【実施例】
【0063】
実施例
実施例1:骨髄間質細胞の調製及び培養
健康なヒトドナー由来の骨髄穿刺液を、Lonza(Allendale、NJ)又はAllCells(Alameda、CA)から購入し、冷たい容器で夜のうちに配達してもらった。穿刺液サンプル(1〜3ml)を、10%ウシ胎児血清(HyClone、Logan、UT、MSC成長のために選択したロット)、GlutaMAX(Invitrogen、Carlsbad、CA)、及びペニシリン/ストレプトマイシンを補足したMSC成長培地(アルファ最小必須培地(αMEM、Mediatech、Tewksbury、MA))において3倍に希釈し、8分間1200rpmで遠心分離した。上清を、注意深く除去し、ペレットを、遠心分離前の容量と等しい容量で再懸濁した。一定分量を取り出し、白血球(WBC)カウントのためにErythrocyte Lysis Reagent(Sigma、St.Louis、MO)中に希釈した。これらの洗浄した骨髄細胞を、マイクロタイターアッセイにおいて使用するために(実施例4及び5)並びに大量培養物を生成するために培養した(実施例6)。
【0064】
CFUfコロニーの分析のために、洗浄した骨髄細胞(前の段落に記載されるように得られた)を、6.6×10
4WBC/mlの濃度で再懸濁し、透明な底を有する96ウェル黒色マイクロプレート(Costar(登録商標))の中に平板培養し(ウェル当たり100μlの細胞懸濁液)、2列を、標準物質及びコントロール用に空にしておいた。この細胞濃度での平板培養は、ウェルの30%未満においてコロニーの成長をもたらし、したがって、ウェル当たり1つを超えるコロニーを有する可能性が低いことを確実にした。平板培養後10日目に、ALCアッセイを、96ウェルマイクロプレート中で成長させた細胞に対して行った。
【0065】
大量培養物を生成するために、上に記載されるように得、且つ処理した骨髄細胞を、再懸濁し、T75フラスコの中におよそ2〜4×10
5WBCs/cm
2で平板培養した。平板培養後第3日目に、培地を交換し、大部分の非接着細胞を除去した。その後、培地を、2〜3日毎に交換し、細胞を、継代前の10〜14日間、培養した。継代のために、細胞を、0.25%トリプシン/EDTAで剥がし、トリパンブルーを使用して数え、約0.5〜1×10
4細胞/cm
2で再度平板培養した。その後の継代(3回まで)は、培養物が70〜80%コンフルエンスに達したら実行し、70〜80%コンフルエンスは、再度平板培養した後の4〜7日以内に起こった。
【0066】
実施例2:MSC培養物におけるアルファ平滑筋アクチン(αSMA)の発現及び細胞増殖の間の相関性
αSMA発現及びコロニー成長の間の関係を解明し、それによって、α−SMAレベルの測定を、増殖力を予測するための方法の一部として使用することができるかどうかを決定するために、細胞増殖速度及びα−SMAレベルを、平板培養の10日後に骨髄細胞のコロニーにおいて測定した。
【0067】
細胞増殖アッセイは、メーカーのプロトコールに従って、Click-iT(登録商標)Plus EDU Alexa Fluor 594 Imagingキット(Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用し、コロニーに対して行った。細胞は、5時間、5−エチニル−2’−デオキシウリジン(EDU)により標識した。EDU検出後、コロニーを、0.3%Normal Donkey血清によりブロックし、1時間、FITCコンジュゲート抗αSMAモノクローナル抗体(Sigma、St.Louis、MO)によりプローブし、その後、洗浄した。核は、Hoechst 33342を使用して対比染色した。
【0068】
EDU陽性の核のパーセンテージを定量化するために、コロニーの画像を、1.25×倍率でCytation 5プレート読み取り装置を使用して取得し、Gen5ソフトウェア(BioTek Instruments、Winooski、VT)を使用して分析した。次いで、コロニーについてのデータをExcelでソートした。最も高い及び最も低いEDUの組み込みを表すコロニー(3〜4コロニー/グループ)を、ImageJを使用して視覚化し、且つ対応するバックグラウンドを引き算した平均グレー値(mean gray value)としてαSMA平均蛍光強度を定量化するために、4×倍率下で選択し、取得した。単一コロニーにおけるαSMA及びEDUの分布の分析のために、コロニーの画像を、デジタル技術で拡大し、αSMA陽性のエリアを選択し、次いで、等しいサイズのエリアを、コロニーのαSMA陰性の領域において選択した。全部の核及びEDU陽性の核を、これらのエリアにおいて手作業で数えた。
【0069】
コロニーの間で様々なαSMA発現によって特徴付けられた細胞ロットを評価した。顕微鏡観察は、非常に増殖性のコロニー(すなわち、高いパーセンテージのEDU陽性の核を有するコロニー)が、より低いパーセンテージのEDU陽性の核を有するコロニーよりも低いレベルのαSMA発現を表したことを示した。2ロットの細胞(AC12及びAC13)において、最も高いパーセンテージのEDU陽性の核(AC12については>39%及びAC13については>28%)並びに最も低いパーセンテージのEDU陽性の核(AC12については<18%及びAC13については<15%)を有するコロニーは、αSMAについて、それに応じて低い及び高い平均蛍光強度を表した(
図1A)。さらに、様々なレベルのαSMA発現を有したコロニー内で、αSMA発現のレベル及び明るいEDU染色を有する核のパーセントの間に負の相関があった(
図1B)。αSMA陰性ではなく、αSMA陽性のエリアは又、明るく染色された核に加えて、EDUのレベルが非常に低い核を含有した。まとめると、これらの観察は、EDUの組み込みのプロセスが、αSMA陽性の細胞においてより遅いことを示した。したがって、αSMA発現は、コロニーの全体的な増殖速度及びコロニー内の増殖ステータスの両方と負に相関する。
【0070】
実施例3:LDH活性の検出に対する固定及び透過処理の影響
MSCコロニーにおけるαSMA発現がロット成長性に関係するかどうかを決定するために、コロニーにおけるαSMAを測定し、コロニーにおける細胞の数に対してその発現を標準化するロバスト性のある(robust)アッセイを、継代MSCを使用して開発した。細胞内LDH活性についての比色定量アッセイを、細胞数についての代用物として選んだ。先の観察は、ホルマリンにより軽く固定された細胞が、実質的な割合の細胞内LDH活性を保持することを示唆した。Baba et al. (1971) J. Cell. Biol. 51:621-635も又参照されたい。したがって、LDH検出に対する固定及び透過処理の条件の影響を、継代2及び4の間で継代MSCにおいて検査した。これらの研究のために、MSCを数え、4、1.3、及び0.4×10
3細胞/ウェルで96ウェルプレートの中に平板培養した。翌日、培養物を20又は40分間固定し、次いで、20分間、透過処理し、洗浄した。実験の別のセットにおいて、細胞は、20分間固定し、20、40、又は60分間、透過処理し、次いで、洗浄した。残存LDH活性は、下記に記載されるように決定した。細胞数は、培養物のトリパンブルー染色を使用して決定した。
【0071】
これらの実験の結果は、標準的な20分間の固定で、LDH活性が細胞数に比例したことを示し、さらに、40分間まで固定時間を増加させても、LDH活性に対する有意な有害な影響はなかった(
図2A)。20分間ホルマリン中で固定した細胞を、様々な時間、Triton-X100によりさらに透過処理した場合、透過処理後に検出されたLDH活性は、透過処理期間の長さに依存して、わずかに低下し、0〜40分間の透過処理の20分毎に、およそ10〜15%低下した(
図2B)。
【0072】
実施例4:同じコロニーにおけるLDH活性及びαSMAレベルの検出並びに細胞数との相関性
固定後にLDH活性の保持が観察されたことに基づいて(実施例3)、選択した固定及び透過処理の時間を使用して、αSMAの細胞内免疫細胞化学的検出のために細胞を処理し、その後、同じ細胞においてLDH活性を検出することが可能であると考えられた。この考えを確認するために、継代2〜4のMSCを、様々な細胞密度で96ウェルマイクロタイタープレート中で平板培養した。1日後、細胞を20分間固定し、20分間、透過処理し、1時間、HRPコンジュゲート抗αSMA抗体と反応させた。抗体が結合した後、細胞内LDH活性を検出し、その後、HRP活性の比色定量検出を続けた。これらの条件下で、LDH及びαSMAの値は、平板培養細胞数に比例した(
図2C及び2D)。次いで、αSMA発現値は、「αSMA/細胞」値を得るために対応するLDH活性値に対して標準化した。細胞濃度>250細胞/ウェルについては、標準化は、予想通り、ある一定の値を提供し、250細胞/ウェルの濃度以下では、標準化は、様々な結果をもたらした(
図2E)。
【0073】
上記に記載される、継代MSCを使用する初めのアッセイ開発の後に、アッセイを、CFUfコロニーにおいてさらに特徴付けた。骨髄細胞の平板培養後10日目に、コロニーにおけるLDH活性を測定し、コロニー当たりの核の数は、4倍の倍率のCytation 5マルチモードプレート読み取り装置(BioTek、Winooski、VT)及びGen5ソフトウェア(BioTek)を使用して、Hoechst 33342(Molecular Probes、Eugene、OR)により染色したコロニーの画像解析によって定量化した。
【0074】
2500までの核を含有するコロニーについては、LDH値及び核の数の間の線形の関係が観察された。しかしながら、2500(約0.5mU/ml LDHに対応する)又はそれ以上の核を含有するコロニーについては、いくつかのコロニーは、線形回帰に基づいて予想されるよりも少ない核を有するように思われた(
図2F)。顕微鏡検査は、>2500細胞を有するコロニーが、顕微鏡視野の死角(マイクロタイターウェルの約20%)に部分的に位置する確率が高いことを示した。したがって、核について観察された数は、おそらく、大きなコロニーにおける細胞の数を少なく見積もっており、LDH活性は、細胞数について、より正確な指標となるように思われた。
図2F中に示すデータに基づくと、0.4mU/mlのLDH活性は、約1,000細胞のコロニーに相当した。この値を、大きなコロニーについての任意の閾値として選んだ。
【0075】
実施例5:αSMA及びLDHについての複数のコロニーのアッセイ(ALCアッセイ)
方法
上記に記載される結果に基づいて、2つの比色定量アッセイプロトコール−残存LDH活性及びαSMAタンパク質発現検出−を、同じマイクロタイタープレート上で成長している複数のコロニーをアッセイするために使用する単一のプロトコールの中に組み込んだ。これらの実験のために、洗浄した骨髄細胞(実施例1において記載されるように得た)を、6.6×10
4WBCs/mlの濃度で再懸濁し、透明な底を有する96ウェル黒色マイクロプレート(Costar(登録商標))の中に平板培養した(ウェル当たり100μlの細胞懸濁液)。α−SMA標準物質及びLDH標準物質用に並びにホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コントロール用に指定したウェルは、下記のプロトコールに示されるまで未使用のままにした。この密度での平板培養は、ウェルの30%未満においてコロニーの成長をもたらし、したがって、ウェル当たり1つを超えるコロニーを有する可能性が低いことを確実にした。
【0076】
平板培養の9日後、マイクロタイタープレートは、位相差を使用して、顕微鏡で検査し、コロニーを有するウェルにマークした。10日目に、プレートをPBSにより洗浄し、20分間、4%パラホルムアルデヒド(PFA)により固定し、次いで、固定液をPBSと取り替えた。一方、代用αSMA標準物質は、PBSにおいてAffiniPure Donkey Anti-Mouse IgG(Jackson Immunoresearch、West Grove、PA)を段階希釈し、1時間、指定のウェルにこの溶液を吸着させることによって調製し、次いで、これらのウェルをMSC成長培地によりブロックした。すべてのウェル(LDH標準物質及びαSMA標準物質並びにHRPコントロールに指定したウェルを除いて)を、次いで、PBSにより1回洗浄し、20分間、PBSにおいて0.2%Triton X-100と共にインキュベートし、その後、30分間0.5%Normal Donkey Serum(Jackson Immunoresearch、West Grove、PA)においてブロックした。ウェル(LDH標準物質及びHRPコントロールに指定したウェルを除いて)は、次いで、1時間、HRPコンジュゲートモノクローナル抗αSMA抗体(1/1000希釈液;Abcam、Cambridge、MA)と共にインキュベートし、PBSにより3回洗浄した。
【0077】
次いで、LDHアッセイを実行した。最初に、LDH標準物質を、ウシLDH(Sigma)を段階希釈することによって、指定のウェルにおいて調製した。次いで、LDH Cytotoxicity Detectionキット(Clontech Laboratories、Mountain View、CA)のCatalyst/Dye(0.25ml/11ml)混合物を、細胞を平板培養したすべてのウェル及びLDH標準物質を含有するウェルに追加した。プレートを、7〜10分間、室温でインキュベートした。シグナルは、650nmでの補正と共に490nmで読み取り、測光値は、SoftMAXProソフトウェアを使用して、1ml当たりのLDH活性milliUnitsに変換した。
【0078】
LDH検出後、プレートは、PBSにより1回洗浄し、HRP検出のために調製した。すべてのプレートに対する読み取りが、異なる実験の間で比較可能となることを確実にするために、非常に安定化されたHRP(Sigma)から調製したHRPコントロールを、それぞれのプレートに対して使用した。細胞を平板培養したウェル、代用αSMA標準物質及びHRPコントロールを含有するウェルに、HRP基質3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB、eBioscience)を充填した。吸光度を、492nmでの補正と共に370nmで測定し、測光値を、結合抗体のng/mlに変換した。LDHシグナル及びHRPシグナルの両方は、SoftMax Pro(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)で生成した検量線を使用して定量化した。LDH活性をmU/mlで表現した。αSMA発現は、抗αSMA抗体の対応する濃度としてng/mlで表現した。
【0079】
データ処理
ALCアッセイデータの処理は、プログラムしたExcelテンプレートを使用して行った。HRPコントロールデータは、必要であれば、異なるプレート及び実験の間で調整するために使用した。次いで、それぞれのプレートについて、両方の測定パラメーターについてのバックグラウンド値:LDHについては、コロニーなしのすべてのウェルの平均+1標準偏差(SD)、HRPについては、コロニーなしのすべてのウェルの平均として計算した。次いで、バックグラウンドを、対応するデータセットから引き算した。この方法は、さらなる計算から、50個未満の細胞を有するウェルの排除を可能にし、同時に、HRPシグナルについてそれほどストリンジェントではない条件は、非常に低いレベルのαSMA発現を有するコロニーの排除を予防した。次いで、αSMA発現は、同じウェルからの対応するLDHシグナルに対して標準化した(αSMA/細胞についての代用物)。コロニーデータはすべて、高い〜低いLDHレベルにソートし、LDH≧0.4mU/mlを有するコロニー(「大きなコロニー」)のパーセンテージを決定した。この閾値は、典型的に、BMロットにおける大きなコロニーとして15%以上のコロニーを分類した。これらの大きなコロニーにおいて、標準化αSMA発現を平均した。したがって、それぞれのBMロットは、大きなコロニーの細胞における平均αSMAレベル(本明細書でAv(αSMA/LDH)
LCとして称される)及び大きなコロニーのパーセンテージによって特徴付けられた。
【0080】
統計
統計分析(対応又は独立t検定及び線形回帰分析)並びに図示は、Prism 6ソフトウェア(GraphPad、San Diego、CA)を使用して行った。p<0.05は、統計的に有意と見なした。
【0081】
結果
ロット当たり34〜89コロニー(中央値52)を産生する10のBM MSCロットを、平板培養の10日間後(10日目)に分析した。10のロットのうちの9つのロットについて、それぞれのコロニーについてのLDH値(細胞数についての代用物)をその対応する標準化αSMA/LDH値(細胞当たりのαSMAの平均量についての代用物)に対してプロットすることにより、それぞれのコロニーのサイズ及びそのαSMA/細胞の間に負の相関がもたらされた(p<0.05)。さらに、LDH対αSMA/LDH値の分布は、細胞のそれぞれのロットについて特徴的であり、したがって、この分布は、異なるロットを区別するために使用することができる。細胞の2つのロット(ドナーAC12及びD127から得た)からの例示的なデータを、
図3Aに示す。
【0082】
細胞成長の指数関数的な性質により、たとえすべてのコロニーが同じ速度で成長していたとしても、大量培養物中の細胞数への大きなコロニーの寄与は、実質的により大きく、小さなコロニーの寄与は、本質的にごくわずかである。そのため、本発明は、大きなコロニーを、10日目にLDH値≧0.4mU/mlを有するものとして定義する(すなわち、およそ1,000個の細胞を含有し、それらのCFUf前駆細胞が、10日間で約10回の細胞倍加を受けたことを意味するコロニー)。
【0083】
細胞の2つのロット(AC12及びD127)についてのLDH値及びαSMA/LDH値の分析を、
図3B及び3Cに示す。値は、すべてのコロニーについて及び上記に定義されるような大きなコロニーについてのみ得た。予想通り、大きなコロニーは、平均して、細胞集団全体よりも高いLDHレベルを含有する(
図3B)。そのうえ、大きなコロニーについてのαSMA/LDH値は、培養物全体についての値よりも分布が狭く、2人のドナー由来の培養物を区別するのを可能にする(
図3C)。
【0084】
実施例6:10日目のALCアッセイ結果と大量細胞培養物の成長性との相関性
MSCの10のロットを、3継代、大量培養で成長させた。これらのロットのそれぞれについて、CFUfコロニー形成率(
図4)、大きなコロニーのパーセント(LDH>0.4mU/mlを有するものとして定義される、
図5)、サイズによる大きなコロニーの分布(LDH、
図6)、及びそれぞれのコロニーにおける標準化αSMA(αSMA/LDH、
図7)を決定した。
【0085】
10のロットのそれぞれにおける細胞の成長速度(GR)も又、下記の計算を使用して決定した:
GRn=dH
0/dWBC×dH
1/dP
1×...×dH
n/dP
n
ここで、dH
nは、継代nの収集時の細胞密度であり、dP
nは、継代nの平板培養時の細胞密度であり、dWBCは、初めのBM平板培養時の細胞密度である。成長速度の分析は、MSCロットを、継代3でのその累積的な成長速度(GR)に基づいて、成長が遅い(GR≦1)又は成長が速い(GR>1)と分類することができたことを明らかにした。
図8Aを参照。
【0086】
第3の継代時の成長速度の分析は、成長が速い培養物についての閾値として>1の成長速度を使用すると、成長が遅い及び成長が速い培養物の間の成長速度における差異が、統計的に有意であったことを明らかにした(
図8B)。MSC成長データを、CFE、又は大きな(LDH≧0.4mU/ml)コロニーのパーセント、及びAv(αSMA/LDH)
LCと比較した。相関性は、CFE又は大きなコロニーのパーセンテージ及び大量培養成長の間で検出されなかった。しかしながら、成長が遅いロット(GR<1)は、成長が速いロットよりも、有意に高いAv(αSMA/LDH)
LCを有した(
図8C)。大きなコロニーをLDH≧0.4を有するものとして定義する場合、成長が遅いロット及び成長が速いロットの間のAv(αSMA/LDH)
LC値における統計的な差異は、p<0.005及びR
2=0.71であった。
【0087】
大量培養物の成長速度をそれらのAv(αSMA/LDH)
LC値に対してプロットした場合、有意な線形相関が、観察された(p<0.02で傾き0以外、R
2=0.514)。大きなコロニーのパーセンテージをAv(αSMA/LDH)
LCに対してプロットした場合、データポイントはすべて、2つのグループに分かれ、一方は、すべて遅い成長を表した細胞の4つのロットからなり、他方は、5つの成長が速いロットをすべて含有した(及びおそらく2継代目に偶然成長し過ぎた、成長が遅いロット)。これらの初めのデータは、Av(αSMA/LDH)
LC値>100が、100%陽性的中率及び80%陰性的中率で且つ100%特異度及び83%感度で、大量培養物のその後の遅い成長を予測することを示唆した。
【0088】
上記に記載される結果に基づいて、MSCの所定のロットについてのALCデータ及び成長性の間の最も有効な相関性を提供するために、それぞれのロット由来のコロニーについて得たALCデータを、2つの代表的な機能的パラメーターに整理した:(1)大きなコロニーのパーセンテージ及び(2)これらの大きなコロニーの平均αSMA/LDH値。データ整理のためにこの方法を使用して、10のロット由来のコロニーデータをプロットし、培養物中の大きなコロニーのパーセンテージの関数として、大きなコロニーにおけるAv(αSMA/LDH)
LC(すなわち平均標準化αSMA)値を示す「Predictor Plot」上で比較した(
図9A)。より高い成長性を有する細胞ロットは、大きなコロニーの高いパーセンテージ及び低いαSMA/LDH値を有することが予想され、したがって、Av(αSMA/LDH)
LCが大きなコロニーのパーセンテージに対してプロットされる場合、値は、Predictor Plotの右下の領域にクラスター形成することが予想される。反対に、初期の成長が減速傾向にあるロットは、プロットの左上のエリアに位置する値を有することが予想される。
【0089】
Av(αSMA/LDH)
LCの予測値対大きなコロニーのパーセンテージのプロットについて試験するために、MSCの10のロットを3継代目まで大量培養で成長させ、αSMA、LDH、及び大きなコロニー(つまり、LDH値≧0.4mU/mlを有するコロニー)のパーセンテージを、それぞれのロットについて得た。次いで、Av(αSMA/LDH)
LC値を、ロットのそれぞれについてLDH値に対してプロットした(
図9A)。倍加時間を、10の大量培養物のそれぞれについて計算し、これらを
図9Bに示す。
【0090】
それぞれのロットについてのAv(αSMA/LDH)
LC対大きなコロニーのパーセンテージ値を、その成長速度と比較した場合、結果は、Av(αSMA/LDH)
LC対大きなコロニーのパーセンテージ値が、MSC細胞ロットの成長性を予測することを示した。たとえば、Av(αSMA/LDH)
LC対大きなコロニーのパーセンテージ値が、
図9Aにおけるプロットの左上の領域の最も近くにクラスター形成したMSCの3つのロット(ロットAC13、AC14、及びD122)は、最長の倍加時間を有するロットの中に入っていた(>4日間、
図9B)。反対に、Av(αSMA/LDH)
LC対大きなコロニーのパーセンテージ値が、
図9Aにおけるプロットの右下の領域にクラスター形成したロットD121、D123、D127、及びD128は、最短の倍加時間を有するロットの中に入っていた(
図9B)。