特許第6890156号(P6890156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6890156画像生成装置、画像生成方法および画像生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890156
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法および画像生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/55 20170101AFI20210607BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20210607BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20210607BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20210607BHJP
【FI】
   G06T7/55
   B64D47/08
   B64C39/02
   G06T7/90 C
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-114923(P2019-114923)
(22)【出願日】2019年6月20日
(65)【公開番号】特開2021-2167(P2021-2167A)
(43)【公開日】2021年1月7日
【審査請求日】2019年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】平林 一輝
【審査官】 藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−010630(JP,A)
【文献】 特開2001−242095(JP,A)
【文献】 特許第6515367(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00 − 1/70
B64C 1/00 −99/00
B64D 1/00 −47/08
B64F 1/00 − 5/60
B64G 1/00 −99/00
G06Q 10/00 −10/10
G06Q 30/00 −30/08
G06Q 50/00 −50/20
G06Q 50/26 −99/00
G06T 7/00 − 7/90
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体に搭載されたカメラにより撮像された二次元画像から三次元画像を生成する画像生成装置であって、
被写体の撮像位置を示す位置情報を含み、所定の撮影位置ごとに一部が相互に重複する複数の画像を取得する取得部と、
前記画像に含まれる色彩のうち被写体の劣化症状と認定する色彩を定義する色彩定義部と、
前記取得部により取得された複数の画像の中で前記色彩定義部により定義された色彩が含まれる画像を抽出する抽出部と、
前記複数の画像を用いて被写体の三次元画像を生成する生成部と、
前記取得部により取得された画像と、前記生成部により生成された三次元画像とを前記位置情報で関連付ける関連部と、
前記三次元画像において、前記関連部により関連付けられた画像のうち前記抽出部により抽出された画像に含まれる前記色彩を識別可能に表示する表示制御部と、
前記取得部により取得された複数の画像を所定の撮影位置ごとに対応付けてグルーピングする画像分類部と、
を備え
前記抽出部は、前記画像分類部によりグルーピングされた画像の中から、前記色彩の特徴量が最も多い画像を抽出すること、
を特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記色彩定義部は、前記画像を所定の画素数からなる領域に分割し、分割した領域に含まれる色彩のうち被写体の劣化症状と認定する色彩を前記領域ごとに定義し、
前記抽出部は、前記領域ごとに前記色彩が含まれる領域を含む画像を抽出すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記画像に含まれる前記色彩の特徴量が、前記画像の中心により近い位置に含まれる画像を抽出すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記位置情報およびカメラ座標を含み、所定の前記撮影位置ごとに一部が相互に重複する複数の画像を取得し、
前記生成部は、前記取得部により取得された画像に含まれるカメラ座標から複数の画像の重複率および重複領域を導出し、導出した重複率および重複領域に基づいて重複箇所を特定し、特定した重複率と、導出した重複箇所に対応する箇所の画像の色とに基づいて被写体の三次元画像を生成すること、
を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記色彩定義部は、前記劣化症状の度合いに応じて複数のランクを定義し、
前記抽出部は、前記生成部により生成された三次元画像の中でいずれかの前記ランクに該当する色彩が含まれる画像を抽出し、
前記表示制御部は、前記色彩が含まれる箇所を前記ランク別に識別可能に表示すること、
を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記色彩定義部は、劣化症状の度合いに応じて複数のランクを定義し、
前記抽出部は、前記取得部により取得された画像の中で前記ランクが最も高い色彩を含む画像を抽出すること、
を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記生成部により生成された三次元画像において、前記関連部により関連付けられた画像に含まれる前記色彩をハイライト表示すること、
を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記生成部により生成された三次元画像のうちいずれか一部の指定を受け付け、指定を受け付けた箇所に対応する二次元画像を出力すること、
を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の画像生成装置。
【請求項9】
前記取得部により取得された複数の画像を所定の撮影位置ごとに対応付けてグルーピングする画像分類部、
をさらに備え、
前記色彩定義部は、前記画像を所定の画素数からなる領域に分割し、
前記表示制御部は、前記生成部により生成された三次元画像のうちいずれか一部の指定を受け付け、指定を受け付けた箇所に該当する前記領域に対応するグルーピングされた画像群の画像を一つ以上出力すること、
を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の画像生成装置。
【請求項10】
前記色彩定義部は、前記画像に含まれる色彩のうち被写体の錆または亀裂を示す劣化症状と認定する色彩を定義すること、
を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の画像生成装置。
【請求項11】
飛翔体に搭載されたカメラにより撮像された二次元画像から三次元画像を生成する画像生成方法であって、
被写体の撮像位置を示す位置情報を含み、所定の撮影位置ごとに一部が相互に重複する複数の画像を取得する取得ステップと、
前記画像に含まれる色彩のうち被写体の劣化症状と認定する色彩を定義する色彩定義ステップと、
前記取得ステップにより取得された複数の画像の中で前記色彩定義ステップにより定義された色彩が含まれる画像を抽出する抽出ステップと、
前記複数の画像を用いて被写体の三次元画像を生成する生成ステップと、
前記取得ステップにより取得された画像と、前記生成ステップにより生成された三次元画像とを前記位置情報で関連付ける関連ステップと、
前記三次元画像において、前記関連ステップにより関連付けられた画像のうち前記抽出ステップにより抽出された画像に含まれる前記色彩を識別可能に表示する表示制御ステップと、
前記取得ステップにより取得された複数の画像を所定の撮影位置ごとに対応付けてグルーピングする画像分類ステップと、
を備え、
前記抽出ステップは、前記画像分類ステップによりグルーピングされた画像の中から、前記色彩の特徴量が最も多い画像を抽出すること、
を特徴とする画像生成方法。
【請求項12】
コンピュータを、
被写体の撮像位置を示す位置情報を含み、所定の撮影位置ごとに一部が相互に重複する複数の画像を取得する取得機能と、
前記画像に含まれる色彩のうち被写体の劣化症状と認定する色彩を定義する色彩定義機能と、
前記取得機能により取得された複数の画像の中で前記色彩定義機能により定義された色彩が含まれる画像を抽出する抽出機能と、
前記複数の画像を用いて被写体の三次元画像を生成する生成機能と、
前記取得機能により取得された画像と、前記生成機能により生成された三次元画像とを前記位置情報で関連付ける関連機能と、
前記三次元画像において、前記関連機能により関連付けられた画像のうち前記抽出機能により抽出された画像に含まれる前記色彩を識別可能に表示する表示制御機能
前記取得機能により取得された複数の画像を所定の撮影位置ごとに対応付けてグルーピングする画像分類機能
として実現し、
前記抽出機能は、前記画像分類機能によりグルーピングされた画像の中から、前記色彩の特徴量が最も多い画像を抽出すること、
を特徴とする画像生成プログラム。
【請求項13】
飛翔体に搭載されたカメラにより撮像された画像に基づいて三次元画像を生成する画像生成装置であって、
画像に含まれる色彩のうち被写体の不具合を示す色彩を定義する色彩定義部と、
複数の画像がグルーピングされた画像に基づいて、前記被写体の不具合を示す色彩が最も多く含まれる画像を抽出する抽出部と、
前記複数の画像を用いて生成された前記被写体の三次元画像であって、前記被写体の撮像位置に関する位置情報が関連付けられた前記三次元画像において、前記被写体の不具合を示す色彩を識別可能に表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする画像生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像生成装置、画像生成方法および画像生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線基地局の鉄塔などの高所設備に劣化等の不具合が発生していないかを確認すべく定期的な点検作業が実施されている。例えば、高所設備の劣化としては、金属表面のサビやボルトの緩み、筐体のゆがみなどの症状があり、現状は人の目視によりこれらの有無が点検されるのが通常となっている。
【0003】
高所設備の点検作業を人手により行うと、作業員の安全性や人件費、点検作業に要する時間や手間などの面で効率的ではないことから、近年、カメラが搭載されたドローンを用いて高所設備の画像を撮影することで省人化が図られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、点検対象となる構造物において不具合が生じた箇所をカメラで撮影し、不具合の状態や箇所を確認する方法が開示されている。
【0004】
また、カメラが搭載されたドローンを用いて対象物を撮像し、対象物の点検結果が報告される際、一つの対象物に対して、一部がラップした写真を複数枚撮影し、撮像された全ての写真がレポートに出力されて報告されるケースが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−166241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、任意の一つの錆が複数の写真に写っていた場合、レポート出力の際に別々の錆として出力されてしまい、レポート閲覧者にとってある錆が他の写真と同一の錆であるか否かが把握しづらく混乱を与える恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、鉄塔等の高所設備の外観を撮影した画像から、効率的かつ一目瞭然に劣化症状が発生した位置および状態を目視できる三次元画像を生成可能な画像生成装置、画像生成方法および画像生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像生成装置は、飛翔体に搭載されたカメラにより撮像された二次元画像から三次元画像を生成する画像生成装置であって、被写体の撮像位置を示す位置情報を含み、所定の前記撮影位置ごとに一部が相互に重複する複数の画像を取得する取得部と、画像に含まれる色彩のうち被写体の劣化症状と認定する色彩を定義する色彩定義部と、取得部により取得された複数の画像から所定の撮影位置ごとに一の画像を選定する選定部と、前記取得部により取得された画像の中で前記色彩定義部により定義された色彩が含まれる箇所を抽出する抽出部と、前記選定部により選定された画像を用いて被写体の三次元画像を生成する生成部と、前記抽出部により抽出された前記色彩が含まれる箇所を前記生成部により生成された三次元画像において識別可能に表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、劣化症状と認定する色彩を定義した上で、一部が重複する複数画像を、撮影位置をもとに三次元画像と関連付け、定義された色彩に該当する箇所を三次元画像において表示するので、効率的かつ一目瞭然に劣化症状が発生した位置を目視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る画像生成システムの構成を示すシステム図である。
図2】本発明の実施態様における画像生成装置の機能構成例を示すブロック図である。
図3図3(a)〜図3(c)は、所定の撮影位置ごとに一部が重複する画像を示す図である。
図4】本発明の実施形態における色彩定義部により所定の領域ごとに分割された画像の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態における被写体を構成する全ての構成物を一画像に示した図である。
図6】本発明の実施形態における生成部により二次元画像をもとに生成された被写体である鉄塔の三次元画像の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態における画像生成装置による被写体の三次元画像の生成処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本実施形態における画像生成装置を実現可能なコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像生成システムの全体構成を示すシステム図である。図1に示すように、画像生成システム1は、画像生成装置100と、飛翔体200とを含み、これらがネットワーク10を介して相互に通信可能となっている。ネットワーク10は、画像生成装置100と、飛翔体200aと、飛翔体200bと、飛翔体200cの各々を相互に接続する役割を担う。例えば、ネットワーク10は、有線ネットワークや無線ネットワークであってもよい。なお、図1では、飛翔体200aおよび飛翔体200bの2台を図示するが、さらに複数台あってもよい(以下、特に明示する場合を除き、飛翔体200と総称する。)。
【0012】
画像生成装置100は、飛翔体200により撮像される撮像対象物である鉄塔300aまたは鉄塔300b(以下、鉄塔300a、鉄塔300bは特に明示する場合を除き、鉄塔300と総称する。)の画像を取得し、取得した鉄塔300の二次元画像を解析して鉄塔300の劣化症状を含む三次元画像を生成する装置である。なお、鉄塔300は、撮像対象物の一例であり、劣化症状を確認するための点検が必要となる構造物であればいずれであってもよい。他の例としては、例えば、鉄橋、文化建造物、銅像、橋梁などがある。
【0013】
飛翔体200は、少なくとも自律飛行機能と撮像機能とを備えた装置であって、例えば、ドローンである。具体的には、飛翔体200は、設定された飛行航路に従って飛行制御する飛行制御部や、撮像機能としてのカメラや、現在位置を取得するGPS機能などを備え、バッテリーに充電された電池により駆動する。
【0014】
図2は、本発明における画像生成装置100の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、画像生成装置100は、制御部110と、通信制御部120と、入出力部130と、記憶部140とを備える。
【0015】
通信制御部120は、通信回線や電話回線等に接続されるアンテナやルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースである。すなわち、通信制御部120は、飛翔体200や、出力先となる情報処理装置(不図示)等のような外部装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有している。
【0016】
入出力部130は、情報を入力または出力するための液晶モニター等の画面である。なお、図2においては、入出力部130として、入力機能と出力機能が一体型となっている画面を例示するが、これに限定されず、キーボードなどの入力部を別に備えることで、入力機能と出力機能を別個の機能部としてもよい。
【0017】
記憶部140は、画像情報データベース141を記憶する。画像情報データベース141には、画像情報と、色彩サンプル情報とが格納されている。ここで、画像情報とは、被写体の画像データのことである。また、色彩サンプル情報とは、被写体の劣化症状の一例となる錆や亀裂(クラック)の色彩を示すサンプルデータのことであり、サンプルデータとして、撮像された画像全体のRGBや輝度に応じて複数のデータが保存されている。
【0018】
制御部110は、取得部111と、色彩定義部112と、画像分類部113と、抽出部114と、生成部115と、関連部116と、表示制御部117と、送受信部118とを備える。
【0019】
送受信部118は、飛翔体200などの外部端末または外部装置との間で各種情報を送受信する。例えば、送受信部118は、飛翔体200から被写体の画像を受信したり、外部サーバから地図情報を受信したりする。被写体の画像には、被写体の位置情報およびカメラ座標が含まれる。ここで、被写体の位置情報とは、被写体の撮影位置を示す情報であって、例えば、被写体が撮像された箇所の位置を示す緯度経度情報などである。
【0020】
取得部111は、送受信部118を介して、飛翔体200から被写体の画像を取得する。具体的には、取得部111は、所定の撮影位置ごとに一部が相互に重複する複数の画像(例えば、一つの撮影位置において8枚の画像など)を取得する。また、所定の撮影位置とは、被写体の撮影箇所として被写体の部分ごとに定められた撮影位置のことであり、例えば、被写体である鉄塔300を構成する部材ごとの撮影位置であってもよいし、上面、側面、背面、下面、内側面などのように三次元画像の展開図を構成する各面として一律に定められた撮影位置であってもよい。
【0021】
例えば、図3(a)〜図3(b)は、所定の撮影位置ごとに一部が重複する画像を示す図である。図3(a)〜図3(c)は、所定の撮影位置として、鉄塔300に含まれる部材301の撮影位置が定められている場合において、相互に重複して撮像された3枚の画像である。図3(a)では、部材301の下部が画像フレームから切れており、下部以外は図3(b)と重複する。また、図3(b)において部材301は全景が画像フレームに含まれており、図3(a)および図3(c)の一部と重複する。また、図3(c)では、部材301の上部が画像フレームから切れており、上部以外は図3(b)と重複する。
【0022】
色彩定義部112は、取得部111により取得された画像に含まれる色彩のうち被写体の劣化症状と認定する色彩を定義する。具体的には、色彩定義部112は、画像を所定の画素数からなる領域に分割し、分割した領域に含まれる色彩のうち被写体の劣化症状と認定する色彩を領域ごとに定義する。図4は、色彩定義部112により所定の領域ごとに分割された画像の一例を示す図である。図4に示す画像では、縦方向および横方向ともにそれぞれ4分割されており、全部で16領域に分割されている。また、各領域には、画像における座標が付与されている。例えば、画像における最下段の左端列に位置する領域に座標(x1、y1)が付与されており、当該領域を基準に右列に位置する領域に対して順に1座標ずつ大きい数値のx座標が付与されており、当該領域を基準に上段に位置する領域に対して順に1座標ずつ大きい数値のy座標が付与されている。
【0023】
また、色彩定義部112は、分割した領域に含まれる色彩のうち被写体の劣化症状として錆や亀裂を認定する色彩を定義する。具体的には、色彩定義部112は、画像情報データベース141から色彩サンプル情報を参照し、分割した領域(以下、分割領域という。)ごとに当該領域に含まれる色彩のうち劣化症状として認定する色彩を定義する。また、色彩定義部112は、劣化症状として認定する色彩を複数のレベル分けして定義してもよい。例えば、色彩定義部112は、劣化症状として認定する色彩を、軽度の劣化症状を示すレベルから高度の劣化症状を示すレベルまで5段階のランクに分けて定義する。
【0024】
画像分類部113は、取得部111により取得された複数の画像を所定の撮影位置ごとに対応付けてグルーピングする。例えば、画像分類部113は、図3(a)〜図3(c)に示す3枚の画像をグルーピングして、部材301の撮影位置に対応付ける。なお、グルーピングされる画像の数は、一つの撮影位置に対して複数あればよい。
【0025】
関連部116は、取得部111により取得された画像と、詳細を後述する生成部115により生成された三次元画像とを位置情報で関連付ける。例えば、関連部116は、グルーピングされた画像群と、生成部115により生成された三次元画像とを所定の撮像位置が示す位置情報で関連付けてもよい。また、関連部116は、抽出部114により抽出された画像に画像IDを付与し、画像IDを付与した画像を生成部115により生成された三次元画像の展開画像の位置情報と関連付ける。
【0026】
生成部115は、画像に含まれる位置情報を用いて被写体の三次元画像を生成する。生成部115は、撮影位置ごとに一部が重複する複数の画像の中から一画像を選定し、選定した画像に含まれる各構成物を画像から切り取って三次元画像の展開図を生成し、生成した展開図に含まれる位置情報をもとに三次元画像を生成する。図5は、被写体を構成する全ての構成物を一画像に示した図である。図5では、各構成物の画像が便宜上一画像上に展開されており、各構成物を示す画像部分には位置情報が含まれている。また、図6は、生成部115により二次元画像をもとに生成された被写体である鉄塔300の三次元画像の一例を示す図である。図6に示す鉄塔300の三次元画像のうち符号が付された構成物である部材302、部材303、部材304は、図5における同一符号が付された部材302、部材303、部材304とそれぞれ同一である。より詳細には、例えば、生成部115は、取得部111により取得された画像を空中三角測量の処理により三次元化し、三次元モデルのフレームを生成する。次に、生成部115は、各画像に含まれる相対的なカメラ座標((位置:xyz座標)、(回転:opk座標))を取得し、各画像のラップ率およびラップ領域を特定する。さらに、生成部115は、特定したラップ率と、ラップ領域と対応する箇所の画像の色とから、各三次元画像に含まれる部品の各場所の色としてのテクスチャを生成する。そして、生成部115は、生成したテクスチャを三次元モデルのフレームに貼付し、三次元画像を生成する。
【0027】
抽出部114は、複数の画像の中で色彩定義部112により定義された色彩が含まれる画像を分割領域ごとに抽出する。具体的には、抽出部114は、図5に示した展開図に対して、色彩定義部112により定義された色彩の箇所を抽出する。図5では、鉄塔300の部材302、部材303、部材304において各黒塗りで表示されている箇所が、抽出部114により抽出された色彩の箇所を示す。そして、当該色彩の箇所は、図6における鉄塔300の三次元画像においても同様に、図5における黒塗りされた箇所に対応する部材302、部材303、部材304において各黒塗りで表示されている。また、抽出部114は、画像分類部113によりグルーピングされた画像の中から、色彩定義部112により定義された色彩の特徴量が最も多い画像を抽出する。さらに、抽出部114は、画像分類部113によりグルーピングされた画像の中から、画像に含まれる色彩の特徴量が画像の中心により近い位置に含まれる画像を抽出してもよい。なお、例えば、抽出部1134により劣化部位が抽出される被写体となる設備としては、鉄塔、鋼管柱、コンクリート柱、建物又は橋梁などがある。
【0028】
表示制御部117は、三次元画像において、関連部116により関連付けられた画像のうち抽出部114により抽出された画像に含まれる色彩を識別可能に表示する。例えば、表示制御部117は、三次元画像のうち抽出部114により抽出された画像に含まれる色彩をハイライト表示する。
【0029】
また、表示制御部117は、生成部115により生成された三次元画像を画像の中のいずれか一部の指定を受け付け可能な表示情報を入出力部130に出力し、指定を受け付けた箇所に対応する二次元画像を出力する。例えば、表示制御部117は、三次元画像に含まれる構成物(部材)、または、部位の中からいずれかの指定を受け付けた場合に、指定を受け付けた箇所の位置情報に関連付けられたグルーピングされた画像群を入出力部130に表示する。なお、表示の方法は、グルーピングされた画像群の画像が一つずつ順次表示されてもよいし、グルーピングされた画像群の全ての画像、または複数の画像のプレビュー画像が同時に表示され、その中からユーザによる選択により全画像が表示されてもよい。
【0030】
次に、画像生成装置100による被写体の三次元画像の生成処理について説明する。図7は、画像生成装置100による被写体の三次元画像の生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0031】
取得部111は、飛翔体200から画像を取得する(ステップS1)。色彩定義部112は、ステップS1において取得された画像を所定領域に分割する(ステップS2)。色彩定義部112は、色彩を定義する(ステップS3)。
【0032】
画像分類部113は、撮影位置ごとに画像をグルーピングする(ステップS4)。生成部115は、撮影位置ごとに一画像を選定する(ステップS5)。生成部115は、ステップS5において選定した画像から三次元画像の展開図を生成する(ステップS6)。
【0033】
抽出部114は、ステップS3において定義された色彩を含む画像を抽出する(ステップS7)。例えば、抽出部114は、複数の画像の中から定義された色彩を最も多く含む画像を抽出する。関連部116は、ステップS7において抽出された画像に対して画像IDを付与する(ステップS8)。関連部116は、ステップS8において画像IDを付与した画像を展開図と関連付ける(ステップS9)。
【0034】
表示制御部117は、ステップS7において抽出された画像のうち定義された色彩の箇所を他の箇所と識別可能に表示する(ステップS10)。例えば、表示制御部117は、三次元画像において定義された色彩の箇所をハイライト表示する。生成部115は、ステップS6において生成した三次元画像の展開図、および、ステップS10においてハイライト表示された画像を用いて被写体の三次元画像を生成する(ステップS11)。
【0035】
このように、本実施形態における画像生成装置100によれば、飛翔体200から取得した複数の画像を用いて三次元画像を生成し、同一箇所の劣化症状を示す画像が複数ある場合であっても、生成した三次元画像における該当箇所に当該複数画像を関連付けるので、効率的かつ一目瞭然に劣化症状が発生した位置を特定し得る三次元画像を生成することができる。
【0036】
図8は、本実施形態における画像生成装置100を実現可能なコンピュータ20の一例を示すハードウェア構成図である。図8に示すように、コンピュータ20は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23、HDD(Hard Disk Drive)24、通信インターフェース(I/F)25、入出力インターフェース(I/F)26、およびメディアインターフェース(I/F)27を備える。
【0037】
CPU21は、ROM23またはHDD24に格納されたプログラムにより動作し、各部の制御を行う。ROM23は、コンピュータ20の起動時にCPU21によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ20のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0038】
HDD24は、CPU21によって実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェース25は、通信回線を介して外部機器から受信したデータをCPU21に送り、CPU21が生成したデータを、通信回線を介して外部機器に送信する。
【0039】
CPU21は、入出力インターフェース26を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU21は、入出力インターフェース26を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU21は、生成したデータを、入出力インターフェース26を介して出力装置へ出力する。
【0040】
メディアインターフェース27は、記憶媒体28に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM22を介してCPU21に提供する。CPU21は、当該プログラムを、メディアインターフェース27を介して記憶媒体28からRAM22上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記憶媒体28は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)等の光学記憶媒体、磁気記憶媒体、または半導体メモリ等である。
【0041】
コンピュータ20が本実施形態における画像生成装置100として機能する場合、コンピュータ20のCPU21は、RAM22上にロードされたプログラムを実行することにより、取得部111、色彩定義部112、画像分類部113、抽出部114、生成部115、関連部116、表示制御部117、送受信部118の各機能を実現する。また、HDD24には、画像情報データベース141内のデータが格納される。
【0042】
画像生成システムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。コンピュータ20のCPU21は、これらのプログラムを、メディアインターフェース27を介して上記の記憶媒体から読み取って実行するが、他の例として、外部装置から、通信回線を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0043】
なお、画像生成システムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)、Python、Rubyなどのスクリプト言語、C言語、C++、C#、Objective-C、Swift、Java(登録商標)などのコンパイラ言語などを用いて実装できる。
【符号の説明】
【0044】
1 画像生成システム
100 画像生成装置
110 制御部
111 取得部
112 色彩定義部
113 画像分類部
114 抽出部
115 生成部
116 関連部
117 表示制御部
118 送受信部
120 通信制御部
130 入出力部
140 記憶部
141 画像情報データベース
200 飛翔体
300 鉄塔
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