特許第6890210号(P6890210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890210
(24)【登録日】2021年5月26日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】静止機器
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/24 20060101AFI20210607BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20210607BHJP
   H01F 27/25 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   H01F27/24 G
   H01F27/245 155
   H01F27/25
   H01F27/24 Q
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-527172(P2020-527172)
(86)(22)【出願日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】JP2018036028
(87)【国際公開番号】WO2020003552
(87)【国際公開日】20200102
【審査請求日】2020年3月31日
(31)【優先権主張番号】特願2018-120917(P2018-120917)
(32)【優先日】2018年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中ノ上 賢治
(72)【発明者】
【氏名】日比野 貴郁
(72)【発明者】
【氏名】栗田 直幸
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−113107(JP,U)
【文献】 実開昭61−117233(JP,U)
【文献】 実開昭58−180620(JP,U)
【文献】 特開平08−148352(JP,A)
【文献】 実開昭55−129433(JP,U)
【文献】 実開昭51−082955(JP,U)
【文献】 特開2002−343647(JP,A)
【文献】 特開2002−208518(JP,A)
【文献】 特開2000−353629(JP,A)
【文献】 特開昭59−58810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/24
H01F 27/245
H01F 27/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻鉄心と、
前記巻鉄心に巻かれたコイルと、
磁性体を積層した磁性体ブロックとを有し、
前記磁性体ブロックの積層面は、前記巻鉄心のうち前記コイルが巻かれていない領域または部分に接触するとともに、前記磁性体の主面の長手方向と前記巻鉄心の巻かれた方向である周方向とが異なる方向になるように前記磁性体ブロックが配置され、前記磁性体ブロックの積層面は、前記巻鉄心の外周面に接触するように配置されたことを特徴とする静止機器。
【請求項2】
請求項1に記載の静止機器において、
前記磁性体ブロックの積層面は、前記巻鉄心の外周面および前記コイルに接触するように配置されたことを特徴とする静止機器。
【請求項3】
請求項1に記載の静止機器において、
前記長手方向は、前記周方向に対して略直角な方向にあることを特徴とする静止機器。
【請求項4】
請求項に記載の静止機器において、
前記磁性体の主面は、長方形状であり、短い辺の側が、前記巻鉄心に接触したことを特徴とする静止機器。
【請求項5】
請求項に記載の静止機器において、
前記磁性体の主面は、長方形状であり、長い辺が、前記巻鉄心に接触したことを特徴とする静止機器。
【請求項6】
請求項1に記載の静止機器において、
前記積層面と前記巻鉄心の間に、絶縁体を配置したことを特徴とする静止機器。
【請求項7】
請求項1に記載の静止機器において、
前記巻鉄心は、非晶質の材料で構成されたことを特徴とする静止機器。
【請求項8】
請求項1に記載の静止機器において、
前記磁性体は、方向性電磁鋼板であることを特徴とする静止機器。
【請求項9】
請求項6に記載の静止機器において、
前記絶縁体は、接着剤であり、前記絶縁体が、前記磁性体ブロックと前記巻鉄心とを固定することを特徴とする静止機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器やリアクトル等の静止機器に関し、特に、鉄損の低減に有効な静止機器に関する。
【背景技術】
【0002】
静止機器の損失は負荷損と無負荷損からなっている。変圧器においては負荷率が小さく例えば、JIS規格において500kVA以下の油入静止機器の負荷率は40%で評価されている。そのため高効率静止機器を製作するためには無負荷損、つまり、鉄心で発生する損失である鉄損を低減することが有効である。
【0003】
特許文献1には、鉄心の電磁鋼板の使用量を抑制し、低損失の静止機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−208518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な静止機器の鉄損低減方法としては、鉄心材料をハイグレード材へ変更する。静止機器の設計磁束密度を低減する方法がある。しかし、元々ハイグレード材を使用している静止機器では、材料による鉄損低減は不可能である。また、設計磁束密度を低減すると鉄心の断面積が増大し、静止機器の体積、質量が増大してしまう。
【0006】
特許文献1には、鉄心の巻回数や、電磁鋼板の幅が大きくなることを抑制し、低損失の静止機器を実現できると記載されている。背景技術に記載したように、鉄損を低減することは有効であるため、さらに、鉄損の低減効果の高い技術が求められる。
【0007】
本発明の目的は、鉄心形状を変更しないで、鉄損を低減した静止機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい一例は、巻鉄心と、前記巻鉄心に巻かれたコイルと、磁性体を積層した磁性体ブロックとを有し、前記磁性体ブロックの積層面は、前記巻鉄心のうち前記コイルが巻かれていない領域または部分に接触するとともに、前記磁性体の主面の長手方向と前記巻鉄心の巻かれた方向である周方向とが異なる方向になるように前記磁性体ブロックが配置された静止機器である。
【発明の効果】
【0009】
鉄心形状を変更しないで、鉄損を低減した静止機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の概要を示す図である。
図2】比較例を説明する図である。
図3】実施例1における磁性体の配置を説明する図である。
図4】実施例2の磁性体の第1の配置例を示す図である。
図5】実施例2の磁性体の第2の配置例を示す図である。
図6】実施例3の磁性体の配置を説明する図である。
図7】実施例2の第1の構成についての説明図である。
図8】実施例2の第2の構成についての説明図である。
図9】実施例2の第2の構成についての説明図である。
図10】実施例3の第1の構成についての説明図である。
図11】実施例3の第2の構成についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、実施例1の磁性材料を束ねた磁性体ブロック1cなどを設置した、変圧器やリアクトル等の静止機器の巻鉄心1aとコイル1bを示す図である。図1(a)は、静止機器を上部から見た平面図である。図1(b)は、静止機器の前面から見た正面図である。
【0013】
磁性材料を束ねた磁性体ブロック1cなどを設置する位置は、巻鉄心1aにおいて、コイル1bが巻かれていない領域または部分が対象となる。また、磁性材料を束ねた磁性体ブロックの設置の位置、配置の仕方としては、図1に示したように、1c、2c、3c、4c、5cに示すとおりである。
【0014】
磁性体ブロック1cは、巻鉄心1aの外周面に接触させた例である。ここで接触とは、磁性体ブロック1cを巻鉄心に固定するために、絶縁体の接着剤を介して、両者を接着した場合を含む。磁性体ブロック2cは、巻鉄心1aの側面に接触させた例である。磁性体ブロック1cに比べて、巻鉄心1aの内側に固定しており、磁性体ブロック2cの先端部は、磁性体ブロック1cに比べて、巻鉄心1aに対して外側に突き出た長さは、短くなる。
【0015】
磁性体ブロック3cと磁性体ブロック4cは、巻鉄心1aの側面に接触するとともに、コイル1bの側面にも接触するように配置されている。磁性体ブロック5cは、巻鉄心1aの外周面に接触するとともに、コイル1bの側面に接触するように配置されている。
【0016】
図2は、磁性体ブロック7cの主面21を、巻鉄心1aの設置面に対して平行に配置した場合の比較例を示す。特許文献1の構成は、同様な構成である。
【0017】
図3は、実施例1における磁性体ブロック8cの配置を説明するための図である。実施例1では、磁性体を積層した積層面20を、巻鉄心1aの巻き方向である周方向に接触させて配置する。さらに、磁性体の主面21の長手方向が、巻鉄心1aの巻き方向である周方向に対して、異なる方向となるように、磁性体ブロック8cが配置される。ここでは、磁性体の主面21の長手方向は、周方向に対して略直角な方向となるように、配置される。
【0018】
主面21は、一枚の磁性体の一平面をいう。主面21は、長手方向の辺と、その辺と隣接する短手方向の辺からなる矩形の形状である。主面21と略垂直な方向である磁性体の厚み方向に、複数の磁性体を重ねた面を、積層面20とよぶことにする。ここで、略垂直とは、垂直を含むとともに、巻鉄心1aの設置面や磁性体の面の粗さに起因したずれや、接着層を介して相互に接続する場合のずれは許容されることを意味する。
【0019】
磁性体は、方向性電磁鋼板で構成されてもよい。方向性電磁鋼板を使う場合には、方向性電磁鋼板の圧延された方向(例えば、主面の長手方向)が、巻鉄心1aの巻き方向と略垂直になるような関係に配置する。磁性体は、非晶質の材料で構成されてもよい。
【0020】
実施例1によれば、原理は不明であるが、比較例に比べて鉄損を低減することができるとともに、巻鉄心1aの構成を変える必要はない。
【実施例2】
【0021】
図4は、実施例2における磁性体ブロック9cの配置例(第1)を示す図である。図5は、実施例2の磁性体ブロック10cの配置例(第2)を示す図である。
【0022】
図4図5に示すように、磁性材料の主面21を構成する各辺の長さを、L1、L2、L3、L4とした場合、主面21の周囲の全長はL1+L2+L3+L4である。磁性体ブロックの積層面と巻鉄心1aの面とが重なっている場合に、重なった主面21における寸法L5とした時に、(L1+L2+L3+L4)>(4×L5)という関係になるように磁性材料を束ねた磁性体ブロックを、巻鉄心1aの面に設置する。
【0023】
上記した、主面21を構成する辺の全長と、主面21における重なった部分の寸法との関係における鉄損低減の効果の根拠となる実測例について、以下に説明する。
【0024】
図7は、外側巻鉄心3に対して磁性体ブロック11cを配置したときに、磁性体の積層面が鉄心面とほとんど重なっている場合を示す。図7(a)は、平面図であり、図7(b)は、側面図である。



【0025】
図8は、磁性体ブロック11cの積層面が、外側巻鉄心3の面にほとんど重ならないようにした状態の時の図を示す。図8(a)は、平面図であり、図8(b)は、側面図である。図7に示した状態の時の鉄損低減の効果を100としたとき、図8に示す状態の鉄損低減の効果は182であった。
【0026】
また、図9は、磁性体ブロック11cを立てた状態の時の図を示す。図9(a)は、平面図であり、図9(b)は、側面図である。図7に示した状態の時の鉄損低減の効果を100としたとき、図9に示す状態の鉄損低減の効果は205であった。
【0027】
実施例2によれば、巻鉄心の構成を変えることなく、鉄損を低減できる。
【実施例3】
【0028】
図6は、実施例3を示す図である。実施例3は、外側巻鉄心3と、磁性材料を束ねた磁性体ブロック11cの間に、絶縁体1dを挟む構成である。図6(a)は、平面図であり、図6(b)は、側面図である。
【0029】
実施例3における、磁性材料を束ねた磁性体ブロックと鉄心間に絶縁体を挟んだ場合の鉄損低減効果の根拠となる実測例を説明する。
【0030】
図10は、実施例3の第1の構成についての説明図である。図10は、厚さ0.1mmの絶縁体2dを、磁性体ブロック11cと外側巻鉄心3との間に、はさんだ状態を示す。図10(a)は、平面図であり、図10(b)は、側面図である。
【0031】
図11は、実施例3の第2の構成についての説明図である。図11は、厚さ6mmの絶縁体3dを、磁性体ブロック11cと外側巻鉄心3との間に、はさんだ状態を示す。図10(a)は、平面図であり、図10(b)は、側面図である。
【0032】
外側巻鉄心3に対して磁性材料を束ねた磁性体ブロック11cを設置した図9の状態での鉄損低減の効果を100とすると、図10の状態での鉄損低減の効果は126であり、図11の状態での鉄損低減の効果は100であった。
【0033】
実施例3によれば、実施例2に比べて、さらに、鉄損を低減することができる。また、絶縁体の接着剤を用いることで、磁性体ブロック11cを外側巻鉄心3に固定することができる。
【符号の説明】
【0034】
1a:巻鉄心、3:外側巻鉄心、1b:コイル、
1c、2c、3c、4c、5c、6c、7c、8c、9c、10c、11c: 磁性体ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11