(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
本発明の交換部品が装着されたリールシートの一実施形態について
図1〜
図20を参酌しつつ説明する。本実施形態におけるリールシートは、両軸リール100を釣竿に取り付けるためのものであって、一般的には、使用状態において両軸リール100は上側を向く。両軸リール100は種々の形状であってよいが、一例を
図18〜
図20に示している。両軸リール100は、リール本体と、リール脚101とを備えている。リール本体は、左右一対の側壁部102,103と、該左右の側壁部102,103間に位置し、左右の側壁部102,103に回転可能に支持されるスプール104と、該スプール104を回転させるためのハンドル105と、スプール104の回転とハンドル105の回転とを連結、解除するためのクラッチ106とを備えている。左右一対の側壁部102,103は、互いに略同一形状であって、本実施形態では正面視の形状が円形であって、略円板状の形状となっているが、正面視の形状が前後方向に長い楕円形等であってもよい。左右一対の側壁部102,103は、平面視において左右平行に並んでいて、前後所定箇所において互いに連結されている。また、
図20のように平面視において、左右の側壁部102,103は、竿本体1を中心として左右均等に配置される。そして、平面視において、左側の側壁部103は、竿本体1よりも左側に突出、あるいは、はみ出すように位置し、右側の側壁部102は、竿本体1よりも右側に突出、あるいは、はみ出すように位置している。何れにしても、釣竿に両軸リール100を取り付けた状態では、左右の側壁部102,103は、それぞれ竿本体1に対して側方に向けて左右均等にはみ出した状態となる。スプール104は、左右方向の軸線回りに回転して釣り糸を巻き取る。ハンドル105は、左右の側壁部102,103の何れかに回転可能に設けられ、本実施形態では右側の側壁部102に設けられていて、右ハンドル仕様となっているが、左側の側壁部103に設けられた左ハンドル仕様であってもよい。ハンドル105は、スプール104と同様に、左右方向の軸線回りに回転する。ハンドル105とスプール104は同軸上にあってもよく、即ち、ハンドル105の回転中心線とスプール104の回転中心線が一直線状に位置していてもよいが、ハンドル105の回転中心線とスプール104の回転中心線が同一線上にはなくて平行関係にあってもよい。リール脚101は、両軸リール100をリールシートに取り付けるためのものである。リール脚101は、リール本体の下端部に設けられていて、前後方向に延びている。
【0017】
リールシートは、竿本体1(ブランク)に外装着される筒状の構成であって、リールシート本体と、保持部材としての保持用ナット3と、図示しないフード用ナット及び可動フードとを備えている。リールシートの中心線は竿本体1の中心線と一致する。リールシートの軸線方向はリールシートの中心線の方向であり、竿本体1の軸線方向は竿本体1の中心線の方向である。リールシートの軸線方向と竿本体1の軸線方向は一致する。リールシートの軸線方向を前後方向と称する。前側は竿先側であり、後側は竿尻側である。
図1に前側を矢印X1で示し、後側を矢印X2で示している。また、後述するリール脚載置部5を上側とし、それとは反対側を下側とする。
図1に上側を矢印Y1で示し、下側を矢印Y2で示している。
【0018】
リールシート本体は、全体として筒状であって、その内側を竿本体1が挿通する。従って、リールシート本体は、竿本体1が挿通する竿挿通孔4を有している。リールシート本体は、竿本体1の所定位置に取り付けられる。リールシート本体は竿本体1の外周面に直接接着固定されたり、竿本体1の外周面との間に筒状のスペーサ(図示省略)を介して接着固定されたりする。
【0019】
リールシート本体は、リール脚載置部5と、固定フード部6と、フード用雄ネジ部7と、保持用雄ネジ部8と、側方膨出部60と、サポート壁部61と、パーミンググリップ部70とを備えている。リール脚載置部5は、
図18〜
図20に示しているリール脚101を載置するための部分であって、リールシート本体の上面に形成されている。該リール脚載置部5の後側に固定フード部6が形成されている。固定フード部6は、リール脚101の後端部を保持するための部分であって、固定フード部6には、リール脚101の後端部が前側から挿入される。
【0020】
一方、リールシート本体の前部外周面にフード用雄ネジ部7が形成されている。該フード用雄ネジ部7には、フード用ナットが螺合する。該フード用ナットの後側に可動フードが位置し、可動フードはリールシート本体に対して前後方向に移動可能であるが回転不能である。可動フードは筒状であって、その全周のうちの上部に部分的に径方向外側に膨出したフード部が形成されている。可動フードのフード部は、リール脚101の前端部を保持する部分であって、そのフード部にリール脚101の前端部が相対的に後側から挿入される。フード用ナットの後端部は可動フードの前端部に相対回転可能に係止されていて、フード用ナットが回転しながら前後に移動すると、それに合わせて可動フードは前後に移動するものの回転はしない。フード用ナットを後側に移動させることで可動フードを固定フード部6に接近させることができて可動フードと固定フード部6でリール脚101を前後に狭持して固定する。逆に、フード用ナットを前側に移動させると、可動フードは固定フード部6から前側に離れていき、両軸リール100を釣竿から取り外すことができる。
【0021】
リールシート本体の後部外周面には、保持用ナット3が螺合する保持用雄ネジ部8が形成されている。該保持用雄ネジ部8は固定フード部6よりも後側に位置している。尚、保持用雄ネジ部8の後側には、雄ネジ部が形成されていない平滑な外周面が後端まで存在しており、その平滑な外周面の長さは、保持用雄ネジ部8の長さと同等あるいはそれよりも長い。
【0022】
<側方膨出部60>
リールシート本体は、左右非対称の形状となっている。リールシート本体は、左右両側面のうち何れか一方の側面のみに左右方向の外方に向けて膨出した側方膨出部60を有している。本実施形態におけるリールシートは、右側にハンドル105を備えた両軸リール100を取り付けるためのもの、即ち、右ハンドル仕様のものである。そのため、側方膨出部60は、リールシート本体の左側の側面のみに形成されている。側方膨出部60は、パーミング時に、手の平のうち人差し指から小指までの四本の指の付け根の関節部分(MP関節)、ないしは、触球部に当接してそれを支持する部分である。側方膨出部60の前端部は、最も後側まで移動した状態の可動フードの後端部の近傍に位置する。側方膨出部60の後端部は、後述する筒状のグリップ体16の前端部の近傍あるいは前後方向中間部の近傍に位置する。
【0023】
側方膨出部60は、その下端から上端に向けて徐々に側方への膨出量が大きくなる形状となっている。側方膨出部60の外面は、リールシート本体の下面から滑らかに連続しており、上方に向けて徐々に外方に傾斜しつつ延びている。従って、側方膨出部60の外面は、下から上に向けて外方に向かう傾斜面となっている。側方膨出部60の前部上面60aは、リール脚載置部5に対して若干下側に位置しているか、あるいは、リール脚載置部5と略同一の高さとなっている。何れにしても、側方膨出部60の前部上面60aは、リール脚載置部5よりも上方には突出しない高さとなっている。尚、
図20のように両軸リール100をリールシートに取り付けた状態では、平面視において、側方膨出部60は、両軸リール100の左側の側壁部103よりも外方(側方)には突出しない。従って、側方膨出部60の上面の外縁(外面の上端)は、両軸リール100の左側の側壁部103よりも内方に位置する。
【0024】
<サポート壁部61>
一方、
図1及び
図3のように、側方膨出部60の後部には、サポート壁部61が上方に向けて突設されている。サポート壁部61は、パーミング時に手の平に当接してその手の平を内側から支えるためのものである。
図2、
図3、
図14のように、サポート壁部61は、固定フード部6の側方に位置する。サポート壁部61は、左右方向の内側に内面を有し、左右方向の外側に外面を有する形状であって、その内面と外面との間の寸法を厚さとする板状である。即ち、サポート壁部61の板厚方向は左右方向である。サポート壁部61の内面は、リールシート本体の中心線に対して側方に離間した位置にあって、竿本体1の中心線と略平行であって且つ略垂直上方に起立している。サポート壁部61の内面は、固定フード部6の上面と連続してその上面から上方に立ち上がるように延びていてもよいが、本実施形態では、固定フード部6の左側の側面の下端部から上方に向けて立ち上がるように延びている。従って、固定フード部6とサポート壁部61との間には谷部ないし渓谷部が形成されている。サポート壁部61の外面は、側方膨出部60の外面と滑らかに連続している。上述のように側方膨出部60の外面は上側ほど外側となるように傾斜しているが、サポート壁部61の外面は、逆に上側ほど内側となるように傾斜している。側方膨出部60の外面とサポート壁部61の外面は、セットになって、外側に突出するように湾曲した一つの湾曲面を構成していることが好ましい。また、サポート壁部61の肉厚は、上側に向けて徐々に薄くなっていることが好ましく、後側に向けて徐々に薄くなっていることが好ましい。
【0025】
サポート壁部61は、固定フード部6の頂部6aよりも上方に突出しており、サポート壁部61の最上部64は、固定フード部6の頂部6aよりも後側に位置している。サポート壁部61の上面には、後側に向けて徐々に上昇するように傾斜した前側傾斜面62と、該前側傾斜面62の後側に延設され、後側に向けて徐々に下降するように傾斜した後側傾斜面63とが設けられている。前側傾斜面62は、側方膨出部60の前部上面60aと連続しており、その前部上面60aから後側に向けて徐々に上昇している。尚、前側傾斜面62の前端部62aは固定フード部6よりも前側に位置している。前側傾斜面62は、サポート壁部61の最上部64まで上昇している。サポート壁部61の最上部64は、前側傾斜面62と後側傾斜面63との境界部であって、後側傾斜面63は、サポート壁部61の最上部64から後側に向けて徐々に下降している。後側傾斜面63は、固定フード部6の後端部よりも後側の位置まで延びていて、サポート壁部61の後面65と接続している。前側傾斜面62及び後側傾斜面63は、外側に向けて下降するように傾斜したテーパ面となっていることが好ましい。特に、前側傾斜面62よりも後側傾斜面63の方が、外側に向けて大きな角度で下降していることが好ましい。尚、前側傾斜面62や後側傾斜面63がサポート壁部61の外面と滑らかに連続していてもよい。サポート壁部61の後面65は、外側ほど前側となるように傾斜したテーパ面となっていることが好ましい。
【0026】
<パーミンググリップ部70>
リールシート本体の下部にパーミンググリップ部70が形成されている。該パーミンググリップ部70は、パーミング時に人差し指から小指の裏面(手の平側の面)に当接してそれを支持する。パーミンググリップ部70は、リールシート本体の下面のうち、リール脚載置部5の下側に対応した部分及び固定フード部6の下側に対応した部分に形成されていると共に、固定フード部6の下側に対応した部分を後側に越えて、保持用雄ネジ部8の前後方向中央部近傍の下側位置まで延びている。パーミンググリップ部70の下面には、後側に向けて徐々に下降していく下方傾斜面71が形成されている。下方傾斜面71は、パーミンググリップ部70の下面のうち後端近傍部を除いた領域全体に形成されている。下方傾斜面71は、後側に向けて直線的に下降する形状であってもよいが、本実施形態では、後側に向けて傾斜角度が徐々に大きくなるように上側に向けて湾曲した形状となっている。従って、下方傾斜面71の後部においては、竿本体1の中心線から大きく下方に離れていく。下方傾斜面71の前後方向中央部に対応したその上方の位置に、サポート壁部61の最上部64が位置している。
【0027】
パーミンググリップ部70は、その後部に下方に向けて突出した突起部72を有している。突起部72は、上下方向に対して後側に所定角度傾斜した方向に向けて突出している。また、突起部72の前後方向の寸法は、突起部72の下端部72a(先端部)に向けて徐々に小さくなっている。そして、下方傾斜面71は、突起部72の下端部72aまで滑らかに連続して延びており、下方傾斜面71の後端部は突起部72の下端部72aとなっている。尚、
図14のように突起部72の左右方向の幅は、下端部に向けて徐々に小さくなっている。突起部72は、サポート壁部61よりも後側に位置しており、特に、突起部72の下端部72aの前後方向の位置は、サポート壁部61の最上部64の前後方向の位置よりも後側であり、サポート壁部61の後面65よりも後側である。パーミンググリップ部70は、突起部72の後側に、突起部72の後面の上端部(基端部)から後側に向けて延びる後方延在部73を備えている。該後方延在部73は、グリップ体16の径方向外側であって下側に位置している。
【0028】
<両軸リール100の取付状態>
図18〜
図20に、竿本体1に装着したリールシートに両軸リール100を取り付けた状態を示している。両軸リール100が釣竿の上側に位置する状態を通常の状態とする。両軸リール100のハンドル105は右側に位置し、側方膨出部60とサポート壁部61はハンドル105とは反対側である左側に位置する。
図20のように、側方膨出部60は、平面視において、両軸リール100の左側の側壁部103よりも外方に突出せず、内側、即ち、竿本体1の中心線側に位置する。
図18のように、側方膨出部60の前部上面60aは、両軸リール100の左側の側壁部103の下面前部の下側に所定の隙間を空けつつ対峙するように位置する。側壁部103の下面前部とは、側壁部103の下面のうち最下部103aよりも前側の部分である。
【0029】
サポート壁部61は、両軸リール100の左側の側壁部103の直後に位置する。サポート壁部61の前側傾斜面62は、両軸リール100の左側の側壁部103の下面後部103bの後側に所定の隙間を空けつつ対峙するように位置する。側壁部103の下面後部103bとは、側壁部103の下面のうち最下部103aよりも後側の部分である。サポート壁部61の前側傾斜面62の前端部62aは、両軸リール100の左側の側壁部103の最下部103aの直下もしくはその近傍に位置する。両軸リール100の左側の側壁部103の下面後部103bは、
図18のように、両軸リール100の左側の側壁部103の最下部103aから後側に向けて徐々に曲線を描きつつ立ち上がっていくが、その立ち上がり形状に対応するように、サポート壁部61の前側傾斜面62はその前端部62aから後側に向けて徐々に曲線を描きつつ立ち上がっていく。そして、サポート壁部61の最上部64は、両軸リール100の左側の側壁部103の最後部103cの直後もしくはその近傍に位置し、サポート壁部61の最上部64の高さは、両軸リール100の左側の側壁部103の最後部103cの高さと同程度あるいはそれよりも若干低い状態となる。
【0030】
図20のように、サポート壁部61は、平面視において、両軸リール100の左側の側壁部103よりも外方には突出せず、それよりも内側に位置する。一方、サポート壁部61の内面は、竿本体1の中心線に対して外方に所定距離離間しており、サポート壁部61はクラッチ106とは干渉せず、クラッチ106の後方は開放された状態にある。
【0031】
<パーミング時>
図19及び
図20にパーミング時における左手を二点鎖線で示している。パーミング時には、左手で両軸リール100とリールシートを包み込むようにして把持する。具体的には、左手の親指の腹の部分を両軸リール100の左側の側壁部103の上面(特には上面の最上部)に当て、人差し指から小指までの四本の指でパーミンググリップ部70を把持する。人差し指から小指までの四本の指を
図19のようにパーミンググリップ部70の下方傾斜面71に当てるようにして把持すると、四本の指による把持力はパーミンググリップ部70の下方傾斜面71に
図19に矢印Pで示しているように斜め上方且つ後方に向かって作用する。矢印Pの方向の延長線上にはサポート壁部61が位置している。即ち、サポート壁部61は、矢印Pの方向に沿って上方且つ後方に斜め方向に突出している。そして、パーミング時に、サポート壁部61の後側傾斜面63は、手の平の母指球に当接する。従って、手の平の母指球と人差し指から小指までの四本の指で、リールシートを斜め方向に把持することになる。また、側方膨出部60の外面は人差し指から小指の付け根に位置する触球部に当接し、触球部と母指球との間の手の平の中央部にはサポート壁部61の外面が当接する。
【0032】
このようにリールシート本体の左側部にサポート壁部61が形成されているので、パーミング時に左手の手の平にサポート壁部61の外面が当接し、左手の手の平が両軸リール100の左側の側壁部103の直後においてサポート壁部61によって内側から支えられることになる。また、リールシート本体の左側部には側方膨出部60が形成されているので、側方膨出部60とサポート壁部61とによって、パーミング時のフィット感が向上する。また、良好なフィット感が得られるので、釣り人の手の負担が軽減され、長時間楽に釣りを行うことができる。
【0033】
特に、サポート壁部61の前側傾斜面62が両軸リール100の左側の側壁部103の下面後部103bに対峙するので、サポート壁部61の外面が自然な状態で手の平にフィットする。サポート壁部61の前側傾斜面62は、両軸リール100の左側の側壁部103の下面後部103bの立ち上がり形状に沿って後側に向けて斜め上方に傾斜しているので、両軸リール100の左側の側壁部103の下面後部103bとサポート壁部61との間に大きな空間が空きにくく、パーミング時のホールド感、フィット感に優れる。また、サポート壁部61の上面に後側傾斜面63が設けられていて、その後側傾斜面63が手の平の母指球に当接するので、パーミング時のフィット感がより一層向上する。
【0034】
しかも、パーミンググリップ部70に下方傾斜面71が形成されているので、下方傾斜面71を中指や薬指等の指で内側に押すことで、サポート壁部61に手の平の母指球が自然と当接することになる。パーミンググリップ部70の下方傾斜面71とサポート壁部61の後側傾斜面63が同じ方向に傾斜しているので、リールシートを斜め方向にしっかりと把持することができる。そして、手の平の母指球にサポート壁部61の下方傾斜面71をしっかりと押し付けることができるので、両軸リール100及びリールシートと手の平との密着性がより一層高まる。また、パーミンググリップ部70の下方傾斜面71の傾斜角度が後側に向けて徐々に大きくなっているので、小指までしっかりと把持することができ、手の負担が軽減される。
【0035】
<リールシート本体の部材構成>
次に、本実施形態におけるリールシート本体の部材構成について説明する。リールシート本体は、互いに分離可能な複数の部材から構成されている。リールシート本体は、固定部材と該固定部材とは別体に構成された交換部材11とを備えている。固定部材は、竿本体1に接着固定される。固定部材は、リールシート本体の主要部を構成していて、リール脚載置部5と固定フード部6とフード用雄ネジ部7と保持用雄ネジ部8を有している。交換部材11は、リールシート本体の下側部分を構成していて、固定部材に対して下方に分離可能であって、下方から着脱自在に取り付けられる。交換部材11は、側方膨出部60とサポート壁部61とパーミンググリップ部70を有している。
【0036】
<固定部材>
固定部材は、一つの部材から構成されていてもよいが、本実施形態では互いに別体にて構成された前後二つの部材から構成されている。即ち、固定部材の前側部分であって主要部である本体部材12と、固定部材の後側部分を構成する筒状部材13とから構成されている。本体部材12と筒状部材13は前後に接合されている。詳細には、本体部材12の後端面12aと筒状部材13の前端面13aとが前後方向に対峙するように面接触していて、本体部材12と筒状部材13はネジ14により一体化されている。但し、本体部材12と筒状部材13の取り付け方法はネジ14に限られず任意であって接着等であってもよい。
【0037】
<本体部材12>
本体部材12にリール脚載置部5と固定フード部6とフード用雄ネジ部7が形成されている。本体部材12は全体としては筒状であるが、その前後方向の中途部は、全周のうち下側略半分の領域が切り欠かれていて上側の略半分の領域のみとされている。即ち、本体部材12は、前側から順に、筒状の前筒部20と、上側のみの上半割状とされた上半割状部21と、筒状の後筒部22に区分される。前筒部20にはフード用雄ネジ部7が形成され、主として上半割状部21の上面にリール脚載置部5が形成され、後筒部22には固定フード部6が形成されている。このように上半割状部21は上側領域のみの半割状とされていることから、竿挿通孔4は上半割状部21において下方に開口している。また、上半割状部21の前後には、二つの筒部である前筒部20と後筒部22が形成されていて、それらの前筒部20と後筒部22において竿本体1の外周面に全周に亘って直接あるいは間接的に固定されるので、上半割状部21を有していても、竿本体1に本体部材12を確実に固定できる。前筒部20はその後端部を除いて交換部材11には覆われずに外部に露出する一方、後筒部22はその上側領域については交換部材11によって覆われずに外部に露出するもののその下側領域については交換部材11によって覆われるため外部には露出しない。
【0038】
本体部材12に下方から交換部材11が取り付けられる。そのため、本体部材12の下側部分の外面には、交換部材11が径方向外側から重なり合う重ね合わせ面23が形成されている。
図5において重ね合わせ面23の箇所には多数のドットを付して示している。重ね合わせ面23においては本体部材12と交換部材11とが内外重なり合って二重の構成となる。具体的には、重ね合わせ面23は、前筒部20の後端部の下部から上半割状部21、後筒部22の下部にかけて形成されていて、交換部材11が本体部材12に取り付けられた状態では交換部材11によって覆われて見えなくなる。
【0039】
重ね合わせ面23は、本体部材12の外面に対して一段径方向内側に位置するようにして形成されている。即ち、重ね合わせ面23と本体部材12の外面との間の境界部には段差部が形成されている。段差部は、重ね合わせ面23の前端部に位置する前段差部24と、該前段差部24の上端部から後方に延びていて本体部材12の後端部まで達する上段差部25とから構成されている。前段差部24は、最下部から左右両側に向けて左右対称関係を有して上方に延びていて、前後方向に見たときには略U字状に形成されている。より詳細には、前段差部24は、最下部から前側に傾斜しつつ上方に延びていて、従って、前段差部24は前側ほど上側となる傾斜面を有しており、該傾斜面は左右それぞれ形成されている。本実施形態では、前段差部23の全長に亘って傾斜面が形成されている。また、前段差部24が、交換部材11の前端部40を受け止める受け部を構成していると共に、交換部材11の前端部40を下側から係止する係止部を構成している。
【0040】
重ね合わせ面23は、上半割状部21においては前後方向に延びていて左右一対形成されている。かかる上半割状部21における左右一対の重ね合わせ面23には、それぞれ中間係止部として係止凸部26が形成されている。左右の重ね合わせ面23はそれぞれ左右外側を向いており、係止凸部26は左右外側に向けて突設されている。係止凸部26は上段差部25から下方且つ後方に向けて延びていて、その下端部は重ね合わせ面23の下端部よりも下方に突出している。尚、係止凸部26の下端部は前後方向に円弧状に湾曲している。係止凸部26は上半割状部21の後部に位置していて、上段差部25の中間部に位置しており、左右一対の係止凸部26は互いに対向配置となっている。
【0041】
図6のように、本体部材12の後端面12aが筒状部材13との接合面となっている。該接合面は前後方向に対して直交した面であって竿挿通孔4の後端開口部の全周に亘って形成されている。該接合面の上部には、後方に向けてカバー片部27が庇状に突設されている。該カバー片部27は、
図14に示しているように、後方から見て円弧状であって、その中心角は180度未満である。また、接合面の全周のうちの上部は局所的に径方向の寸法が大きくなっており、その左右方向の中央部には、筒状部材13を本体部材12にネジ止めするための下孔28が形成されている。該下孔28は、カバー片部27の基端部の直ぐ下側に位置している。
【0042】
<筒状部材13>
筒状部材13の前端面13aが筒状部材13の接合面となっている。該筒状部材13の接合面も前後方向に対して直交する面となっており、本体部材12の接合面に筒状部材13の接合面が後側から当接して、本体部材12と筒状部材13は互いに同軸上に接合一体化される。筒状部材13の前部の外周面には第一膨出部31と第二膨出部32が形成されている。第一膨出部31は筒状部材13の前端部に位置していて、第二膨出部32は第一膨出部31の後側に連設されている。第一膨出部31は、上方に向けて鍔状に膨出していて、筒状部材13が本体部材12に取り付けられた状態において本体部材12のカバー片部27の径方向内側に入り込んだ状態となる。即ち、第一膨出部31は、カバー片部27によって径方向外側から覆われ、第一膨出部31の後面はカバー片部27の後端面と略面一となる。第一膨出部31の上面は周方向に湾曲した周面(湾曲面)であって、カバー片部27の内面と対峙する。第二膨出部32は第一膨出部31と同様に上方に向けて鍔状に膨出しているが、その高さは第一膨出部31よりも低く、上方への膨出量は小さい。第二膨出部32の上面も周方向に湾曲した周面であって、後述する交換部材11の突片部45の外周面と略同一半径で略同一円上に位置する。
【0043】
図7のように、第一膨出部31の上面の頂上部には、上方に開口したネジ14用のザグリ凹部33が形成されていると共にその前側にはネジ用貫通孔34が形成されており、該ザグリ凹部33からネジ用貫通孔34を介してネジ14が本体部材12の下孔28へとねじ込まれる。このように、筒状部材13は第一膨出部31の頂上部において一本のネジ14により本体部材12とネジ止めされる。ネジ14は仮止めとして機能していると共に、本体部材12と筒状部材13の間の周方向の位置決めの役割も担っている。リールシート単体では一本のネジ14で本体部材12の上部に筒状部材13がネジ止めされているが、竿本体1にリールシートが取り付けられた状態においては、本体部材12と筒状部材13は何れも竿本体1に接着される。尚、ネジ14の頭部は、本体部材12のカバー片部27の内側に位置し、カバー片部27の内側に隠れた状態となる。第二膨出部32の上面の頂上部には第一膨出部31のザグリ凹部33と連続する凹溝35が第二膨出部32を前後方向に横断するようにして形成されている。本体部材12に筒状部材13を合体させる組み立て作業時に、例えばドライバで凹溝35からネジ14を締め込み操作できる。第二膨出部32の後側に保持用雄ネジ部8が形成され、該保持用雄ネジ部8の後端部から筒状部材13の後端部までの部分の外周面は凹凸のない平滑な外周面となっている。
【0044】
<交換部材11>
交換部材11は、本体部材12の上半割状部21の下側に開口している下方開口部を下方から覆う。交換部材11は、その全長のうちの大部分を占める主要部が下半割状に形成されていて、横断面視においては略半円の円弧状あるいは略U字状に形成されている。交換部材11の前端部40は、本体部材12の前段差部24に対応した形状となっている。本体部材12の前段差部24が左右一対の傾斜面を有していることから、交換部材11の前端部40もそれに対応して最下部から前側且つ上方に向けて傾斜して延びる傾斜面を有している。この交換部材11の前端部40の傾斜面が、本体部材12の係止部である傾斜面によって係止される。従って、交換部材11の前端部40の傾斜面が被係止部を構成している。
【0045】
交換部材11の内面には、本体部材12の重ね合わせ面23に対応して重ね合わせ面41が形成されている。尚、
図12において交換部材11の重ね合わせ面41の箇所には多数のドットを付して示している。また、交換部材11の内面の一部は竿挿通孔4の壁面42を構成している。重ね合わせ面41は竿挿通孔4の壁面42よりも径方向の一段外側に形成されている。また、交換部材11の前後方向の中途部の内面には、本体部材12の係止凸部26が係合する係止凹部43が形成されている。係止凹部43は、左右一対形成されており、本体部材12の係止凸部26に対応して、交換部材11の上端部から斜め後方に向けて形成されている。尚、係止凹部43は重ね合わせ面41に形成されているが、その下端部は重ね合わせ面41を下方に若干越えて竿挿通孔4の壁面42まで達している。
【0046】
交換部材11の下半割状部の後端部には、前後方向に対して直交する面である被押圧部としての被押圧面44と、該被押圧面44の径方向内側の端部から後方に突出する突片部45とが形成されている。被押圧面44は、下半割状部の後端面であって、そこから更に後方に向けて突片部45が突出している。交換部材11は下側半分の下半割状部を備えているが、その下半割状部の後端部においては下側の半周分(180度分)を越えて上方に向けて所定長さ延びている。
図10のように交換部材11の下半割状部の後端部を後方から見たとき、交換部材11の下半割状部の後端部は上方に開口したU字状ないしC字状となっており、被押圧面44も上方に開口したU字状ないしC字状となっている。そして、その被押圧面44の周方向の全周のうち所定長さ領域に突片部45が形成されている。該突片部45は、後方から見たとき、被押圧面44に対応してU字状ないしC字状であって、下側の半周分を越えて上方に所定長さ延びた形状となっている。但し、突片部45は被押圧面44の周方向の全長に亘って形成されてはおらず、被押圧面44の周方向の両端部44aには形成されていない。従って、被押圧面44の周方向の両端部44aは突片部45の周方向の両端部45aよりも上側に延びている。突片部45は薄肉に形成されているが、
図15のように、その先端部の外面には径方向外側に向けて係合突条46が突設されている。該係合突条46は突片部45の周方向に沿って延びていて突片部45の全長に亘って形成されている。このように突片部45の先端部に係合突条46が形成されていることにより、突片部45の先端部は突片部45の他の部分に比して局所的に厚肉となっている。
【0047】
交換部材11は固定部材に下側から嵌合し、その嵌合によって交換部材11は保持用ナット3がなくても自然落下しない程度に固定部材に保持されることが好ましい。また、本体部材12と筒状部材13との接合部15の全周のうち上部領域は、本体部材12に筒状部材13がネジ止めされることで、本体部材12のカバー片部27によって径方向外側から覆われているが、接合部15の全周のうち、カバー片部27によって覆われずに残った下部領域は、交換部材11が固定部材に嵌合することによって、その交換部材11により径方向外側から覆われる。従って、交換部材11が固定部材に取り付けられると、本体部材12と筒状部材13の接合部15は全周に亘って見えなくなる。
【0048】
このように交換部材11が固定部材に取り付けられた状態においては、本体部材12のカバー片部27の後端面27aの下側に交換部材11の被押圧面44が位置し、筒状部材13の第二膨出部32の下側に交換部材11の突片部45が位置する。そして、
図13のように、交換部材11の被押圧面44は、本体部材12のカバー片部27の後端面27aよりも後方に僅かに突出した状態となる。本体部材12のカバー片部27の後端面27aに対する交換部材11の被押圧面44の後方への突出量Dは僅かであって、1mm以下、好ましくは、0.1mm以上0.5mm以下である。このように交換部材11の被押圧面44が本体部材12のカバー片部27の後端面27aよりも後方に僅かに突出した状態となるので、主として交換部材11の被押圧面44が保持用ナット3によって前側に押圧されることになる。
【0049】
側方膨出部60は、交換部材11の主として下半割状部に形成されている。側方膨出部60は、下半割状部の全長に亘って形成されており、交換部材11の前端部40から少なくとも下半割状部の後端部即ち被押圧面44の位置まで連続的に形成されている。側方膨出部60は交換部材11には形成されているものの固定部材には形成されていない。同様に、サポート壁部61とパーミンググリップ部70は交換部材11には形成されているものの固定部材には形成されていない。従って、固定部材から交換部材11を取り外すことにより、側方膨出部60と、サポート壁部61と、突起部72を含めたパーミンググリップ部70は、一括的に固定部材から外れることになる。上述のように、リールシート本体は左右非対称の形状となっているが、固定部材は左右対称形状である。従って、交換部材11が左右非対称形状となっていることによってリールシート本体が左右非対称の形状となっている。
【0050】
<保持用ナット3>
保持用ナット3は筒状であって、径一定であってもよいが、本実施形態では、径が異なる複数の部分を有している。保持用ナット3の前端部には、他の部分よりも内径が大きい筒状のカバー部50を有している。保持用ナット3は、その内周面に、保持用雄ネジ部8と螺合する雌ネジ部51を有しているが、カバー部50の内径は雌ネジ部51よりも大きい。
【0051】
カバー部50は、交換部材11の突片部45と筒状部材13の第二膨出部32を径方向外側から覆う。カバー部50の内周面には周方向に延びる係合溝52が全周に亘って形成されている。即ち、係合溝52は環状に形成されている。該保持用ナット3の係合溝52に交換部材11の係合突条46が係合する。係合溝52は、カバー部50の内周面のうち先端部から所定長さ奥側の位置に形成されている。従って、保持用ナット3を締め付けていくと、保持用ナット3のカバー部50の先端部内周面が交換部材11の突片部45の係合突条46を乗り越えていって、その後、保持用ナット3のカバー部50の係合溝52に交換部材11の突片部45の係合突条46が係合する。
【0052】
保持用ナット3の前端面3aが、交換部材11の被押圧面44を前側に押圧する押圧部を構成している。保持用ナット3のカバー部50の外周面は、他の部分と同一径であってもよいが、本実施形態では他の部分よりも大径とされている。そのカバー部50の外周面の前端部には、環状のフランジ部53が径方向外側に向けて突設されている。このように保持用ナット3の前端部外周面に環状のフランジ部53を設けることで保持用ナット3の前端面3aの面積を拡大できる。
【0053】
カバー部50の後側に雌ネジ部51が形成されており、該雌ネジ部51の後端部から保持用ナット3の後端部までの間の内周面は平滑面となっている。尚、
図1等に二点鎖線で示しているように、保持用ナット3の外側には筒状のグリップ体16が装着される。該グリップ体16は例えば発泡EVAやコルク等からなる。グリップ体の前部の径方向外側であって下側の位置には、交換部材11のパーミンググリップ部70の後部が位置する。具体的には、グリップ体16の前部の径方向外側であって下側の位置には、パーミンググリップ部70の後方延在部73が位置する。パーミンググリップ部70の後方延在部73の内面は筒状部材13の保持用雄ネジ部8から下側に離れて位置しており、後方延在部73の内面と筒状部材13の保持用雄ネジ部8との間には所定の空間が存在している。その空間にグリップ体16が一体的に装着された保持用ナット3の前部が入り込むようになっている。
【0054】
<材質>
本体部材12、筒状部材13、交換部材11及び保持用ナット3は、何れも射出成形により形成してよい。材質としては、種々の合成樹脂であってよく、同一の材質であってもよいが、異なる材質とすることが好ましい。特に、本体部材12と交換部材11は、筒状部材13や保持用ナット3に比して相対的に強度の高い材質を使用することが好ましい。本体部材12と交換部材11の材質としては、繊維強化樹脂が好ましく、特に、長さが1mm以下の短繊維を強化繊維とした繊維強化樹脂が好ましい。また、その繊維としてはカーボン繊維が好ましい。一方、筒状部材13と保持用ナット3の材質も種々の硬質の合成樹脂であってよく、繊維強化樹脂を使用することも好ましく、例えば、ガラス繊維強化ナイロン樹脂製とすることができる。
【0055】
<リールシートの竿本体1への取り付け>
リールシート本体が竿本体1に固定される。リールシート本体は竿本体1の外周面に直接接着固定されたり、竿本体1の外周面との間に筒状のスペーサ(図示省略)を介して接着固定されたりする。固定部材が竿本体1に固定され、交換部材11は固定部材を介して竿本体1に着脱可能に取り付けられることになる。
【0056】
<交換部材11の取付、取り外し>
図16のように保持用ナット3を緩めた状態で交換部材11を本体部材12と筒状部材13に下側から嵌合させる。尚、筒状部材13は、予め本体部材12にネジ14により取り付けておく。交換部材11を下側から固定部材に嵌合した状態で、保持用ナット3を回転させて前側に移動させていくと、やがて保持用ナット3のカバー部50が交換部材11の突片部45に到達する。交換部材11の突片部45の外周面には係合突条46が形成されているので、保持用ナット3のカバー部50の内周面は交換部材11の突片部45の係合突条46を乗り越えながら前側へ強制的に進んでいく。そして、保持用ナット3のカバー部50の係合溝52が交換部材11の突片部45の係合突条46に係合すると、保持用ナット3の前端面3aが交換部材11の被押圧面44に当接し、そこから更に保持用ナット3を強く締め込むことで保持用ナット3が交換部材11を前側に押圧する。このように交換部材11が取り付けられた状態においては、筒状部材13は保持用ナット3によって覆われて見えなくなる。
【0057】
交換部材11の前端部40は本体部材12の係止部である傾斜面(前段差部24)によって係止されているので、交換部材11の前端部40の下方への落下が防止される。一方、交換部材11の後端部においては、突片部45が保持用ナット3のカバー部50によって径方向外側から覆われているので、交換部材11の後端部の下方への落下も防止される。しかも、保持用ナット3が交換部材11を前側に押圧しているので、交換部材11は保持用ナット3と本体部材12とによって前後に狭持される。従って、交換部材11がぐらついたりすることなく強固な取付状態が得られる。また、保持用ナット3が交換部材11を前側に押すと、本体部材12の傾斜面である前段差部24によって交換部材11の前端部40には上側への力が作用することになり、交換部材11が自動的に本体部材12側である上側へと移動して本体部材12にしっかりと密着することになる。
【0058】
交換部材11は保持用ナット3によって押圧されるため、交換部材11の前後方向の中途部が下方に撓む可能性があるが、本体部材12に中間係止部としての係止凸部26が形成されていて交換部材11の係止凹部43に係合しているので、交換部材11の前後方向の中途部が下方に撓んだり移動したりしにくくなって、より一層しっかりと交換部材11が固定される。特に、係止凸部26や係止凹部43が本体部材12の傾斜面(前段差部24)と同じ向きに傾斜しているので、保持用ナット3によって交換部材11が前側に押されることで、交換部材11の前端部40のみならず中途部においても上側への力が作用することになり、交換部材11を全長に亘ってしっかりと本体部材12に押し付けて固定することができる。
【0059】
また更に、交換部材11の突片部45の外周面に係合突条46が形成されていて保持用ナット3の係合溝52に係合するので、交換部材11をより一層強固に固定でき、且つ、取り付け状態を維持することができる。特に、突片部45が下側の半周分を越えて上側に延びていてその周方向の全長に亘って係合突条46が形成されているので、係合溝52と係合突条46との係合状態がより一層確実なものとなり、交換部材11の固定力を高めることができる。しかも、その突片部45よりも更に上側まで被押圧面44が延びているので、保持用ナット3による押圧力も確実に交換部材11に作用させることができる。
【0060】
一方、交換部材11を固定部材から取り外す際には、
図1に示すように交換部材11が取り付けられた状態から、
図17のように保持用ナット3を反対側に回転させて後進させることで、
図16のように交換部材11を固定部材から下方に向けて離反させることができる。このような交換部材11の取付、取り外し作業は、リールシート単体の状態で行うことができる他、釣竿にリールシートが取り付けられた状態のままでも行うことができる。即ち、竿本体1に固定部材が取り付けられた状態で、交換部材11を取り付けたり、取り外したりすることができる。
【0061】
従って、他の種類の交換部材11を準備しておけば、釣竿にリールシートが取り付けられている状態のまま交換部材11のみを交換することができる。例えば、左側にサポート壁部61が形成された交換部材11から、右側にサポート壁部61が形成された交換部材11に交換することもできる。従って、交換部材11のみを交換することで、左側にハンドル105を備えた両軸リール100を釣竿に取り付けることができる。また、サポート壁部61の形状や大きさ、側方膨出部60の膨出量、パーミンググリップ部70の下方傾斜面71の傾斜角度、突起部72の位置や大きさやその有無等、種々の仕様の交換部材11に容易に取り替えて楽しむことができる。また、交換部材11の材質や色、デザイン等が異なる他の交換部材11に容易に交換することもできる。そのため、釣り人の好みやリールの種類、対象魚や状況等に応じて、釣り人が自由にリールシートをカスタマイズして楽しむことができる。
【0062】
このような交換部材11の交換は、釣竿にリールシートが取り付けられた状態のままで行うことができるため、釣り人自らが容易に交換することができる。例えば、釣りの現場においても交換部材11を容易に交換でき、また、両軸リール100を釣竿に取り付けた状態のままでも交換部材11を交換することができる。特に、保持用ナット3の操作のみで交換することができるので、交換作業は極めて簡単であって素早く交換することができる。尚、交換部材11を取り外しても、リールシートにはリール脚載置部5や固定フード部6、可動フード、フード用ナットがそのまま残っているため、交換部材11を取り外したリールシートに両軸リール100を装着して釣りを行うことも可能である。
【0063】
サポート壁部61やパーミンググリップ部70の仕様が異なる交換部材11の一例を
図21〜
図24に示している。また、その交換部材11を取り付けたリールシートを
図25〜
図29に示している。この交換部材11は、上述した交換部材11に対して主としてサポート壁部61とパーミンググリップ部70の形状が異なっている。この交換部材11は、上述した交換部材11に対して、サポート壁部61の前側傾斜面62の上方への傾斜角度が小さく、最上部64の高さも若干低い。サポート壁部61の後側傾斜面63の下方への傾斜角度は逆に大きくなっている。また、パーミンググリップ部70の下方傾斜面71の傾斜角度は、特に後部において大きくなっていて、突起部72も下方に大きく突出している。このようにサポート壁部61やパーミンググリップ部70の形状も種々変更可能であって、種々の形状の交換部材11に任意に交換できる。
【0064】
尚、上記実施形態では、交換部材11のパーミンググリップ部70が突起部72を備えた構成であったが、突起部72を備えない構成であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、保持部材としての保持用ナット3が交換部材11を直接押圧する構成としていたが、保持用ナット3が他の部材を介して交換部材11を間接的に押圧する構成であってもよい。
【0066】
また更に、固定部材に対して交換部材11が取り付け、取り外し可能な構成であったが、固定部材と交換部材11とが一体的に形成されて一つの部材として構成されていてもよい。即ち、側方膨出部60やサポート壁部61、パーミンググリップ部70がリール脚載置部5や固定フード部6等と同様にリールシート本体に一体的に形成された構成であってもよい。従って、固定フード部6からサポート壁部61が連続して突設されていてもよい。保持用ナット3と保持用雄ネジ部8を備えていない構成であってもよい。