(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉛直方向において前記第1の桟部材よりも上方に設けられ、前記凸部の配列方向において前記フィン部の長さよりも長く形成され、前記所定の壁面の一部を覆う上部背面カバーと、
鉛直方向において前記第2の桟部材よりも下方に設けられ、前記凸部の配列方向において前記フィン部の長さよりも長く形成され、前記所定の壁面の一部を覆う下部背面断熱部とを備える
請求項3に記載の放射パネル。
前記ルーバー片は、前記凸部の配列方向において所定の長さを有するルーバー本体と、前記ルーバー本体の上端に連設され前記所定の方向と反対方向に傾斜した第1の傾斜片と、前記ルーバー本体の下端に連設され前記所定の方向と反対方向に傾斜し、その先端が前記第1の傾斜片の先端よりも前記所定の方向と反対方向に位置する第2の傾斜片とを有する
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の放射パネル。
前記凸部の配列方向において、前記フィン部と前記縦枠本体との間に設けられると共に、前記所定の方向に突出した第1のダミー凸部が形成され、前記フィン部の端部との間に隙間を有して配置された第1のダミーフィン部を備える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の放射パネル。
前記凸部の配列方向において、前記フィン部と前記縦枠本体との間に設けられると共に、前記所定の方向に突出した第2のダミー凸部が形成され、前記フィン部の端部と当接して配置された第2のダミーフィン部と、
前記凸部の配列方向において、前記第2のダミーフィン部と前記縦枠本体との間に設けられると共に、前記所定の方向に突出した第3のダミー凸部が形成され、前記第2のダミーフィン部の端部との間に隙間を有して配置された第3のダミーフィン部を備える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の放射パネル。
前記結露受け部は、鉛直方向における最下部に設けられた前記ルーバー片よりも上方、かつ、鉛直方向において直近の高さにある前記ルーバー片に当接して配置されると共に、当接した前記ルーバー片とは反対側に冷気を流す
請求項11に記載の放射パネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の放射冷暖空調の放射パネルには、以下のような問題があった。
【0008】
まず、特許文献1に記載された天井放射型空調システムの放射パネルでは、天井面に設置されるため、冷房時に結露が発生すると、天井側から下方の室内空間や床面に水滴(結露水)が落ちる問題があった。
【0009】
また、天井面に設置するタイプに限らず、従来の放射パネルでは、発生した結露水を周囲の環境に飛散させることなく、所定の結露受けに集めやすくする構造が求められている。
【0010】
ここで、例えば、従来の放射パネルでは、配管経路が外部から視認しにくくするために設けたルーバー、特に、放射パネルの下部側に設けたルーバーの端部等で結露が発生しやすく、これに伴って生じる結露水を、充分に回収するための工夫が不充分であった。
【0011】
また、従来の放射パネルでは、放射パネルの内部、例えば、枠体の内側等で生じる結露水についても、充分な担保がなされていなかった。
【0012】
さらに、放射パネルのうち、両面タイプの放射パネルは、室内空間等に設置する際に、室内の壁面との間に一定の距離を設けて設置する必要があった。そのため、壁面側に放射パネルを寄せて設置することができず、放射パネルの設置のために、広いスペースを確保しなければならなかった。
【0013】
また、一方で、片面タイプの放射パネルは、両面タイプと比較して、室内の壁面にある程度近づけて設置することができる。しかしながら、片面タイプの放射パネルについて、その背面を、室内の壁面にぴったりと付けて配置した場合、放射パネルから壁面に冷気が伝わり、壁面との間に結露が生じやすくなる問題があった。
【0014】
そのため、片面タイプの放射パネルであっても、室内の壁面との間に、一定の距離を設けて設置する必要があった。よって、放射パネルを設置するスペースをより小さなものにしつつ、結露水への対応が充分な構造にすることが望まれている。
【0015】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、放射冷暖空調に用いる放射パネルにつき、冷暖効果に優れ、結露が生じにくく、かつ、発生した結露水を充分に処理可能な放射パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の放射パネルは、筒状体である複数の冷温媒配管により、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、所定の方向に突出した複数の凸部が形成され、前記凸部の少なくとも一部は、その内側に前記冷温媒配管が配置されたフィン部と、前記所定の方向において前記凸部より外側に配置され、前記冷温媒配管の下部を覆うと共に、複数のルーバー片を鉛直方向に沿って配置したルーバー部と、前記フィン部の上部側に配置され、前記凸部の配列方向において前記フィン部の長さよりも長く形成され、同フィン部の上部と接続された第1の桟部材と、前記フィン部の下部側に配置され、前記凸部の配列方向において前記フィン部の長さよりも長く形成され、同フィン部の下部と接続された第2の桟部材と、前記凸部の配列方向において前記フィン部の両端の外側に配置され、前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材のそれぞれと接続されると共に、床面に立設され前記フィン部を支持する縦枠本体と、前記フィン部の下方、かつ、前記ルーバー部の前記所定の方向とは反対側であり、鉛直方向における最下部に設けられた前記ルーバー片よりも上方、かつ、鉛直方向において直近の高さにある前記ルーバー片に当接して配置されると共に、上部が開口した部分箱状に形成され、結露水を回収し、当接した前記ルーバー片とは反対側に冷気を流すように構成された結露受け部とを備える。
【0017】
ここで、冷温媒経路が、筒状体である複数の冷温媒配管により、冷温媒が流れる流路を形成することによって、冷温媒配管に冷温媒を流して、放射パネルを加熱又は冷却することができる。なお、冷温媒とは、例えば、所定の熱源を介して冷却又は加温可能な水道水、又は、不凍液等を用いることができる。また、ここでの冷温媒経路は、配管経路が直列となる構造と、配管経路が並列となる構造との両方を含むものである。
【0018】
また、フィン部が、所定の方向に突出した複数の凸部が形成され、凸部の少なくとも一部は、その内側に冷温媒配管が配置されたことによって、冷温媒配管の表面から伝導放熱、放射放熱及び対流放熱を生じさせながら、かつ、複数の凸部を放射パネルの放熱部として、実表面積及び見かけの表面積を大きくすることができる。この結果、放射放熱及び対流放熱による冷暖効果を生じさせ、その効果を高めることができる。
【0019】
また、ルーバー部が、複数のルーバー片を鉛直方向に沿って配置し、所定の方向において凸部より外側に配置され、冷温媒配管の下部を覆うことによって、フィン部より下部側の冷温媒配管を外観上見えにくくして、意匠性を高めることができる。
【0020】
また、結露受け部が、フィン部の下方、かつ、ルーバー部の所定の方向とは反対側に配置される共に、上部が開口した部分箱状に形成され、結露水を回収することによって、フィン部の下方、かつ、ルーバー部の所定の方向とは反対側の領域に向かって流れてくる結露水を、結露受け部で集めて、放射パネルが設置された室内の床面等に結露水が飛散することを抑止できる。
【0021】
また、ルーバー部が、複数のルーバー片を鉛直方向に沿って配置され、結露受け部が、鉛直方向における最下部に設けられたルーバー片よりも上方、かつ、鉛直方向において直近の高さにあるルーバー片に当接して配置されると共に、上部が開口した部分箱状に形成され、結露水を回収し、当接したルーバー片とは反対側に冷気を流すように構成されたことによって、複数のルーバー片を介して、結露水を結露受け部へと案内しやすくなる。また、最下部に設けられたルーバー片と、結露受け部と当接したルーバー片を、冷えにくくすることができる。これにより、最下部に設けられたルーバー片と、そのすぐ上方に配置されたルーバー片において、結露が生じにくくなる。また、結露受け部と当接したルーバー片の上方に、さらなるルーバー片が設けられた場合に、このルーバー片が冷えて、結露水が生じたとしても、結露受け部が、鉛直方向において、直近のルーバー片に当接して配置されたことで、結露水を、結露受け部で集めるやすい構造となっている。
【0022】
また、第1の桟部材が、フィン部の上部側に配置され、凸部の配列方向においてフィン部の長さよりも長く形成され、フィン部の上部と接続されたことによって、フィン部の上部に、凸部の配列方向に沿って、フィン部を安定して支持する支持構造を構築することができる。
【0023】
また、第2の桟部材が、フィン部の下部側に配置され、凸部の配列方向においてフィン部の長さよりも長く形成され、フィン部の下部と接続されたことによって、フィン部の下部に、凸部の配列方向に沿って、フィン部を安定して支持する支持構造を構築することができる。
【0024】
また、縦枠本体が、凸部の配列方向においてフィン部の両端の外側に配置され、第1の桟部材及び第2の桟部材のそれぞれと接続されると共に、床面に立設されフィン部を支持することによって、第1の桟部材及び第2の桟部材を、縦枠本体で支持することができる。即ち、フィン部を、第1の桟部材及び第2の桟部材で支持して強度を担保しながら、この構造を更に、縦枠本体で支持することができる。また、縦枠本体を介して、放射パネルを床面に立設させることができる。
【0025】
また、ルーバー部が、少なくとも3つのルーバー片を有し、結露受け部は、鉛直方向における最下部から2段目のルーバー片に当接して配置された場合には、最下部に設けられたルーバー片と、結露受け部と当接した最下部から2段目のルーバー片を、冷えにくくすることができる。これにより、最下部に設けられたルーバー片と、そのすぐ上方に配置された最下部から2段目のルーバー片において、結露が生じにくくなる。
【0026】
また、フィン部の所定の方向とは反対側に設けられると共に、所定の壁面に当接して、又は、その近傍に配置されたフィン背面断熱部を備える場合には、フィン部から所定の壁面への熱の移動や伝達を現象させることができる。この結果、放射パネルを所定の壁面に当接して配置し、又は、所定の壁面のすぐ近くに配置しても、放射パネルと壁面との間で、結露が生じにくくすることができ、放射パネルの設置に必要なスペースを小さくできる。なお、ここでいう所定の壁面とは、例えば、放射パネルを設置する室内を構成する壁の面を意味するものである。
【0027】
また、鉛直方向において第1の桟部材よりも上方に設けられ、凸部の配列方向においてフィン部の長さよりも長く形成され、所定の壁面の一部を覆う上部背面カバーを備える場合には、第1の桟部材の上方で、所定の壁面の一部が露出しないようにして、所定の壁面の一部にカビ等が生えることを抑止できる。
【0028】
また、鉛直方向において第2の桟部材よりも下方に設けられ、凸部の配列方向においてフィン部の長さよりも長く形成され、所定の壁面の一部を覆う下部背面断熱部を備える場合には、第2の桟部材の下方で、所定の壁面の一部が露出しないようにして、所定の壁面の一部にカビ等が生えることを抑止できる。また、放射パネルの上部よりも冷えやすい、放射パネルの下部において、所定の壁面の一部に冷気が伝わりにくくなり、壁面が冷えて、結露が生じることを抑止できる。
【0029】
また、ルーバー片が、凸部の配列方向において所定の長さを有するルーバー本体と、ルーバー本体の上端に連設され所定の方向と反対方向に傾斜した第1の傾斜片と、ルーバー本体の下端に連設され所定の方向と反対方向に傾斜し、その先端が第1の傾斜片の先端よりも所定の方向と反対方向に位置する第2の傾斜片とを有する場合には、ルーバー片の上方から流れてきた結露水を、第1の傾斜片、ルーバー本体、及び、第2の傾斜片に沿って、上方から下方へと案内することができる。
【0030】
また、凸部の配列方向において、フィン部と縦枠本体との間に設けられると共に、所定の方向に突出した第1のダミー凸部が形成され、フィン部の端部との間に隙間を有して配置された第1のダミーフィン部を備える場合には、放熱部となるフィン部から、第1のダミーフィン部に、熱が伝わりにくくすることができる。これにより、第1のダミーフィン部から縦枠本体へと熱が伝わりにくくすることができる。即ち、第1のダミーフィン部を設けたことで、放熱部となるフィン部と縦枠本体とを繋ぐ、第1の桟部材及び第2の桟部材の距離が長くなり、フィン部から縦枠本体へと熱が伝わりにくくすることができる。また、縦枠本体とフィン部との間に、第1のダミーフィン部が存在することで、放熱部となるフィン部からの冷気(冷たい空気の対流伝熱)が、縦枠本体へと伝わりにくくすることができる。また、第1のダミー凸部を設けたことで、フィン部の凸部と同様の外観を生じさせ、見栄えを良くすることができる。さらに、第1のダミー凸部を放熱部として利用することができる。
【0031】
また、凸部の配列方向において、フィン部と縦枠本体との間に設けられると共に、所定の方向に突出した第2のダミー凸部が形成され、凸部の配列方向において、フィン部の端部と当接して配置された第2のダミーフィン部と、第2のダミーフィン部と縦枠本体との間に設けられると共に、所定の方向に突出した第3のダミー凸部が形成され、第2のダミーフィン部の端部との間に隙間を有して配置された第3のダミーフィン部を備える場合には、フィン部と、縦枠本体との間の距離が大きい場合に、第2のダミーフィン部と第3のダミーフィン部を配置して、フィン部と、縦枠本体との間を埋めつつ、放熱部となるフィン部から縦枠本体へと熱が伝わりにくくすることができる。即ち、第2のダミーフィン部及び第3のダミーフィン部を設けたことで、放熱部となるフィン部と縦枠本体とを繋ぐ、第1の桟部材及び第2の桟部材の距離が長くなり、フィン部から縦枠本体へと熱が伝わりにくくすることができる。また、縦枠本体とフィン部との間に、第2のダミーフィン部及び第3のダミーフィン部が存在することで、放熱部となるフィン部からの冷気(冷たい空気の対流伝熱)が、縦枠本体へと伝わりにくくすることができる。また、第2のダミー凸部及び第3のダミー凸部を設けたことで、フィン部の凸部と同様の外観を生じさせ、見栄えを良くすることができる。さらに、第2のダミー凸部及び第3のダミー凸部を放熱部として利用することができる。
【0032】
また、縦枠本体に、縦枠本体の所定の方向側から取り付けられ、縦枠本体を覆う縦枠カバー部と、縦枠本体と縦枠カバー部の間に配置された縦枠断熱部とを備える場合には、縦枠本体を縦枠カバー部で覆って全体の見栄えを良くすることができる。また、縦枠カバー部の内部における結露が生じやすい箇所を縦枠断熱部で密閉して、結露が生じることを抑止できる。
【0033】
また、結露受け部及び縦枠カバー部の下方、かつ、床面に配置される共に、上部が開口した部分箱状に形成され、結露水を回収する水受け部を備える場合には、床面側に流れてきた結露水を、水受け部で集めて、放射パネルが設置された室内の床面等に結露水が飛散することを抑止できる。例えば、結露受け部で回収できなかった結露水を、水受け部で回収して、結露水をより確実に集めることができる。
【0034】
また、結露受け部及び縦枠カバー部の下方、かつ、床面に配置される共に、上部が開口した部分箱状に形成され、結露水を回収する水受け部を備え、縦枠カバー部は、凸部の配列方向における端面の下端の少なくとも一部に切込みが形成された場合には、縦枠カバー部の端面を流れてきた結露水を、切込みの箇所から水受け部の方へ案内して、水受け部で結露水を集めやすくすることができる。
【0035】
また、凸部の内周面に、配管受け部が形成され、冷温媒配管は、配管受け部と、冷温媒配管の外周面の一部に嵌合可能な配管押さえ部との間に、接着剤を介して圧着された場合には、冷温媒配管を、配管受け部と配管押さえ部の間に配置して、凸部の内周面にしっかりと取り付けることができる。
【0036】
また、上記の目的を達成するために、本発明の放射パネルは、筒状体である複数の冷温媒配管により、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、所定の方向に突出した複数の凸部が形成され、前記凸部の少なくとも一部は、その内側に前記冷温媒配管が配置されたフィン部と、前記所定の方向において前記凸部より外側に配置され、前記冷温媒配管の下部を覆うと共に、前記凸部の配列方向において所定の長さを有するルーバー本体と、前記ルーバー本体の上端に連設され前記所定の方向と反対方向に傾斜した第1の傾斜片と、前記ルーバー本体の下端に連設され前記所定の方向と反対方向に傾斜し、その先端が前記第1の傾斜片の先端よりも前記所定の方向と反対方向に位置する第2の傾斜片とを含むルーバー片を、鉛直方向に沿って複数配置したルーバー部と、前記フィン部の上部側に配置され、前記凸部の配列方向において前記フィン部の長さよりも長く形成され、同フィン部の上部と接続された第1の桟部材と、前記フィン部の下部側に配置され、前記凸部の配列方向において前記フィン部の長さよりも長く形成され、同フィン部の下部と接続された第2の桟部材と、前記凸部の配列方向において前記フィン部の両端の外側に配置され、前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材のそれぞれと接続されると共に、床面に立設され前記フィン部を支持する縦枠本体と、前記フィン部の下方、かつ、前記ルーバー部の前記所定の方向とは反対側に配置される共に、上部が開口した部分箱状に形成され、結露水を回収する結露受け部とを備える。
【0037】
ここで、冷温媒経路が、筒状体である複数の冷温媒配管により、冷温媒が流れる流路を形成することによって、冷温媒配管に冷温媒を流して、放射パネルを加熱又は冷却することができる。なお、冷温媒とは、例えば、所定の熱源を介して冷却又は加温可能な水道水、又は、不凍液等を用いることができる。また、ここでの冷温媒経路は、配管経路が直列となる構造と、配管経路が並列となる構造との両方を含むものである。
【0038】
また、フィン部が、所定の方向に突出した複数の凸部が形成され、凸部の少なくとも一部は、その内側に冷温媒配管が配置されたことによって、冷温媒配管の表面から伝導放熱、放射放熱及び対流放熱を生じさせながら、かつ、複数の凸部を放射パネルの放熱部として、実表面積及び見かけの表面積を大きくすることができる。この結果、放射放熱及び対流放熱による冷暖効果を生じさせ、その効果を高めることができる。
【0039】
また、ルーバー部が、ルーバー片を、鉛直方向に沿って複数配置し、所定の方向において凸部より外側に配置され、冷温媒配管の下部を覆うことによって、フィン部より下部側の冷温媒配管を外観上見えにくくして、意匠性を高めることができる。
【0040】
また、ルーバー片が、凸部の配列方向において所定の長さを有するルーバー本体と、ルーバー本体の上端に連設され所定の方向と反対方向に傾斜した第1の傾斜片と、ルーバー本体の下端に連設され所定の方向と反対方向に傾斜した第2の傾斜片とを含むことによって、ルーバー片の上方から流れてきた結露水を、第1の傾斜片、ルーバー本体、及び、第2の傾斜片に沿って、上方から下方へと案内することができる。
【0041】
また、結露受け部が、フィン部の下方、かつ、ルーバー部の所定の方向とは反対側に配置される共に、上部が開口した部分箱状に形成され、結露水を回収することによって、フィン部の下方、かつ、ルーバー部の所定の方向とは反対側の領域に向かって流れてくる結露水を、結露受け部で集めて、放射パネルが設置された室内の床面等に結露水が飛散することを抑止できる。
【0042】
また、ルーバー片が、凸部の配列方向において所定の長さを有するルーバー本体と、ルーバー本体の上端に連設され所定の方向と反対方向に傾斜した第1の傾斜片と、ルーバー本体の下端に連設され所定の方向と反対方向に傾斜し、その先端が第1の傾斜片の先端よりも所定の方向と反対方向に位置する第2の傾斜片とを含み、ルーバー部が、ルーバー片を、鉛直方向に沿って複数配置し、結露水を回収する結露受け部が、フィン部の下方、かつ、ルーバー部の所定の方向とは反対側に配置されることによって、複数のルーバー片を介して、結露水を結露受け部へと案内しやすくなる。即ち、複数のルーバー片について、上方に位置するルーバー片の第2の傾斜片の先端が、そのすぐ下方に位置するルーバー片における第1の傾斜片の先端よりも、所定の方向とは反対方向に位置することで、上方のルーバー片の第2の傾斜片を流れる結露水が、鉛直下方へと真っすぐ流れていかず、ルーバー部から見て、所定の方向とは反対側(ルーバー部の内側)に流れやすくなる。この結果、上方のルーバー片の第2の傾斜片を流れる結露水は、ルーバー部の内側に設けられた結露受け部で回収することができる。
【0043】
また、第1の桟部材が、フィン部の上部側に配置され、凸部の配列方向においてフィン部の長さよりも長く形成され、フィン部の上部と接続されたことによって、フィン部の上部に、凸部の配列方向に沿って、フィン部を安定して支持する支持構造を構築することができる。
【0044】
また、第2の桟部材が、フィン部の下部側に配置され、凸部の配列方向においてフィン部の長さよりも長く形成され、フィン部の下部と接続されたことによって、フィン部の下部に、凸部の配列方向に沿って、フィン部を安定して支持する支持構造を構築することができる。
【0045】
また、縦枠本体が、凸部の配列方向においてフィン部の両端の外側に配置され、第1の桟部材及び第2の桟部材のそれぞれと接続されると共に、床面に立設されフィン部を支持することによって、第1の桟部材及び第2の桟部材を、縦枠本体で支持することができる。即ち、フィン部を、第1の桟部材及び第2の桟部材で支持して強度を担保しながら、この構造を更に、縦枠本体で支持することができる。また、縦枠本体を介して、放射パネルを床面に立設させることができる。
【0046】
また、結露受け部が、鉛直方向における最下部に設けられたルーバー片よりも上方、かつ、鉛直方向において直近の高さにあるルーバー片に当接して配置されると共に、当接したルーバー片とは反対側に冷気を流す場合には、最下部に設けられたルーバー片と、結露受け部と当接したルーバー片を、冷えにくくすることができる。これにより、最下部に設けられたルーバー片と、そのすぐ上方に配置されたルーバー片において、結露が生じにくくなる。また、結露受け部と当接したルーバー片の上方に、さらなるルーバー片が設けられた場合に、このルーバー片が冷えて、結露水が生じたとしても、その第2の傾斜片を流れる結露水が、鉛直下方へと真っすぐ流れていかず、所定の方向とは反対側にある結露受け部の方に流れやすくなっていることから、結露水を、結露受け部で集めることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係る放射パネルは、放射冷暖空調に用いる放射パネルにつき、冷暖効果に優れ、放熱部以外での結露が生じにくく、かつ、発生した結露水を充分に処理可能なものとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、以下に示す構造は本発明を適用した放射パネルの一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではなく、適宜設定変更することが可能である。
【0050】
なお、以下の説明においては、
図6(a)を基準に、図中の上下を「上又は上側」、「下又は下側」及び「上下方向又は鉛直方向」と称する。また、
図10(a)を基準に、図中の左右を「左又は左側」、「右又は右側」及び「左右方向又は水平方向」と称する。さらに、
図10(a)を基準に、図中の左右方向に沿って、「外又は外側」及び「内又は内側」と称する。
【0051】
また、
図6(a)を基準に、図中の左側を「表又は表側」又は「表面側」、図中の右側を「裏又は裏側」又は「背面側」と称する。また、
図6(a)を基準に、図中の左右方向(表裏方向)を「厚み方向」と称する。さらに、
図6(a)を基準に、図中の左右方向に沿った内側を「厚み方向の中央側」、外側を「厚み方向の外側」と称する。
【0052】
図1に示すように、本発明を適用した放射パネルの一例である放射パネルAは、室内空間の床面に立設された、縦型タイプの放射冷暖空調の放射パネルである。また、放射パネルAは、表面側にのみ、放熱部となるフィン部11が設けられた片面タイプの放射パネルである。
【0053】
図1に示すように、放射パネルAは、放熱部1と、2つの柱構造2と、上部ルーバー部3及び下部ルーバー部4を備えている。
【0054】
放熱部1は、冷温媒となる水道水を循環させる配管10(
図2参照)をフィン部11(
図2参照)で覆った部材であり、放射放熱及び対流放熱を生じる部材である。
【0055】
2つの柱構造2は、放射パネルAを床面に立設させるための支持部であり、かつ、放射パネルAの全体の強度を担保する部材である。なお、2つの柱構造2は、放射パネルAを構成する部材となっているが、放射パネルを設置する空間に既に設けられている柱体や壁面を、柱構造2に代わる構造として用いることも可能である。
【0056】
上部ルーバー部3及び下部ルーバー部4は、放熱部1の上部及び下部の位置で配管10を覆って、外部から配管10を視認しにくくする部材である。また、放熱部1の領域では、配管10がフィン部11に覆われているため、外観上、フィン部11が視認される構造となっている。
【0057】
また、上部ルーバー部3及び下部ルーバー部4は、発生した結露水を、上方から下方に、又は、後述する結露受け5の方へと案内する部材でもある。
【0058】
[配管経路]
図2に示すように、配管10は、媒体供給部100、主配管(図示省略)、連結配管101及び媒体排出部102を有している。なお、主配管は、
図2中には表れないが、配管10のうち、フィン部11に外周面が覆われた鉛直方向に延びる配管である。また、
図10(a)中において、符号103を付して主配管を示している。
【0059】
配管10は、主配管103及び連結配管101で形成された配管経路に、媒体供給部100から水道水を供給して、媒体排出部102を介して水道水を排出するように構成されている。即ち、配管10は、冷温媒となる水道水の流路として、直列状の流体経路を形成している。
【0060】
また、媒体排出部102及び媒体供給部100は、図示しない配管で構成された循環経路で繋がっており、この循環経路の途中に、水道水を加温又は冷却する所定の媒体温度調整機構が設けられている。
【0061】
即ち、図示しない制御機構で、放射パネルAが設置された室内空間の温度を調整するように制御信号が出され、この制御信号に応じて、媒体温度調整機構が循環経路を流れる水道水を加温又は冷却する。そして、主配管103及び連結配管101で形成された配管経路に、温度を調整した水道水が供給される構造となっている。
【0062】
また、主配管103は、所定の長さを有する筒状体であり、一定間隔で、複数の主配管103が配置されている。また、複数の主配管103は、隣接する主配管の上端部又は下端部が略U字状の連結配管10qで接続されている。
【0063】
また、主配管103及び連結配管101はステンレスで形成されている。また、主配管103は押出成形により形成されている。
【0064】
ここで、必ずしも、配管経路を循環させる冷温媒が水道水である必要はなく、温度調整が可能であり、流体として循環可能な液体であれば採用可能である。但し、放射パネルのサイズや、設置数が多くなった場合、冷温媒として水道水が利用できれば、同様に不凍液を媒体にするものに比べて、放射パネルのランニングコストを抑えることができる。
【0065】
また、必ずしも、主配管103及び連結配管101がステンレスで形成される必要はなく、内部に冷温媒を循環させることが可能で、後述するフィン部11との間で、熱伝導が可能な素材であれば、その他の金属を採用することもできる。但し、冷温媒により配管経路が腐食しにくくなる点から、主配管103及び連結配管101がステンレスで形成されることが好ましい。
【0066】
また、主配管103の形状は、必ずしも、外形が略円柱状の丸型の筒状体が採用される必要はない。例えば、主配管の形状として、外形が角柱状の筒状体を採用することも可能である。主配管に、外形が角柱状の筒状体を採用した場合、外形が略円柱状の主配管と比較して、主配管の内部を流れる冷温媒が、貫通孔の中で、主配管の外周面に近い領域(貫通孔の中心ではなく、外側の領域)に流れやすくなることがあり、冷温媒による熱交換率を向上させることができる。
【0067】
また、必ずしも、
図2に示すように、媒体供給部100及び媒体排出部102が放射パネルの上部に設けられた構造が採用される必要はない。例えば、媒体供給部及び媒体排出部が、放射パネルの下部に設けられた構造を採用することも可能である。
【0068】
また、必ずしも、放射パネルが、直列状の流体経路を有する構造となる必要はない。例えば、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、並列上の流体経路を有する放射パネルとすることも可能である。なお、
図13(a)は、媒体供給部100及び媒体排出部103が上部に設けられた構造であり、
図13(b)は、媒体供給部100及び媒体排出部103が下部に設けられた構造である。
【0069】
このように、並列状の流体経路を有する放射パネルでは、複数の主配管は、複数の供給側の主配管101aと、複数の排出側の主配管101bで構成されている。
【0070】
また、複数の供給側の主配管101aの媒体供給部100側の端部は、連結配管102aで接続されている。また、複数の排出側の主配管101bの媒体排出部103側の端部は、連結配管102cで接続されている。さらに、複数の供給側の主配管101aの媒体供給部100と反対側の端部と、複数の排出側の主配管101bの媒体排出部103と反対側の端部は、連結配管102bで接続されている。
【0071】
また、
図13(a)に示す、流体経路では、供給側の主配管101aの本数よりも、排出側の主配管101bの本数が多くなっている。また、
図13(b)に示す流体経路では、供給側の主配管101aの本数が、排出側の主配管101bの本数よりも多くなっている。並列状の流体経路を有する構造の場合、媒体供給部100及び媒体排出部103が、上又は下のどちらに設けられたかによって、供給側と排出側の主配管の数を調整することで、主配管の配管経路内に発生する空気を、排出部側に排出しやすい構造とすることができる。
【0072】
このように、本発明を適用した放射パネルでは、直列状の流体経路だけでなく、並列状の流体経路を有する構造にも適用可能となっている。
【0073】
図2に示すように、配管10(及びフィン部11)の下部、かつ、下部ルーバー部4の背面側には、冷房時に発生する結露水を回収する結露受け5が配置されている。この結露受け5は、厚み方向の中央側、及び、左右方向の内側に向けて凹んだ、部分箱状に形成されている。
【0074】
また、結露受け5の底部の最も凹んだ箇所に、流れてきた結露水を、結露受け5の外部に排出する排出孔(図示省略)が形成されている。この排出孔の先には配管が接続され、屋外に結露水が排出されるようになっている。
【0075】
[柱構造]
図2に示すように、放熱部1の左右に柱構造2が設けられている。柱構造2は、縦枠本体20と、縦枠本体20に着脱可能な縦枠カバー21から構成されている。なお、
図3には、2つの縦枠カバー21のうち、左側の縦枠カバー21を取り外した状態を示している。
【0076】
また、縦枠本体20に、その表面側から縦枠カバー21を取り付けた状態では、縦枠本体20と縦枠カバー21との間の一部に、隙間が形成され、この隙間の部分を断熱材で密閉する構造となっている(図示省略)。
【0077】
このように、縦枠本体20と縦枠カバー21との間に隙間が形成されることで、この隙間の部分に、別途断熱材を配置可能となる。冷房時には、縦枠カバー21の内部の空間に結露が発生して、放射パネルAを設置した床面に結露水が落ちることがあるが、断熱材を配置することで、縦枠カバー21の内側及び外周面における結露水の発生を抑止することができる。
【0078】
また、
図2に示すように、柱構造2は、その上部に縦枠補助部材22を有している。この縦枠補助部材22は、その上端を室内空間の天井面に当接させて固定することで、放射パネルAを天井面に対して固定させるための部材である(
図2及び
図4(a)参照)。縦枠補助部材22は、縦枠本体20に対して上下にスライドさせ、固定できるように構成されている。
【0079】
また、
図2に示すように、縦枠補助部材22の上部に壁側取付金具23を配置した構造とすることができる。壁側取付金具23は、放射パネルAを、その背面側に位置する室内空間の壁面に固定するための部材である(
図2及び
図4(b)参照)。例えば、室内空間の天井面が高く、縦枠補助部材22が届かないような場合に、壁側取付金具23を用いて、背面側の壁面に放射パネルAを固定することができる。
【0080】
ここで、本発明を適用した放射パネルAでは、これを固定する構造として、必ずしも、縦枠補助部材22や壁側取付金具23が採用される必要はなく、放射パネルAが室内空間の床面や天井面、又は、壁面等に固定できる構造であれば、その固定に用いる取付金具等は特に限定されるものではない。
【0081】
[横桟部の構造]
図2に示すように、フィン部11部の上部には、左右方向に沿って、上部横桟部6が設けられている。また、フィン部11部の下部には、左右方向に沿って、下部横桟部7が設けられている。上部横桟部6及び下部横桟部7は、フィン部11の上部又は下部を固定して、強度を担保する部材である。
【0082】
また、上部横桟部6及び下部横桟部7は、左右方向におけるフィン部11の長さよりも長く形成されている(
図2参照)。また、上部横桟部6及び下部横桟部7は、後述するフィン部11におけるベース部120と当接する箇所において、左右方向に沿って一定間隔で、複数のネジ構造(符号省略)が設けられ、ベース部120が、上部横桟部6及び下部横桟部7に固定されている(
図5(a)及び
図5(b)参照)。
【0083】
また、図示しないが、上部横桟部6及び下部横桟部7の表面側に、縦枠本体20が配置され、縦枠本体20と、上部横桟部6及び下部横桟部7のそれぞれが締結金具で固定されている。これにより、上部横桟部6及び下部横桟部7が、床面に立設された縦枠本体20で支持される構造となっている。
【0084】
また、上部横桟部6及び下部横桟部7は、フィン背面断熱材90に形成された切欠に嵌合して配置されている(
図5(a)及び
図5(b)参照)。
【0085】
図2及び
図5(a)に示すように、上部横桟部6の上方には、上部背面カバー8が設けられている。上部背面カバー8は、放射パネルAの背面側にある、室内空間の壁面のうち、鉛直方向においてフィン部11よりも上方であり、かつ、左右方向において、上部横桟部6の長さの範囲の領域が、外部に露出しないように覆う金属製の部材である。
【0086】
即ち、放射パネルAの背面を、室内空間の壁面に当接させて配置した際に、壁面のうち、上部背面カバー8と対応する領域が、フィン部11の上方で露出しないように配置されている。上部背面カバー8を設けることで、壁面の一部が、放射パネルAの使用に伴い、湿気や結露に晒され、壁面にカビ等が生じることを抑止できる。
【0087】
また、図示しないが、上部背面カバー8の表面側に、縦枠本体20が配置され、縦枠本体20と、上部背面カバー8が締結金具で固定されている。これにより、上部背面カバー8が、床面に立設された縦枠本体20で支持される構造となっている。
【0088】
ここで、必ずしも放射パネルAに、上部背面カバー8が設けられる必要はない。但し、上述したように、室内空間の壁面にカビ等が生じることを抑止できる点から、放射パネルAに、上部背面カバー8が設けられることが好ましい。
【0089】
次に、放射パネルの背面側及び下部側に設けられた断熱構造について説明する。
図6(a)及び
図6(b)に、放射パネルAを側面から見た概略断面図を示している。
図6(a)及び
図6(b)では、図面中の右側に、放射パネルAの背面を当接して配置する室内空間の壁面(図示省略)があることを想定している。なお、
図6(b)の上側の図が、
図6(a)の符号Y1で示す範囲の拡大図であり、
図6(b)の下側の図が、
図6(a)の符号Y2で示す範囲の拡大図である。
【0090】
放射パネルAの背面側には、フィン背面断熱材90と、断熱テープ91と、下部背面断熱材92と、柱状断熱材93が配置されている(
図5及び
図6参照)。これらの部材は、いずれも一定の厚みを有する断熱素材で形成され、フィン部11や放射パネルAの下部側に生じた冷気が、室内空間の壁面側に伝わることを抑止する。
【0091】
これらの部材により、放射パネルAの背面側から、室内空間の壁面側に冷気が流れにくくなり、壁面が冷えて、結露が生じることが防止でき、放射パネルAの背面を、壁面に当接させて配置したり、又は、壁面のすぐ近くに配置したりすることが可能となる。
【0092】
より詳しくは、フィン背面断熱材90は、フィン部11の背面側に配置された板状の断熱材であり、30mmの厚みを有している。また、下部背面断熱材92は、フィン背面断熱材90の下方に設けられ、15mmの厚みを有している。
【0093】
また、断熱テープ91は、鉛直方向では、下部背面断熱材92及びフィン背面断熱材90の一部を含む範囲で(
図6(b)参照)、かつ、左右方向では、下部背面断熱材92及びフィン背面断熱材90と同じ長さとなる範囲で、下部背面断熱材92及びフィン背面断熱材90の一部に貼り付けられている。
【0094】
また、柱状断熱材93は、下部背面断熱材92の左右方向における端部側、かつ、その表面側に配置され、細長い部分柱状に形成されている。
【0095】
放射パネルAにおいては、冷房時に、下部側の方に冷気が流れてきて、下部側において結露が生じやすいため、断熱テープ91、下部背面断熱材92、及び、柱状断熱材93を配置して、下部側の冷気に対応する構造となっている。
【0096】
また、下部背面断熱材92は、放射パネルAの背面側にある、室内空間の壁面のうち、鉛直方向においてフィン部11よりも下方であり、かつ、左右方向において、下部横桟部7の長さの範囲の領域が、外部に露出しないように覆う部材でもある。つまり、上部背面カバー8と同様に、壁面の一部を覆っている。
【0097】
下部背面断熱材92を設けることで、壁面の一部が、放射パネルAの使用に伴い、湿気や結露に晒され、壁面にカビ等が生じることを抑止できる。また、図示しないが、水受け50の上面及び下面に断熱部を設けており、床への熱を伝えにくくしている。
【0098】
ここで、必ずしも、放射パネルAの背面側の断熱構造として、フィン背面断熱材90と、断熱テープ91と、下部背面断熱材92と、柱状断熱材93が配置される必要はない。但し、片面タイプの放射パネルを、室内空間の壁面に当接して配置して、壁面側に冷気が流れにくくする点から、放射パネルAの背面側、特に、フィン部11の背面側に、断熱材が配置されることが好ましい。
【0099】
ここで、必ずしも放射パネルAに、下部背面断熱材92が設けられる必要はない。但し、上述したように、室内空間の壁面にカビ等が生じることを抑止できる点、及び、結露が生じやすい放射パネルの下部側において、冷気が流れにくくする点から、放射パネルAに、下部背面断熱材92が設けられることが好ましい。
【0100】
[ルーバー部]
続いて、上部ルーバー部3及び下部ルーバー部4の詳細な構造について説明する。
図2及び
図6(b)に示すように、上部ルーバー部3は、同一形状である2つのルーバー片30から構成されている。また、2つのルーバー片30は、左右方向における縦枠カバー21の内周面側に設けられた、ルーバー取付部210に嵌め込まれて取り付けられる(
図2参照)。即ち、ルーバー片30の左右方向の長さは、2つの縦枠カバー21の間に架け渡して配置することが可能な長さに形成されている。
【0101】
また、2つのルーバー片30は、ルーバー取付部210に嵌め込まれた状態で、厚み方向(表裏方向)における表面側の端面が揃っており、鉛直方向に沿って2つ並べて配置されている。
【0102】
また、
図2及び
図6(b)に示すように、下部ルーバー部4は、同一形状である3つのルーバー片40から構成されている。また、ルーバー片40は、ルーバー片30と同一形状である。
【0103】
また、3つのルーバー片40は、左右方向における縦枠カバー21の内周面側に設けられた、ルーバー取付部220に嵌め込まれて取り付けられる(
図2参照)。即ち、ルーバー片40の左右方向の長さは、2つの縦枠カバー21の間に架け渡して配置することが可能な長さに形成されている。
【0104】
なお、
図7(b)の符号Sを付した矢印の方向は、ルーバー取付部220に対して、ルーバー片40を取り付ける方向を示している。
【0105】
また、3つのルーバー片40は、ルーバー取付部220に嵌め込まれた状態で、厚み方向における表面側の端面が揃っており、鉛直方向に沿って、2つ並べて配置されている。
【0106】
また、縦枠カバー21の内周面には、ルーバー取付部220における2段目(3つの内の真ん中)のルーバー片40が取り付けられる位置の近くに、結露受け5を取り付ける結露受け取付部230が設けられている(
図2、
図7(a)及び
図7(b)参照)。
【0107】
また、縦枠カバー21の内周面のうち、結露受け取付部230の上方及び下方には、断熱材94が配置されている(
図7(a)参照)。
【0108】
また、
図7(b)に示すように、1つのルーバー片40は、ルーバー片本体41と、上部傾斜片42と、下部傾斜片43と、裏面傾斜片44から構成されている。ルーバー片40を構成する各部材は、板状に形成されている。
【0109】
また、ルーバー取付部220にルーバー片40が取り付けられた状態で、ルーバー片本体41は、鉛直方向と略平行な向きに配置される。また、上部傾斜片42は、ルーバー片本体41の上端に連設され、その先端が背面側に向かうように右上に傾斜している。また、下部傾斜片43は、ルーバー片本体41の下端に連設され、その先端が背面側に向かうように右下に傾斜している。
【0110】
また、ルーバー取付部220にルーバー片40が取り付けられた状態で、背面傾斜片42は、ルーバー片本体41の背面に連設され、その先端が背面側に向かうように右下に傾斜している。
【0111】
さらに、ルーバー取付部220にルーバー片40が取り付けられた状態で、厚み方向におけるルーバー片本体41から上部傾斜片42の先端までの距離(
図7(b)中の符号T1で示す長さ)は、厚み方向におけるルーバー片本体41から下部傾斜片43の先端までの距離(
図7(b)中の符号T2で示す長さ)よりも短く形成されている。なお、ルーバー片30も同様の構造を有している。
【0112】
このようなルーバー片40(又はルーバー片30)の形状とすることにより、複数のルーバー片40を鉛直方向に沿って配置した際に、上側に位置するルーバー片40を伝って下方に流れる結露水が、鉛直下方に真っすぐ流れていかず、ルーバー片40よりも背面側、即ち、結露受け5が配置された厚み方向の中央に向けて流れやすくなる(
図8(a)及び
図8(b)参照)。
【0113】
また、裏面傾斜片44を設けたことで、上部からの冷気がルーバー片本体41にあたりづらくなり、ルーバー片40の全体として、冷えにくくすることができる。また、裏面傾斜片44を設けたことにより、結露水を厚み方向の中央側へ案内することができる。
【0114】
また、ルーバー片30又はルーバー片40における結露水の流れ方を、
図8(a)及び
図8(b)に模式的に表している。
図8(a)及び
図8(b)では、結露水の流れを符号Wを付した矢印で示している。
【0115】
例えば、上部ルーバー3では、上側のルーバー片30を伝って流れた結露水は、上側のルーバー片30の下部傾斜片(符号省略)を伝って、下側のルーバー片30の上部傾斜片(符号省略)の方には流れず、これよりも背面側の方向に流れていく(
図8(a)参照)。
【0116】
また、下部ルーバー4では、3段目(3つの中の一番上)のルーバー片40と、2段目(3つの中の真ん中)のルーバー片40において、3段目のルーバー片40を伝って流れた結露水は、3段目のルーバー片40の下部傾斜片(符号省略)を伝って、2段目のルーバー片40の上部傾斜片(符号省略)の方には流れず、これよりも背面側の方向に流れて、結露受け5に回収されやすくなっている(
図8(a)及び
図8(b)参照)。
【0117】
また、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、下部横桟部7の下方には、背面側傾斜片45が設けられ、その先端が、結露受け5の方向に向けて傾斜して形成されている。背面側傾斜片45は、上方から落ちてきた結露水を、結露受け5の方に流す部材である。
【0118】
ここで、必ずしも、上部ルーバー部3のルーバー片30と、下部ルーバー部4のルーバー片40が同一形状に形成される必要はない。但し、ルーバー片30の形状を、ルーバー片40の形状と同じにすることで、放射パネルAの厚み方向の中央側、即ち、結露受け5の方に、結露水を集めやすくなる点から、上部ルーバー部3のルーバー片30と、下部ルーバー部4のルーバー片40が同一形状に形成されることが好ましい。
【0119】
また、必ずしも、ルーバー片本体41と、上部傾斜片42と、下部傾斜片43と、裏面傾斜片44が、いずれも板状に形成される必要はなく、配管10を目隠しできる長さで、左右方向に一定の長さを有しており、また、結露水を、上方から下方、又は、厚み方向の内側へと伝わせることができ、ルーバー取付部に取り付け可能であれば、これらの形状は特に限定されるものではない。例えば、ルーバー片本体、上部傾斜片、下部傾斜片、及び、裏面傾斜片の形状として、曲面を有する形状、波打った形状、段差を設けた形状等を採用することもできる。
【0120】
また、裏面傾斜片の形状として、例えば、
図12に示すように、側面視で湾曲した形状の裏面傾斜片440とすることもできる。このような裏面傾斜片440でも、上部からの冷気がルーバー片本体41にあたりづらくなり、ルーバー片400の全体として、冷えにくくすることができる。また、裏面傾斜片440を設けたことにより、結露水を厚み方向の中央側へ案内することができる。
【0121】
また、上部ルーバー部3のルーバー片30の数と、下部ルーバー部4のルーバー片40の数は、特に限定されるものではない。但し、ルーバー片40の形状として、鉛直方向に沿って複数配置することで、結露受け5の方に、結露水を集めやすくなる点から、ルーバー片30及びルーバー片40は、複数設けられることが好ましい。
【0122】
次に、結露受け5の配置位置の詳細について説明する。結露受け5は、上述したように、配管10(及びフィン部11)の下部、かつ、下部ルーバー部4の背面側に配置されている(
図2参照)。
【0123】
また、鉛直方向において、結露受け5は、3つのルーバー片40のうち、2段目のルーバー片40と対応する高さ位置に配置されている(
図6(b)、
図7(b)及び
図8参照)。さらに、厚み方向において、結露受け5は、表面側に寄せた位置、即ち、2段目のルーバー片40の背面に当接する位置に配置されている。
【0124】
ここで、放射パネルAのような片面タイプの放射パネルを、室内空間の壁面に当接して(又は近づけて)配置した場合、下部ルーバー部が冷えやすい現象が確認されている。即ち、下部ルーバー部が冷えて、結露が生じやすいものとなっている。
【0125】
そこで、放射パネルAでは、上述したように、結露受け5を、鉛直方向において、3つのルーバー片40のうち、2段目のルーバー片40と対応する高さ位置に配置し、かつ、厚み方向において、結露受け5を表面側に寄せて配置することで、結露受け5の上方から流れてくる冷気を、結露受け5の背面側の領域に流れやすくしている。
【0126】
これにより、下部ルーバー部4における、3つのルーバー片40のうち、3段目(3つの中の一番上)のルーバー片40が冷えたとしても、その下部にある2段目及び1段目のルーバー片40が冷えにくい構造となっている。この結果、下部ルーバー部4の全体で、冷えやすさを改善することができる。なお、
図9(a)中に、符号Cを付した矢印で、冷気の流れを示している。
【0127】
ここで、複数のルーバー片40と、これに対する結露受け5を配置する位置は、鉛直方向に並べるルーバー片40の数に応じて、適宜設定することが可能である。
【0128】
図7(a)〜
図7(c)に示すように、結露受け5及び建枠カバー21の下方に、水受け50が設けられている。水受け50は、放射パネルAの底面を構成し、結露受け5に回収されない結露水を回収する部材である。
【0129】
また、水受け50は、周縁部が立ち上がった部分箱状に形成されている。また、図示しないが、水受け50で集めた結露水を外部に排出する排出孔(図示省略)が形成されている。この排出孔の先には配管が接続され、屋外に結露水が排出されるようになっている。
【0130】
また、
図9(b)及び
図9(c)に示すように、縦枠カバー21の外周面かつ下端側には、水受け50に対応する位置に、切欠き240が形成されている。この切り欠き240により、縦枠カバー21の外周面を伝って、下方に結露水が流れてきた際に、切り欠き240の位置で結露水が、水受け50の方に流れやすくなっている。なお、
図9(b)及び
図9(c)では、符号Yで切欠き240の幅を示している。
【0131】
[フィン部]
次に、フィン部11の構造について説明する。
フィン部11は、上述したように、配管10を覆って、放熱部1を構成する部材である(
図2参照)。また、フィン部11は、複数のフィンユニット12と、排出側ダミーフィン13と、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15を有している(
図10(a)及び
図10(b)参照)。
【0132】
また、フィンユニット12、排出側ダミーフィン13、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15はアルミニウムで形成されている。なお、
図10(a)及び
図10(b)は、放射パネルAを平面視した部分断面図である。また、
図10(b)の左側の図が、
図10(a)の符号X1で示す範囲の拡大図であり、
図10(b)の右側の図が、
図10(a)の符号X2で示す範囲の拡大図である。
【0133】
ここで、必ずしも、フィンユニット12、排出側ダミーフィン13、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15がアルミニウムで形成される必要はない。これらの部材は、熱伝導性に優れた素材で形成することが可能であり、例えば、熱伝導性の良い金属や、金属以外の素材が採用されてもよい。
【0134】
また、左右方向において、2つの縦枠カバー21に挟まれた領域の中に、左側から、排出側ダミーフィン13、複数のフィンユニット12、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15の順番で配置されている(
図10(a)及び
図10(b)参照)。
【0135】
また、1つのフィンユニット12は、ベース部120と、配管用凸部121と、空洞凸部122を有している。ベース部120は、フィンユニット12のベースとなる部分板状の部材であり、上部横桟部6及び下部横桟部7と当接して、これらの部材に固定される部材でもある。また、ベース部120と、配管用凸部121及び空洞凸部122は、鉛直方向に沿って長手方向を有する長尺の部材に形成されている。
【0136】
また、配管用凸部121は、その内側に、主配管103を配置する部材であり、主配管103を循環する冷温水との間で熱交換を行う。なお、
図10(a)及び
図10(b)において、左端に位置するフィンユニット12の配管用凸部121には、媒体排出部102と直接連結した主配管103が配置されている。また、右端に位置するフィンユニット12の配管用凸部121には、媒体供給部100と直接連結した主配管103が配置されている。
【0137】
また、配管用凸部121は、ベース部120に連設され、表面方向に突出した凸状の部材である。また、配管用凸部121は、その内側に配管受け部123が形成されている(
図10(b)及び
図11参照)。
【0138】
より詳細には、ベース部120の一部には、溝部124が長手方向に沿って形成され、この溝部124の部分から、主配管103が配管受け部123に向けて入れられている。また、主配管103の外周面に接着剤が付けられ、この接着剤を介して、配管受け部123とパイプ押さえ125の間に、主配管103が固定して、取り付けられている(
図11(a)及び
図11(b)参照)。
【0139】
なお、
図11(a)では、主配管103を配管受け部123に固定する前の状態を示し、
図11(b)では、主配管103を配管受け部123に固定した状態を示している。
【0140】
また、空洞凸部122は、ベース部120に連設され、表面方向に突出した凸状の部材である。また、空洞凸部122は、ベース部120を介して、配管用凸部121と繋がっている。
【0141】
従って、主配管103を循環する冷温水の熱は、空洞凸部122にも伝わり、空頭凸部122は、配管用凸部121と共に、放射放熱及び対流放熱による冷暖効果を生じさせる部分となる。
【0142】
また、フィンユニット12が、ベース部120と、配管用凸部121及び空洞凸部122で構成されたことにより、フィン部11は、放熱部としての実表面積及び見かけの表面積を大きくすることができる。
【0143】
また、フィンユニット12は、排出側ダミーフィン13と供給側ダミーフィン14との間に複数設けられている。また、隣接するフィンユニット12同士のベース部120の端部は当接しており(例えば、
図10(b)の符号Bで示す箇所)、隣接するフィンユニット12の間で熱が移動しやすいように構成されている。
【0144】
また、排出側ダミーフィン13は、左右方向において、左側の縦枠カバー21のすぐ内側(右側)に配置されている。また、排出側ダミーフィン13は、左右方向において、複数のフィンユニット12のうち、一番左側に位置するフィンユニット(以下、「左端フィンユニット」と称する。)の左側に配置されている。即ち、排出側ダミーフィン13は、左側の縦枠カバー21と、左端フィンユニットの間に配置されている。
【0145】
また、排出側ダミーフィン13は、フィンユニット12における空洞凸部122とこれに対応するベース部120から構成される形状と、略同等の形状を有している。なお、排出側ダミーフィン13は、ベース部に相当する部分のうち、後述する隙間を形成する部分の形状が、フィンユニット12のベース部120の形状とやや異なっている。
【0146】
また、排出側ダミーフィン13のベース部(符号省略)の右側端部と、左端フィンユニットのベース部120の左側端部とは、両部分が当接しないように隙間を有して配置されている(
図10(b)中の符号Aで示す箇所)。
【0147】
より詳細には、排出側ダミーフィン13の右側端部と、左端フィンユニットの左側端部とは、当接することなく、厚み方向に沿って位置をずらして配置され、両部材の隙間の部分には、断熱性の樹脂部材(図示省略)が配置されている。
【0148】
このように、左端フィンユニットの左側端部が、排出側ダミーフィン13の右側端部と当接しない構造とすることで、主配管103を循環する冷温水の熱が、左側の縦枠カバー21の方に伝わりにくいものとなる。この結果、冷房時に、冷気が、排出側ダミーフィン13を介して縦枠カバー21に伝わり、縦枠カバー21や縦枠本体20が冷えやすくなることが抑止できる。
【0149】
また、排出側ダミーフィン13は、空洞凸部122と略同等の形状を有しているため、フィン部11の全体の外観上、目立ちにくく、放射パネルAの見栄えを良くすることができる。また、フィンユニット12には劣るものの、排出側ダミーフィン13の凸部も、放熱部として伝導放熱、放射放熱及び対流放熱を生じさせることができる。
【0150】
また、供給側ダミーフィン15は、左右方向において、右側の縦枠カバー21のすぐ内側(左側)に配置されている。また、供給側ダミーフィン14は、左右方向において、複数のフィンユニット12のうち、一番右側に位置するフィンユニット(以下、「右端フィンユニット」と称する。)の右側に配置されている。即ち、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15は、右端フィンユニットと、右側の縦枠カバー21の間に配置されている。
【0151】
また、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15は、フィンユニット12における空洞凸部122とこれに対応するベース部120から構成される形状と、略同等の形状を有している。なお、供給側ダミーフィン15は、ベース部に相当する部分のうち、後述する隙間を形成する部分の形状が、フィンユニット12のベース部120の形状とやや異なっている。
【0152】
また、右端フィンユニットのベース部120の右側端部と、供給側ダミーフィン14のベース部(符号省略)の左側端部とは、両部分が当接して配置されている(
図10(b)中の符号Cで示す箇所)。
【0153】
このように、右端フィンユニットの右側端部が、供給側ダミーフィン14の左側端部と当接した構造とすることで、主配管103を循環する冷温水の熱が、供給側ダミーフィン14にも伝わりやすいものとなる。これにより、供給側ダミーフィン14の凸部(符号省略)が放射放熱及び対流放熱による冷暖効果を生じさせる部分となる。
【0154】
また、供給側ダミーフィン14のベース部(符号省略)の右側端部と、供給側ダミーフィン15のベース部(符号省略)の左側端部とは、両部分が当接しないように隙間を有して配置されている(
図10(b)中の符号Dで示す箇所)。
【0155】
より詳細には、供給側ダミーフィン14の右側端部と、供給側ダミーフィン15の左側端部とは、当接することなく、厚み方向に沿って位置をずらして配置され、両部材の隙間の部分には、断熱性の樹脂部材(図示省略)が配置されている。
【0156】
このように、供給側ダミーフィン14の右側端部が、供給側ダミーフィン15の左側端部と当接しない構造とすることで、主配管103を循環する冷温水の熱が、右側の縦枠カバー21の方に伝わりにくいものとなる。この結果、冷房時に、冷気が、供給側ダミーフィン15を介して縦枠カバー21に伝わり、縦枠カバー21や縦枠本体20が冷えやすくなることを抑止できる。
【0157】
また、冷房時には、媒体供給部100に供給される水の温度は、媒体排出部102から排出される水の温度よりも低いため、媒体供給部100の主配管103が配置された右端フィンユニットと、右側の縦枠カバー21との間に、2つの供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15を配置することで、より一層、右側の縦枠カバー21や縦枠本体20が冷えにくくすることができる。
【0158】
また、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15は、空洞凸部122と略同等の形状を有しているため、フィン部11の全体の外観上、目立ちにくく、放射パネルAの見栄えを良くすることができる。また、フィンユニット12には劣るものの、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15の凸部も、放熱部として伝導放熱、放射放熱及び対流放熱を生じさせることができる。
【0159】
ここで、必ずしも、フィン部11に、排出側ダミーフィン部13、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15を設ける必要はない。但し、フィンユニット12から縦枠カバー21の方へ熱が伝わり、縦枠本体20及び縦枠カバー21が冷えやすくなることを抑止する点から、フィン部11に、排出側ダミーフィン部13、供給側ダミーフィン14及び供給側ダミーフィン15を設けることが好ましい。
【0160】
また、フィン部11において、フィンユニット12の大きさと数は、放射パネルAで示す構造の内容に限定されるものではない。放射熱交換の効率を高める点からは、実表面積及び見かけの表面積が大きくなることが好ましいが、放射パネルを設置する空間等に併せて、フィンユニット12の大きさと数は、適宜設計変更することができる。
【0161】
以上のように、本発明を適用した放射パネルAは、上部ルーバー部3及び下部ルーバー部4の形状、特に、下部ルーバー部4において、ルーバー片40の形状とすることで、上方から落ちてくる結露水を、結露受け5に集めやすい構造となっている。
【0162】
また、放射パネルAは、結露受け5を表面側に寄せて配置することで、冷房時の冷気を背面側に流し、下部ルーバー部4の全体での冷えやすさを改善した構造となっている。
【0163】
また、放射パネルAでは、その背面側に、フィン背面断熱材90や断熱テープ91、及び、下部背面断熱材92等を配置したことで、片面タイプの放射パネルAを、室内空間の壁面に当接して配置、又は、壁面のすぐ近くに配置しても、壁面側に冷気が流れにくく、放射パネルAの設置スペースを小さなものにすることができる。
【0164】
以上のように、本発明の放射パネルは、放射冷暖空調に用いる放射パネルにつき、冷暖効果に優れ、放熱部以外での結露が生じにくく、かつ、発生した結露水を充分に処理可能なものとなっている。
【0165】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【解決手段】本発明を適用した放射パネルの一例である放射パネルAは、放熱部1と、2つの柱構造2と、上部ルーバー部3及び下部ルーバー部4を備えている。また、柱構造2は、縦枠本体20と、縦枠本体20に着脱可能な縦枠カバー21から構成されている。また、結露受け5は、配管10(及びフィン部11)の下部、かつ、下部ルーバー部4の背面側に配置されている。また、鉛直方向において、結露受け5は、3つのルーバー片40のうち、2段目のルーバー片40と対応する高さ位置に配置されている。さらに、厚み方向において、結露受け5は、表面側に寄せた位置、即ち、2段目のルーバー片40の背面に当接する位置に配置されている。また、放射パネルAの背面側には、フィン背面断熱材90と、断熱テープ91と、下部背面断熱材92と、柱状断熱材93が配置されている。