(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下部電極と、前記下部電極に対向するように設けられた上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に設けられたスペーサ部材と、を有したタッチパネルを備え、前記下部電極と前記上部電極との間の静電容量を検知可能な車載入力装置であって、
前記タッチパネルは、車両のステアリングホイールに搭載されるものであり、
前記上部電極の上側には複数の操作領域を有する操作面が設けられていて、
前記スペーサ部材には、平面視で前記操作領域と重なる部分に開口部が形成されており、前記操作面と前記上部電極との間、又は前記操作面の上面に、操作者と前記上部電極との間に静電容量が形成されることを抑制する層であって前記上部電極と別個の上側抑制層が設けられ、
前記下部電極の下側に、前記タッチパネルの下方側において、操作者と前記下部電極との間に静電容量が形成されることを抑制する層であって前記下部電極と別個の下側抑制層が設けられており、
前記操作領域が操作者によって押圧された時にのみ、前記下部電極と前記上部電極との間の距離の変化に基づいて入力操作を検知する、
ことを特徴とする車載入力装置。
前記操作面に第1操作領域と第2操作領域とを設けると共に、前記スペーサ部材に、前記第1操作領域に対応した第1開口部と前記第2操作領域に対応した第2開口部とを設け、
前記第1操作領域が操作された後の所定時間内に前記第2操作領域が操作された時に、フリック操作されたと判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の車載入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、車載機器の操作装置900では、ステアリングホイールの旋回操作時に入力操作が行なえないという問題があると共に、ステアリングホイールが直進位置にあったとしても、運転者が前傾姿勢で運転したり、ステアリングホイールの上側を片手で把持して運転したりする場合など、運転操作時に無意識な動作によってタッチパネルの直上に運転者の身体の一部を通過させることはあり得るため、タッチパネルを誤操作する恐れは残っている。また、寒冷地等で車両を運転する運転者が手袋を着用することがあり、手袋によって手指とタッチパネル電極とが絶縁状態となり、手指をタッチパネルの操作面に近づけても手指とタッチパネル電極との間に静電容量が形成されず、タッチパネルの操作が行えないという問題もある。
【0009】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、ステアリングホイールの操作状態及び手袋の着用の有無に関わらずに入力操作することが可能となると共に、誤操作が生じにくい車載入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の車載入力装置は、下部電極と、前記下部電極に対向するように設けられた上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に設けられたスペーサ部材と、を有したタッチパネルを備え、前記下部電極と前記上部電極との間の静電容量を検知可能な車載入力装置であって、前記タッチパネルは、車両のステアリングホイールに搭載されるものであり、前記上部電極の上側には複数の操作領域を有する操作面が設けられていて、前記スペーサ部材には、平面視で前記操作領域と重なる部分に開口部が形成されており、前記操作面と前記上部電極との間、又は前記操作面の上面に、操作者と前記上部電極との間に静電容量が形成されることを抑制する層であって前記上部電極と別個の上側抑制層が設けられ、前記下部電極の下側に、前記タッチパネルの下方側において、操作者と前記下部電極との間に静電容量が形成されることを抑制する層であって前記下部電極と別個の下側抑制層が設けられており、前記操作領域が操作者によって押圧された時にのみ、前記
下部電極と前記
上部電極との間の距離の変化に基づいて入力操作を検知する、という特徴を有する。
【0011】
このように構成された車載入力装置は、操作者の手指によるタッチパネルへの接触ではなく、操作者の手指によって操作領域が押圧された時にのみ入力操作を検知するので、操作者が手袋を着用していても操作が可能となると共に、操作者と上部電極との間に形成される静電容量を抑制する抑制層を設けたため、運転操作時の無意識な手指の動作による誤操作を防止することができる。また、ステアリングホイールの旋回操作時でもタッチパネルの操作領域を押圧することができるため、ステアリングホイールの操作状態に関わらずに入力操作することが可能となる。
【0012】
また、上記の構成において、前記操作領域が操作者によって押圧され、前記下部電極と前記上部電極とが接触した時に入力操作を検知する第1検知手段と、前記操作領域が操作者によって押圧された時に、前記
下部電極と前記
上部電極との間の距離の変化に伴う静電容量の変化に基づいて入力操作を検知する第2検知手段と、を用いることが可能である、という特徴を有する。
【0013】
このように構成された車載入力装置は、下部電極と上部電極との接触による第1検知手段と、
下部電極と
上部電極との間の静電容量の変化による第2検知手段と、の2つの異なる検知手段を、操作領域への押圧力の違いによって使い分けることができる。
【0014】
また、上記の構成において、前記第1検知手段によって前記操作領域のスイッチ操作を検知し、前記第2検知手段によって前記操作領域のスライド操作を検知するという特徴を有する。
【0015】
このように構成された車載入力装置は、第1検知手段によるスイッチ操作と第2検知手段によるスライド操作とを組み合わせることができるため、種々の操作が容易に可能となる。
【0016】
また、上記の構成において、前記操作面に第1操作領域と第2操作領域とを設けると共に、前記スペーサ部に、前記第1操作領域に対応した第1開口部と前記第2操作領域に対応した第2開口部とを設け、前記第1操作領域
が操作された後の所定時間内に前記第2操作領域
が操作された時に、フリック操作されたと判定する、という特徴を有する。
【0017】
このように構成された車載入力装置は、フリック操作を容易に行うことができる。
【0018】
また、上記の構成において、前記操作面に複数の第3操作領域を設けると共に、前記スペーサ部に、複数の前記第3操作領域それぞれに対応した第3開口部を設け、複数の前記第3開口部それぞれに弾性部材を充填すると共に、複数の前記第3操作領域それぞれを、前記操作面から上方向に突出する凸部とした、という特徴を有する。
【0019】
このように構成された車載入力装置は、複数の第3開口部それぞれの、操作する方向の幅をより小さくすることができるため、経年変化によって操作シートがだれることによる操作への影響を小さくすることができる。また、第3操作領域を操作面から上方向に突出する凸部としたことによって、操作する方向の第3操作領域の幅が小さくても操作が可能となると共に、操作者がタッチパネルを目視する必要が無いため、操作の安全性が向上する。
【0020】
また、上記の構成において、前記下部電極と前記上部電極との対向する面の少なくとも1つの面に、前記開口部へ突出する導電性を有する接点部材を設けた、という特徴を有する。
【0021】
このように構成された車載入力装置は、接点部材を設けたことによって、操作領域を軽く押圧しても操作することが可能となる。特に、押圧力をより必要とする第1検知手段を用いる際に、より有効となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の車載入力装置は、操作者の手指によるタッチパネルへの接触ではなく、操作者の手指によって操作領域が押圧された時にのみ入力操作を検知するので、操作者が手袋を着用していても操作が可能となると共に、操作者と上部電極との間に形成される静電容量を抑制する抑制層を設けたため、運転操作時の無意識な手指の動作による誤操作を防止することができる。また、ステアリングホイールの旋回操作時でもタッチパネルの操作領域を押圧することができるため、ステアリングホイールの操作状態に関わらずに入力操作することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の車載入力装置について図面を参照しながら説明する。本発明の車載入力装置は、車両内におけるエアコン、クルーズコントロール、車載オーディオ等種々の操作を行うための車載入力装置である。本発明の車載入力装置の用途については、以下説明する各実施形態に限定されるものではなく適宜変更が可能である。尚、本明細書では、特に断りの無い限り、各図面の+X側を右側、−X側を左側、+Y側を奥側、−Y側を手前側、+Z側を上側、−Z側を下側として説明する。
【0025】
[第1実施形態]
最初に、
図1乃至
図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る車載入力装置100の構造について説明する。
図1は、車載入力装置100の外観を示す斜視図であり、
図2は、車両のステアリングホイール60に取り付けられた車載入力装置100を示す平面図である。また、
図3は、車載入力装置100の一部を拡大して示す部分平面図であり、
図4は、車載入力装置100の一部を拡大して示す部分断面図であり、
図4(a)は、車載入力装置100の一部を第1検知手段として使用した場合の部分断面図であり、
図4(b)は、車載入力装置100の一部を第2検知手段として使用した場合の部分断面図である。尚、
図4(a)及び
図4(b)は、
図3に示すA−A線から見た断面図である。また、
図4(a)及び
図4(b)において、操作領域15bを操作者の手指65が押圧操作した際の状態を2点鎖線で示している。これは、今後説明する、車載入力装置110、車載入力装置200、及び車載入力装置300においても同様である。
【0026】
車載入力装置100は、
図1に示すように、薄型シート状のタッチパネル10として形成されており、
図2に示すように、車両のステアリングホイール60の中央部60aにおけるハンドル部60bに近い左側及び右側の、車載入力装置100の操作者が操作しやすい位置に取り付けられる。
【0027】
図1に示すように、車載入力装置100の上側、即ちタッチパネル10の上面には操作面15aが設けられていると共に、操作面15a上には、
図1及び
図3に示すように、複数の操作領域15bが設けられている。車載入力装置100の操作者は、操作領域15bに手指を置き、置いた指で操作領域15bを押下した時にのみ、所定の入力操作を行うことが可能とされる。言い換えれば、手指が操作領域15bの表面を触るだけでは、入力操作を行うことができないように構成されている。
【0028】
タッチパネル10は、
図1に示すように、上側から操作シート15、抑制層14、上部シート13、スペーサ部12、下部シート11、及び下側抑制層16によって構成されている。
【0029】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、下部シート11の上側には下部電極11aが形成されている。また、上部シート13は、上部電極13aと絶縁層13bとから構成されており、上部電極13aは、下部電極11aと対向するように形成されている。下部電極11aと上部電極13aとの間には、
図4(b)に示すように、下部電極11aと上部電極13aとの間の距離の大きさに対応した静電容量C0が形成される。
【0030】
下部シート11の下部電極11aを除く部分及び上部シート13の絶縁層13bは、PET(Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)等の絶縁性を有する合成樹脂で形成されており、下部電極11a及び上部電極13aは導電性を有する金属で形成されている。
【0031】
車載入力装置100は、タッチパネル10以外に、タッチパネル10に電気的に接続された入力検出回路(図示せず)を有しており、下部電極11aと上部電極13aとの間の静電容量C0、及び下部電極11aと上部電極13aとの接触が検知可能となるように構成されている。
【0032】
スペーサ部12は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、下部シート11と上部電極13aとの間に設けられている。スペーサ部12は、下部シート11と上部電極13aとの間に挟まれるように形成された絶縁材部12bと、下部電極11aと上部電極13aとの間に設けられると共に、平面視で操作領域15bと重なる部分に形成された開口部12aと、によって構成されている。絶縁材部12bは、例えば下部シート11の表面にレジスト液を塗布し、フォトレジストを用いてレジスト液を硬化させることにより形成することができる。開口部12aは、例えばフォトレジストを用いて形成された絶縁材部12b上に所定形状の開口を有するマスクを載せた状態で露光し、且つ現像することにより形成することが可能である。また、レーザによって形成することも可能である。
【0033】
前述したように、操作面15aは操作シート15の上側に形成されている。即ち、上部電極13aの上方に複数の操作領域15bを有する操作面15aが設けられている。複数の操作領域15bは、
図3に示すように、互いに所定の距離を隔てて設けられており、それぞれが独立した操作を行えるように設定されている。尚、操作領域15bは、本実施形態では円形状をしているが、その形状は、矩形形状等であっても良い。
【0034】
操作領域15bは、平坦な面を持つ操作面15aの表面で、且つ前述した複数の開口部12aと上下方向に対向する位置に、例えば「+」、「−」、「>」、「<」、「TEMP」、「MODE」、等の各種の文字や記号からなるマークが印字又は刻印等されている。各マークがしるされた操作領域15bを押下(押圧操作)することにより上記文字や記号等に対応する情報を入力することができるようになっている。尚、マークを印字する面は操作面15aに限らず、操作シート15の裏面や抑制層14に印字しても良い。また、操作シート15とは別に、マークが印字されたフィルム状部材を操作シート15や抑制層14の表面もしくは裏面に貼り合わせるようにしても良い。
【0035】
前述したように、上部シート13と操作シート15との間には、銀等の導電性を有する金属を印刷や塗布等によって形成された抑制層14が設けられている。そのため、抑制層14は、上部シート13に形成されている上部電極13aと操作シート15の上面の操作面15aとの間を遮蔽するシールド層14aとなっている。そのため、抑制層14は、操作者と上部電極13aとの間に静電容量が形成されることを抑制する。従って、操作者の手指65が操作領域15bを含む操作面15aに接触したとしても、抑制層14が上部電極13aと操作者との間を遮蔽する。そのため、操作者の手指65が操作面15a上にあるだけでは、下部電極11aと上部電極13aとの間の静電容量C0を変化させることがない。
【0036】
尚、抑制層14は、上部シート13と操作シート15との間ではなくて、操作シート15の上側、即ち操作面15aの上面に設けられても良い。その場合でも、操作者の手指65が、下部電極11aと上部電極13aとの間の静電容量C0を変化させることがない。
【0037】
抑制層14即ちシールド層14aは、上部シート13内で、絶縁層13bの上側に設けられても良いし、操作シート15の下側に設けられても良い。尚、本発明の各実施形態では、上部シート13と操作シート15とを別のシートとしているが、上部電極13aから操作面15aまでを同一のシート内に形成しても良い。
【0038】
また、抑制層14が上部電極13aの上方だけに設けられる実施形態であっても良いが、本実施形態では、前述したように、下部シート11の下側にも下側シールド層16aを形成する下側抑制層16が設けられている。そのため、タッチパネル10の下方側に操作者の手指65が回り込むようなことがあっても、下部電極11aと上部電極13aとの間の静電容量C0を変化させる状態にはならない。下側抑制層16即ち下側シールド層16aは、下部シート11の下側に設けられる。尚、抑制層14は、操作者と上部電極13aとの間を完全に遮蔽し、その間の静電容量が形成されることを完全に防止する層であることが好ましい。しかし、抑制層14が操作者と上部電極13aとの間を完全に遮蔽しない場合、操作者が操作面15aを押下しない程度に触れたときに発生するある程度抑制された大きさの静電容量では操作を検出しないように閾値を設ける必要がある。また、操作者が操作面15aを押下しても反応しない不感領域ができてしまい反応が悪くなることがある。これに対して、抑制層14が操作者と上部電極13aとの間を完全に遮蔽し、その間の静電容量が形成されることを完全に防止する層であれば、不感領域が発生しないため操作性が良くなる。
【0039】
次に、
図3及び
図4を参照して、車載入力装置100の操作内容について説明する。
【0040】
操作者の手指65が、操作面15a上の操作領域15bを押圧操作した時には、
図4(a)及び
図4(b)の2点鎖線で示すように、上部シート13が下側方向に湾曲変形し、開口部12a内の、上部電極13aと下部電極11aとの間の距離が変化する。
【0041】
図4(a)に示すように、操作領域15bを操作者の手指65によって押圧し、更に深く押圧すると下部電極11aと上部電極13aとが接触する。即ち、下部電極11aと上部電極13aとの間の距離がゼロになる。この時の入力操作を検知する手段を第1検知手段とする。尚、このように、下部電極11aと上部電極13aとの間の距離がゼロの時には、当然静電容量は発生しない。
【0042】
また、
図4(b)に示すように、操作領域15bを操作者の手指65によって浅く押圧すると共に、その操作者の手指65をスライドさせる。その場合は、下部電極11aと上部電極13aとの間の距離が変化すると共に、
下部電極11aと
上部電極13aとの間の距離の変化に伴ってその間の静電容量C0が変化する。この静電容量C0の変化に基づいて入力操作を検知する手段を第2検知手段とする。従って、操作領域15bを押圧する操作者の手指65の押圧力の大きさ、及び操作者の手指65をスライドさせるかどうかの違いによって、第1検知手段又は第2検知手段を使い分けることができる。
【0043】
図4(a)に示す第1検知手段は、下部電極11aと上部電極13aとが接触するため、操作領域15bによるスイッチ操作として用いることができる。例えば、
図3に示す複数の操作領域15bのうち、奥側(+Y側)の操作領域15bを車載オーディオのスイッチ操作用として用い、この操作領域15bを最初に押下することでラジオ放送のAM放送を受信し、更に操作領域15bを押下することでFM放送を受信する等の切り換え操作を行うことが可能となる。
【0044】
図4(b)に示す第2検知手段は、
下部電極11aと
上部電極13aとの間の距離の変化に伴ってその間の静電容量C0が変化するため、操作領域15bによるスライド操作として用いることができる。例えば、
図3に示す複数の操作領域15bのうち、手前側(−Y側)の操作領域15bを車載オーディオのスライド操作用として用い、この操作領域15bを押下し、スライドさせることで、
下部電極11aと
上部電極13aとの間の距離の変化に応じて、AM放送又はFM放送の受信周波数の変更を行う等の操作を行うことが可能となる。
【0045】
上述した車載入力装置100の実施形態の説明では、
図3に示す複数の操作領域15bのうちの奥側(+Y側)の操作領域15bを第1検知手段として用い、手前側(−Y側)の操作領域15bを第2検知手段として用いた例を示したが、それぞれの操作領域15bは互いに独立しており、どちらも第1検知手段として用いたり、どちらも第2検知手段として用いたりすることも可能であり、それぞれの操作領域15bに対して様々な使用方法が考えられる。
【0046】
[第1実施形態の変形例]
次に、
図2及び
図5を参照して、本発明の第1実施形態の変形例の車載入力装置110の構造及び操作内容について説明する。
図5は、車載入力装置110の一部を拡大して示す部分断面図である。
【0047】
車載入力装置110も、
図2に示すように、車両のステアリングホイール60の中央部60aにおけるハンドル部60bに近い左側及び右側の、車載入力装置110の操作者が操作しやすい位置に取り付けられる。
【0048】
車載入力装置110と車載入力装置100との相違点は、
図5に示すように、タッチパネル18が接点部材19を有している点だけであり、車載入力装置110の接点部材19以外の構造は、車載入力装置100の構造と同一である。そのため、上記相違点以外に関する構造については、その説明を省略する。また、タッチパネル18及び接点部材19以外の構成要素の符号としては、車載入力装置100に用いた符号を用いる。
【0049】
図5に示すように、車載入力装置110のタッチパネル18に設けられた下部電極11aの上側の面には、開口部12aの方向(+Z方向)へ突出する接点部材19が設けられている。接点部材19は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、導電ゴムによって形成されている。接点部材19は、本実施形態では下部電極11aの上側の面に設けられているが、下部電極11aと上部電極13aとの対向する面の少なくとも1つの面に設けられていれば良い。従って、上部電極13aの下側の面に設けられていても良い。
【0050】
操作者の手指65が、操作面15a上の操作領域15bを押圧操作した時には、
図5の2点鎖線で示すように、上部シート13が下側方向に湾曲変形し、開口部12a内の、上部電極13aと下部電極11aとの間の距離が変化する。
【0051】
車載入力装置110では、下部電極11aの上側の面に接点部材19が設けられていることによって、下部電極11aと上部電極13aとの間の距離が、前述した車載入力装置100の場合に比べて狭くなっている。
【0052】
そのため、操作領域15bを操作者の手指65によって深く押圧し、下部電極11aと上部電極13aとが接触した時に入力操作を検知するように用いた場合、即ち、車載入力装置110を第1検知手段として用いた場合、下部電極11aと上部電極13aとを接触させるための押圧力が小さくても、容易にスイッチ操作を行うことができる。
【0053】
また、操作領域15bを操作者の手指65によって浅く押圧すると共に、その操作者の手指65をスライドさせて、
下部電極11aと
上部電極13aとの間の距離を変化させて、静電容量C1の変化に基づいて入力操作を検知するように用いた場合、即ち、車載入力装置110を第2検知手段として用いた場合、下部電極11aと上部電極13aとの間の静電容量C1が、車載入力装置100の場合の静電容量C0に比べて大きくなる。そのため、
下部電極11aと
上部電極13aとの間の距離の変化に伴う静電容量C1の変化量も大きくなる。その結果、押圧力が小さくても、容易に押圧操作を行うことができる。
【0054】
ところで、車載入力装置100又は車載入力装置110において操作領域15bを第1検知手段として用いた場合、即ち、スイッチ操作として用いた場合には、操作領域15bを押圧するだけであるため、その検出範囲は比較的狭くても良い。言い換えれば、スペーサ部12における開口部12aの面積は比較的狭くても良い。しかし、操作領域15bを第2検知手段として用いた場合、即ち、スライド操作として用いた場合には、比較的広い検出範囲が必要となる。言い換えれば、スペーサ部12における開口部12aの、操作者の手指65をスライドさせる方向の長さを比較的長く設定する必要がある。
【0055】
しかしながら、開口部12aの、操作者の手指65をスライドさせる方向の長さを長くすると、操作面15aが設けられている操作シート15が経年変化によってだれてきてしまう。その結果、下部電極11aと上部電極13aとの間の距離が変化してしまい、操作領域15bを操作していない場合であっても、入力操作が行なわれたかのように判定されてしまう危険性がある。
【0056】
そこで、以下に説明する本発明の第2実施形態及び第3実施形態では、操作シート15の経年変化による影響を軽減させる構成とした。
【0057】
[第2実施形態]
次に、
図2、
図6及び
図7を参照して、本発明の第2実施形態の車載入力装置200の構造及び操作内容について説明する。
図6は、車載入力装置200の一部を拡大して示す部分平面図である。また、
図7は、車載入力装置200の一部を拡大して示す部分断面図であり、
図7(a)は、第1操作領域25bを含む車載入力装置200の一部の部分断面図であり、
図7(b)は、車載入力装置200の第1操作領域25bを第1検知手段として使用し、第2操作領域25cを第2検知手段として使用した場合の部分断面図である。尚、
図7(a)は、
図6に示すB−B線から見た断面図であり、
図7(b)は、
図6に示すC−C線から見た断面図である。
【0058】
尚、車載入力装置200の構成要素で、車載入力装置100の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いる。また、同一の符号を用いている構成要素については詳細な説明を省略する。
【0059】
車載入力装置200も、
図2に示すように、車両のステアリングホイール60の中央部60aにおけるハンドル部60bに近い左側又は右側の、操作者が操作しやすい位置に取り付けられる。車載入力装置200は、タッチパネル20によって構成されている。
【0060】
車載入力装置200は、車載入力装置100に対し、
図6に示す、操作面25aに設けられている第1操作領域25b及び第2操作領域25cの配置以外、基本的な構造に相違点はない。
【0061】
図6に示すように、タッチパネル20の操作シート25の上面は、操作面25aとなっており、操作面25aには、第1操作領域25bと第2操作領域25cとが設けられている。本実施形態では、
図6で示す操作面25aの中央に第1操作領域25bが設けられており、この第1操作領域25bの周囲に複数の第2操作領域25cが設けられている。複数の第2操作領域25cは、第1操作領域25bに対してそれぞれ比較的近い距離を隔てて設けられている。複数の第2操作領域25cは、第1操作領域25bに対し、それぞれ90°の角度で隔てられた状態で右側、左側、手前側、及び奥側に設けられている。尚、第1操作領域25b及び複数の第2操作領域25cは、本実施形態では円形状をしているが、その形状は、矩形形状等であっても良い。
【0062】
タッチパネル20の第1操作領域25bの近傍は、
図7(a)に示すように、上側から操作シート25、抑制層14、上部電極13a及び絶縁層13bを有した上部シート13、スペーサ部22、下部電極11aを有した下部シート11、及び下側抑制層16によって構成されている。尚、第2操作領域25cの近傍についても、その構造は同様である。
【0063】
スペーサ部22は、
図7(a)に示すように、下部シート11と上部電極13aとの間に設けられている。スペーサ部22は、下部シート11と上部電極13aとの間に挟まれるように形成された絶縁材部22cと、
図7(b)に示すように、下部電極11aと上部電極13aとの間に設けられると共に、平面視で操作領域25bと重なる部分に形成された第1開口部22a及び平面視で操作領域25cと重なる部分に形成された第2開口部22bと、によって構成されている。第1開口部22aと第2開口部22bとは絶縁材部22cによって区画されている。尚、スペーサ部22の絶縁材部22cと第1開口部22a及び第2開口部22bの製造方法については、車載入力装置100のスペーサ部12の絶縁材部12bと開口部12aの製造方法と同様である。
【0064】
車載入力装置200では、第1操作領域25bを第1検知手段として用い、第2操作領域25cを第2検知手段として用いると共に、第1操作領域25bが第1検知手段として操作された後の、例えば0.5秒以内等の比較的短い所定時間内に、複数の第2操作領域25cのうちの1つの第2操作領域25cを第2検知手段として操作する。(本実施形態では、複数の第2操作領域25cのうちの奥側(+Y側)の第2操作領域25cを用いる。)即ち、
図7(b)に示すように、最初に、操作者の手指65によって操作面25a上の第1操作領域25bを押圧操作して、上部電極13aを下部電極11aに接触させてスイッチ操作する。その後、例えば0.5秒以内に操作者の手指65を、操作面25a上で奥側(+Y側)にスライドさせて、操作面25a上の奥側(+Y側)の第2操作領域25cを押圧操作し、下部電極11aと上部電極13a間の静電容量C2を変化させる。
【0065】
車載入力装置200では、このように操作することによって、車載入力装置200でフリック操作が行なわれたと判定する。フリック操作とは、日本語入力時等に用いられる操作方法であり、目的とする文字や記号を瞬時に入力することができる。尚、もしも、第1操作領域25bの押圧操作後、0.5秒を超えて、例えば1秒後に第2操作領域25cを押圧操作した場合には、フリック操作が行なわれたとは判定せず、第1操作領域25bと第2操作領域25cとが、それぞれ個別に操作されたと判定する。
【0066】
複数の第2操作領域25cそれぞれは、異なる操作を行えるようになっており、第1操作領域25bを第1検知手段として操作した後に、複数の第2操作領域25cのうちのどの1つの第2操作領域25cに対しても、上述の操作を行うことによって、それぞれに対応したフリック操作を行うことができる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、
図2、
図8及び
図9を参照して、本発明の第3実施形態の車載入力装置300の構造及び操作内容について説明する。
図8は、車載入力装置300の一部を拡大して示す部分平面図であり、
図9は、車載入力装置300の一部を拡大して示す部分断面図である。尚、
図9は、
図8に示すD−D線から見た断面図である。
【0068】
尚、車載入力装置300の構成要素で、車載入力装置100の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いる。また、同一の符号を用いている構成要素については詳細な説明を省略する。
【0069】
車載入力装置300も、
図2に示すように、車両のステアリングホイール60の中央部60aにおけるハンドル部60bに近い左側又は右側の、操作者が操作しやすい位置に取り付けられる。車載入力装置300は、タッチパネル30によって構成されている。
【0070】
タッチパネル30は、
図9に示すように、上側から操作シート35、抑制層14、上部電極13a及び絶縁層13bを有した上部シート13、スペーサ部32、下部電極11aを有した下部シート11、及び下側抑制層16によって構成されている。
【0071】
図8に示すように、タッチパネル30の操作シート35の上面は操作面35aとなっており、操作面35aには、複数の第3操作領域35bが手前側から奥側の方向(Y方向)に並んで設けられている。複数の第3操作領域35bは、互いにそれぞれ比較的近い距離を隔てて設けられている。本実施形態では、複数の第3操作領域35bは、互いの間の距離を狭めるため、平面視で、手前側から奥側に向かう辺(Y方向の辺)が短い長方形形状をしている。
【0072】
車載入力装置300では、
図9に示すように、複数の第3操作領域35bそれぞれを、操作面35aから上方向に突出する凸部35cとしている。従って、第3操作領域35bを押圧操作する際には、操作面35aより高い位置にある凸部35cの上面を押圧することになる。凸部35cは、シリコーン樹脂等の柔らかい樹脂を操作面上に印刷や塗布等で形成したものであってもよいし、開口部内に流体を充填して操作シート15が凸状に盛り上げられたことで形成したものであってもよい。
【0073】
スペーサ部32は、
図9に示すように、下部シート11と上部電極13aとの間に設けられている。スペーサ部32は、下部シート11と上部電極13aとの間に挟まれるように形成された絶縁材部32bと、下部電極11aと上部電極13aとの間に設けられると共に、平面視で操作領域25bと重なる部分に形成された第3開口部32aと、によって構成されている。従って、各第3開口部32aそれぞれの間は絶縁材部32bによって区画される。尚、スペーサ部32の絶縁材部32bと各第3開口部32aそれぞれの製造方法については、車載入力装置100のスペーサ部12の絶縁材部12bと開口部12aの製造方法と同様である。
【0074】
スペーサ部32の、車載入力装置100におけるスペーサ部12に対し基本的に異なる点は、
図9に示すように、複数の第3開口部32aそれぞれの内部に弾性部材39が充填されていることである。弾性部材39は、柔らかい樹脂で構成されており、第3操作領域35bを押圧した際に、押圧力が、操作シート35、抑制層14及び上部シート13に伝わって上部電極13aを適度に湾曲変形させるように、その材料の粘度が設定されている。尚、下部電極11aと上部電極13aとの間には、弾性部材39を介して静電容量C3が形成される。弾性部材39は誘電体として働くため、弾性部材39が無い場合に比べて、静電容量C3の容量値を大きくすることができる。従って、静電容量C3の容量値の変化量も、弾性部材39が無い場合に比べて大きくすることができる。
【0075】
車載入力装置300では、例えば、最初に、
図8に示す複数の第3操作領域35bのうちの、中央にある第3操作領域35b、即ち中央の凸部35cを操作者の手指65によって押圧し、その後、操作者の手指65を奥側の方向(+Y方向)へスライドさせながら、その他の複数の第3操作領域35bを押圧していく。逆に、最初に、複数の第3操作領域35bのうちの、中央にある第3操作領域35bを操作者の手指65によって押圧し、その後、操作者の手指65を手前の方向(−Y方向)へスライドさせながら、その他の複数の第3操作領域35bを押圧していくこともできる。
【0076】
このように操作することによって、操作者の手指65による押圧力が、複数の第3操作領域35bそれぞれに移動するので、複数の第3操作領域35bを、移動スピードの速いスライド操作用に用いることができる。例えば、車載オーディオの音量ボリュームを連続的に素早く可変させることができる。
【0077】
また、スペーサ部32の複数の第3開口部32aそれぞれに弾性部材39を充填させることによって、複数の第3開口部32aそれぞれの幅、即ち長方形形状をした第3開口部32aそれぞれの短辺の寸法をより小さくすることを可能にしている。その結果、第3操作領域35bの幅をより小さくすることができる。
【0078】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0079】
車載入力装置100は、操作者の手指65によるタッチパネル10への接触ではなく、操作者の手指65によって操作領域15bが押圧された時にのみ入力操作を検知するので、操作者が手袋を着用していても操作が可能となると共に、操作者と上部電極13aとの間に形成される静電容量C0を抑制する抑制層14を設けたため、運転操作時の無意識な手指の動作による誤操作を防止することができる。また、ステアリングホイール60の旋回操作時でもタッチパネル10の操作領域15bを押圧することができるため、ステアリングホイール60の操作状態に関わらずに入力操作することが可能となる。
【0080】
また、下部電極11aと上部電極13aとの接触による第1検知手段と、
下部電極11aと
上部電極13aとの間の静電容量C0の変化による第2検知手段と、の2つの異なる検知手段を、操作領域15bへの押圧力の違いによって使い分けることができる。
【0081】
また、第1検知手段によるスイッチ操作と第2検知手段によるスライド操作とを組み合わせることができるため、種々の操作が容易に可能となる。
【0082】
また、車載入力装置200は、第1操作領域25bが第1検知手段として操作された後の所定時間内に第2操作領域25cが第2検知手段として操作された時に、フリック操作されたと判定するので、フリック操作を容易に行うことができる。
【0083】
また、車載入力装置300は、複数の第3開口部32aそれぞれの、操作する方向の幅をより小さくすることができるため、経年変化によって操作シート35がだれることによる操作への影響を小さくすることができる。また、第3操作領域35bを操作面35aから上方向に突出する凸部35cとしたことによって、操作する方向の第3操作領域35bの幅が小さくても操作が可能となると共に、操作者がタッチパネル30を目視する必要が無いため、操作の安全性が向上する。
【0084】
また、車載入力装置110は、接点部材19を設けたことによって、操作領域15を軽く押圧しても操作することが可能となる。特に、押圧力をより必要とする第1検知手段を用いる際に、より有効となる。
【0085】
以上説明したように、本発明の車載入力装置は、操作者の手指によるタッチパネルへの接触ではなく、操作者の手指によって操作領域が押圧された時にのみ入力操作を検知するので、操作者が手袋を着用していても操作が可能となると共に、操作者と上部電極との間に形成される静電容量を抑制する抑制層を設けたため、運転操作時の無意識な手指の動作による誤操作を防止することができる。また、ステアリングホイールの旋回操作時でもタッチパネルの操作領域を押圧することができるため、ステアリングホイールの操作状態に関わらずに入力操作することが可能となる。
【0086】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば、接点部材19を第1実施形態の車載入力装置100の変形例として適用したが、接点部材19を車載入力装置200及び車載入力装置300に適用しても良い。