特許第6890342号(P6890342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6890342ガラスビード作製装置に用いられる試料カップ及び試料カップセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890342
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】ガラスビード作製装置に用いられる試料カップ及び試料カップセット
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   G01N1/28 S
   G01N1/28 W
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-153564(P2019-153564)
(22)【出願日】2019年8月26日
(65)【公開番号】特開2021-32719(P2021-32719A)
(43)【公開日】2021年3月1日
【審査請求日】2020年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250339
【氏名又は名称】株式会社リガク
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正明
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 俊和
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 実用新案登録第3188484(JP,Y2)
【文献】 特開昭61−178651(JP,A)
【文献】 実開平6−084353(JP,U)
【文献】 特開平07−144924(JP,A)
【文献】 特開2002−340651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光X線分析装置で分析されるガラスビードを作製するガラスビード作製装置に用いられる試料カップであって、
上端面が試料収容空間の底面となる内柱と、
上下方向に延伸するとともに、前記内柱が上下スライド可能に挿入され、内面が前記試料収容空間の側面となる穴と、前記内柱を前記穴内にて固定する固定部と、を備える外筒と、
を含むことを特徴とする試料カップ。
【請求項2】
前記外筒は、前記ガラスビード作製装置のターレットに係合する段差を外側面に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の試料カップ。
【請求項3】
前記外筒は、その外側面から前記穴に至る第1ねじ穴を有し、
前記固定部は、前記第1ねじ穴に配置され、前記内柱と当接することで前記内柱を前記穴内にて固定するねじである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の試料カップ。
【請求項4】
前記内柱は、前記穴の内面と離間する外側面部分を有し、前記ねじは該外側面部分に当接する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の試料カップ。
【請求項5】
前記内柱は、前記上端面の端部にテーパを有する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の試料カップ。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載の試料カップと、
前記内柱の前記外筒に対する相対位置を調整する調整治具と、
を有する試料カップセットであって、
前記外筒の前記穴は貫通穴であり、
前記調整治具は、
その上部が前記外筒の前記穴に対して下側から挿入され、前記内柱の上端面の一部または下面に当接する調整用柱部材と、
前記調整用柱部材の下部が挿入され、前記調整用柱部材を上下スライド可能に保持する保持穴が形成された台座と、
前記調整用柱部材と前記台座との位置関係を規定する調整部と、を有する、
ことを特徴とする試料カップセット。
【請求項7】
前記保持穴は有底穴であり、
前記台座は、その裏面から前記保持穴の底に至る第2ねじ穴を有し、
前記調整部は、前記第2ねじ穴に配置され、前記調整用柱部材と当接することで前記調整用柱部材と前記台座との位置関係を規定するねじである、
ことを特徴とする請求項6に記載の試料カップセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスビード作製装置に用いられる試料カップ及び試料カップセット、に関する。
【背景技術】
【0002】
試料からガラスビードを作製し、当該ガラスビードに対して蛍光X線分析装置で分析を行う分析方法が知られている(特許文献1参照)。ガラスビードを作製する装置として、ガラスビード作製装置が存在する。ガラスビード作製装置は、分析対象である粉末試料及び融剤を加熱して溶融湯とし、溶融湯を鋳込んでガラスビ−ドを作製する。
【0003】
ガラスビード作製装置は、例えば、セメントの製造過程において、材料の品質を検査する工程で用いられる。具体的には、セメントの材料を製造する工程において、ガラスビード作製装置は、セメントの材料の一部を所定の質量だけ計量する。ガラスビード作製装置は、計量した材料と融剤を混合して加熱し、溶融する。その後、溶融湯が冷却されることでセメント材料を含むガラスビードが作製される。当該ガラスビードは、蛍光X線分析装置によって分析され、分析結果は、製造工程にフィードバックされる(特許文献2参照)。
【0004】
上記の製造工程では、セメントの材料などの試料は、人の手によらず装置によって計量される。しかし、装置によって計量された試料の質量は、ばらつきを含む場合がある。当該ばらつきは、分析結果に影響を与える。そこで、自動で秤量された試料の重量、融剤の重量、ガラスビードの重量に基づいて演算された希釈率等を用いて、試料の各成分の含有率を補正する方法がある(特許文献3参照)。
【0005】
正確な分析結果を得るためには、分析結果を補正するよりも、試料が正確に計量され、一定の質量の試料が採取されることが望ましい。装置によって計量する方法として、採取した試料を傾斜させ、振動により少しづつ試料カップに落下させながら計量することで、所定の質量の試料を採取する重量法が知られている(特許文献4参照)。また、予め嵩比重が既知である試料を試料カップに投入し上面をすりきって所定の体積の試料を採取することにより、所定の質量の試料を採取する容量法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−14037号公報
【特許文献2】特開2018−145073号公報
【特許文献3】特開2000−46766号公報
【特許文献4】特開2002−131118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、重量法は、所定の質量の試料を採取するために多くの時間がかかる問題がある。一方、容量法は、分析対象となる試料によって嵩比重が異なるため、試料に応じて容量の異なる試料カップを複数準備する必要がある。例えば、工場の製造ラインで製造されるセメントを原料ミルサイズが異なるセメントに変更する場合、計量される体積の異なる試料カップを準備する必要がある。
【0008】
また、計量される体積が固定された複数の試料カップを準備したとしても、準備した試料カップによって計量できる体積以外の体積の試料を計量することができない。例えば、1.0ccから2.0ccまで0.1cc単位で試料収容空間の体積が異なる試料カップを準備したとしても、1.05ccの試料を計量することはできない。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、蛍光X線分析装置で分析されるガラスビードを作製するガラスビード作製装置に用いられる試料カップ及び試料カップセットであって、短時間に所望の質量の試料を計量することのできる試料カップ及び試料カップセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の蛍光X線分析装置で分析されるガラスビードを作製するガラスビード作製装置に用いられる試料カップは、上端面が試料収容空間の底面となる内柱と、上下方向に延伸するとともに、前記内柱が上下スライド可能に挿入され、内面が前記試料収容空間の側面となる穴と、前記内柱を前記穴内にて固定する固定部と、を備える外筒と、を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の試料カップは、請求項1に記載の試料カップにおいて、前記外筒は、前記ガラスビード作製装置のターレットに係合する段差を外側面に有する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の試料カップは、請求項1または2に記載の試料カップにおいて、前記外筒は、その外側面から前記穴に至る第1ねじ穴を有し、前記固定部は、前記第1ねじ穴に配置され、前記内柱と当接することで前記内柱を前記穴内にて固定するねじである、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の試料カップは、請求項1乃至3のいずれかに記載の試料カップにおいて、前記内柱は、前記穴の内面と離間する外側面部分を有し、前記ねじは該外側面部分に当接する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の試料カップは、請求項1乃至3のいずれかに記載の試料カップにおいて、前記内柱は、前記上端面の端部にテーパを有する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の試料カップセットは、前記1乃至5のいずれかに記載の試料カップと、前記内柱の前記外筒に対する相対位置を調整する調整治具と、を有する試料カップセットであって、前記外筒の前記穴は貫通穴であり、前記調整治具は、その上部が前記外筒の前記穴に対して下側から挿入され、前記内柱の上端面の一部または下面に当接する調整用柱部材と、前記調整用柱部材の下部が挿入され、前記調整用柱部材を上下スライド可能に保持する保持穴が形成された台座と、前記調整用柱部材と前記台座との位置関係を規定する調整部と、を有する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の試料カップセットは、請求項6に記載の試料カップセットにおいて、前記保持穴は有底穴であり、前記台座は、その裏面から前記保持穴の底に至る第2ねじ穴を有し、前記調整部は、前記第2ねじ穴に配置され、前記調整用柱部材と当接することで前記調整用柱部材と前記台座との位置関係を規定するねじである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1乃至7に係る試料カップ及び試料カップセットによれば、短時間に所望の質量の試料を計量することができる。また、当該計量された試料からガラスビードを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る内柱を概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る外筒を概略的に示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る試料カップを概略的に示す図である。
図4】ターレットの概略を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る調整治具を概略的に示す図である。
図6】調整治具を用いて内柱の外筒に対する相対位置を調整する方法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態(以下、実施形態という)を説明する。本発明に係る試料カップ300は、蛍光X線分析装置で分析されるガラスビードを作製するガラスビード作製装置に用いられる。具体的には、試料カップ300は、分析対象である試料(例えばセメント)を計量するための容器であって、内部に当該試料が収容される。ガラスビード作製装置は、試料カップ300で計量された試料を、溶融るつぼに移し替え、試料と融剤を混合する。さらに、ガラスビード作製装置は、溶融るつぼを加熱した後、冷却することによって、ガラスビードを作製する。
【0020】
そして、作製されたガラスビードは、蛍光X線分析装置によって、組成分析される。具体的には、蛍光X線分析装置が、ガラスビードにX線を照射し、放出された蛍光X線の強度を測定する。そして、例えば検量線法により、蛍光X線分析装置は、測定された蛍光X線の強度に基づいて、試料に含まれる元素の含有量を特定する。ここで、分析結果の精度を向上するためには、試料の質量を正確に計量する必要がある。本発明に係る試料カップ300によれば、短時間に所望の質量の試料を計量することができる。
【0021】
図1乃至図3は本発明に係る試料カップ300を概略的に示す図である。図1乃至図3に示すように、試料カップ300は、内柱100と、外筒200と、を有する。図1(b)は、内柱100を上側から見た図であり、図1(a)は、図1(b)のI−I断面を示す図である。図2(b)は、外筒200を上側から見た図であり、図2(a)は、図2(b)のII−II断面を示す図である。図3(b)は、内柱100が外筒200の穴202に挿入された状態の試料カップ300を上側から見た図であり、図3(a)は、図3(b)のIII−III断面を示す図である。以下、単に試料カップ300等の上部及び下部と表記する場合、試料カップ300等の図1乃至図3の紙面上上側及び下側の部分を意味するものとする。
【0022】
内柱100は、上端面102が試料収容空間302の底面となる。具体的には、例えば、内柱100は、上部に凹部を有する円柱状の形状である。該凹部に試料が配置されることにより、内柱100の上端面102が試料収容空間302の底面となる。
【0023】
内柱100は、外筒200の穴202の内面と離間する外側面部分104を有する。具体的には、内柱100の中部の外側側面は、外側面部分104である。内柱100の上部と下部の直径は、内柱100の中部の直径よりも大きい。内柱100が外筒200の穴202に挿入された状態で、内柱100の上部と下部の外側側面は、外筒200の穴202の内面と接する。一方、内柱100が外筒200の穴202に挿入された状態で、外側面部分104は、外筒200の穴202の内面と離間する。
【0024】
外筒200は、上下方向に延伸するとともに、内柱100が上下スライド可能に挿入され、内面が試料収容空間302の側面となる穴202と、内柱100を穴202内にて固定する固定部204と、を備える。具体的には、外筒200は、略円筒状の形状であって、上下方向に延伸する穴202を有する。当該穴202には、内柱100が上下スライド可能に挿入される。内柱100の上端面102と、外筒200の穴202の内面と、外筒200の上端部で特定される平面と、によって形成される空間は、試料を収容する空間である。試料収容空間302の体積は、外筒200と内柱100との位置関係によって定まる。例えば、内柱100の上側端部と、外筒200の上側端部と、が同じ位置にある場合、試料収容空間302は、内柱100の上側端部で特定される平面と内柱100の上端面102に囲まれる空間である。
【0025】
また、内柱100の上側端部が外筒200の上側端部よりも下側に位置する場合、試料収容空間302は、内柱100の上側端部で特定される平面と内柱100の上端面102に形成される空間と、内柱100の上側端部で特定される平面と外筒200の上側端部で特定される平面と外筒200の穴202の内面とで囲まれる空間である。内柱100の上側端部で特定される平面と外筒200の上側端部で特定される平面と外筒200の穴202の内面とで囲まれる空間は、内柱100の上側端部と外筒200の上側端部との距離が大きくなるほど大きくなる。また、内柱100は上下スライド可能であるため、当該空間の体積を変えることができる。
【0026】
固定部204は、内柱100を穴202内にて固定する。具体的には、例えば、外筒200は、その外側面から穴202に至る第1ねじ穴206を有する。また、固定部204は、第1ねじ穴206に配置され、内柱100と当接することで内柱100を穴202内にて固定するねじである。第1ねじ穴206に配置されたねじが、内柱100の外側面部分104に当接することで、内柱100と外筒200の位置関係が固定される。ねじが緩められた状態では、内柱100は上下スライド可能である。
【0027】
また、内柱100にねじを当接させずに内柱100と外筒200の位置関係を固定することもできる。この場合、内柱100の外側面部分104は、外筒200の穴202の内面と離間しない。具体的には、例えば、外筒200は、2本の水平切り込みと、1本の垂直切り込みを有してもよい。2本の水平切り込みは、穴202の中心軸と直行する方向に、平行に2本、外筒200の外側側面から中心軸前後まで入れた切り込みである。垂直切り込みは、2本の垂直切り込みの間に穴202の中心軸と平行(上下方向)に入れた切り込みである。垂直切り込みは、水平切り込みの両端の中央、またはどちらか一方の端部に設けられることが望ましい。垂直切り込みの幅をねじで狭めることにより、2本の水平切り込みに挟まれた領域において、穴202の内径が縮まる。穴202の内径を縮めることで、内柱100と外筒200の位置関係が固定される。この場合も、ねじが緩められ、2本の水平切り込みに挟まれた領域において穴202の内径が広がった状態では、内柱100は上下スライド可能である。
【0028】
以上のように、本発明に係る試料カップ300によれば、試料収容空間302が試料の所望の質量と対応する体積となるように、内柱100と外筒200の位置関係を固定することで、所望の質量の試料を計量できる。
【0029】
なお、外筒200は、ガラスビード作製装置のターレット400に係合する段差208を外側面に有してもよい。具体的には、例えば、ガラスビード作製装置が試料カップ300に配置された試料からガラスビードを作製する際に、試料カップ300は、ガラスビード作製装置のターレット400に配置される。例えば、図4に示すように、ターレット400は、外筒200が配置される複数の穴402を有する。なお、図4(b)は、ターレット400の穴402に試料カップ300が配置された状態を上側から見た図である。図4(a)は、図4(b)のIV−IV断面を示す図である。
【0030】
試料カップ300は、試料カップ300の外側面に形成された段差208が、ターレット400の穴402の周囲にひっかかかるように配置される。ターレット400に配置された試料カップ300は、試料を溶融るつぼに移し替えるときに、ロボットアーム等によって持ち上げられる。そして、ロボットアームが試料カップ300を傾けることにより、試料収容空間302に配置された試料は、溶融るつぼに移し替えられる。このように、外側面に段差208を形成することで、ターレット400の所定の位置に、所望の質量の試料が収容された試料カップ300を配置できる。
【0031】
また、内柱100は、上端面の端部にテーパ106を有してもよい。具体的には、例えば、上端面102の端部以外の領域は曲線状に形成されるのに対し、上端面102の端部は、直線状に形成されてよい。また、上端面102の当該端部と外筒200の穴202の内面とのなす角度は、端部以外の領域と外筒200の穴202の内面とのなす角度よりも小さい。上端面の端部にテーパ106が形成されることにより、試料収容空間302に試料を配置する際に、いわゆるコンタミネーションを削減することができる。
【0032】
本発明は、さらに、上記試料カップ300を用いて所望の質量の試料を容易に計量できるように、上記試料カップ300と、調整治具500と、を有する試料カップセットであってもよい。調整治具500について図5を参照しながら説明する。なお、調整治具500とセットで用いられる場合、試料カップ300の外筒200の穴202は貫通穴である。試料カップ300が単体で用いられる場合、試料カップ300の外筒200の穴202は貫通穴でなくてもよい。また、図5(b)は調整治具500を上側から見た図であり、図5(a)は、図5(b)のV−V断面を示す図である。
【0033】
調整治具500は、内柱100の外筒200に対する相対位置を調整する治具である。調整治具500は、調整用柱部材502と、台座504と、調整部506と、治具用固定部508と、を有する。
【0034】
調整用柱部材502は、その上部が外筒200の穴202に対して上側または下側から挿入され、内柱100の上端面102の一部または下面に当接する。具体的には、例えば、調整用柱部材502は、外筒200の穴202に対して上側または下側から挿入される円柱状の部材である。そして、外筒200の穴202に対して上側または下側から挿入された調整用柱部材502の上面は、内柱100の上端面102の端部または下面に当接する。これにより、調整用柱部材502は、内柱100を支持する。なお、調整用柱部材502の形状は、外筒200の穴202に対して上側または下側から挿入でき、内柱100の上端面102の一部または下面に当接する形状であれば他の形状であってもよい。
【0035】
台座504は、調整用柱部材502の下部が挿入され、調整用柱部材502を上下スライド可能に保持する保持穴510が形成される。具体的には、例えば、台座504は、平面視で矩形の形状であって、中央に円形の保持穴510を有する。当該保持穴510の形状は、調整用柱部材502に下部の形状と対応する形状であって、保持穴510に調整用柱部材502の下部が挿入される。保持穴510は、有底穴であって、所定の深さを有する。そして、保持穴510は、調整用柱部材502を上下スライド可能に保持する。
【0036】
また、台座504は、その裏面から保持穴510の底に至る第2ねじ穴512を有する。具体的には、例えば、台座504は、保持穴510の底から裏面にかけて貫通する第2ねじ穴512を有する。第2ねじ穴512は、台座504の中央部に設けられる。
【0037】
さらに、台座504は、その側面から保持穴510の側面に至る第3ねじ穴514を有する。具体的には、例えば、台座504は、その外側側面から保持穴510側面にかけて貫通する第3ねじ穴514を有する。第3ねじ穴514は、調整用柱部材502が上下にスライドした場合であっても調整用柱部材502の下面より上側かつ上面より下側に位置する位置に形成される。
【0038】
調整部506は、調整用柱部材502と台座504との位置関係を規定する。具体的には、例えば、調整部506は、第2ねじ穴512に配置され、調整用柱部材502と当接することで調整用柱部材502と台座504の位置関係を規定するねじである。
【0039】
治具用固定部508は、調整用柱部材502を台座504に対して固定する。具体的には、例えば、治具用固定部508は、第3ねじ穴514に配置され、調整用柱部材502と当接することで調整用柱部材502を台座504に固定するねじである。
【0040】
図6は、調整治具500を用いて内柱100の外筒200に対する相対位置を調整する方法について説明する図である。図6(a)は、内柱100の上側端部と、外筒200の上側端部と、が同じ位置となるように相対位置を調整する場合を示す図である。図6(b)は、内柱100の上側端部が、外筒200の上側端部から所定の距離だけ下側に位置するように、相対位置を調整する場合を示す図である。なお、図6では、調整用柱部材502の上端面の端部と、調整用柱部材502の上面が当接する場合について説明する。すなわち、図6では、試料カップ300の上側が、紙面上下側を向いている。
【0041】
図6(a)に示すように、内柱100の上側端部と、外筒200の上側端部と、が同じ位置となるように相対位置を調整する場合、調整用柱部材502の上面は、台座504の上面と同じ位置となるように調整される。一方、図6(b)に示すように、内柱100の上側端部が、外筒200の上側端部から所定の距離だけ下側に位置するように相対位置を調整する場合、調整用柱部材502の上面は、当該所定の距離だけ台座504の上面から上側に位置するように調整される。
【0042】
調整用柱部材502の上面の位置は、第2ねじ穴512に挿入されたねじを回転させることによって調整される。具体的には、ユーザは、台座504の裏面側から、第2ねじ穴512に挿入されたねじをドライバーや六角レンチで回転させる。ねじの頂部は、回転の数に応じた距離だけ、保持穴510の底面から突出する。調整用柱部材502の底面は、ねじの頂部と当接するため、ねじの頂部が保持穴510の底面から突出すした距離によって、調整用柱部材502の上面と、台座504の上面との距離が定まる。ユーザは、第2ねじ穴512に挿入された調整部506を所定の回数回転させることで、調整用柱部材502と台座504との位置関係を調整できる。
【0043】
なお、調整部506の回転数と、調整用柱部材502と台座504との位置関係と、試料収容空間302の体積と、の対応関係は、予め明らかにされていることが望ましい。例えば、当該関係を示すテーブルを準備しておくことで、ユーザは容易に、試料収容空間302の体積が所望の体積となるように調整できる。以上のように、本発明に係る試料カップ300及び試料カップセットによれば、試料収容空間302の体積を連続的に変化させることができる。これにより、短時間に所望の質量の試料を計量することができる。
【0044】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。試料カップ及び調整治具の構成は一例であって、これに限定されるものではない。上記の実施例で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成する構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0045】
100 内柱、102 上端面、104 外側面部分、106 テーパ、200 外筒、202 外筒の穴、204 固定部、206 第1ねじ穴、208 段差、300 試料カップ、302 試料収容空間、400 ターレット、402 ターレットの穴、500 調整治具、502 調整用柱部材、504 台座、506 調整部、508 治具用固定部、510 保持穴、512 第2ねじ穴、514 第3ねじ穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6