(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  上下方向に延びる一対の縦枠と、見付け方向に延びる上枠及び下枠と、を有し四方枠状に形成された枠体と、該枠体内の上部に配置される上障子と、前記枠体内の下部に配置される下障子と、を備えた建具であって、
  前記下障子は、前記縦枠側に向けて付勢されるラッチ部を有し、
  前記縦枠は、屋外側見付け面と、該屋外側見付け面よりも屋内側に配置される屋内側見付け面と、を有し、
  前記屋外側見付け面と前記屋内側見付け面との間に配置されるとともに、前記ラッチ部の前記見付け方向の移動を規制するラッチ受け部を備え、
  前記屋内側見付け面部と前記ラッチ受け部との見込み方向の離間寸法は、前記ラッチ部の見込み方向の寸法よりも小さく、
  前記屋外側見付け面部と前記ラッチ受け部との見込み方向の離間寸法は、前記ラッチ部の見込み方向の寸法よりも小さいことを特徴とする建具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  しかしながら、上記の特許文献1のような建具では、屋内外の圧力差により、障子に屋内側から屋外側への圧力が生じると、障子が屋外側に変位するとともに、枠体の凹溝を形成する屋外側の見付け面が屋外側に変位して、縦枠の凹溝の幅(見込み方向の幅)が大きくなる。このため、障子の端部、特に縦枠側に付勢されているラッチが凹溝内に入り込んでしまい、障子を動かす(開ける)ことができなくなってしまう可能性がある。
【0006】
  また、凹溝の見込み方向の幅が小さいと、凹溝の底部に固定される上障子固定金具が小型化となり、上障子を保持するための十分な強度を確保することができない。その一方で、凹溝の見込み方向の幅が大きいと、ラッチが凹溝内に入り込みやすいという問題点がある。
【0007】
  そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、障子のラッチ部が縦枠の凹溝内に嵌ることを抑制することができる建具を提供する。
 
【課題を解決するための手段】
【0008】
  上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
  すなわち、本発明に係る建具は、上下方向に延びる一対の縦枠と、見付け方向に延びる上枠及び下枠と、を有し四方枠状に形成された枠体と、該枠体内の上部に配置される上障子と、前記枠体内の下部に配置される下障子と、を備えた建具であって、前記下障子は、前記縦枠側に向けて付勢されるラッチ部を有し、前記縦枠は、屋外側見付け面と、該屋外側見付け面よりも屋内側に配置される屋内側見付け面と、を有し、前記屋外側見付け面と前記屋内側見付け面との間に配置されるとともに、前記ラッチ部の前記見付け方向の移動を規制するラッチ受け部を備え、前記屋内側見付け面部と前記ラッチ受け部との見込み方向の離間寸法は、前記ラッチ部の見込み方向の寸法よりも小さ
く、前記屋外側見付け面部と前記ラッチ受け部との見込み方向の離間寸法は、前記ラッチ部の見込み方向の寸法よりも小さいことを特徴とする。
  
また、本発明に係る建具は、上下方向に延びる一対の縦枠と、見付け方向に延びる上枠及び下枠と、を有し四方枠状に形成された枠体と、該枠体内の上部に配置される上障子と、前記枠体内の下部に配置される下障子と、を備えた建具であって、前記下障子は、前記縦枠側に向けて付勢されるラッチ部を有し、前記縦枠は、屋外側見付け面と、該屋外側見付け面よりも屋内側に配置される屋内側見付け面と、前記屋外側見付け面と前記屋内側見付け面とを結ぶ見込み面と、を有し、該見込み面に螺子固定される基部と、該基部から前記下障子側に延びるラッチ受け部と、前記上障子に固定される固定部と、を有する受け部材を備え、前記ラッチ受け部は、前記屋外側見付け面と前記屋内側見付け面との間に配置されるとともに、前記ラッチ部の前記見付け方向の移動を規制し、前記屋内側見付け面部と前記ラッチ受け部との見込み方向の離間寸法は、前記ラッチ部の見込み方向の寸法よりも小さいことを特徴とすることを特徴とする。
【0009】
  このように構成された建具では、縦枠の凹溝を形成する屋外側見付け面と屋内側見付け面との間には、ラッチ受け部が配置されている。このため、屋外側見付け面と屋内側見付け面との間の隙間は、屋外側見付け面とラッチ受け部とにより形成される見込み方向の隙間及びラッチ受け部と屋内側見付け面とにより形成される見込み方向の隙間に分割される。よって、屋外側見付け面とラッチ受け部との見込み方向の離間寸法及びラッチ受け部と屋内側見付け面との見込み方向の離間寸法の方が、下障子の縦枠側に向けて付勢されるラッチ部の見込み方向の寸法よりも、小さくすることができる。したがって、下障子のラッチ部が縦枠の凹溝内に嵌り込むことが抑制される。
【0010】
  また、本発明に係る建具では、前記縦枠は、前記屋外側見付け面と前記屋内側見付け面とを結ぶ見込み面を有し、該見込み面に螺子固定される基部と、該基部から前記下障子側に延びる前記ラッチ受け部と、を有する受け部材を備えることが好ましい。
【0011】
  このように構成された建具では、受け部材は縦枠の凹溝を形成し屋外側見付け面と屋内側見付け面とを結ぶ見込み面に螺子固定される構成であるため、作業者は縦枠の見込み面に沿って受け部材の基部を配置して、見付け方向の内側(見込み面と対向する方向)から螺子止めすることができる。このため、見込み面よりも屋内側に屋内側見付け面等の壁部があっても、当該壁部が邪魔になることなく、見込み面に対して正面から螺子止めすることができるため、受け部材を容易に取り付けることができる。
【0012】
  また、本発明に係る建具では、前記受け部材は、前記上障子に固定される固定部を有することが好ましい。
【0013】
  このように構成された建具では、受け部材は、上障子に固定される固定部を有している。つまり、受け部材は上障子を固定する機能も有しているため、上障子を固定するための部材を別途取り付ける必要がない。
【0014】
  また、本発明に係る建具では、前記下障子は、前記縦枠側に延びるロック部を有し、
  前記受け部材は、前記ロック部よりも屋内側に配置されるとともに、水平断面で前記ロック部と前記見込み方向に重なった位置に配置されるロック受け部を有していてもよい。
【0015】
  このように構成された建具では、受け部材は、下障子に設けられ縦枠側に延びるロック部よりも屋内側に配置されるとともに、水平断面でロック部と見込み方向に重なった位置に配置されるロック受け部を有している。これにより、下障子が屋内側に移動しようとしても、下障子に設けられたロック部が受け部材に設けられたロック受け部に見込み方向に干渉するため、下障子の屋内側への移動が規制される。つまり、受け部材は下障子の屋内側への移動を規制する機能も有しているため、下障子の屋内側への移動を規制する部材を別途取り付ける必要がない。
 
【発明の効果】
【0016】
  本発明に係る建具によれば、障子に設けられたラッチ部と当接可能なラッチ受け部を容易に取り付けることができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0018】
  以下、本発明の一実施形態による建築物の開口部に設けられる建具の一例として、上げ下げ窓を
図1から
図8に基づいて説明する。
  
図1は、本発明の一実施形態に係る上げ下げ窓を屋内側から見た正面図である。
図2は、
図1に示す上げ下げ窓のX−X線断面図である。
図3は、
図1に示す上げ下げ窓のY−Y線断面図である。なお、
図2において、紙面右側は上障子側の断面を示し、紙面左側は下障子側の断面を示している。
  
図1から
図3に示すように、上げ下げ窓100は、建築物の開口部に設けられ、四角形枠状に形成された枠体1と、枠体1内の上部に配置された上障子2と、枠体1内の下部に配置された下障子3と、を備えている。上障子2は、枠体1内の上部に固定されている。下障子3は、施錠状態で枠体1内の下部に配置され、開錠状態で上下方向に移動可能である。また、下障子3が上障子2の下方に配置された位置で、上障子2と下障子3戸は見付け方向に沿う同一平面上に配置されている。
  なお、以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を見込み方向と称する。上障子2及び下障子3の上下方向と交差して上障子2及び下障子3に沿う左右方向を見付け方向と称する。また、見付け方向において、上障子2及び下障子3から離間する方向を外側と称し、上障子2及び下障子3に近接する方向を内側と称する。
 
【0019】
  枠体1は、水平方向に延在する上枠11及び下枠12と、上枠11の両端部と下枠12の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠13と、を有している。
 
【0020】
  上障子2は、四角形状に形成された上側框体20と、上側框体20内に嵌め込まれた例えば上側ペアガラス等の複層ガラス29と、を有している。
 
【0021】
  上側框体20は、水平方向に延在する上側上框21及び上側下框22と、上側上框21の両端部と上側下框22の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する上側縦框23と、を有している。
 
【0022】
  上側上框21、上側下框22及び上側縦框23には、複層ガラス29から離間するように凹む断面視コ字状のガラス保持溝26が形成されている。複層ガラス29の四辺の端部は、ガラス保持溝26内に配置されるとともに、押縁27によりガラス保持溝26内で固定されている。
 
【0023】
  下障子3は、上障子2と同様に、四角形状に形成された下側框体30と、下側框体30内に嵌め込まれた例えば下側ペアガラス等の複層ガラス39と、を有している。
 
【0024】
  下側框体は、水平方向に延在する下側上框31及び下側下框32と、下側上框31の両端部と下側下框32の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する下側縦框33と、を有している。
 
【0025】
  下側上框31の屋内側には、引手部34が設けられている。引手部34を屋内側に引くことにより、下障子3の開閉が可能とされている。
 
【0026】
  下側上框31、下側下框32及び下側縦框33には、複層ガラス39から離間するように凹む断面視コ字状のガラス保持溝26が形成されている。複層ガラス39の四辺の端部は、ガラス保持溝26内に配置されるとともに、押縁27によりガラス保持溝26内で固定されている。
 
【0027】
  次に、縦枠13に固定された受けユニット(受け部材)6について説明する。
  受けユニット6は、下障子3の屋内外への移動を規制する機能、及び上障子2を支持する機能を有している。
  まず、受けユニット6が固定される縦枠13について説明する。
  
図4は、
図1に示す上げ下げ窓のZ−Z線断面図であり、施錠された状態を示す。
図5は、
図1に示す上げ下げ窓のZ−Z線断面図であり、開錠された状態を示す。
  
図4及び
図5に示すように、縦枠13は、見込み方向に沿って配置される見込み面部(見込み面)41と、見込み面部41の屋外側の端部から屋外側に向かうにしたがって次第に見付け方向の内側に向かう傾斜面部(屋外側見付け面)42と、傾斜面部42の端部から見付け方向の内側に延びる屋外側面部(屋外側見付け面)43と、を有している。
 
【0028】
  見込み面部41には、見付け方向の内側に向かって延びる縦枠係止部41aが設けられている。縦枠係止部41aには、縦枠アタッチメント50が係止されている。
 
【0029】
  縦枠アタッチメント50には、見付け方向に沿って配置された見付け面部(屋内側見付け面)51が設けられている。見付け面部51の見付け方向の外側の端部には、アタッチメント係止部52が設けられている。アタッチメント係止部52に縦枠13の縦枠係止部41aが係止されている。
 
【0030】
  見付け面部51の見付け方向の内側の端部には、屋外側に向かうにしたがって次第に見付け方向の内側に向かう傾斜壁部(屋内側見付け面)53が設けられている。傾斜壁部53の見付け方向の内側の端部には、見付け方向に沿って延びる見付け壁部(屋内側見付け面)54が設けられている。見付け壁部54の見付け方向の内側の端部には、屋内側に折曲された折曲壁部55が設けられている。
 
【0031】
  縦枠13の屋外側面部43、傾斜面部42、見込み面部41、縦枠アタッチメント50の見付け面部51、傾斜壁部53及び見付け壁部54により、水平断面視略コ字状に形成され、見付け方向の外側に向かって凹み、見付け方向の内側に向かって開口する凹溝59が形成されている。
 
【0032】
  次に、受けユニット6について説明する。
  
図6は、受けユニット6の斜視図であり、(a)屋内側且つ下方から見た図であり、(b)見付け方向の外側且つ上方から見た図である。
図7は、受けユニット6の分解斜視図である。
  
図4、
図6及び
図7に示すように、受けユニット6は、ラッチ受け部材60と、上障子固定金具70と、アングル金具80と、を有している。本実施形態では、ラッチ受け部材60は樹脂で構成され、上障子固定金具70及びアングル金具80は、金属で構成されている。
  ラッチ受け部材60は、取付壁部(基部)61と、ラッチ受け壁部(ラッチ受け部)62と、側壁部63と、支持体64と、を有している。
 
【0033】
  取付壁部61は、縦枠13の見込み面部41に沿って配置されている。取付壁部61には、見付け方向に貫通する取付孔61h、貫通孔61j、取付孔61kが上下方向に離間して形成されている。
 
【0034】
  ラッチ受け壁部62は、取付壁部61の屋外側の端部から見付け方向の内側に延びている。ラッチ受け壁部62は、縦枠13の屋外側面部43及び傾斜面部42と、縦枠アタッチメント50の見付け面部51、傾斜壁部53及び見付け壁部54との間に配置されている。ラッチ受け壁部62の先端面62fには、後述するラッチ部材110が当接可能とされている。側壁部63は、ラッチ受け壁部62の屋内側に対向して配置されている。
 
【0035】
  支持体64は、ラッチ受け壁部62と側壁部63とを連結している。支持体64は、見付け方向の外側の方の高さが見付け方向の内側の方の高さよりも高い、正面視三角形状をなしている。
 
【0036】
  支持体64の上面には、水平面に沿って形成された上面部64aと、上面部64aの見付け方向の内側の端部から、見付け方向の内側に向かうにしたがって次第に下方に傾斜する傾斜端面部64bと、が設けられている。
 
【0037】
  支持体64の下部は、見付け方向の外側に向かうにしたがって次第に下方に傾斜する傾斜面部64cが形成されている。
 
【0038】
  支持体64と取付壁部61との間には、上下方向に開口し、後述する上障子固定金具70が挿通可能とされた挿通空間S1が形成されている。
 
【0039】
  上障子固定金具70は、平板部71と、上段板部72と、傾斜板部73と、下段板部(固定部)74と、を有している。
 
【0040】
  平板部71は、ラッチ受け部材60の挿通空間S1に上方から挿入され、取付壁部61の見付け方向の内側に面に沿って配置されている。
 
【0041】
  平板部71には、ラッチ受け部材60の取付孔61h、貫通孔61j、取付孔61kに対応する位置に取付孔71h,71j,71kが形成されている。
図4に示すように、平板部71の取付孔71h,71kから挿通された螺子71zは、ラッチ受け部材60の取付孔61h,61kに挿通され、縦枠13の見込み面部41に螺合されている。これにより、受けユニット6は、縦枠13の見込み面部41に固定されている。平板部71には、取付孔71jの上下に、それぞれ挿通孔71mが形成されている。
 
【0042】
  図4、
図6及び
図7に示すように、上段板部72は、ラッチ受け部材60の支持体64の上面部64aに載置されている。傾斜板部73は、ラッチ受け部材60の傾斜端面部64bに沿って配置されている。
 
【0043】
  下段板部74には、上下方向に貫通し見込み方向に長い長孔74hが形成されている。
  
図8は、受けユニット6の取付構成を示す斜視図である。なお、
図8において、下障子3の図示を省略している。
  
図8に示すように、下段板部74の長孔74hから挿通された螺子74zは、上障子2の下端部に螺合されている。これにより、上障子2は、縦枠13に固定された受けユニット6に支持されている。
 
【0044】
  図4、
図6及び
図7に示すように、アングル金具80は、取付板部81と、立ち上がり板部82と、を有する。
 
【0045】
  取付板部81は、上障子固定金具70の平板部71の見付け方向の内側の面に沿って配置されている。
 
【0046】
  取付板部81には、見付け方向に貫通する取付孔81hが形成されている。取付孔81hに挿通された螺子81zは、上障子固定金具70の取付孔71jに螺合されている。ラッチ受け部材60の貫通孔61jは、螺子81zの先端側を避けるために形成されている。これにより、アングル金具80は、上障子固定金具70に固定され、受けユニット6がユニット化されている。
 
【0047】
  取付板部81の上下端部には、見付け方向の外側に向かって延びる係止片81aが設けられている。係止片81aは、上障子固定金具70の挿通孔71mに係止されている。
 
【0048】
  立ち上がり板部82は、取付板部81の屋内側の端部から見付け方向の内側に向かって延びている。立ち上がり板部82の先端部には、折り返され、曲面状に形成された先端曲面部(ロック受け部)82aが形成されている。
 
【0049】
  次に、下障子3に設けられたロック機構10について説明する。
  
図1に示すように、ロック機構10は、下障子3の下側上框31の上面において、左右方向の両端部に設けられている。
図4に示すように、ロック機構10は、下障子3の下側上框31の上面の左右方向の両端部に設けられ基体109と、基体109から延びるラッチ部材(ラッチ部)110と、摺動棒(ロック部)114と、操作部材116と、連結ピース117と、連結部材118と、を備えている。
 
【0050】
  ラッチ部材110は、基体109に設けられ、見付け方向に延びている。ラッチ部材110の先端部には、見込み方向に広がる形状をなす幅広部112が形成されている。
 
【0051】
  幅広部112には、見込み方向の両端部に形成された見込み方向に沿う外側端面112a、及びこれら外側端面112aを接続し見付け方向の外側に膨らむ湾曲面112bが設けられている。
 
【0052】
  ラッチ部材110は、基体109に設けられた不図示の付勢部材により、見付け方向の外側(縦枠13側)に向けて付勢されている。
 
【0053】
  摺動棒114は、棒状の部材であり、基体109に見付け方向に摺動可能に設けられている。摺動棒114は、ラッチ部材110の下方に配置されている。摺動棒114は、連結部材118及び連結ピース117を介して操作部材116に連結されている。操作部材116は、基体109に見付け方向に摺動可能に設けられている。
 
【0054】
  図4に示す施錠状態では、ラッチ部材110は不図示の付勢部材により見付け方向の外側に付勢され、下障子3より見付け方向の外側に突出している。ラッチ部材110の外側端面112aのうち屋外側の外側端面112aは、ラッチ受け部材60のラッチ受け壁部62の先端面62fに当接している。また、ラッチ部材110の外側端面112aのうち屋内側の外側端面112aは、縦枠アタッチメント50の折曲壁部55に当接している。
 
【0055】
  ラッチ部材110の幅広部112の見込み方向の寸法は、縦枠13の屋外側面部43とラッチ受け壁部62との見込み方向の離間寸法よりも小さい。また、ラッチ部材110の幅広部112の見込み方向の寸法は、ラッチ受け壁部62と縦枠アタッチメント50の見付け壁部54との見込み方向の離間寸法よりも小さい。このため、ラッチ部材110が縦枠13の凹溝59内を見込み方向の外側に移動して、凹溝59内に嵌り込むことはない。
 
【0056】
  また、施錠状態では、摺動棒114は、ラッチ部材110の幅広部112よりも見付け方向の外側に突出している。摺動棒114の先端部は、アングル金具80の立ち上がり板部82よりも屋外側に配置されるとともに、水平断面で立ち上がり板部82と見込み方向に重なって配置されている。これにより、下障子3に屋内側への圧力が作用したり、下障子3の引手部34を引いても、摺動棒114の先端部がアングル金具80の立ち上がり板部82に当接して、下障子3の屋内側への移動が規制される。
  このようにして、下障子3は、移動することなく、施錠状態で維持されている。
 
【0057】
  この状態から、下障子3を開口させるには、
図5に示すように、操作者が、操作部材116を見付け方向の内側に移動させる。これにより、操作部材116と連結部材118及び連結ピース117を介して連結された摺動棒114が見付け方向の内側に移動する。下障子3の下側上框31に設けられた引手部34を屋内側に引き、下障子3を引き上げると、ラッチ受け部材60は、縦枠13に設けられた不図示のガイド溝内を移動し、下障子3を上昇させることができる。
 
【0058】
  次に、枠体1に設けられた気密材について説明する。
  
図2に示すように、上枠11の屋外側の壁部11aには、気密材121が設けられている。上障子2が閉じた状態で気密材121は上障子2の上側上框21に当接している。下枠12の屋外側の壁部12aには、気密材122が設けられている。下障子3が閉じた状態で気密材122は下障子3の下側下框32に当接している。
図3に示すように、縦枠13の屋外側面部43には、気密材123が設けられている。上障子2、下障子3が閉じた状態で気密材123は上障子2の上側縦框23、下障子3の下側縦框33に当接している。
 
【0059】
  このように構成された上げ下げ窓100では、縦枠13の凹溝59を形成する縦枠13の屋外側面部43及び傾斜面部42と縦枠アタッチメント50の見付け面部51、傾斜壁部53及び見付け壁部54との間には、ラッチ受け壁部62が配置されている。このため、縦枠13の屋外側面部43及び傾斜面部42と縦枠アタッチメント50の見付け面部51、傾斜壁部53及び見付け壁部54との間の見込み方向の隙間は、縦枠13の屋外側面部43及び傾斜面部42とラッチ受け壁部62とにより形成される見込み方向の隙間及びラッチ受け壁部62と縦枠アタッチメント50の見付け面部51、傾斜壁部53及び見付け壁部54とにより形成される見込み方向の隙間に分割される。よって、縦枠13の屋外側面部43及び傾斜面部42とラッチ受け壁部62との見込み方向の離間寸法及びラッチ受け壁部62と縦枠アタッチメント50の見付け面部51、傾斜壁部53及び見付け壁部54との見込み方向の離間寸法の方が、下障子3の縦枠13側に向けて付勢されるラッチ部材110の見込み方向の寸法よりも、小さくすることができる。したがって、下障子3のラッチ部材110が縦枠13の凹溝59内に嵌り込むことが抑制される。
 
【0060】
  また、受けユニット6は縦枠13の見込み面部41に螺子固定される構成であるため、作業者は縦枠13の見込み面部41に沿って受けユニット6の取付壁部61を配置して、見付け方向の内側(見込み面部41と対向する方向)から螺子止めすることがでる。このため、見込み面部41よりも屋内側に見込み面部41から見付け方向の内側に突出する縦枠アタッチメント50があっても、当該縦枠アタッチメント50が邪魔になることなく、見込み面部41に対して正面から螺子止めすることができるため、受けユニット6を容易に取り付けることができる。
 
【0061】
  また、受けユニット6は、上障子2に固定される下段板部74を有している。つまり、受けユニット6は上障子2を固定する機能も有しているため、上障子2を固定するための部材を別途取り付ける必要がない。
 
【0062】
  また、受けユニット6は、下障子3に設けられ縦枠13側に延びる摺動棒114よりも屋内側に配置されるとともに、水平断面で摺動棒114と見込み方向に重なった位置に配置される先端曲面部82aを有している。これにより、下障子3が屋内側に移動しようとしても、下障子3に設けられた摺動棒114が受けユニット6に設けられた先端曲面部82aに見込み方向に干渉するため、下障子3の屋内側への移動が規制される。つまり、受けユニット6は下障子3の屋内側への移動を規制する機能も有しているため、下障子3の屋内側への移動を規制する部材を別途取り付ける必要がない。
 
【0063】
  また、ラッチ受け部材60は樹脂または金属で構成されていて、所望の形状に容易に形成することができる。上障子固定金具70及びアングル金具80は金属で構成されているため、強度を確保することができる。
 
【0064】
  なお、本発明に係る建具は、上述した実施形態に係る上げ下げ窓100に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。
  以下に、本発明の実施形態の変形例について説明するが、上述した実施形態で説明した部品や部材等と同一または同様なものについては、同一の符号を用いて説明する。
 
【0065】
(変形例)
  次に、本発明の一実施形態の変形例に係る建具について、主に
図9から
図11に基づいて説明する。
  
図9は、本発明の一実施形態の変形例に係る上げ下げ窓の受け部材の斜視図であり、(a)屋内側且つ下方から見た図であり、(b)見付け方向の外側且つ上方から見た図である。
図10は、本発明の一実施形態の変形例に係る上げ下げ窓の受け部材の分解斜視図である。
図11は、本発明の一実施形態の変形例において、
図4に対応する図であり、施錠された状態を示す。
 
【0066】
  上記に示す実施形態では、受けユニット6の上障子固定金具70はラッチ受け部材60の上下方向に開口する挿通空間S1に上方から挿通されているが、本変形例では、受けユニット6Xの上障子固定金具70Xには見付け方向に開口する挿通空間S2が形成され、ラッチ受け部材60Xは挿通空間S2に見付け方向の外側から挿通されている。
 
【0067】
  ラッチ受け部材60Xの支持体64Xは、ラッチ受け壁部62の上端部と側壁部63の上端部とを連結する上面部64dと、上面部64dの下方に配置されラッチ受け壁部62と側壁部63とを連結する下壁部64eと、を有している。上面部64dと下壁部64eとの間には、見付け方向に開口する挿通空間S2が形成されている。下壁部64eには、見付け方向に貫通する取付孔64hが形成されている。
 
【0068】
  ラッチ受け部材60Xの見付け方向の外側では、ラッチ受け壁部62の下端部と側壁部63の下端部とは、連結壁部66で連結されている。連結壁部66には、見付け方向に貫通する取付孔66hが形成されている。
 
【0069】
  上障子固定金具70Xは、上面平板部91と、第一取付板部92と、上側折曲壁部93と、第二取付板部94と、下側折曲壁部95と、第三取付板部96と、を有している。
 
【0070】
  上面平板部91は、ラッチ受け部材60Xの挿通空間S2に挿通され、ラッチ受け部材60Xの上面部64dと下壁部64eとの間に配置されている。上面平板部91の先端部には、上下方向に貫通し見込み方向に長い長孔91hが形成されている。上面平板部91の長孔91hから挿通された螺子74zは、上障子2の下端部(
図8参照)に螺合されている。
 
【0071】
  第一取付板部92は、上面平板部91の見付け方向の外側の端部から下方に向かって延びている。第一取付板部92には、ラッチ受け部材60Xの取付孔64hと対応する位置に、見付け方向に貫通する取付孔92hが形成されている。
 
【0072】
  上側折曲壁部93は、第一取付板部92の下端部から見付け方向の内側に折曲されている。
 
【0073】
  第二取付板部94は、上側折曲壁部93の見付け方向の内側の端部から下方に延びている。第二取付板部94には、見付け方向に貫通する取付孔94hが形成されている。
 
【0074】
  下側折曲壁部95は、第二取付板部94の下端部から見付け方向の外側に折曲されている。
 
【0075】
  第三取付板部96は、下側折曲壁部95の見付け方向の外側の端部から下方に延びている。第三取付板部96には、ラッチ受け部材60Xの取付孔66hと対応する位置に、見付け方向に貫通する取付孔96hが形成されている。
 
【0076】
  アングル金具80の取付孔81hに挿通された螺子81zは、上障子固定金具70Xの第二取付板部94に形成された取付孔94hに螺合されている。これにより、アングル金具80は、上障子固定金具70Xに固定されている。
 
【0077】
  ラッチ受け部材60Xの上下の取付孔64h,66hから挿通された螺子71zは、上障子固定金具70Xの取付孔92h,96hに挿通され、縦枠13の見込み面部41に螺合されている。
 
【0078】
  なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
 
【0079】
  例えば、ラッチ受け部材60と、上障子固定金具70と、アングル金具80と、を有した受けユニット6で構成されているが、本発明はこれに限られない。屋外側見付け面と屋内側見付け面との間に配置されるとともに、ラッチ部の見付け方向の移動を規制するラッチ受け部を少なく有していればよい。