(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボックス本体が上収納部および下収納部に区画され、前記上収納部および下収納部は、前扉と前記ラッチ機構を有し、前記解錠機構は、前記支持棒が前記上収納部および下収納部を貫通して配置されており、前記解錠機構の前掛かり片が、前記上収納部および下収納部のラッチ機構のノックピンに対して係合可能な位置にそれぞれ配置されている請求項2に記載の宅配ボックス。
前記ボックス本体が上収納部および下収納部に区画され、前記上収納部および下収納部は、前扉と前記ラッチ機構を有し、前記解錠機構は、前記支持棒が前記上収納部および下収納部を貫通して配置されており、前記解錠機構の前掛かり片が、前記上収納部および下収納部のラッチ機構のノックピンに対して係合可能な位置にそれぞれ配置されている請求項5に記載の宅配ボックス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された宅配ボックスでは、宅配業者は、宅配ボックス内に既に荷物が収容されているか否か、すなわち、前扉が施錠状態にあるか解錠状態にあるかを判別し難く、実際に前扉が開放するかを前扉に手を掛けて確認する必要があった。
【0009】
また、宅配業者は、宅配ボックス内に荷物を収容した後、前扉を閉鎖し、前側施錠機構の施錠操作部を移動操作して、前扉を施錠状態にする必要があり、前扉の閉鎖と、前扉の施錠とを行う必要があった。このように宅配業者としては、宅配ボックス内への荷物の収容作業に手間がかかることがあった。
【0010】
そこで、この発明の課題は、宅配業者が宅配ボックス内への荷物の収容作業を容易に行うことができる宅配ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、この発明に係る宅配ボックスは、
前側開口および後側開口を有するボックス本体と、
前記ボックス本体に対して、前記前側開口を開閉可能に回動する前扉と、
前記ボックス本体に対して、前記後側開口を開閉可能に回動する後扉と、
前記ボックス本体に対して、前記前扉の前後方向外側で開閉可能に回動する化粧扉と、
前記前扉に係合する施錠位置と前記前扉から外れる解錠位置との間で前記前側開口へ出没可能に移動するラッチを有し、前記ボックス本体に取り付けられるラッチ機構と、
前記後扉に対して回動可能に取り付けられる操作ダイヤルと、その操作ダイヤルに固定され、前記ボックス本体に係合する施錠位置と前記ボックス本体から外れる解錠位置との間で回動する止め具とを有する施錠機構と、
前記止め具がその施錠位置または解錠位置にある場合、前記ラッチがその施錠位置に移動し、前記止め具がその施錠位置と解錠位置との間の作動位置にある場合、前記ラッチがその解錠位置に移動するようにした解錠機構と、を備え、
前記前扉が前記前側開口を閉じる状態から開く状態へ付勢されており、
前記化粧扉は、前記前扉を覆う状態で閉じる状態に保持可能であり、
前記ラッチ機構は、ラッチがその解錠位置から施錠位置へ向かって付勢されており、
前記ラッチ機構のラッチは、前記前側開口へ突出する突出部が左右方向内側に向かうに従い後向きに傾斜する傾斜面を有する構成を採用することができる。
【0012】
ここで、前側とは、宅配ボックスに対して宅配業者が荷物を収容する側を意味し、後側とは、宅配ボックスに対して居住者がボックス本体内の荷物を引き取る側を意味する。また、左側、右側および左右方向とは、前扉に正対した場合における左側、右側および左右方向を意味する。
【0013】
この構成によると、解錠状態の前扉を覆う状態であって、化粧扉が閉じた状態に保持されており、後扉が施錠状態である状態において、化粧扉を開けると、解錠状態の前扉が開く方向へ付勢されて回動する。前扉が開いた状態で、ボックス本体内に荷物を収容し、前扉を閉じる方向に回動することができる。
【0014】
また、宅配業者が前扉を閉じる方向に回動させると、前扉がラッチの傾斜面を押圧して、ラッチが解錠位置へ移動し、さらに、前扉を閉じる方向に回動させると、ラッチは前側開口へ突出し、前扉に係合する施錠状態となる。
【0015】
さらに、施錠機構の止め具を作動位置に向かって回動させることで、ラッチをその解錠位置へ移動させ、前扉を容易に解錠状態とすることができる。
【0016】
この構成において、前記ラッチ機構が、前記ラッチをその解錠位置へ一体に移動するノックピンを有し、
前記解錠機構は、前後方向に沿って前記ボックス本体内に回動可能に取付けられる連結棒と、その連結棒の前方で上下方向に沿って前記ボックス本体内に回動可能に取り付けられる支持棒と、前記連結棒の後側部に固定され、前記連結棒と一体に回動する後掛かり片と、前記連結棒の前側部に固定され、前記連結棒と一体に回動する押圧片と、前記支持棒に固定され、その支持棒と一体に回動する前掛かり片とを有し、
前記止め具が前記作動位置へ向かって回動する場合、前記止め具に前記後掛かり片が押圧され、その後掛かり片を介して前記連結棒が一方向に回動するようになっており、前記押圧片が一方向に回動する場合、前記押圧片に前記前掛かり片が押圧され、その前掛かり片が前記ノックピンに係合し、前記ラッチをその解錠位置へ移動するようにした構成を採用することができる。
【0017】
この構成によると、施錠機構の止め具が作動位置に向かって回動すると、後掛かり片を介して連結棒が一方向に回動し、連結棒と一体に回動する押圧片に押圧される前掛かり片がノックピンに係合し、ラッチがその解錠位置へ移動する。
【0018】
このように、施錠機構の止め具の回動によって、ラッチがその解錠位置へ移動する機構が機械的機構となるため、電源やバッテリーが不要となり、災害時においても使用することができる。
【0019】
前記の課題を解決するために、この発明に係る宅配ボックスは、
前側開口を有するボックス本体と、
前記ボックス本体に対して、前記前側開口を開閉可能に回動する前扉と、
前記ボックス本体に対して、前記前扉の前後方向外側で開閉可能に回動する化粧扉と、
前記前扉に係合する施錠位置と前記前扉から外れる解錠位置との間で前記前側開口へ出没可能に移動するラッチを有し、前記ボックス本体に取り付けられ
るラッチ機構と、
前記ボックス本体に対して回動可能に取り付けられる回動ダイヤルと、その回動ダイヤルに固定され、前記ラッチをその施錠位置に移動させる施錠位置と前記ラッチをその解錠位置に移動させる解錠位置との間で回動するレバーとを有する解錠機構と、
を備え、
前記前扉が前記前側開口を閉じる状態から開く状態へ付勢されており、
前記化粧扉は、前記前扉を覆う状態で閉じる状態に保持可能であり、
前記ラッチ機構は、ラッチがその解錠位置から施錠位置へ向かって付勢されており、
前記ラッチ機構のラッチは、前記前扉が開く状態から閉じる状態へ回動する場合、その施錠位置から解錠位置へ移動可能となっている構成を採用することができる。
【0020】
この構成によると、前扉は、前側開口を閉塞する状態から前側開口を開放する状態へ付勢されている。このため、前側施錠機構により前扉が解錠状態である場合、化粧扉を開くと、化粧扉とともに前扉が開く。
【0021】
前扉は前側開口部を閉じる方向に回動されると、前側施錠機構によりラッチが係合する施錠状態となる。このため、前扉を閉じる動作で、前扉を施錠状態とすることができる。
【0022】
この構成において、前記ラッチ機構が、前記ラッチをその解錠位置へ一体に移動するノックピンを有し、
前記解錠機構は、上下方向に沿って前記ボックス本体内に回動可能に取り付けられる支持棒と、前記支持棒に固定され、その支持棒と一体に回動する上掛かり片および前掛かり片とを有し、
前記レバーがその解錠位置へ向かって回動する場合、前記レバーに前記上掛かり片が押圧され、その上掛かり片を介して前記支持棒が一方向に回動するようになっており、前記前掛かり片が一方向に回動する場合、その前掛かり片が前記ノックピンに係合し、前記ラッチをその解錠位置へ移動するようにした構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明の宅配ボックスは、前側施錠機構により前扉が解錠状態である場合、化粧扉を開くと、化粧扉とともに前扉が開き、前扉を閉じる動作で、前扉を施錠状態とすることができるので、宅配業者の宅配ボックス内への荷物の収容作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態に係る宅配ボックスを
図1〜
図9に基づいて説明する。
この宅配ボックス1は、
図1、2に示すように、前側開口2aおよび後側開口2bを有するボックス本体2と、前側開口2aを開閉可能に回動する前扉3と、後側開口2bを開閉可能に回動する後扉4と、前扉3の前後方向外側で開閉可能に回動する化粧扉5とを備えている。
【0026】
また、宅配ボックス1は、ボックス本体2に取り付けられ、前扉3を施錠状態に保持可能なラッチ機構6と、後扉4に取り付けられ、後扉4を閉じる状態に保持可能な施錠機構7と、ボックス本体2に取り付けられ、前扉3の施錠状態を解錠する解錠機構8とを備えている。
【0027】
ここで、前側とは、ボックス本体2に対して宅配業者が荷物を収容する側を意味し、後側とは、ボックス本体2に対して居住者がボックス本体内の荷物を引き取る側を意味する。
また、左側、右側および左右方向とは、前扉3に正対した場合における左側、右側および左右方向を意味する。
【0028】
ボックス本体2は、
図1、2に示すように、直方体をなす角筒型に形成され、前後方向に対向する矩形の前側開口2aと後側開口2bとを有する。ボックス本体2の内部は、宅配される荷物が収容可能となっている。
【0029】
ボックス本体2は、前側開口2aの周縁部のうち、上側縁部、左側縁部(左右方向一側縁)および右側縁部(左右方向他側縁)から前向きに突き出す上枠部2c、左枠部2dおよび右枠部2eを有する。上枠部2cは、前側開口2aから前向きに突出し上向きに折れ曲がる枠状をなしている。左枠部2dおよび右枠部2eは、前側開口2aから前向きに突出し左右方向外向きに折れ曲がる枠状をなしている。
【0030】
ボックス本体2は、
図2(a)に示すように、前側開口2aの左側縁部に取り付けられた一対のばねヒンジ9を有する。一対のばねヒンジ9は、上下方向に間隔をおいて配置されている。一対のばねヒンジ9により、ボックス本体2に対して前扉3が前側開口2aを開閉可能に回動するようになっている。また、一対のばねヒンジ9により前扉3は前側開口2aに対して、閉じる状態から開く状態へ付勢されている。
【0031】
ボックス本体2は、後側の左側部分(左右方向一方側部分)に取り付けられた一対のヒンジ10を有する。一対のヒンジ10は上下方向に間隔をおいて配置されている。一対のヒンジ10により、ボックス本体2に対して後扉4が後側開口2bを開閉可能に回動するようになっている。
【0032】
ボックス本体2は、
図2(c)に示すように、左枠部2dの左右方向外側に取り付けられた一対のヒンジ11を有する。一対のヒンジ11は、上下方向に間隔をおいて配置され、そのヒンジ軸がボックス本体2よりも左右方向外側に位置している。一対のヒンジ11は、上下方向の位置がばねヒンジ9よりも内側に位置している。
【0033】
一対のヒンジ11により、化粧扉5がボックス本体2に対して前扉3の前後方向外側で開閉可能に回動するようになっている。ヒンジ11による化粧扉5の回動中心軸は、ばねヒンジ9よる前扉3の回動中心軸よりも左右方向外側に位置している。
【0034】
前扉3は、ボックス本体2の前側開口2aよりもわずかに小さい矩形の金属板から形成される。前扉3は、左右方向中間位置に形成された後方へ凹む補強凹部3aと、右側部(左右方向他側部)に形成される係合溝3bとを有する。
【0035】
補強凹部3aは、前扉3の上下方向全長に形成されており、後述する化粧扉5の補強枠12に対向している。係合溝3bは、後述するラッチ機構6のラッチ21が係合可能に左右方向内向きに凹み、上下方向の全長にわたって形成されている。
【0036】
後扉4は、矩形の金属板から形成され、金属板の外周部の全周を前向きに突き出して折り曲げられた外枠部4aを有する。後扉4は、ボックス本体2の後側部と同じ大きさを有する。
【0037】
化粧扉5は、ボックス本体2の上下方向幅と同じ幅であって、ボックス本体2の左右方向の幅よりも広い幅を有する矩形の鉄系金属板から形成されている。化粧扉5は、左右方向中間位置に取り付けられた補強枠12と、外周部を全周にわたり後ろ向きに折り返して形成された外枠部5aとを有する。
【0038】
補強枠12は、後向きに突出し、前向きに開口する左右方向の断面形状がコの字状をなす枠状体であって、左右方向外向きに折り返された一対の前側部が化粧扉5に固定される。補強枠12は、化粧扉5の上下方向の幅と同じ長さを有し、下方の右側に印鑑ホルダ12aが取り付けられている。
【0039】
化粧扉5は、ボックス本体2の右枠部2eの全面に取り付けられた板状の磁石(図示省略)の磁力により、閉じる状態に保持可能となっている。
【0040】
ラッチ機構6は、ボックス本体2内の前側部の上下方向の中間位置であって、右方向他側部(右側部)に配置されている。ラッチ機構6は、
図5(a)、(b)に示すように、ボックス本体2に固定されるラッチケース20と、ラッチケース20内で出没可能に移動するラッチ21と、ラッチ21を突出方向に付勢するコイルばね22と、ラッチ21をラッチケース20内に引き込むノックピン23とを有する。
【0041】
ラッチケース20は、右端部が閉塞し、筒軸方向が左右方向に沿う角筒状をなし、上下方向両側に延びる固定片部20aを有する。ラッチケース20の前後方向に対向する両面部には、左右方向(ラッチ21の出没する方向)に延びるガイド長孔20bが設けられる。
【0042】
ラッチ21は、左端部が閉塞する角筒状をなし、ラッチケース20内を左右方向に移動可能となっている。ラッチ21は、ラッチケース20から突出する突出部となる左端部において、その左右方向内側に向かうに従い後向きへ傾斜する傾斜面21aと、左端部よりも右側寄り部分の前後方向の両側面部に形成される貫通孔21b、21bとを有する。
【0043】
それぞれの貫通孔21bは、ラッチケース20のそれぞれのガイド長孔20bに合致する状態で前後方向に対向している。ラッチ21は、その内部に挿入される状態で固定ピン25により一端部が一体化されるラッチ軸24を有する。
【0044】
ラッチ軸24は、円柱状をなし、左端部において、軸心方向に対して直交する固定ピン用孔24aと、右端部において、軸心方向に対して直交するノックピン用孔24bを有する。
【0045】
ラッチ軸24は、コイルばね22の内部に挿入可能な外径を有し、その長さがラッチ21の内部空間の左右方向長さよりも長い。固定ピン用孔24aとノックピン用孔24bとは、相互に平行となるようにラッチ軸24を貫通している。
【0046】
ラッチ21は、その内部にコイルばね22が挿入された状態で、右端部からラッチケース20内に嵌め合わされている。ラッチ軸24は、ラッチケース20の右端部を貫通して、ラッチ21内に挿入される。
【0047】
ラッチ21内に挿入されているラッチ軸24の固定ピン用孔24aと、ラッチ21の貫通孔21bと、ラッチケース20のそれぞれのガイド長孔20b、20bとが合致する状態で固定ピン25が挿通されている。ラッチ軸24のノックピン用孔24bは、ラッチケース20よりも右側に位置しており、ノックピン23が挿通された状態となっている。
【0048】
固定ピン25の両端部は、ラッチケース20から前後方向外側に突出し、ガイド長孔20b内を左右方向に摺動する。この固定ピン25の摺動により、ラッチ21は、ラッチケース20に対して、傾斜面21aが露出する状態に突出し、前扉3の係合溝3bに係合する施錠位置と、ラッチケース20に対して引き込まれ、前扉3の係合溝3bから外れる解錠位置との間で、出没可能に移動する。
【0049】
コイルばね22は、ラッチ21の内面とラッチ軸24の外周面との間に挿入可能な直径を有し、自然状態のばね長さは、ラッチケース20の左右方向の長さよりも長い。コイルばね22は、ラッチ21内の左端部とラッチケース20右端部との間において圧縮状態となる。圧縮状態のコイルばね22により、ラッチ21はラッチケース20から突出する方向に付勢される。
【0050】
施錠機構7は、
図1に示すように、後扉4の右端部の上下方向中央部分に配置されている。施錠機構7は、
図6に示すように、後扉4を貫通する状態で回動可能に取り付けられる操作ダイヤル30と、操作ダイヤル30の前側端部に固定される止め具31とを有する。
【0051】
操作ダイヤル30は、円柱体から形成され、後端部に大径となる円柱状の操作部30aが固定され、前端部には止め具31が固定されている。操作部30aは後扉4よりも後側に突出し、操作ダイヤル30に対して同じ中心軸上に位置している。
【0052】
止め具31は、長方形の板体の長さ方向両縁部がアール状をなしており、長さ方向一端部が操作ダイヤル30の前端部に固定される。止め具31は、操作部30aの回動により、長さ方向他端部が長さ方向一端部に対して右側となる位置(
図7中の一点鎖線参照)と、長さ方向他端部が長さ方向一端部に対して下側となる位置(
図7中の実線参照)との間で回動するようになっている。
【0053】
止め具31は、長さ方向他端部が長さ方向一端部に対して右側に位置する場合、ボックス本体2に係合するようになっている。このとき、止め具31により、後扉4は後側開口2bを閉じる状態で施錠される(
図6中の実線参照)。
【0054】
その一方で、止め具31は、長さ方向他端部が長さ方向一端部に対して下側に位置する場合、ボックス本体2から外れるようになっている。このとき、後扉4は後側開口2bを開く状態へ解錠される。
【0055】
すなわち、止め具31は、長さ方向他端部が長さ方向一端部に対して右側に位置し、ボックス本体2に係合する施錠位置と、長さ方向他端部が長さ方向一端部に対して下側に位置し、ボックス本体2から外れる解錠位置との間で回動するものとなる。
【0056】
解錠機構8は、
図1に示すように、ボックス本体2内の右側部に配置されている。解錠機構8は、
図7に示すように、前後方向に沿ってボックス本体2内に回動可能に取付けられる連結棒40と、連結棒40の前方で上下方向に沿ってボックス本体2内に回動可能に取り付けられる支持棒41とを有する。
【0057】
また、解錠機構8は、連結棒40の後側部に固定され、連結棒40と一体に回動する後掛かり片42と、連結棒40の前側部に固定され、連結棒40と一体に回動する押圧片43と、支持棒41に固定され、支持棒41と一体に回動する前掛かり片44とを有する。
【0058】
ボックス本体2内には、その右側の上下方向中央部分に前後方向に沿って横カバー枠45が取り付けられている。横カバー枠45は、前後側にそれぞれ形成された軸受片部45aを介して連結棒40を回動可能に支持している。
【0059】
連結棒40は、
図8に示すように、断面正方形の軸体からなり、軸受片部45aにより軸心を回動中心として回動し、その軸心が施錠機構7の操作ダイヤル30の中心軸(回動中心)と同じ高さとなるように配置されている。
【0060】
後掛かり片42は、矩形の金属板を折り曲げ加工したものであり、
図9に示すように、連結棒40への固定部42aと、固定部42aから左右方向内側に向かって下方に延び出す上片部42bと、上片部42bの下部から左右方向外側に向かって下方に延び出す下片部42cとを有する。
【0061】
後掛かり片42は、
図8に示すように、その後端部が施錠機構7の止め具31の左右方向外側に配置され、回動する止め具31が、上片部42bまたは下片部42cに突き当て可能な状態となっている。
【0062】
さらに、後掛かり片42は、上片部42bと下片部42cとの境界部分に形成された湾曲部42dを有する。湾曲部42dは、
図9に示すように、前側から後側へ見た場合、回動する止め具31の長さ方向他端部(先端部)の描く軌跡αに対して、径方向内側に位置している。
【0063】
このような位置にある湾曲部42dを有する後掛かり片42は、止め具31がその施錠位置または解錠位置にある場合、止め具31に押圧されず、連結棒40が回動しない状態となる。その一方で、止め具31がその施錠位置と解錠位置との間の位置であって、止め具31が湾曲部42dに接する位置(作動位置)にある場合、後掛かり片42は、止め具31に押圧されて、連結棒40の回動する角度が最大となる状態にさせる。
【0064】
押圧片43は、
図10(a)、(b)に示すように、矩形の平板の下部を直角に折り曲げた固定部43aを有する。押圧片43は、固定部43aが連結棒40の下面に固定されており、連結棒40の左右方向内側から上方に突き出す状態に配置されたものである。
【0065】
押圧片43の後側には、連結棒40に対して一体回転する非常用レバー46が固定されている。非常用レバー46は、押圧片43と同様に連結棒40の左右方向内側から上方に突き出しており、その突出高さは、押圧片43よりも高い。
【0066】
なお、非常用レバー46は、必須の部材ではないが、非常用レバー46の先端部を左右方向内向きに倒すことにより、後述のようにラッチ機構6のラッチ21をラッチケース20内に引き込ませ、前扉3を解錠状態とすることができる。
【0067】
図3に示すように、ボックス本体2内には、右側の前側に上下方向に沿って配置される縦カバー枠47が取り付けられている。縦カバー枠47は、上下側にそれぞれ形成された軸受片部47aを介して、支持棒41を回動可能に支持している。
【0068】
支持棒41は、断面正方形の軸体からなり、軸心が回動中心であって、ラッチ機構6のノックピン23の後方に前掛かり片44が、一体回動可能に固定されている。
【0069】
前掛かり片44は、
図10に示すように、矩形の平板を折り曲げ加工したものであり、支持棒41に対する固定部44aと、固定部44aから後側に延びる後片部44bと、固定部44aから前側に向かって左右方向内向きに延びる前片部44cとを有する。
【0070】
後片部44bは、
図4に示すように、押圧片43に対してわずかなすき間をもって、左右方向内側に位置している。後片部44bは、左右方向内側から外側を見た場合、押圧片43の上部の前側部分を覆う状態に配置されている(
図3参照)。
【0071】
なお、後片部44bは、押圧片43に対してわずかなすき間をもって、左右方向内側に位置しているが、押圧片43に接触状態であってもよい。要は、押圧片43の回動により、わずかなタイムラグで、またはタイムラグなく前掛かり片44の押圧が開始されればよい。
【0072】
止め具31がその施錠位置または解錠位置にある場合、押圧片43が後片部44bを押圧していない状態となる。この状態では前片部44cは、ラッチ機構6のノックピン23に対して左右方向内側に位置している(
図4中の実線参照)。
【0073】
一方、止め具31がその作動位置にある場合、回動する連結棒40により押圧片43が後片部44bを押圧する状態にある。この状態では、回動する支持棒41を介して、前片部44cは、ラッチ機構6のノックピン23に係合し、ラッチ21をラッチケース20内に引き込み、ラッチ21を前扉3の係合溝3bから外れる解錠位置にさせる(
図4中の二点鎖線参照)。
【0074】
この発明の第一の実施形態に係る宅配ボックス1は上記のように構成され、例えば、一戸建て住宅で使用される。宅配ボックス1は、居住者の不在時に宅配業者が宅外から宅配荷物を内部に収容できるように、前扉3を宅外側に位置させ、後扉4を宅内側に位置するように、壁面、門扉あるいは門柱などに配置される。
【0075】
以下に、この実施形態に係る宅配ボックス1の作用を説明する。なお、この実施形態において、解錠状態の前扉3を覆う状態であって、化粧扉5が閉じた状態に保持されており、後扉4が施錠状態である状態を初期状態という。
【0076】
まず、初期状態の宅配ボックス1に対して、宅配業者が化粧扉5を開けると、解錠状態の前扉3がばねヒンジ9の付勢力により開く方向へ回動する。前扉3が回動して開いた状態で、ボックス本体2内に荷物を収容し、前扉3を閉じる方向に回動する。
【0077】
ここで、ラッチ機構6のラッチ21は、ラッチケース20からの突出部が左右方向内側に向かうに従い後向きに傾斜する傾斜面21aを有している。このため、宅配業者が前扉3を閉じる方向に回動させると、前扉3がラッチ21の傾斜面21aを押圧して、ラッチ21をラッチケース20内へ押し込む。
【0078】
そして、さらに前扉3を閉じる方向に回動して、前扉3の係合溝3bがラッチ21に対して左右方向に対向すると、ラッチ21は係合溝3b内へ突出し、ラッチ機構6はラッチ21が前扉3に係合する施錠状態となる。この施錠状態で宅配業者は化粧扉5を閉じて、収容作業を終える。
【0079】
続いて、ボックス本体2内に収容された荷物を取り出す場合には、まず、居住者が解錠機構8の操作ダイヤル30の操作部30aをつまんで、止め具31を施錠位置から解錠位置に向かって回動を始める。
【0080】
止め具31の回動を始めると、
図9に示すように、止め具31は解錠機構8の後掛かり片42の上片部42bを下向きに押圧する。これにより、前側から後側に向かって見た場合、連結棒40が反時計回りに回動する。
【0081】
そして、止め具31が作動位置へ回動すると、連結棒40の回動する角度が最大となる。このとき、連結棒40は、
図10(b)に示すように、押圧片43が前掛かり片44の後片部44bを左右方向内向きに押圧する。
【0082】
この押圧によって、前掛かり片44は、上側から下側に向かって見た場合、支持棒41を回動中心として、反時計回りに回動する。前掛かり片44が回動することで、前片部44cがラッチ機構6のノックピン23に係合するとともに、ノックピン23を左右方向外向きへ押圧して移動させる(
図11参照)。
【0083】
ノックピン23が左右方向外向きに移動すると、ノックピン23の貫通するラッチ軸24を介して、ラッチ21がラッチケース20内に引き込まれ、ラッチ21が前扉3の係合溝3bから外れて、前扉3が解錠状態となる。
【0084】
前扉3が解錠状態となると、ばねヒンジ9の付勢力により開く方向へ回動する。このとき、化粧扉5は、解錠状態となる前扉3を覆う状態で閉じる状態に保持される。なお、前扉3は後向きに凹む補強凹部3aを有しているので、化粧扉5の補強枠12が解錠状態の前扉3に干渉することない。このため、化粧扉5は、解錠状態となる前扉3を覆う状態で確実に閉じる状態に保持することできる。
【0085】
さらに、操作ダイヤル30の止め具31を回動して、作動位置から解錠位置へ回動すると、止め具31は、後掛かり片42の下片部42cに沿って回動して、下片部42cから離れる。このとき、下片部42cは上向きに回動し、連結棒40は、前側から後側に向かって見た場合、時計回りに回動する。
【0086】
連結棒40が時計回りに回動すると、押圧片43による前掛かり片44の後片部44bへの押圧が解除されるとともに、前掛かり片44の前片部44cによるラッチ機構6のノックピン23への押圧が解除される。
【0087】
ノックピン23への押圧が解除されると、コイルばね22により左右方向内向きに付勢されているラッチ21は、その左端部が、ラッチケース20から突出する施錠位置に移動した状態となる。
【0088】
そして、止め具31が解錠位置に回動することで、居住者は、後扉4を開く方向へ回動して、ボックス本体2内の荷物を取り出す。
【0089】
ボックス本体2内の荷物を取り出した後、後扉4を閉じて、解錠機構8の操作ダイヤル30の操作部30aを回動して、止め具31を解錠位置から施錠位置へ向かって回動を始める。
【0090】
止め具31の回動を始めると、止め具31は、解錠機構8の後掛かり片42の下片部42cを下向きに押圧する。これにより、前側から後側に向かって見た場合、連結棒40が反時計回りに回動する。
【0091】
そして、止め具31が解錠位置から作動位置に回動すると、上述のように、止め具31が施錠位置から作動位置へ回動した場合と同様に、ラッチ機構6のラッチ21がラッチケース20内に引き込まれる。
【0092】
このとき、既に前扉3は解錠状態となっており、化粧扉5は、解錠状態となる前扉3を覆う状態で閉じる状態に保持されている。
【0093】
さらに、操作ダイヤル30の止め具31を回動して、作動位置から施錠位置へ回動すると、止め具31は、後掛かり片42の上片部42bに沿って回動し、上片部42bから離れる。このとき、後掛かり片42は上向きに回動し、連結棒40は、前側から後側に向かって見た場合、時計回りに回動する。
【0094】
連結棒40が時計回りに回動すると、上述のように、止め具31が作動位置から解錠位置へ回動する場合と同様に、押圧片43による前掛かり片44の後片部44bへの押圧が解除されるとともに、前掛かり片44の前片部44cによるラッチ機構6のノックピン23への押圧が解除される。
【0095】
ノックピン23への押圧が解除されると、コイルばね22により左右方向内向きに付勢されているラッチ21は、その左端部が、ラッチケース20から突出する施錠位置に移動した状態となる。
【0096】
操作ダイヤル30の止め具31を施錠位置へ回動することにより、止め具31がボックス本体2に係合して、後扉4が施錠状態となる。これにより、宅配ボックス1は初期状態に戻る。
【0097】
以上のように、この実施形態に係る宅配ボックス1は、ボックス本体2内に荷物が収容されている状態では、化粧扉5を開ける方向に回動した際、前扉3はラッチ機構6により施錠状態にあり、前扉3は開かない。
【0098】
その一方で、ボックス本体2内から荷物が取り出された状態でかつ、初期状態では、化粧扉5を開ける方向に回動することにより、前扉3が開く方向に回動する。このため、宅配業者は、ボックス本体2内に荷物があるか否かを、化粧扉5を開くことで判別することができる。
【0099】
また、宅配業者は、ボックス本体2内に荷物を収容した後、前扉3を閉める方向に回動させるだけで、ラッチ機構6のラッチ21を前扉3に係合させて、前扉3を施錠状態とすることができる。このため、宅配業者の宅配ボックス内への荷物の収容作業を容易に行うことができる。
【0100】
また、この実施形態の宅配ボックス1の変形例としては、
図12(a)、(b)に示すように、ボックス本体2が仕切枠60により上下に区画された上収納部61、下収納部62を有する点、上収納部61および下収納部62が、上述した前扉3に相当する上前扉63および下前扉64を有する点、上収納部61および下収納部62にそれぞれラッチ機構6を有する点で、上述した第一の実施形態と相違する。その他の構成において、第一の実施形態と同じ構成と考えられるものは、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0101】
この変形例では、上収納部61内に解錠機構8が取り付けられている。また、解錠機構8は、支持棒41が上収納部61および下収納部62を上下方向に貫通している。前掛かり片44が、上収納部61および下収納部62のラッチ機構6のノックピン23に対して係合可能な位置にそれぞれ配置されている。
【0102】
このため、解錠機構8により、上収納部61および下収納部62のラッチ機構6のそれぞれを解錠することができる。
【0103】
また、ボックス本体2の上部にポスト部65が一体に設けられており、ポスト部65の前面に投函口が形成されている。投函口に回動する蓋部材66が開閉可能に取り付けられている。
【0104】
次に、この発明の第二の実施形態に係る宅配ボックスを図面に基づいて説明する。
この実施形態では、
図13に示すように、ボックス本体2は、前側開口2aのみを有する点、解錠機構8の代わりに、ボックス本体2に対して回動可能に取り付けられる回動ダイヤル50と、回動ダイヤル50に固定され、ラッチ機構6のラッチをその施錠位置に移動させる施錠位置と、ラッチ21をその解錠位置に移動させる解錠位置との間で回動するレバーとを有する解錠機構8´を備える点で、上述した第一の実施形態と相違する。その他の構成において、第一の実施形態と同じ構成と考えられるものは、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0105】
この実施形態に係る宅配ボックス1は、
図13に示すように、前側開口2aを有するボックス本体2と、前側開口2aを開閉可能に回動する前扉3と、前扉3の前後方向外側で開閉可能に回動する化粧扉5とを備えている。
【0106】
ボックス本体2は、
図14に示すように、右枠部2eの左右方向外側の上部に解錠機構8´が配置されている。解錠機構8´は、ボックス本体2を貫通する状態で回動可能に取り付けられる回動ダイヤル50と、回動ダイヤル50の後側端部に固定されるレバー51と、支持棒41の上部に固定された上掛かり片52と、支持棒41に固定される前掛かり片44とを有する。
【0107】
回動ダイヤル50は、円柱体から形成され、前端部に大径となる円柱状の操作部50aが一体に固定されている。操作部50aはボックス本体2よりも前側に突出し、回動ダイヤル50に対して同じ中心軸上に位置している。
【0108】
レバー51は、
図15に示すように、回動ダイヤル50の後端部から後方に向かって突出する突出片部51aを有する。突出片部51aは、回動ダイヤル50の中心軸よりも上方にかつ、左右方向内側に位置している。
【0109】
レバー51は、操作部50aの回動により、突出片部51aの一方の表面が上向きとなる施錠位置と、突出片部51aの一方の表面が左右方向外向きとなる解錠位置との間で、回動するようになっている。
【0110】
上掛かり片52は、矩形の平板を折り曲げ加工したものであり、支持棒41に対する固定部52aと、固定部52aから前側に延びる前片部52bとを有する。前片部52bは、
図15に示すように、前端部がレバー51の突出片部51aの後端部よりも前側に位置しており、回動ダイヤル50の左右方向外側部分よりも、左右方向内側に位置している。
【0111】
レバー51が施錠位置にある場合、レバー51が上掛かり片52を押圧せず、支持棒41が回動していない状態となる。この状態では、上述した第一の実施形態の場合と同様、前掛かり片44の前片部44cは、ラッチ機構6のノックピン23に対して左右方向内側に位置する状態となる(
図16中の実線参照)。この状態では、ラッチ機構6のラッチ21は、左端部がラッチケース20から突出する施錠位置となる。
【0112】
一方、レバー51が解錠位置にある場合、レバー51が上掛かり片52の前片部52bを押圧し、支持棒41が回動する状態にある(
図16中の二点鎖線参照)。この状態では、上述の第一の実施形態の場合と同様に、前掛かり片44の前片部44cは、ラッチ機構6のノックピン23に係合し、ラッチ21が左右方向外向きに移動し、ラッチ21が前扉3の係合溝3bから外れる解錠位置となる。
【0113】
この発明の第二の実施形態に係る宅配ボックス1は上記のように構成される。以下にこの実施形態の宅配ボックス1の作用を説明する。なお、この実施形態において、施錠状態の前扉3を覆う状態であって、化粧扉5が閉じた状態に保持されている状態を初期状態という。
【0114】
まず、初期状態の宅配ボックス1に対して、宅配業者は、化粧扉5を開いて、解錠機構8´の回動ダイヤル50を回動して、レバー51をその解錠位置に位置させる。これにより、ラッチ機構6のラッチ21が解錠位置に移動して、前扉3がばねヒンジ9により開く方向に回動する。
【0115】
前扉3が開く方向に回動することで、ボックス本体2内に荷物を収容する。その後、上述の第一の実施形態の場合と同様に、前扉3を閉める方向に回動させるだけで、ラッチ機構6のラッチ21を前扉3に係合させて、前扉3を施錠状態とすることができる。このため、宅配業者の宅配ボックス内への荷物の収容作業を容易に行うことができる。
【0116】
また、この実施形態の宅配ボックス1の変形例としては、
図17(a)、(b)に示すように、ボックス本体2が仕切枠60により上下に区画された上収納部61、下収納部62を有する点、上収納部61および下収納部62が、上述した前扉3に相当する上前扉63および下前扉64を有する点、上収納部61および下収納部62にそれぞれラッチ機構6を有する点で、上述した第一の実施形態と相違する。その他の構成において、第一の実施形態と同じ構成と考えられるものは、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0117】
この変形例では、解錠機構8は、支持棒41が上収納部61および下収納部62を上下方向に貫通している。前掛かり片44が、上収納部61および下収納部62のラッチ機構6のノックピン23に対して係合可能な位置にそれぞれ配置されている。
【0118】
このため、解錠機構8により、上収納部61および下収納部62のラッチ機構6のそれぞれを解錠することができる。