特許第6890354号(P6890354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6890354
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】フィルム巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/30 20060101AFI20210607BHJP
   B65H 19/26 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   B65H19/30
   B65H19/26
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-36789(P2020-36789)
(22)【出願日】2020年3月4日
【審査請求日】2020年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154130
【氏名又は名称】株式会社不二鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠山 哲則
【審査官】 國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭42−5484(JP,B1)
【文献】 特開昭50−53767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00 − 19/30
21/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを巻き取る巻芯が装着された巻取軸を回転させるためのドラムと、
フィルムが巻芯に巻き取られることによって形成される巻取ロールを前記ドラムに押し付けるプレスローラとを備えるフィルム巻取装置であって、
巻取ロールの巻取軸を支持するとともに、フィルムの巻き取りが行われる巻取位置から巻取軸の交換時に巻取ロールが退避される退避位置に巻取ロールを移送させる移送機構と、
前記巻取位置の巻取ロールに前記プレスローラを接触させるとともに、前記巻取位置から前記退避位置に巻取ロールが移送される際に、その巻取ロールに前記プレスローラを接触させながら巻取ロールとともに前記プレスローラを移動させるローラ支持部材と、
巻取軸の交換時に新しい巻芯が装着された巻取軸を前記巻取位置に供給する供給機構と、
巻取軸の交換時に前記巻取位置の新しい巻芯にフィルムを切断して巻き付ける切断巻付機構とを備え、
前記移送機構は、前記巻取位置に巻取ロールが配置されている場合に巻取軸を支持する第1アームと、前記退避位置に巻取ロールが配置されている場合に巻取軸を支持する第2アームとを含み、
前記第1アーム、前記第2アームおよび前記ローラ支持部材は、前記ドラムの回転軸を中心にして回動可能に構成され、
前記第1アームと前記ローラ支持部材とを連結または分離する断接部材が設けられ、
前記第1アームおよび前記第2アームが巻取軸を挟み込んだ状態で回動されることにより、巻取ロールが前記巻取位置から前記退避位置に移送される場合に、前記断接部材によって前記第1アームおよび前記ローラ支持部材が連結されており、前記ローラ支持部材が前記第1アームと一体的に回動されるように構成されていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム巻取装置において、
前記ローラ支持部材は、前記プレスローラを巻取ロールに対して接離方向に移動可能であり、前記プレスローラを駆動回転させるように構成されていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフィルム巻取装置において、
前記第2アームは、前記ドラムの回転軸を中心にして回動するベース部と、前記ベース部に回動可能に設けられた支持アーム部とを含むことを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のフィルム巻取装置において、
前記移送機構は、前記巻取位置に巻取ロールが配置されている場合に前記第1アームとともに巻取軸を支持する第3アームと、前記退避位置に巻取ロールが配置されている場合に前記第2アームとともに巻取軸を支持する第4アームとを含み、
前記第3アームは、予め設定された位置に移動不能に設けられ、
前記第4アームは、前記ドラムの上方に配置される回動軸を中心にして回動可能に構成されていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のフィルム巻取装置において、
前記切断巻付機構は、前記巻取位置に対してフィルムの流れ方向の上流側に配置される第1切断刃および接着剤塗布部と、前記巻取位置に対してフィルムの流れ方向の下流側に配置される第2切断刃およびエア吐出部とを含み、
前記第1切断刃は、フィルムの幅方向の一方端部から中間部に向けて走行されるように設けられ、フィルムの幅方向の一方側を切断するように構成され、
前記第2切断刃は、フィルムの幅方向の他方端部から中間部に向けて走行されるように設けられ、フィルムの幅方向の他方側を切断するように構成され、
前記第1切断刃によってフィルムの幅方向の一方側が切断されるとともに、前記第2切断刃によってフィルムの幅方向の他方側が切断されることにより、フィルムの幅方向の全長が切断されるように構成され、
前記接着剤塗布部は、前記第1切断刃によるフィルムの切断箇所に対するフィルムの流れ方向の上流側の部分に接着剤を塗布するように構成され、
前記エア吐出部は、前記第2切断刃によるフィルムの切断の際に、前記第2切断刃とともにフィルムの幅方向の他方端部から中間部に向けて走行されるように設けられていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のフィルム巻取装置において、
前記供給機構は、新しい巻芯が装着された巻取軸が前記巻取位置に供給される際に、その巻取軸を予め回転させるための補助ローラを含むことを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載のフィルム巻取装置において、
前記供給機構は、新しい巻芯が装着された巻取軸が前記巻取位置に配置されているときに、新しい巻芯を軸方向の中間部で支持する支持ローラを含むことを特徴とするフィルム巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドラム式のフィルム巻取装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなフィルム巻取装置は、フィルムを巻き取る巻芯が装着された巻取軸を回転させるためのドラムと、フィルムが巻芯に巻き取られることによって形成される巻取ロールをドラムに押し付けるプレスローラとを備えている。そして、プレスローラの巻取ロールに対する押圧力が調整されることにより、巻取ロールとドラムとの接触圧が適切になるように調整される。このため、巻き取られるフィルムに同伴されるエアが適切に抜かれるので、巻取ロールの巻取品質の向上を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6279696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなフィルム巻取装置では、巻取品質の向上を図ることが可能であるが、巻取軸の交換時にフィルムの巻き取りが中断されるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、巻取品質の向上を図るとともに、フィルムの巻き取りを中断することなく巻取軸を交換することが可能なフィルム巻取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるフィルム巻取装置は、フィルムを巻き取る巻芯が装着された巻取軸を回転させるためのドラムと、フィルムが巻芯に巻き取られることによって形成される巻取ロールをドラムに押し付けるプレスローラと、巻取ロールの巻取軸を支持するとともに、フィルムの巻き取りが行われる巻取位置から巻取軸の交換時に巻取ロールが退避される退避位置に巻取ロールを移送させる移送機構と、巻取位置の巻取ロールにプレスローラを接触させるとともに、巻取位置から退避位置に巻取ロールが移送される際に、その巻取ロールにプレスローラを接触させながら巻取ロールとともにプレスローラを移動させるローラ支持部材と、巻取軸の交換時に新しい巻芯が装着された巻取軸を巻取位置に供給する供給機構と、巻取軸の交換時に巻取位置の新しい巻芯にフィルムを切断して巻き付ける切断巻付機構とを備える。移送機構は、巻取位置に巻取ロールが配置されている場合に巻取軸を支持する第1アームと、退避位置に巻取ロールが配置されている場合に巻取軸を支持する第2アームとを含む。第1アーム、第2アームおよびローラ支持部材は、ドラムの回転軸を中心にして回動可能に構成されている。第1アームとローラ支持部材とを連結または分離する断接部材が設けられている。フィルム巻取装置は、第1アームおよび第2アームが巻取軸を挟み込んだ状態で回動されることにより、巻取ロールが巻取位置から退避位置に移送される場合に、断接部材によって第1アームおよびローラ支持部材が連結されており、ローラ支持部材が第1アームと一体的に回動されるように構成されている。
【0008】
このように構成することによって、巻取位置でフィルムの巻き取りを行っている巻取ロールを退避位置に退避させ、巻取位置に新しい巻芯が装着された巻取軸を供給し、その新しい巻芯にフィルムを切断して巻き付けることにより、フィルムの巻き取りを中断することなく巻取軸を交換することができる。また、巻取ロールが巻取位置に配置されているときに、プレスローラが巻取ロールを押圧することにより、巻き取られるフィルムに同伴されるエアが抜かれるので、巻取ロールの巻取品質の向上を図ることができる。さらに、巻取位置から退避位置に巻取ロールが移送されるときに、その巻取ロールとともにプレスローラが押圧しながら移動されることにより、巻取軸の交換時にも、巻き取られるフィルムに同伴されるエアを抜くことができる。また、第1アームおよびローラ支持部材を連結する断接部材が設けられることにより、移送される巻取ロールと同期した状態でプレスローラを移動させることができる。
【0009】
上記フィルム巻取装置において、ローラ支持部材は、プレスローラを巻取ロールに対して接離方向に移動可能であり、プレスローラを駆動回転させるように構成されていてもよい。
【0010】
上記フィルム巻取装置において、第2アームは、ドラムの回転軸を中心にして回動するベース部と、ベース部に回動可能に設けられた支持アーム部とを含んでいてもよい。
【0011】
上記フィルム巻取装置において、移送機構は、巻取位置に巻取ロールが配置されている場合に第1アームとともに巻取軸を支持する第3アームと、退避位置に巻取ロールが配置されている場合に第2アームとともに巻取軸を支持する第4アームとを含み、第3アームは、予め設定された位置に移動不能に設けられ、第4アームは、ドラムの上方に配置される回動軸を中心にして回動可能に構成されていてもよい。
【0012】
上記フィルム巻取装置において、切断巻付機構は、巻取位置に対してフィルムの流れ方向の上流側に配置される第1切断刃および接着剤塗布部と、巻取位置に対してフィルムの流れ方向の下流側に配置される第2切断刃およびエア吐出部とを含み、第1切断刃は、フィルムの幅方向の一方端部から中間部に向けて走行されるように設けられ、フィルムの幅方向の一方側を切断するように構成され、第2切断刃は、フィルムの幅方向の他方端部から中間部に向けて走行されるように設けられ、フィルムの幅方向の他方側を切断するように構成され、第1切断刃によってフィルムの幅方向の一方側が切断されるとともに、第2切断刃によってフィルムの幅方向の他方側が切断されることにより、フィルムの幅方向の全長が切断されるように構成され、接着剤塗布部は、第1切断刃によるフィルムの切断箇所に対するフィルムの流れ方向の上流側の部分に接着剤を塗布するように構成され、エア吐出部は、第2切断刃によるフィルムの切断の際に、第2切断刃とともにフィルムの幅方向の他方端部から中間部に向けて走行されるように設けられていてもよい。
【0013】
上記フィルム巻取装置において、供給機構は、新しい巻芯が装着された巻取軸が巻取位置に供給される際に、その巻取軸を予め回転させるための補助ローラを含んでいてもよい。
【0014】
上記フィルム巻取装置において、供給機構は、新しい巻芯が装着された巻取軸が巻取位置に配置されているときに、新しい巻芯を軸方向の中間部で支持する支持ローラを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフィルム巻取装置によれば、巻取品質の向上を図るとともに、フィルムの巻き取りを中断することなく巻取軸を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態によるフィルム巻取装置を説明するための図である。
図2図1のフィルム巻取装置のドラム周辺を拡大した図である。
図3図2のフィルム巻取装置のドラム周辺をさらに拡大した図である。
図4図2のフィルム巻取装置の移送機構を説明するための図である。
図5図2のフィルム巻取装置のローラ支持部材を説明するための図である。
図6図2のフィルム巻取装置の巻取軸の一方端部を拡大した図である。
図7図2のフィルム巻取装置において巻取ロールの直径が大きくなった状態を示した図である。
図8図7のフィルム巻取装置において巻取ロールが巻取位置から退避位置に移送された状態を示した図である。
図9図8のフィルム巻取装置において第1アームが上流側に戻された状態を示した図である。
図10図9のフィルム巻取装置において新しい巻芯が装着された巻取軸が予め回転された状態を示した図である。
図11図10のフィルム巻取装置において新しい巻芯が装着された巻取軸が巻取位置に供給された状態を示した図である。
図12図11のフィルム巻取装置において第1切断刃が切断時位置に移動された状態を示した図である。
図13図12のフィルム巻取装置において退避位置の巻取ロールが製品受台に排出された状態を示した図である。
図14図13のフィルム巻取装置において製品受台上の巻取ロールから巻取軸が抜き取られた状態を示した図である。
図15図14のフィルム巻取装置において製品受台に新しい巻芯が供給されて巻取軸が挿入された状態を示した図である。
図16図15のフィルム巻取装置において新しい巻芯が装着された巻取軸が巻取軸供給部に渡された状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
−構成−
まず、図1図6を参照して、本発明の一実施形態によるフィルム巻取装置100の構成について説明する。フィルム巻取装置100は、図2に示すように、いわゆるドラム式であり、ドラム1の回転によって巻取軸150が連れ回されることにより、巻取軸150に装着された巻芯151にフィルム152が巻き取られるように構成されている。巻芯151にフィルム152が巻き取られることによって巻取ロール153が形成され、フィルム152の巻き取りに伴い巻取ロール153の直径(巻径)が大きくなる。フィルム152は、たとえば樹脂製であり、幅広の帯状に形成されている。
【0019】
フィルム巻取装置100は、上流側から供給されるフィルム152の巻き取りを中断することなく、巻取軸150を交換可能に構成されている。このフィルム巻取装置100は、ドラム1と、プレスローラ2と、ローラ支持部材3と、移送機構4と、供給機構5(図1参照)と、切断巻付機構6とを備えている。
【0020】
[ドラム]
ドラム1は、フィルム152を巻き取る巻取軸150を回転させるために設けられ、駆動回転可能に構成されている。ドラム1は、巻取ロール153が接触され、その巻取ロール153を摩擦によって連れ回すように構成されている。
【0021】
[プレスローラ]
プレスローラ2は、巻取ロール153の上方に配置され、巻取ロール153をドラム1に押し付けるために設けられている。プレスローラ2は、ローラ支持部材3に回転可能に支持されている。
【0022】
[ローラ支持部材]
ローラ支持部材3は、プレスローラ2を巻取ロール153に対して接離方向(ドラム1の径方向)に移動可能であり、プレスローラ2の巻取ロール153に対する押圧力を調整することが可能である。このため、ローラ支持部材3は、巻取ロール153とドラム1との接触圧を調整可能に構成されている。このローラ支持部材3は、プレスローラ2を駆動回転可能に支持している。また、ローラ支持部材3は、ドラム1の回転軸を中心にして回動可能に構成されている。なお、図2などでは、見やすさを考慮してローラ支持部材3の詳細については図示を省略している。
【0023】
具体的に、ローラ支持部材3は、図5に示すように、アーム部31と、エアシリンダ32(図4参照)と、スライド部33と、アクチュエータ34と、モータ35とを含んでいる。なお、図5は、スライド部33のスライド方向から見た図である。アーム部31は、ドラム1の回転軸を中心にして回動可能に設けられている。アーム部31には、接離方向(ドラム1の径方向)に延びるガイドレール311およびラック312が設けられている。エアシリンダ32は、図4に示すように、アーム部31を回動させる駆動力源であり、シリンダ本体321に対してピストン322が進退可能に構成されている。シリンダ本体321はサイドフレーム7に取り付けられ、ピストン322はアーム部31に連結されている。
【0024】
図5に示すように、スライド部33は、アーム部31にスライド移動可能に設けられ、プレスローラ2を支持している。スライド部33には、ガイドレール311と係合するスライド係合部(ガイドシュー)331が設けられるとともに、ラック312と噛合するピニオン332が回転可能に設けられている。このため、スライド部33は、接離方向に移動可能に構成されている。アクチュエータ34は、スライド部33をスライド移動させる駆動力源であり、アーム部31に設けられている。アクチュエータ34は、巻取ロール153に対するプレスローラ2の押圧力を調整可能に構成されている。モータ35は、プレスローラ2を回転させる駆動力源であり、スライド部33に設けられている。モータ35は、巻取ロール153に接触されるプレスローラ2が巻取ロール153の回転負荷となるのを抑制するために設けられている。
【0025】
アーム部31、エアシリンダ32、スライド部33およびアクチュエータ34は、プレスローラ2を挟んで対向するように左右一対で設けられ、モータ35は、一対のスライド部33の一方のみに設けられている。また、一対のピニオン332は、連結シャフト36によって連結されている。連結シャフト36は、プレスローラ2の内側に相対回転可能に配置され、一対のスライド部33のスライド移動を同期させるために設けられている。
【0026】
[移送機構]
移送機構4は、図3に示すように、巻取ロール153の巻取軸150を支持するとともに、巻取位置P1から退避位置P2に巻取ロール153を移送するように構成されている。巻取位置P1は、フィルム152の巻き取りが主に行われる位置であり、退避位置P2は、巻取軸150の交換時に巻取ロール153が退避される位置である。巻取位置P1および退避位置P2はドラム1の回転中心に対して上側に配置されており、巻取位置P1がドラム1の回転中心に対して上流側(Y2方向側)に配置され、退避位置P2がドラム1の回転中心に対して下流側(Y1方向側)に配置されている。
【0027】
移送機構4は、第1アーム41〜第4アーム44を含んでいる。第1アーム41および第2アーム42は、ドラム1の回転軸を中心にして回動可能に構成されている。第3アーム43は、予め設定された位置に移動不能に設けられている。第4アーム44は、ドラム1の上方に配置される回動軸44a(図2参照)を中心にして回動可能に構成されている。第1アーム41および第3アーム43は、巻取位置P1に巻取ロール153が配置されている場合に巻取軸150を支持し、第2アーム42および第4アーム44は、退避位置P2に巻取ロール153が配置されている場合に巻取軸150を支持している。そして、第1アーム41および第2アーム42が巻取軸150を挟み込んだ状態で回動されることにより、巻取ロール153が巻取位置P1から退避位置P2に移送されるようになっている。なお、巻取軸150の両端部にはベアリング150a(図6参照)が設けられ、そのベアリング150aが第1アーム41および第2アーム42によって挟み込まれ、巻取軸150が回転可能に支持されている。また、巻取軸150の両端部には、ベアリング150aの内側にベアリング150b(図6参照)が設けられ、そのベアリング150bが第3アーム43および第4アーム44によって支持される。
【0028】
具体的に、第1アーム41は、図4に示すように、エアシリンダ411と、アーム部412と、連結シャフト413と、セクターギヤ(扇型ギヤ)414と、支持アーム部415とを含んでいる。なお、図4は、移送機構4の各部の接続関係を説明するためのものであり、実際の構造とは異なる部分がある。エアシリンダ411、アーム部412、セクターギヤ414および支持アーム部415は、連結シャフト413を挟んで対向するように左右一対で設けられている。
【0029】
エアシリンダ411は、第1アーム41を回動させるための駆動力源であり、シリンダ本体411aに対してピストン411bが進退可能に構成されている。シリンダ本体411aはサイドフレーム7に取り付けられ、ピストン411bはアーム部412に連結されている。アーム部412は、連結シャフト413を介してセクターギヤ414に連結されている。連結シャフト413は、シャフト支持部413aに回動可能に設けられ、一対のアーム部412およびセクターギヤ414を連結するように構成されている。連結シャフト413は、一対のセクターギヤ414の回動を同期させるために設けられている。セクターギヤ414は、支持アーム部415に形成されたギヤ415aと噛合されている。
【0030】
支持アーム部415は、ドラム1の回転軸を中心にして回動可能であり、巻取軸150のベアリング150aと当接する当接面415bを有する。当接面415bは、ドラム1の径方向と平行な方向に延びるように形成され、巻取位置P1の巻取軸150の端部を上流側(Y2方向側)から支持するようになっている。また、支持アーム部415には、断接部材416が設けられている。
【0031】
断接部材416は、第1アーム41の支持アーム部415とローラ支持部材3のアーム部31とを連結または分離するために設けられている。たとえば、断接部材416は、進退可能なピストン416aを有する。そして、ピストン416aが突出され、アーム部31の挿入係合凹部31aに係合される場合に、支持アーム部415とアーム部31とが連結されるとともに、ピストン416aが退避され、挿入係合凹部31aとの係合が解除される場合に、支持アーム部415とアーム部31とが分離されるようになっている。
【0032】
また、第2アーム42は、エアシリンダ421と、ベース部422と、支持アーム部423と、エアシリンダ424と、シーソーアーム部425とを含んでいる。第2アーム42は、ドラム1を挟んで対向するように左右一対で設けられている。エアシリンダ421は、ベース部422を回動させるための駆動力源であり、シリンダ本体421aに対してピストン421bが進退可能に構成されている。シリンダ本体421aはサイドフレーム7に取り付けられ、ピストン421bはベース部422に連結されている。ベース部422は、ドラム1の回転軸を中心にして回動可能に設けられている。ベース部422には、支持アーム部423の位置を規制するためのストッパ422aが設けられている。
【0033】
支持アーム部423は、回動軸423aを有し、ベース部422に回動可能に設けられている。支持アーム部423は、巻取軸150のベアリング150aと当接する当接面423bと、後述するカムフォロア425bが当接されるカム面423cとを有する。当接面423bは、ドラム1の径方向と平行な方向に延びるように形成され、退避位置P2の巻取軸150の端部を下流側(Y1方向側)から支持するようになっている。当接面423bは、巻取軸150の軸方向において第1アーム41の当接面415bと対応する位置に配置されている。
【0034】
エアシリンダ424は、支持アーム部423を回動させるための駆動力源であり、シリンダ本体424aに対してピストン424bが進退可能に構成されている。シリンダ本体424aはベース部422に取り付けられ、ピストン424bはシーソーアーム部425に連結されている。シーソーアーム部425は、回動軸425aを有し、ベース部422に回動可能に設けられている。シーソーアーム部425は、カム面423cに当接されるカムフォロア425bを有する。カムフォロア425bは、回動軸425aに対してピストン424bの連結部とは反対側に配置されている。
【0035】
また、第3アーム43および第4アーム44は、図3に示すように、ドラム1を挟んで対向するように左右一対で設けられている。第3アーム43は、巻取軸150のベアリング150bを支持する支持面43aを有する。支持面43aは、第1アーム41が上流側(Y2方向側)に配置されているときの当接面415bと同じ方向に延びるように形成され、巻取位置P1の巻取軸150の端部を上流側から支持するようになっている。支持面43aは、巻取軸150の軸方向において当接面415bの内側に配置されている。このため、支持面43aは、ドラム1の軸方向においてドラム1とオーバーラップする位置に配置されているが、ドラム1の軸方向から見た場合にドラム1とオーバーラップしない位置に配置されており、ドラム1と干渉されないようになっている。第4アーム44は、巻取軸150のベアリング150bを支持する支持面44bを有する。支持面44bは、第2アーム42が下流側(Y1方向側)に配置されているときの当接面423bと同じ方向に延びるように形成され、退避位置P2の巻取軸150の端部を下流側から支持するようになっている。支持面44bは、巻取軸150の軸方向において当接面423bの内側に配置されている。このため、支持面44bは、ドラム1の軸方向においてドラム1とオーバーラップする位置に配置されているが、ドラム1の軸方向から見た場合にドラム1とオーバーラップしない位置に配置されており、ドラム1と干渉されないようになっている。
【0036】
[供給機構]
供給機構5は、図1に示すように、巻取軸150の交換時に新しい巻芯151が装着された巻取軸150を巻取位置P1に供給するように構成されている。供給機構5は、製品受台51と、巻取軸抜挿部52と、ストッカ53と、巻芯運搬部54と、巻取軸供給部55と、巻取軸搬送アーム56と、補助ローラ57と、支持ローラ58とを含んでいる。
【0037】
製品受台51は、巻き上がった巻取ロール153を受け取るために設けられている。製品受台51は、受面51aを昇降可能に構成されている。巻取軸抜挿部52は、巻き上がった巻取ロール153から巻取軸150を抜き出すとともに、その巻取軸150を新しい巻芯151に挿入するために設けられている。
【0038】
ストッカ53には、新しい巻芯151が貯留されている。巻芯運搬部54は、ストッカ53から新しい巻芯151を受け取り、その新しい巻芯151を製品受台51に運搬するように構成されている。巻芯運搬部54は、昇降可能な巻芯保持部54aを有する。巻取軸供給部55は、新しい巻芯151が装着された巻取軸150を巻取軸搬送アーム56に供給するために設けられている。この巻取軸供給部55は、新しい巻芯151が装着された巻取軸150を製品受台51から受け取るようになっている。巻取軸供給部55は、巻取軸150が転がる傾斜面55aと、傾斜面55aの上流側(Y1方向側)に配置された第1ストッパ55bと、傾斜面55aの下流端(Y2方向側の端部)に配置された第2ストッパ55cとを有する。
【0039】
巻取軸搬送アーム56は、図2に示すように、新しい巻芯151が装着された巻取軸150を巻取位置P1に搬送するように構成されている。巻取軸搬送アーム56は、サイドフレーム7に回動可能に設けられ、巻取軸150を挟んで対向するように左右一対で設けられている。一対の巻取軸搬送アーム56は、新しい巻芯151が装着された巻取軸150の両端部を回転可能に支持するように構成されている。巻取軸搬送アーム56の先端には、巻取軸供給部55からの巻取軸150が配置される円弧状の凹部56aが形成され、その凹部56aの周囲には、複数のローラ56bが回転自在に設けられている。
【0040】
補助ローラ57は、新しい巻芯151が装着された巻取軸150が巻取軸搬送アーム56によって巻取位置P1に供給される際に、その巻取軸150を予め回転させるために設けられている。すなわち、補助ローラ57は、巻取軸搬送アーム56に支持される巻取軸150を回転させるように構成されている。このため、巻取位置P1で新しい巻芯151がフィルム152に接触される際の、新しい巻芯151の表面速度とフィルム152の搬送速度との速度差が低減されるようになっている。補助ローラ57は、アーム57aの先端に駆動回転可能に設けられ、アーム57aは、回動可能に設けられている。
【0041】
支持ローラ58は、新しい巻芯151が装着された巻取軸150が巻取位置P1に配置されているときに、新しい巻芯151を軸方向の中間部で支持するように構成されている。この支持ローラ58は、切断巻付機構6による切断巻付時に、巻取位置P1の巻取軸150が撓むのを抑制するために設けられている。支持ローラ58は、アーム58aの先端に従動回転可能に設けられ、アーム58aは、回動可能に設けられている。なお、支持ローラ58は、後述する第1切断刃61と干渉しないように、フィルム152の幅方向の他方側に配置されている。
【0042】
[切断巻付機構]
切断巻付機構6は、巻取軸150の交換時に巻取位置P1の新しい巻芯151にフィルム152を切断して巻き付けるように構成されている。切断巻付機構6は、第1切断刃61と、接着剤塗布部62と、第2切断刃63と、エア吐出部64とを含んでいる。この切断巻付機構6は、第1切断刃61によってフィルム152の幅方向の一方側が切断されるとともに、第2切断刃63によってフィルム152の幅方向の他方側が切断されることにより、フィルム152の幅方向の全長が切断されるように構成されている。第1切断刃61および接着剤塗布部62は、巻取位置P1に対してフィルム152の流れ方向の上流側に配置され、第2切断刃63およびエア吐出部64は、巻取位置P1に対してフィルム152の流れ方向の下流側に配置されている。
【0043】
第1切断刃61は、アーム61aの先端に設けられ、アーム61aは、第1切断刃61を切断時位置と退避位置との間で移動させるように構成されている。切断時位置は、巻取位置P1の近傍であって、巻取位置P1と接着剤塗布部62との間に配置されている。第1切断刃61は、切断時位置に配置されている場合に、ドラム1の表面に沿ってドラム1の軸方向に走行可能に構成されている。また、第1切断刃61は、フィルム152の幅方向の一方端部から中間部に向けて走行されるように設けられ、フィルム152の幅方向の一方側を切断するように構成されている。この第1切断刃61は、巻取位置P1の新しい巻芯151に到達する前のフィルム152を切断するように構成されている。
【0044】
接着剤塗布部62は、第1切断刃61によるフィルム152の切断箇所に対するフィルム152の流れ方向の上流側の部分に接着剤を塗布するように構成されている。このため、フィルム152に塗布された接着剤が巻取位置P1を通過する際に、その接着剤によって切断されたフィルム152が新しい巻芯151に貼り付けられるようになっている。接着剤塗布部62は、たとえば、フィルム152の幅方向の一方端部に配置されている。
【0045】
第2切断刃63は、支柱63aの下端部に設けられている。第2切断刃63は、巻取位置P1の近傍であって、巻取位置P1とエア吐出部64との間に配置されている。第2切断刃63は、ドラム1の表面に沿ってドラム1の軸方向に走行可能に構成されている。また、第2切断刃63は、フィルム152の幅方向の他方端部から中間部に向けて走行されるように設けられ、フィルム152の幅方向の他方側を切断するように構成されている。この第2切断刃63は、巻取位置P1の新しい巻芯151を通過したフィルム152を切断するように構成されている。
【0046】
エア吐出部64は、第2切断刃63によって切断されるフィルム152にエアを吹き付けることにより、巻取位置P1の新しい巻芯151への切断されたフィルム152の巻き付きを補助するように構成されている。このエア吐出部64は、第2切断刃63によるフィルム152の切断の際に、第2切断刃63とともにフィルム152の幅方向の他方端部から中間部に向けて走行されるように設けられている。
【0047】
この切断巻付機構6では、第1切断刃61および第2切断刃63がそれぞれフィルム152の幅方向の外側から内側に向けて走行されることにより、フィルム152の幅方向の全長が切断されるようになっている。このため、たとえば、フィルム152の流れ方向の下流側の切断端(退避位置P2の巻取ロール153によって巻き取られる切断端)は、フィルム152の幅方向の中央が上流側に突出するように三角形状に形成され、フィルム152の流れ方向の上流側の切断端(巻取位置P1の新しい巻芯151に巻き付けられる切断端)は、フィルム152の幅方向の中央が上流側に窪むようにM字状に形成される。
【0048】
−動作−
次に、図1図16を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の動作について説明する。
【0049】
まず、フィルム巻取装置100では、図1に示すように、上流側から供給されるフィルム152が複数のガイドローラ8を介して巻取位置P1の巻取軸150に搬送される。巻取位置P1の巻取軸150は、ドラム1の駆動回転によって連れ回される。図2に示すように、巻取軸150には巻芯151が装着されており、その巻芯151にフィルム152が巻き取られることによって巻取ロール153が形成される。
【0050】
ここで、巻取位置P1の巻取ロール153はプレスローラ2によってドラム1側に押圧される。このプレスローラ2による押圧力がアクチュエータ34(図5参照)によって調整されることにより、巻取ロール153とドラム1との接触圧が適切になるように調整される。なお、プレスローラ2は、巻取ロール153の回転負荷にならないようにモータ35(図5参照)によって駆動回転される。たとえば、プレスローラ2の回転速度はフィルム152の搬送速度(巻取ロール153の表面速度)に応じて調整される。
【0051】
このとき、図3に示すように、巻取位置P1の巻取軸150は、移送機構4によって支持されている。具体的には、第1アーム41の当接面415bと第2アーム42の当接面423bとにより、巻取位置P1の巻取軸150のベアリング150a(図6参照)が挟み込まれている。このため、巻取位置P1の巻取軸150が第1アーム41および第2アーム42によって回転可能に支持されている。なお、巻取位置P1の巻取軸150は第3アーム43の支持面43aにも支持されている。また、断接部材416(図4参照)により、第1アーム41の支持アーム部415とローラ支持部材3のアーム部31とが連結されている。
【0052】
そして、図7に示すように、フィルム152の巻き取りによって巻取ロール153の直径が大きくなるに連れて、巻取軸150およびプレスローラ2が上方に移動される。巻取軸150は、第1アーム41の当接面415bおよび第2アーム42の当接面423bによってガイドされる。プレスローラ2は、巻取ロール153とドラム1との接触圧が適切になるように、接離方向(ドラム1の径方向)における上側に移動される。具体的には、巻取ロール153を押圧するプレスローラ2を支持するスライド部33(図5参照)が、巻取ロール153の直径の増大によって接離方向の上側に移動される。なお、プレスローラ2による押圧力は、巻取ロール153の自重の増加を考慮して調整される。
【0053】
その後、巻取ロール153が巻き上がると、巻取軸150の交換が開始される。この巻取軸150の交換は、フィルム152の巻き取りを継続しながら行われる。まず、図8に示すように、移送機構4により、巻取位置P1の巻取ロール153が退避位置P2に移送される。このとき、ローラ支持部材3により、プレスローラ2が巻取ロール153と接触されながらその巻取ロール153とともに移動される。すなわち、第1アーム41および第2アーム42が回動されることによって巻取軸150が移動されるとともに、第1アーム41と同期した状態でローラ支持部材3が回動されることによってプレスローラ2が移動される。
【0054】
具体的には、断接部材416が支持アーム部415およびアーム部31を連結しており、エアシリンダ411および32によって支持アーム部415およびアーム部31がドラム1の回転軸を中心にして回動されることにより、巻取ロール153およびプレスローラ2が巻取位置P1から退避位置P2に移動される。また、エアシリンダ421により支持アーム部423で巻取軸150を支持アーム部415とで挟み込みながら、支持アーム部423がドラム1の回転軸を中心にして回動される。このため、ドラム1の回転中心とプレスローラ2の回転中心とを結ぶ線上に巻取軸150の回転中心が配置された状態を保ちながら、巻取ロール153およびプレスローラ2が移動される。
【0055】
このとき、巻取ロール153の移動に伴う巻取ロール153によるフィルム巻取速度の変化に応じて、プレスローラ2の回転速度が調整される。また、巻取ロール153が移動する際に、巻取ロール153の自重のうちドラム1と巻取ロール153との接触圧として作用する成分が変化することから、その変化を打ち消すようにプレスローラ2による押圧力が調整される。すなわち、巻取ロール153が巻取位置P1から退避位置P2に移動されるときに、プレスローラ2による押圧力が一時的に小さくされてから元に戻される。つまり、巻取ロール153が移動されるときにも、巻取ロール153とドラム1との接触圧が適切になるように調整される。
【0056】
また、巻取軸供給部55の第2ストッパ55cが回動されることにより、新しい巻芯151が装着された巻取軸150が巻取軸搬送アーム56の凹部56aに供給される。そして、断接部材416により、第1アーム41とローラ支持部材3とが分離される。次に、図9に示すように、エアシリンダ411によって支持アーム部415がドラム1の回転軸を中心にして回動されることにより、支持アーム部415が上流側(Y2方向側)に戻される。このとき、退避位置P2の巻取軸150は、第2アーム42の支持アーム部423と第4アーム44の支持面44bとによって支持されている。
【0057】
次に、図10に示すように、巻取軸搬送アーム56が回動されるとともに、補助ローラ57のアーム57aが回動されることにより、凹部56aに配置された巻取軸150の新しい巻芯151に補助ローラ57が当接される。そして、補助ローラ57が駆動回転されることにより、巻取軸搬送アーム56に支持される巻取軸150が回転される。
【0058】
次に、図11に示すように、予め回転された巻取軸150が巻取位置P1に供給される。すなわち、新しい巻芯151が巻取位置P1でドラム1に接触され、そのドラム1によって巻取軸150が回転される。このとき、巻取位置P1の巻取軸150は、第1アーム41の支持アーム部415と第3アーム43の支持面43aとによって支持されている。また、巻取軸150の新しい巻芯151は、補助ローラ57によってドラム1に押し付けられ、補助ローラ57は、新しい巻芯151の回転負荷にならないように駆動回転される。なお、巻取軸搬送アーム56は、たとえば元の位置に戻される。
【0059】
そして、図12に示すように、支持ローラ58のアーム58aが回動されることにより、支持ローラ58が巻取位置P1の新しい巻芯151に接触される。この支持ローラ58は、新しい巻芯151の軸方向の中間部において下方側から接触される。また、第1切断刃61のアーム61aにより、第1切断刃61が退避位置から切断時位置に移動される。なお、ドラム1の直前のガイドローラ8aが移動されることにより、ドラム1に巻き掛けられるフィルム152の長さが大きくされる。すなわち、新しい巻芯151がフィルム152を介してドラム1に接触される接触位置よりも、フィルム152の流れ方向における上流側において、フィルム152が巻き掛けられるドラム1の範囲が大きくなる。
【0060】
次に、切断巻付機構6により、フィルム152が切断されて巻取位置P1の新しい巻芯151に巻き付けられる。具体的には、第1切断刃61がフィルム152の幅方向の一方端部から中間部に向けて走行されることにより、フィルム152の幅方向の一方側が切断されるとともに、その第1切断刃61によるフィルム152の切断箇所よりも上流側の部分に接着剤塗布部62によって接着剤が塗布される。そして、フィルム152に塗布された接着剤が巻取位置P1を通過する際に、その接着剤により切断されたフィルム152が新しい巻芯151に貼り付けられる。また、第2切断刃63およびエア吐出部64がフィルム152の幅方向の他方端部から中間部に向けて走行されることにより、第2切断刃63によってフィルム152の幅方向の他方側が切断されるとともに、エア吐出部64によって切断されるフィルム152が新しい巻芯151に吹き付けられる。このようにして、フィルム152の幅方向の全長が切断され、その切断されたフィルム152が巻取位置P1の新しい巻芯151に巻き付けられる。
【0061】
次に、図13に示すように、第2アーム42の支持アーム部423および第4アーム44が回動されることにより、退避位置P2の巻取ロール153が製品受台51に排出される。具体的には、第2アーム42では、エアシリンダ424によってシーソーアーム部425が回動されることにより、シーソーアーム部425のカムフォロア425bがドラム1側に移動される。このため、支持アーム部423が回動軸423aを中心にして回動されることにより、支持アーム部423の当接面423bが巻取軸150に対して下方に退避される。また、第4アーム44が回動軸44aを中心にして回動されることにより、第4アーム44の支持面44bが巻取軸150に対して上方に退避される。なお、ガイドローラ8a、第1切断刃61、補助ローラ57および支持ローラ58が元の位置に戻される。また、巻取軸供給部55では、第1ストッパ55bによって堰き止められていた新しい巻芯151が装着された巻取軸150が第2ストッパ55cに送られる。
【0062】
次に、図14に示すように、巻取ロール153を支持する製品受台51が下降され、巻取軸抜挿部52により巻取ロール153から巻取軸150が抜き取られる。このため、巻取軸抜挿部52によって抜き取られた巻取軸150と、製品受台51上の巻取ロール153とは、図14の紙面に対する垂直方向においてずれた位置に配置される。その後、製品受台51が回動されることにより、巻取軸150が抜き取られた巻取ロール153が排出される。また、第2アーム42、第4アーム44およびローラ支持部材3が元の位置に戻され、断接部材416により第1アーム41およびローラ支持部材3が連結される。そして、プレスローラ2が巻取位置P1の新しい巻芯151に押し付けられる。
【0063】
次に、図15に示すように、巻芯運搬部54の巻芯保持部54aが下降されることにより、製品受台51の受面51aに新しい巻芯151が供給される。そして、巻取軸抜挿部52により、製品受台51上の新しい巻芯151に巻取軸150が挿入される。
【0064】
次に、図16に示すように、製品受台51が上昇されることにより、新しい巻芯151が装着された巻取軸150が巻取軸供給部55に渡され、その新しい巻芯151が装着された巻取軸150が第1ストッパ55bによって堰き止められる。その後、製品受台51および巻芯運搬部54が元の位置に戻され、ストッカ53から新しい巻芯151が巻芯保持部54aに供給される。
【0065】
以上の動作が繰り返し行われることにより、巻取軸150の交換を行いながら、フィルム152が連続的に巻き取られる。すなわち、フィルム152の巻き取りを中断することなく、巻取軸150を交換することが可能である。
【0066】
−効果−
本実施形態では、上記のように、巻取軸150を回転させるドラム1と、ドラム1に巻取ロール153を押し付けるプレスローラ2と、プレスローラ2を支持するローラ支持部材3と、巻取軸150を支持するとともに、巻取軸150を巻取位置P1から退避位置P2に移送させる移送機構4と、新しい巻芯151が装着された巻取軸150を巻取位置P1に供給する供給機構5と、巻取位置P1の新しい巻芯151にフィルム152を切断して巻き付ける切断巻付機構6とが設けられている。このように構成することによって、巻取位置P1でフィルム152の巻き取りを行っている巻取ロール153を退避位置P2に退避させ、巻取位置P1に新しい巻芯151が装着された巻取軸150を供給し、その新しい巻芯151にフィルム152を切断して巻き付けることにより、フィルム152の巻き取りを中断することなく巻取軸150を交換することができる。また、巻取ロール153が巻取位置P1に配置されているときに、プレスローラ2が巻取ロール153を押圧することにより、巻き取られるフィルム152に同伴されるエアが抜かれるので、巻取ロール153の巻取品質の向上を図ることができる。さらに、巻取位置P1から退避位置P2に巻取ロール153が移送されるときに、その巻取ロール153とともにプレスローラ2が押圧しながら移動されることにより、巻取軸150の交換時にも、巻き取られるフィルム152に同伴されるエアを抜くことができる。また、第1アーム41およびローラ支持部材3を連結する断接部材416が設けられることによって、移送される巻取ロール153と同期した状態でプレスローラ2を移動させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、プレスローラ2が巻取ロール153に対して接離方向(ドラム1の径方向)に移動可能であり、プレスローラ2による押圧力が調整されることによって、巻取ロール153とドラム1との接触圧が適切に調整されるので、巻き取られるフィルム152に同伴されるエアを適切に抜くことができる。また、プレスローラ2が駆動回転されることによって、プレスローラ2が巻取ロール153の回転負荷になるのを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、第2アーム42が、ドラム1の回転軸を中心にして回動するベース部422と、ベース部422に回動可能に設けられた支持アーム部423とを含むことによって、支持アーム部423がベース部422に対して回動されることにより、退避位置P2の巻取ロール153を製品受台51に排出することができる。
【0069】
また、本実施形態では、巻取位置P1に巻取ロール153が配置されている場合に、第1アーム41とともに巻取軸150を支持する第3アーム43が設けられることによって、巻取位置P1での第1アーム41による巻取軸150の支持を第3アーム43によって補助することができる。また、退避位置P2に巻取ロール153が配置されている場合に、第2アーム42とともに巻取軸150を支持する第4アーム44が設けられることによって、退避位置P2での第2アーム42による巻取軸150の支持を第4アーム44によって補助することができる。第4アーム44が回動可能に構成されることによって、第4アーム44が回動されることにより、退避位置P2の巻取ロール153を製品受台51に排出することができる。
【0070】
また、本実施形態では、フィルム152の幅方向の一方側を切断する第1切断刃61と、フィルム152の幅方向の他方側を切断する第2切断刃63とが設けられており、第1切断刃61が巻取位置P1に対してフィルム152の流れ方向の上流側に配置され、第2切断刃63が巻取位置P1に対してフィルム152の流れ方向の下流側に配置されることによって、第1切断刃61および第2切断刃63の協働により、幅広のフィルム152の全長を切断することができる。第1切断刃61によるフィルム152の切断箇所に対するフィルム152の流れ方向の上流側の部分に接着剤を塗布する接着剤塗布部62が設けられることによって、第1切断刃61により切断されたフィルム152がドラム1と新しい巻芯151との間を通過する際に、フィルム152に塗布された接着剤がフィルム152と新しい巻芯151との間に挟まれるので、上流側の切断端を新しい巻芯151に貼り付けることができる。第2切断刃63によるフィルム152の切断の際に、第2切断刃63とともに走行されるエア吐出部64が設けられることによって、エア吐出部64から吐出されるエアにより、切断されたフィルム152の新しい巻芯151への巻き付きを補助することができる。
【0071】
また、本実施形態では、新しい巻芯151が装着された巻取軸150が巻取位置P1に供給される際に、その巻取軸150を予め回転させるための補助ローラ57が設けられることによって、新しい巻芯151がフィルム152を介してドラム1に接触される際の、新しい巻芯151の表面速度とフィルム152の搬送速度(ドラム1の表面速度)との速度差を低減することができるので、搬送されるフィルム152に対して新しい巻芯151が擦れるのを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、新しい巻芯151が装着された巻取軸150が巻取位置P1に配置されているときに、新しい巻芯151を軸方向の中間部で支持する支持ローラ58が設けられることによって、新しい巻芯151が装着された巻取軸150が巻取位置P1で撓むのを抑制することができる。
【0073】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0074】
たとえば、上記実施形態では、上流側の第1切断刃61と下流側の第2切断刃63とによってフィルム152が切断される例を示したが、これに限らず、下流側の第2切断刃のみでフィルムが切断されるようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、補助ローラ57が新しい巻芯151に当接される例を示したが、これに限らず、補助ローラが、新しい巻芯が装着された巻取軸に当接されるようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、3本の巻取軸150が循環される例を示したが、これに限らず、少なくとも2本の巻取軸が設けられていればよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ドラム
2 プレスローラ
3 ローラ支持部材
4 移送機構
5 供給機構
6 切断巻付機構
41 第1アーム
42 第2アーム
43 第3アーム
44 第4アーム
44a 回動軸
57 補助ローラ
58 支持ローラ
61 第1切断刃
62 接着剤塗布部
63 第2切断刃
64 エア吐出部
100 フィルム巻取装置
150 巻取軸
151 巻芯
152 フィルム
153 巻取ロール
416 断接部材
422 ベース部
423 支持アーム部
【要約】
【課題】巻取品質の向上を図るとともに、フィルムの巻き取りを中断することなく巻取軸を交換することが可能なフィルム巻取装置を提供する。
【解決手段】フィルム巻取装置は、ドラム1とプレスローラ2と移送機構4とローラ支持部材3と供給機構と切断巻付機構6とを備える。移送機構4は、第1アーム41と第2アーム42とを含む。第1アーム41、第2アーム42およびローラ支持部材3は、ドラム1の回転軸を中心にして回動可能である。第1アーム41とローラ支持部材3とを連結または分離する断接部材416が設けられている。フィルム巻取装置は、第1アーム41および第2アーム42が巻取軸150を挟み込んだ状態で回動され、巻取ロール153が巻取位置P1から退避位置P2に移送される場合に、断接部材416によって第1アーム41およびローラ支持部材3が連結されており、ローラ支持部材3が第1アーム41と一体的に回動される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16