特許第6890322号(P6890322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6890322-検知機構 図000002
  • 特許6890322-検知機構 図000003
  • 特許6890322-検知機構 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890322
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】検知機構
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20210607BHJP
   E01D 19/04 20060101ALI20210607BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20210607BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   G01L5/00 G
   E01D19/04 Z
   E01D22/00 A
   E04H9/02 331E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-141814(P2017-141814)
(22)【出願日】2017年7月21日
(65)【公開番号】特開2019-20359(P2019-20359A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】五味 健二
(72)【発明者】
【氏名】荒水 照夫
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−231878(JP,A)
【文献】 特許第5773297(JP,B2)
【文献】 特許第5754920(JP,B2)
【文献】 特許第3431322(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
E01D
E04H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体からの荷重を支える第1支持体と、
前記第1支持体からの荷重を支える第2支持体と、
前記第1支持体と前記第2支持体との相対移動を検出する相対移動検出手段と、
で構成され、
支持能力正常時に前記可動体と前記第1支持体との間に作用する相対移動力は、前記第1支持体と前記第2支持体との間に作用する相対移動力よりも小さくされており、
前記相対移動検出手段は、前記第1支持体に付された第1マーク、および前記第2支持体に付された第2マークを有し、
支持能力異常時には、前記第2マークに対する前記第1マークの相対移動が生じることにより、前記第1支持体と前記第2支持体との相対移動が生じたことを前記相対移動検出手段で検出可能であることを特徴とする検知機構。
【請求項2】
可動体からの荷重を支える第1支持体と、
前記第1支持体からの荷重を支える第2支持体と、
前記第1支持体と前記第2支持体との相対移動を検出する相対移動検出手段と、
で構成され、
支持能力正常時に前記可動体と前記第1支持体との間に作用する相対移動力は、前記第1支持体と前記第2支持体との間に作用する相対移動力よりも小さくされており、
支持能力異常時には、前記相対移動が生じたことを前記相対移動検出手段で検出可能であり、
前記可動体がスライド移動可能なスライド体であり、
前記第1支持体が、前記スライド体を摺動可能なように下側から支える第1摺接体であり、
前記第2支持体が、前記第1摺接体を摺動可能なように下側から支える第2摺接体であることを特徴とする検知機構。
【請求項3】
前記スライド体が長尺状であり、
前記第1摺接体は、
前記スライド体が長手方向に摺動可能となるように下側から摺接する上側摺接部材と、
前記上側摺接部材の下側に着脱自在に固定され、前記第2摺接体に対して下面側で前記長手方向に摺動可能なように摺接する下側摺接部材と、
で構成されることを特徴とする請求項2に記載の検知機構。
【請求項4】
前記スライド体が橋桁を構成し、前記第1摺接体と前記第2摺接体とがすべり支承を構成することを特徴とする請求項3に記載の検知機構。
【請求項5】
前記可動体が回転軸部材であり、
前記第1支持体が前記回転軸部材の外周側に隣接するインナーブッシュであり、
前記第2支持体が前記インナーブッシュの外周側に隣接するアウターブッシュであることを特徴とする請求項1に記載の検知機構。
【請求項6】
前記可動体が球面体であり、
前記第1支持体が前記球面体の表面側に隣接する第1隣接部材であり、
前記第2支持体が前記第1隣接部材に隣接する第2隣接部材であることを特徴とする請求項1に記載の検知機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動状態で荷重を支える機構の支持能力を検知する検知機構に関する。
【背景技術】
【0002】
荷重を支える支持機構は、インフラや一般的な機械部品など、様々な構造で広く使用されている。
【0003】
このうち、荷重が加えられた部材を可動状態で支える支持機構では、弾性、滑り、転がりなどの機構を用いて支持する構成にされていることが多い。
【0004】
例えば、橋梁では、橋桁長手方向の各部位が、橋桁が撓むことによって位置変化できるように、橋桁を支える支持部材に対して橋桁が橋桁長手方向に摺動できる構成にされている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-074013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の支持機構では、劣化などにより支持能力が低下していても、この低下を簡単に判断することは難しい。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、可動状態で荷重を支持する機構の支持能力異常を簡単に検出することを可能にする検知機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る検知機構は、可動体からの荷重を支える第1支持体と、前記第1支持体からの荷重を支える第2支持体と、前記第1支持体と前記第2支持体との相対移動を検出する相対移動検出手段と、で構成され、支持能力正常時に前記可動体と前記第1支持体との間に作用する相対移動力は、前記第1支持体と前記第2支持体との間に作用する相対移動力よりも小さくされており、支持能力異常時には、前記相対移動が生じたことを前記相対移動検出手段で検出可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る検知機構では、可動体、第1支持体および第2支持体それぞれは、必ずしも互いに接触している必要はなく、例えばそれぞれの境界を流体で満たす、あるいは磁力の反発を利用するなどして、互いに浮上させてもよい。そして、支持能力正常時に可動体と第1支持体との間に作用する相対移動力は、第1支持体と第2支持体との間に作用する相対移動力よりも小さくされており、支持能力異常時には、第1支持体と第2支持体とで相対移動が生じたことを相対移動検出手段で検出可能である。
【0010】
支持能力異常時の原因は、例えば、流体量の減少や磁力減少などによる浮上力の低下が挙げられる。これらの場合では、流体の追加、磁力を正常化する部品交換などで機能を回復させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可動状態で荷重を支持する機構の支持能力異常を簡単に検出することを可能にする検知機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る検知機構で、(a)は支持能力が正常であることが目視されることを示す説明図、(b)は支持能力が低下していることが目視されることを示す説明図である。
図2】第2実施形態に係る検知機構で、(a)は支持能力が正常であることが目視されることを示す説明図、(b)は支持能力が低下していることが目視されることを示す説明図である。
図3】従来の支持機構で、(a)は使用中であることを示す説明図、(b)は回転軸部材とブッシュとが互いに局部的に溶着して回転支持能力の低下を招き、使用に支障が生じたことを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態では、可動体が第1支持体に接触し、第1支持体が第2支持体に接触している例で説明するが、本発明の実施の形態では、可動体、第1支持体、第2支持体それぞれは、必ずしも互いに接触している必要はなく、例えばそれぞれの境界を流体で満たす、あるいは磁力の反発を利用するなどして、互いに浮上させた形態であってもよい。
【0014】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る検知機構で、(a)は支持能力が正常であることが目視されることを示す説明図、(b)は支持能力が低下している(支持能力異常である)ことが目視されることを示す説明図である。
【0015】
本実施形態に係る検知機構10は、回転軸部材を支える支持機構12に備えられた検知機構である。この検知機構10は、回転軸部材14の外周側に面接触して回転軸部材14からの荷重を支えるインナーブッシュ16(第1支持体)と、インナーブッシュ16の外周側に面接触してインナーブッシュ16からの荷重を支えるアウターブッシュ18(第2支持体)と、で構成される。この構成では、回転軸部材14とインナーブッシュ16とで軸受が形成されているとも言える。
【0016】
また、本実施形態では、アウターブッシュ18の外周側に位置しアウターブッシュ18を固定していてアウターブッシュ18からの荷重を支える支持体20を、支持機構12が備えており、支持体20はハウジングとしての機能も有している。
【0017】
インナーブッシュ16には目印として第1マーク22(相対移動検出手段)が付され、アウターブッシュ18には第1マーク22に対応する位置に目印として第2マーク24(相対移動検出手段)が付されている。本実施形態では、第1マーク22の外側に隣接するように第2マーク24が位置している。例えば図1(a)に示すように、第1マーク22は、インナーブッシュ16の上部位置に上下方向に沿って直線状に形成され、第2マーク24は、アウターブッシュ18の上部位置に上下方向に沿って直線状に形成されており、第1マーク22と第2マーク24とが一直線状に位置している。
【0018】
そして、支持機構12の支持能力正常時に回転軸部材14とインナーブッシュ16との間に作用する摩擦力は、インナーブッシュ16とアウターブッシュ18との間に作用する摩擦力よりも小さくされており、第2マーク24に対する第1マーク22の相対移動が発生することで支持能力が低下して支持能力異常となっていることが判断可能にされている。
【0019】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果を説明する。支持機構12の支持能力が正常であるときには、上述したように、回転軸部材14とインナーブッシュ16との間に作用する摩擦力は、インナーブッシュ16とアウターブッシュ18との間に作用する摩擦力よりも小さくされている。従って、回転軸部材14とインナーブッシュ16との相対移動は生じ、インナーブッシュ16とアウターブッシュ18との相対移動は生じない。従って、第1マーク22と第2マーク24との相対移動は生じず、第1マーク22と第2マーク24とが一直線状に位置した状態が保たれる。
【0020】
インナーブッシュ16の内周面側が摩耗することによりインナーブッシュ16の劣化などの不具合が生じると、回転軸部材14とインナーブッシュ16との間に作用する摩擦力(相対移動力)が増大する。そして、この摩擦力がインナーブッシュ16とアウターブッシュ18との間に作用する摩擦力(相対移動力)よりも大きくなるときが生じると、インナーブッシュ16とアウターブッシュ18との相対移動が生じる。
【0021】
この結果、インナーブッシュ16がアウターブッシュ18に対し、回転軸部材14の回転方向に相対移動する(図1(b)参照)。この結果、第2マーク24に対して第1マーク22が離れる方向に相対移動する。このように相対移動したことが可視化されているので、作業員や検査員などが、目視により、支持機構12の支持能力が低下したと判断することができる。そして、インナーブッシュ16を未使用のものに交換する。
【0022】
従って、本実施形態により、インナーブッシュ16の劣化による交換が必要である(すなわち、支持能力異常が生じている)と判断するにあたり、従来のように、支持機構の分解整備時に摩耗状態を調べることや、回転軸部材の回転抵抗を計測することが不要になり、また、回転軸部材14とインナーブッシュ16とが互いに局部的に溶着することで初めて交換が必要であると気付く事態も回避することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、アウターブッシュ18が支持体20に固定されている構成で説明したが、アウターブッシュ18と支持体20との間の摩擦力がインナーブッシュ16とアウターブッシュ18との摩擦力よりも大きくする構成にしても、同様の効果を奏することができる。
【0024】
また、本実施形態では、回転軸部材14と支持体20との間にインナーブッシュ16とアウターブッシュ18とが設けられた2重構造の例で説明したが、更にブッシュを増やした多重構造(3重構造以上)とすることも可能である。
【0025】
また、本実施形態では、回転軸部材14がインナーブッシュ16に接触し、インナーブッシュ16がアウターブッシュ18に接触する例で説明したが、他の部材に接触する例(例えば玉軸受け)であっても、同様の効果を奏することができる。
【0026】
また、本実施形態では、回転可能な部材の一例として回転軸部材14を挙げて説明したが、回転角度範囲が限られた回動部材など、他の回転可能な部材にも適用可能である。
【0027】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。図2は、本実施形態に係る検知機構で、(a)は支持能力が正常であることが目視されることを示す説明図、(b)は支持能力が低下している(支持能力異常である)ことが目視されることを示す説明図である。
【0028】
本実施形態に係る検知機構30は、長尺状のスライド体34をスライド移動可能に支える支持機構32に備えられた検知機構である。この検知機構30は、スライド体34(可動体)を長手方向Uに摺動可能なように下方から面接触して支える第1摺接体36(第1支持体)と、第1摺接体36をスライド体34の長手方向Uに摺動可能なように下方から面接触して支える第2摺接体38(第2支持体)とで構成される。
【0029】
また、本実施形態では、第2摺接体38の下方側に位置し第2摺接体38を固定している支持体40が支持機構32に設けられている。この支持体40は、第2摺接体38からの荷重を支えている。
【0030】
第1摺接体36は、スライド体34が長手方向Uに摺動可能となるように下側から摺接する上側摺接部材36aと、上側摺接部材36aの下側に着脱自在に固定され、第2摺接体38に対して下面側で長手方向Uに摺動可能なように摺接する下側摺接部材36bと、で構成される。なお、スライド体34が橋桁を構成し、第1摺接体36と第2摺接体38とがすべり支承Gを構成する構造であってもよい。
【0031】
第1摺接体36の下側摺接部材36bには、目印として第1マーク42(相対移動検出手段)が付され、第2摺接体38には第1マーク42に対応する位置に目印として第2マーク44(相対移動検出手段)が付されている。本実施形態では、第1マーク42の下側に隣接するように第2マーク44が位置している。例えば図2(a)に示すように、スライド体34の短手方向(長手方向Uに直交する方向であり、図2(a)の紙面に対する直交方向)から見て、第1マーク42は、第1摺接体36の左右方向中央位置に上下方向に沿って直線状に形成され、第2マーク44は、第2摺接体38の左右方向中央位置に上下方向に沿って直線状に形成されており、第1マーク42と第2マーク44とが一直線状に位置している。
【0032】
そして、支持機構32の支持能力正常時にスライド体34と第1摺接体36の上側摺接部材36aとの間に作用する摩擦力(相対移動力)は、第1摺接体36の下側摺接部材36bと第2摺接体38との間に作用する摩擦力(相対移動力)よりも小さくされており、第2マーク44に対する第1マーク42の相対移動が発生することで支持能力低下が判断可能にされている。
【0033】
また、本実施形態では、上側摺接部材36aは、外周部から下方へ延び出す規制部36arを有している。下側摺接部材36bは、規制部36arの内側に位置して外周側が規制部36arの内周側に当接している。この構成により、下側摺接部材36bの長手方向Uの移動が規制部36arによって規制されており、また、下側摺接部材36bの交換作業が簡単になっている。
【0034】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果を説明する。支持機構32の支持能力が正常であるときには、上述したように、スライド体34と第1摺接体36の上側摺接部材36aとの間に作用する摩擦力は、第1摺接体36の下側摺接部材36bと第2摺接体38との間に作用する摩擦力よりも小さくされている。従って、スライド体34が長手方向Uにスライド移動したとき、スライド体34と第1摺接体36との相対移動は生じ、第1摺接体36と第2摺接体38との相対移動は生じない。よって、第1マーク42と第2マーク44との相対移動は生じず、第1マーク42と第2マーク44とが一直線状に位置した状態が保たれる。
【0035】
第1摺接体36の上面側が摩耗することにより劣化などの不具合が生じると、スライド体34と上側摺接部材36aとの間に作用する摩擦力(相対移動力)が増大する。そして、この摩擦力が下側摺接部材36bと第2摺接体38との間に作用する摩擦力(相対移動力)よりも大きくなると、スライド体34が長手方向Uにスライド移動したとき、第1摺接体36と第2摺接体38との相対移動が生じる。
【0036】
この結果、第2マーク44に対して第1マーク42が離れる方向に相対移動する(図2(b)参照)。このように相対移動したことが可視化されているので、作業員や検査員などが、目視により、支持機構32の支持能力が低下した(支持能力異常となった)と判断することができる。そして、第1摺接体36を未使用のものに交換する。なお、第1摺接体36のうち上側摺接部材36aのみを交換して下側摺接部材36bはそのまま利用することも可能である。
【0037】
従って、本実施形態により、第1摺接体36の劣化による交換が必要である(すなわち、支持能力異常が生じている)と判断するにあたり、従来のように詳細な計測をすることが不要になり、また、損傷等が生じて初めて交換が必要であると気付く事態も回避することができる。
【0038】
また、第1摺接体36が、第2摺接体38に対して長手方向Uに相対移動しても、規制部36arと第2摺接体38との当接によってこの相対移動が停止される。従って、この相対移動を簡易な構造で停止させることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、スライド体34と支持体40との間に第1摺接体36と第2摺接体38とが設けられた2重構造の例で説明したが、更に摺接体を増やした多重構造(3重構造以上)とすることも可能である。
【0040】
また、本実施形態では、スライド移動可能な部材の一例としてスライド体34を挙げ、スライド方向がスライド体34の長手方向である例で説明したが、スライド方向がスライド体34の長手方向以外の方向にも適用可能であり、また、スライド体34以外の他のスライド移動可能な部材にも適用可能である。
【0041】
<対比検討例>
図3は、従来の支持機構で、(a)は使用中であることを示す説明図、(b)は回転軸部材とブッシュとが互いに局部的に溶着して回転支持能力の低下を招き、使用に支障が生じたことを示す説明図である。
【0042】
従来の支持機構82は、回転軸部材84(回転軸部材14と同様のもの)と、回転軸部材84の外周側に接触して回転軸部材84からの荷重を支えるブッシュ87と、ブッシュ87の外周側に接触してブッシュ87からの荷重を支える支持体90とを備えている。支持体90はハウジングとしての機能も有している。
【0043】
この支持機構82では、ブッシュ87が劣化することによって支持能力が低下しても、作業員や検査員が目視で判断することができない。従って、支持機構82の分解整備時に摩耗状態を調べることや、回転軸部材84の回転抵抗を計測することなどを行うことによって支持能力の低下を判断する必要がある。また、図3(b)に示すように、回転軸部材84とブッシュ87とが互いに局部的に溶着して支障が生じて初めて交換が必要であると気付く事態もあり得る。
【0044】
一方、第1実施形態で説明した支持機構12では、検知機構10が設けられており、インナーブッシュ16が劣化することによって支持能力が低下すると、インナーブッシュ16がアウターブッシュ18に対し、回転軸部材14の回転方向に相対移動する(図1(b)参照)。すなわち、第2マーク24に対して第1マーク22が離れる方向に相対移動するので、作業員や検査員などが、目視により、支持機構12の支持能力が低下したと簡単に判断することができる。
【0045】
以上、第1、第2実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための例示であって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を上記のものに特定するものではない。この発明の実施の形態は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0046】
例えば、支持機構全般、軸受全般、免震装置全般で、特に変形や摺動によって作動するものに適用可能である。
【0047】
また、マーク(第1マーク、第2マーク)を付けずに、レーザスペックル法やセンサに等によって上述の相対移動を検出しても良い。
【0048】
また、可動体が球面体であり、第1支持体が球面体の表面側に隣接する第1隣接部材であり、第2支持体が第1隣接部材に隣接する第2隣接部材である場合にも、同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 検知機構
12 支持機構
14 回転軸部材(可動体)
16 インナーブッシュ(第1支持体)
18 アウターブッシュ(第2支持体)
20 支持体
22 第1マーク(相対移動検出手段)
24 第2マーク(相対移動検出手段)
30 検知機構
32 支持機構
34 スライド体(スライド体、可動体)
36 第1摺接体(第1支持体)
36a 上側摺接部材
36b 下側摺接部材
38 第2摺接体(第2支持体)
40 支持体
42 第1マーク(相対移動検出手段)
44 第2マーク(相対移動検出手段)
82 支持機構
84 回転軸部材
87 ブッシュ
90 支持体
G すべり支承
図1
図2
図3