特許第6890382号(P6890382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890382
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】生産システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20210607BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20210607BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   H01L21/02 Z
   G05B23/02 302R
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-102586(P2016-102586)
(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公開番号】特開2017-211713(P2017-211713A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2018年11月14日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年11月25日に日本経済新聞電子版にて発表 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO94413380V21C15A1TI1000/ 平成27年11月26日に自社ウェブサイトにて発表 https://www.renesas.com/ja−jp/about/press−center/news/2015/news20151126.html 平成27年11月26日にEE Times Japanにて発表 http://eetimes.jp/ee/articles/1511/26/news072.html 平成27年11月26日に日経テクノロジーにて発表 http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/110400015/112500006/ 平成27年12月2日〜4日にSCF2015にて発表 平成28年3月27日発行のPLANT ENGINEER 2016年4月号第48巻・第4号(公益社団法人日本プラントメンテナンス協会)にて発表 平成28年5月11日に第19回 組込みシステム開発技術展(ESEC)にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】所附 一之
(72)【発明者】
【氏名】中島 理博
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−197323(JP,A)
【文献】 特開2000−269108(JP,A)
【文献】 特開2006−099565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/02
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を複数の製造工程を用いて製造する生産システムであって、
前記複数の製造工程に伴う処理を実行する複数のエッジデバイスと、
前記生産システム全体を管理するマスタデバイスと、
前記複数のエッジデバイスの中の所定のエッジデバイスに対応して設けられ、前記所定のエッジデバイスの処理の状況を監視するセンサと、
前記所定のエッジデバイスに対応して設けられ、前記センサの監視結果となるセンサ信号の異常を検出する異常検出デバイスと、
前記複数のエッジデバイスと、前記マスタデバイスと、前記異常検出デバイスとを結合する通信ネットワークと、
を有し、
前記センサ信号は、アナログ波形を所定のサンプリング周期でサンプリングしたディジタルデータ群であり、
前記マスタデバイスは、過去に蓄積された複数の前記ディジタルデータ群の特徴を人工知能を用いて学習することで前記ディジタルデータ群の異常の有無を判別するための学習済みモデルを生成し、
前記異常検出デバイスは、前記生成された前記学習済みモデルを保持し、前記保持した学習済みモデルを用いて現在の処理対象となる前記ディジタルデータ群の異常の有無を判別し、
前記マスタデバイスは、エンジニアの指示に基づき複数のカテゴリの分類方法を定め、前記複数のディジタルデータ群を前記複数のカテゴリに分類して学習することで、前記複数のカテゴリにそれぞれ対応する複数の前記学習済みモデルを生成し、前記定めた分類方法を前記異常検出デバイスに登録し、
前記異常検出デバイスは、前記登録された分類方法に基づき、前記現在の処理対象となるディジタルデータ群のカテゴリを認識し、前記認識したカテゴリに対応する前記学習済みモデルを用いて異常の有無を判別し、
前記マスタデバイスは、前記複数のカテゴリの分類方法を前記エンジニアに定めさせるためのインタフェースを有し、
前記複数の製造工程は、半導体製品の前工程であり、
前記複数のカテゴリの分類方法のそれぞれは、前記半導体製品の種類を段階的に絞り込む複数の製品識別子、前記複数の製造工程を識別する工程識別子、複数の製造装置の種類を段階的に絞り込む複数の装置識別子、前記複数の製造工程に伴う加工処理の内容を表すプロセスレシピを識別するレシピ識別子の中の単数または複数の識別子を用いて定められる、
生産システム。
【請求項2】
請求項1記載の生産システムにおいて、
前記異常検出デバイスは、
前記学習済みモデルを保持するメモリ回路と、
前記保持した学習済みモデルを用いて異常の有無を判別するプロセッサ回路と、
を有する、
生産システム。
【請求項3】
複数種類の半導体製品を複数の製造工程を用いて製造する生産システムであって、
前記半導体製品の種類に応じて、前記複数の製造工程に伴う加工処理を所定のプロセスレシピを用いて実行する複数の製造装置と、
前記生産システム全体を管理する管理装置と、
前記複数の製造装置の中の所定の製造装置に対応して設けられ、前記所定の製造装置の加工処理の状況を監視する第1のセンサおよび第2のセンサと、
前記所定の製造装置に対応して設けられ、前記第1のセンサの監視結果となる第1のセンサ信号の異常と、前記第2のセンサの監視結果となる第2のセンサ信号の異常とを検出する異常検出デバイスと、
前記複数の製造装置と、前記管理装置と、前記異常検出デバイスとを結合する通信ネットワークと、
を有し、
前記第1のセンサ信号は、アナログ波形を第1のサンプリング周期でサンプリングした第1のディジタルデータ群であり、
前記第2のセンサ信号は、アナログ波形を第2のサンプリング周期でサンプリングした第2のディジタルデータ群であり、
前記管理装置は、過去に蓄積された複数の前記第1のディジタルデータ群の特徴を人工知能を用いて学習することで前記第1のディジタルデータ群の異常の有無を判別するための第1の学習済みモデルを生成し、過去に蓄積された複数の前記第2のディジタルデータ群の特徴を人工知能を用いて学習することで前記第2のディジタルデータ群の異常の有無を判別するための第2の学習済みモデルを生成し、
前記異常検出デバイスは、前記生成された前記第1の学習済みモデルおよび前記第2の学習済みモデルを保持し、前記保持した第1の学習済みモデルを用いて現在の処理対象となる前記第1のディジタルデータ群の異常の有無を判別し、前記保持した第2の学習済みモデルを用いて現在の処理対象となる前記第2のディジタルデータ群の異常の有無を判別し、
前記管理装置は、エンジニアの指示に基づき第1の分類方法および第2の分類方法を定め、前記複数の第1のディジタルデータ群を前記第1の分類方法に基づき複数のカテゴリに分類して学習することで、前記複数のカテゴリにそれぞれ対応する複数の前記第1の学習済みモデルを生成し、前記複数の第2のディジタルデータ群を前記第2の分類方法に基づき複数のカテゴリに分類して学習することで、前記複数のカテゴリにそれぞれ対応する複数の前記第2の学習済みモデルを生成し、前記定めた第1の分類方法および第2の分類方法を前記異常検出デバイスに登録し、
前記異常検出デバイスは、前記登録された第1の分類方法に基づき前記現在の処理対象となる第1のディジタルデータ群のカテゴリを認識し、前記認識したカテゴリに対応する前記第1の学習済みモデルを用いて異常の有無を判別し、前記登録された第2の分類方法に基づき、前記現在の処理対象となる第2のディジタルデータ群のカテゴリを認識し、前記認識したカテゴリに対応する前記第2の学習済みモデルを用いて異常の有無を判別し、
前記管理装置は、前記複数のカテゴリの分類方法を前記エンジニアに定めさせるためのインタフェースを有し、
前記第1の分類方法および前記第2の分類方法のそれぞれは、前記半導体製品の種類を段階的に絞り込む複数の製品識別子、前記複数の製造工程を識別する工程識別子、前記複数の製造装置の種類を段階的に絞り込む複数の装置識別子、前記所定のプロセスレシピを識別するレシピ識別子の中の単数または複数の識別子を用いて定められる、
生産システム。
【請求項4】
請求項3記載の生産システムにおいて、
前記第1の分類方法で用いる前記単数または複数の識別子は、前記第2の分類方法で用いる前記単数または複数の識別子と異なる、
生産システム。
【請求項5】
請求項3記載の生産システムにおいて、
前記異常検出デバイスは、
前記第1の学習済みモデルおよび前記第2の学習済みモデルを保持するメモリ回路と、
前記保持した第1の学習済みモデルおよび第2の学習済みモデルを用いて異常の有無を判別するプロセッサ回路と、
を有する、
生産システム。
【請求項6】
請求項3記載の生産システムにおいて、
前記第1のサンプリング周期および前記第2のサンプリング周期の少なくとも一方は、100ms以下である、
生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産システムに関し、例えば、生産システム内の各種異常を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、異常検知サーバを設け、規格外れの不良ウエハをリアルタイムに検出する方法が示される。具体的には、異常検知サーバは、半導体製造装置からの装置ログデータを受信し、その異常有無を、予め保持した異常検知条件設定ファイルに基づき判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/045907号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、各種製品を生産する生産システムでは、例えば、生産品質の向上、処理効率や作業効率の向上といった各種生産効率の向上を図るため、IoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)といった技術が着目されている。このような技術を用いた生産システムでは、例えば、センサに各製造装置の処理の状況をリアルタイムに監視させ、その監視結果に基づいて製品や製造装置における異常または異常の傾向を早期に検出すること等が可能になる。
【0005】
この異常等の検出に際しては、例えば、特許文献1のように異常検知サーバを用いる方法が考えられる。この場合、異常検知サーバは、センサから順次出力されるデータを通信ネットワークを介して収集し、当該出力データ群の異常有無を、予め保持したファイルに基づき判別する。しかし、このような方法では、通信ネットワークの逼迫や、異常検知サーバの過剰負荷等が生じる恐れがある。すなわち、生産効率の向上を図るためには、アナログによるセンシングを含めて様々な箇所でより細かいセンシングを行うことが有益となるが、その反面、センサから出力されるデータ量は膨大な量になってしまう。
【0006】
後述する実施の形態は、このようなことを鑑みてなされたものであり、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態による生産システムは、製品を複数の製造工程を用いて製造するシステムであり、複数のエッジデバイス、マスタデバイス、センサ、異常検出デバイスおよび通信ネットワークを有する。複数のエッジデバイスは、複数の製造工程に伴う処理を実行し、マスタデバイスは、生産システム全体を管理する。センサおよび異常検出デバイスは、所定のエッジデバイスに対応して設けられる。センサは、所定のエッジデバイスの処理の状況を監視し、異常検出デバイスは、センサの監視結果となるセンサ信号の異常を検出する。通信ネットワークは、複数のエッジデバイスと、マスタデバイスと、異常検出デバイスとを結合する。ここで、センサ信号は、アナログ波形を所定のサンプリング周期でサンプリングしたディジタルデータ群である。マスタデバイスは、過去に蓄積された複数のディジタルデータ群の特徴を人工知能を用いて学習することで学習済みモデルを生成する。異常検出デバイスは、当該学習済みモデルを保持し、それを用いて現在の処理対象となるディジタルデータ群の異常の有無を判別する。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、通信ネットワークを逼迫させずに、生産システムの異常を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1による生産システムの主要部の構成例を示す概略図である。
図2図1の生産システムにおける異常検出デバイスの構成例を示すブロック図である。
図3図2の異常検出デバイスにおける異常検出部の主要部の構成例を示す概略図である。
図4図3の異常検出部の動作例を示す説明図である。
図5図1の生産システムにおけるデータベース(ビッグデータのDB)の構造例を示す概略図である。
図6】(a)および(b)は、図5の補足図である。
図7図1の生産システムにおいて、管理装置が学習済みモデルを生成する際に使用する設定情報の一例を示す説明図である。
図8図1の生産システムにおいて、管理装置が学習済みモデルを生成する際の処理内容の一例を示すフロー図である。
図9図1の生産システムにおけるデータベース(学習済みモデルのDB)の構造例を示す概略図である。
図10図2の異常検出デバイスにおける異常検出部の設定情報の一例を示す説明図である。
図11図2の異常検出デバイスにおける異常検出部の処理内容の一例を示すフロー図である。
図12】本発明の実施の形態2による生産システムの主要部の構成例を示す概略図である。
図13】本発明の比較例として検討した生産システムの主要部の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0011】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
(実施の形態1)
《生産システムの概略構成》
図1は、本発明の実施の形態1による生産システムの主要部の構成例を示す概略図である。ここでは、生産システムの一例として半導体製品の前工程を実行する生産システムを想定する。図1の生産システムは、複数(ここではn個)の製造装置(エッジデバイス)ME1〜MEnと、管理装置(マスタデバイス)CSと、複数のセンサSEN10〜SEN1m,…SENn0〜SENnmと、複数の異常検出デバイスFDD1〜FDDnと、通信ネットワークNWと、製品搬送機構CMとを有する。本明細書では、複数の製造装置ME1〜MEnのそれぞれを代表して製造装置MEと称し、複数のセンサSEN10〜SEN1m,…SENn0〜SENnmのそれぞれを代表してセンサSENと称する。
【0014】
複数の製造装置(エッジデバイス)ME1〜MEnは、複数の製造工程に伴う加工処理を所定のプロセスレシピを用いて実行する。具体的には、製造装置ME1〜MEnのそれぞれは、例えば、成膜工程に伴う加工処理を実行するプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置や、パターニング工程に伴う加工処理を実行する露光装置や、エッチング工程に伴う加工処理を実行するプラズマエッチング装置等である。このような製造装置MEは、プロセスレシピとして規定される詳細な加工方法および詳細な加工条件に基づいて、対応する製造工程の加工処理を実行する。
【0015】
管理装置(マスタデバイス)CSは、例えば、複数のサーバ装置や端末装置や記憶装置等の集合体によって構成され、生産システム全体を管理する。管理装置CSは、MES(Manufacturing Execution System)等も含む。管理装置CSは、PC(Personal Computer)等の端末装置を介してエンジニアENGとの間で各種情報のやり取りが可能となっている。また、管理装置CSは、ここでは、ハードディスク等の記憶装置を主として構成されるデータベースDB1,DB2を備える。
【0016】
センサSEN10〜SEN1mは、製造装置ME1に対応して設けられ、製造装置ME1の加工処理の状況を監視する。センサSEN10〜SEN1mは、代表的には、ガスの流量を監視する流量センサや、チャンバの圧力を監視する圧力センサや、プラズマのRFパワーを監視するパワーセンサや、エッチングの進行具合を監視するEPD(End Point Detector)等であり、これらの他にも様々なものが存在する。なお、センサSEN10〜SEN1mは、製造装置ME1の内部に設けられてもよい。
【0017】
センサSEN10〜SEN1mの中の少なくとも一部は、アナログによるセンシングを行う。この例では、センサSEN10,SEN1mは、共にアナログによるセンシングを行うものとする。この場合、センサSEN10,SEN1mは、それぞれ、監視結果となるセンサ信号を、内蔵または外部のアナログディジタル変換器を介して出力する。すなわち、当該アナログディジタル変換器は、センサSEN10,SEN1mからのアナログ波形をそれぞれ所定のサンプリング周期でサンプリングすることでディジタルデータ群DTG10,DTG1mを出力する。本明細書では、ディジタルデータ群とは、所定の監視期間においてサンプリング周期毎に得られるディジタルデータの集合体を意味する。また、本明細書では、ディジタルデータ群(例えばDTG10,DTG1m)のそれぞれを代表してディジタルデータ群DTGと称する。
【0018】
異常検出デバイスFDD1は、製造装置ME1に対応して設けられ、センサSEN10,SEN1mの監視結果となる各センサ信号(実際には、ディジタルデータ群DTG10,DTG1m)の異常をそれぞれ検出する。異常検出デバイスFDD1は、この例では、製造装置ME1の外部に設けられ、製造装置ME1との間で制御情報の通信を行う。ただし、異常検出デバイスFDD1は、場合によっては、製造装置ME1の内部に設けられてもよい。
【0019】
センサSENn0〜SENnmは、製造装置MEnに対応して設けられ、製造装置MEnの加工処理の状況を監視する。センサSENn0〜SENnmの詳細に関しては、センサSEN10〜SEN1mの場合と同様である。異常検出デバイスFDDnは、製造装置MEnに対応して設けられる。異常検出デバイスFDDnの詳細に関しても、異常検出デバイスFDD1の場合と同様であり、異常検出デバイスFDDnは、センサSENn0,SENnmの監視結果となる各センサ信号(実際には、ディジタルデータ群DTGn0,DTGnm)の異常をそれぞれ検出する。
【0020】
通信ネットワークNWは、複数の製造装置ME1〜MEnと、管理装置CSと、異常検出デバイスFDD1〜FDDnとを結合する。通信ネットワークNWは、具体的には、例えば、CC−Link IE、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP等で知られる産業用イーサネット(イーサネットは登録商標)である。また、通信ネットワークNE上には、各製造装置ME1〜MEnのシーケンス等を制御するPLC(Programmable Logic Controller)等も設けられる。製品搬送機構CMは、製品(ここでは半導体ウエハWF)を複数の製造装置ME1〜MEnに順次搬送する。製造装置ME1〜MEnは、実際には、製品搬送機構CMの進行方向に対して直列および並列に多数(例えば数百台等)配置される。
【0021】
《生産システム(比較例)の概略構成および問題点》
図13は、本発明の比較例として検討した生産システムの主要部の構成例を示す概略図である。図13に示す生産システムは、図1の構成例と比較して、異常検出デバイスFDD1が通信用LSI(CMLSI)に置き換わっている点と、管理装置CS’がデータベースDB2を備えない点とが異なっている。通信用LSI(CMLSI)は、センサSEN10,SEN1mの監視結果となるディジタルデータ群DTG10,DTG1mを受け、それらを所定の通信フォーマットに格納したのち通信ネットワークNWを介して管理装置CS’へ送信する。管理装置CS’は、当該ディジタルデータ群DTG10,DTG1mを受け、それぞれの異常有無を判定し、異常有りの場合には、対象の製造装置ME1へ異常通知を行う。
【0022】
このような構成例を用いた場合、主に、次のような問題が生じる恐れがある。一つ目の問題として、ディジタルデータ群DTG10,DTG1mのサンプリング周期を短くすることが困難なことが挙げられる。すなわち、センサSEN10,SEN1mからの各センサ信号の異常をより高精度に検出する(言い換えれば、検出漏れを低減する)ためには、サンプリング周期を短縮することが望ましい。しかし、通信用LSI(CMLSI)は、サンプリング周期が短いほど、ディジタルデータ群DTG10,DTG1mを構成する各ディジタルデータをより高速に送信する必要がある。その結果、通信ネットワークNWの逼迫が生じ得る。さらに、当該ディジタルデータ群DTG10,DTG1mの異常有無をリアルタイムに判定する管理装置CS’の処理負荷も増大する。このような問題は、センサSENの数が増大するほどより顕著となる。
【0023】
2つ目の問題として、仮に、サンプリング周期を短縮できたとしても、ディジタルデータ群DTG10,DTG1mから、高精度に異常を検出できるとは限らないことが挙げられる。すなわち、異常を検出する方法として、例えば、ディジタルデータ群DTG10,DTG1mを構成する各ディジタルデータの平均値、最大値、最小値および分散値等の統計値を算出し、それが予め定めた閾値の範囲内か否かを判定する方法が挙げられる。しかし、このような統計的手法では、例えば、本来異常に値しない僅かなノイズ等で異常有りと判定されるような事態(虚報と呼ぶ)が生じ得る。あるいは、実際には異常に値する程度にアナログ波形の形状が異なっているにも関わらず、統計値がたまたま閾値の範囲内に収まることで、異常無しと判定されるような事態(誤報と呼ぶ)が生じ得る。
【0024】
《異常検出デバイスの詳細》
そこで、図1の生産システムは、異常検出デバイスFDD1〜FDDnを備える。図2は、図1の生産システムにおける異常検出デバイスの構成例を示すブロック図である。図2に示す異常検出デバイスFDDは、例えば、1個の半導体チップで構成される制御用LSI(CTLSI)と、外部メモリ装置OMEMとを備える。制御用LSI(CTLSI)は、プロセッサ回路CPUと、RTOSアクセラレータ回路RTOS_ACCと、イーサネットアクセラレータ回路ETH_ACCと、外部メモリ制御回路OMEM_CTLと、外部入出力インタフェース回路OIFと、内部メモリ回路IMEMとを備える。これらの各内部回路は、バス等で互いに結合される。
【0025】
RTOSアクセラレータ回路RTOS_ACCは、RTOS(Real Time Operating System)の処理の一部をプロセッサ回路CPUに代わって実行する。イーサネットアクセラレータ回路ETH_ACCは、産業用イーサネット等に伴う各種通信プロトコル処理を実行する。これによって、制御用LSI(CTLSI)は、図1の通信ネットワークNWや、対応する製造装置MEとの間で高速通信を実行することができる。外部メモリ制御回路OMEM_CTLは、外部メモリ回路OMEMへのアクセスを制御する。外部メモリ回路OMEMは、特に限定はされないが、フラッシュメモリ等である。
【0026】
外部入出力インタフェース回路OIFは、所定のインタフェース仕様を用いて外部との間でパラレル通信またはシリアル通信を行う。インタフェース仕様として、代表的には、CAN(Controller Area Network)、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、GPIO(General Purpose Input Output)、IC(I squared C)等が挙げられる。外部入出力インタフェース回路OIFは、図1のセンサSENからのディジタルデータ群DTG0〜DTGm(例えば、センサSEN10〜SEN1mからのディジタルデータ群DTG10〜DTG1m)を受信する。
【0027】
内部メモリ回路IMEMは、例えば、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)等であり、複数の学習済みモデルMDL[1],MDL[k],…と、当該学習済みモデルを用いて異常を検出するための異常検出プログラムFPRGとを保持する。プロセッサ回路CPUは、当該異常検出プログラムFPRGを実行することで構成される異常検出部FDUを備える。この例では、RTOSアクセラレータ回路RTOS_ACC等が設けられるため、プロセッサ回路CPUは、十分なリソースを確保した状態で異常検出プログラムFPRGを実行することができる。
【0028】
ここで、図1のデータベースDB1は、センサSEN10〜SEN1m,…,SENn0〜SENnmの過去の監視結果となる複数のディジタルデータ群DTG10〜DTG1m,…,DTGn0〜DTGnmを、ビッグデータBDATとして保持している。管理装置CSは、当該過去に蓄積された複数のディジタルデータ群DTGの特徴を人工知能(AI:Artificial Intelligence)を用いて学習することで、複数の学習済みモデルMDL[1]〜MDL[x]を生成し、これらをデータベースDB2に登録する。
【0029】
例えば、学習済みモデルMDL[1]は、センサSEN10からのディジタルデータ群DTG10の異常の有無を判別するためのモデルであり、学習済みモデルMDL[x]は、センサSENnmからのディジタルデータ群DTGnmの異常の有無を判別するためのモデルである。この場合、例えば、異常検出デバイスFDD1は、当該データベースDB2に登録されている学習済みモデルMDL[1]を取得ならびに保持する。異常検出デバイスFDD1の異常検出部FDUは、当該保持した学習済みモデルMDL[1]を用いて、センサSEN10から出力され現在の処理対象となるディジタルデータ群DTG10の異常の有無を判別する。
【0030】
図3は、図2の異常検出デバイスにおける異常検出部の主要部の構成例を示す概略図である。図4は、図3の異常検出部の動作例を示す説明図である。図3の異常検出部FDUは、前述したように、プロセッサ回路CPUが異常検出プログラムFPRGを実行することで等価的に構成される。当該異常検出部FDUは、スイッチSWと、学習済みモデルMDLと、誤差検出器ERDETと、積分器ITGと、比較器CMPと、遅延器DLYとを備える。
【0031】
図4には、例えば、図1の製造装置ME1が酸化膜エッチング装置であり、センサSEN10がEPD(End Point Detector)であるものとして、異常検出デバイスFDD1の異常検出部FDUが、当該EPDからのディジタルデータ群DTG10を対象に異常の有無を判定する際の動作例が示される。EPDは、エッチングの過程で発生する所定の波長の発光強度を監視し、その発光強度に応じたセンサ信号(電圧信号)を出力する。当該センサ信号によって、時系列なエッチングの進行具合を把握することができる。
【0032】
当該センサ信号は、図4の入力波形IWに示されるように、複雑な形状を持つアナログ波形となる。異常検出デバイスFDD1には、当該入力波形IWを所定のサンプリング周期でサンプリングすることで得られるディジタルデータ群DTG10が入力される。図3のスイッチSWは、当該入力波形IWが入力されている期間でオンに制御される。図3の学習済みモデルMDL(例えばMDL[1])は、図4の入力波形IWを表すディジタルデータ群DTG10を入力として、学習波形EWを表すディジタルデータ群を出力する。当該学習済みモデルMDL(MDL[1])は、例えば、ビッグデータBDATに含まれ、良品となる製品で取得された多数のディジタルデータ群DTGを所定のAIモデルを用いてパターン学習すること等で生成される。
【0033】
図3の学習済みモデルMDLは、具体的には、入力波形IWのディジタルデータ群DTGを構成するディジタルデータDT(t),DT(t+1),…が順次入力される毎に、所定の遅延時間を経てディジタルデータを順次出力する。当該順次出力された複数のディジタルデータ(すなわちディジタルデータ群)は、学習波形EWを形成する。学習波形EWは、概略的には、入力波形に対し異常が無い場合の波形形状の特徴を反映させた期待値波形となる。
【0034】
図3の誤差検出器ERDETは、学習済みモデルMDLから出力される各ディジタルデータと、遅延器DLYを介した各ディジタルデータDT(t),DT(t+1),…との誤差を順次算出することで、図4に示されるような誤差値ERを出力する。より詳細には、誤差値ERは、単純な差分計算ではなく、波形が安定している領域やバラツキの多い領域といった各領域に応じて適宜重み係数を掛けて算出される。この誤差算出方法により、検知精度の向上や虚報の低減等が図れる。図3の積分回路ITGは、当該誤差値ERを積分し、比較器CMPは、当該積分値が予め定めた閾値THを超えた場合に異常有りと判定する。閾値THは、学習済みモデルMDL(例えばMDL[1])に対応付ける形で予め定められる。
【0035】
当該EPDを代表に、センサSENからのセンサ信号(アナログ波形)の異常の有無を判定する上で、アナログ波形の形状が重要となる場合がある。このため、サンプリング周期は、例えば、100ms以下の値(ここでは50ms)等に定められる。この場合、ディジタルデータ群DTGのデータ量が増大するが、本実施の形態1の方式では、図13の場合と異なり、管理装置(マスタデバイス)CSではなく、異常検出デバイス(エッジデバイス)FDD1〜FDDnが異常の有無を判定する。
【0036】
このため、異常検出デバイスFDD1〜FDDnは、ディジタルデータ群DTGを通信ネットワークNWを介してリアルタイムに管理装置CSへ送信する必要はなく、図1に示すように、例えば異常有りの場合の異常通知FSを管理装置CSへ送信すればよい。また、異常検出デバイスFDD1〜FDDnは、ディジタルデータ群DTGに関しては、例えば、必要な時に必要な量だけ管理装置CSへ送信すればよい。
【0037】
これにより、一つ目の主な効果として、通信ネットワークNWを逼迫させずに、生産システムの異常を検出することが可能になる。また、管理装置CSのリアルタイム処理に伴う処理負荷の増大を抑制することが可能になる。二つ目の主な効果として、人工知能(AI)を用いることで、アナログ波形の特徴的な形状に基づき異常の有無を判定することが可能になる。これに伴い、図13で述べた統計的手法を用いる場合と比較して、虚報や誤報の発生確率を低減することができる。
【0038】
以上のような効果が得られる結果、生産システムの様々な箇所で、アナログによるセンシングを行いながら異常を高精度に検出することができ、生産品質の向上、処理効率や作業効率の向上といった各種生産効率の向上が図れる。なお、ここでは、半導体製品の生産システムを例に説明を行った。ただし、図1の生産システムは、必ずしもこれに限定されるものではなく、様々な製品の様々な工程を実行する各種生産システムに対して同様に適用することができる。
【0039】
《管理装置の詳細》
前述したように、管理装置(マスタデバイス)CSは、ビッグデータBDATを用いて、人工知能(AI)に基づき複数の学習済みモデルMDL[1]〜MDL[x]を生成する。以下、この学習済みモデルの生成方法について説明する。
【0040】
図5は、図1の生産システムにおけるデータベース(ビッグデータのDB)の構造例を示す概略図である。図6(a)および図6(b)のそれぞれは、図5の補足図である。図5のデータベースDB1は、各センサSEN10〜SEN1m,…,SENn0〜SENnmからの複数のディジタルデータ群DTGを蓄積して保持する。その一部として、図5の例では、データベースDB1は、EPDとなるセンサSEN10からの複数のディジタルデータ群DTG10_1,DTG10_2,…を保持している。
【0041】
各ディジタルデータ群DTG10_1,DTG10_2,…のそれぞれは、各種識別情報に関連付けて保持される。当該各種識別情報は、例えば、対象のディジタルデータ群DTGが表す監視パラメータの種別(ここではEPD)と、当該ディジタルデータ群DTGの取得条件と、当該ディジタルデータ群DTGの元となる半導体ウエハWFの識別子(IDと略す)WFIDと、当該半導体ウエハWFの良品/不良品の情報等を含む。良品/不良品の情報は、例えば、その後のウエハ検査、完成品の検査、市場不良等に基づき、事後的に登録される。
【0042】
取得条件の中には、装置パラメータおよび製品パラメータが含まれる。装置パラメータは、図6(a)に示すように、複数(ここでは5個)の階層L1〜L5に分類される。階層L1,L2,L3は、それぞれ、機種ID、号機No、チャンバNoであり、製造装置MEの種類を段階的に絞り込む装置識別子となる。例えば、機種IDによって製造装置MEの機種が特定され、この特定された機種となる複数台の製造装置MEの中から号機Noによって1台が特定され、この特定された1台の製造装置MEが持つ複数のチャンバの中からチャンバNoによって1個のチャンバが特定される。
【0043】
階層L4は、プロセスレシピを識別するレシピIDであり、階層L5は、ステップを識別するステップIDである。レシピIDは、一つの製造工程に伴う加工処理の詳細な処理内容および処理条件を表す。具体例として、レシピIDは、“g1”ガスを用いて“t1”時間の前処理を行い、“g2”ガスを用いて“t2”時間のメイン処理を行い、“g3”ガスを用いて“t3”時間の後処理を行うといったような情報を表す。ステップIDは、この前処理、メイン処理、後処理といった各処理(ステップ)を識別する。
【0044】
一方、製品パラメータも、図6(b)に示すように、複数(ここでは5個)の階層L1〜L5によって分類される。階層L1,L2,L3,L4は、それぞれ、ファミリID、プロセスルールID、品種グループID、品種IDであり、半導体製品の種類を段階的に絞り込む製品識別子となる。マイコン製品を例とすると、ファミリIDは、例えば、基本アーキテクチャの違い等によって分類される“m1”ファミリ、“m2”ファミリといった各ファミリを識別する。
【0045】
プロセスルールIDは、最小線幅等のプロセスルールを表す。品種グループIDは、“m1”ファミリの中の“mm1”グループ、“mm2”グループといった各グループを識別する。品種グループは、例えば、動作周波数の違いや搭載機能の違い等の大きな仕様の違いで区別される。品種IDは、“mm1”グループの中の“mmm1”品種、“mmm2”品種といった各品種を識別する。品種は、例えば、搭載メモリ容量の違いや搭載機能の数の違い等の小さな仕様な違いで区別される。階層L5は、工程IDであり、例えば、酸化膜エッチング工程、金属膜堆積工程等といった各製造工程を識別する。
【0046】
図6(a)の装置パラメータや図6(b)の製品パラメータのそれぞれは、若干例外もあり得るが、通常、階層が上がる(L1に近づく)ほど大分類となり、対象範囲が広くなる。図5の例では、このような階層L1〜L5を用いてディジタルデータ群DTG10_1,DTG10_2,…がそれぞれ区別されている。例えば、ディジタルデータ群DTG10_1は、ある製造装置(例えばME1)を用いてある品種(階層L4)の製品を対象に行った加工処理の状況を、EPDで監視した結果となる。これと比較して、ディジタルデータ群DTG10_2は、同一機種かつ号機(階層L2)が異なる製造装置MEを用いて、品種(階層L4)が異なる製品を対象に行った加工処理の状況を、EPDで監視した結果となる。
【0047】
ここで、人工知能(AI)を用いてある学習済みモデルMDLを生成する際に、当該学習済みモデルMDLを生成するために使用するディジタルデータ群DTGをどのように定めるかが重要となる。例えば、ディジタルデータ群DTGを図6(a)および図6(b)の大分類側でカテゴリに分類し、カテゴリ毎に学習済みモデルMDLを生成する場合を想定する。この場合、概念的には、ある監視パラメータの学習済みモデルMDLとして、製品および装置を問わずに1個の学習済みモデルMDLが生成されることになる。このように、学習に使用するディジタルデータ群DTGの対象範囲が広いと、学習に使用する複数のディジタルデータ群(アナログ波形)の相互のばらつきが過大になり得るため、学習結果として得られる学習済みモデルMDLも、ばらつきを過度に許容するモデルとなる恐れがある。その結果、誤報が増大する可能性が高まる。
【0048】
反対に、ディジタルデータ群DTGを図6(a)および図6(b)の小分類側でカテゴリに分類し、カテゴリ毎に学習済みモデルMDLを生成する場合を想定する。この場合、概念的には、ある監視パラメータの学習済みモデルMDLとして、製品と装置の組合せが異なる毎に複数の学習済みモデルMDLが生成されることになる。このように、対象範囲が狭いと、学習済みモデルMDLの数が膨大化する恐れや、各学習済みモデルMDLを生成する際に使用するディジタルデータ群の母数が不足する恐れがある。さらに、複数のディジタルデータ群(アナログ波形)の相互のばらつきが過小になり得るため、学習結果として得られる学習済みモデルMDLも、ばらつきを殆ど許容できないようなモデルとなる恐れがある。そうすると、虚報が増大する可能性が高まる。
【0049】
そこで、監視パラメータの種類毎に、誤報や虚報の低減等を図れる適切な階層を定め、1個の監視パラメータに対応する複数のディジタルデータ群DTGを当該定めた階層に基づき複数のカテゴリに分類することが有益となる。管理装置CSは、カテゴリ毎に人工知能(AI)を用いて学習することで、カテゴリ毎に学習済みモデルMDLを生成する。言い換えれば、管理装置CSは、ある監視パラメータの複数のディジタルデータ群DTGを所定の分類方法(ここでは階層)に基づき複数のカテゴリに分類して学習することで、当該監視パラメータを対象に、複数のカテゴリにそれぞれ対応する複数の学習済みモデルMDLを生成する。
【0050】
《管理装置の学習済みモデル生成方法》
図7は、図1の生産システムにおいて、管理装置が学習済みモデルを生成する際に使用する設定情報の一例を示す説明図である。図8は、図1の生産システムにおいて、管理装置が学習済みモデルを生成する際の処理内容の一例を示すフロー図である。図8において、管理装置(マスタデバイス)CSは、まず、図7のような設定情報MSTの登録を受け付ける(ステップS101)。次いで、管理装置CSは、監視パラメータ毎に、ビッグデータBDAT内の複数のディジタルデータ群DTGを、当該設定情報MSTで指定される分類方法に基づき複数のカテゴリに分類する(ステップS102)。
【0051】
続いて、管理装置CSは、分類された複数のカテゴリ毎に、設定情報MSTで指定されるAIモデルを用いて、対象のカテゴリに分類される複数のディジタルデータ群DTGの特徴を学習する(ステップS103)。これにより、管理装置CSは、監視パラメータ毎に、複数のカテゴリにそれぞれ対応する複数の学習済みモデルMDLを生成し、それらをデータベースDB2に登録する(ステップS104)。以下、図8の詳細について説明する。
【0052】
図7に示す設定情報MSTは、例えば、図1のエンジニアENGによって指示される。一例として図7では、エンジニアENGは、監視パラメータ“RFパワー”を対象に、サンプリング周期を50msに、学習済みモデルの生成に使用するAIモデルを人工知能アルゴリズムaに、学習済みモデルの生成に使用するディジタルデータ群の分類方法を工程ID(図6(b)の階層L5)にそれぞれ定める(ステップS101)。
【0053】
この場合、管理装置CSは、ビッグデータBDATの中から、監視パラメータ“RFパワー”のディジタルデータ群を抽出し、当該抽出したディジタルデータ群を、装置パラメータを問わずに製品パラメータの工程IDが異なる毎に複数のカテゴリに分類する(ステップS102)。そして、管理装置CSは、当該カテゴリ毎に、分類された複数のディジタルデータ群と人工知能アルゴリズムaのAIモデルとを用いて当該複数のディジタルデータ群の特徴を学習する(例えばニューラルネットワークの各重み係数等を定める)(ステップS103)。これにより、管理装置CSは、監視パラメータ“RFパワー”の学習済みモデルMDLとして、工程ID毎に複数の学習済みモデルを生成する(ステップS104)。
【0054】
他の一例として図7では、エンジニアENGは、監視パラメータ“EPD”を対象に、サンプリング周期を50msに、AIモデルを人工知能アルゴリズムbに、ディジタルデータ群の分類方法をレシピID(図6(a)の階層L4)にそれぞれ定める(ステップS101)。この場合、管理装置CSは、ビッグデータBDATの中から監視パラメータ“EPD”のディジタルデータ群を抽出し、それらを、製品パラメータを問わずにレシピIDが異なる毎に複数のカテゴリに分類する(ステップS102)。
【0055】
そして、管理装置CSは、当該カテゴリ毎に、分類された複数のディジタルデータ群と人工知能アルゴリズムbのAIモデルとを用いて当該複数のディジタルデータ群の特徴を学習する(ステップS103)。これにより、管理装置CSは、監視パラメータ“EPD”の学習済みモデルMDLとして、レシピID毎に複数の学習済みモデルを生成する(ステップS104)。図5のデータベースDB1を例とすると、ディジタルデータ群DTG10_1,DTG10_2は、共に、レシピID(装置パラメータの階層L4)が同じであるため、同一の学習済みモデルMDLを生成するために使用される。一方、ディジタルデータ群DTG10_1,DTG10_2は、仮に、レシピIDが異なる場合には、異なる学習済みモデルMDLを生成するために使用されることになる。
【0056】
なお、図7の例では、カテゴリの分類方法として、装置パラメータおよび製品パラメータの一方のパラメータにおける1個の階層を用いたが、装置パラメータの1個の階層と、製品パラメータの1個の階層とを組み合わせて用いることも可能である。例えば、装置パラメータの階層L4(レシピID)と製品パラメータの階層L5(ファミリID)とを組み合わせた場合、ある2個のディジタルデータ群は、レシピIDとファミリIDの両方が一致する場合に同一の学習済みモデルを生成するために使用される。一方、当該2個のディジタルデータ群は、レシピIDとファミリIDのいずれか一方が不一致の場合には、異なる学習済みモデルを生成するために使用される。
【0057】
また、図7の例では、エンジニアENGは、監視パラメータによっては、人工知能(AI)を用いずに、図13で述べたような統計的手法を用いて異常判定を行わせることも可能となっている。エンジニアENGは、例えば、監視パラメータ“ポンプ電流”を対象に、サンプリング周期を100μsに、サマリ時間を15sに、代表値を最大値にそれぞれ設定する。この場合、管理装置CSは、100μs毎に得られるディジタルデータを15s蓄積し、当該ディジタルデータの最大値に基づいて異常の有無を判定する。
【0058】
ここで、エンジニアENGは、図7における人工知能(AI)を用いる場合の設定情報MSTを適切に定めるため、必ずしも限定はされないが、シミュレーション等によって最適な設定情報MSTを探索し、当該シミュレーション等の中で、学習済みモデルMDL毎の閾値TH(図3)も定める。具体的には、エンジニアENGは、例えば、AIモデルや分類方法(すなわち階層L1〜L5)を適宜変えながら管理装置CSに複数の学習済みモデルMDLを生成させる。そして、エンジニアENGは、図3の異常検出部FDUをシミュレーション上で構築し、当該異常検出部FDUの学習済みモデルMDLや閾値THを適宜変更しながら、予め判明している良品/不良品のディジタル群DTGを入力した場合の異常判定の精度を検証する。これによって、エンジニアENGは、異常判定の精度が高くなるAIモデル、分類方法および閾値THの組合せを定める。
【0059】
図9は、図1の生産システムにおけるデータベース(学習済みモデルのDB)の構造例を示す概略図である。図9に示すデータベースDB2は、複数の学習済みモデルMDL[1],MDL[2],…,MDL[k],MDL[k+1],…を、各種識別情報に関連付けて保持する。各種識別情報は、監視パラメータの種別と、カテゴリ情報と、閾値とを含む。例えば、学習済みモデルMDL[1]は、監視パラメータ“EPD”をレシピID“B1”で分類したモデルであり、閾値TH2aに対応付けられる。学習済みモデルMDL[2]は、監視パラメータ“EPD”をレシピID“B2”で分類したモデルであり、閾値TH2bに対応付けられる。
【0060】
また、学習済みモデルMDL[k]は、監視パラメータ“RFパワー”を工程ID“H1”で分類したモデルであり、閾値TH1aに対応付けられる。学習済みモデルMDL[k+1]は、監視パラメータ“RFパワー”を工程ID“H2”で分類したモデルであり、閾値TH1bに対応付けられる。当該閾値TH1a,TH1b,TH2a,TH2bは、前述したシミュレーション等によって定められる。
【0061】
《異常検出部の詳細》
図10は、図2の異常検出デバイスにおける異常検出部の設定情報の一例を示す説明図である。異常検出部FDUは、予め、図10に示されるような設定情報FSTを保持する。設定情報FSTは、監視対象となる装置パラメータおよび監視パラメータと、監視パラメータ毎の分類方法およびサンプリング周期とを含む。装置パラメータは、図6(a)に示した階層L1〜L3の情報を含み、固定情報となる。例えば、図1において、異常検出デバイスFDD1の異常検出部FDUが保持する装置パラメータは、製造装置ME1を特定する装置パラメータであり、予め固定的に定められる。
【0062】
また、監視パラメータも、センサSENの種類に応じて予め固定的に定められる。例えば、図1において、異常検出デバイスFDD1の異常検出部FDUが保持する監視パラメータは、センサSEN10〜SEN1mで監視されるパラメータとなる。異常検出部FDUは、図示は省略されるが、各監視パラメータと、センサSEN10〜SEN1mとの対応関係も保持している。例えば、図1のエンジニアENGは、当該装置パラメータおよび監視パラメータを、管理装置CSを介して異常検出デバイスFDD1〜FDDnに予め登録する。
【0063】
図10における分類方法およびサンプリング周期は、図7の設定情報MSTを反映して定められる。すなわち、図1の管理装置CSは、図7に示したようなエンジニアENGの指示に基づき、監視パラメータ毎のサンプリング周期および分類方法(ここでは階層)を定め、当該定めたサンプリング周期および分類方法を異常検出デバイスFDD1〜FDDnに登録する。サンプリング周期は、例えば、図2の制御LSI(CTCLI)が自身の処理速度(例えば、ディジタルデータ群DTG0〜DTGmの受信レート)を定めるために使用される。
【0064】
図11は、図2の異常検出デバイスにおける異常検出部の処理内容の一例を示すフロー図である。図11において、異常検出部FDUは、まず、図1の製品搬送機構CMを介して監視対象の製造装置MEに製品が投入されたか否かを判定する(ステップS201)。製品が投入された場合、異常検出部FDUは、装置パラメータおよび製品パラメータと、監視パラメータ毎の分類方法とを認識する(ステップS202)。
【0065】
ステップS202に際し、装置パラメータに含まれる機種ID、号機No、チャンバNoは、監視対象の製造装置MEに応じて定まる固定情報である。一方、装置パラメータに含まれるレシピIDおよびステップIDと、製品パラメータに含まれる各IDは、可変情報である。当該可変情報は、様々な方法で取得することができる。例えば、通信ネットワークNWを介して管理装置CSから取得する方法や、監視対象の製造装置MEから取得する方法等が挙げられる。
【0066】
前者の方法として、例えば、管理装置CSから製造装置MEに向けて発行される製品の投入・着工命令(前述した可変情報を含む)をスヌーピングする方法や、適宜、管理装置CSに問い合わせする方法等が挙げられる。後者の方法として、例えば、製造装置MEが前述した可変情報を管理装置CSから取得する、またはバーコードやICタグ等を介して製品から取得するものとして、当該製造装置MEに問い合わせする方法等が挙げられる。
【0067】
異常検出部FDUは、このようにして認識した装置パラメータおよび製品パラメータと、図10の設定情報FSTに登録される監視パラメータ毎の分類方法とに基づき、現在の処理対象となるディジタルデータ群DTGのカテゴリを認識する。そして、異常検出部FDUは、この認識結果に基づき、カテゴリ変更を要する監視パラメータが有るか否かを判別する(ステップS203)。
【0068】
例えば、監視パラメータがEPDの場合、分類方法はレシピIDとなる。図1のセンサSEN10がEPDであるものとして、異常検出デバイスFDD1の異常検出部FDUは、前回の着工と今回の着工とで処理対象となるディジタルデータ群DTG10に関連するレシピIDが同じ場合には、当該EPDのカテゴリ変更を不要と判別する。一方、異常検出部FDUは、前回の着工と今回の着工とで処理対象となるディジタルデータ群DTG10に関連するレシピIDが異なる場合には、当該EPDのカテゴリ変更を要と判別する。
【0069】
カテゴリ変更を要する監視パラメータが有る場合、異常検出部FDUは、当該監視パラメータの学習済みモデルMDL(閾値含む)を変更する(ステップS204)。一方、カテゴリ変更を要する監視パラメータが無い場合、異常検出部FDUは、ステップS205の処理へ移行する。
【0070】
例えば、監視パラメータがEPDである場合でレシピIDが“B2”から“B1”に変更された場合を想定する。この場合、異常検出部FDUは、例えば、監視パラメータの種別“EPD”と変更後のレシピID“B1”とを検索キーとして、通信ネットワークNWを介して管理装置CSのデータベースDB2(図9)を検索し、検索結果となる学習済みモデルMDL[1]および閾値TH2aを図2の内部メモリ回路IMEMにロードする。
【0071】
また、監視パラメータがRFパワーである場合で工程IDが“H2”から“H1”に変更された場合を想定する。この場合、異常検出部FDUは、例えば、監視パラメータの種別“RFパワー”と変更後のレシピID“H1”とを検索キーとして、通信ネットワークNWを介してデータベースDB2(図9)を検索し、検索結果となる学習済みモデルMDL[k]および閾値TH1aを図2の内部メモリ回路IMEMにロードする。
【0072】
なお、図2の異常検出デバイスFDDは、例えば、自デバイスで使用する可能性が有る学習済みモデルMDLを予めデータベースDB2から外部メモリ装置OMEMにコピーしておいてもよい。あるいは、図2の異常検出デバイスFDDは、外部メモリ装置OMEMを、内部メモリ回路IMEMの仮想メモリとして使用し、当該外部メモリ装置OMEMに格納する学習済みモデルMDLをLRU(Least Recently Used)法等で管理してもよい。
【0073】
このような方式を用いる場合、異常検出部FDUは、外部メモリ装置OMEMを検索し、検索結果となる学習済みモデルMDLおよび閾値THを内部メモリ回路IMEMにロードすればよい。これにより、特に、製品が少量多品種の場合(すなわち、学習済みモデルの変更が頻繁に生じる可能性が高い場合)には、学習済みモデルMDLの取得に伴う通信ネットワークNWの逼迫を抑制することが可能になる。
【0074】
続いて、ステップS205において、異常検出部FDUは、監視対象の製造装置MEによる処理の開始を検出する。具体的には、図3および図4を例として、異常検出部FDUは、入力波形IWの立ち上がりを検出したり、または、製造装置MEからのトリガ信号を受信すること等で処理の開始を検出し、スイッチSWをオンに制御する。次いで、異常検出部FDUは、監視パラメータ毎に、対応する学習済みモデルMDLを用いて、例えば、図3および図4で述べたような方法を用いてセンサ信号の異常の有無を判定する(ステップS206,S207)。
【0075】
センサ信号に異常が有る場合、異常検出部FDUは、図3のスイッチSWをオフに制御し、通信ネットワークNWを介して管理装置CSへ異常通知FSを送信する(ステップS208)。また、この際に、異常検出部FDUは、併せて、異常有りのディジタルデータ群DTGを管理装置CSへ送信してもよい。管理装置CSは、当該異常通知FSを受けて、対応する製造装置MEの着工を一時停止する等のエラー処理を行う。
【0076】
一方、センサ信号に異常が無い場合、異常検出部FDUは、図3のスイッチSWをオフに制御し、所定のデータ処理を行う(ステップS209)。ここで、異常検出部FDUは、例えば、異常無しのディジタルデータ群DTGを全て管理装置CSへ送信すると、通常ネットワークNWの逼迫を引き起こす恐れがある。そこで、異常検出部FDUは、異常無しのディジタルデータ群の一部(例えば、10個中の1個等)を管理装置CSへ送信すると共に、当該10個の統計値等を算出して、それを管理装置CSへ送信してもよい。管理装置CSは、例えば、当該一部のディジタルデータ群DTGを用いて学習済みモデルMDLの更新等を行うことができ、また、当該統計値によって、当該一部のディジタルデータ群DTGを包括的に管理することができる。
【0077】
一方で、波形に代表されるデータは、生データそのものが必要不可欠となる場合がある。そこで、異常検出部FDUは、生データを一時的にメモリ(例えば外部メモリ装置OMEM)に格納し、異常無しを検出している場合には、当該メモリ上の生データを一定周期でバッチ処理によって管理装置CSへ転送してもよい。また、異常検出部FDUは、異常有りを検出した場合は、このデータパスを使って直ちに生データを転送することも可能である。
【0078】
《本実施の形態1の代表的な効果》
以上、本実施の形態1の生産システムを用いることで、代表的には、通信ネットワークNWを逼迫させずに、生産システムの異常を検出することが可能になる。この際には、特に、人工知能(AI)による学習済みモデルMDLを用いることで、アナログ波形の特徴的な形状に基づいて異常を検出することができる。また、当該生産システムは、監視パラメータ毎に、属するデータを好適な分類方法で分類した上で学習することで複数の学習済みモデルMDLを生成し、当該分類方法に基づき複数の学習済みモデルのいずれかを適宜選択しながら監視パラメータの異常検出を行う。これにより、学習済みモデルMDLの質が向上し、誤報や虚報を低減することができ、異常を高精度に検出すること等が可能になる。これらの結果、生産効率の向上が図れる。
【0079】
なお、学習済みモデルを用いた異常の判定方式は、特に、図3および図4に示されるような方式に限定されるものではなく、様々な方式を用いることが可能である。例えば、良品のディジタルデータ群と不良品のディジタルデータ群を多く学習することで、異常の有無を直接区別することが可能な学習済みモデルを生成し、これを用いて異常の有無を判定してもよい。当該学習済みモデルは、ディジタルデータ群を入力として、異常の有無を出力とする。
【0080】
(実施の形態2)
《生産システムの概略構成(変形例)》
図12は、本発明の実施の形態2による生産システムの主要部の構成例を示す概略図である。図12に示す生産システムは、図1の構成例と比較して、製造装置ME1〜MEnがそれぞれ検査装置(エッジデバイス)IE1〜IEnに置き換わっている点が異なっている。当該生産システムは、製品を複数の検査工程を用いて検査する。検査装置IE1〜IEnは、複数の検査工程に伴う測定を実行し、測定データを生成する。すなわち、図1では、製造装置MEからセンサSENを介して測定データが得られる構成となっていたが、図12では、検査装置自体がセンサに相当し、測定データが検査装置から直接得られる構成となっている。
【0081】
検査装置IE1〜IEnとして、特に限定はされないが、測定対象となる製品(ここでは半導体ウエハWF)に電子ビームやレーザ等を照射することで表面状態を観測する装置等が挙げられる。このような装置では、測定データとして、例えば、表面の凹凸等を反映したアナログ波形が得られる場合がある。そこで、図12の例では、検査装置IE1〜IEnは、それぞれ、測定データとして、前述したようなアナログ波形を形成するディジタルデータ群DTG1〜DTGnを出力する。異常検出デバイスFDD1〜FDDnのそれぞれは、実施の形態1の場合と同様に、学習済みモデルMDLを用いて、対応する検査装置からの測定データの異常を検出する。
【0082】
以上、本実施の形態2の生産システムを用いることでも、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。なお、異常検出デバイスFDD1〜FDDnは、実施の形態1の場合と同様に、それぞれ、対応する検査装置IE1〜IEn内に搭載することも可能である。また、検査装置IE1〜IEnは、図1における各製造装置ME1〜MEnの合間に適宜配置することも可能である。すなわち、製造装置と検査装置を適宜組み合わせた形の生産システムを構築することも可能である。
【0083】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0084】
例えば、ここでは、半導体製品の生産システムを例とし、図6(a)および図6(b)に示したような階層を定めて分類を行ったが、他の製品の生産システムに適用する場合も同様にして分類を行うことが有益な場合がある。具体的には、同一の装置で複数の製品や複数の工程を実行するような生産システムにおいて有益となる。その中でも特に、半導体製品の生産システムは、少量多品種の半導体製品を取り扱う場合があるため、分類を行うことがより有益となる。
【符号の説明】
【0085】
BDAT ビックデータ
CM 製品搬送機構
CMLSI 通信用LSI
CMP 比較器
CPU プロセッサ回路
CS,CS’ 管理装置
CTLSI 制御用LSI
DB データベース
DLY 遅延器
DT ディジタルデータ
DTG ディジタルデータ群
ENG エンジニア
ER 誤差値
ERDET 誤差検出器
ETH_ACC イーサネットアクセラレータ回路
EW 学習波形
FDD 異常検出デバイス
FDU 異常検出部
FPRG 異常検出プログラム
FS 異常通知
FST,MST 設定情報
IE 検査装置
IMEM 内部メモリ回路
ITG 積分器
IW 入力波形
MDL 学習済みモデル
ME 製造装置
NW 通信ネットワーク
OIF 外部入出力インタフェース回路
OMEM 外部メモリ装置
OMEM_CTL 外部メモリ制御回路
RTOS_ACC RTOSアクセラレータ回路
SEN センサ
SW スイッチ
TH 閾値
WF 半導体ウエハ
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