特許第6890368号(P6890368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890368
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】設計図書整合性チェックシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20210607BHJP
   G06Q 10/10 20120101ALI20210607BHJP
【FI】
   G06Q50/08
   G06Q10/10
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-47899(P2019-47899)
(22)【出願日】2019年3月15日
(65)【公開番号】特開2020-149522(P2020-149522A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2019年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】395008458
【氏名又は名称】ユニコシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】松本 雄一
(72)【発明者】
【氏名】永塚 祐一
(72)【発明者】
【氏名】白▲崎▼ 義則
【審査官】 池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−249900(JP,A)
【文献】 特開2001−337824(JP,A)
【文献】 特開2010−211502(JP,A)
【文献】 特開2006−048281(JP,A)
【文献】 特開2006−079290(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0093076(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面と、少なくとも1つの文書とを含む書類群で構成された設計図書の整合性チェックシステムであって、
図面データが入力され、図面データに含まれる文字又は数値を含む図面情報を抽出して、図面チェック用データを生成する図面解析部と、
文書データが入力され、所定の文字認識処理を通じて得られた文字又は数値、または前記文書データ内のテキストデータから得られる文字又は数値を文書情報として抽出して、文書チェック用データを生成する文書解析部と、
同じ言葉や表現でも意味が違う語句及び同じ意味でも言葉や表現が違う語句を登録した対応類義語辞書を用いて、前記図面チェック用データに含まれる前記図面情報と、前記文書チェック用データに含まれる前記文書情報とを比較して、書類間で記載されている情報の整合又は不整合を判別するチェック処理を行う整合性チェック制御部と、
前記チェック処理での整合又は不整合の判別結果を用いて、設計図書整合性チェック結果を生成する整合性チェック結果生成部と、
を備えることを特徴とする設計図書整合性チェックシステム。
【請求項2】
前記整合性チェック制御部は、
設計図書を構成する計算書、設計書及び仕様書のうちで1つ以上の文書と、前記図面との間で記載されている情報の整合又は不整合を判別する第1チェック処理と、
図面だけを対象に、複数の異なる図面間で記載されている情報の整合又は不整合を判別する第2チェック処理と、
設計図書を構成する計算書、設計書及び仕様書のうちで2つ以上の文書だけを対象に、これらの文書間で記載されている情報の整合又は不整合を判別する第3チェック処理と、を行うことを特徴とする請求項1に記載の設計図書整合性チェックシステム。
【請求項3】
前記整合性チェック制御部は、前記第1チェック処理、前記第2チェック処理、前記第3チェック処理を選択可能に制御することを特徴とする請求項2に記載の設計図書整合性チェックシステム。
【請求項4】
前記整合性チェック制御部は、生成された各チェック用データに基づいて、整合性チェックの基準となる書類を指定可能に制御するとともに、基準として指定された書類に対して他の書類との間の前記チェック処理を行い、
前記整合性チェック結果生成部は、基準となる書類に対して他の書類が相違する部分を整合性チェック結果として生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の設計図書整合性チェックシステム。
【請求項5】
前記整合性チェック制御部は、前記図面チェック用データ又は文書チェック用データの中から整合性確認項目に該当する文字列を抽出して整合性確認項目リストを生成し、整合性確認項目リストの中からチェック対象項目を選択可能に制御するとともに、選択された整合性確認項目に該当する情報を書類間で比較して整合又は不整合を判別するチェック処理を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の設計図書整合性チェックシステム。
【請求項6】
前記設計図書整合性チェック結果は、整合性確認項目欄、整合性確認結果欄、図書記載内容欄を含み、
前記整合性チェック結果生成部は、整合性確認項目別に、整合性が取れているか否かを示す情報と整合性が取れていない項目名又は書類名とを前記整合性確認結果欄に表示させるとともに、各書類別に該当する項目の記載内容それぞれを前記図書記載内容欄に表示させた前記設計図書整合性チェック結果を生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の設計図書整合性チェックシステム。
【請求項7】
図面と、少なくとも1つの文書とを含む書類群で構成された設計図書の整合性チェック処理を行うコンピュータによって実行されるプログラムであって、前記コンピュータに、
図面データが入力され、図面データに含まれる文字又は数値を含む図面情報を抽出して、図面チェック用データを生成する第1機能と、
文書データが入力され、所定の文字認識処理を通じて得られた文字又は数値、または前記文書データ内のテキストデータから得られる文字又は数値を文書情報として抽出して、文書チェック用データを生成する第2機能と、
同じ言葉や表現でも意味が違う語句及び同じ意味でも言葉や表現が違う語句を登録した対応類義語辞書を用いて、前記図面チェック用データに含まれる前記図面情報と、前記文書チェック用データに含まれる前記文書情報とを比較して、書類間で記載されている情報の整合又は不整合を判別するチェック処理を行う第3機能と、
前記チェック処理での整合又は不整合の判別結果を用いて、設計図書整合性チェック結果を生成する第4機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、土木や建築の建設工事などの請負工事や製造請負における設計図書の図面、設計書及び仕様書の相互間の整合性チェック(照査支援)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
請負工事や製造請負の受注者は、その請負契約において、設計図書に従って工事を施工・実施する義務がある。一方で、図面や仕様書等の不一致が生じると、当初の設計図書のまま工事を続行することが困難な状況(例えば、設計図書の変更・修正に伴う発注の停止)となるケースもある。このため、設計図書の照査が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6058198号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
設計図書を構成する複数の書類間の照査を支援する設計図書整合性チェックシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の設計図書整合性チェックシステムは、図面と、少なくとも1つの文書とを含む書類群で構成された設計図書の整合性チェックシステムである。本システムは、図面データが入力され、図面データに含まれる文字又は数値を含む図面情報を抽出して、図面チェック用データを生成する図面解析部と、文書データが入力され、所定の文字認識処理を通じて得られた文字又は数値、または前記文書データ内のテキストデータから得られる文字又は数値を文書情報として抽出して、文書チェック用データを生成する文書解析部と、同じ言葉や表現でも意味が違う語句及び同じ意味でも言葉や表現が違う語句を登録した対応類義語辞書を用いて、前記図面チェック用データに含まれる前記図面情報と、前記文書チェック用データに含まれる前記文書情報とを比較して、書類間で記載されている情報の整合又は不整合を判別するチェック処理を行う整合性チェック制御部と、前記チェック処理での整合又は不整合の判別結果を用いて、設計図書整合性チェック結果を生成する整合性チェック結果生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の設計図書整合性チェックシステムの概略説明図である。
図2】第1実施形態の設計図書整合性チェック装置の構成ブロック図である。
図3】第1実施形態の設計図書整合性チェックシステムの各機能の説明図である。
図4】第1実施形態の図面整合性チェック処理の説明図である。
図5】第1実施形態の図面を基準に文書との間の整合性チェック処理の説明図である。
図6】第1実施形態の文書を基準に図面及び他の文書との間の整合性チェック処理の説明図である。
図7】第1実施形態の文書を基準に他の文書との間の文書整合性チェック処理の説明図である。
図8】第1実施形態の各文章と整合性チェック処理の関係及び処理の流れを説明するための図である。
図9】第1実施形態の設計図書整合性チェック結果一覧表の一例を示す図である。
図10】第1実施形態の設計図書整合性チェックシステムの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る設計図書整合性チェック装置(以下、整合性チェック装置という)100が適用された設計図書整合性チェックシステムの概略説明図である。本システムは、設計図書に含まれる図面、計算書、設計書及び仕様書が、チェック対象書類として整合性チェック装置100に入力され、整合性チェック処理及び整合性チェック結果の生成処理を行う。整合性チェック結果は、設計図書を構成する複数の書類間の照査支援情報として利用される。
【0009】
設計図書とは、土木や建築の建設工事などの請負工事や製造請負において必要な契約図書であり、設計図書に従って工事の施工・実施が行われる。このため、設計図書の不備(設計図書を構成する各書類間での不整合)は、後の設計図書の変更を強いられたり、設計図書の不備により発注自体が停止されたりする可能性がある。
【0010】
一方で、設計図書を構成する複数の各書類は、作成者が各々で異なるケースがあり、使用される用語が統一されておらず、「ゆらぎ」が生じることがある。また、1つの書類内においても用語が統一されてないケースもある。したがって、整合性といっても単に「完全に一致しているか」をチェックすると、実質的に整合性が取れているにも関わらず「不一致」であると判定されてしまう。不整合で引っかかってしまう情報が多くなると、逆に利便性が低下し、使い勝手が悪くなる。このため、異なる用語・語句でも同じ意味で使用される同義語や類語を考慮した整合性チェック(異なる用語・語句であっても、整合性が取れていると判定可能なチェック機能)が必要となる。
【0011】
そこで、本実施形態では、設計図書を構成する複数の書類間の照査支援機能を提供すると共に、設計図書で使用される用語・語句の不統一を考慮した整合性チェック機能を提供する。
【0012】
まず、本実施形態の設計図書について説明する。契約図書には、請負契約書と設計図書とが含まれる。一方で、契約図書と設計図書とを同義で取り扱う場合もある。そこで、本実施形態では、工事を実施するために必要な設計の内容を示す図面、計算書、設計書、仕様書を含む書類群を設計図書(図面と、少なくとも1つの文書(1つ以上の文書)とを含む書類群)と称し、以下、建設工事請負の設計図書を一例に説明するが、製造請負などの設計図書についても適用可能である。
【0013】
図面とは、土木、建築、機械の構造や設計の事物の関係を明らかにした絵図(画図)であり、寸法、工種、規格、部材・部品の名称、数量、表題欄(工事名称、図面名称、尺度、図面番号、・・・・)などの文字も含まれる。また、図面は、平面図、立面図、断面図、矩計図、詳細図、展開図などの図面種別があり、本実施形態の設計図書は、図面種別が異なる2枚以上の複数の図面が含まれる。
【0014】
また、設計図書として要求される図面は、予め必要な図面の種別が決まっている場合がある。例えば、構造図に対して構造詳細図がなければいけない、断面図に対して断面詳細図がなければならないといった「図書図面定義情報」を予め設定し、後述する図面間整合性チェック処理で利用することができる。
【0015】
一方、図面は、図形等の構造物自体の設計図面以外にも、電気設備設計図、構内情報通信網設備図、配線・配電図、機械設備図、管路図、配水系統図など、その請負工事に必要な多種多様な図面も、設計図書を構成する図面として含むことができる。
【0016】
計算書とは、例えば、数量計算書であり、工事に関する内訳書である。工種、種別、細別、規格、単位、計算数量、設計数量などの項目があり、例えば、工種「道路土工」、種別「掘削工」、細別「土砂掘削」、単位「m」、計算数量「26.7m」、設計数量「26m」というように、工事内容を構成する工種などの項目の数量及び規格を示したものである。数量計算書は、例えば、周知の数量計算システムを利用して作成することができ、図面情報や施工条件などを数量計算システムに入力することで、数量総括表及び各工種の数量内訳書を含む数量計算書を作成することができる。
【0017】
設計書とは、例えば、工事設計書であり、施工時の作業順序、使用材料の品質、数量、仕上げ程度、施工方法など、工事を施工するうえで必要となる技術的要求、工事内容を説明したものである。また、全工事に共通する定型的な内容(共通仕様)も含まれる。
【0018】
工事設計書は、設計概要、工事費の内訳、内訳書、単価表などの各文書を含む。設計概要は、工事名、工事場所、工期、設計説明(工事の規模、構造の概要、工事の内容及び工法等)、工事内容(主要工種及び数量)が記載されている。
【0019】
工事費の内訳は、費目、工種、種別、細別、規格等が工種体系階層(レベル)に整理されて記載される。例えば、国土交通省国土技術政策総合研究所の工事体系積算基準書に基づいて作成することができる。費用は、「掘削」、「道路改良」などの工事部門別に記載され、「直接工事費計」、「純工事費」、「工事原価」、「工事価格」、「消費税相当額」、「工事費計」を含む。工種には、「土工」、「擁壁工」、「排水工」等が記載され、「共通仮設費計」、「現場管理費」、「一般管理費等」が記載される。種別は、工種の区分に応じ「掘削」、「盛土」、「ブロック積」、「上層路盤」、「残土処理」等の作業単位が記載され、必要に応じて「運搬費」、「準備費」、「安全費」、「事業損失防止施設費」等の共通仮設費が積上げで記載される。細別は、種別に記載された作業単位より細分した作業単位が記載される。規格は、種別及び細別に応じて形状及び材料等の規格が必要に応じて記載される。その他に、費目、工種、種別、細別毎に応じて「式」、「m」、「m」、「kg」等を単位が記載されたり、員数、単価、金額、摘要などが記載されたりする。内訳書は、一括で金額を算出したものである。単価表は、単位当りで金額を算出したものである。
【0020】
仕様書は、例えば、工事設計書に付属する設計書附属書類であり、一例として、特記仕様書がある。特記仕様書は、工事の施工に関する明細又は工事に固有の技術的要求を定めたものであり、工事設計書に対する特記事項が記載される。したがって、特記仕様書は、上述した工事設計書の設計概要の項目及び他の項目の少なくとも一部を含む補足資料である。
【0021】
図2は、整合性チェック装置100の機能ブロック図である。整合性チェック装置100は、通信装置110、制御装置120、及び記憶装置130を含んで構成される。制御装置120は、データ処理部121、文書解析部122、図面解析部123、整合性チェック制御部124、及び整合性チェック結果生成部125を含む。
【0022】
図3は、本実施形態の設計図書整合性チェックシステムの各機能の説明図である。
【0023】
設計図書を構成する各書類は、電子データで提供され、整合性チェック装置100に入力される。このとき、データ処理部121は、各書類の電子データを所定のデータ形式に変換する処理を行う。例えば、データ処理部121は、CAD図面データのデータ形式「dwg」をデータ形式「p21」に変換する。データ形式「p21」は、CADデータの標準フォーマット(ISO10303(STEP)/AP202に準拠した標準フォーマットSXF(P21))である。
【0024】
文書解析部122は、文書内の文字を文字コードに変換する文字認識処理を行う。例えば、文字(文字列)が画像データ化されている計算書や設計書、仕様書に対して文字認識処理を行い、テキストデータに変換する。文書解析部122は、図面以外の書類に対して文字認識処理を行い、図面は、後述する図面解析部123によって解析される。文字認識処理は、周知の技術を使用することができる。また、文書解析部122の文字認識処理は、文字認識機能を提供する外部装置(外部サーバ)で行うこともできる。この場合、文字解析部122は、外部サーバに対して文書データを送信し、外部サーバから文字認識結果を取得することで、文書データの文字認識処理を遂行することができる。
【0025】
なお、文書解析部122は、文字のテキストデータ(文字コード)に変換する処理と共に、テキスト形式に変換する文字の文書内の位置情報(座標情報)も合わせて算出することができ、文字列および文字列を構成する各文字が、文書内においてどの位置にあるのかを把握できるようにすることができる。例えば、文書の書式形式(例えば、A4サイズ)において特定の位置(例えば、左隅)を基準位置として、文字の座標情報(X,Y)を算出することができる。このように構成することで、文字列同士の位置関係、例えば、項目(見出し)とその内容を記載した文章を1つのグループとして、各項目別に複数の文字列の関係を把握することができる。例えば、「項目」は、左詰めで記載され、「項目」に含まれる内容が、左詰めの項目の記載開始位置に対して右に所定距離ズレた位置から記載されている場合、その位置関係で項目別にその内容(文字列の意味)を把握することができる。
【0026】
また、予めテキスト化された文字を含む文書(txt、doc)に対しては、文書解析部122が、その文書内の文字の位置情報を算出する処理のみを行うように構成することができる。また、文書内の文字の位置情報を予め含む文書データに対しては、文書解析部122の処理対象外とすることができ、そのまま後述する整合性チェック処理に使用することができる。図3の例では、仕様書がデータ形式変換処理及び文字認識処理を行わずに、そのまま仕様書チェック用データとして利用される一例を示している。
【0027】
文書解析部122は、計算書や設計書などの各文字認識処理の結果情報として、計算書チェック用データ、設計書チェック用データを生成し、記憶装置130に記憶する。計算書チェック用データ及び設計書チェック用データのデータ形式は、例えば、csv形式である。このとき、csv形式の設計書チェック用データは、例えば、認識された文字とその文字の文書上の位置情報(座標情報)とがセットになって、各文字がカンマ区切りなどの区切り文字を介して羅列された情報として構成することができる。計算書チェック用データも同様である。
【0028】
図面解析部123は、データ形式「p21」の図面データを解析し、図面チェック用データを生成する。図面チェック用データのデータ形式は、例えば、csv形式である。図面解析処理は、図面別に、上述した寸法、工種、規格、部材・部品の名称、数量、表題欄などの各文字情報を抽出する。
【0029】
本実施形態では、整合性チェック処理を行う前に、設計図書を構成する各書類を所定のデータ形式に変換して、テキストベースでの整合性チェックを行えるようにする。つまり、データ処理部121、文書解析部122及び図面解析部123は、照査支援対象の設計図書に対する「チェック用データ抽出処理」機能を提供する。
【0030】
次に、本実施形態の整合性チェック制御部124について説明する。整合性チェック制御部124は、上述したチェック用データを用いて整合性チェック処理を行う。
【0031】
整合性チェック制御部124は、書類間で記載されている情報の整合又は不整合を判別するチェック処理を行い、大きく分けて以下の3つの処理機能を遂行することができる。
(1)図面と、少なくとも1つの文書(計算書、設計書及び仕様書のうちで1つ以上の文書)との間の整合性をチェックする設計図書整合性チェック処理(第1チェック処理)、
(2)図面だけを対象に複数の異なる図面間の整合性をチェックする図面整合性チェック処理(第2チェック処理)、
(3)計算書や設計書、仕様書などの文書だけを対象に、これら各文書間の整合性をチェックする文書整合性チェック処理(第3チェック処理)。なお、文書整合性チェック処理は、1つの文書内での整合性チェック処理(文書内の整合性及び記載要件のチェック処理)を含む。
つまり、整合性チェック制御部124は、設計図書を構成する各種書類間の任意の組み合わせで整合性チェックを実行可能な環境を提供すると共に、図面だけを対象にした複数の図面間の整合性チェック環境も提供する。
【0032】
なお、整合性チェック制御部124は、基準となる書類を指定して上記各チェック処理を行うことができる。つまり、どの書類を正に整合性をチェックするかを指定し、例えば、図面を基準として、他の文書との整合性をチェックしたり、1つの文書を基準として、図面及び他の文章との間の整合性をチェックしたりすることができる。基準となる書類を指定した場合、基準となる書類に対して他の書類が相違する部分が整合性チェック結果として生成されることになる。この場合、整合性チェック制御部124は、生成された各チェック用データに基づいて、基準となる書類を指定可能に制御することができる。
【0033】
一方で、基準となる書類を指定しないで整合性をチェックすることも可能であり、この場合、チェック対象書類それぞれにおいて、少なくとも1つの書類が他の書類と相違していれば、整合性チェック結果の不一致情報として生成される。すなわち、基準に対する相違ではなく、各書類間において少なくとも1つの書類の内容が異なっていたら、不一致情報として生成される。
【0034】
整合性チェック制御部124は、上述のチェック用データ抽出処理機能を通じて得られたチェック用の各データを用いて、上述の第1,第2,第3の各チェック処理を行う。このとき、整合性チェック制御部124は、第1,第2,第3の各チェック処理のうち、どのチェック処理を行うかを選択可能に制御する。取得した選択情報に基づいて該当するチェック処理を行うように構成することもできる。また、チェック処理を選択しなくても、これら第1,第2,第3の各チェック処理を自動的に行ったり、第1チェック処理だけを自動的に行うようにしたりするように構成してもよい。
【0035】
図4は、本実施形態の図面整合性チェック処理の説明図である。図4の例において、点線で囲まれている情報は、図面チェック用データであり、図面解析処理を経て生成された情報である。図面チェック用データは、複数の図面、例えば、平面図、立面図、断面図、詳細図毎にそれぞれ生成される。整合性チェック制御部124は、これらの各図面チェック用データを用いて図面整合性チェック処理を行う。図面整合性チェック処理は、必要図面整合性チェック処理と、図面情報整合性チェック処理のいずれか一方又は双方の2つの処理が含まれる。
【0036】
必要図面整合性チェック処理は、必要な設計図面が揃っているかをチェックする処理であり、上述したように予め設定された図書図面定義情報を用いて、不足している図面を指摘する。例えば、平面図があった場合、詳細図がなければならない、構造図があった場合に詳細図がなければいけない、といった必要図面の不足を指摘する。
【0037】
図面情報整合性チェック処理は、図面内に必要な情報が記載されているかをチェックする。例えば、「図面に数量総括表が記載されているか」などの図面内に記載されるべき情報の欠落を、図書図面定義情報を用いて指摘する。また、図面間で図面内に記載されている延長(合計した長さ(延べの長さ))や数量が整合しているか、数値の記載漏れがないか、不要な記載はないか、施工内容が図面から読み取れるようになっているか、施工の記載、範囲等は適切か、などの図面から読み取れる情報の整合性(1つの図面内での必須記載の有無や記載漏れ等の整合性も含む)をチェックする。
【0038】
つまり、図面から読み取れる情報の整合性チェックは、例えば、平面図に記載されている工種又は/及びその部材と、詳細図に記載されている工種又は/及びその部材の名称の整合性が取れているか、詳細図に記載された部材の名称、数値(W縦×D横×H高さ)又は/及び数量と、構造図に記載された部材の名称、数値(W縦×D横×H高さ)又は/及び数量の整合性が取れているか、をチェックする「記載チェック」と、平面図に記載されている構造物の長さと、構造図の各部材の合計長さとが一致しているかをチェックする「演算チェック」と、が含まれる。
【0039】
図5は、図面を基準に文書との間の整合性チェック処理の説明図である。図5の例では、図面チェック用データを基準に、設計書チェック用データとの整合性チェックと、仕様書チェック用データとの整合性チェックと、を行う。このとき、整合性チェック制御部124は、例えば、複数の図面のうち、1つの図面を基準として整合性をチェックしたり、複数の図面一つ一つと、設計書及び仕様書との整合性をチェックしたりするように構成してもよい。また、チェックする内容は、図面から読み取れる工種や部材名、数値(W縦×D横×H高さ)、数量と、設計書及び仕様書に記載されている同項目の内容とが一致しているかをチェックしたり、図面から読み取られる情報を集計したり、図面から読み取られる情報に基づいて所定の演算をしたりして、設計書の集計項目や演算結果項目の内容(例えば、数量の集計や費用の計算結果など)が一致しているかをチェックする。
【0040】
図6は、文書を基準に図面及び他の文書との間の整合性チェック処理の説明図である。図6の例では、設計書チェック用データを基準に、仕様書チェック用データとの間の整合性チェックと、図面チェック用データとの間の整合性チェックと、を行う。このとき、整合性チェック制御部124は、例えば、基準となる文書に対して、複数の図面毎に各整合性チェック処理を行ったり、任意の1つ又は複数の図面との間で整合性チェック処理を行ったりするように構成することができる。また、チェックする内容は、設計書から読み取れる工事名、工事場所、施工方法、工期などの設計概要や工種、数量、数値などと、仕様書及び図面に記載されている同項目の各内容が一致しているかをチェックしたり、設計書から読み取られる情報を集計したり、設計書から読み取られる情報に基づいて所定の演算をしたりして、図面や仕様書の該当項目の内容が一致しているかをチェックする。
【0041】
図7は、文書を基準に他の文書との間の文書間の整合性チェック処理の説明図である。図7の例では、設計書チェック用データを基準に、仕様書チェック用データとの整合性チェックを行う。整合性チェック制御部124は、設計書から読み取れる工事名、工事場所、施工方法、工期などの設計概要や工種、数量、数値などと、仕様書に記載されている同項目の各内容が一致しているかをチェックしたり、設計書から読み取られる情報を集計したり、設計書から読み取られる情報に基づいて所定の演算をしたりして、仕様書の該当項目の内容が一致しているかをチェックする。
【0042】
図8は、本実施形態の各文章と整合性チェック処理の関係及び処理の流れを説明するための図である。図8の例では、丸付き文字の数字の順番に整合性チェック処理を行っている。丸付き文字「1」で、図面整合性チェック処理を行う。具体的には、各図面に記載されている部材と数量を抽出し、図面の整合性・枚数・順番と記載番号をチェックする。そして、丸付き文字「2」で、図面を正として、図面から抽出された部材と数量をセットに、設計書及び特記仕様書をチェックする(設計図書整合性チェック処理)。
【0043】
次に、丸付き文字「3」で、設計書を正として、工事件名、場所、工期などについて図面及び特記仕様書をチェックする(設計図書整合性チェック処理)。このとき、丸付き文字「4」で、設計書に記載の工期が祝日土日でないかをチェックする(記載要件のチェック処理)。
【0044】
最後に、丸付き文字「5」で、設計書を正として、設計書に記載されている工種(警戒船等)と数量をセットに、特記仕様書をチェックする(文書整合性チェック処理)。また、丸付き文字「6」で、設計書の工期と、特記仕様書に記載の工期とをチェックする。そして、丸付き文字「7」で特記仕様書が所定の記載(受注者、資格、要件等)を満たしているかをチェックする(記載要件のチェック処理)。
【0045】
ここで、整合性確認項目の一例について説明する。整合性確認項目は、例えば、整合性チェック結果として出力を希望する項目であり、任意の項目を設定することができる。整合性チェックの確認項目として、件名および工期、総延長・工区延長、矢板枚数・長さ、鋼管本数・長さ、鋼管矢板の継手長、地盤改良本数・杭径、改良体の長さ、舗装面積、舗装厚、白線延長、鋼材等の数量、建設発生土、浚渫土の土量及び処分先、改良土の土量、事後ボーリング本数、コンクリートガラなど建設廃材廃棄物の量及び処分先、有筋か無筋かの記載、人孔個所数、機材、機器等の品番や名称及び数量、スクラップ量、材料の形状(規格)、保安要員の人数、日数などがある。
【0046】
整合性チェック制御部124は、各チェック処理を行い、チェック結果データを整合性チェック結果生成部125に出力する。このとき、整合性チェック制御部124は、設計図書を構成する複数の書類間で、上述のような整合性が取れていない項目をチェックする処理と、予め設定した整合性確認項目を対象にチェックをする処理と、を行うことができる。
【0047】
後者の整合性確認項目の対象を設定する場合、例えば、整合性チェック制御部124は、チェック用データの中から項目に該当する文字列を抽出して、整合性確認項目リストを生成し、所定の画面に表示して出力対象の整合性確認項目を選択可能に制御することができる。そして、整合性チェック制御部124は、選択された整合性確認項目に該当するチェック用データを書類間で比較してその比較結果を出力するように制御することができる。
【0048】
図9は、設計図書整合性チェック結果一覧表の一例を示す図であり、一覧表の生成処理は、整合性チェック結果生成部125によって行われる。図9の例では、整合性確認項目別に整合性確認結果と各図書記載の内容(相違内容)とが記載された表形式の出力結果である。整合性確認結果には、整合性結果(整合性が取れている「〇」、整合性が取れていない「×」)と、相違点(相違項目名、相違書類名など)とが含まれる。図書記載内容(相違内容)は、各書類別に該当する項目の記載内容それぞれを表示した表示欄である。
【0049】
例えば、整合性確認項目「工事場所」の記載内容に不整合が見つかった場合、整合性確認結果欄には、整合性結果「×」と、相違項目名「住所相違」及び相違書類名「特記仕様書」とが表示される。そして、図書記載内容として、工事場所の項目を含む各書類の記載内容それぞれが表示されている。図9の例では、特記仕様書の住所番地が相違しており、図面と工事設計書との間の整合性が取れていることが把握できる。このとき、エフェクト表示制御として、相違している記載内容に対して太字や下線などの強調表示処理を行うことができる。
【0050】
整合性確認項目「工期」では、全体平面図に記載された工期が相違しており、工事設計書と特記仕様書とが整合していることが把握できる。一方、整合性確認項目「総延長・区間延長」では、整合性が取れているため、整合性確認結果欄の相違欄「〇」が表示され、相違点欄は空白(ブランク)となっている。図書記載内容欄では、工事設計書の数値と、特記仕様書の数値とが一致していることが把握できる。
【0051】
整合性確認項目「図面類」では、工事設計書に記載された図面枚数と図面自体の枚数が相違しており、図面に欠落があることが把握できる。このとき、欠落している図面を抽出する手法としては、例えば、図面に記載される図番に基づいて、図番の連番で欠番している図面の名称やそのページ数(ページ位置)が判別され、表示されている。
【0052】
整合性確認項目「矢板枚数・長さ」では、矢板の種別、長さ、枚数の整合性チェック結果が表示され、相違点欄では、工事設計書において不整合が生じていることを表示している。なお、整合性確認項目「矢板枚数・長さ」の整合性チェック結果は、工事設計書において、III型のL=15mの矢板の記載が抜けている。このため、整合性が取れていない工事設計書の記載内容に対して相違箇所を強調表示するのではなく、整合性が取れている他の書類において該当する記載内容を強調表示することで、工事設計書において記載の欠落があることを把握できるようにしている。このように強調表示は、整合性確認項目「工事場所」や「工期」、「地盤改良本数・杭径・長さ」のように、整合性が取れていない記載内容を強調する処理と、整合性確認項目矢板枚数・長さ」のように、整合性が取れている記載内容を強調して整合性が取れていない記載内容を把握し易いようにする処理と、が含まれる。
【0053】
一方、整合性が取れている整合性確認項目「鋼管本数・長さ」、「塗装面積」、「塗装厚」は、整合性確認項目「総延長・区間延長」の表示処理とは異なり、図書記載内容欄は、ブランク表示にしている。つまり、整合性が取れているので各書類の図書記載内容欄での表示が不要として処理することも可能である。
【0054】
ここで、整合性チェック制御部124の、設計図書で使用される用語・語句の不統一を考慮した整合性チェック機能について説明する。用語・語句の不統一は、同じ「言葉」や「表現」でも「意味」が違う、又は同じ「意味」でも「言葉」や「表現」が違う、といった側面がある。
【0055】
同じ「言葉」や「表現」でも「意味」が違う場合、例えば、意匠の壁材と構造の壁材とは、全く異なる部材であるが、「壁材」で比較してしまうと、規格、数量、長さなどが当然に異なり、不整合として判別されてしまう。つまり、チェックする比較対象の項目(データ)自体が不一致となることを抑制する必要がある。このため、整合性チェック制御部124は、キーワードとして抽出された壁材の意味、すなわち、何の壁材なのかを判定する処理を行う。具体的には、語句「壁材」に対して、外壁材や内壁材を表す壁材種別の用語や製品情報に使われる用語を予め辞書として蓄積しておく。そして、「壁材」の語句前後の文字列から何の壁材なのかを把握可能な文字列を辞書を用いて抽出する。上述したように文字列は、文書内の位置情報(座標情報)が紐付いているので、語句や項目を基準として所定範囲までの文字列を探索し、辞書とのマッチングにより、「壁材」の用途などを表す語句や用語も見つけ出すように構成することができる。このように構成することで、「壁材」の意味(用途)を考慮した項目同士の比較・チェックを行うことができ、比較する対象データ自体の不一致を抑制することができる。
【0056】
また、同じ「意味」でも「言葉」や「表現」が違う場合がある。例えば、鋼矢板と矢板とは同じ意味で使用されているが、「鋼」があるかないかで一部の文字列が不一致であり、不整合となるケースがある。また、例えば、鋼矢板は、シートパイルと称され、まったく同じ部材や工法を意味する用語でも、呼称や名称が異なることで不一致・不整合となるケースもある。さらに、「突付」(二つの部材を、単純に接する形で取り合わせる)と「ドン付け」、「検査」と「点検」など、文字だけを見れば完全に不一致であるが、同じ意味で用いられる用語もある。また、略語を考慮する必要もある。
【0057】
このため、整合性チェック制御部124は、予め設定された対応類義語辞書などを用いて、これらの同じ「意味」で「言葉」や「表現」が違う語句同士の整合性チェック処理を行うことができる。このように構成することで、不必要な不整合判定を抑制することができる。また、整合性チェック制御部124は、設計図書で使用される用語・語句の不統一を考慮した整合性チェックをしている際に、対応類義語辞書に登録されていない新たな用語(統一されていない「ゆらぎ」表現された用語)が出現した場合には、図示していない表示装置に新たな用語を表示して、ユーザに新たな用語を対応類義語辞書に登録することの確認処理を促し、ユーザによる確認処理の結果としてゆらぎ表現されている新たな用語とそれに対応付けられる本来の正規に表現された用語とを紐づけて対応類義語辞書に登録するようにしてもよい。
【0058】
図10は、本実施形態の設計図書整合性チェックシステムの処理フローを示す図である。図10に示すように、本システムを利用するユーザは、所定の作業フォルダ(記憶領域)に設計図書の電子データ(設計図書を構成する複数の各書類の電子データ)を置く。整合性チェック装置100は、所定の操作や所定のタイミングを契機に、設計図書整合性チェック処理を開始する。まず、整合性チェック装置100は、整合性チェック対象の設計図書の電子データ(設計図書データ)を、所定の記憶領域から取得する(S101)。
【0059】
整合性チェック装置100は、各書類の電子データを所定のデータ形式に変換するデータ処理及び図面以外の書類の文書データに対する文字認識処理を行うと共に(S102)、データ形式「p21」に変換された図面データを解析する(S103)。そして、整合性チェック装置100は、図面チェック用データ、計算書チェック用データ、設計書チェック用データ、仕様書チェック用データを生成し、記憶装置130に記憶する(S104)。
【0060】
整合性チェック装置100は、(1)図面と、少なくとも1つの文書(計算書、設計書及び仕様書のうちで1つ以上の文書)との間の整合性をチェックする設計図書整合性チェック処理(第1チェック処理,S105A)、(2)図面だけを対象に複数の異なる図面間の整合性をチェックする図面整合性チェック処理(第2チェック処理,S105B)、(3)計算書や設計書、仕様書などの文書だけを対象に、これら各文書間の整合性をチェックする文書整合性チェック処理(第3チェック処理,S105C)、をそれぞれ行う。各チェック処理は、独立して並行に又は順番に行うことができる。整合性チェック装置100は、各チェック処理の結果として、チェック結果データ(例えば、図9に示すような整合性確認項目、整合性確認結果、図書記載内容のデータ列)を出力する。
【0061】
整合性チェック装置100は、チェック結果データを用いて設計図書整合性チェック結果一覧表を生成し(S106)、生成した設計図書整合性チェック結果一覧表を、所定のディスプレイ装置に表示したり、所定のデータ形式でデータ出力したりするなどの結果提供処理を行う(S107)。
【0062】
本実施形態によれば、照査に伴う作業負荷の軽減、コスト低減及び専門知識等を有しなくても正確な照査を行うことができ、事業執行業務の効率的な運用に寄与する。また、工事等検査業務にも活かすことができる。成果品における工事完成図書が基準書に記載された条件を満たしていることを照査することができる。これにより、工事等検査に係る時間を大幅に短縮し、これまでサンプル検査しかできなかったことも全量検査が可能となる。
【0063】
以上、本実施形態について説明したが、整合性チェック装置100の各機能は、必要に応じて複数の装置に分散して構成することができる。また、上記整合性チェック装置100を構成する各機能は、プログラムによって実現可能であり、各機能を実現するために予め用意されたコンピュータプログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行することで、各部の機能を動作させることができる。
【0064】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【0065】
なお、本発明の実施形態を説明したが、当該実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
100 設計図書整合性チェック装置
110 通信装置
120 制御装置
121 データ処理部
122 文書解析部
123 図面解析部
124 整合性チェック制御部
125 整合性チェック結果生成部
130 記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10