特許第6890404号(P6890404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890404
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-232001(P2016-232001)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-86206(P2018-86206A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】和田 昌久
【審査官】 中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−236879(JP,A)
【文献】 特開2014−213115(JP,A)
【文献】 特開2013−162880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域を流下する玉が入賞可能な入賞部と、
前記入賞部に玉が入賞した場合に、遊技者に有利な大当たり状態の特別抽選を実行する抽選手段と、
前記特別抽選に当選した場合に、前記大当たり状態を発生させる大当たり状態発生手段と、
遊技者が予め定められた特別遊技結果を発生させるために操作する操作手段と、
前記大当たり状態において前記特別遊技結果が発生したことを特定する特定手段と、
前記特定手段が前記特別遊技結果の発生を特定することなく前記大当たり状態が終了した場合に、通常状態よりも遊技者に有利であり、前記抽選手段が予め定められた継続回数の前記特別抽選を実行した場合に終了する第1特別遊技状態を発生させる第1特別遊技状態発生手段と、
前記特定手段が前記特別遊技結果の発生を特定してから前記大当たり状態が終了した場合に、前記第1特別遊技状態よりも遊技者に有利な第2特別遊技状態を発生させる第2特別遊技状態発生手段と、
前記通常状態及び前記第1特別遊技状態のいずれも発生することなく前記第2特別遊技状態又は前記大当たり状態が発生した回数が、予め定められた上限回数に到達している状態で前記大当たり状態が発生した場合、当該大当たり状態が終了した後に前記第2特別遊技状態が発生することを抑制する抑制手段と、
前記第1特別遊技状態発生手段が前記第1特別遊技状態を発生させる前に、当該第1特別遊技状態が発生した場合の前記継続回数を決定する継続回数決定手段と、
演出を実行する演出実行手段と、
前記大当たり状態における前記特別遊技結果を発生させるよりも前のタイミングにて、当該大当たり状態において前記特別遊技結果を発生させず、前記第1特別遊技状態を発生させた場合における当該第1特別遊技状態の前記継続回数に対応した特別演出を、前記演出実行手段に実行させる制御を行う特別演出制御手段と、を備え、前記上限回数として3回以上の回数が設定されており、
前記継続回数決定手段は、予め定められた複数種類の継続回数の中から前記第1特別遊技状態が発生した場合の前記継続回数を決定するものであり、
前記特別演出制御手段は、前記特別演出として、前記継続回数が予め定められた基準回数よりも多い場合に、前記第1特別遊技状態を発生させた方が有利である、又は前記第2特別遊技状態を発生させない方が有利であることを示唆する示唆演出を前記演出実行手段に実行させる制御を行うと共に、
該特別演出制御手段は、前記上限回数までの残り回数が第1回数の場合、前記継続回数が予め定められた第1基準回数よりも多い場合に前記示唆演出を前記演出実行手段に実行させる一方、前記上限回数までの残り回数が前記第1回数よりも少ない第2回数の場合、前記継続回数が前記第1基準回数よりも少ない第2基準回数よりも多い場合に、前記示唆演出を前記演出実行手段に実行させることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1特別遊技状態は、前記入賞部に玉が入賞する頻度が通常状態よりも高くなる状態であり、
前記第2特別遊技状態は、前記入賞部に玉が入賞する頻度、及び前記特別抽選に当選する確率が高くなる状態であることを特徴とする請求項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等の表示装置を備え、表示装置に停止表示した図柄によって遊技者に有利な大当たり状態が発生するか否かの抽選結果を報知する遊技機が知られている。また、遊技への注目度を高めるために様々な機能を備えた遊技機が提案されており、例えば下記の特許文献1には、玉が特定領域を通過できる大当たり状態と通過できない大当たり状態とがあり、玉が特定領域を通過すると大当たり状態終了の後に高確率状態(確変状態)が発生する遊技機が記載されている。この遊技機は、高確率状態の発生契機を変化させることで多様な遊技性を実現しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−016034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の遊技機では、玉が特定領域を通過できるか否かが大当たり状態の種類によって定められており、遊技者にしてみればいずれの大当たり状態であっても同じ様に玉を発射するのみの遊技性になってしまう。このため、遊技が単調になり易く、遊技者の遊技への注目度が高まりにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技に対する遊技者の注目度を高めることが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機では、大当たり状態が終了したとき、第1特別遊技状態を発生させるよりも第2特別遊技状態を発生させた方が遊技者にとって有利である。しかし、通常状態及び第1特別遊技状態が発生していない場合には、上限回数までしか第2特別遊技状態を発生させることができない。
【0007】
これに対して本発明の遊技機は、遊技者が予め定められた特別遊技結果を発生させるために操作する操作手段を備えており、特別遊技結果を発生させるか否かによって第1特別遊技状態及び第2特別遊技状態のいずれを発生させるかを遊技者が選択できる。例えば第1特別遊技状態を選択的に発生させれば、通常状態及び第1特別遊技状態のいずれも発生することなく第2特別遊技状態又は大当たり状態が発生した回数の上限回数への到達を回避できる。
【0008】
本発明の遊技機は、大当たり状態において特別遊技結果を発生させずに、第1特別遊技状態を発生させた場合の当該第1特別遊技状態の継続回数に対応した特別演出を実行する。この特別演出によれば、第2特別遊技状態ではなく第1特別遊技状態が発生した場合の継続回数を遊技者が予測又は特定できる。
【0009】
この遊技機では、実行された特別演出に応じて上記の継続回数を予測又は特定し、第1特別遊技状態及び第2特別遊技状態のいずれを発生させるかを遊技者が選択するという新たな遊技性が実現されている。つまり、いずれの特別遊技状態を発生させるかを遊技者に選択させることで遊技の単調化を抑制できる。この結果、本発明の遊技機によれば、遊技者の遊技への注目度を高くすることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】遊技機の正面図。
図2】遊技機の電気的な構成を示すブロック図。
図3】遊技状態の遷移を表す状態遷移図。
図4】特別演出による表示画面を例示する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、大当たり状態の発生中にV入賞(Vゾーン入賞、特別遊技結果)が発生すれば、大当たり状態の終了に応じて確変状態を発生する遊技機1に関する例である。この内容について、図1図4を用いて説明する。
【0012】
図1の遊技機1は、遊技領域130を流下した玉が入賞可能な始動入賞口(入賞部)11に玉が入賞したとき、予め定められた特別抽選の一例である特図判定を実行し、予め定められた図柄を変動表示した後に特図判定の結果に対応した図柄を停止表示させるセブン機である。この遊技機1は、特図判定の結果が特図当選であったときに大当たり状態を発生させる。
【0013】
遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤の表面側に略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の右側下部にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には上皿135及び下皿137が遊技者側に張り出すように設けられている。上皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れて玉を貯留する受け皿である。下皿137は、上皿135の収容限度を超える玉等を受け入れる受け皿である。上皿135の右下には、上皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設されている。
【0014】
開閉扉13は、遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139と、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部136と、が設けられている。
【0015】
遊技領域130は、遊技媒体である玉が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する表示装置19を中心として、始動入賞口11、スルーゲート141、上下二段の大入賞口161、162等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。始動入賞口11は、表示装置19の下側に配置されている。表示装置19の向かって右側の領域に配置されたスルーゲート141、第1の大入賞口161及び第2の大入賞口162は、遊技領域130の上流側から下流側に向けてこの順番で配置されている。
【0016】
始動入賞口11は、特別抽選の一例をなす特図判定の契機となる入賞部である。始動入賞口11に玉が入賞すると、特図判定の抽選用乱数が抽出され大当たり状態を発生させるか否かの特別抽選である特図判定が実行される。始動入賞口11の上流側には、一対の可動羽根を備える電動チューリップ112が設けられている。電動チューリップ112が開放すれば、玉が始動入賞口11に誘導されて入賞率が格段に高くなる。なお、始動入賞口11への玉の入賞に応じた玉の払出数は3個となっている。
【0017】
大入賞口161、162は、大当たり状態下で開放状態となるアタッカーとも呼ばれる可変入賞装置である。横長の大入賞口161、162には、開閉可能な蓋部材がそれぞれ設けられている。大入賞口161、162は、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材が位置したとき、閉鎖状態となる。蓋部材が手前側に回動すると開放状態となる。大入賞口161、162が開放すると、玉を導くための受け皿として蓋部材が機能し、高い入賞率が実現される。なお、上側の第1の大入賞口161に入賞したときの払出は15個、下側の第2の大入賞口162に入賞したときの払出は3個となっている。
【0018】
上側の第1の大入賞口161と、下側の第2の大入賞口162との相違点は、内部構造にある。第2の大入賞口162には、確変状態の契機となるVゾーンが設けられている一方、第1の大入賞口161にはVゾーンが設けられていない。本例の遊技機1では、このVゾーンへの玉の入賞が、確変状態の契機となり得る特別遊技結果(以下、V入賞)として設定されている。
【0019】
スルーゲート141は、玉を通過させるのみで賞球の払い出しが設定されていない役物である。スルーゲート141を玉が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出されて普図判定が実行される。
【0020】
図1の表示装置19は、枠199の内側に液晶表示部190が配置された表示装置である。演出を実行する演出実行手段の一例をなす液晶表示部190は、特図判定の結果を報知するための演出用の3桁の数字図柄(1〜9のいずれか)を液晶表示部190に表示するほか、有利な遊技の方法を示唆する後述の特別演出等を実行可能である。
【0021】
液晶表示部190の表示画面の下部には、ランプを模した4個の○印が水平方向に配列された特図保留表示部195が配置されている。特図保留表示部195は、始動入賞口11への玉の入賞を契機とした特図保留(保留情報)の表示部である。特図保留表示部195は、ランプを模した○印の点灯個数により特図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
【0022】
液晶表示部190の上側に当たる枠199の前面には、普図表示部181及び普図保留表示部182が配置されている。普図表示部181は、上記の普図判定の当否の表示部である。普図表示部181は、○の点灯により普図判定の当選(普図当選)を表示し、×の点灯によりハズレを表示する。なお、普図の変動時間は通常状態で30〜60秒、確変状態で1秒となっている。普図保留表示部182は、普図保留として記憶(保留)する保留数を表示できるよう、4つのLEDが連設された表示部である。普図保留表示部182は、LEDの点灯個数により普図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
【0023】
普図判定による普図当選が表示されると、始動入賞口11に設けられた電動チューリップ112が開放動作を実行する。開放時間は、通常状態では0.2秒×1回、時短状態及び確変状態の状態では1.5秒×3回となっている。
【0024】
次に、遊技機1の電気的な構成について、図2を参照して説明する。遊技機1は、主回路をなす制御部20を中心として構成されている。制御部20に対しては、玉を払い出す払出装置331を制御する払出制御回路33、玉の発射装置341を制御する発射制御回路34、遊技演出を制御する演出制御部35、液晶表示部190を制御する表示制御部36、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ311〜314、電動チューリップ112や大入賞口161、162などの開放状態等を切り替えるソレノイド321、324、325、普図表示部181、普図保留表示部182、外部に各種信号を出力する信号出力部392、電源回路391等が電気的に接続されている。また、演出制御部35には、スピーカ131を駆動するアンプ351や装飾ランプ部136が電気的に接続されているほか、表示制御部36が通信可能に接続されている。表示制御部36には、液晶表示部190が電気的に接続されている。
【0025】
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、始動入賞口11への入賞玉を検出する特図始動センサ311、スルーゲート141の通過玉を検出する普図始動センサ312、第1の大入賞口161への入賞玉を検出する第1大入賞センサ313、第2の大入賞口162への入賞玉を検出する第2大入賞センサ314等がある。
開放状態を切り替えるソレノイドとしては、電動チューリップ112を開放させる電チューソレノイド321、第1及び第2の大入賞口161、162を開放させる第1、第2大入賞口ソレノイド324、325がある。
【0026】
払出制御回路33は、始動入賞口11、大入賞口161、162への玉の入賞が発生したとき、払出装置331を制御し、所定数の玉の払出を実行する。
発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作量に応じて、上皿135の玉を発射する発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0027】
図2の制御部20は、CPU(Central Processing Unit)21、記憶素子であるROM(Read Only Memory)22・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
【0028】
RAM24は、CPU21のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、特図保留エリア241、普図保留エリア243、及び各1データ分の特図読出エリア245、普図読出エリア246が割り当てられている。特図保留エリア241は、特図判定の結果を表す保留乱数である4データ分の特図保留の記憶領域である。普図保留エリア243は、普図判定の結果を表す保留乱数である4データ分の普図保留の記憶領域である。
【0029】
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない特図判定用の抽選テーブル、及び普図判定用の抽選テーブルを記憶している。
特図判定用の抽選テーブルでは、低確率状態である通常状態及び時短状態での特図当選の当選乱数、及び高確率状態である確変状態での特図当選の当選乱数が規定されている。この抽選テーブルでは、確変状態での特図当選の当選乱数の数の方が、低確率状態である通常状態及び時短状態での特図当選の当選乱数よりも多く設定されている。これにより、通常状態及び時短状態下の当選確率1/80に対して、確変状態下の当選確率が1/15という高確率になっている。
【0030】
なお、特図当選の各当選乱数には、対応する大当たり状態が終了した後で時短状態を発生させる場合の継続回数(時短状態の継続回数)がヒモ付けされている。継続回数としては、100回、60回、30回、15回の4種類があり、各当選乱数にはいずれか1種類の継続回数がヒモ付けされている。したがって、特図判定で特図当選が発生したときには、対応する時短状態の継続回数を同時に決定できる。なお、これら4種類の継続回数の全当選乱数に対する占有割合は、100回の継続回数の占有割合が10%、60回の継続回数の占有割合が15%、30回の継続回数の占有割合が60%、15回の継続回数の占有割合が15%、となっている。
【0031】
普図判定用の抽選テーブルでは、通常状態での普図当選の当選乱数と、電動チューリップ112によるサポート有の状態(確変状態及び時短状態)での普図当選乱数の当選乱数と、が規定されている。通常状態での普図当選の当選乱数は抽選用乱数の一部である一方、サポート有の状態については全ての抽選用乱数が普図当選の当選乱数として規定されている。これにより、サポート無の通常状態での普図当選1/30に対して、サポート有の状態(確変状態、時短状態)での普図当選の当選確率は1/1となっている。
【0032】
このように遊技機1では、低確率状態と高確率状態という2種類の特図判定の抽選モードが設定されていると共に、電動チューリップ112によるサポート有とサポート無の2種類の状態が設定されている。「通常状態」が低確率状態かつサポート無の遊技状態、「時短状態(第1特別遊技状態)」が低確率状態かつサポート有の遊技状態、「確変状態(第2特別遊技状態)」が高確率状態かつサポート有の遊技状態となっている。つまり、第1特別遊技状態の一例である時短状態は、入賞部である始動入賞口11に玉が入賞する頻度が通常状態よりも高くなる状態である。また、第2特別遊技状態の一例である確変状態は、始動入賞口11に玉が入賞する頻度、及び特図判定(特別抽選)に当選する確率が高くなる状態である。
【0033】
制御部20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、以下の各機能を実現している。
(1)抽選手段:始動入賞口11に玉が入賞した場合に、遊技者に有利な大当たり状態の特別抽選である特図判定を実行するほか、スルーゲート141を玉が通過したときに普図判定等の抽選を実行する手段。抽選手段は、抽選用乱数を抽出することで特図判定や普図判定を実行する。
(2)記憶手段:抽選手段による抽選結果である特図判定用の抽選用乱数を保留乱数(特図保留)として特図保留エリア241に記憶させる手段。特図保留は上限数である4データを限度として保留され、保留乱数の数が上限に到達した状態で新たに抽選用乱数が抽出された場合、その抽選用乱数は保留されることなくそのまま消去される。このような抽選用乱数の保留処理は、普図判定についても同様である。
(3)読出手段:特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数を、特図読出エリア245あるいは普図読出エリア246に読み出す手段。読出手段は、特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数である特図保留あるいは普図保留を1つずつ読み出し、保留数を減少させる。
(4)大当たり状態発生手段:特図判定結果が特図当選(特別抽選の当選)であった場合に、遊技者に有利な遊技状態である大当たり状態を発生させる手段。
(5)特定手段:大当たり状態において特別遊技結果(第2の大入賞口162のVゾーンへの玉の入賞。V入賞。)が発生したことを特定する手段。
(6)第1特別遊技状態発生手段:前記特定手段がV入賞(特別遊技結果の発生)を特定することなく大当たり状態が終了した場合に、抽選手段が予め定められた継続回数の特図判定(特別抽選)を実行した場合に終了する時短状態(通常状態よりも遊技者に有利な第1特別遊技状態)を発生させる手段。
(7)第2特別遊技状態発生手段:前記特定手段がV入賞を特定してから大当たり状態が終了した場合に、時短状態よりも遊技者に有利な確変状態(第2特別遊技状態)を発生させる手段。
(8)抑制手段:通常状態及び時短状態のいずれも発生することなく大当たり状態が発生した回数が、予め定められた上限回数(本例では5回)に到達している状態で大当たり状態が発生した場合、この大当たり状態が終了した後に確変状態が発生することを抑制する手段。
(9)継続回数決定手段:第1特別遊技状態発生手段が時短状態(第1特別遊技状態)を発生させる前に、この時短状態が発生した場合の継続回数を決定する手段。
【0034】
次に、遊技機1の動作内容を説明する。以下の説明では、(1)遊技機1の遊技性を概説した後、図3の状態遷移図を参照しながら(2)遊技機1の制御内容を説明する。
(1)遊技性
遊技機1が発生する大当たり状態では、大入賞口が開放状態となるラウンドが2回繰り返し実行される。1R(ラウンド)は、上側の第1の大入賞口161が開放状態となるラウンドである。1Rは、玉が8個入賞するか、30秒経過に応じて終了する。2Rは、下側の第2の大入賞口162が開放状態となるラウンドである。2Rは、玉が1個入賞するか、10秒経過に応じて終了する。
【0035】
遊技機1は、いわゆるV−ST機であり、第2の大入賞口162の内部に設けられた特別入賞口であるVゾーンに玉が入賞すると、大当たり状態が終了した後に確変状態が発生する。この確変状態は次回の特図当選まで継続するため、確変状態が発生すれば大当たり状態を連続して発生できる。
【0036】
ただし、リミット機である遊技機1では、時短状態が発生することなく大当たり状態を発生できる連続回数に上限回数(本例では5回)が設定されている。遊技機1では、大当たり状態の連続回数が上限回数に達しているリミット到達時には、V入賞が発生しても確変状態の発生が抑制され、大当たり状態の終了後に確変状態が発生しないように設定されている。
【0037】
なお、上記の大当たり状態を発生できる連続回数は、時短状態が発生することなく確変状態を発生できる連続回数と一定の関係を呈する。例えば通常状態→大当たり状態(1)→確変状態(1)→大当たり状態(2)→確変状態(2)→大当たり状態(3)→確変状態(3)→大当たり状態(4)→確変状態(4)→大当たり状態(5)→時短状態・・・、というように大当たり状態が5回連続して発生した場合では、確変状態の連続回数が4回となる。そこで、大当たり状態の連続回数の制限に代えて、時短状態が発生することなく確変状態が発生した回数が上限回数に到達したか否かでリミットに到達したか否かを判定する構成を採用することもできる。例えば本例と同様、大当たり状態の連続回数を5回に制限する場合については、確変状態の上限回数が4回となる。
【0038】
(2)制御内容
通常状態で遊技が開始された状況を想定して遊技機1の制御内容を説明する。遊技機1は、操作ハンドル15が右回転方向に操作されたとき、その操作量に応じた強度で玉を発射する。発射された玉は、始動入賞口11等が配置された遊技領域130を流下し、始動入賞口11や大入賞口161、162等に入賞しなかった玉が最下部のアウト孔138から回収される。
【0039】
制御部20は、スルーゲート141を通過する玉を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定用の抽選用乱数を抽出する抽選を実行する。制御部20は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブル(図示略)と照合し、普図判定の当否を決定する。普図判定に当選したとき、制御部20は、普図表示部181を構成するLEDの点滅動作(普図変動)の後、○印を点灯させる。ハズレの場合には、点滅動作の後、×印を点灯させる。
【0040】
普図当選の場合には、制御部20は、始動入賞口11の電動チューリップ112を開放させ、これにより、始動入賞口11の入賞率を高くする。始動入賞口11に玉が流入して始動入賞が発生したとき、制御部20は、特図判定用の抽選用乱数を抽出することで特図判定(特別抽選)を実行する。制御部20は、抽出した特図判定用の抽選用乱数を特図保留として最大4つまで記憶する。
【0041】
制御部20は、液晶表示部190による図柄変動が停止しており、かつ、大当たり状態の発生中でもないとき、特図保留エリア241に記憶された特図保留の読み出しを実行する。特図保留は、記憶時点(入賞時点)が古いものから順番に1つずつ読み出される。制御部20は、読み出した特図保留を図示しない特図判定用の抽選テーブルと照合して特図判定の当否を判定する。
【0042】
制御部20が特図判定の当否を判定したとき、液晶表示部190は、演出用の数字図柄を所定時間に亘って変動表示した後、左→右→中の順番で停止させて表示された3桁の数字図柄の組み合わせにより特図判定の当否を報知する。特図判定の当否としては、大当たり状態の契機となる特図当選(大当たり当選)のほか、ハズレがある。
【0043】
特図当選の場合には、所定時間に亘る図柄の変動表示後、ゾロ目の3桁の数字図柄の組み合わせである大当たり図柄が停止表示される。大当たり図柄の停止表示によって特図当選が報知されると、まず、15秒間に亘ってオープニング演出が実行されて大当たり状態が開始され、通常状態から大当たり状態に遷移する(図3参照。)。なお、制御部20は、大当たり状態の発生中に、その旨を表す大当たり信号を外部出力する。
【0044】
上記のごとく、特図当選の当選乱数には、時短状態の継続回数がヒモ付けされており、特図判定での特図当選と同時にこの継続回数が決定済みとなる。上記のように時短状態の継続回数としては、100回、60回、30回、15回の4種類がある。各継続回数の選択確率は100回が10%、60回が15%、30回が60%、15回が15%になっており、継続回数の期待値は約39回となっている。このように前記継続回数決定手段としての制御部20は、特図当選が発生したとき、予め定められた複数種類の継続回数の中から時短状態(第1特別遊技状態)が発生した場合の継続回数を決定する。
【0045】
大当たり状態では、大入賞口161、162が開放状態となって玉が入賞可能になるラウンドが2回実行される。上側の第1の大入賞口161が開放状態となる1Rは、玉が8個入賞するか30秒経過に応じて終了する。下側の第2の大入賞口162が開放状態となる2Rは、玉が1個入賞するか10秒経過に応じて終了する。これにより大当たり状態1回当たりの出玉(差玉)は約100個となっている。
【0046】
大当たり状態下でV入賞(第2の大入賞口162への玉の入賞)が発生した場合、時短状態が発生することなく大当たり状態が発生した連続回数が上限回数(5回)に未到達であることを条件として、大当たり状態の終了後に確変状態が発生する。この確変状態は新たな特図当選まで継続するため、その後、大当たり状態を連続的に発生できる。
【0047】
一方、大当たり状態下でV入賞が発生しないか、あるいは大当たり状態の上記の連続回数が上限回数に到達している場合には、大当たり状態の終了後に確変状態が発生しない。なお、上記の通り本例の遊技機1では、大当たり状態の連続回数が上限回数に達しているリミット到達時には、V入賞が発生しても高確率状態である確変状態の発生が抑制される。
【0048】
遊技機1では、大当たり状態下でV入賞が発生しなかったとき、あるいはリミット到達により確変状態の発生が抑制されているとき、大当たり状態の終了に応じて時短状態が発生する。この時短状態の継続中に特図当選が発生すれば、1回目の大当たり状態を再度、引き戻しにより発生できる。一方、時短状態の継続中に特図当選を発生できなければ、通常状態に戻ることになる。
【0049】
遊技機1は大当たり状態の1Rの実行中に、この大当たり状態下でV入賞させずに時短状態を発生させた場合の時短状態の継続回数(100回、60回、30回、15回のうちのいずれか)の報知等を含む特別演出を実行する(図4)。遊技者は、この特別演出に基づいて、V入賞させて確変状態を発生させた方が良いか、V入賞させずに時短状態を発生させた方が良いかの判断が可能である。つまり、遊技機1は、V入賞させずに時短状態を発生させた場合の時短状態の継続回数等を大当たり状態の終了前に報知することで、V入賞させた方が良いかどうかの判断材料を遊技者に提示する。
【0050】
例えば通常状態での特図当選に応じて大当たり状態が発生した場合、上記のリミット到達前の1回目の大当たり状態であることから、図4(a)のごとくV入賞を勧める特別演出が実行される。最終ラウンドである2Rで第2の大入賞口162に玉が入賞すればV入賞が発生し、大当たり状態の終了後に確変状態に移行できる。この確変状態は、特図当選(大当たり当選)が発生するまで継続するため、その後、2回目の大当たり状態を発生できる(図3参照。)。
【0051】
本例の遊技機1の構成では、リミット到達までに余裕がある1回目及び2回目の大当たり状態の場合には時短状態の継続回数によらずV入賞させて大当たり状態を連続させた方が有利である。一方、リミット到達に近づいた3回目以降の大当たり状態では、決定済みの時短状態の継続回数によってはV入賞を回避して時短状態を発生させ大当たり状態の引き戻しを狙った方が有利な場合が生じる。したがって、遊技機1の遊技では、3回目以降の大当たり状態の発生中にV入賞させるか否かを選択しながら遊技を行う必要がある。
【0052】
例えば3回目の大当たり状態でV入賞させた方が有利か不利かは、時短状態の継続回数によって異なってくる。大当たり状態の連続回数が上限回数に達するリミット到達が近くなっており、その後、大当たり状態が連続的に発生しても玉の獲得数の期待値が低下するためである。
【0053】
このような場合、大当たり状態の終了後に時短状態を発生させれば、大当たり状態の連続回数を一旦リセットでき、特図当選を発生できた場合に獲得できる玉の獲得数の期待値を高くできる。それ故、時短状態の継続回数が多い場合には、大当たり状態を引き戻しにより発生できる期待度が高くなることもあり、V入賞を発生させずに時短状態を発生させた方が有利というケースが発生する。尚、遊技機1における時短状態中の出玉率の期待度は100%になっている。
【0054】
3回目の大当たり状態であってリミットである上限回数(5回)までの残り回数が2回(第1回数)の場合、継続回数が60回(第1基準回数)よりも多い100回であれば時短状態を発生させた方が玉を多く得る期待度が高くなる一方、60回以下の継続回数であれば確変状態を発生させた方が期待度が高くなる。
【0055】
そこで、3回目の大当たり状態下の1Rでは、図4(b)のような特別演出が実行される。演出内容は、特図当選時に決定された時短状態の継続回数に応じて相違している。継続回数が60回以下の場合には、左側の図のように継続回数の報知と共にV入賞の方が有利であることを示唆する特別演出が実行される。一方、継続回数が100回の場合には、右側の図のように継続回数の報知と共に、V入賞を回避した方が有利であることを示唆する示唆演出が特別演出として実行される。
【0056】
上記の通りVゾーンが設定された第2の大入賞口162は、表示装置19の右側に配置されている。操作ハンドル15を操作して表示装置19の右側の領域に玉を発射すれば、V入賞の発生可能性が生じる一方、玉の発射を中断したり表示装置19の左側の領域に玉を発射すればV入賞を回避できる。このように本例の遊技機1の操作ハンドル15は、遊技者が予め定められた特別遊技結果であるV入賞を発生させるために操作する操作手段の一例となっている。
【0057】
また4回目の大当たり状態であってリミットである上限回数(5回)までの残り回数が1回(第2回数)の場合、継続回数が30回(第2基準回数)よりも多い60回以上であれば時短状態を発生させた方が玉を多く得る期待度が高く、30回以下の継続回数であれば確変状態を発生させた方が期待度が高くなる。
【0058】
そこで、4回目の大当たり状態下の1Rでは、図4(c)のような特別演出が実行される。演出内容は、特図当選時に決定された時短状態の継続回数に応じて相違し、継続回数が30回以下の場合には、左側の図のように継続回数の報知と共にV入賞の方が有利であることを示唆する特別演出が実行される。一方、継続回数が60回以上の場合には、右側の図のように継続回数の報知と共に、V入賞を回避した方が有利であることを示唆する示唆演出が特別演出として実行される。
【0059】
このように特別演出制御手段としての表示制御部36は、大当たり状態におけるV入賞(特別遊技結果)を発生させるよりも前のタイミングにて、この大当たり状態においてV入賞を発生させず時短状態を発生させた場合におけるこの時短状態の継続回数に対応した特別演出(図4参照。)を、液晶表示部190に実行させる制御を行う。
【0060】
この表示制御部36は、時短状態の継続回数が予め定められた基準回数よりも多い場合に、時短状態(第1特別遊技状態)を発生させた方が有利であることを示唆する示唆演出を、特別演出として液晶表示部190に実行させる制御を実行する。なお、示唆演出としては、確変状態を発生させない方が有利であることを示唆する演出であっても良い。
【0061】
さらに本例では、リミット到達の上限回数として3回以上の回数である5回が設定されており、特別演出制御手段としての表示制御部36は、上限回数までの残り回数が2回(第1回数)となった3回目の大当たり状態の場合、継続回数が予め定められた60回(第1基準回数)よりも多い場合に上記の示唆演出を液晶表示部190に実行させる。一方、上限回数までの残り回数が第1回数(2回)よりも少ない1回(第2回数)となった4回目の大当たり状態の場合、上記の示唆演出を実行させるための閾値となる基準回数が60回(第1基準回数)よりも少ない30回(第2基準回数)となり、特図当選時に決定された継続回数がこの30回よりも多い場合に上記の示唆演出を液晶表示部190に実行させる。
【0062】
なお、上記の図4(b)(c)の特別演出は、確率的な出玉(玉の獲得数)の期待度の比較に基づく判断に沿った示唆演出となっている。当然ながら、この示唆演出に沿って遊技を行うことは必須ではない。遊技機1の遊技では、例えば3回目の大当たり状態で報知された時短状態の継続回数が60回であっても、特図当選の予感等を理由にV入賞を回避するという遊技の楽しみ方もある。また、例えば遊技機1の設置傾斜等によって、大入賞口161、162への玉の入賞し易さが変化することがあり、特別演出の内容とは遊技者の有利不利が異なることも想定できる。このように、演出の内容と実際の期待度との違いを遊技者側で予測しつつ遊技を楽しむこともできる。つまり、本構成では、時短状態が発生した場合における継続回数に応じて予め設定された特別演出を実行していると言うこともできる。
【0063】
なお、5回目の大当たり状態の場合、大当たり状態の連続回数が上限回数に達してリミット到達済みであることから、図4(d)のように時短状態の継続回数の報知と共に、有効にV入賞を発生させることができない旨、すなわちリミット到達によりV入賞が発生しても確変状態の発生が抑制される旨を示唆する特別演出が実行される。
【0064】
以上のような構成の遊技機1では、大当たり状態が終了した場合、時短状態よりも確変状態を発生させた方が有利である。しかし、通常状態及び時短状態を経由することなく大当たり状態が連続する回数は上限回数(本例では5回)までに制限されている。
【0065】
これに対して遊技機1では、玉を発射する操作ハンドル15の操作により確変状態の契機となるV入賞を発生させるか否かを選択的に遊技でき、これにより時短状態を発生させるか、確変状態を発生させるかを遊技者が選択できる。例えば遊技者が時短状態を発生させれば、大当たり状態が連続して発生した回数を一旦リセットでき、上限回数に到達することを回避できる。
【0066】
遊技機1は、大当たり状態におけるV入賞よりも前のタイミングで、この大当たり状態の終了後に時短状態が発生した場合のその継続回数を報知する。時短状態の継続回数の報知は、V入賞を発生させるか否か、すなわち時短状態及び確変状態のいずれを大当たり状態の終了後に発生させるか、を遊技者が選択して遊技する際の有効な判断材料となる。
【0067】
この遊技機1では、時短状態の継続回数の報知に応じてV入賞させるか否かを遊技者が判断でき、玉の発射操作に応じてV入賞させるか否かを選択するという新たな遊技性が実現されている。この遊技機1では、大当たり状態の終了後に時短状態を発生させるか確変状態を発生させるかを遊技者に選択させることで遊技の単調化を抑制でき、遊技に対する遊技者の注目度を高めることが可能となっている。
【0068】
遊技機1では、時短状態の継続回数が選択的に決定される。そして、特別演出では、この継続回数が予め定められた基準回数よりも多い場合に、V入賞を回避して時短状態を発生させたほうが有利であることを示唆する示唆演出が実行される。このように遊技機1では、時短状態の継続回数が多い場合と少ない場合とで、時短状態を発生させた方が良い旨の示唆演出か、確変状態を発生させた方が良い旨の演出か、というように演出の内容が変化する。このような演出の実行があれば、時短状態及び確変状態のうちのどちらの特別遊技状態を発生させれば有利度が高くなるのかを遊技者が特定できる。この結果、遊技に慣れていない遊技者であっても遊技を行い易くすることができる。
【0069】
さらに、遊技機1では、リミットである上限回数までの残り回数によって、第1特別遊技状態である時短状態を発生させた方が有利か、第2特別遊技状態である確変状態を発生させた方が有利かが切り換わる閾値の継続回数(時短状態の継続回数)が異なってくる。このため、遊技機1では、時短状態の継続回数が同じであっても、リミットである上限回数までの残り回数によって、発生させた方が良いと示唆される特別遊技状態が変化する。このような示唆があれば、時短状態及び確変状態のうちのどちらの特別遊技状態(時短状態か確変状態か)を発生させれば期待度が高くなるのかを遊技者が特定できるようになり、例えば遊技に不慣れな遊技者であっても遊技を一層容易に行えるようになる。
【0070】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
玉を発射して遊技が行われ、入賞に応じた得点として玉が付与される遊技機を例示したが、本発明の構成を他の遊技機に適用しても良い。例えば、玉が封入されており、得点を消費して玉を発射する封入式遊技機に適用しても良い。また、特図当選確率や、大入賞口に入賞した場合に払い出す玉の数、大当たり状態におけるラウンド数等、遊技機の仕様については適宜変更しても良い。
【0071】
Vゾーンへの玉入賞であるV入賞を特別遊技結果として例示したが、かかる構成に限定されない。例えば、遊技者が大当たり状態において、所定の操作ボタンを操作すると大当たり状態終了の後に確変状態が発生し、操作しなかった場合に時短状態が発生する構成が考えられる。つまり、特別遊技結果を任意に変更しても良い。
【0072】
リミット到達時に確変状態を発生させないように抑制する構成を変更しても良く、例えば、リミット到達済みの大当たり状態下の2Rでは、玉が入賞しないように第2の大入賞口162をほとんど開放せず、これによりVゾーンへの入賞が発生しないように構成しても良い。
【0073】
第1特別遊技状態として時短状態を例示し、第2特別遊技状態として確変状態を例示したが、各特別遊技状態は任意に変更しても良い。例えば、確変状態ほどではないが特図判定に当選する確率が高くなる時短状態を、第1特別遊技状態に採用することも可能である。
時短状態の継続回数については変更しても良く、例えば、1〜100回の中から抽選でいずれかの継続回数を選択する構成であっても良い。
【0074】
本例では、通常状態及び通常状態をいずれも経由することなく発生した大当たり状態の連続回数について、リミット到達の上限回数として5回を設定した構成を例示したが、この上限回数については適宜変更可能である。また、時短状態及び通常状態をいずれも経由することなく発生した確変状態の連続回数について、リミット到達の上限回数を設定することも良い。
本例では、V入賞させなかった場合に発生する時短状態の継続回数を1R目に報知する構成にしたが、大当たり開始時、1Rと2Rとの間のタイミングや、2R目など、報知するタイミングを任意に変更しても良い。
【0075】
特別演出として、時短状態の継続回数、及び時短状態及び確変状態のうち発生させた方が良い状態を報知する構成にしたが、かかる構成に限定されない。例えば、継続回数そのものは報知せず、継続回数が多い期待度を遊技者に示唆する演出を実行する構成が考えられる。具体的には、女性キャラクタを表示した場合、継続回数が100回の期待度が80%であり、男性キャラクタを表示した場合、継続回数が100回の期待度が20%の構成等が考えられる。また、液晶表示部190による画像表示によって特別演出等を実行する構成にしたが、音声による特別演出を実行する構成を採用することも良い。
【0076】
時短状態及び確変状態のうちどちらを発生させると有利か示唆する演出の内容が、リミット到達の上限回数までの残り回数と、時短状態の継続回数と、の組み合わせにより予め定められている構成を例示したが、かかる構成に限定されない。例えば、遊技機側でどちらの特別遊技状態を発生させた方が良いかを出玉率から算出する構成が考えられる。この構成においては、大当たり状態の差玉や、時短状態及び確変状態における出玉率を遊技機側で集計し、集計結果に基づいて、時短状態を発生させた場合の期待獲得玉数と、確変状態を発生させた場合の期待獲得玉数とをそれぞれ算出して判定するものが考えられる。大当たり状態や、時短状態等の出玉率は遊技者の技量に応じて変動することがあるが、この構成であれば遊技者の技量に応じて発生させた方が良い特別遊技状態を示唆することが可能である。
【0077】
また、本例では、リミット到達の上限回数までの残り回数と、時短状態の継続回数と、の組み合わせに応じた内容の特別演出を実行する構成を例示したが、残り回数及び継続回数のうちのいずれか一方のみに基づいて、特別演出の内容を決定する構成を採用しても良い。
【0078】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0079】
1 遊技機
11 始動入賞口(入賞部)
112 電動チューリップ
130 遊技領域
15 操作ハンドル(操作手段)
161、162 大入賞口
190 液晶表示部(演出実行手段)
20 制御部(抽選手段、記憶手段、読出手段、大当たり状態発生手段、特定手段、第1特別遊技状態発生手段、第2特別遊技状態発生手段、抑制手段、継続回数決定手段)
36 表示制御部(特別演出制御手段)
図1
図2
図3
図4