特許第6890481号(P6890481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890481
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】密封装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 3/04 20060101AFI20210607BHJP
   F16J 15/3232 20160101ALI20210607BHJP
   F16J 15/52 20060101ALI20210607BHJP
   F16J 15/324 20160101ALI20210607BHJP
【FI】
   F16J3/04 B
   F16J15/3232 201
   F16J15/52 Z
   F16J15/324
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-123806(P2017-123806)
(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公開番号】特開2019-7552(P2019-7552A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】樽川 雄一
【審査官】 的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−020721(JP,A)
【文献】 特開2001−280510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 3/00−3/06
15/16−15/3296
15/46−15/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに設けられた軸孔内に配置された回転軸との間の隙間をシールする密封装置であって、
前記軸孔の内周面に取り付けられる環状の取付部と、
前記取付部よりも半径方向内側に配置された内側環状部と、
前記内側環状部から延びて、前記回転軸の外周面に接するシールリップ部と、
前記取付部と前記内側環状部とを接続するベロー部と、
前記内側環状部の内側に配置されて、前記回転軸の外周面が摺動する樹脂製の環状の摺動部材と、
前記摺動部材に固定または一体に成形されて、前記摺動部材から外側に広がり、音の伝達を阻害する樹脂製の遮音壁部と、
前記遮音壁部よりも前記ベロー部から遠くに配置され、前記取付部の内周面に全周にわたって接触し、前記取付部に前記回転軸の軸線方向における移動が規制された形式で取り付けられ、前記遮音壁部に隙間なく接触し、音の伝達を阻害する第1の遮音環と
を備えることを特徴とする密封装置。
【請求項2】
ハウジングと、前記ハウジングに設けられた軸孔内に配置された回転軸との間の隙間をシールする密封装置であって、
前記軸孔の内周面に取り付けられる環状の取付部と、
前記取付部よりも半径方向内側に配置された内側環状部と、
前記内側環状部から延びて、前記回転軸の外周面に接するシールリップ部と、
前記取付部と前記内側環状部とを接続するベロー部と、
前記内側環状部の内側に配置されて、前記回転軸の外周面が摺動する樹脂製の環状の摺動部材と、
前記摺動部材に固定または一体に成形されて、前記摺動部材から外側に広がり、音の伝達を阻害する遮音壁部と、
前記遮音壁部よりも前記ベロー部から遠くに配置され、前記取付部の内周面に全周にわたって接触し、前記取付部に前記回転軸の軸線方向における移動が規制された形式で取り付けられ、前記遮音壁部に隙間なく接触し、音の伝達を阻害する第1の遮音環と、
前記遮音壁部よりも前記ベロー部の近くに配置され、前記取付部の内周面に全周にわたって接触し、前記取付部に前記回転軸の軸線方向における移動が規制された形式で取り付けられ、前記遮音壁部に隙間なく接触し、音の伝達を阻害する第2の遮音環
備えることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
【請求項3】
前記第2の遮音環と前記ベロー部の間に、音の伝達を阻害する遮音材が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の密封装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングダストシールとして用いられるのに適した密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングダストシールは、フロントダッシュパネルに配置され、その内部にステアリングシャフトが回転自在に挿入されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5120763号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステアリングダストシールは、エンジンルームから乗員車室内への異物(ダスト、泥水など)の進入を抑制するとともに、エンジンルームから乗員車室内への音の伝達を抑制する機能を有する。
【0005】
本発明は、異物の進入の抑制および音の伝達の抑制の機能をさらに改善することができる密封装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る密封装置は、ハウジングと、前記ハウジングに設けられた軸孔内に配置された回転軸との間の隙間をシールする密封装置であって、前記軸孔の内周面に取り付けられる環状の取付部と、前記取付部よりも半径方向内側に配置された内側環状部と、前記内側環状部から延びて、前記回転軸の外周面に接するシールリップ部と、前記取付部と前記内側環状部とを接続するベロー部と、前記内側環状部の内側に配置されて、前記回転軸の外周面が摺動する樹脂製の環状の摺動部材と、前記摺動部材に固定または一体に成形されて、前記摺動部材から外側に広がり、音の伝達を阻害する遮音壁部と、前記遮音壁部よりも前記ベロー部から遠くに配置され、前記取付部の内周面に全周にわたって接触し、前記取付部に前記回転軸の軸線方向における移動が規制された形式で取り付けられ、前記遮音壁部に隙間なく接触し、音の伝達を阻害する第1の遮音環とを備える。
【0007】
本発明においては、摺動部材に固定または一体に成形された遮音壁部に、第1の遮音環が隙間なく接触し、第1の遮音環は取付部の内周面に全周にわたって接触する。したがって、エンジンルームから乗員車室内への音の伝達を抑制する機能がさらに改善する。また、回転軸の軸線方向における第1の遮音環の移動が規制されているため、これに接触する遮音壁部の姿勢、ひいては摺動部材およびシールリップ部の姿勢が安定する。このようにシールリップ部の姿勢が安定することにより、エンジンルームから乗員車室内への異物の進入の抑制機能をさらに改善することができる。
【0008】
好ましくは、密封装置は、前記遮音壁部よりも前記ベロー部の近くに配置され、前記取付部の内周面に全周にわたって接触し、前記取付部に前記回転軸の軸線方向における移動が規制された形式で取り付けられ、前記遮音壁部に隙間なく接触し、音の伝達を阻害する第2の遮音環をさらに備えてよい。
【0009】
この場合には、第2の遮音環の追加により、エンジンルームから乗員車室内への音の伝達を抑制する機能がさらに改善する。また、遮音壁部は、第1の遮音環と第2の遮音環の間に挟まれ、これらの遮音環は両方とも回転軸の軸線方向における移動が規制されているため、遮音壁部の移動が防止される。したがって、遮音壁部の姿勢、ひいては摺動部材およびシールリップ部の姿勢がより安定し、エンジンルームから乗員車室内への異物の進入の抑制機能をさらに改善することができる。
【0010】
さらに好ましくは、前記第2の遮音環と前記ベロー部の間に、音の伝達を阻害する遮音材が配置されていてよい。この場合には、遮音材によって、エンジンルームから乗員車室内への音の伝達を抑制する機能がさらに改善する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る密封装置を示す断面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る密封装置を示す断面図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る密封装置を示す断面図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る密封装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。
第1実施形態
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る密封装置1は、ハウジング(フロントダッシュパネル)2と、ハウジング2に設けられた軸孔2A内に配置された回転軸(ステアリングシャフト)4との間の隙間をシールするステアリングダストシールである。密封装置1は環状の部品であって、図1においては、その左半分が示されている。図1において、符号Eはエンジンルーム側の空間を示し、Pは乗員車室側の空間を示す。
【0013】
密封装置1は、基本的に、弾性体、例えばエラストマーから形成された高弾性部品であって、軸孔2Aの内周面に取り付けられる環状の取付部6と、取付部6よりも半径方向内側に配置された内側環状部8と、取付部6と内側環状部8とを接続する曲折したベロー部10とを有する。
【0014】
さらに、密封装置1は、内側環状部8から延びて、回転軸4の外周面に全周にわたって接する複数のシールリップ部12,14,16を有する。図においては、シールリップ部12は、仮想線で示す回転軸4に接触していない初期状態が示されているが、実際にはシールリップ部12は回転軸4に接触して弾性変形させられる。この実施形態においては、複数のシールリップ部12,14,16が設けられているが、シールリップ部の数は実施形態に限定されず、1つでもよい。
【0015】
取付部6は、弾性体、例えばエラストマーから形成された弾性環22と、弾性環22の周囲に固着された剛体、例えば金属から形成された剛性環24とを有する。剛性環24は、軸孔2Aに嵌め込まれている。また、剛性環24において、一端部24aは他の部分よりも小さい直径を有しており、端部24aの周囲には弾性環22の一部分22aが全周にわたって配置されている。部分22aは、剛性環24の端部24aとハウジング2の間で圧縮され、取付部6とハウジング2の間の隙間を封止してもよい。あるいは、部分22aは、剛性環24の端部24aとハウジング2の間で圧縮されず、取付部6とハウジング2の間の隙間を封止しなくてもよい。
【0016】
回転軸4は、チルトステアリング機構に設けられたステアリングシャフトである。このため、回転軸4は、ドライバーによって、その軸線方向に垂直な方向に移動、すなわち偏心させられうる。ベロー部10は、弾性変形しやすい部分であり、その弾性変形によって回転軸4のこの移動、すなわち偏心を許容し、なおかつシールリップ部12,14,16が回転軸4の外周面に全周にわたって接触することが可能なように設けられている。
【0017】
さらに、密封装置1は、内側環状部8の内側に配置されており、内側環状部8に固定された環状の摺動部材26を有する。例えば、内側環状部8に形成された凹部8cに、摺動部材26に形成された凸部を嵌め込むことによって、摺動部材26は内側環状部8に固定されてよい。ただし、摺動部材26を内側環状部8に固定する方式は限定されない。
【0018】
摺動部材26は、回転軸4が偏心しても、シールリップ部12,14,16が回転軸4の外周面に全周にわたって接触することが可能なように設けられている。具体的には、回転軸4がその軸線方向に垂直な方向に移動させられるとき、回転軸4の周囲にある摺動部材26は回転軸4の移動に追随して移動させられる。シールリップ部12,14,16は、摺動部材26に相対的に固定された位置に存在するので、回転軸4に対しても相対的に固定された位置に存在する。したがって、シールリップ部12,14,16は回転軸4の外周面に全周にわたって接触することが可能である。
【0019】
かくして、回転軸4が回転する時、回転軸4の外周面が摺動部材26の内周面の一部に対して摺動する。摺動部材26は、例えばポリテトラフルオロエチレンのような、エラストマーより硬い低摩擦係数の樹脂から形成されている。したがって、回転軸4が回転しても、回転軸4の外周面と摺動部材26の内周面との摩擦によって異音が発生することが防止される。
【0020】
不可欠ではないが、摺動部材26の内周面には、グリースを保持するための溝26Aが形成されている。グリースによって、回転軸4の外周面と摺動部材26の内周面との摩擦がさらに低減させられる。
【0021】
不可欠ではないが、密封装置1は、内側環状部8に埋設された補強環28を有する。補強環28は、剛体、例えば金属から形成されており、内側環状部8の変形を抑制し、シールリップ部12,14,16が安定した姿勢で回転軸4に接触することができるようにする。
【0022】
さらに、密封装置1は、摺動部材26から外側に広がる環状の遮音壁部30を有する。遮音壁部30は、音の伝達を阻害する材料から形成されている。遮音壁部30は、摺動部材26と同じ材料から摺動部材26と一体に成形されていてもよいし、摺動部材26と同じ材料または異なる材料から形成されて摺動部材26に固定されていてもよい。
【0023】
さらに、密封装置1は、回転軸4の軸線方向において遮音壁部30よりもベロー部10から遠くに配置された遮音環32(第1の遮音環)を有する。遮音環32は、音の伝達を阻害するために設けられ、その材質は限定されない。但し、遮音環32は、遮音壁部30を補強して遮音壁部30の姿勢を安定化させるためにも設けられているため、剛体、例えば樹脂または金属から形成されていることが好ましい。
【0024】
遮音環32の外周端には、外側円筒部32Aが形成されている。外側円筒部32Aは、取付部6の弾性環22の内周面に全周にわたって接触し、取付部6に回転軸4の軸線方向における移動(特に乗員車室側の空間Pへの移動)が規制された形式で取り付けられている。例えば、取付部6の弾性環22の内周面の部分22bは、ベロー部10から遠くなるほど断面積が小さくなるテーパ状に形成されてよく、一旦、部分22bに遮音環32が嵌め込まれると、遮音環32がベロー部10から遠くに移動しがたいように保持されてもよい。あるいは、部分22bに、外側円筒部32Aが嵌め込まれる周溝が形成されていてもよく、一旦周溝に遮音環32が嵌め込まれると、遮音環32がベロー部10から遠ざけがたく、かつベロー部10に近づけがたく保持されてもよい。
【0025】
遮音環32は遮音壁部30に隙間なく接触し、これによりエンジンルーム側の空間Eから乗員車室側の空間Pへの音の伝達を遮音壁部30および遮音環32が協働して阻害する。具体的には、この実施形態では、遮音壁部30の外周端には、遮音環32側に突出する周壁30Aが形成されており、周壁30Aは、遮音環32の一面に隙間なく接触する。あるいは、またはこれに加えて、遮音環32に遮音壁部30側に突出して遮音壁部30の一面に隙間なく接触する周壁を形成してもよい。
【0026】
この実施形態においては、摺動部材26に固定または一体に成形された遮音壁部30に、遮音環32が隙間なく接触し、遮音環32は取付部6の内周面に全周にわたって接触する。したがって、エンジンルーム側の空間Eから乗員車室側の空間Pへの音の伝達を抑制する機能がさらに改善する。
【0027】
回転軸4が偏心させられると、内側環状部8および摺動部材26が回転軸4の軸線に対して傾くおそれがあり、その場合、シールリップ部12,14,16が回転軸4の外周面に全周にわたって接触しない事態が想定される。しかし、この実施形態においては、回転軸4の軸線方向における遮音環32の移動(特に乗員車室側の空間Pへの移動)が規制されているため、これに接触する遮音壁部30の姿勢、ひいては摺動部材26およびシールリップ部12,14,16の姿勢が安定する。このようにシールリップ部12,14,16の姿勢が安定し、これらが回転軸4の外周面に全周にわたって確実に接触することにより、エンジンルーム側の空間Eから乗員車室側の空間Pへの異物の進入の抑制機能をさらに改善することができる。
【0028】
第2実施形態
図2に示すように、本発明の第2実施形態に係る密封装置40は、第1の実施形態の構造に加えて、第2の遮音環41を有する。
【0029】
第2の遮音環41は、音の伝達を阻害するために設けられ、その材質は限定されない。但し、第2の遮音環41は、遮音壁部30を補強して遮音壁部30の姿勢を安定化させるためにも設けられているため、剛体、例えば樹脂または金属から形成されていることが好ましい。
【0030】
第2の遮音環41の外周端には、外側円筒部41Aが形成されている。外側円筒部41Aは、取付部6の弾性環22の内周面に全周にわたって接触し、取付部6に回転軸4の軸線方向における移動(特にエンジンルーム側の空間Eへの移動)が規制された形式で取り付けられている。例えば、取付部6の弾性環22の内周面の部分22bは、これよりベロー部10に近い部分より大きい直径を有しており、部分22bに第2の遮音環41が嵌め込まれると、第2の遮音環41がベロー部10に近づきがたいように保持されてもよい。あるいは、部分22bに、外側円筒部41Aが嵌め込まれる周溝が形成されていてもよく、一旦周溝に第2の遮音環41が嵌め込まれると、第2の遮音環41がベロー部10から遠ざけがたく、かつベロー部10に近づけがたく保持されてもよい。
【0031】
第2の遮音環41は遮音壁部30に隙間なく接触し、これによりエンジンルーム側の空間Eから乗員車室側の空間Pへの音の伝達を遮音壁部30、第1の遮音環32および第2の遮音環41が協働して阻害する。具体的には、この実施形態では、遮音壁部30の外周端には、第2の遮音環41側に突出する周壁30Bが形成されており、周壁30Bは、第2の遮音環41の一面に隙間なく接触する。あるいは、またはこれに加えて、第2の遮音環41に遮音壁部30側に突出して遮音壁部30の一面に隙間なく接触する周壁を形成してもよい。
【0032】
この実施形態によれば、第2の遮音環41の追加により、エンジンルーム側の空間Eから乗員車室側の空間Pへの音の伝達を抑制する機能がさらに改善する。また、遮音壁部30は、第1の遮音環32と第2の遮音環41の間に挟まれ、これらの遮音環32,41は両方とも回転軸4の軸線方向における移動が規制されているため、遮音壁部30の移動が防止される。したがって、遮音壁部30の姿勢、ひいては摺動部材26およびシールリップ部12の姿勢がより安定し、エンジンルーム側の空間Eから乗員車室側の空間Pへの異物の進入の抑制機能をさらに改善することができる。
【0033】
第3実施形態
図3に示すように、本発明の第3実施形態に係る密封装置50は、第2の実施形態の構造に加えて、遮音材51を有する。
【0034】
遮音材51は、第2の遮音環41とベロー部10の間に配置されている。遮音材51は、音の伝達を阻害するために設けられ、その材質は限定されない。例えば、スポンジまたはエラストマーで遮音材51を形成してもよい。この実施形態によれば、遮音材51によって、エンジンルーム側の空間Eから乗員車室側の空間Pへの音の伝達を抑制する機能がさらに改善する。
【0035】
図3においては、ベロー部10の内部が遮音材51で満たされていないが、ベロー部10の内部を遮音材51で満たしてもよい。この場合には、ベロー部10の動きを阻害しないように、遮音材51はスポンジまたはエラストマーのような弾性変形しやすい材料から形成すると好ましい。
【0036】
第4実施形態
図4に示すように、本発明の第4実施形態に係る密封装置60は、第1実施形態に係る密封装置1と、第1実施形態の変形に係る密封装置61とを備える二重構造を有する。密封装置61のベロー部10は、例えば金属から形成された連結環62を介して、密封装置1の取付部6の弾性環22に連結されている。したがって、密封装置1の取付部6は、密封装置61の取付部としても使用されている。
【0037】
この二重構造によって、エンジンルーム側の空間Eから乗員車室側の空間Pへの音の伝達を抑制する機能がさらに改善し、エンジンルーム側の空間Eから乗員車室側の空間Pへの異物の進入の抑制機能をさらに改善することができる。
【0038】
以上、本発明の様々な実施形態を説明したが、上記の説明は本発明を限定するものではなく、本発明の技術的範囲において、構成要素の削除、追加、置換を含む様々な変形例が考えられる。
【符号の説明】
【0039】
E エンジンルーム側の空間
P 乗員車室側の空間
1,40,50,60,61 密封装置
2 ハウジング
2A 軸孔
4 回転軸
6 取付部
8 内側環状部
8c 凹部
10 ベロー部
12,14,16 シールリップ部
22 弾性環
24 剛性環
26 摺動部材
26A 溝
28 補強環
30 遮音壁部
30A 周壁
30B 周壁
32 遮音環(第1の遮音環)
41 第2の遮音環
51 遮音材
62 連結環
図1
図2
図3
図4