(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
デフェンシン:本明細書で使用される用語「デフェンシン」は、抗微生物ペプチドのデフェンシン系に属すると従来技術の当業者によって認識されるポリペプチドを指す。デフェンシンはα−デフェンシン系またはβ−デフェンシン系に属する。デフェンシンの例は、すべてα−デフェンシン系に属する、ヒト腸α−デフェンシン5(HD5、SEQ ID NO:8)、ヒトα−デフェンシン6(HD6、SEQ ID NO:9)、ヒト好中球ペプチド1(HNP−1)、ヒト好中球ペプチド2(HNP−2)、ヒト好中球ペプチド3(HNP−3);またはβ−デフェンシン系に属するヒトβ−デフェンシン1(hBD1、SEQ ID NO:4)、ヒトβ−デフェンシン2(hBD2、SEQ ID NO:5)、ヒトβ−デフェンシン3(hBD3、SEQ ID NO:6)、ヒトβ−デフェンシン4(hBD4、SEQ ID:NO.7)、チンパンジーβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:10)、マカクβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:11)、オランウータンβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:3)、マウスβ−デフェンシン3(SEQ ID NO: 12)、ウマβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:13)、ブタβ−デフェンシン1(SEQ ID NO:14)、ヤギβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:15)、ウシβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:1)、ニワトリβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:2)、ヒトカテリシジン由来のヒトLL37(SEQ ID NO:16)、および切り詰められたhBD2(SEQ ID NO:17)を含む。デフェンシンはグリコシル化され得、かつデフェンシンはタンパク質分解によって、より小さい生物活性フラグメントに切断され得る。グリコシル化デフェンシンおよびデフェンシンフラグメントもまた、本開示の範囲内に含まれる。
【0032】
デフェンシンは前駆体として発現され、シグナルペプチド、および場合によりプロペプチドの切断によってプロセスされ、その後細胞外空間へ分泌される。前述の特定配列は、予測される成熟生物活性デフェンシンを示す。プロセシングは細胞間で異なり得、かつ得られる分泌される成熟ペプチドは予測配列と1または2個のC−またはN−端アミノ酸によって異なるが依然として生物活性を保持し得ることが、従来技術の当業者によって理解されるであろう。
【0033】
消化管:消化管は、食物を消化器官に移動するために動物により使用される管であり、消化器官自体を含む。本明細書で使用されるヒト消化管は、口、食道、胃、十二指腸、空調、回腸、盲腸、結腸、直腸、および肛門管からなる消化器系を指す。いくつかの実施形態は、ヒト消化管の一部、特に口、食道、胃、十二指腸、空調、回腸、盲腸、結腸、直腸、および肛門管を指す。他の実施形態は、結腸を除くこれらのすべての部分を指す。本明細書で言及される反芻動物消化管は、口、食道、胃、十二指腸、空調、回腸、盲腸、結腸、直腸、および肛門管からなる消化管であるが、胃が4つの区画である反芻胃、第二胃、第三胃、および皺胃に分けられるという事実によって特徴付けられる。本明細書で言及される家禽消化管は、食道、胃、十二指腸、空調、回腸、盲腸、結腸、直腸、および肛門管からなる消化管であるが、胃が前胃または真胃および砂嚢に分けられるという事実によって特徴付けられる。いくつかの例では、素嚢と呼ばれる食道に沿った筋肉嚢が存在する。
【0034】
グルカゴン様ペプチド−1:GLP−1は神経ペプチドでありプログルカゴン遺伝子の転写産物に由来するインクレチンである。末梢におけるGLP−1の主な起源は腸L細胞であり、それはGLP−1を腸ホルモンとして分泌する。GLP−1の生物学的な活性型は、GLP−1−(7〜37)およびGLP−1(7〜36)NH2である。これらのペプチドはプログルカゴン分子の選択的切断から生じる。
【0035】
回腸L細胞によるGLP−1分泌は、小腸の腔での栄養物の存在に依存する。このホルモンの分泌促進物質(分泌を生じるまたは刺激する物質)は、炭水化物、タンパク質および脂質のような主栄養物を含む。循環血液中に入ると、GLP−1は酵素ジペプチジルペプチダーゼ−4による急速な分解のため、2分未満の半減期を有する。
【0036】
GLP−1は有力な抗高血糖ホルモンであり、グルコースの上昇に応答して膵臓のβ細胞を誘発してホルモンインスリンを放出し、一方でグルカゴン分泌を抑制する。このようなグルコース依存性作用は特に魅力的であり、それは血漿グルコース濃度が正常な空腹時範囲にあるときのインスリンの無調節な放出、または好機を逸したインスリン注射が、血糖の危険な低下−低血糖を生じ得るためである。これはGLP−1の結果としては発生せず、なぜならGLP−1は血糖量が空腹時範囲にある場合、もはやより多くのインスリンを放出するようβ細胞を刺激しないからである。さらに、GLP−1は胃液分泌および胃運動性を阻害する。これは炭水化物吸収を遅らせ延長し、満腹効果に寄与する。
【0037】
同一性:2つのアミノ酸配列間または2つのヌクレオチド配列間の関連性は、パラメータ「同一性」によって説明される。
2つのアミノ酸配列間の同一性の程度は、EMBOSSパッケージのニードルプログラム(Riceら,2000,http://emboss.org)、好ましくはバージョン3.0.0以降で実行されるようにニードルマン−ウンシュアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443−453)を用いて決定される。使用される任意のパラメータは、10のgap open penalty、0.5のgap extension penalty、およびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバーション)置換マトリックスである。ニードル標識された「最長同一性」(−nobreifオプションを用いて得られる)をパーセント同一性として使用し、
(同一残基×100)/(アラインメント長−アラインメントにおけるギャップの全数)
として計算する。
【0038】
赤肉成長促進:本明細書で使用される用語「赤肉成長促進」または「赤肉成長増強」は、体重の迅速だが赤肉増加が目的である肉生産業における、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、カモ、ガチョウ、ハト、シチメンチョウ、ウズラおよびニワトリなどの家畜または飼育動物の給餌を指す。
【0039】
家畜:ウシ、ウマ、家禽、および飼育使用のために維持される同様の動物。
【0040】
正常微生物叢:用語「正常微生物叢」は本明細書では、共生バランス失調性ではない微生物叢を示す。正常微生物叢は、多くの遺伝子および門の豊富さを有することによって特徴付けられる。正常微生物叢は、バクテロイデス、フェカリバクテリウム、ロゼブリア、ブラウチア、ルミノコッカス、コプロコッカス、ビフィドバクテリウム、メタノブレビバクター、ラクトバチルス、コプロコッカス、クロストリジウム、アッカーマンシア、ユーバクテリウム属に属する細菌を含むことによって特徴付けられる。
【0041】
治療:本明細書で使用される用語「治療」および「治療する」は、症状、疾患または障害に対抗する目的のための患者の管理および看護を指す。本用語は患者が有する対象症状のための治療の全範囲を含むと意図され、症状または合併症を軽減または緩和する;症状、疾患または障害の進行を遅らす;症状、疾患または障害を治すまたは消失させる;および/または症状、疾患または障害を予防する目的のための活性化合物の投与などが挙げられ、ここで「予防する」または「予防」は症状、疾患または障害の発症を妨げる、低下するまたは遅延させる目的のための患者の管理および看護を指すと理解されるべきであり、徴候または合併症の発症のリスクを防止または低下する活性化合物の投与を含む。治療されるべき患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。治療されるべき患者は様々な年齢であってよい。
【0042】
被験体、患者:被験体は本明細書で開示される哺乳動物または家禽の種の一つの個体である。患者は被験体であり、特定疾患が診断されている。
【0043】
哺乳動物および家禽のα−デフェンシンならびに哺乳動物および家禽のβ−デフェンシン
本開示は、消化管炎症、または結腸直腸癌、あるいは内分泌、栄養、代謝または心臓血管の疾患を含むが限定されない、本明細書で開示される徴候の治療における、デフェンシン、哺乳動物および家禽のα−および/またはβ−デフェンシン、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、マウス、サル、ウマ、およびニワトリ、シチメンチョウ、カモ、ダチョウ、ウズラ、ハトなどの家禽の、マウス、サルまたはヒトのβ−デフェンシン、より好ましくはヒト科、より好ましくはヒトのα−および/またはβ−デフェンシンの使用に関する。
【0044】
カテリシジンのLL37フラグメントも、本開示による使用のために考えられる。LL37はSEQ ID NO:16の配列を有する。
【0045】
特に好ましい実施形態により、デフェンシンはα−またはβ−デフェンシンである。
【0046】
一つの実施形態では、LL37、哺乳動物のα−および/またはβ−デフェンシンは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16および/またはSEQ ID NO:17のアミノ酸配列のいずれかと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の同一性の程度を有する。別の実施形態では、デフェンシンは、SEQ ID NO:1〜17の1つと、8個未満など、例えば5個未満、4個未満など、例えば3個未満、2個未満など、10個未満のアミノ酸が異なる。
【0047】
好ましい実施形態では、ヒトα−デフェンシンは、α−デフェンシン5(SEQ ID NO:8)および/またはα−デフェンシン6(SEQ ID NO:9)からなる。好ましい実施形態では、哺乳動物のβ−デフェンシンは、ヒトβ−デフェンシン1(SEQ ID NO:4)、ヒトβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:5)、ヒトβ−デフェンシン3(SEQ ID NO:6)、ヒトβ−デフェンシン4(SEQ ID NO:7)、および/または切り詰められたヒトβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:17)からなる。
【0048】
好ましい実施形態では、ヒトα−デフェンシンは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の同一性の程度を有する。好ましい実施形態では、ヒト哺乳動物のα−デフェンシンは、α−デフェンシン5(SEQ ID NO:8)からなる。好ましい実施形態では、ヒトβ−デフェンシンは、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の同一性の程度を有する。好ましい実施形態では、ヒトβ−デフェンシンは、ヒトβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:5)からなる。別の好ましいヒトβ−デフェンシンは、切り詰められたヒトβ−デフェンシン2(SEQ ID NO:17)である。切り詰められたhBD2(SEQ ID NO:17)はhBD2(SEQ ID NO:5)に匹敵する抗炎症性効果を有する(WO2013/026794)。
【0049】
ヒト以外の種では、被験体は好ましくは、同一のまたは関連する種由来のデフェンシン、あるいはその同一種由来のデフェンシン(例えばSEQ ID NO:1〜3および10〜15から選択されるアミノ酸配列を有するデフェンシン)のアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%を共有するデフェンシンによって治療される。例えば、家禽は同一または別の鳥類種由来のオルソロガスなデフェンシンで治療されてよい。
【0050】
さらに別の実施形態では、哺乳動物のα−デフェンシンは、ヒトα−デフェンシンおよび/またはマウスα−デフェンシン、ならびにそれらの機能的に同等な変異体からなる。好ましくは、哺乳動物のα−デフェンシンはヒトα−デフェンシンであり、それはヒトα−デフェンシン5、ヒトα−デフェンシン6およびそれらの機能的に同等な変異体からなり得る。より好ましくは、哺乳動物のα−デフェンシンはヒトα−デフェンシン5、およびその機能的に同等な変異体またはオルソログからなる。
【0051】
よりさらなる実施形態では、哺乳動物のβ−デフェンシンはヒトβ−デフェンシンおよび/またはマウスβ−デフェンシン、ならびにそれらの機能的に同等な変異体からなる。好ましくは、哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンは、ヒトβ−デフェンシン1、ヒトβ−デフェンシン2、ヒトβ−デフェンシン3、ヒトβ−デフェンシン4、チンパンジーβ−デフェンシン2、マカクβ−デフェンシン2、マウスβ−デフェンシン3、オランウータンβ−デフェンシン2、ウマβ−デフェンシン2、ブタβ−デフェンシン1、ヤギβ−デフェンシン2、ウシβ−デフェンシン2、ニワトリβ−デフェンシン2およびそれらの機能的に同等な変異体からなる。より好ましくは、哺乳動物のβ−デフェンシンは、ヒトβ−デフェンシン1、ヒトβ−デフェンシン2、ヒトβ−デフェンシン3、ヒトβ−デフェンシン4およびそれらの機能的に同等な変異体からなる。さらにより好ましくは、哺乳動物のβ−デフェンシンは、ヒトβ−デフェンシン2、およびその機能的に同等な変異体またはオルソログからなる。
【0052】
一つの実施形態では、本方法はこのような治療を必要とする被験体への、少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のα−デフェンシンの効果的な量の投与を含む。他の実施形態では、提供される方法は、このような治療を必要とする被験体への、少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンの効果的な量の投与を含む。さらなる実施形態では、提供される方法は、このような治療を必要とする被験体への、少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンの効果的な量の投与を含む。好ましい実施形態は、哺乳動物のα−デフェンシンHD5および/または哺乳動物のβ−デフェンシンhBD2の投与を提供する。
【0053】
哺乳動物(例えばヒト)または家禽のα−またはβ−デフェンシンの「機能的に同等な変異体」は、腸における微生物叢に対し親の哺乳動物(例えばヒト)または家禽のα−および/またはβ−デフェンシンとほとんど同一の効果を示す、改変された哺乳動物(例えばヒト)または家禽のαまたはβ−デフェンシンである。哺乳動物(例えばヒト)または家禽のデフェンシンの機能的に同等な変異体は、哺乳動物(例えばヒト)または家禽のデフェンシンアミノ酸配列と比べて、1〜5個のアミノ酸改変、好ましくは1〜4個のアミノ酸改変、より好ましくは1〜3個のアミノ酸改変、最も好ましくは1〜2個のアミノ酸改変、特に1個のアミノ酸改変を含み得る。好ましくは、哺乳動物β−デフェンシンについては、SEQ ID NO:5を有するヒトβ−デフェンシン2と比較される。
【0054】
用語「改変」は本明細書において、哺乳動物(例えばヒト)または家禽のデフェンシンの任意の化学的改変を意味する。改変は、アミノ酸の置換、欠失および/または挿入、ならびにアミノ酸側鎖の交換であってよく、あるいはアミノ酸配列における同様な特性を有する非天然アミノ酸の使用であってよい。特に改変は、C端のアミド化などの、アミド化であってよい。
【0055】
好ましくは、アミノ酸改変は些細な性質のものであり、ポリペプチドのフォールディングおよび/または活性にほとんど影響しない保存アミノ酸の置換または挿入;単一欠失;わずかなアミノ−またはカルボキシル−端伸長;あるいはポリ−ヒスチジンタグ、抗原エピトープまたは結合領域などの、正味荷電または別の機能を変化させることによって精製を容易にする、わずかな伸長である。一つの実施形態では、ポリ−ヒスチジンタグ、抗原エピトープまたは結合領域などのわずかな伸長は、最大で約20〜25個の残基の小リンカーペプチドによって哺乳動物(例えばヒト)または家禽のα−またはβ−デフェンシンに結合され、このリンカーは制限酵素切断部位を含み得る。
図2〜5におけるClustal Wアラインメントを使用して、どのアミノ酸残基がタンパク質の生物学的活性に大きな影響を及ぼすことなく置換され得るか予測できる。配列は、Clustal W2.1(http://www.geno,me.jp/tools/clustalw/)および以下の条件設定:Gap Open Penalty:10、Gap Extension Penalty:0,05、Weight Transition:NO、タンパク質の親水性残基:GPSNDQE、親水性ギャップ:あり、ウェイトマトリックス:BLOSUM(PROTEIN用)を用いて配列させた。以下のグループ(Clustal W,「強い」保存グループ)内の置換は保存的置換と考えられるべきである:
S,T,A;N,E,Q,K;N,H,Q,K;N,D,E,Q;Q,H,R,K;M,I,L,V;M,I,L,F;H,Y;F,Y,W。
以下のグループ(Clustal W,「弱い」保存グループ)内の置換は半保存的置換と考えられるべきである:
C,S,A;A,T,V;S,A,G;S,T,N,K;S,T,P,A;S,G,N,D;S,N,D,E,Q,K;N,D,E,Q,H,K;N,E,Q,H,R,K;V,L,I,M;H,F,Y。
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジンおよびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシンおよびバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン)、および小さいアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニンおよびメチオニン)のグループ内でなされる置換である。一般的に比活性を変えないアミノ酸置換は、従来技術で知られており、例えば、NeurathおよびHill(1979)によって報告されている。最も一般的に生じる交換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、およびAsp/Glyである。
【0056】
20種の標準アミノ酸に加え、非標準アミノ酸(4−ヒドロキシプロリン、6−N−メチルリジン、2−アミノイソブチル酸、イソバリン、およびα−メチルセリンなど)が野生型ポリペプチドのアミノ酸残基と置換され得る。限られた数の非保存的アミノ酸、遺伝子コードによってコードされないアミノ酸、および非天然アミノ酸が、アミノ酸残基と置換され得る。「非天然アミノ酸」はタンパク質合成後に改変されており、および/またはそれらの側鎖で標準アミノ酸のものとは異なる化学的構造を有する。非天然アミノ酸は化学的に合成でき、好ましくは市販されており、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、3−および4−メチルプロリン、ならびに3,3−ジメチルプロリンを含む。
【0057】
哺乳動物または家禽のα−および/またはβ−デフェンシン中の必須アミノ酸は、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発などの、従来技術で知られている手段によって特定できる(Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081−1085)。後者の技術では、単一アラニン変異が分子中のすべての残基で導入され、得られる変異分子を生物学的活性について試験して(すなわち、炎症性大腸疾患に対する活性および/またはTNF−α活性の抑制)、分子の活性に重要であるアミノ酸残基を特定する。Hilton et al.,1996,J.Biol.Chem.271:4699−4708も参照する。必須アミノ酸の特定はまた、哺乳動物または家禽のα−および/またはβ−デフェンシンと関連するポリペプチドとの同一性の分析からも推測できる(
図2〜5におけるClustal Wアラインメントを参照)。
【0058】
単一または複数アミノ酸置換は変異形成、組換え、および/またはシャフリング、それに続く関連スクリーニング手段の既知の方法を用いて作製および試験でき、方法はReidhaar−Olson and Sauer,1988,Science241: 53−57、Bowie and Sauer,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:2152−2156、WO95/17413、またはWO95/22625によって公表されるものなどである。使用できる他の方法は、エラープローンPCR、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al.,1991,Biochem.30:10832−10837、米国特許第5,223,409号、WO92/06204)、および領域特異的変異形成(Derbyshire et al.,1986,Gene46:145、Ner et al.,1988,DNA7:127)を含む。
【0059】
所定の置換の結果が確信をもって予測できない場合、誘導体を本明細書における前述の方法に従って容易に測定して、生物学的活性の有無を決定し得る。
【0060】
本明細書で開示されるデフェンシンはグリコシル化に供されてよい。さらに、自然に発生するデフェンシンは、タンパク質分解処理に供され、小さい生物活性フラグメントへと切断され得ることは従来技術で知られている。グリコシル化デフェンシンおよびデフェンシンの生物活性フラグメントは本開示内に含まれる。
【0061】
さらに、デフェンシンの誘導物質が本開示の範囲内に含まれる。例えばビタミンDおよび大腸菌Nissleはデフェンシンの分泌を誘発でき、そのため本明細書で説明される徴候を治療するために使用できることは従来技術で知られている。
【0062】
α−およびβ−デフェンシンの組み合わせ
一つの態様では、少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンを含む組成物が提供される。例1および3で実証されるように、α−およびβ−デフェンシンは経口によって投与できる。例示的なα−デフェンシンであるHD5は、特に異所性脂質蓄積を低下し、例示的なβ−デフェンシンであるhBD2は、特に糖調節経路を改善する。従って、α−およびβ−デフェンシンの組み合わせは、本明細書で説明されるような肥満および内分泌徴候の特に効果的な治療をもたらし得る。
【0063】
哺乳動物のα−デフェンシンは、HD5およびHD6からなる群から選択され得、少なくとも1種類の哺乳動物のβ−デフェンシンは、hBD1、hBD2、hBD3およびhBD4から選択され得る。
【0064】
好ましくは、本組成物はHD5およびhBD2を含む。
【0065】
本組成物はさらに医薬品として許容可能な賦形剤を含み、無菌であり、無菌の等張溶液として製剤化され得る。
【0066】
α−およびβ−デフェンシン間の配分は、任意の配分であり得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、モル濃度ベースまたは重量ベースまたはmg/mLベースに基づいて、少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンを基本的に等量で含む。
【0067】
長期作用デフェンシン
α−またはβ−デフェンシンの半減期は、α−またはβ−デフェンシンを別の分子と融合または共役体化する、すなわちα−またはβ−デフェンシンのインビボでの血漿半減期を付与する医薬品として許容可能な分子に連結された長期作用性の生物学的に活性なα−またはβ−デフェンシンを構築することによって延長され得、それはα−またはβ−デフェンシンとして同様な方式で投与されるα−またはβ−デフェンシンのインビボでの血漿半減期と比べて著しく増加される。
【0068】
長期作用性の生物学的に活性なα−またはβ−デフェンシンは、哺乳動物新生児Fc受容体、トランスフェリンまたはnが8〜22であるCH3(CH2)nCO−またはポリマーに結合する分子から選択される医薬品として許容可能な分子に連結された哺乳動物のα−デフェンシンまたはそのアナログあるいは哺乳動物のβ−デフェンシンまたはそのアナログを含む。α−またはβ−デフェンシン作用剤は非哺乳動物起源のものであってもよく、小さい有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質から選択され得る。α−またはβ−デフェンシン作用剤は従来技術の文献で報告されている様々な方法で、医薬品として許容可能な分子に連結され得、限定されないが、二官能性リンカーによる化学的結合、α−デフェンシンまたはβ−デフェンシンなどのデフェンシンのN端またはC端を、アルブミンまたはアルブミンアナログなどの医薬品として許容可能な分子に結合させることによる遺伝子技術的なものが挙げられる。特に、ヒトアルブミンなどのアルブミンまたはアルブミンアナログのN端は、α−デフェンシンまたはβ−デフェンシンのC端、あるいはα−デフェンシンまたはβ−デフェンシンのN端に結合でき;あるいはヒトアルブミンなどのアルブミンのC端は、α−デフェンシンまたはβ−デフェンシンのC端、あるいはα−またはβ−デフェンシンのN端に結合できる。リンカー配列は、アルブミンとα−またはβ−デフェンシン鎖の間に挿入できる。α−またはβ−デフェンシン作用剤は、安定なリンカーまたはより不安定なリンカーを介して医薬品として許容可能な分子に連結され得る。いくつかのリンカーは従来技術で知られており、二官能性PEG分子(例えば、Paige et.al.,Pharmaceutical Research,vol.12,no.12,1995)、加水分解可能なリンカー(Shechter et al.,Bioconjugate Chem.2005,16:913− 920、およびInternational Journal of Peptide Research and Therapeutics,Vol.13,Nos.1−2,June 2007、ならびにW02009095479)、W02010092135などを参照するPDPHおよびEMCHを含む。α−またはβ−デフェンシン作用剤の医薬品として許容可能な分子への化学的共役体化(2つ以上の分子の連結)が機能的なα−またはβ−デフェンシン活性を強く低下させる特定の場合では、機能的なα−またはβ−デフェンシン作用剤を放出できる、より不安定なリンカーを使用することが好ましいことであり得る。
【0069】
半減期延長はまた、リジンに対するγ−L−グルタミルスペーサーなどのスペーサーおよびC−18脂肪二酸鎖によるペプチド骨格のアシル化によって実施され得る。脂肪二酸部位鎖およびスペーサーは、アルブミンへの強いが可逆的な結合を仲介し、注入部位からの放出を遅らせ、腎クリアランスを低下させる。
【0070】
方法および使用
例4で実証されるように、GLP−1アナログであるリラグルチドの投与は、高脂肪食を与えられた肥満マウスにおける微生物叢に変化をもたらす。変化は、より健全なまたは正常な微生物叢に向かい、なかんずく、単鎖脂肪酸の産生に都合が良い細菌種の増加を伴う。従って、本発明者らは、GLP−1またはGLP−1アナログの投与による共生バランス失調化微生物叢の処置および本明細書で説明される他の使用を考えている。
【0071】
好ましくは、GLP−1またはGLP−1アナログは、皮下または筋肉内投与のいずれかによって非経口的に投与される。GLP−1アナログは、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、およびデュラグルチドから選択され得る。
【0072】
ヒトα−デフェンシン5およびヒトβ−デフェンシン2は、腸における正常な微生物叢を維持または安定化でき、そしてさらに腸における共生バランス失調化微生物叢を処置または正常化できることが認められており、このため、結腸直腸癌、消化管炎症、内分泌、栄養、代謝または心臓血管の疾患の治療用医薬品として、または赤肉成長促進物質として効能のある活性を示す。従って、一つの態様は、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンの効果的な量を投与することによる一般的に消化管炎症の治療のための、あるいは結腸直腸癌、内分泌、栄養、代謝または心臓血管の疾患の治療のための方法を提供する。このような疾患の例は、1型糖尿病、2型糖尿病、メタボリック症候群、全身性低度炎症、肥満、インスリン耐性、グルコース不耐性および心臓血管疾患である。
【0073】
特に、HD5およびhBD2がインスリン耐性を治療するために使用され、インスリン感受性および耐糖能を改善し、ならびに肥満を治療または予防できることが示されている。HD5は特に異所性脂質累積を低下し得、一方、hBD2は特にグルコース調節効率を改善し得る。
【0074】
肥満の予防または体重低下の誘発または体重増加の防止は好ましくは、内臓脂肪の蓄積の低下または防止、脂肪割合増加の低下または防止、あるいは腹囲増加の低下または防止を含む。
【0075】
提供される方法は、細菌表現型を転写レベルでの変化を通して変えることにより、ならびに本明細書で説明される症状の一つに罹患している被験体の腸内細菌叢の構成および組成を変えることによって消化管炎症を治療または予防できる。
【0076】
提供される方法は、腸内微生物叢の構成および組成、かつしたがって本明細書で説明される症状の一つに罹患している被験体のメタボロームを変えることによって、結腸直腸癌、内分泌、栄養、代謝または心臓血管の疾患を治療できる。
【0077】
一つの態様は、ヒトにおける消化管炎症の治療のための方法を提供し、ここで炎症は動物の口、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸、および/または肛門管に局在しており、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンの効果的な量を投与することによる。好ましくは、デフェンシンはヒトα−デフェンシンである。別の好ましい実施形態では、デフェンシンはヒトβデフェンシン、好ましくはhBD2であり、炎症は口、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、直腸、および/または肛門管で低下される。
【0078】
一つの態様は、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよびβ−デフェンシンの効果的な量を投与することによる消化管炎症の治療のための方法を提供する。
【0079】
一つの態様は、腸における正常な微生物叢を安定化または維持するための方法を提供する。別の態様は、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンおよび/またはGLP−1/GLP−1アナログの効果的な量を投与することによる腸における共生バランス失調化微生物叢の処置または正常化のための方法を提供する。
【0080】
さらなる態様は、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンおよび/またはGLP−1/GLP−1アナログの効果的な量を投与することによる腸内微生物叢の遺伝子の豊富さを増加するための方法を提供する。
【0081】
一つの態様は、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンおよび/またはGLP−1/GLP−1アナログの効果的な量を投与することによる腸内微生物叢の門数を増加するための方法を提供する。
【0082】
一つの態様は、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンおよび/またはGLP−1/GLP−1アナログの効果的な量を投与することによる腸内微生物叢からのブチル酸産生を増加するおよび/または酢酸産生を低下するための方法を提供する。
【0083】
一つの態様は、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンおよび/またはGLP−1/GLP−1アナログの効果的な量を投与することによる腸内微生物叢からの単鎖脂肪酸産生の産生を増加するための方法を提供する。
【0084】
いくつかの態様は、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンおよび/またはGLP−1/GLP−1アナログの効果的な量を投与することによる腸内微生物叢におけるバクテロイデス、フェカリバクテリウム、ロゼブリア、ブラウチア、ルミノコッカス、コプロコッカス、ビフィドバクテリウム、メタノブレビバクター、ラクトバチルス、クロストリジウム、アロバキュラム、アロプレボテラ、アッカーマンシア、ユーバクテリウムからなる群から選択される属に属する細菌の数を増加するための方法を提供する。好ましくは、細菌はアロバキュラム、アロプレボテラ、アッカーマンシア、またはラクトバチルスである。
【0085】
好ましい実施形態では、バクテロイデス・ブルガタス、バクテロイデス・カッカエ、フェカリバクテリウム・プラウスニッツイ、ロゼブリア・インテスチナリス、ブラウチア・ハンセニイ、ルミノコッカス・グナバス、コプロコッカス・コメス、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ボルテアエ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、ビフィドバクテリウム・デンタム、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・プランタルム、アッカーマンシア・ムシニフィラ、ユーバクテリウム・レクタレからなる群から選択される細菌の数を増加するための方法が提供される。提供される方法は、健全な消化管微生物叢の典型である細菌の数を増加する。
【0086】
一つの態様は、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンおよび/またはGLP−1/GLP−1アナログの効果的な量を投与することによる腸内微生物叢におけるバクテロイデス・フラギリス、ステレラ・ワーズワーシア、ベイロネラ・パルブーラ、エシェリシア・コリ、ヘモフィルス・パラインフルエンザ、フソバクテリウム・ヌクレアタム、エイケネラ・コロデンス、ジェミラ・モリビラムからなる群から選択される属に属する細菌の数を低下するための方法を提供する。提供される方法は、治療を必要とする被験体の腸における共生バランス失調化微生物叢の典型である細菌の数を低下する。
【0087】
従って、好ましい実施形態において開示される方法を用いて治療できる、説明される腸炎症、結腸直腸癌、内分泌、栄養、代謝または心臓血管の疾患は、治療を必要とする患者の腸における共生バランス失調化微生物叢によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、開示される方法によって提供される治療を必要とする被験体の腸における共生バランス失調化微生物叢は、低い遺伝子豊富さを有する。他の実施形態では、開示される方法によって提供される治療を必要とする被験体の腸における共生バランス失調化微生物叢は、少ない門数を有する。他の実施形態では、開示される方法によって提供される治療を必要とする被験体の腸における共生バランス失調化微生物叢は、微生物叢による酢酸産生増加を有する。開示される方法によって、増加した酢酸産生はブチル酸産生を優先して低下され得る。
【0088】
好ましい実施形態では、開示される方法によって提供される治療を必要とする被験体の腸における共生バランス失調化微生物叢は、バクテロイデス、フェカリバクテリウム、ロゼブリア、ブラウチア、ルミノコッカス、コプロコッカス、ビフィドバクテリウム、メタノブレビバクター、ラクトバチルス、クロストリジウム、アロバキュラム、アロプレボテラ、アッカーマンシア、およびユーバクテリウムからなる群から選択される属に属する細菌の少ない数を有する。さらに好ましい実施形態では、開示される方法によって提供される治療を必要とする被験体の腸における共生バランス失調化微生物叢は、バクテロイデス・ブルガタス、バクテロイデス・カッカエ、フェカリバクテリウム・プラウスニッツイ、ロゼブリア・インテスチナリス、ブラウチア・ハンセニイ、ルミノコッカス・グナバス、コプロコッカス・コメス、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ボルテアエ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、ビフィドバクテリウム・デンタム、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・プランタルム、アッカーマンシア・ムシニフィラ、ユーバクテリウム・レクタレからなる群から選択される細菌の少ない数を有する。さらなる実施形態では、治療を必要とする被験体の腸における共生バランス失調化微生物叢は、バクテロイデス・フラギリス、ステレラ・ワーズワーシア、ベイロネラ・パルブーラ、エシェリシア・コリ、ヘモフィルス・パラインフルエンザ、フソバクテリウム・ヌクレアタム、エイケネラ・コロデンス、ジェミラ・モリビラムからなる群から選択される細菌の多い数を有する。
【0089】
好ましい実施形態で開示される方法は、少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/または少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンおよび/または少なくとも1種類のGLP−1/GLP−1アナログの投与によって、共生バランス失調化微生物叢およびメタボロームを処置できる。
【0090】
開示される方法は、抗生物質治療または化学療法または免疫療法または免疫抑制療法または腸内微生物叢に負の影響を有する別の治療が実施された、および/または実施されている被験体の腸における共生バランス失調化微生物叢および/またはメタボロームの処置、予防または正常化のために使用できる。
【0091】
開示される方法はまた、歯肉炎を含む歯周炎を有する被験体などの被験体の口腔における共生バランス失調化微生物叢の処置、予防または正常化のために使用できる。歯周炎は喫煙およびストレスによって引き起こされかつ、例えば化学療法、免疫療法および免疫抑制療法による、薬物誘導性でもあり得る。
【0092】
開示される方法によって提供される治療を必要とする被験体は、消化管炎症または結腸直腸癌あるいは内分泌、栄養、代謝または心臓血管の疾患に罹患している。一つの実施形態では、本治療を必要とする被験体は、30以上などの、例えば35以上など、40以上などの、25以上のBMIを有する。別の実施形態では、本治療を必要とする被験体は、例えば0.80〜0.84、少なくとも0.85(女性)または少なくとも0.90など、例えば0.9〜0.99、1.00(男性)を超えるなどの、少なくとも0.80のウェスト/ヒップ比を有する。さらなる実施形態では、本治療を必要とする被験体は、例えば少なくとも7.0mmol/Lの、少なくとも6.1mmol/Lの空腹時血糖を有する。なおさらなる実施形態では、本治療を必要とする被験体は、42〜46mmol/molHbなど、少なくとも48mmol/molHbなど、少なくとも42mmol/molHbなどの糖化ヘモグロビン(HbA
1C)量を有する。
【0093】
開示される方法によって提供される治療を必要とする被験体は、以下の徴候:
・高血圧:≧140/90mmHg、
・脂質異常:トリグリセリド(TG)≧1.695mmol/Lおよび高比重リポタンパク質コレステロール(HDL−C)≦0.9mmol/L(男性)、≦1.0mmol/L(女性)、
・中心性肥満:ウェスト:ヒップ比>0.90(男性)、>0.85(女性)、もしくは肥満度指数>30kg/m
2、ならびに
・微量アルブミン尿:尿中アルブミン排泄比≧20μg/分もしくはアルブミン:クレアチニン比≧30mg/g、
の1つまたは複数を示し得る。
【0094】
一つの実施形態では、開示される方法による、少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/または少なくとも1種類の哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンの投与は、一般的に経口である。
【0095】
哺乳動物または家禽のα−またはβ−デフェンシンは、いずれかの標準的な経路による投与用に製剤化された組成物中で治療的に使用できる。一つの態様では、哺乳動物または家禽のα−および/またはβ−デフェンシンは経口によって投与される。ヒトβ−デフェンシン2は、結腸における炎症性大腸疾患を治療するために経口によって投与できることが知られている。本発明者らは驚くべきことに、ヒトα−デフェンシンであるHD5も経口によって投与でき、酸性の胃を通るにも関わらず、それは消化管でその生物活性を維持することを実証した。経口投与は通常、腸内薬剤送達用であり、一方、薬剤は腸粘膜を通して送達される。しかし、本発明者らによって実証されるように、hBD2は検出可能な程度には消化管から吸収されない。他のデフェンシンも消化管から吸収されないことが予想される。
【0096】
一つの実施形態では、哺乳動物および家禽のα−またはβ−デフェンシンは皮下に投与される。特に、hBD2およびHD5は皮下に投与され得ると考えられる。
【0097】
いくつかの実施形態では、好ましい実施形態の組成物は、凍結乾燥品として、および再水和化の後に安定性をもたらす適切な賦形剤を使用して凍結乾燥品として製剤化されてよい。
【0098】
ヒトα−デフェンシンおよび/またはヒトβ−デフェンシンなどの、哺乳動物のα−デフェンシンおよび/または哺乳動物のβ−デフェンシンを含む医薬または動物食餌組成物は、従来の方法により、例えば、混合する、顆粒化する、コーティングする、溶解するまたは凍結乾燥する工程によって、製造できる。好ましい実施形態では、哺乳動物のα−および/または哺乳動物のβ−デフェンシンを含む医薬組成物は、無菌の等張溶液として製剤化される。
【0099】
提供される医薬組成物は、一つの実施形態では、少なくとも1種類の哺乳動物のα−デフェンシンを含む。哺乳動物のα−デフェンシンの例はHD5およびHD6である。好ましい実施形態では、組成物は哺乳動物のα−デフェンシンHD5を含む。医薬組成物は、別の実施形態では、少なくとも1種類の哺乳動物のβ−デフェンシンを含む。哺乳動物のβ−デフェンシンの例はhBD1、hBD2、hBD3およびhBD4である。好ましい実施形態では、組成物は哺乳動物のβ−デフェンシンhBD2を含む。医薬組成物は、さらなる実施形態では、少なくとも1種類の哺乳動物のα−デフェンシンおよび少なくとも1種類の哺乳動物のβ−デフェンシンを含む。哺乳動物のα−デフェンシンの例はHD5およびHD6である。哺乳動物のβ−デフェンシンの例はhBD1、hBD2、hBD3およびhBD4である。好ましい実施形態では、組成物は哺乳動物のα−デフェンシンHD5および哺乳動物のβ−デフェンシンhBD2を含む。他の実施形態では、組成物または食餌組成物は、SEQ ID NO:1〜3および10〜17から選択されるアミノ酸配列ならびに本明細書で定められる配列変異体およびフラグメントを有するデフェンシンから選択される1種類以上の非ヒトデフェンシンを含む。
【0100】
好ましい実施形態の医薬組成物は、ヒトα−デフェンシンおよびヒトβ−デフェンシンなどの、哺乳動物のα−デフェンシンおよび/または哺乳動物のβ−デフェンシン、ならびに医薬品として許容可能な担体および/または希釈剤を含む。
【0101】
医薬品および動物食餌として許容可能な担体および/または希釈剤は、従来技術の当業者に良く知られている。液体溶液として製剤化される組成物については、許容可能な担体および/または希釈剤は生理食塩水および無菌水を含み、任意に抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および他の一般的な添加物を含み得る。
【0102】
開示される化合物は、経口投与用の幅広い様々な製剤で製剤化され得る。固体剤形調製物は、粉末、錠剤、ドロップ、カプセル、カシェ、舐剤、および分散可能な顆粒を含み得る。経口投与に適した他の剤形は、エマルション、シロップ、エリキシル、水性溶液、水性懸濁液、歯磨き粉、歯磨きゲル、チューインガムを含む液体剤形調製物、あるいは溶液、懸濁液、およびエマルションなどの、液体剤形調製物へと使用直前に変換されることが意図される固体剤形調製物を含み得る。
【0103】
開示される化合物は、皮下投与用の幅広い様々な剤形で製剤化され得る。
【0104】
製剤は、(哺乳動物のα−デフェンシンおよび/または哺乳動物のβ−デフェンシン、および他の任意の有効成分に加えて)担体、増量剤、崩壊剤、流動調整剤、糖および甘味料、香料、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、溶解剤、浸透圧を調節するための塩、緩衝剤、希釈剤、分散化および界面活性剤、結合剤、滑剤、および/または他の従来技術で知られている医薬品用賦形剤を含んでよい。
【0105】
本技術の当業者はさらに、哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンを適切な方式、ならびにRemington’s Pharmaceutical Sciences(レミントンの薬学),Gennaro(1990)に記載されるもののような容認された実施法に従って製剤化し得る。
【0106】
ヒトα−デフェンシンおよびヒトβ−デフェンシンなど、哺乳動物のα−デフェンシンおよび哺乳動物のβ−デフェンシンは、単独で、あるいは1種、2種、またはそれより多い他の医薬化合物または薬剤物質とともに、例えばインスリン/インスリンアナログおよび/またはグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)/GLP−1アナログおよび/またはグルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)/GLP−2アナログおよび/またはジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤および/またはメトホルミンおよび/またはナトリウム・グルコース共輸送体−2(SGLT−2)阻害剤、および/またはグルカゴン受容体拮抗剤および/または一過性受容体電位カチオンチャネルサブファミリーVメンバー1(TRPV1)拮抗剤などと、および/または1種類以上の医薬品として許容可能な賦形剤とともに併用療法で使用できる。好ましくは、インスリンまたはインスリンアナログまたはGLP−1またはGLP−1アナログは、皮下または筋肉内投与のいずれかによって非経口的に投与される。GLP−1アナログはエキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、およびデュラグルチドから選択され得、インスリンアナログはリスプロ、アスパルト、グルリシン、デテミルインスリン、デグルデクインスリン、およびグラルギンインスリンから選択され得る。
【0107】
ヒトα−デフェンシンおよびヒトβ−デフェンシンなどの、哺乳動物のα−デフェンシンおよび哺乳動物のβ−デフェンシンはまた、化学療法、免疫療法、放射線療法またはこれらの組み合わせのいずれかとの併用療法で使用され得る。
【0108】
家畜における方法および使用
本明細書で開示される方法を家畜で使用してそれらの成長速度および食餌効率を改善できる。本方法は、例えば、抗生物質の代替として使用できる。
【0109】
一つの態様は、非ヒト動物における消化管炎症の治療のための方法を提供し、このような治療を必要とする被験体に哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンの効果的な量を投与することによる。
【0110】
別の態様は動物肉生産における赤肉成長の促進のための方法に関し、本方法は、この方法を必要とする被験体への哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/またはβ−デフェンシンの効果的な量の投与を含む。デフェンシンはホルモン、ステロイドおよび抗生物質の代替として使用できる。例1および3で実証されるように、高脂肪食で給餌されるマウスへのHD5およびhBD2の投与は、脂肪量の蓄積を防止するので赤肉成長を促進する。
【0111】
インビトロ合成
哺乳動物および家禽のα−デフェンシンならびに哺乳動物および家禽のβ−デフェンシンは、従来技術で知られている標準的な方法を用いて、インビトロ合成によって調製し得る。様々な市販の合成装置が利用可能であり、例えばApplied Biosystems Inc.,Beckmanなどの自動合成装置である。合成装置を用いることによって、天然由来アミノ酸を非天然アミノ酸で、特に、D−アラニンおよびD−イソロイシンなどのD−アイソマー(またはD−型)、ジアステレオアイソマー、異なる長さまたは官能性を有する側鎖などで置換できる。特定の配列および調製方法は、利便性、経済性、要求される純度などによって決定される。
【0112】
化学的連結は、アミドまたは還元的アミノ化などの置換アミン形成のためのアミノ基、チオエーテルまたはジスルフィド形成のためのチオール基、アミド形成のためのカルボキシル基などの、結合に都合がよい官能性を含む様々なペプチドまたはタンパク質に付与され得る。
【0113】
必要に応じて、様々な基が合成の際または発現の際にペプチドに導入され得、それは他の分子へのまたは表面への連結を可能にする。このためシステインがチオエーテルを得るために、ヒスチジンが金属イオン錯体への連結のために、カルボキシル基がアミドまたはエステルを形成するために、アミノ基がアミドを形成するために使用できる、などである。
【0114】
哺乳動物および家禽のα−デフェンシンならびに哺乳動物および家禽のβ−デフェンシン、あるいはこれらの機能的同等物はまた、組換え合成の標準的な技術によって分離および精製できる。組換え合成は、適切な発現ベクターおよび真核生物発現系を用いて実施し得る。溶液が発現ホストおよび培地から調製され、存在するデフェンシンがHPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、または他の精製技術を用いて精製され得る。大腸菌におけるヒトβ−デフェンシン2の組換え発現に関する方法がWO2010/007166(Novozymes)に開示されている。
【0115】
投与量
ヒトα−デフェンシンおよびヒトβ−デフェンシンなどの哺乳動物のα−デフェンシンおよび哺乳動物のβ−デフェンシンは好ましくは、消化管炎症、結腸直腸癌、内分泌、栄養、代謝または心臓血管の疾患を治療するのに効果的である量で医薬組成物中で使用され、好ましくは患者に対する許容可能な毒性を有する。哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンは好ましくは、赤肉成長を促進するために動物食餌に加えられる。ヒトα−デフェンシンおよびヒトβ−デフェンシンなどの、哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび哺乳動物または家禽β−デフェンシンはまた、腸における正常微生物叢組成を維持するのに、あるいは腸における共生バランス失調化微生物叢を処置または正常化するのに効果的である量で医薬組成物中または動物食餌中で使用され、好ましくは治療を必要とする患者または動物に対し許容可能な毒性を有する。
【0116】
このような治療では、適切な投与量はもちろん、例えば、使用される化合物の化学的性質および薬理動態データ、個別ホスト、投与方式ならびに治療される症状の性質および重篤度に応じて変化する。本明細書で使用される用語「mg HD5当量」は、HD5の濃度と比較したヒトα−およびβ−デフェンシンの等モル濃度を指す。用語「mg hBD2当量」は、hBD2の濃度と比較したヒトα−およびβ−デフェンシンの等モル濃度を指す。開示されるデフェンシンの分子量が同等な場合、用語「mg HD5当量」および「mg hBD2当量」は使用されるデフェンシンのmgを単に意味し得る。
【0117】
しかし一般的に、哺乳動物または家禽、例えばヒトにおける満足のいく結果では、ヒトα−デフェンシンの指示される一日投与量は、約0.1〜約10mg HD5当量/kg体重、より好ましくは約0.5〜約10mg HD5当量/kg体重、約1〜約10mg HD5当量/kg体重など、より好ましくは約1.2〜約10mg HD5当量/kg体重、好ましくは約1.2〜約5mg HD5当量/kg体重、さらにより好ましくは1.2mg HD5当量/kg体重であり、例えば、分割された用量で1日に最大1、2または3回投与される。
【0118】
一つの実施形態では、ヒトβ−デフェンシンの指示される一日投与量は、好ましくは約0.1〜約10mg hBD2当量/kg体重、より好ましくは約0.5〜約10mg hBD2当量/kg体重、1〜10mg hBD2当量/kg体重など、より好ましくは約1.2〜約10mg hBD2当量/kg体重、好ましくは約1.2〜約5mg hBD2当量/kg体重、さらにより好ましくは1.2mg hBD2当量/kg体重であり、例えば、分割された用量で1日に最大1、2または3回投与される。
【0119】
一つの実施形態では、ヒトβ−デフェンシンと併用するヒトα−デフェンシンの指示される一日投与量は、好ましくは約0.1〜約10mg hBD2当量/kg体重、より好ましくは約0.5〜約10mg hBD2当量/kg体重、1〜10mg hBD2当量/kg体重など、より好ましくは約1.2〜約10mg hBD2当量/kg体重、好ましくは約1.2〜約5mg hBD2当量/kg体重、さらにより好ましくは1.2mg hBD2当量/kg体重であり、例えば、分割された用量で1日に最大1、2または3回投与される。
【0120】
一般的に、哺乳動物、例えばヒトでは、ヒトα−デフェンシンの指示される一日投与量は、好ましくは約0.1〜約10mg HD5/kg体重、より好ましくは約0.5〜約10mg HD5/kg体重、約1〜約10mg HD5/kg体重など、より好ましくは約1.2〜約10mg HD5/kg体重、好ましくは約1.2〜約5mg HD5/kg体重、さらにより好ましくは1.2mg HD5/kg体重であり、例えば、分割された用量で1日に最大1、2または3回投与される。同様な投与量が、他のα−デフェンシンについて使用できる。
【0121】
一つの実施形態では、ヒトβ−デフェンシンの指示される一日投与量は、好ましくは約0.1〜約10mg hBD2/kg体重、より好ましくは約0.5〜約10mg hBD2/kg体重、1〜10mg hBD2/kg体重など、より好ましくは約1.2〜約10mg hBD2/kg体重、好ましくは約1.2〜約5mg hBD2/kg体重、さらにより好ましくは1.2mg hBD2/kg体重であり、例えば、分割された用量で1日に最大1、2または3回投与される。同様な投与量が、他のβ−デフェンシンについて使用できる。
【0122】
ヒトβ−デフェンシンと併用するヒトα−デフェンシンの指示される一日投与量は、好ましくは約0.1〜約10mgデフェンシン/kg体重、より好ましくは約0.5〜約10mgデフェンシン/kg体重、約1〜約10mgデフェンシン/kg体重など、より好ましくは約1.2〜約10mgデフェンシン/kg体重、好ましくは約1.2〜約5mgデフェンシン/kg体重、さらにより好ましくは1.2mgデフェンシン/kg体重であり、例えば、分割された用量で1日に最大1、2または3回投与される。
【0123】
2種の異なるデフェンシンが1回投与量で投与されるとき、投与量は重量ベースまたはモルベースで測定される等量のまたはほぼ等量の2種のデフェンシンを含み得る。比はまた、β−デフェンシンに対するα−デフェンシンの比が重量またはモルベースで測定されたときに5:1〜1:5など、例えば2:1〜1:2など、10:1〜1:10で変化するように異なり得る。
【0124】
一日投与量は、0.6mg HD5/kg体重および0.6mg hBD2kg/体重に相当してよい。
【0125】
好ましい実施形態の化合物は、哺乳動物または家禽、例えば、ヒト、子ブタまたは子ウシに、従来の使用と同様な投与方式によって同様な投与量で投与できる。
【0126】
特定の実施形態では、好ましい実施形態の医薬組成物または動物食餌組成物は、ヒトα−デフェンシンおよび/またはヒトβ−デフェンシンなどの、哺乳動物または家禽のα−デフェンシンおよび/または哺乳動物または家禽のβ−デフェンシンを、単位投与量剤形あたり、約0.5mg以下〜約1500mg以上、好ましくは約0.1、0.3、0.5、0.6、0.7、0.8、または0.9mg〜約150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000mg以上、より好ましくは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または25mg〜約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mgの量で含んでよい。しかし特定の実施形態では、上記のものよりも低いまたは高い投与量が好ましいことがあり得る。適切な濃度および投与量は、従来技術の当業者によって容易に決定され得る。特定の実施形態では、好ましい実施形態の医薬組成物は、ヒトα−デフェンシンなどの、哺乳動物のα−デフェンシンを含む。他の実施形態では、好ましい実施形態の医薬組成物は、ヒトβ−デフェンシンなどの、哺乳動物β−デフェンシンを含む。さらなる実施形態では、好ましい実施形態の医薬組成物は、ヒトα−デフェンシンおよびヒトβ−デフェンシンなどの、哺乳動物のα−デフェンシンおよび哺乳動物のβ−デフェンシンを含み、ここでα−およびβ−デフェンシンは、モル濃度ベースまたはmg/mLベースで等量で存在する。
【0127】
一つの実施形態では、哺乳動物または家禽のα−および/またはβ−デフェンシンは、少なくとも1日2回など、例えば少なくとも1日3回など、少なくとも1日1回投与される。
【0128】
本開示はさらに後述の例によって説明されるが、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0129】
例
例1.
デフェンシンを用いる予防的治療による消化管微生物叢の調節および消化管炎症およびメタボリック症候群の予防。
【0130】
材料および方法
マウス:マウスは群あたり4ケージで、3匹ずつ飼育した。食餌摂取は消灯(午後6時)直前に毎日記録した。個別マウスに群およびケージの両方の順序を変える方式で実験手順を実施した。マウスはSPF標準条件で、12時間の明/暗サイクル下にて室温で維持した。
【0131】
食餌:投与のために、平均体重をマウスあたり25グラムであると見積もった。マウスは1日に1匹あたり約3gの食餌を食する。
【0132】
処置方法(
図1A):マウスに高脂肪食(HFD)または低脂肪(LF)対照食のいずれかを与えた。HFDは4つのサブ群:1.hBD2、1.HD5、1.hBD2/HD5、1.デフェンシン無添加の標準HFDを含む。デフェンシン濃度は、1,2mg hBD2/kgマウス/日である。HD5はhBD2と等モルで与えられる。併用群には50%hBD2+50%HD5を与え、そのため、デフェンシンの全量は残りの試験群と同等である。
【0133】
試験:インスリン耐性試験(ITT)、グルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)試験、経口耐糖能試験(OGTT)および5時間空腹時インスリン試験を、1日に群あたり50%のマウスで2日かけて実施し、そのため交絡要因としての日日変動を回避した。
【0134】
微生物分析を実施して腸の微生物叢を調査した。縦断的な16Sの特徴付けを60匹のマウスからの4対サンプルである合計240サンプルで実施した。各マウスについて食餌変更前、食餌変更1週後、食事変更4週後および終了時にサンプリングし、したがってデフェンシン処置の結果としての糞便微生物叢の完全な特徴付けを確実にした。さらに、小腸の内容物を終了時に分析し、したがって栄養摂取の主要部位での可能な変化に関する価値ある洞察を得た。
【0135】
盲腸内容物の全メタボロームプロファイルを実施して、微生物変化を全身代謝に変換し得る。十二指腸、空腸、回腸および結腸の詳細な組織学的および免疫組織化学的分析も実施され得る。
【0136】
hBD2+HD5処置からの結果は分析から除外した。
【0137】
結果
体重変化.食物摂取は3実験食群すべてで同様だったが(
図6C)、両高脂肪食(HFD)群は、10週試験期間にわたって低脂肪食(LFD)対照群よりも体重が有意により多く増加した(***p<0.0001 二元配置分散分析、テューキー事後検定)。しかし、HFD+hBD2群はHFD対照群よりも体重増加が有意に低かった(*p=0.0028)(
図6AおよびB)。
【0138】
赤身/脂肪量発達.赤肉/脂肪量は、試験開始時に3実験群間で同等に分布した(
図7AおよびB)。試験の最後では、両HFD群は赤肉量が同量増加し(
図7B)、これはLFD群よりも有意に高く(*p<0.0001 一元配置分散分析、テューキー事後検定)、おそらく体重増加のためだった。試験の最後で、HFD+hBD2群はLFD群と比べて脂肪量が増加する傾向を示した(
図7B)。しかしこれは統計学的に有意ではなかった(*p=0.25)。HFD群はLFD群と比べて脂肪量がほぼ4倍、HFD+hBD2群と比べて脂肪量が2倍増加していた(それぞれ*p<0.0001および*p=0.005)(
図7B)。
【0139】
インスリン耐性試験.LFD群およびHFD+hBD2群はともに、HFD群よりもインスリンに対して有意により感受性であった(p<0.05)(
図8A)。
【0140】
耐糖能試験.HFD群は15分でのピーク〜120分での半クリアランスのグルコースクリアランスの延長を有しグルコース不寛容であった。LFD群は15分でのピークからグルコースの急速なクリアランスを有した。HFD+hBD2群はグルコースクリアランスのわずかな延長を有したが、HFD群よりも有意に低いグルコース量に達した(p<0.05)(
図8B)。
【0141】
グルコース刺激性インスリン分泌.HFD群は、グルコース投与後に有意に高くかつ持続するインスリン濃度を伴う、損なわれたグルコースホメオスタシスを有した(p<0.005)。LFD群は、グルコース刺激後にほとんどインスリンが増加しなかった。HFD+hBD2群は、LFD群より高いが有意差のないインスリン濃度を有した(
図8C)。
【0142】
5時間空腹時インスリン.HFD群は、LFDよりも有意に高い空腹時インスリン量(*p=0.0004)およびHFD+hBD2群よりも有意に高い空腹時インスリンの境界(*p=0.057)を伴う深刻な糖尿病だった。LFDとHFD+hBD2群の間に有意差はなかった(*p=0.17)(
図8D)。
*テューキー事後検定、さもなければダネット事後検定。
【0143】
例1における試験の終了後、結果を再度分析し、後述のおよび添付の図で示す:
重量変化.食物摂取は3つの実験食群すべてで同様だったが、高脂肪食(HFD)群は低脂肪食(LFD)対照群よりも10週の試験期間にわたって有意に高い重量を得た(*p<0.0001 二元配置分散分析、テューキー事後検定)。しかし、HFD+hBD2群はHFD対照群よりも有意に少ない重量を得た(*p=0.0028)(
図9A)。
図9Bは食餌効率を示し、
図9Cはエネルギー摂取を示す。
【0144】
赤肉/脂肪量発達.赤肉/脂肪量は試験開始時に3つの実験群間で同等に分布した。試験の最後で、両HFD群は赤肉量が同量増加し、これはLFD群よりも有意に高く(*p<0.0001 一元配置分散分析、テューキー事後検定)、おそらく体重増加のためだった。試験の最後で、HFD+hBD2群はLFD群と比べて脂肪量が増加する傾向を示した。しかしこれは統計学的に有意ではなかった(*p=0.25)。HFD群はLFD群と比べて全体重の脂肪量割合がほぼ3倍、HFD+hBD2群と比べて全体重の脂肪量割合が2倍増加していた(それぞれp*<0.0001および*p=0.005)(
図10A)。肝臓重量に関して3群間に有意差はなかったが(
図10B)、一方、HFD+hBD2群はHFD群よりも有意に低い内臓脂肪(eWAT)を有した(
図10C)。
【0145】
耐糖能試験.HFD群は15分でのピーク〜120分での半クリアランスのグルコースクリアランスの延長を有しグルコース不寛容であった。LFD群は15分でのピークからグルコースの急速なクリアランスを有した。HFD+hBD2群はグルコースクリアランスのわずかな延長を有したが、HFD群よりも有意に低いグルコース量に到達した(p<0.05)(
図11A)。
【0146】
グルコース刺激性インスリン分泌.HFD群は、グルコース投与後に有意に高くかつ持続するインスリン濃度を伴う、損なわれたグルコースホメオスタシスを有した(p<0.05)。LFD群は、グルコース刺激後にほとんどインスリンが増加しなかった。HFD+hBD2群は、LFD群より高いが有意差のないインスリン濃度を有した(
図11B)。
【0147】
インスリン耐性試験.LFD群およびHFD+hBD2群はともに、HFD群よりもインスリンに対して有意により感受性であった(p<0.05)(
図12A)。LFD対照群とHFD+hBD2群の間に統計学的に有意な差はなかった。
【0148】
ホメオスタシスモデル評価(HOMA−IR).インスリン耐性と、HOMA−IRインデックスによって評価されたβ細胞機能の間の関係は、HFD群と比べてHFD+hBD2群で統計学的に有意に低かった(
図12B)。
【0149】
*テューキー事後検定、さもなければ、ダネット事後検定。
【0150】
高脂肪食給餌マウスにおける糖尿病および肥満の発症に対する予防としてのhBD2の結論:
−均一な体重増加(低い群内SD)
−60%HFDを給餌されたにも関わらず、HFD-hBD2給餌マウスの50%は、LFD対照マウスと類似した体脂肪割合を有した。数匹のマウスは最も低いLFD対照マウスよりもさらに低い脂肪%を有した。
−最も予防されたhBD2給餌マウスは、LFD対照マウスと同等のまたはそれより低い内臓脂肪量を有し、これは60%HFDでは非常に並はずれている!
−改善されたインスリン感受性!hBD2給餌マウスはLFD対照マウスと有意差がなかった。インスリン耐性試験およびHOMA−IRの両方が改善されたインスリンシグナル伝達を示す。
−耐糖能はHFD対照マウスと比べて著しく改善された。重要なことに、グルコース負荷の際の耐糖能およびグルコース刺激性インスリン応答は共に改善された。このことは、hBD2給餌マウスがHFD対照マウスよりもグルコース多量投与をよりよく扱うために少ない量のインスリンを必要としたことを意味する。
【0151】
高脂肪食給餌マウスにおける糖尿病および肥満の発症に対する予防としてのH D5の結論:
−HD5給餌マウスはHFD給餌対照マウスよりも体重増加が低かったが(
図17A)、効果は統計学的に有意でなかった。また、低い食餌効率(
図17B)およびエネルギー摂取(
図17C)に向かう傾向があった。
−HD5給餌マウスは、HFD給餌対照マウスよりも低い脂肪%境界(
図18A)および低い内臓脂肪境界(
図18C)を有した。肝臓重量に関する統計学的に有意な差は認められなかった(
図18B)。
−耐糖能(
図19A)、グルコース刺激性インスリン分泌(
図19B)、インスリン耐性(
図20A)、およびHOMA−IR(
図20B)に有意な改善はなかったが、HD5給餌マウスはHFD給餌対照マウスよりも優れていた。hBD2およびH D5で得られた結果における差は、hBD2およびH D5の間の作用機序の差を示唆する。
【0152】
微生物叢の調節に関して、試験の1週目からの
図21A中の結果は、微生物叢の変化が試験の最初の週以内で既に生じていたことを示す。HFDの3群は、LFD群の微生物叢と異なる類似の微生物叢を有する。
【0153】
10週後の試験の終了時で、HFD−HD5群の微生物叢は変化しており、ここではLFD群と未処置HFD群の間の中間だった(
図21B)。結論として、HD5の経口投与は微生物叢の部分的な正常化をもたらし、これは非処置群よりもLFD群の微生物叢に類似している。
【0154】
HFD群では、終了時に、α−デフェンシン(HD5)によって処置されたマウスは、処置されていないマウスよりも腸内微生物叢におけるアロバキュラムおよびラクトバチルスの増加した量およびクロストリジウムの低下した量を伴う微生物叢の正常化を示した(
図21C)。アロバキュラムは単鎖脂肪酸を産生する種である。ラクトバチルスは抗炎症特性を有する細菌である。
【0155】
結果は、HFD群において、終了時に、α−、β−ならびにα−およびβ−デフェンシンで処置されたマウスが、処置されなかったマウスよりも腸内微生物叢における高い遺伝子豊富さおよび多い微生物数を示すことを意味すると解釈され得る。
【0156】
LFD対照群では、終了時に、マウスは腸における健全な変化のない微生物叢を示す。
【0157】
例2.デフェンシンによる消化管微生物叢の調節。
無脊椎動物:概念のインビボ証明のため、未脊椎動物ハチミツガモデルであるハチノスツヅリガ(G.メロネラ)を使用し得る。α−および/またはβ−デフェンシンの強制給餌投与後に糞便を分析できる(Giannouliら,2014)(Favre−Godalら,2014)。
【0158】
例3.肥満マウスでのデフェンシンを用いた介入治療による消化管微生物叢、消化管炎症、およびメタボリック症候群の調節。
【0159】
マウスおよび食餌.実験は、食餌誘発した肥満マウスでのメタボリック症候群(MetS)の治療におけるhBD2およびHD5の効果を明らかにする。マウスが高度HFD(脂肪由来60%エネルギー)を給餌された13週の馴らし期間を、介入に先行させた。馴らし期間中の体重増加が最低12g(初期体重の約50%)の基準に適合するマウスのみを最終分析に組み入れた。これらの基準に適合しなかったマウスは、「継続マウス」の分類としてそれぞれのケージで飼育した。これらはすべての実験的な試験に供されたが、分析から除外された。
【0160】
処置方法(
図1B):介入前に、すべてのマウスをMRスキャンし、OGTTを実施した。マウスのケージをそれらの脂肪量に基づいて実験群に割り当てた。以後のすべての測定を、本介入前と同一マウスから得るデータと対にした。
LFD(低脂肪食)対照群を並行して行った。介入の対照として、2つの追加群:1.高度HFDおよび1.LFDを含めた。実験マウスは介入の間、高度HFDで飼育した。マウスは10週間、実験食を受けた。それらは実験の全期間を通して、ケージあたり4匹、群あたり3ケージで共飼育された。すべての試験は、1日に群あたり1ケージで、3日間にわたって実施した。
【0161】
試験.インスリン耐性試験(ITT)、グルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)試験、経口耐糖能試験(OGTT)および5時間空腹時インスリン試験を、1日に群あたりマウスの1/3によって、3日かけて実施し、そのため交絡要因としての日日変動を回避した。
【0162】
微生物分析を実施して腸の微生物叢を調査した。縦断的な16Sの特徴付けを60匹のマウスからの7対サンプルである合計240サンプルで実施した。各マウスについて食餌変更前、食餌変更後2週、4週、6週、8週および終了時にサンプリングし、したがってデフェンシン処置の結果としての糞便微生物叢の完全な特徴付けを確実にした。
【0163】
さらに、小腸の内容物を終了時に分析し(16Sまたはディープシークエンシングによる)、したがって栄養摂取の主要部位での可能な変化に関する価値ある洞察をもたらし得る。
【0164】
最後に、盲腸内容物の全メタボロームプロファイルを実施して、微生物変化を全身代謝に変換し得る。十二指腸、空腸、回腸および結腸の詳細な組織学的および免疫組織化学的分析も実施され得る。
【0165】
肥満高脂肪食給餌マウスにおけるメタボリック症候群の治療としてのhBD2:
結果
体重変化.標準高脂肪食(HFD)給餌群は、全試験期間を通して同等な食物摂取を有し、最初の13週で同等な脂肪および赤肉量で同じ体重発達を有し、そのため、食餌介入前に同一開始時点を有した。体重増加は低脂肪食給餌(LFD)群より有意に高かった(*p<0.05 二元配置分散分析)(
図13A)。食餌介入後、HFD群は体重が増加し続けたが、HFD+hBD2群は食餌介入後の最初の4週間で体重増加がより少ない傾向を示したが、有意ではなかった(*p=0.07 二元配置分散分析)。試験期間の4週目〜最後で、HFD+hBD2群は標準HFD群と同様な体重を得た(*p=0.82 二元配置分散分析)(
図13B)。
【0166】
脂肪割合.全体重の脂肪割合は、試験期間の開始時にて3実験群間で同様だった。食餌介入の時点で、HFD給餌の2群の脂肪割合は同様であり、ともにLFD食餌群よりも有意に高く、これは食餌介入後10週の全期間を通して一貫していた(*p<0.05 二元配置分散分析)(
図14A)。食餌介入後4週でHFD+hBD2群の約75%は、介入前よりも低い脂肪割合を有し、すべてのマウスの脂肪割合が増加していた標準HFD群とは極めて対比的だった(
図14B)。この時点で脂肪割合の変化は、標準HFD群よりもHFD+hBD2群で有意に低かった(*p=0.003 二元配置分散分析)。終了時の肝臓重量は、LFD群に比べてHFD給餌群で有意に高かった(*p<0.05 一元配置分散分析)(
図15A)。終了時の内臓脂肪(eWAT)の量もまた、LFDと比べてHFD群で高かった(*p<0.05 一元配置分散分析)。HFD給餌群間で内臓脂肪(eWAT)に有意差はなかった(
図15B)。
【0167】
耐糖能試験.耐糖能はHFD+hBD2群において食餌介入時点から急速に改善し、それは血糖の小さなピークならびに既に2週後でグルコースの迅速なクリアランスを示した(
図16A)。試験におけて最大のグルコース不寛容マウスは、標準HFDからHFD+hBD2に切り替えられた後の最初の2週に劇的に良くなることが認められた。(
図16B)。
【0168】
インスリン耐性試験.LFD群は両HFD群よりもインスリンに対して有意により感受性であった(*p<0.05 二元配置分散分析)。HFD+hBD2群は同時に、HFD対照群に比べてよりインスリン感受性であり、食餌介入以後のインスリン耐性における改善を暗示した(*p<0.05 二元配置分散分析)(
図16C)。
【0169】
高脂肪食給餌マウスにおける糖尿病および肥満の発症に対する介入としてのhBD2の結論:
−全体として、hBD2給餌マウスはHFD対照マウスよりも介入の最初の4週で体重増加が少なかった(
図143)。
−8匹中7匹の肥満およびグルコース不寛容マウスが、介入のわずか2週後にそれらの耐糖能を有意に改善した(
図14A)。1匹のマウスがベースラインで最もグルコース不寛容のマウスであり50gの体重のうち約20gの脂肪量を有した。この重度の不健全な表現型にも関わらず、マウスは介入の2週でグルコース不耐性に関して完全に救済された(
図16B)。
−全身レベルでは、hBD2給餌マウスはHFD対照マウスよりも低いインスリン耐性だった(
図16C)。重度の全身性インスリン耐性は逆転させることが非常に困難であり、かつヒト疾患(例えば、他の中にあって糖尿病、CVD、特定の癌)の治療における主たる制限であるので、このことは重要な意味がある。
【0170】
肥満高脂肪食給餌マウスにおけるメタボリック症候群の治療としてのHD5:
体重変化.すべてのHFD給餌群は試験期間中に同一食物摂取を有し、13週の馴らし期間に同等な重量増加を有した(
図22A)。食餌介入後、HFD+HD5給餌群はHFD対照よりも体重増加が有意に少なかった(*p<0.05 二元配置分散分析)(
図22B)。さらに、HFD+HD5群で脂肪割合の低下傾向が認められ(
図23A)、HFD対照と比べてHFD+HD5で有意に低い脂肪割合が食餌変更後4週で測定された。(*p=0.009 二元配置分散分析)(
図23B)。終了時の肝臓の重量は、HFD対照と比べてHFD+HD5で低下する傾向だった。具体的には、標準HFD給餌マウスの約50%が、最も高いHFD+HD5給餌マウスよりも高い値を示した(
図24A)。内臓脂肪の重量は、LFD給餌群よりもHFD給餌群で高かった(*p<0.05 一元配置分散分析)(
図24B)。
【0171】
耐糖能試験.代表的なケージであるケージ2でHFD+HD5で処置されたマウスにおける耐糖能は、介入開始(13−0週)から13.8週にわたって改善した(
図25A)。
【0172】
インスリン耐性試験.LFD群は、HFD給餌群よりも有意によりインスリン感受性であった(*p<0.05 二元配置分散分析)。HFD+HD5群はHFD対照よりもインスリン感受性が高く、食餌介入以後のインスリン耐性における改善を暗示した(*p<0.05 二元配置分散分析)(
図25B)。
【0173】
高脂肪食給餌マウスにおける糖尿病および肥満の発症に対する介入としてのHD5の結論:
−HD5給餌マウスはHFD給餌対照マウスと比べて有意に低い体重変化を有した(
図22B)。
−肥満HFD−HD5給餌マウスの脂肪量低下の全般的な傾向があった(
図23AおよびB)。
−肝臓重量はHFD給餌対照マウスと比べてHD5給餌マウスで低下する傾向だった(
図24A)。内臓および皮下貯留は有意差がなかったので(
図24B)、この観察結果は、HD5マウスにおける中度に低下した脂肪%が、肝臓の脂質分解/脂質酸化に限定されることを示唆する。
−耐糖能はHD5給餌マウスにおいて経過にともない改善した(
図25A)。
−HD5給餌マウスはHFD給餌対照マウスよりもインスリン耐性が低かった(
図25B)。
【0174】
認められた変化は、処置されないマウスよりもデフェンシンによって処置されたHFD群における、腸内微生物叢中の高い遺伝子豊富さおよび多い門数と一致した。
【0175】
例4.グルカゴン様ペプチド−1アナログを用いた介入処置による消化管微生物叢の調節および消化管炎症の治療。
【0176】
材料および方法
マウス:4週齢C57BI/6J DIO雄マウスに高脂肪食(HFD60%脂肪、SSNIFF(DietNo.12492)またはpurina chowを36週間給餌した。HFD給餌群は介入開始までに約55グラムの平均体重に達していた。マウスを−2週までケージあたり10匹で集団飼育した。−2週からマウスを、試験期間全体を通して単独で飼育した。食餌摂取を午後3時の消灯直前に毎日記録した。個別マウスに群およびケージの両方の順序を変える方式で実験手順を実施した。マウスをSPF標準条件で、12時間の明/暗サイクルにおいて室温で維持した。
【0177】
処置方法(
図26):マウスに高脂肪食(HFD)または低脂肪(LF)対照食のいずれかを与えた。HFDは2つのサブ群:1.GLP−1および1.GLP−1無添加の標準HFDを含んだ。GLP−1をPBS中に溶解し、0.1%BSAを加えた。GLP−1を0.2mg/kgで1日2回皮下投与した。
分析.16S RNAマイクロバイオーム分析を試験の−1日目および27日目に実施した。回腸由来サンプルを盲腸から約2cmで採取して、サイトカインであるIFNγ、TNF−α、IL−1β、IL12p70、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8およびIL−10の濃度分析用に液体窒素中で急速凍結させた。
【0178】
結果
ウェート付していないunifrac解析、すなわち細菌種の相対量。試験の開始時(1日目)に、4群は予測されたように同等な微生物叢を有した。しかし、4週の処置に続いて高脂肪食およびGLP−1(リラグルチド)による仲介処置を与えられたマウスからの微生物叢は、対照(賦形剤処置)群からの微生物叢と著しく異なった(
図27A)。
【0179】
消化管微生物叢の認められた変化は、アッカーマンシアおよびアロプレボテラの量の増加によって主に引き起こされた。アッカーマンシアは単鎖脂肪酸産生種である(
図27B)。これらの細菌量の増加は、より健全なまたは正常化された微生物叢の指標と考えられる。単鎖脂肪酸は内因性GLP−1の誘発に有効な効果を有することが知られている。
【0180】
驚くべきことに、GLP−1(リラグルチド)の抗炎症効果は認められず、3試験群間のサイトカインのいずれについても、回腸中のサイトカイン濃度に統計学的な差はなかった。
【0181】
例5.
NMRIマウスへのhBD2の4mg/kg単回経口強制投与後の、経口による生物学的利用能を測定するためのおよび薬理動態プロファイルを確立するための薬理動態試験。
【0182】
材料および方法
処置方法:21匹の雌NMRIマウスに、投与日に得られた個別体重に従って、経口強制投与チューブおよび1mLシリンジを用いて5mg/kgを経口強制投与によって投与した。尿を、ランダムな時点に腹部の鼠径領域を優しくマッサージすることによって強制的にサンプリングした。最初の血液サンプルを、顎下サンプリング法を用いて採取した。2回目の血液サンプルを、イソフルラン麻酔したマウスから収集した。腸サンプルを、安楽死後に採取した。各マウスの腹部を開き、腸の3部分(空腸、十二指腸、および結腸)をサンプリングした。
【0183】
結果
hBD2は、血清または尿サンプルのいずれでもHPLCによって検出されず値は<10pg/mLの検出量未満であったので、健全な腸から吸収されるように思われなかった。このことは、hBD2がマウスで4mg/kgの経口投与後に全身的に利用可能ではないことを示す。経口投与されたhBD2は、投与後360分まで結腸内容物中で検出可能なままであった(
図28)。
【0184】
例6.
ヒト血清アルブミンのC端(融合後分子量71.336Da)またはN端(融合後分子量71.666Da)に融合されたhBD2の薬理動態プロファイルを、NMRI雌マウスへの1mg/kgのhBD2(分子量66437Da)のモル当量の皮下または静脈内投与後に、検討および比較する。
【0185】
材料および方法
処置方法:マウスに、個別体重に従ってストック濃度1.65mg/mLを10mL/kg投与した(30gマウスあたり300μL)。最初の血液サンプルは下顎サンプリング法を用いて、2回目はイソフルラン麻酔および安楽死後に採取した。
【0186】
結果
hBD2は1時間の半減期、および2種の融合タンパク質は12時間の半減期を示した。AUCは劇的に変化した。腎クリアランスもまた、hBD2について10mL/分(
図29)から2種の融合分子について0.5〜2.2mL/分(
図30、31)に変化した。例は、hBD2の半減期がアルブミンへのC端またはN端共役体化によって著しく延長され得ることを示す。
【0187】
例7
マウスでの急性10日間デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎モデルにおける「hBD2−アルブミン融合N端」の抗炎症効果を測定および評価する。
【0188】
材料および方法
処置方法:「hBD2−アルブミンN端」を、10mL/kg体重の投与容量で、無菌25G針を用いて尾静脈により静脈内にまたは皮下に投与した。マウスは1日1回投与を実行上10日間受けた。活性な対照デキサメサゾン(DEX)を、10mL/kg体重ODの投与容量にて、1mg/kgの用量で皮下に与えた。
【0189】
結果
「hBD2−アルブミンN端」による処置は、静脈内経路によって1.65mg/kgの用量で毎日投与されたとき、疾患活動性指標(DAI)の有意な阻害をもたらした(p<0.05)。さらに、「hBD2−アルブミンN端」が皮下にそれぞれ1.65mg/kgの用量、および125mg/kgの用量で毎日投与されたとき、10日目にDAIスコアの有意な阻害も認められた(p<0.05)。
【0190】
デキストラン硫酸ナトリウムの投与は、組織学的検査後に証明される結腸組織の重大な炎症および傷害をもたらした。「hBD2−アルブミンN端」による処置は、この組織学的損傷の統計学的に有意な低下をもたらさなかったが、同様に、有効対照DEXは組織学的傷害を低下しなかった。
【0191】
結果は、「hBD2−アルブミンN端」で処置されたマウスにおいて、2日および3日目の体重の一時的な低下に関わらず、7日目に体重の有意な増加をさらに示した。これに対して、DEX処置マウスは5日目以降、体重の非常に有意な低下を示した(p<0.01)。このことは、「hBD2−アルブミンN端」が正常な微生物叢を維持し、これによって体重維持効果を有すること示す。
【0192】
例は、hBD2−アルブミン融合N端が炎症症状の動物モデルにおいて生物学的に活性であることを実証する。
【0193】
例8.
マウスでの急性10日間デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎モデルにおける「hBD2−アルブミン融合C端」の抗炎症効果を測定および評価する。
【0194】
材料および方法
処置方法:「hBD2−アルブミンC端」を、10mL/kg体重の投与容量で、無菌25G針を用いて尾静脈により静脈内にまたは皮下に投与した。マウスは1日1回投与を実行上10日間受けた。活性な対照プレドニゾロン(Pred)を、10mL/kg体重ODの投与容量にて、1mg/kgの用量で強制投与によって経口で与えた。
【0195】
結果
「hBD2−アルブミンC端」による処置は、静脈内経路によって1.6mg/kgの用量で毎日投与されたとき、DAIの有意な阻害をもたらした(p<0.05)。さらに「hBD2−アルブミンC端」は、静脈内経路によって1.6mg/kgの用量で、選択した0、2、4、6、8および10日目に投与されたとき、DAIの有意な阻害をもたらした(p<0.05)。プレドニゾロンによる毎日の処置は、9日目にDAIの有意な阻害をもたらした。(p<0.05)。
【0196】
デキストラン硫酸ナトリウムの投与は、組織学的検査後に証明される結腸組織の重大な炎症および傷害をもたらした。1.6mg/kgの用量での「hBD2−アルブミンC端」による処置は、この組織学的損傷の統計学的に有意な低下をもたらした(p<0.05)。同様に、0、2、4、6、8、および10日目に1.6mg/kgのおよび16.5mg/kgの用量での「hBD2−アルブミンC端」による毎日の処置は、結腸に組織学的損傷の有意な低下をもたらした(p<0.01)。活性対照プレドニゾロンによる処置は、結腸の近位部分での組織学的な傷害を有意に低下しなかったが、遠位結腸での傷害を低下した(p<0.01)。
【0197】
結果は、「hBD2−アルブミンC端」で処置された動物における体重の有意な増加をさらに示した(p<0.05)。このことは、「hBD2−アルブミンC端」が正常微生物叢を維続し、このため重量維持効果を有することを示す。例は、hBD2−アルブミン融合C端が炎症症状の動物モデルにおいて生物学的に活性であることを実証する。
【0199】
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【0200】
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WO92/06204
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WO95/22625
US5,223,409