(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
倉庫内に載置された複数の荷物のそれぞれに設置された無線タグと、前記無線タグが配下に接続された無線タグリーダと、前記無線タグを起動する起動信号を送信する起動装置と、前記複数の荷物を管理する荷物管理装置と、前記倉庫内を移動する移動体と、前記移動体の上をホバリングしながら飛行し、前記起動装置を搭載する飛行体と
を備えた荷物管理システムであって、
前記起動装置は、
所定のタイミングで前記起動信号の送信を行い、
前記無線タグは、
前記起動信号を受信した際に、無線タグに固有の識別情報と前記起動信号の受信電力強度情報を含む起動応答信号を前記無線タグリーダに送信し、
前記無線タグリーダは、
前記固有の識別情報、及び前記受信電力強度情報を関連付けて前記荷物管理装置に送信し、
前記荷物管理装置は、
前記倉庫内の前記移動体の位置、及び前記受信電力強度情報に基づいて、前記倉庫内の前記荷物の位置を特定するように構成されている
荷物管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、本発明は、様々な実施の形態で実施可能であり、以下に説明する発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
<荷物管理システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態における荷物管理システムの構成の一例である。
図1の荷物管理システム3では、倉庫1内に搬入された荷物6が多段ラックに複数段積載されている。
【0014】
荷物6には、それぞれ固有の識別情報(無線タグID)を有する無線タグ10と無線タグ10を管理する無線タグリーダ20が設置されており、無線タグ10が送信する信号に含まれる無線タグIDにより各荷物6が識別できるように構成されている。荷物管理システム3では、倉庫1内を移動する飛行体40に搭載された起動装置30が送信する起動信号に応じて、各荷物6に設置された無線タグから送信される起動応答信号に含まれる無線タグIDを受信することにより、倉庫1内の荷物6の管理を行う。
【0015】
移動体50は、照明部2に向かって倉庫1内を移動し、飛行体40は、移動体50の上をホバリングしながら倉庫1内を飛行する。飛行体40は、移動体50に設置された照明部5の光を含む画像情報を受信することにより、移動体50の上をホバリングすることができ、移動体50の移動に追随しながら倉庫1内を飛行することができる。
【0016】
飛行体40に搭載された起動装置30が起動信号を送信し、この起動信号に応答して無線タグ10から送信された起動応答信号を、無線タグリーダ20が受信することにより、倉庫1内の荷物6の位置を管理する。荷物6の位置は、無線タグリーダ20が受信した情報を用いて荷物管理装置60で管理される。尚、
図1の構成例では、無線タグリーダ20が倉庫1に設置されているが、この無線タグリーダ20は、移動体50に設置してもよい。
【0017】
また、
図1の荷物管理システム3は、荷物6が多段ラック4に収容されている多段ラック倉庫を対象としているが、これに限定されず、本発明は、荷物6が複数段積載されている平置き倉庫に対しても適用することができる。
【0018】
<無線タグ、無線タグリーダ、飛行体、及び移動体>
図2は、本発明の実施の形態における荷物管理システムを構成する無線タグ、無線タグリーダ、起動装置、飛行体、及び移動体の機能ブロックの一例である。
【0019】
荷物6に設置された無線タグ10は、内蔵した電池により動作するアクティブタグである。無線タグ10は、無線タグ10を識別するための固有の識別情報を含むビーコン信号を送信し、無線タグリーダ20は、無線タグ10からのビーコン信号を受信し、それに対する応答信号を返信することにより、無線タグ10をその配下に接続することができる。
【0020】
無線タグ10は、ビーコン信号を送信するために間欠的に起動する機能に加えて、外部装置からの起動信号に応答して起動応答信号を送信することができる。起動装置30を搭載した飛行体40が無線タグ10に接近して、起動装置30が起動信号を送信すると、無線タグ10が、起動信号を受信し、起動信号に応答して起動応答信号を送信する。この起動応答信号は、その無線タグ10が接続されている無線タグリーダ20が受信することができる。
【0021】
荷物6に設置された無線タグ10は、内蔵した電池16により動作するアクティブタグである。固有の識別情報(無線タグID)等を含むビーコン信号を送信し、無線タグリーダ20からの応答や起動装置30からの起動信号を受信するためのアンテナ11と無線部12、各部の制御を行うための中央処理部13、メモリ14、センサ等を接続するI/F部15を含んで構成されている。
【0022】
無線タグ10の中央処理部13は、ビーコン信号を送信するために所定の間隔で無線タグを起動する間欠動作を行うとともに、起動装置30から起動信号を受信した際には、それに応答して、起動応答信号の送信処理を行う。起動信号の受信動作についても、所定の間隔で間欠的に行うことにより、無線タグ10の消費電力を削減することができる。
【0023】
移動体50は、倉庫1内を自走するための走行機能を備え、飛行体40の制御信号等を送受信するための無線部51、倉庫1内を走行するための駆動部53、照明部2の画像情報を取得するためのカメラ部54、駆動部53の制御や情報の送受信等の処理を行うための中央処理部52および各種情報等を保存するためのメモリ55、各部を動作させるための電池56を備える。移動体50は、搭載されたカメラ部54により取得した照明部2の画像情報に基づいて倉庫1内を自走することができる。移動体50には、飛行体40が移動体50上をホバリングするための4つの照明部5が搭載されている。
【0024】
飛行体40は、飛行するためのプロペラ(図示しない)、飛行体40の高度等を設定するための無線部41、プロペラを回転するための駆動部43、ホバリングするための照明部5の画像情報を取得するためのカメラ部44、駆動部43の制御や情報の送受信等の処理を行うための中央処理部42および各種情報等を保存するためのメモリ45、各部を動作させるための電池46を備える。飛行体40は、搭載されたカメラ部44により取得した照明部の画像情報に基づいて移動体50上をホバリングすることができる。
【0025】
飛行体40に搭載されている起動装置30は、起動信号を送信するためのアンテナ31と無線部32、各信号の送受信制御等を行うための中央処理部33および各種情報等を保存するためのメモリ34、各部を動作させるための電池36を含んで構成されている。
【0026】
無線タグリーダ20は、無線タグ10からビーコン信号や起動応答信号を受信し、ビーコン信号に対する応答信号を送信するためのアンテナ21と無線部22、各部の制御を行うための中央処理部23、メモリ24、ネットワークに接続するためのI/F部25を含んで構成されている。
【0027】
無線タグリーダ20は、起動応答信号に含まれる無線タグID情報、受信電力強度情報を荷物管理装置60に送信する。荷物管理装置60は、荷物毎に、無線タグID情報と受信電力強度情報を管理する。荷物管理装置60は、倉庫内の前記移動体の位置、及び受信電力強度情報に基づいて、倉庫内の荷物の位置を特定する。
【0028】
<飛行体及び移動体の移動>
図3、4は、本発明の実施の形態における飛行体及び移動体の移動を説明するための図である。
図3、4に示すように、移動体50は、倉庫1内を照明部2に向けて移動し、飛行体40は、移動体50の上をホバリングしながら飛行する。飛行体40は、照明部5が照射する光に基づいて、移動体50の上をホバリングするように制御され、移動体50の移動に追随して倉庫1内を移動する。
【0029】
<飛行体のホバリング>
本実施の形態では、飛行体40は、移動体50に搭載された4つの照明部5が照射する光に基づいて、移動体50の上をホバリングするように制御される。飛行体40のカメラ部44は、4つの照明部5が照射する光の画像を取得し、飛行体40が4つの照明部5の中心に存在するように飛行体40の駆動部43を制御する。
【0030】
本実施の形態では、飛行体40を移動体50の上をホバリングするように制御するために、4つの照明部5を移動体50に搭載したが、ホバリングするための構成は、これに限定されない。例えば、照明部の数を換えてもよいし、飛行体40が一定の位置にホバリングできる他の画像を用いることもできる。
【0031】
移動体50を倉庫1内を所定の移動経路に沿って移動させるようにすれば、飛行体40を移動体50の移動経路に沿って移動させることができる。飛行体40の高さは、予め設定してもよいし、荷物管理装置60等の外部装置から適宜設定することもできる。
【0032】
<移動体の移動>
図5は、本発明の実施の形態における移動体の移動を説明するための図である。
図5では、出発点に静止した状態から照明部2に向けて移動し、照明部2に到着するまでの移動体の動作を説明する。尚、
図5では、移動体50に追随して移動する飛行体40の移動については省略する。
【0033】
(1)の段階では、カメラ部54により周囲の画像を取得して、取得された画像を用いて照明部2を探索する。
【0034】
(2)の段階では、点灯している照明部2を捕捉できたので、移動体50は、照明部2に向けて移動を開始する。照明部2に接近するにつれて、照明部2の画像が大きくなるので、移動体50は、照明部2に向けて移動していることを確認することができる。
【0035】
(3)の段階では、照明部2の大きさが所定の大きさを超えたので、移動体50は、照明部2の付近に到達したと判断し移動を停止する。
【0036】
尚、
図5では、照明部が照射する照明の画像を用いて、移動体50を移動させたが、移動体50を移動させる方法は、これに限定されない。照明部の代わりにバーコード情報を用いてもよいし、倉庫1の床に配置された線の画像を取得し、その画像に沿って移動体50を移動させてもよい。
【0037】
<無線タグの起動と位置の特定>
図6を用いて、本発明の実施の形態における飛行体による無線タグ10の起動動作を説明する。起動装置30を搭載した飛行体40は、倉庫1内を移動しながら、所定のタイミングで起動信号を送信し、無線タグリーダ20は、起動信号に応答して送信された起動応答信号の受信を行う。
【0038】
無線タグリーダ20は、起動応答信号に含まれる無線タグID情報を取得することにより、無線タグ10及び対応する荷物6の存在を把握できるが、この無線タグID情報のみでは、無線タグ10の倉庫1内における位置を特定することはできない。本発明の実施の形態では、無線タグ10における起動信号の受信電力情報に基づいて無線タグ10の位置を特定する。
【0039】
起動装置30を搭載した飛行体40がラック#2に接近し、ラック#2に設置された荷物6の無線タグ10が起動信号を受信すると、無線タグ10は、無線タグID情報を含む起動応答信号を無線タグリーダ20に送信する。本実施の形態では、この起動応答信号に起動信号を受信した際の受信電力強度情報を含める。この受信電力強度は、無線タグリーダと無線タグの間の距離の3乗に反比例して変動するので、飛行体40に近い無線タグほど起動信号を受信した際の受信電力強度が強くなるという特性を有する。
【0040】
図6に示すように、飛行体40がラック#2に接近した状態において、ラック#1、ラック#3の無線タグ10が起動信号を受信し、起動応答信号を送信した場合でも、ラック#2の無線タグ10から送信された受信電力強度は、ラック#1、ラック#3の無線タグ10から送信された受信電力強度と比較してかなり大きい値となるので、強い受信電力強度情報を送信したラック#2の無線タグ10が飛行体40の近傍に存在すると判断することができる。
【0041】
このように、受信電力強度信号の特性を利用して、強い受信電力強度情報を送信した無線タグ10が飛行体40の近傍に存在すると判断することができるので、その際の飛行体40の位置を利用することで、強い受信電力強度情報を送信した無線タグ10の位置、すなわち荷物6の位置を特定することができる。
【0042】
ここで、起動応答信号の受信電力強度情報をモニタしながら、予め定めた移動経路に沿って移動体50を移動させることにより、強い受信電力強度情報を含む起動応答信号を受信した際の移動経路における移動体50すなわち飛行体40の位置に基づいて、強い受信電力強度情報を含む起動応答信号を送信した無線タグ10の位置を特定することができる。
【0043】
別の方法としては、移動体50を、所定の時間における倉庫1内の位置が特定できるように倉庫1内の予め定めた移動経路に沿って移動させ、無線タグリーダ20における起動応答信号の受信時間の情報に基づいて、その受信時間における移動体50すなわち飛行体40の倉庫1内の位置を特定し、その特定された飛行体40の位置に基づいて無線タグ10の位置を特定することもできる。
【0044】
<動作シーケンス>
図7を用いて、荷物管理システムにおける動作シーケンスを説明する。
図7は、本発明の実施の形態における荷物管理システムの動作シーケンスの一例である。
【0045】
無線タグが設置された荷物が倉庫内に搬入され、所定の位置に載置されると、飛行体に搭載された起動装置から送信された起動信号を受信し、起動信号に応答して、無線タグID情報と起動信号の受信電力強度の情報を含む起動応答信号を送信する。飛行体は、倉庫内を所定の移動経路に沿って飛行しながら、起動信号を送信する。
【0046】
無線タグリーダは、無線タグID情報と起動信号の受信電力強度の情報を含む起動応答信号を受信すると、起動応答信号に含まれる無線タグID情報と起動信号の受信電力強度とともに、起動応答信号の受信時間情報を保存する。
【0047】
無線タグリーダは、無線タグから起動応答信号を受信しながら、無線タグID情報、起動信号の受信電力強度情報、および起動応答信号の受信時間情報を収集、飛行体の移動終了後に、無線タグID情報、起動信号の受信電力強度情報、および起動応答信号の受信時間情報を関連付けて、荷物管理装置に送信する。
【0048】
荷物管理装置には、荷物と対応する無線タグID情報が登録されており、無線タグリーダから受信した情報を用いて、荷物毎に、無線タグID情報、起動信号の受信電力強度情報、および起動応答信号の受信時間情報を管理する荷物管理データを構成する。
【0049】
荷物管理装置は、倉庫内の飛行体の位置、及び受信電力強度情報に基づいて、倉庫内の荷物の位置を特定する。受信電力強度信号の特性を利用して、強い受信電力強度情報を送信した無線タグ10が飛行体40の近傍に存在すると判断することができるので、その際の飛行体40の位置を利用することで、強い受信電力強度情報を送信した無線タグ10の位置、すなわち荷物6の位置を特定することができる。
【0050】
ここで、起動応答信号の受信電力強度情報をモニタしながら、予め定めた移動経路に沿って移動体50を移動させることにより、強い受信電力強度情報を含む起動応答信号を受信した際の移動経路における移動体50すなわち飛行体40の位置に基づいて、強い受信電力強度情報を含む起動応答信号を送信した無線タグ10の位置を特定することができる。
【0051】
また、移動体50を、所定の時間における倉庫1内の位置が特定できるように倉庫1内の予め定めた移動経路に沿って移動させ、無線タグリーダ20における起動応答信号の受信時間の情報に基づいて、その受信時間における移動体50すなわち飛行体40の倉庫1内の位置を特定し、その特定された飛行体40の位置に基づいて無線タグ10の位置を特定することもできる。
【0052】
<荷物管理データ>
図8は、本発明の実施の形態における荷物管理データの一例である。この荷物管理データは、荷物管理装置に保存されている。
【0053】
荷物管理装置では、無線タグが送信する起動応答信号に含まれる情報に基づき、無線タグを搭載した荷物を管理する。この荷物管理データでは、荷物毎に、無線タグID情報と受信電力強度情報、及び起動応答信号の受信時間情報を管理している。
【0054】
このように、本実施の形態によれば、多段ラック倉庫や平置き倉庫における荷物の状態を簡易に管理することができ、管理システムの構築や更新を行う際の作業やそのためのコストを低減することが可能な荷物システムを提供することが可能となる。
【解決手段】本発明の荷物管理システムは、倉庫内に載置された複数の荷物のそれぞれに設置された無線タグと、無線タグが配下に接続された無線タグリーダと、無線タグを起動する起動信号を送信する起動装置と、複数の荷物を管理する荷物管理装置と、倉庫内を移動する移動体と、移動体の上をホバリングしながら飛行し、起動装置を搭載する飛行体とを備え、起動装置は、所定のタイミングで起動信号の送信を行い、無線タグは、起動信号を受信した際に、無線タグに固有の識別情報と起動信号の受信電力強度情報を含む起動応答信号を無線タグリーダに送信し、無線タグリーダは、固有の識別情報、及び受信電力強度情報を関連付けて荷物管理装置に送信し、荷物管理装置は、倉庫内の移動体の位置、及び受信電力強度情報に基づいて、倉庫内の荷物の位置を特定するように構成されている。