改善方法を提供する。
【0051】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、対象の皮膚美白増進のための高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを提供する。
【0052】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、対象のメラニン生成抑制のための高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを提供する。
【0053】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、メラニン増加と直接又は間接的に関連がある皮膚損傷又は皮膚疾患、及び/又はメラニンの過剰生成による疾患の予防、治療及び/又は改善のための高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを提供する。
【0054】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、対象の皮膚美白増進のための高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル含有組成物を製造するための用途を提供する。
【0055】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、対象のメラニン生成抑制のための高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル含有組成物を製造するための用途を提供する。
【0056】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、メラニン増加と直接又は間接的に関連がある皮膚損傷又は皮膚疾患、及び/又はメラニンの過剰生成による疾患の予防、治療及び/又は改善のための高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル含有組成物を製造するための用途を提供する。
【0057】
例示的な一具現例において、前記高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルは、薬学組成物、化粧料組成物又は食品組成物の形態で対象に適用又は投与するものであってよい。
【0058】
例示的な一具現例において、前記高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルは、対象の皮膚に適用又は投与するものであってよい。
【0059】
例示的な一具現例において、前記メラニンの過剰生成による疾患は、しみ、そばかす、老人性色素斑、細かいほくろ、表皮メラノサイト性病変(Epidermal melanocytic lesion)、カフェオレ斑(Cafe’s au lait macules)、ベッカー母斑(Becker’s Nevus)、扁平母斑(Nevus Spilus)、黒子(Lentigines)、真皮メラノサイト性病変(Dermal melanocytic lesions)、蒙古斑(Mongolian spot)、太田母斑(Nevus of Ota)、遅発性両側性太田母斑様色素斑(Acquired bilateral nevus of Ota−like macules)、伊藤母斑(Nevus of Ito)、青色母斑(Blue nevus)、メラノサイト性母斑(Melanocytic nevus)、境界母斑(Junctional nevus)、複合母斑(Compound nevus)、真皮内母斑(Intradermal nevus)、暈状母斑(Halo nevus)、先天性メラノサイト性母斑(Congenital nevocytic nevus)、スピッツ母斑(Spitz nevus)、異形成母斑(Dysplastic nevus)、黒色腫(Melanoma)、悪性黒子型黒色腫(Lentigo maligna melanoma)、表層進展性黒色腫(Superficial spreading melanoma)、末端性黒子性黒色腫(Acral lentiginous melanoma)、結節性黒色腫(Nodular melanoma)、色素性基底細胞癌(pigment basal cell carcinoma)、色素性皮膚線維腫(dermatofibromas)、色素性皮様嚢胞(dermoid cyst)、色素性ケロイド(keloid)、及び色素性角化棘細胞腫(keratoacanthomas)からなる群から選択される1以上であってよい。
【0060】
例示的な一具現例において、前記組成物は、メラニン生成増加で皮膚に局所的に発生するしみ、そばかす、黒色斑点、母斑、黒色腫、薬物による色素沈着、炎症後色素沈着、及び皮膚炎で発生する色素沈着からなる群から選択される1以上の皮膚色素沈着疾患を予防、改善又は治療するものであってよい。
【0061】
他の側面において、本明細書に開示された技術は、有効量の前記高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを、これを必要とする対象に投与することを含む、メラニン生成増加で皮膚に局所的に発生するしみ、そばかす、黒色斑点、母斑、黒色腫、薬物による色素沈着、炎症後色素沈着、及び皮膚炎で発生する色素沈着からなる群から選択される1以上の皮膚色素沈着疾患を予防、改善及び/又は治療する方法を提供する。
【0062】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、メラニン生成増加で皮膚に局所的に発生するしみ、そばかす、黒色斑点、母斑、黒色腫、薬物による色素沈着、炎症後色素沈着、及び皮膚炎で発生する色素沈着からなる群から選択される1以上の皮膚色素沈着疾患の予防、改善及び/又は治療のための高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを提供する。
【0063】
また他の側面において、本明細書に開示された技術は、メラニン生成増加で皮膚に局所的に発生するしみ、そばかす、黒色斑点、母斑、黒色腫、薬物による色素沈着、炎症後色素沈着、及び皮膚炎で発生する色素沈着からなる群から選択される1以上の皮膚色素沈着疾患の予防、改善及び/又は治療のための高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル含有組成物を製造するための用途を提供する。
【0064】
例示的な一具現例において、前記組成物は、凍結乾燥された剤形であってよい。前記組成物は、すぐに使えるように(ready−to−use)密封された包装材又は包装容器に入れられた凍結乾燥された剤形であってよい。
【0065】
また、本明細書は、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを有効成分として含み、凍結乾燥された剤形を有する組成物;及び滅菌水又は精製水;を含む美白用、メラニン生成抑制用、皮膚色素沈着疾患の予防、改善又は治療用キットを提供する。前記キットは、すぐに使えるように(ready−to−use)密封された包装材又は包装容器に入れられたキットであってよい。
【0066】
例示的な一具現例によれば、前記組成物は、薬学組成物であってよい。
【0067】
前記薬学組成物は、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルの他、防腐剤、安定化剤、水和剤、又は浸透圧調節のための塩及び/又は緩衝剤などの薬剤学的補助剤、及びその他治療的に有用な物質をさらに含有していてよく、通常の方法によって多様な経口投与剤又は非経口投与剤の形態で剤形化していてよい。
【0068】
前記経口投与剤は、例えば、錠剤、丸剤、硬・軟質カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳化剤、シロップ剤、粉剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、ペレット剤などが挙げられ、これらの剤形は、有効成分以外に、界面活性剤、希釈剤(例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及びグリシン)、滑沢剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸及びそのマグネシウム又はカルシウム塩、並びにポリエチレングリコール)を含有していてよい。錠剤は、マグネシウムアルミニウムシリケート、澱粉ペースト、ゼラチン、トラガカンス、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンといった結合剤をさらに含有していてよく、場合に応じて、澱粉、寒天、アルギン酸又はそのナトリウム塩といった崩壊剤、吸収剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤などの薬剤学的添加剤を含有していてよい。前記錠剤は、通常の混合、顆粒化又はコーティング方法によって製造されていてよい。
【0069】
また、前記非経口投与剤の形態としては、経皮投与型の剤形が挙げられ、例えば、注射剤、点滴剤、軟膏、ローション、ゲル、クリーム、スプレー、懸濁剤、乳剤、坐剤、パッチなどの剤形であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0070】
前記有効性分の投与量の決定は当業者の水準内にあり、薬物の1日投与用量は、投与しようとする対象の症状進行程度、発病時期、年齢、健康状態、合併症などの様々な要因により変わるが、成人を基準としたとき、一般には、前記組成物1μg/kg〜200mg/kg、他の一側面において、50μg/kg〜50mg/kgを1日1〜3回分けて投与していてよく、前記投与量は、如何なる方法であっても本明細書の範囲を限定するものではない。
【0071】
前記薬学組成物は皮膚外用剤であってよく、前記皮膚外用剤とは、皮膚外部において塗布されるものであればいずれも含まれ得る製剤の総称であり、多様な剤形の医薬品がこれに含まれ得る。
【0072】
例示的な一具現例によれば、前記組成物は化粧料組成物であってよい。
【0073】
前記化粧料組成物には、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルの他、機能性添加物及び一般の化粧料組成物に含まれる成分がさらに含まれていてよい。前記機能性添加物としては、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質、及び海藻エキスからなる群から選択された成分を含んでいてよい。それ以外に含まれる配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0074】
前記化粧料組成物は、剤形が特に限定されず、目的とするところに応じて適宜選択していてよい。例えば、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファウンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、せっけん、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション、及びボディークレンザーからなる群から選択されたいずれか一つ以上の剤形に製造されていてよいが、これらに制限されるものではない。
【0075】
剤形がペースト、クリーム、又はゲルである場合は、担体成分として、動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが用いられていてよい。
【0076】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーである場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又はポリアミドパウダーが用いられていてよく、特にスプレーである場合は、さらに、クロロフルオロハイドロカーボン、プロパン/ブタン、又はジメチルエーテルのような推進剤を含んでいてよい。
【0077】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液である場合は、担体成分として、溶媒、溶媒和剤、又は乳濁化剤が用いられていてよく、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0078】
本発明の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、又はトラガカントなどが用いられていてよい。
【0079】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホサクシネートモノエステル、イセチオン酸、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられていてよい。
【0080】
例示的な一具現例によれば、前記組成物は食品組成物であってよい。
【0081】
前記食品組成物は、液状又は固状の剤形であってよく、例えば、各種食品類、飲料、ガム、お茶、ビタミン複合剤、健康補助食品類などがあり、粉末、顆粒、錠剤、カプセル又は飲料の形態で用いられていてよい。各剤形の食品組成物は、有効成分の他に当該分野において通常的に用いられる成分を剤形又は使用目的に応じて当業者が難なく適宜選定して配合してよく、他の原料と同時に適用した場合、相乗効果が生じることがある。
【0082】
本明細書に開示された有効成分の他に含有していてよい液体成分には、特に制限などなく、普通の飲料と同様に様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含んでいてよい。前記天然炭水化物の例としては、葡萄糖、果糖などの単糖類;マルトース、スクロースなどの二糖類;デキストリン、シクロデキストリンなどの多糖類、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールが挙げられる。前述した香味剤としては、天然香味剤(タウマチン、ステビア抽出物(例えばレバウジオシドA、グリシルリジンなど)及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテーム)を有利に用いていてよい。前記天然炭水化物の割合は、本明細書に開示された組成物100ml当たり、通常約1〜20g、一側面において、約5〜12gであってよい。
【0083】
前記食品組成物は、一側面において、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤、及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含んでいてよい。他の側面において、天然果物ジュースや野菜飲料の製造のための果肉を含んでいてよい。これらの成分は、独立で、或いは組み合わせて用いていてよい。これらの添加剤の割合は多様であってよいが、本明細書に開示された組成物100重量部当たり0.001〜約20重量部の範囲で選択されるのが一般的である。
【0084】
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明することにする。なお、これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであるに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0085】
実施例1.高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルの分離
(段階1)先ず、4年根の高麗人参の根を準備し、これを搾汁して高麗人参の根の細胞外液を含む搾汁液を製造した。
【0086】
(段階2)前記搾汁液を4℃、500×gで10分間遠心分離をして上層液を得、4℃、3,000×gで20分間更に遠心分離をして上層液を得た。
【0087】
(段階3)35ml容量の超遠心分離チューブに0.5mlの2.5Mスクロースと1mlの0.8Mスクロース、そして32mlの異物が除去された前記上層液をこの順に入れ、4,100,000×gで2時間超遠心分離した。前記超遠心分離の後、高麗人参の根のエクソソーム様ベジクルはそれの密度によって2.5Mスクロース層と0.8Mスクロース層との間に位置した。これに対し、チューブの上方から溶液を除去して高麗人参の根のエクソソーム様ベジクルが含まれた層を分離した。
【0088】
(段階4)前記分離された高麗人参の根のエクソソーム様ベジクルが含まれた層を対象に密度勾配超遠心分離(density gradient ultracentrifugation)を更に行った。具体的に、前記分離された高麗人参の根のエクソソーム様ベジクルが含まれた層0.42mlと60%のiodixanol 2.08mlとを混ぜ合わせて、最終的に50% iodixanol 2.5mlを調製し、12ml容量の超高速遠心分離用チューブに入れた後、35% iodixanol 2.5ml、20% iodixanol 2.5ml、150mM NaCl/20 mM HEPES 2.5mlをこの順に積み込み、4℃、200,000×gで4時間超遠心分離した。次いで、チューブの上段から1mlずつ一部分(fraction)を得て密度を測定して、エクソソーム様ベジクル密度に該当するfraction 3(1.08g/ml)を収得した(図1参照)。
【0089】
(段階5)前記収得したfraction 3をHBS(HEPES−buffered saline)60mlに希釈して70ml容量の超遠心分離用チューブに入れた後、4℃、100,000×gで2時間超遠心分離して、ペレット化された高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを収得した。
【0090】
実験例1.高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルの透過電子顕微鏡分析
前記実施例1で収得した高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルに対し、透過電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)でその大きさや形態を分析した。
【0091】
図2は、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルの透過電子顕微鏡による撮像結果であって、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルは直径が50〜100nmで且つ略球形を成していることを確認した。
【0092】
実験例2.高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル(1μg/ml)をMNT−1細胞に1週間処理した後のメラニン生成量の比較
ヒト黒色腫細胞株のMNT−1細胞を、ウシ胎児血清が20%入っている最小必須培地(Minimum Essential Medium、MEM)に入れ、37℃、5%のCO条件下で育てた後、細胞数が各皿当たり1×10になるように60mm培養皿に敷いて、一晩中細胞が器壁にくっ付くことを待った後、前記実施例1で収得した高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを1μg/ml添加した同一の培地で交換した。このとき、比較のために、陰性対照群としては何も処理していないものを使用した。試料が入っている新しい培地は4日に1回ずつ交換し、細胞が皿に一杯になるまで総8日間培養した。細胞が完全に成長すると、溶解バッファー(1%のNP−40、50mMのTris−HCl;pH7.5、150mMのNaCl)を300μl処理してから細胞スクレーパーを使用してマイクロチューブに集めた後、15,000rpmで10分間遠心分離し、次いで、沈殿物を1NのNaOHに溶解させて450nmで吸光度を測定して、メラニン含有量を比較した。
【0093】
その結果、図3に示すように、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを処理していないMNT−1細胞に比べて、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを処理したMNT−1細胞においてメラニン含有量が有意に減少することが分かった(n=6、*:p<0.05)。
【0094】
実験例3.20mJ/cmのUVBを2回照射したヒト色素形成細胞で多様な濃度の高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを2週間処理した後のメラニン生成量の比較
ヒト初代色素形成細胞(human primary melanocyte、Life Technologies、CA、USA)をヒト色素形成細胞成長補充物(human melanocyte growth supplement(HMGS)、Gibco BRL、NY、USA)が添加されたM−254培地(Gibco BRL、NY、USA)に入れ、37℃、5%のCO条件下で育てた後、細胞数が2×10になるように100mm培養皿に敷いて、一晩中細胞が器壁にくっ付くことを待った後、20mJ/cmの強さのUVBを24時間置きに2回照射した。次いで、前記実施例1で収得した高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルがそれぞれ0.1μg/ml、1μg/ml、5μg/ml、10μg/mlの濃度で含まれた培地で4日に1回ずつ該培地を交換しながら2週間培養した。このとき、比較のために陽性対照群として、30μMのmelasolv、1μMのcompound K、2ppmの発酵サポニンを同じ方法で2週間処理してメラニン生成程度を測定した。陰性対照群としては、UVBを処理していない色素形成細胞とUVBを処理するが物質を処理していない色素形成細胞を同じ方法で培養した。2週間後、細胞を培養皿から引き剥がしてその数を数え、次いで、同数の細胞をマイクロチューブに集めた後、RIPA溶解バッファー(Millipore、20−188)を入れて細胞を壊し、13,500rpmで30分間遠心分離した。沈殿物を1NのNaOHに溶解させ、撮像してその色を比較し、450nmで吸光度を測定してメラニン含有量を比較した。
【0095】
その結果、図4に示すように、UVB処理によって増加したメラニンの量が、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルを1μg/ml以上処理したときに著しく減少することを確認した(*:p<0.05)。本明細書に係る高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルは、自社の代表的な美白素材であるmelasolvとcompound K、発酵サポニンに相応する美白効能を示した。また、各物質を処理したときのメラニン含有量の減少率を下表1に表した。
【0096】
【表1】
【0097】
実験例4.ヒト色素形成細胞に高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルと高麗人参の搾汁液を処理してから48時間後の細胞生存率の比較
ヒト初代色素形成細胞(human primary melanocyte、Life Technologies、CA、USA)をヒト色素形成細胞成長補充物(human melanocyte growth supplement(HMGS)、Gibco BRL、NY、USA)が添加されたM−254培地(Gibco BRL、NY、USA)に入れ、37℃、5%のCO条件下で育てた後、細胞数が0.7×10になるように24ウェルプレートに敷いて、一晩中細胞が器壁にくっ付くことを待った後、前記実施例1で収得した高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル(GEV)と高麗人参の搾汁液をそれぞれ1μg/ml、10μg/mlの濃度で含む培地と含まない培地(対照群)で交換し、48時間培養した。48時間が経過した後の細胞の生存率をwst−1(Roche Applied Science、Germany)溶液を用いて測定した。
【0098】
その結果、図5に示すように、細胞の生存率は、何も含まない培地(対照群)に比べ、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル(GEV)と高麗人参の搾汁液が1μg/mlの濃度で含まれたときにそれぞれ92%と86%を示し、また高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル(GEV)と高麗人参の搾汁液が10μg/mlの濃度で含まれたときには、対照群に比べ、それぞれ84%と65%を示した(*:p<0.05)。これにより、同じ濃度で処理したとき、高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルが、高麗人参の搾汁液に比べ、細胞毒性が低いことを確認した。
【0099】
実験例5.20mJ/cmのUVBを2回照射したヒト色素形成細胞に高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルと高麗人参の搾汁液を2週間処理した後のメラニン含有量の比較
ヒト初代色素形成細胞(human primary melanocyte、Life Technologies、CA、USA)をヒト色素形成細胞成長補充物(human melanocyte growth supplement(HMGS)、Gibco BRL、NY、USA)が添加されたM−254培地(Gibco BRL、NY、USA)に入れ、37℃、5%のCO条件下で育てた後、細胞数が2×10になるように100mm培養皿に敷いて、一晩中細胞が器壁にくっ付くことを待った後、20mJ/cmの強さのUVBを24時間置きに2回照射した。次いで、前記実施例1で収得した高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル(GEV)と高麗人参の搾汁液をそれぞれ1μg/ml、10μg/mlの濃度で含まれた培地で4日に1回ずつ該培地を交換しながら2週間培養した。対照群としてUVBを処理していない色素形成細胞とUVBを処理するが物質を処理していない色素形成細胞を同じ方法で培養した。2週後、細胞を培養皿から引き剥がしてその数を数え、次いで、同数の細胞をマイクロチューブに集めた後、RIPA溶解バッファー(Millipore、20−188)を入れて細胞を壊し、13,500rpmで30分間遠心分離した。次いで、沈殿物を1NのNaOHに溶解させて撮像してその色を比較し、450nmで吸光度を測定してメラニン含有量を比較した。
【0100】
その結果、表2及び図6に示すように、UVB処理によって増加したメラニンの量が高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル(GEV)や高麗人参の搾汁液を処理したときに著しく減少することを確認した(*:p<0.05、**:p<0.01)。しかし、高麗人参の搾汁液10μg/mlを処理した場合に細胞毒性が高くて用い難い点を考慮すると、本明細書に開示された高麗人参由来のエクソソーム様ベジクルのほうが、細胞毒性は少なく且つUVによるメラニン含有量の増加をより有効に減少させ得る物質であることが分かる。
【0101】
【表2】
【0102】
以下、本発明の一側面に係る組成物の剤形例を説明するが、他の種々の剤形への応用も可能であり、これは本発明を限定するためではない単に具体的に説明するためのものに過ぎない。
【0103】
[剤形例1]軟質カプセル剤
高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル50mg、L−カルニチン80〜140mg、大豆油180mg、パーム油2mg、植物性硬化油8mg、黄蝋4mg、及びレシチン6mgを混合し、通常の方法に従って、1カプセル当たり400mgずつ充填して軟質カプセル剤を製造した。
【0104】
[剤形例2]錠剤
高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル50mg、ガラクトオリゴ糖200mg、乳糖60mg、及び麦芽糖140mgを混合し、流動層乾燥機を利用して顆粒化した後、糖エステル(sugar ester)6mgを添加して、打錠機で打錠して錠剤を製造した。
【0105】
[剤形例3]顆粒剤
高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル50mg、無水結晶ブドウ糖250mg、及び澱粉550mgを混合し、流動層造粒機を使用して顆粒に成形した後、砲に充填して顆粒剤を製造した。
【0106】
[剤形例4]ドリンク剤
高麗人参由来のエクソソーム様ベジクル50mg、ブドウ糖10g、クエン酸0.6g、及び液状オリゴ糖25gを混合した後、精製水300mlを加えて各瓶に200mlずつ充填した。瓶に充填した後、130℃で4〜5秒間殺菌して、ドリンク剤飲料を製造した。
【0107】
[剤形例5]ローション
下記の表3に記載された組成にて通常の方法によりローションを製造した。
【0108】
【表3】
【0109】
[剤形例6]クリーム
下記の表4に記載された組成にて通常の方法によりクリームを製造した。
【0110】
【表4】
【0111】
[剤形例7]パック
下記の表5に記載された組成にて通常の方法によりパックを製造した。
【0112】
【表5】
【0113】
以上、本発明内容の特定の部分を詳しく記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単に好適な実施態様であるに過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明白であろう。したがって、本発明の実質的な範囲は添付の請求項とそれらのなど価物によって定義されるといえよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6