特許第6890317号(P6890317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツ六株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000002
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000003
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000004
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000005
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000006
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000007
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000008
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000009
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000010
  • 特許6890317-手摺り用ブラケット 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890317
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】手摺り用ブラケット
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   E04F11/18
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-81544(P2017-81544)
(22)【出願日】2017年4月17日
(65)【公開番号】特開2018-178594(P2018-178594A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113779
【氏名又は名称】マツ六株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕之
(72)【発明者】
【氏名】脇田 健司
(72)【発明者】
【氏名】前田 大介
【審査官】 松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−162035(JP,A)
【文献】 特開2002−180632(JP,A)
【文献】 特開2009−091763(JP,A)
【文献】 米国特許第06270058(US,B1)
【文献】 特開2005−290666(JP,A)
【文献】 特開2008−057104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面に沿って手摺りを横方向に設置するのに用いられる手摺り用ブラケットであって、
前記手摺りを受ける手摺り受け及び当該手摺り受けが先端に設けられる棒状部を有するアームと、
前記壁面に取付ねじにより固定される基板部及び前記アームの棒状部の基端側が挿脱可能に挿入されるアーム挿入部を有する取付座と、
この取付座のアーム挿入部に設けられたねじ孔に螺入されかっ先端が前記棒状部の基端側外面に押し付けられることで前記アームの棒状部をアーム挿入部内に固定する固定ねじと、を備え、
前記アームの棒状部には、前記固定ねじの先端側が入れられる溝が当該棒状部の中心軸線と平行に設けられ、
前記取付座には、その基板部の前方に、該基板部に挿入される前記取付ねじを覆い隠す化粧カバーが着脱自在に取り付けられ、
この化粧カバーの内面に、前記固定ねじの先端が前記アーム挿入部の内面から没しないように該固定ねじの緩み量を規制するストッパが設けられている、ことを特徴とする手摺り用ブラケット。
【請求項2】
請求項1に記載の手摺り用ブラケットにおいて、
前記ストッパは、前記固定ねじの先端を前記アームの棒状部に押し付ける位置まで前記ねじ孔に螺入された状態において、当該固定ねじの外端に接触しない程度に接近する位置に設けられる、ことを特徴とする手摺り用ブラケット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の手摺り用ブラケットにおいて、
前記ストッパは、前記ねじ孔の外側開口を覆い隠すように前記化粧カバーの内面に設けられる舌片とされる、ことを特徴とする手摺り用ブラケット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の手摺り用ブラケットにおいて、
前記取付座の基板部は、前記アーム挿入部の下側に張り出すような縦長形状とされており、その前面における左辺および右辺には、それぞれ側板部が前向きに張り出すとともに前記アーム挿入部の下側に連接されるように設けられており、
前記化粧カバーは、前記2つの側板部と前記アーム挿入部とで囲む空間を塞ぐように前記2つの側板部の前側に着脱可能に取り付けられる、ことを特徴とする手摺り用ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面に手摺りを横方向に沿うように設置するのに用いる手摺り用ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の壁面に丸棒状の手摺りを横方向に沿うように設置するにあたっては、手摺り用ブラケットが用いられている。
【0003】
この手摺り用ブラケットは、前記壁面の横方向の所定ピッチ毎の位置に1つずつ取り付けられ、これらの手摺り用ブラケット上に前記手摺りを載せて、それらを連結するようになっている。
【0004】
この種の手摺り用ブラケットとして、例えば特許文献1に示すようなものが知られている。この手摺り用ブラケットは、取付け座部、アーム部などを備えている。
【0005】
前記取付け座部は、留め具により壁面に固定される。前記アーム部は、一端側が前記取付け座部に取付けられかつ他端側が前記取付け座部の前方に突出される。このアーム部の他端側には、手摺り支持部が設けられている。この手摺り支持部は、前記手摺りが上から載せられるものである。
【0006】
そして、前記取付け座部には、前記アーム部の一端側が挿入される横穴が設けられている。
【0007】
この横穴の奥面部(穴の底部分)の中心位置には、留め具挿通孔が設けられている。前記横穴の開口から前記留め具を挿入し、この留め具のねじ軸部を前記留め具挿通孔に挿通するとともに前記壁面に埋設されているインサートナットに螺合することにより、前記取付け座部を前記壁面に固定するようになっている。
【0008】
この取付け座部の前記横穴において底面部には、当該横穴の中心軸線と平行な案内溝部が設けられている。一方、前記アーム部の一端側には、前記案内溝部に嵌まる突片部が設けられている。
【0009】
前記案内溝部に前記突片部を嵌めるようにして前記取付け座部の前記横穴にアーム部の一端側を挿入すると、前記アーム部が回ることを阻止できるようになる。
【0010】
また、前記案内溝において前記横穴の開口寄りの内底面には、ねじ孔が設けられており、このねじ孔に固定ねじが螺入されるようになっている。そして、前記ねじ孔に螺入される固定ねじの先端を、前記横穴に挿入されている前記アーム部の外周面に押し付けると、前記アーム部の抜け出しを阻止できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4214166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1の手摺り用ブラケットは、前記ねじ孔の下側開口および固定ねじの外端が外部に露呈されているので、前記固定ねじが緩むことが許容されるようになっている。そのため、前記固定ねじが緩むと、その内端が前記ねじ孔の内側開口と面一となる位置、あるいは前記内側開口内に没入する位置(ストッパの役割を果たさなくなる位置)まで抜け出すことが起こり得る。そのような状況になると、前記アーム部が前記取付け座部の横穴から抜け出せる状態になるので、安全性が確保できないと言える。
【0013】
このような事情に鑑み、本発明は、手摺り用ブラケットにおいて、アームの棒状部の抜け出しを阻止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、建物の壁面に沿って手摺りを横方向に設置するのに用いられる手摺り用ブラケットであって、前記手摺りを受ける手摺り受け及び当該手摺り受けが先端に設けられる棒状部を有するアームと、前記壁面に取付ねじにより固定される基板部及び前記アームの棒状部の基端側が挿脱可能に挿入されるアーム挿入部を有する取付座と、この取付座のアーム挿入部に設けられたねじ孔に螺入されかつ先端が前記棒状部の基端側外面に押し付けられることで前記アームの棒状部をアーム挿入部内に固定する固定ねじと、を備え、前記アームの棒状部には、前記固定ねじの先端側が入れられる溝が当該棒状部の中心軸線と平行に設けられ、前記取付座には、その基板部の前方に、該基板部に挿入される前記取付ねじを覆い隠す化粧カバーが着脱自在に取り付けられ、この化粧カバーの内面に、前記固定ねじの先端が前記アーム挿入部の内面から没しないように該固定ねじの緩み量を規制するストッパが設けられている、ことを特徴としている。
【0015】
この構成では、前記化粧カバーに設けた前記ストッパによって前記固定ねじの緩み量を規制することが可能になる。これにより、余分な部品を追加することなく、前記取付座のアーム挿入部からの前記アームの棒状部の抜け出しを阻止できるようになるので、安全性を可及的に高めることが可能になる。
【0018】
ところで、前記ストッパは、前記固定ねじの先端を前記アームの棒状部に押し付ける位置まで前記ねじ孔に螺入された状態において、当該固定ねじの外端に接触しない程度に接近する位置に設けられる、構成とすることが好ましい。
【0019】
この構成では、前記化粧カバーのストッパによって前記ねじ孔に螺入されている前記固定ねじの緩み量が規制されることになる。これにより、前記固定ねじによるアームの抜け止めを行うという本来の役割を確実に発揮できるようになる。
【0020】
また、前記ストッパは、前記ねじ孔の外側開口を覆い隠すように前記化粧カバーの内面に設けられる舌片とされる、構成とすることが好ましい。
【0021】
ここでは、前記ストッパの形成位置および形状を特定している。この特定により、前記ストッパが前記固定ねじの外端および前記ねじ孔の外側開口を覆い隠すように配置されることが明らかになる。これにより、前記固定ねじが緩んだときにその外端が前記舌片からなるストッパに当接することになって、当該固定ねじの緩み量を規制することが明らかになる。
【0022】
さらに、前記取付座の基板部は、前記アーム挿入部の下側に張り出すような縦長形状とされており、その前面における左辺および右辺には、それぞれ側板部が前向きに張り出すとともに前記アーム挿入部の下側に連接されるように設けられており、前記化粧カバーは、前記2つの側板部と前記アーム挿入部とで囲む空間を塞ぐように前記2つの側板部の前側に着脱可能に取り付けられる、構成とすることが好ましい。
【0023】
ここでは、前記取付座の全体形状ならびに前記化粧カバーの取付形態を特定している。この特定により、前記化粧カバーが、前記取付ねじだけでなく、前記固定ねじの外端および前記ねじ孔の外側開口を外部から隠蔽することが明らかになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る手摺り用ブラケットは、アームの棒状部の抜け出しを阻止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る手摺り用ブラケットの一実施形態で、図2の(1)−(1)線断面の矢視図である。
図2図1の手摺り用ブラケットの正面図である。
図3図1の手摺り用ブラケットを斜め下から見た状態の斜視図である。
図4図1の手摺り用ブラケットを斜め上から見た状態の斜視図である。
図5図3に示す手摺り用ブラケットの分解斜視図である。
図6図1の化粧カバー単体を示す斜視図である。
図7図1の手摺り用ブラケットの設置手順の初期段階を説明するための図である。
図8図7の続きを説明するための図である。
図9】本発明に係る手摺り用ブラケットの他の実施形態で、図1に対応する図である。
図10図9において固定ねじが緩んだときにストッパで受け止められている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1から図8に、本発明の一実施形態を示している。図中、1は建築物の壁面、2は手摺り、3は手摺り用ブラケットである。
【0028】
手摺り2は、丸棒状に形成されていて、例えば上下方向に沿う壁面1に横方向に沿うように設置される。
【0029】
手摺り用ブラケット3は、アーム4、取付座5、化粧カバー6、取付ねじ7、固定ねじ8などを備えている。
【0030】
アーム4は、上向き棒状部41の下側に横向き棒状部42を一体に設けたものであって、ほぼL字形状に形成されている。
【0031】
上向き棒状部41および横向き棒状部42は、断面円形とされている。上向き棒状部41の上側には、手摺り受け43が設けられている。
【0032】
この手摺り受け43は、手摺り2が載せられて固定されるものであって、ほぼ半円筒形状に形成されており、その凹状湾曲面が上向きになっている。また、手摺り受け43には、手摺り2を固定するための不図示のねじが挿通される挿通孔(図3および図4参照、符号省略)が設けられている。
【0033】
取付座5は、壁面1に複数の取付ねじ7により取り付けられるものであって、アーム4が挿脱可能に取り付けられる。なお、壁面1において取付ねじ7のねじ込み位置には、図示していないが、インサートナットを埋設することも可能である。
【0034】
詳しくは、取付座5は、図2および図5に示すように、基板部51にアーム挿入部52と側板部53,54と底板部55とを一体に連接したような形状に形成されている。
【0035】
基板部51は、アーム挿入部52の後端に一体に設けられており、アーム挿入部52の下側に下向きに張り出すような縦長形状とされている。この基板部51は正面視ほぼ小判形状に形成されている。
【0036】
アーム挿入部52は、ほぼ円筒形に形成されており、その内径はアーム4の横向き棒状部42の外径よりも僅かに大きく設定されている。
【0037】
側板部53,54は、側面視ほぼ台形とされており、基板部51の前面における左辺および右辺にそれぞれ前向きに張り出すとともにアーム挿入部52の下側に連接されるように設けられている。
【0038】
このような構成の取付座5は、内部に空間が設けられるような中空形状とされることによって、中実な塊とする場合に比べて大幅な軽量化が図られているが、アーム挿入部52の存在によって十分な強度も確保されるようになっている。
【0039】
この取付座5の壁面1に対する取付姿勢は、前記基板部51が縦長になるように壁面1に当接され、アーム挿入部52が前方上側に配置されるとともに前開口56が前方下側に配置されるような姿勢とされる。
【0040】
なお、基板部51には、ねじ挿通孔51aが設けられており、このねじ挿通孔51aに取付ねじ7が挿入されて壁面1にねじ込まれることによって、取付座5が壁面1に固定されるようになっている。この取付ねじ7は、この実施形態においてキャップボルト(六角穴付きボルトとも言う)とされている。
【0041】
化粧カバー6は、取付座5の前開口56に着脱可能に取り付けられるものである。この化粧カバー6は、取付座5の前開口56を閉塞することにより、取付座5を壁面1に取り付けるための取付ねじ7を外部から隠蔽するものである。
【0042】
この化粧カバー6の下端には、切り欠き63が設けられている。この切り欠き63は、化粧カバー6の取り外し時において、取付座5の底板部55との間に指などを引っ掛けるための隙間を作るものである。
【0043】
そして、取付座5のアーム挿入部52の内孔には、アーム4の横向き棒状部42が挿脱可能に挿入されるようになっていて、このアーム挿入部52内に挿入されるアーム4の横向き棒状部42が抜け止めならびに回り止めされるようになっている。
【0044】
詳しくは、アーム4の横向き棒状部42の外周面において下側所定領域には、溝44が設けられている。この溝44は、横向き棒状部42の中心軸線と平行に設けられていて、固定ねじ8の先端が入れられるようになっている。
【0045】
アーム挿入部52の下壁部において前端寄りの所定位置には、固定ねじ8が螺入されるねじ孔52aが径方向に貫通するように設けられている。このねじ孔52aの直径は、溝44の溝幅よりも小さく設定されている。
【0046】
固定ねじ8は、ねじ軸のみで形成されており、その下端の中心には六角レンチが嵌合される六角穴が設けられている。固定ねじ8の直径は、溝44の溝幅よりも小さく設定されている。
【0047】
この固定ねじ8は、ねじ孔52aに螺入されるとともに、その先端がアーム4の横向き棒状部42の外面(溝44の内底面)に押し付けられるようになっている。つまり、図1に示すように、取付座5のアーム挿入部52に挿入されたアーム4の横向き棒状部42の溝44をねじ孔52aに合致させるように位置合わせしておいて、固定ねじ8をねじ孔52aにその外側(下側)開口から螺入することにより、この固定ねじ8の内端(螺入方向の先端で、図1では上端)をねじ孔52aの内側(上側)開口から飛び出させて溝44内に入れるとともに、溝44の内底面に押し付ける状態にする。これにより、アーム4の横向き棒状部42が取付座5のアーム挿入部52に対して抜け止めされるとともに、回り止めされるようになる。
【0048】
そして、化粧カバー6の内面において上側所定位置には、図6に示すように、ストッパ61が一体に設けられている。
【0049】
このストッパ61は、固定ねじ8の緩み量を規制するものであって、ねじ孔52aの外側開口を覆い隠すような大きさの舌片とされている。
【0050】
このストッパ61は、化粧カバー6を取付座5の前開口56に取り付けたときに、ねじ孔52aの外側(下側)開口および固定ねじ8の外端(螺入方向の後端で、図1では下端)を覆い隠すように配置されるとともに、固定ねじ8の外端に接触しない程度に接近する位置に配置されるようになっている。
【0051】
つまり、ストッパ61と固定ねじ8の外端(下端)との対向隙間は、極僅かになるように設定されている。これにより、化粧カバー6を取付座5の前開口56に係合装着すると、この化粧カバー6のストッパ61が固定ねじ8の外端(下端)に接触しない程度にまで接近して配置されることになるので、固定ねじ8が抜け出し方向(下方向)へほとんど動かなくなる。言い換えると、固定ねじ8がほとんど緩まなくなるのである。
【0052】
ところで、化粧カバー6の内面において2つの長辺寄りには係止爪62が設けられている一方で、取付座5の2つの側板部53,54の前辺寄りには係止爪62が引っ掛けられる係止溝57が設けられている。
【0053】
これにより、化粧カバー6を取付座5の前開口56に押し付けると、化粧カバー6の係止爪62が弾性変形して係止溝57に引っ掛けられるようになる。そして、化粧カバー6を強く引っ張れば係止爪62が弾性変形して係止溝57から離脱するようになるので、当該化粧カバー6は取付座5の前開口56から比較的簡単に外せるようになる。
【0054】
次に、手摺り用ブラケット3を設置するときの手順を説明する。
【0055】
まず、図7に示すように、取付座5を壁面1に取り付ける。このとき、取付座5の基板部51を壁面1にあてがい、この基板部51のねじ挿通孔51aから取付ねじ7を挿入して壁面1にねじ込む。
【0056】
続いて、取付座5のアーム挿入部52の内孔に、その前開口からアーム4の横向き棒状部42を挿入して、その挿入深さを適宜調整してから、図8に示すように、取付座5のねじ孔52aの外側(下側)開口から固定ねじ8を螺入する。
【0057】
このとき、固定ねじ8は、その内端(上端)側がアーム4の溝44内に入れられて溝44の内底面に押し付けられる位置まで螺入される。これにより、取付座5のアーム挿入部52に対してアーム4の横向き棒状部42が抜け止めならびに回り止めされるように不動に固定されることになる。
【0058】
この後、取付座5の前開口56に化粧カバー6を装着する。これにより、化粧カバー6のストッパ61が固定ねじ8の外端(下端)に僅かな隙間を介して接近する位置に配置されるので、固定ねじ8が抜け出し方向に動くことを物理的に阻止できるようになる。
【0059】
これにより、固定ねじ8の緩みを阻止できるようになるので、固定ねじ8の内端がねじ孔52aの内側(上側)開口よりも上に飛び出した状態、つまりアーム挿入部52の内面から没しない状態に保つことができる。
【0060】
このように手摺り用ブラケット3を設置した後で、そのアーム4の手摺り受け43上に手摺り2を載せてから、不図示のねじを用いて手摺り2を固定する。
【0061】
以上説明したように本発明を適用した実施形態の手摺り用ブラケット3では、取付座5を壁面1に取り付けるための取付ねじ7を覆い隠す化粧カバー6に、取付座5にアーム4を固定するための固定ねじ8の緩み量を規制するストッパ61を設けるようにしている。
【0062】
これにより、余分な部品を追加することなく、取付座5のアーム挿入部52からのアーム4の抜け出しを阻止できるようになるなど、安全性を可及的に高めることが可能になる。
【0063】
しかも、この実施形態の手摺り用ブラケット3は、化粧カバー6でもって、固定ねじ8およびねじ孔52aの外側(下側)開口を覆い隠すことができるから、余分な部品を追加することなく、見栄えが良くなる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
【0065】
(1)上記実施形態では、ストッパ61と固定ねじ8の外端(下端)との対向隙間を可及的に小さく設定した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0066】
例えば図9および図10に示すように、化粧カバー6のストッパ61は、ねじ孔52aに固定ねじ8の内端(上端)を横向き棒状部42の外周面に押し付ける位置まで螺入した状態において、当該固定ねじ8の外端(下端)との間に、所定の隙間を作るような位置に設けることが可能である。
【0067】
この実施形態の場合には、固定ねじ8が僅かに緩むことを許容するようになるが、例えば図10に示すように、仮に固定ねじ8が緩んだとしても、当該固定ねじ8の内端がねじ孔52aの内側(上側)開口よりも上に飛び出した状態、つまりアーム挿入部52の内面から没しない状態を保つように、予めストッパ61と固定ねじ8の外端(下端)との間の隙間を管理する必要がある。
【0068】
これにより、固定ねじ8がストッパ61の役割を果たさなくなる位置まで下がることを阻止できるようになる。このように、この実施形態の場合も、上記実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0073】
)上記実施形態では、アーム4の横向き棒状部42およびアーム挿入部52の内孔の断面形状を円形とした例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0074】
例えば横向き棒状部42およびアーム挿入部52の内孔の断面形状は、例えば三角形、四角形、五角形などの角形状または楕円形などの非円形とすることが可能である。
【0075】
このようにした場合には、アーム挿入部52の内孔に横向き棒状部42を挿入するだけで横向き棒状部42を回り止めすることができる。
【0076】
)上記実施形態では、手摺り受け43をほぼ半円筒形状に形成した例を挙げている が、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0077】
例えば手摺り受け43は、手摺り2の断面形状に応じて、例えば円筒形または角筒形に形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、建物の壁面に手摺りを横方向に沿うように設置するのに用いられる手摺り用ブラケットに好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 壁面
2 手摺り
3 手摺り用ブラケット
4 アーム
41 上向き棒状部
42 横向き棒状部
43 手摺り受け
44 溝
5 取付座
51 基板部
51a ねじ挿通孔
52 アーム挿入部
52a ねじ孔
53,54 側板部
55 底板部
56 前開口
57 係止溝
6 化粧カバー
61 ストッパ
62 係止爪
63 切り欠き
7 取付ねじ
8 固定ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10