【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィーダのトラブルの原因を正確に調査するには、多量のトレースログをトレース用メモリに保存する必要があり、そのために、記憶容量の大きなトレース用メモリが必要となる。
【0006】
しかし、部品実装機のフィーダセット台に多数のフィーダを並べてセットする関係で、フィーダが薄型化されているため、フィーダの内部に記憶容量の大きなトレース用メモリを搭載することがスペース的に困難である場合がある。しかも、記憶容量の大きなトレース用メモリは比較的高価であり、使用するフィーダの数も多いため、フィーダ毎に記憶容量の大きなトレース用メモリを搭載することは、かなりのコストアップ要因となり、コスト面からも望ましくない。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、フィーダ毎にトレース用メモリを設けることなく、複数のフィーダのトレースログを保存するシステムを低コストで構築できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、部品実装機に部品を供給する複数のフィーダのトレースログを保存するフィーダのトレースログ保存システムにおいて、前記部品実装機には、前記複数のフィーダを着脱可能にセットするフィーダセット台が設けられ、前記フィーダセット台には、前記部品実装機と前記複数のフィーダとの間の通信を制御する通信制御部と、前記複数のフィーダのトラブルの原因を調査するためのトレースログをまとめて保存する共通のトレース用メモリが設けられ、前記複数のフィーダの制御部は、前記部品実装機の稼働中に各々のフィーダのトレースログを出力し、前記フィーダセット台の前記通信制御部は、前記複数のフィーダから
新しい前記トレースログが出力される毎に、該トレースログを前記共通のトレース用メモリに各々のフィーダの識別情報と関連付けて
時系列に書き込み、その時点までの所定期間のトレースログを時系列に保存し、その所定期間以前の古いトレースログを削除するようにしたものである。この構成では、部品実装機の稼働中に複数のフィーダから各々のフィーダのトレースログを出力して共通のトレース用メモリに各々のフィーダの識別情報と関連付けて
時系列に書き込み、その時点までの所定期間のトレースログを時系列に保存するため、複数のフィーダのトレースログをまとめて共通のトレース用メモリに保存することができ、フィーダ毎にトレース用メモリを搭載する必要がなく、フィーダの省スペース化と低コスト化の要求を満たすことができる。しかも、部品実装機の稼働中に複数のフィーダのトレースログを保存する処理を部品実装機の制御部が行う必要がないため、複数のフィーダのトレースログを保存する処理によって部品実装機の制御部のCPU負荷が増大して処理速度が低下することを防止でき、生産性(サイクルタイム)を低下させずに、複数のフィーダのトレースログを共通のトレース用メモリに保存できる。この場合、共通のトレース用メモリには、複数のフィーダのトレースログが各々のフィーダの識別情報と関連付けて
時系列に保存されるため、いずれかのフィーダに何等かのトラブルが発生した場合には、共通のトレース用メモリから、トラブルが発生したフィーダの識別情報と関連付けて
時系列に保存されたトレースログを読み出して、当該フィーダのトラブルの原因を調査すれば良い。
【0009】
この場合、トレースログを保存する対象となるフィーダは、テープフィーダのみに限定されず、例えば、バルクフィーダ、スティックフィーダ、トレイフィーダ、ダイ供給装置等であっても良い。
【0010】
一般に、部品実装機には、複数のフィーダを着脱可能にセットするフィーダセット台が設けられているため、このフィーダセット台に
共通のトレース用メモリを設けるように
すれば良い。この場合、フィーダセット台には、部品実装機と複数のフィーダとの間の通信を制御する通信制御部が設けられているため、複数のフィーダからフィーダセット台側へ出力される各々のフィーダのトレースログを、フィーダセット台の通信制御部によって
共通のトレース用メモリに各々のフィーダの識別情報と関連付けて保存するようにすれば良い。このようにすれば、フィーダセット台の通信制御部を利用して、複数のフィーダから出力されたトレースログを
共通のトレース用メモリに保存することができ、複数のフィーダのトレースログを
共通のトレース用メモリに保存する回路構成を簡単化できる利点がある。
【0011】
更に、本発明は、部品実装機の制御部から該部品実装機のトレースログをフィーダセット台側へ出力し、フィーダセット台の通信制御部は、部品実装機から出力される該部品実装機のトレースログを
、複数のフィーダから出力される各々のフィーダのトレースログに加えて前記共通のトレース用メモリに保存するようにしても良い。このようにすれば、複数のフィーダのトレースログを保存する
共通のトレース用メモリに、部品実装機のトレースログも保存することができ、いずれかのフィーダに何等かのトラブルが発生した場合には、
共通のトレース用メモリから、トラブルが発生したフィーダの識別情報と関連付けて保存されたトレースログと部品実装機のトレースログを読み出して、当該フィーダのトラブルの原因を部品実装機の稼働状況等も考慮しながら調査することができ、当該フィーダのトラブルの原因をより精密に調査することができる。
【0012】
更に、本発明は、
共通のトレース用メモリを着脱可能な記憶媒体(例えば、USBメモリ、メモリカード、磁気ディスク、光磁気ディスク等)により構成するようにしても良い。このようにすれば、
共通のトレース用メモリを簡単に交換できると共に、フィーダのトラブルが発生した場合に、
共通のトレース用メモリを取り外して、トラブル原因調査部門(例えばフィーダの製造・販売会社等)へ送付することが可能となり、部品実装機がネットワークでトラブル原因調査部門のコンピュータと接続されていない場合でも、トラブル原因調査部門で
共通のトレース用メモリからトレースログを容易に読み出してトラブルの原因を調査することができる。尚、部品実装機がネットワークでトラブル原因調査部門のコンピュータと接続されている場合には、トレースログ送信要求に応じて
共通のトレース用メモリからトレースログを読み出して部品実装機側へ送信し、部品実装機の制御部が、受信したトレースログをネットワークを介してトラブル原因調査部門のコンピュータへ送信するようにしても良い。