特許第6890575号(P6890575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890575
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】部品実装樹脂基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20210607BHJP
   H01L 21/607 20060101ALI20210607BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20210607BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20210607BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20210607BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   H05K3/46 G
   H05K3/46 Q
   H01L21/607 A
   H01L23/12 F
   H05K1/02 C
   H05K1/02 E
   H05K1/18 L
   H05K3/32 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-238995(P2018-238995)
(22)【出願日】2018年12月21日
(62)【分割の表示】特願2017-538031(P2017-538031)の分割
【原出願日】2016年8月30日
(65)【公開番号】特開2019-91897(P2019-91897A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2018年12月21日
【審判番号】不服2020-12090(P2020-12090/J1)
【審判請求日】2020年8月28日
(31)【優先権主張番号】特願2015-171819(P2015-171819)
(32)【優先日】2015年9月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】用水 邦明
(72)【発明者】
【氏名】品川 博史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優輝
【合議体】
【審判長】 酒井 朋広
【審判官】 畑中 博幸
【審判官】 山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−068328(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/069763(WO,A1)
【文献】 特開2007−318080(JP,A)
【文献】 特開2003−303849(JP,A)
【文献】 特開2004−273777(JP,A)
【文献】 特開2012−079783(JP,A)
【文献】 特開平7−283500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K3/46
H05K1/02
H01L23/12
H01L21/607
H05K1/18
H05K3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱プレスによって部品が実装される実装領域を有する樹脂素体を備えた樹脂基板であって、
熱可塑性を有する複数の樹脂層が積層されてなる、樹脂素体と、
前記樹脂素体の前記実装領域に形成され、前記樹脂素体の表面から裏面まで貫通する孔と、
前記孔の壁面の少なくとも一部に配置され、前記樹脂素体よりも硬い材料からなるメッキ層と、
を備え、
前記メッキ層は、前記孔における前記メッキ層よりも中央側に、前記表面側と前記裏面側とを連通する空間を有するように形成されており、
前記樹脂素体は、積層方向に直交する方向において、一つの前記孔から複数方向に延びる導体パターンを備え、
前記一つの前記孔から複数方向に延びる導体パターンは、前記メッキ層に物理的に接続され、前記積層方向における略同じ位置に配置されており、
該積層方向における略同じ位置に配置された導体パターンは、前記樹脂素体を平面視して前記部品の実装用ランド導体に重なっている、
部品実装樹脂基板。
【請求項2】
前記導体パターンは、前記積層方向における複数の位置に配置されており、
前記積層方向の異なる位置に配置された導体パターンは、前記メッキ層によって電気的に接続されている、
請求項1に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項3】
前記導体パターンは、
前記裏面よりも前記表面に近い位置に形成されている、
請求項1に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項4】
前記樹脂素体は、厚みの異なる複数の領域を備え、
前記厚みの大きな領域に、前記孔が設けられ、前記部品が実装されている、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の部品実装樹脂基板。
【請求項5】
前記厚みの小さな領域を湾曲させることによって、他の部品に配置されている、
請求項4に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項6】
前記部品は、超音波接合部を介して前記樹脂基板に実装され、
前記メッキ層は、前記孔における前記メッキ層よりも中央側に、前記表面側と前記裏面側とを連通する空間を有するように形成されている、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の部品実装樹脂基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に部品が実装される、可撓性を有する材料からなる樹脂基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子機器には、部品実装樹脂基板が多く採用されている。部品実装樹脂基板は、樹脂基板と電子部品とを備える。電子部品は、樹脂基板に実装されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の構成では、熱可塑性のフレキシブル基板の表面に、半導体ベアチップが実装されている。半導体ベアチップは、超音波接合によって、フレキシブル基板に接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3909772号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱可塑性のフレキシブル基板は、例えば半田リフロー等の全体加熱による接合方法が行いにくい。全体加熱による接合では、フレキシブル基板が軟化あるいは溶融して変形してしまう虞があるためである。一方、全体加熱ではなく、部分的な加熱や加圧、これに同等の熱や圧力が加わる超音波接合による場合であっても、部分的にではあるがフレキシブル基板が柔らかくなり変形し易くなる。例えば、超音波接合であれば摩擦熱によって、フレキシブル基板が部分的に柔らかくなり変形し易くなる。
【0006】
また、超音波接合の場合、フレキシブル基板のフレキシブル性によって、超音波振動が分散して十分な接合強度が得られる超音波接合が行い難くなる。これによって、接合不良が生じ易くなる。特に、フレキシブル基板における電子部品が実装される領域に、部品実装樹脂基板の機能的な理由によって孔が設けられている場合、さらに超音波振動が分散しやすくなる。これにより、接合不良がさらに生じ易くなり、信頼性も低下してしまう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、熱可塑性の材料を用い、孔の空いた形状であっても、電子部品がより確実に接合される樹脂基板、および、該樹脂基板と電子部品からなる部品実装樹脂基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、加熱プレスによって部品が実装される実装領域を有する樹脂素体を備えた樹脂基板に関するものであり、次の特徴を有する。樹脂基板は、熱可塑性の樹脂素体と、孔と、メッキ層とを備える。孔は、樹脂素体の実装領域に形成され、実装面から凹む形状である。メッキ層は、孔の壁面の少なくとも一部に配置され、樹脂素体よりも硬い材料からなる。
【0009】
この構成では、メッキ層によって孔の剛性が高くなっており、部品を樹脂素体に接合する際の樹脂素体の変形および孔による加熱プレス時の超音波の分散が抑制される。
【0010】
また、この発明の樹脂基板は、次の構成であることが好ましい。樹脂素体は、熱可塑性を有する複数の樹脂層が積層されてなる。樹脂素体には、積層方向に直交する方向に延びる導体パターンを備える。導体パターンは、メッキ層に物理的に接続されている。
【0011】
この構成では、樹脂基板の内部の導体パターンによって、接合不良となる上記の要因がさらに抑制される。
【0012】
また、この発明の樹脂基板は、次の構成であってもよい。導体パターンは、積層方向における複数の位置に配置されている。積層方向の異なる位置に配置された導体パターンは、メッキ層によって電気的に接続されている。
【0013】
この構成では、メッキ層によって、物理的な機能を有する孔を、層間接続導体として兼用することができる。
【0014】
また、この発明の樹脂基板では、次の構成であってもよい。導体パターンは、積層方向における略同じ位置に配置されている。積層方向における略同じ位置に配置された導体パターンは、樹脂素体を平面視して部品の実装用ランド導体に重なっている。
【0015】
この構成では、部品の実装用ランド導体の部分も含めて、接合時の剛性を高くすることができる。
【0016】
また、この発明の樹脂基板は、次の構成であることが好ましい。樹脂素体は、厚みの異なる複数の領域を備える。厚みの大きな領域に孔が設けられ、この部分に部品が実装されている。
【0017】
この構成では、樹脂基板において変形し易い部分と変形し難い部分を備えており、変形し難い部分に部品が実装されている。したがって、部品を樹脂基板に実装する際の接合不良がさらに生じ難く、且つ、樹脂基板として変形(湾曲)し易い部分も備えることができる。
【0018】
また、この発明は、樹脂基板と、樹脂基板に実装された部品と、を備えた部品実装樹脂基板に関するものであり、次の特徴を有する。
【0019】
樹脂基板は、熱可塑性の樹脂素体、孔、およびメッキ層を備える。孔は、樹脂素体における部品の実装領域に形成されており、部品の実装面から凹む形状からなる。メッキ層は、孔の壁面の少なくとも一部に配置され、樹脂素体よりも硬い材料からなる。部品は、超音波接合部を介して樹脂基板に実装されている。
【0020】
この構成では、メッキ層によって孔の剛性が高くなっており、部品を樹脂素体に接合する際の樹脂素体の変形および孔による超音波の分散が抑制される。
【0021】
また、この発明は、部品実装樹脂基板の製造方法に関するものであり、次の特徴を有する。この製造方法は、熱可塑性を有する複数の樹脂層を積層して樹脂素体を形成する工程を有する。この製造方法は、樹脂素体に孔を形成する工程を有する。この製造方法は、孔の壁面の少なくとも一部に、樹脂素体よりも硬い材料によって覆われたメッキ層を形成する工程を有する。この製造方法は、樹脂素体を平面視して、孔に重なるように部品を、加熱プレスによって樹脂素体に接合する工程を有する。
【0022】
この製造方法では、孔がメッキ層で補強されるため、孔空け後に加熱プレス時の超音波接合で部品を接合しても孔が変形し難く、且つ超音波が孔によって分散し難く、部品が樹脂基板に確実に実装される。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、熱可塑性の材料を用い、孔の空いた形状であっても、部品を樹脂基板により確実に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の分解斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の外観斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る部品実施樹脂基板の構造を示す断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る樹脂基板の製造過程での構造を示す外観斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る樹脂基板の製造過程での構造を示す外観斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の製造方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態に係る部品実装樹脂基板の構成を示す断面図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る部品実装樹脂基板の構成を示す断面図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係る部品実装樹脂基板の構成を示す断面図である。
図10】本発明の他の接合態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の実施形態に係る樹脂基板、部品実装樹脂基板および部品実装樹脂基板の製造方法について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の分解斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の外観斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る部品実施樹脂基板の構造を示す断面図である。図4図5は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂基板の製造過程での構造を示す外観斜視図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の製造方法を示すフローチャートである。
【0026】
図1に示すように、部品実装樹脂基板10は、樹脂基板20と部品30を備える。樹脂基板20は、樹脂素体21と、複数の実装用ランド導体221、内層導体パターン222,223、樹脂素体21に設けられた孔23、および、メッキ層24を備える。
【0027】
樹脂素体21は、熱可塑性を有する材料からなる。例えば、樹脂素体21は、液晶ポリマを主材料としている。
【0028】
複数の実装用ランド導体221は、樹脂素体21の表面(実装面)に形成されている。複数の実装用ランド導体221は、矩形の導体バターンである。複数の実装用ランド導体221は、樹脂素体21に実装される部品30の端子導体31の配置パターンに応じた配置パターンで形成されている。
【0029】
樹脂素体21には、表面から裏面に貫通する孔23が設けられている。孔23は、樹脂素体21を平面視して、複数の実装用ランド導体221によって囲まれる領域内、すなわち、部品30が樹脂基板20(樹脂素体21)に実装された状態において部品30によって覆われる領域(本発明の「実装領域」に対応する。)内に配置されている。孔23は、導光路、通気路、放熱路等の物理的な機能を実現するものであり、主機能としては導通を取るものではない。
【0030】
孔23の壁面には、メッキ層24が形成されている。メッキ層24は、熱可塑性からなる樹脂素体21の材料よりも硬い材料からなる。例えば、メッキ層24は、金属メッキからなる。なお、メッキ層24は、孔23の壁面の少なくとも一部に形成されていればよいが、孔23の壁面の全面に形成されていることが好ましい。
【0031】
部品30は、例えば、半導体チップ等からなり、筐体の1つの面に複数の端子導体31を備えている。端子導体31には、半田バンプ310等が形成されている。
【0032】
図2図3に示すように、部品30は、端子導体31が半田バンプ310を介して実装用ランド導体221に接合された状態で、樹脂基板20に実装されている。部品30は、樹脂基板20に対して超音波接合によって実装されている。
【0033】
ここで、樹脂基板20を構成する樹脂素体21は熱可塑性を有するので、部品30を樹脂基板20に超音波接合で実装する際、摩擦熱によって樹脂素体21が軟化する。また、従来の課題にも示したような超音波振動が分散し易くなる等の接合に対する悪影響が生じ易くなる。特に、メッキがされていない孔が存在する場合は、樹脂素体21がさらに変形しやすいため、さらに超音波振動が分散し易くなる等の接合に対する悪影響が生じ易くなる。
【0034】
しかしながら、本実施形態の樹脂基板20では、樹脂素体21に設けられた孔23にメッキ層24が形成されていることによって、超音波接合による熱および振動が樹脂素体21に加わっても、孔23に形成されたメッキ層24が補強となって、樹脂素体21が変形し難い。また、孔23による超音波振動の分散をメッキ層24によって抑制することができる。したがって、部品30を樹脂基板20に実装する際の接合不良を抑制することができる。
【0035】
このような構成からなる部品実装樹脂基板10は、図6に示す工程によって、図4図5に示す構造の過程を経て製造される。
【0036】
まず、図4(A)に示すように、複数の熱可塑性樹脂膜(本発明の「樹脂層」に対応する。)201,202,203,204を用意し、必要位置に導体パターンを形成する(S101)。例えば、熱可塑性樹脂膜201の表面に実装用ランド導体221を形成する。なお、本実施形態では、熱可塑性樹脂膜を4層用いて樹脂基板20を形成する態様を示したが、層数は他の層数であってもよい。
【0037】
次に、図4(B)に示すように、複数の熱可塑性樹脂膜201,202,203,204を積層し加熱プレスすることで、導体パターンが所定位置に形成された樹脂素体21を形成する(S102)。
【0038】
次に、図5(A)に示すように、樹脂素体21の表面から裏面に貫通する孔23を形成する(S103)。孔23は、例えば、樹脂素体21へのレーザ光の照射等によって形成されている。
【0039】
次に、図5(B)に示すように、孔23の壁面の少なくとも一部に対してメッキ層24を形成する(S104)。メッキ層24は無電解メッキ、電解メッキ等の既知のメッキ方法によって形成されている。
【0040】
次に、樹脂基板20に対して部品30を実装する。この際、部品30は、超音波接合によって樹脂基板20に実装される(S105)。
【0041】
このような製造方法を用いることで、部品30によって覆われる部分に孔23を形成しながら、孔23による超音波接合時の部品30と樹脂基板20との接合不良を抑制することができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態に係る樹脂基板、部品実装樹脂基板について、図を参照して説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る部品実装樹脂基板の構成を示す断面図である。
【0043】
本実施形態に係る部品実装樹脂基板10Aは、第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板10に対して、樹脂基板20Aの構成において異なる。他の構成は、第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板10と同じである。
【0044】
樹脂基板20Aは、樹脂基板20に対して、さらに、内層導体パターン222A,223Aを備える。内層導体パターン222A,223Aは、樹脂基板20A(樹脂素体21)の厚み方向(複数の樹脂膜の積層方向)に直交する方向に延びる形状である。内層導体パターン222A,223Aは、樹脂基板20Aの厚み方向における異なる位置に配置されている。
【0045】
内層導体パターン222A,223Aは、メッキ層24に対して接続されている。このような構成とすることによって、内層導体パターン222Aと内層導体パターン223Aは、メッキ層24によって電気的に接続される。すなわち、メッキ層24は、層間接続導体として機能する。
【0046】
このような構成であっても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
また、内層導体パターン222A,223Aの延びる方向は、メッキ層24の延びる方向と直交している。したがって、内層導体パターン222A,223Aは、メッキ層24が樹脂素体21に固定される際のアンカー部材として機能する。これにより、超音波接合時の樹脂素体21の軟化および孔23を有することによる影響を抑制し、部品30と樹脂基板20Aとの接合不良をさらに抑制することができる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態に係る樹脂基板および部品実装樹脂基板について、図を参照して説明する。図8は、本発明の第3の実施形態に係る部品実装樹脂基板の構成を示す断面図である。
【0049】
本実施形態に係る部品実装樹脂基板10Bは、第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板10に対して、樹脂基板20Bの構成において異なる。他の構成は、第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板10と同じである。
【0050】
樹脂基板20Bは、樹脂基板20に対して、さらに、内層導体パターン222B,223B,224を備える。内層導体パターン222B,223B,224は、樹脂基板20B(樹脂素体21)の厚み方向(複数の樹脂膜の積層方向)に直交する方向に延びる形状である。
【0051】
内層導体パターン224は、メッキ層24に対して物理的に接続している。内層導体パターン224は、樹脂基板20B(樹脂素体21)を平面視して、実装用ランド導体221に重なっている。
【0052】
このような構成とすることによって、内層導体パターン224は、メッキ層24が樹脂素体21に固定される際のアンカー部材として機能する。これにより、孔23の剛性をさらに高めることができる。また、内層導体パターン224が部品30の実装領域における土台として機能するので、実装領域における樹脂素体21の変形を抑制することができる。したがって、部品30と樹脂基板20Bとの接合不良をさらに抑制することができる。
【0053】
なお、内層導体パターン224は、樹脂基板20Bの裏面よりも表面(実装面)に近いことが好ましく、近いほど接合不良の抑制効果を得ることができる。
【0054】
次に、本発明の第4の実施形態に係る樹脂基板および部品実装樹脂基板について、図を参照して説明する。図9は、本発明の第4の実施形態に係る部品実装樹脂基板の構成を示す断面図である。
【0055】
本実施形態に係る部品実装樹脂基板10Cは、第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板10に対して、樹脂基板20Cの構成において異なる。他の構成は、第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板10と同じである。
【0056】
樹脂基板20Cは、部品実装部20C1、配線部20C2、および、外部接続端子部20C3を備える。部品実装部20C1は配線部20C2を介して外部接続端子部20C3に接続されている。部品実装部20C1、配線部20C2、および、外部接続端子部20C3は一体形成されている。部品実装部20C1の樹脂素体は、配線部20C2の樹脂素体よりも厚い。外部接続端子部20C3の樹脂素体は、配線部20C2の樹脂素体よりも厚い。なお、外部接続端子部20C3の樹脂素体は配線部20C2の樹脂素体と同じ厚みであってもよい。
【0057】
部品実装部20C1の表面には、実装用ランド導体221が形成されている。部品実装部20C1の樹脂素体には、表面から裏面に貫通する孔23が形成されている。孔23の壁面にはメッキ層24が形成されている。すなわち、部品実装部20C1は、上述の実施形態に示した樹脂基板の構造を備える。部品実装部20C1には内層導体パターン222C,223Cと、配線導体パターン226の延びる方向の一方端側の一部が形成されている。部品30は、実装用ランド導体221に端子導体31が接合する状態で部品実装部20C1に実装されている。
【0058】
配線部20C2には配線導体パターン226の延びる方向の中央部が形成されている。外部接続端子部20C3には配線導体パターン226の延びる方向の他方端側の一部が形成されている。外部接続端子部20C3の表面には、外部接続端子227が形成されている。外部接続端子部20C3は、層間接続導体228によって配線導体パターン226に接続されている。
【0059】
このような構成によって、部品実装部20C1に形成された回路部や部品30に対する引き回しの導体パターン(図示を省略している。)を、配線導体パターン226によって外部接続端子部20C3まで配線し、外部接続端子部20C3において層間接続導体228を介して外部接続端子227に接続している。
【0060】
そして、このような構成とすることによって、部品30は、厚みが大きく、変形し難い部品実装部20C1に実装されている。したがって、部品30が樹脂基板20Cに接合する際の接合不良をさらに抑制できる。また、部品実装樹脂基板10Cとしては、配線部20C2が変形し易いので、当該配線部20C2を湾曲させて他の部品に配置することができる。これにより、多様な配置態様を実現しながら、部品30が剥離することを抑制し、信頼性を向上することができる。
【0061】
なお、上述の説明では、半田バンプと導体パターン(電極等)とで超音波接合部を形成する態様を示したが、導体パターン同士で超音波接合部を形成する態様であっても、上述の構成を適用することができる。
【0062】
また、図10に示すように、異方性導電膜を用いて端子導体と実装用ランド導体とを接合してもよい。図10は、本発明の他の接合態様を示す断面図である。
【0063】
図10に示す部品実装樹脂基板10Dは、第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板10に対して、半田バンプ310が異方性導電膜320に変更された点で異なる。部品実装樹脂基板10Dの他の構成は、部品実装樹脂基板10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0064】
図10に示すように、部品30の端子導体31と、樹脂基板20の実装用ランド導体221とは、異方性導電膜320によって接合されている。具体的な製造方法としては、端子導体31または実装用ランド導体221を覆うように異方性導電膜320を配置する。異方性導電膜320が端子導体31と実装用ランド導体221とに当接するように、部品30を樹脂基板20に配置する。この状態で、異方性導電膜320に対して加熱プレスを行うことによって、端子導体31と実装用ランド導体221との接合、すなわち、部品30と樹脂基板20との接合を実現する。
【0065】
このように、異方性導電膜を用いた態様であっても、上述の各実施形態の作用効果を実現できる。なお、異方性導電膜は、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態にも適用できる。
【符号の説明】
【0066】
10,10A,10B,10C,10D:部品実装樹脂基板
20,20A,20B,20C:樹脂基板
21:樹脂素体
23:孔
24:メッキ層
30:部品
31:端子導体
201,202,203,204:熱可塑性樹脂膜
20C1:部品実装部
20C2:配線部
20C3:外部接続端子部
221:実装用ランド導体
222,222A,222B,222C,223A,223B,223C,224,225:内層導体パターン
226:配線導体パターン
227:外部接続端子
228:層間接続導体
310:半田バンプ
320:異方性導電膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10