【課題を解決するための手段】
【0003】
その最も一般的な点では、本発明は、血液の凝固を行うよう放射性(すなわち非イオン化)マイクロ波場を生成すること、及び目標領域に液体、例えば消化管潰瘍の治療のためのアドレナリンを排出することの両方が可能な電気手術装置を提供する。本明細書では、「マイクロ波場」、「マイクロ波放射線」、「マイクロ波エネルギー」または類似の用語は、400MHzから100GHz、より好ましくは1GHzから60GHzの周波数を持つ電磁放射線を指す。考慮された特定の周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz及び24GHzである。マイクロ波エネルギーを用いることは、凝固した組織のインピーダンスの効果によって制限されず、かつ与えられた時間内で高レベルの凝固を得られる制御された凝結を可能にする。マイクロ波の使用はさらに、バイポーラRF凝固といった他の技術よりもやけどによる負傷リスクが低いことを表す。
【0004】
前述の二重機能性を達成するために、本発明は細長いプローブを備えた電気手術器具を提供してもよく、細長いプローブはマイクロ波電磁(EM)エネルギーを送るための同軸伝送線、マイクロ波エネルギーを受けるために同軸伝送線の遠位端に連結されたプローブチップ、及び細長いプローブを通じてプローブチップへと液体を送るために同軸伝送線の内側に配置された液体チャネルを有し、同軸伝送線は中空の内導体、外導体、内導体を外導体から分離する第1誘電材料、及び中空の内導体の内面上にある中空の第2誘電材料を備え、液体チャネルは中空の第2誘電材料の内部に配置され、プローブチップはそこを通じて走るプローブチップチャネルを有し、プローブチップチャネルはその遠位端にある開口部で終結し、プローブチップは同軸伝送線からマイクロ波エネルギーを受けるよう接続された導電素子を含み、導電素子はプローブチップから外側にマイクロ波EM場を放射するための放射アンテナ構造を形成する。
【0005】
本明細書では、「伝導」及び「導体」への言及は、文脈が他のものを指し示さない限り、電導を意味する。
【0006】
導電素子は、放射アンテナ構造を形成するために内導体及び外導体のうち少なくとも1つに接続されてもよい。
【0007】
プローブチップは、同軸伝送線の遠位端を越えて中空の第2誘電材料の継続を備えてもよい。したがってプローブチップチャネルは、中空の第2誘電材料の継続によって定義された経路を含むかまたは経路で構成されてもよい。同軸伝送線の遠位端は、外導体が終結するところで定義されてもよい。中空の内導体はさらに、導電素子の全てまたは一部を形成するところでプローブチップへと延びてもよい。
【0008】
プローブチップは、第3誘電材料から形成されたチップ本体を備えることが望ましく、チップ本体は同軸伝送線の遠位端に接続される。例えば、第3誘電材料は、中空の第2誘電材料の継続の上に取り付けられてもよい。したがってプローブチップチャネルは、第3誘電材料を通じて走ってもよい。第3誘電材料は、第1誘電材料及び/または第2誘電材料と同じかまたは異なっていてもよい。
【0009】
1つの実施形態では、内導体及び外導体は、プローブチップで半波長ループへと結合されてもよく、放射されたマイクロ波EM場はループ内部に形成されたH場である。
【0010】
使用中、プローブチップは、例えば内部出血の部位、または消化管潰瘍といった治療目標領域に配置される。装置は、血管凝固のために放射アンテナ構造が非イオン化マイクロ波放射線を放射するマイクロ波放射線モード(i)と、液体が液体源から、目標領域へと排出され得る液体チャネルへと供給される液体送達モード(ii)の2つのモードで動作可能である。このモードは、液体チャネルを液体で満たすことで達成されてもよい。
【0011】
プローブチップは、同軸伝送線の遠位端に接続された近位端と、それに対向する遠位端を有し、遠位端は電気手術器具の使用中に目標領域と接してもよい。プローブチップチャネルは、プローブチップの近位端及び遠位端と結合する。開口部は、プローブチップチャネルの遠位端に配置される。使用中、開口部は、液体送達のために目標領域へのアクセスを提供する。
【0012】
中空の、例えば皮下注射針は、液体チャネルの内部に供給されてもよく、中空の針の第1端は、液体チャネルと流体連通し、中空の針の第2端は、液体チャネルからプローブチップチャネルの開口部を通じて目標領域へと液体を送達するために配置される。針の第2端は、開口部の近位にあるプローブチップチャネルの内部に配置されることが好ましい。使用中、液体送達モードでは、液体は液体源から液体チャネルへと供給され、そこから針の第1端へと入り、針に沿って流れ、またはプローブチップチャネルの外側に配置された針の第2端がプローブチップチャネルの外側に置かれる場合には針の第2端でプローブチップチャネルへと出て、開口部から出る。
【0013】
針が放射アンテナ構造としての機能を持つよう、針は内導体へと連結されてもよく、かつ開口部から1/4波長の奇数で露出してもよい。
【0014】
針は、引込位置と露出位置の間で調節可能であってもよく、針が露出位置にある時、針の第2端がプローブチップの外部に、すなわち目標領域に接するかまたは密に隣接しており、針が引込位置にある時、針の第2端がプローブチップの内部に留まるのが好ましい。あるいは、針が引込位置にある時、針の第2端はプローブチップが連結された同軸伝送線の内部に全てが戻るよう引き込まれてもよい。針の引込は、放射アンテナ構造によるマイクロ波場の放射中に針が露出位置にないということをユーザが確認できるようにする。
【0015】
露出位置と引込位置間における針の調節を行うために、電気手術器具は、針調節手段と共に提供されてもよく、例えば、ガイドワイヤは針の第1端に、または針の第1端の付近に取り付けられてもよく、ガイドワイヤは液体チャネルに沿って通過し、それにより針の調節は液体チャネルの近位端から制御され得る。これは、装置の使用中における針の調節を可能にする。
【0016】
針が露出位置にある時にマイクロ波場の放射を防ぐために、同軸伝送線の内導体は軸方向隙間を有してもよく、針調節手段は、針が引込位置にある時に内導体における隙間を埋めるよう配置された伝導リングを含んでもよい。針が露出位置にある時、伝導リングはもはや内導体における隙間を埋めないように配置され、電気接続を遮断し、よって電力はプローブチップに送られず、マイクロ波場の放出を防ぐ。
【0017】
あるいは、針が露出位置に配置されているかされていないかを検出するのにセンサが用いられてもよい。可能性のあるセンサは、リターンロスセンサ、近接検出装置、または光検出器を含む。そういったセンサは、針が露出位置にあることを検出し、マイクロ波放射線モードにおける装置の動作を防いでもよい。
【0018】
針供給管がさらに、目標領域に投与される液体を含む針を供給するために針の第1端に取り付けられてもよい。このように、液体の送達はより慎重に制御することができ、投与するために全てのチャネルを液体で満たす必要がなく、液体のより経済的な使用が期待できる。
【0019】
針の少なくとも一部は、プローブチップチャネル内に配置されてもよく、かつ安定性を向上させるためにプローブチップチャネルの壁に取り付けられてもよい。露出位置と引込位置間の調節中に針の縦軸がプローブチップチャネルの縦軸(すなわち、同軸伝送線の軸と並ぶ軸)に対する配向を変えないことを確実にするために、針がプローブチップチャネルの壁にある針誘導構造に配置されてもよい。これは、例えば、器具の使用中における調節中に針が生体組織を横方向に傷つけないことを保証し得るといったような針の調節中におけるより優れた制御を可能にする。
【0020】
針の最大直径は、開口部の最小直径またはプローブチップチャネルの最小直径よりも小さくてもよい。この場合、針とプローブチップチャネルの壁の間に流体密封シールを形成するよう、プラグが供給されてもよい。
【0021】
そういったシールは、液体が露出位置にある時には針から目標領域へと液体の注入を可能にするが、針が引込位置にある時にはプローブチップへと血液または他の体液の逆流を防いでもよい。プラグは、開口部を塞ぐ非剛性または弾性的に変形可能な素材から形成されてもよく、それにより針が露出位置にある時には流体密封シールを形成するようプラグは針の外面に内側の圧力を与え、針が引込位置にある時にはプラグの弾性的に変形可能な性質はプラグを通じる穴が存在しないこと、すなわち針が通過可能な穴をシールが遮断することを確実にする。プラグの最も外側端は、プローブチップの面と同一平面に置かれてもよく、かつ連続した面を形成するような形状であってもよい。あるいは、プラグはプローブチップチャネルの内部に配置されてもよく、その最も外側端は開口部から間隔を置いている。プラグはシリコンゴムから作られてもよい。
【0022】
導電素子は、放射モノポールアンテナとして機能するよう構成されることが好ましい。円筒状に等方性のマイクロ波場を放射するために、プローブチップは円筒状に対称であってもよく、使用中にマイクロ波場の配向がプローブチップの回転とは無関係であることを確実にする。体内に挿入された時にプローブチップを正しい配向に操作するのが困難である可能性があるため、これは有用である。プローブは、ドーム状、円錐状、または円錐台形状であってもよい。これらの形状は、治療中にプローブチップが圧力を加えるのに用いられることを可能にする。プローブチップが円筒状に対称である時、プローブチップチャネルの縦軸(すなわち同軸伝送線の軸と並ぶ軸)は、プローブチップ自体の円筒状に対称な軸と平行であることが好ましい。プローブチップの対称軸がプローブチップチャネルの縦軸と同じであることが、より好ましい。プローブチップチャネルは、プローブチップの対称軸に沿って見られた時、プローブチップの中心に置かれてもよい。プローブチップの代替的形状は、半球状遠位端を持つ円筒形状、及びボール形状を含む。プローブチップは細長い形状であってもよく、すなわち縦軸の方向におけるプローブの長さがプローブチップの最小直径よりも長くてもよい。これは、マイクロ波放射線モードでの動作時に、血管に沿って分布した凝固を引き起こすためにプローブが使用中に血管に沿って並ぶことを可能にする。あるいは、第3誘電材料はディスク状であってもよい。
【0023】
プローブチップチャネルは、少なくともその間のインターフェースの近くで同軸伝送線の軸と並んでもよい。
【0024】
第3誘電材料は、低損失で、機械的に強固な材料であることが好ましい。ここで、「低損失」とは、実質的なエネルギーロスがなくマイクロ波が材料へ通過し得る材料を指す。材料は、0.01以下の誘電正接を有していることが好ましく、0.001以下であることがより好ましい。さらに、第3誘電材料は、器具の使用中、プローブチップに大きな変形を起こすことなく出血部位に機械的圧力を加え得るような十分な剛性があることが好ましい。第3誘電材料は、MACORといったような、PEEK、PTFEまたはセラミックのうちの1つであってもよい。第3誘電材料は、第1誘電材料と同じであってもよく、かつ第1誘電材料と連続していてもよい。
【0025】
内導体は、プローブチップチャネルを結合する壁の内面上の伝導シェルに電気接続されてもよい。伝導シェルは、プローブチップチャネルへの同軸伝送線の内導体の縦方向延長部であることが好ましい。
【0026】
伝導シェルは、プローブチップの第3誘電材料を通じてマイクロ波を送信することが可能なロッド状アンテナとして機能してもよい。放射モノポールアンテナを形成するためにプローブチップチャネルの内面が伝導シェルに覆われる時、針は例えば伝導シェルの内面全体を覆うか、あるいは針が前記内面に接する部分のみを覆い得る絶縁材料の層によって前記伝導シェルから絶縁されるのが好ましい。
【0027】
伝導シェルを取り囲む第3誘電材料の存在は、例えば以下に論じられるようなインピーダンス整合変圧器を用いて例えば反射電力の量を削減することによって、組織へと送達されるエネルギーを高めることができる。
【0028】
あるいは、内導体は、プローブチップチャネルを結合する壁の面上の伝導シェルに電気接続されてもよく、伝導シェルはプローブチップチャネルの遠位端を通過して延び、その後プローブチップの外面上の伝導コーティングを形成するよう自身の上に戻って湾曲するか結合する。伝導コーティングはプローブチップ全体を覆ってもよく、かつ内導体と外導体間の短絡を防ぐために同軸伝送線の外導体から電気的に絶縁される、すなわち外導体に電気接続されていなくてもよい。伝導コーティングは、伝導コーティングと外導体の間のプローブチップの遠位端でリング状の隙間によって外導体から電気的に絶縁されてもよい。隙間の空気は、必要な隔離を供給してもよい。あるいは、絶縁バンドが2つの間に供給されてもよい。より均一で、連続したマイクロ波場を確保するために、伝導シェルは、以下に論じられるように自身へと戻って湾曲するか結合し、その遠位端におけるプローブチップチャネルの端部は、鋭角な端部よりはむしろ滑らかに湾曲した端部または傾斜した端部であってもよい。
【0029】
同軸伝送線の外導体は、不平衡給電を形成するよう接地されてもよく、またはアンテナに平衡給電を形成するよう浮かされていてもよく、すなわち両方の導体における電圧は上下する。
【0030】
可能な限り効果的にマイクロ波エネルギーを目標領域へと送達するために、放射アンテナ構造のインピーダンスは、採用されたマイクロ波場の周波数で目標領域の組織のインピーダンスと整合して配置されることが好ましい。インピーダンスを血液のインピーダンスと整合させる場合、これは確実にマイクロ波場が効果的かつ容易に制御される凝固を引き起こすことを可能にする。インピーダンスの整合は、同軸伝送線の遠位端とプローブチップとの間に配置された1/4波変圧器によって達成されてもよい。この変圧器の長さは、第3誘電材料がMACORである場合おおよそ5.5mm、または第3誘電材料がPEEKである場合おおよそ7mmであってもよい。さらに、キャパシタンスまたはインダクタンスリアクタンス整合スタブは、インピーダンスの虚数部分から整合するよう用いられてもよい。
【0031】
液体チャネルは、同軸伝送線の第2誘電材料の内面によって定義されてもよい。第2誘電材料は、例えばツールが中空を通過する時に導体のひっかきを防ぐための保護コーティングとなってもよい。同軸伝送線は、中空の第2誘電材料を形成する誘電材料の内部管で形成されてもよい。中空の内導体は、前記内部管の周囲を取り巻く伝導テープの層を含んでもよい。テープは、銀テープ、銅テープまたは銀めっきの銅テープを含んでもよい。第1誘電材料は、内導体の周囲を取り巻く誘電テープで形成されてもよい。外導体は、内導体を作る伝導テープに類似しているかまたは同一の伝導テープの層で形成されてもよい。第4誘電材料で作られた保護ジャケットは同様に、外導体の外面に供給されてもよく、第4誘電材料は第1、第2及び第3誘電材料のうちのいずれか1つと同じであってもよい。
【0032】
さらに、液体チャネルは、内導体及び/またはその上に覆われた保護コーティングとは別体である内腔構造の一部として提供されてもよく、内腔構造は外壁を有し、その内面は液体チャネルを結合する。液体チャネルを含む内腔構造は、内導体の内部に供給されてもよい。そのため内腔構造は、その最大外径が同軸伝送線の内導体の最小内径よりも小さくてもよい。このように、内腔構造は空間効率を向上させるために同軸伝送線内部に置かれ得る。
【0033】
液体チャネルに加えて、内腔構造は、カメラ、材料、液体またはガス等といった追加的ツールをプローブチップへ、そして目標領域へと運ぶための第2チャネルを含んでもよい。第2チャネルは、液体チャネルよりも大きくてもよい。
【0034】
内腔構造内に第2チャネルがある場合、プローブチップは第2プローブチップチャネルを含んでもよく、内腔構造内の異なるチャネルに運ばれるアイテムの混合/抵触/巻き込みを防ぐために、液体チャネル及び第2チャネルは、それぞれがプローブチップチャネル及び第2プローブチップチャネルと流体連通する。特に、プローブチップチャネル内の針で、単体でも、液体チャネルを満たすことで針に液体を投与できるよう、液体チャネルは針の第1端と流体連通してもよい。内腔構造内で針の第1端と流体連通している他のチャネルがない場合、液体が異なるチャネルに入るリスクは最小限に抑えられる。針調節手段は、内腔構造の液体チャネル内にのみ置かれてもよく、針は液体チャネルと流体連通するプローブチップチャネル内にのみ置かれてもよい。
【0035】
内腔構造は、その外面が内導体の内面と同一平面上になるように同軸伝送線の内導体の内部に嵌合するよう構成された細長の、実質的に円筒形状の構造であってもよい。内導体の内面上に保護コーティングがある場合、内腔構造は保護コーティングの内面と同一平面上にあってもよい。液体チャネルは、内腔構造の外壁及び仕切壁のうち少なくとも1つによって定義されたオフセンターチャネルとして形成されてもよい。内腔構造の残りはその後、以下に記述されるように追加的ツール、材料、液体またはガスをプローブチップに運ぶのに用いられてもよい。
【0036】
内腔構造は、PEBAX、ナイロン、ポリイミド、Kapton(登録商標)またはPTFEといった柔軟性のある材料で作られることが好ましい。これは、内腔構造が細長いプローブの曲がりに沿って曲がり、さらに曲げの最中に捻れないよう十分な剛性を残していることを可能にする。
【0037】
液体チャネルがプローブチップ及び/または針にその血管収縮特性のために利用され得るアドレナリンを運ぶよう配置されることが好ましい。あるいは、液体チャネルは、血管を収縮させるかまたは部位を洗浄する例えば生理食塩水といった液体を運ぶのに配置されてもよく、それによりエネルギーがその後出血を止めるために加えられ得る。
【0038】
内導体の内面によって定義された中空の直径を最小化するために、同軸伝送線を作り上げる内導体及び外導体の厚さは最小化されるのが好ましい。さらに、例えば5.8GHzでの許容可能なレベルのロスを保証するよう、第1誘電材料の厚さが最小化されることを保証するよう内導体及び外導体の厚さは選択されるべきである。
【0039】
同軸伝送線の外径は10mm未満であり、5mm未満であることがより好ましい。同軸伝送線の外径は2.5mm未満であることがより好ましい。よって、細長いプローブは、内視鏡、腹腔鏡等といった外科用スコーピング装置の器具チャネルの内部に嵌合するサイズであってもよい。内導体を外導体から分離する第1誘電材料は、1mm未満の厚さであってもよく、0.5mm未満の厚さであることがより好ましい。第1誘電材料の誘電率は、5未満であってもよく、3未満であることがより好ましく、2.5未満であることが最も好ましい。第1誘電材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であってもよい。
【0040】
あるいは、PTFEより高い空気量を持つ低密度材料が第1誘電材料に用いられてもよい。例えば、1.6と1.8の間の誘電率を有し得る、低ロスで低密度のPTFEが用いられてもよい。あるいは、1.3と1.5の間の誘電率を持つ微小孔性PTFEが用いられてもよい。これは、同軸伝送線に沿うマイクロ波の伝達に関する低電圧のよって可能となる。第1誘電材料の厚さを最小化するために、材料は単層のみであることが好ましい。
【0041】
内導体または外導体のうち少なくとも1つは、銀から作られてもよい。内導体及び外導体の厚さは、50μ未満であってもよく、25μ未満であることがより好ましく、10μ未満であることが最も好ましい。これらの厚さは、同軸伝送線に沿ってマイクロ波エネルギーを伝達するのには十分であるが、中空の内導体の内面によって定義された中空のサイズを最小化するための可能な限りの小ささである。
【0042】
液体チャネルを通じて嵌合し、さらに針に必要な空間量を最小化するために、針は1mm未満の直径であることが好ましく、0.5mm未満であることがより好ましい。
【0043】
本発明の他の態様に従って、前述のような電気手術器具と、マイクロ波信号生成器からマイクロ波EMエネルギーを受け、かつマイクロ波EMエネルギーを電気手術器具へと運ぶよう構成されたマイクロ波供給構造と、液体源から液体を受け、かつ液体を電気手術器具へと運ぶよう構成された液体供給構造とを有する電気手術装置が提供される。
【0044】
電気手術装置は、マイクロ波信号生成器及び/または液体源を含んでもよい。液体源は、アドレナリン源であることが好ましい。
【0045】
マイクロ波供給構造は、保存された中空の供給にアクセスする方法でマイクロ波EMエネルギーを電気手術器具の同軸伝送線へと運んでもよい。例えば、マイクロ波供給構造は、同軸伝送線の長軸からおおよそ90°、または同軸伝送線の長軸から45°で入射してもよい。
【0046】
例えば、マイクロ波供給構造と本発明の第1態様(本明細書では「電気手術器具」)に従う電気手術器具の同軸伝送線の近位端の間に電気接続された変圧器装置を含むことで、マイクロ波供給構造及び同軸伝送線のインピーダンスは整合してもよい。インピーダンスの整合は、マイクロ波供給構造と電気手術器具の同軸伝送線の近位端の間におけるインターフェースでの電力ロスを低減する。
【0047】
電気手術装置はさらに、電気手術装置の動作のためにユーザによって保持され得るハンドピースを含んでもよい。ハンドピースは、マイクロ波供給構造または液体供給構造のうちの1つまたは両方に連結するための取付部を含んでもよい。取付部は、ねじ嵌合の形状であってもよい。供給構造とハンドピース内部に固定された液体チャネル/同軸伝送線の間にインターフェースを持つことは、部品の相対的な配向を確実に固定し続け、かつ取り除かれにくくする。そのため、変圧器装置は、マイクロ波供給構造と同軸伝送線の間のインターフェースの位置でハンドピース内部に置かれてもよい。
【0048】
電気手術器具の同軸伝送線の外径よりも大きい外径を有する中間同軸伝送線の一部は、マイクロ波供給構造と電気手術器具の同軸伝送線の間に置かれてもよい。標準的な1/4波変圧器は、マイクロ波供給構造と中間同軸伝送線のインターフェースで用いられ得る。中間同軸伝送線は、電気手術器具の同軸伝送線の直径と一致するようその直径を減少させた先細り部分を含んでもよい。前記線を先細りさせる方法は、直径の変化で生じたインピーダンス不整合によって起こる電力ロスまたは減衰を最初化させるのに適していてもよい。さらなるインピーダンス整合を実行し、かつマイクロ波供給構造と電気手術器具の同軸伝送線の間における信号切り替えで生じる電力ロスを最小化するために、第2の1/4波変圧器は、中間同軸伝送線と電気手術装置の同軸伝送線の間におけるインターフェースにあってもよい。
【0049】
前述の任意的機能は、単一で、またはあらゆる他の機能と組み合わせて適用可能である。本発明のさらなる任意的機能は、以下に提示される。
【0050】
本発明の実施形態は、添付の図面に関連する実施例によってここで記述される。