(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890588
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】可変圧力容器
(51)【国際特許分類】
F04F 13/00 20090101AFI20210607BHJP
【FI】
F04F13/00
【請求項の数】27
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-527948(P2018-527948)
(86)(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公表番号】特表2018-538475(P2018-538475A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】CA2016051395
(87)【国際公開番号】WO2017088065
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2019年11月22日
(31)【優先権主張番号】62/260,240
(32)【優先日】2015年11月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/274,350
(32)【優先日】2016年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/304,297
(32)【優先日】2016年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518183000
【氏名又は名称】イソカレント エナジー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カラマネフ,ディミトリ
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−514844(JP,A)
【文献】
特表2014−515339(JP,A)
【文献】
特表2003−517096(JP,A)
【文献】
特開2008−130329(JP,A)
【文献】
特開2000−346001(JP,A)
【文献】
実開昭61−097597(JP,U)
【文献】
特開平05−302572(JP,A)
【文献】
特表2008−544453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの圧縮および膨張の両方のための可変圧力システムであって、
第1のストロークと、第2のストロークとを有する液圧式シリンダと、
ガスタンクと、
容積を有し、前記液圧式シリンダに操作可能に接続され、前記ガスタンクに操作可能に接続された可変圧力容器と、を備え、
前記可変圧力容器は、
前記第1のストロークおよび前記第2のストロークに応答して変化する可変の容積を有する液体チャンバと、
前記第1のストロークおよび前記第2のストロークに応答して変化する可変の容積を有するガスチャンバであって、該ガスチャンバは外壁を有し、該外壁の少なくとも一部は、熱伝導性であり、前記外壁を通じて熱を伝達させる、ガスチャンバと、
前記液体チャンバと前記ガスチャンバとの間の可動なバリヤであって、該可動なバリヤの動きにより、前記液体チャンバの容積と、前記ガスチャンバの容積とが互いに押し退け合い、前記ガスチャンバの容積と、前記液体チャンバの容積との合計は、概して一定でありかつ前記可変圧力容器の前記容積と概して等しい、可動なバリヤと、
を含む、可変圧力システム。
【請求項2】
前記可動なバリヤは、前記第1のストロークおよび前記第2のストロークに応答して概して一定の表面積を有する、請求項1記載の可変圧力システム。
【請求項3】
前記可動なバリヤは、ブラダである、請求項1または2記載の可変圧力システム。
【請求項4】
前記可動なバリヤは、可撓性である、請求項1から3までのいずれか1項記載の可変圧力システム。
【請求項5】
前記可動なバリヤは、ポリマバッグである、請求項1から4までのいずれか1項記載の可変圧力システム。
【請求項6】
前記ガスチャンバは、プレートと、前記可動なバリヤとによって画定されている、請求項1または2記載の可変圧力システム。
【請求項7】
前記プレートは、高い熱伝導率を有する、請求項6記載の可変圧力システム。
【請求項8】
前記プレートは、金属、合金または炭素複合材のプレートである、請求項6記載の可変圧力システム。
【請求項9】
前記ガスチャンバが、内側チューブと、可撓性の外側のブラダとによって画定されており、
前記可撓性の外側のブラダは、前記可動なバリヤである、請求項1または2記載の可変圧力システム。
【請求項10】
前記可動なバリヤは、ベローズである、請求項1または2記載の可変圧力システム。
【請求項11】
前記ベローズが完全に押し潰されたときに前記ベローズの中央部分を占めるように前記ベローズの内側に配置されたベローズエレメントをさらに有する、請求項10記載の可変圧力システム。
【請求項12】
前記可動なバリヤは、複数のブラダである、請求項1または2記載の可変圧力システム。
【請求項13】
前記可動なバリヤは、細長い蛇行状の可撓性のチューブである、請求項1または2記載の可変圧力システム。
【請求項14】
前記圧力容器は壁部によって画定されており、前記ガスチャンバは、可動なバリヤによって少なくとも部分的に画定されており、前記液体チャンバは、前記ガスチャンバと、前記圧力容器の前記壁部との間の容積である、請求項1から13までのいずれか1項記載の可変圧力システム。
【請求項15】
前記ガスチャンバは、プレートと、前記可動なバリヤとによって画定されている、請求項14記載の可変圧力システム。
【請求項16】
前記プレートは、金属、合金または炭素複合材のプレートである、請求項15記載の可変圧力システム。
【請求項17】
前記ガスチャンバは、内側の中空の円筒状のチューブと、可動なバリヤとによって画定されている、請求項14記載の可変圧力システム。
【請求項18】
前記可動なバリヤは、前記内側の中空の円筒状のチューブの外側に存在する、請求項17記載の可変圧力システム。
【請求項19】
前記可動なバリヤは、前記内側の中空の円筒状のチューブの内側に存在する、請求項17記載の可変圧力システム。
【請求項20】
前記内側の中空の円筒状のチューブは、内部容積を画定しており、該内部容積は、前記液体チャンバと流れ連通しており、前記液体チャンバの一部を形成している、請求項18または19記載の可変圧力システム。
【請求項21】
前記内側の中空の円筒状のチューブは、内部容積を画定しており、該内部容積は、前記圧力容器の外部の入口および出口と流れ連通している、請求項18記載の可変圧力システム。
【請求項22】
前記内側の中空の円筒状のチューブの前記内部容積には、熱伝達流体が充填されている、請求項21記載の可変圧力システム。
【請求項23】
前記内側の中空の円筒状のチューブは、金属、合金または炭素複合材から形成されている、請求項17から22までのいずれか1項記載の可変圧力システム。
【請求項24】
前記可変圧力容器は、概して円筒状の容器である、請求項1から23までのいずれか1項記載の可変圧力システム。
【請求項25】
前記圧力容器は壁部によって画定されており、前記ガスチャンバは、可動なバリヤによって少なくとも部分的に画定されており、前記ガスチャンバは、前記液体チャンバと、前記圧力容器の前記壁部との間の容積である、請求項1から13までのいずれか1項記載の可変圧力システム。
【請求項26】
前記可変圧力容器は、概して円筒状の容器であり、前記可動なバリヤは、各端部において概して円筒状の容器に取り付けられた概して管状のブラダであり、前記ガスチャンバは、前記概して管状のブラダと、前記概して円筒状の容器とによって画定されている、請求項25記載の可変圧力システム。
【請求項27】
前記液体チャンバおよび前記ガスチャンバは、それらの間に境界面を有し、該境界面の熱伝達係数の値は、
K=[p1V1AΔT/δtstroke)]ln(p1/p2)
によって計算することができ、ガス圧縮のプロセスにおいては、p1は初期ガス圧力、p2は圧縮後の最終ガス圧力、Aは熱伝達の表面積、ΔTは初期温度と最終温度との差、tstrokeは圧縮ストロークの時間、V1は圧縮ストロークの開始時のガス体積、δは壁厚であり、ガス膨張のプロセスにおいては、V1は膨張サイクルの終了時のガス体積、p1はガス膨張の開始時のガス圧力、p2は膨張の終了時の最終ガス圧力であり、境界面の材料の熱伝達係数は、計算されたKよりも大きいまたはKと等しい、請求項1から26までのいずれか1項記載の可変圧力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、可変圧力容器、特に、エネルギ貯蔵システムにおいて使用されてもよい可変圧力容器に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ガスの圧縮は、多くの技術において極めて重要なプロセスである。理想気体または理想気体に近いガスの体積を圧縮または減少させると、ガス圧力の増大に加えて熱が発生する。ガスの圧縮によって発生した熱が、例えば、周囲環境との熱交換によって圧縮ガスから除去されるとき、プロセスは等温である。
【0003】
ガスの膨張は、圧縮のプロセスとは逆のプロセスである。膨張の間、ガス圧力は減少し、熱は膨張するガスによって消費される。等温条件を達成するために、膨張するガスによって消費される熱の量は、例えば、周囲環境から膨張するガスへの熱伝達によって供給される。
【0004】
ガス圧縮/膨張は、一般的に、圧縮空気エネルギ貯蔵システム(CAES)においてエネルギの貯蔵のために使用され、等温領域により、エネルギ損失が最小限になり、したがって、全体的な貯蔵効率が最大化される。
【0005】
真のまたは理論的な等温圧縮/膨張は、実際の実用において不可能ではないとしても困難である。真のまたは理論的な等温膨張/圧縮を達成するために、圧縮/膨張されたガスと周囲環境との間の温度差がゼロであることが要求される。これは、無限の熱伝達面積または無限の熱伝達時間またはその両方を必要とする。現実の圧縮/膨張プロセスは、理論的な等温圧縮/膨張に様々な程度にアプローチすることができる。等エントロピーと真に等温との間の圧縮を説明するためにここでは偽等温圧縮という用語が使用される。偽等温圧縮においては、圧縮ガスからある程度の熱が除去されるが、その熱は、真に等温圧縮の場合に除去される熱の量よりも少ない。
【0006】
最近では、ガスの偽等温圧縮および膨張のためのプロセスおよび装置がPCT出願PCT/CA2013/050972およびPCT/CA2015/050137に開示されている。従来技術の文献は、ガス/液体圧縮装置にポンプで送り込まれ、ガス/液体膨張装置から押し出される液体の使用に基づく圧縮および膨張のためのプロセスを示している。液体は、「液体ピストン」の役割を果たす。従来技術の文献においては、液体と圧縮/膨張ガスとは直接接触し、すなわち、ガス−液体境界面が存在する。これらの開示において、熱は、以下の機構のうちの1つまたはあらゆる組み合わせによって圧縮ガスから周囲環境へ伝達される。熱は、圧縮されるガスから圧縮装置の壁部を介して周囲環境へ直接伝達される。熱は、まずガスから液体ピストンへそれらの境界面を介して、次いで、液体から周囲環境へ間接的に伝達される。熱はまず、ガスから固体ヒートシンクへ、次いで、固体ヒートシンクから液体へ、最後に液体から周囲環境へ間接的に伝達される。さらに、熱伝達機構は、膨張の間も同じであるが、熱は、逆方向へ(周囲環境から膨張するガスに向かって)移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、従来技術の文献では、直接的なガス−液体接触が存在する。ガスと接触する液面の存在は、複数の問題につながる。これらの問題の幾つかは、以下に列挙される。(ガス圧力の上昇の間)液体におけるガスの溶解の後、(ガス圧力の低下の間)液体からの溶解されたガスの放出および気泡の形成が続く結果、圧縮および膨張効率のそれぞれの低下が生じる。液面の波動およびその他のタイプの動きが形成されたときの圧縮/膨張容器における液体の動き(ただしこれに限定されない)により圧縮/膨張装置から出るガスと一緒に圧縮/膨張装置からの(液体ピストンを形成する)液体の一部の損失;および液体の泡立ち。これは、結果として、圧縮/膨張効率の低下を生じさせ、また、液体の一部が圧縮または膨張されたガスと一緒に圧縮/膨張装置から排出されるときには、圧縮/膨張装置からの液体の損失を生じさせる。泡立ちは、2つの主なプロセスの結果であることができる。すなわち、ガス−液体境界面を介した液体における気泡の取込みと、圧力低下および/または温度上昇により液体から溶解されたガスが放出されるときの気泡の形成である。このプロセスは、ボトルが開放され、飲料の上方の圧力が低下したときの、炭酸飲料における気泡(二酸化炭素)の形成に類似するものである。
【0008】
したがって、改良された熱伝達機構を提供する可変圧力容器を提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
本開示は、可変圧力容器に関する。容器は、液体チャンバと、ガスチャンバと、それらの間の可動なバリヤとを有する。容器は、容積と、第1のストロークと、第2のストロークとを有する。液体チャンバおよびガスチャンバはそれぞれ、第1のストロークおよび第2のストロークに応答して変化する可変の容積を有する。ガスチャンバは外壁を有し、外壁の少なくとも一部は、熱伝導性であり、外壁を介して熱を伝達させる。液体チャンバとガスチャンバとの間の可動なバリヤの動きにより、液体チャンバの体積と、ガスチャンバの容積とが互いに押し退け合う。ガスチャンバの容積と液体チャンバの容積との合計は、概して一定であり、可変圧力容器の容積と概して等しい。
【0010】
可動なバリヤは、第1のストロークおよび第2のストロークに応答して概して一定であってもよい表面積を有してもよい。可動なバリヤはブラダであってもよい。可動なバリヤは可撓性であってもよい。可動なバリヤはポリマバッグであってもよい。
【0011】
ガスチャンバは、プレートと、可動なバリヤとによって画定されてもよい。プレートは、高い熱伝導率を有してもよい。プレートは、金属、合金、炭素複合材のプレートであってもよい。
【0012】
空気チャンバは、内側チューブと、可撓性の外側のブラダとによって画定されてもよい。可動なバリヤはベローズであってもよい。ベローズは、ベローズが完全に押し潰されたときにベローズの中央部分を占めるようにベローズの内側に配置されたベローズエレメントを有してもよい。
【0013】
可動なバリヤは、複数のブラダであってもよい。可動なバリヤは、細長い蛇行状の可撓性のチューブであってもよい。
【0014】
圧力容器は壁部によって画定されていてもよく、ガスチャンバは、可動なバリヤによって少なくとも部分的に画定されていてもよく、液体チャンバは、ガスチャンバと、圧力容器の壁部との間の容積であってもよい。
【0015】
ガスチャンバは、プレートと、可動なバリヤとによって画定されていてもよい。プレートは、金属、合金または炭素複合材のプレートであってもよい。
【0016】
ガスチャンバは、内側の中空の円筒状のチューブと、可動なバリヤとによって画定されていてもよい。可動なバリヤは、内側の中空の円筒状のチューブの外側にあってもよい。可動なバリヤは、内側の中空の円筒状のチューブの内側にあってもよい。
【0017】
内側の中空の円筒状のチューブは、内部容積を画定しており、内部容積は、液体チャンバと流れ連通していてもよく、液体チャンバの一部を形成している。
【0018】
内側の中空の円筒状のチューブは、内部容積を画定しており、内部容積は、圧力容器の外部にあってもよい入口および出口と流れ連通していてもよい。内側の中空の円筒状のチューブの内部容積には、熱伝達流体が充填されていてもよい。
【0019】
内側の中空の円筒状のチューブは、金属、合金または炭素複合材から形成されてもよい。
【0020】
可変圧力容器は、概して円筒状の容器であってもよい。圧力容器は壁部によって画定されていてもよく、ガスチャンバは、可動なバリヤによって少なくとも部分的に画定されてもよく、ガスチャンバは、液体チャンバと、圧力容器の壁部との間の容積であってもよい。
【0021】
可変圧力容器は、概して円筒状の容器であってもよく、可動なバリヤは、各端部において概して円筒状の容器に取り付けられた概して管状のブラダであってもよく、ガスチャンバは、概して管状のブラダと、概して円筒状の容器とによって画定されてもよい。
【0022】
液体チャンバおよびガスチャンバは、それらの間に境界面を有し、境界面の熱伝達係数の値は、
K=[p
1V
1AΔT/δt
stroke)]ln(p
1/p
2)
によって計算することができ、ガス圧縮のプロセスにおいては、p
1は初期ガス圧力、p
2は圧縮後の最終ガス圧力、Aは熱伝達の表面積、ΔTは初期温度と最終温度との差、t
strokeは圧縮ストロークの時間、V
1は圧縮ストロークの開始時のガス体積、δは壁厚であり、ガス膨張のプロセスにおいては、V
1は膨張サイクルの終了時のガス体積、p
1はガス膨張の開始時のガス圧力、p
2は膨張の終了時の最終ガス圧力であり、境界面の材料の熱伝達係数は、計算されたKよりも大きいかKと等しい。
【0023】
以下の詳細な説明において、別の特徴が説明されるまたは別の特徴が明らかになるであろう。
【0024】
ここで、添付の図面を参照して、実施の形態を例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ポンプに取り付けられた、可変容積エンクロージャの内側のガスと、可変容積エンクロージャの外側の液体とを示す、可変圧力容器の概略図である。
【
図2】
図1に示されたものと同様の可変圧力容器の概略図であるが、可変容積エンクロージャの内側の液体と、可変容積エンクロージャの外側のガスとを示している。
【
図3】
図1に示されたものと同様の可変圧力容器の概略図であるが、ベローズとしての可変容積エンクロージャを示している。
【
図4】
図3に示されたものと同様のベローズの概略図であるが、完全に圧搾されたベローズと、ベローズの中央部分におけるエレメントとを示している。
【
図5】
図1に示されたものと同様の概略図であるが、流れ接続された複数の可変容積エンクロージャを示している。
【
図6】
図1に示されたものと同様の概略図であるが、細長い可撓性のチューブである可変容積エンクロージャの代替的な実施の形態を示している。
【
図7】
図1に示されたものと同様の概略図であるが、熱伝導プレートとしての可変容積エンクロージャと、可撓性のブラダとを示しており、圧縮ストロークにおけるポンプを示している。
【
図8】
図7に示されたものと同様の概略図であるが、概して完全に圧縮されたポンプを示している。
【
図9】
図7および
図8に示されたものと同様の概略図であるが、膨張ストロークにおけるポンプを示している。
【
図10】
図6に示されたものと同様の概略図であるが、内側の中空のチューブと、外側のスリーブとを示しており、内側のチューブは、熱伝達流体が充填されておりかつ可変圧力容器の外部の入口および出口と流れ連通している。
【
図11】
図10に示されたものと同様の概略図であるが、液体と流れ連通した内側のチューブを示している。
【
図12】
図11に示されたものと同様の概略図であるが、ポンプからの液体が内側のチューブと直接に流れ連通するようにポンプとの接続部をさらに有する。
【
図13】
図12に示されたものと同様の概略図であるが、可変圧力容器のための流体ジャケットをさらに有する。
【
図14】
図12に示されたものと同様の概略図であるが、さらに、加熱および冷却フィンを有する。
【
図15】
図12に示されたものと同様の概略図であるが、さらに、液体出口を有する。
【
図16】
図10に示されたものと同様の概略図であるが、外側の中空のチューブと、内側のスリーブとを示している。
【
図17】
図1に示されたものと同様の概略図であるが、可撓性のバリヤと、可変圧力容器の壁部とによって画定された、空気が充填された可変容積エンクロージャを示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
ガスが圧縮される(すなわち、ガスの体積が減少させられる)と、ガスの圧力は上昇し、熱が発生する。ガスが膨張させられる(すなわち、ガスの体積が増大させられる)と、ガスが熱を消費しながらガスの圧力が低下する。理論的な100%の効率でガスを圧縮および膨張させるための1つの方法は、ガスを等温で圧縮および膨張させることによる。等温の圧縮および膨張においては、圧縮の間に発生した熱と、膨張の間にガスによって消費される熱とは、(圧縮の間は)周囲環境へ、および、(膨張の間は)周囲環境から、完全にかつ同時に伝達される。したがって、等温の圧縮または膨張の間は、圧縮または膨張するガスの温度は、圧縮または膨張のプロセスの間、一定のままである。
【0027】
本開示は、ガスを圧縮または膨張させるために使用される(液体ピストンの)液体と、圧縮/膨張されるガスとの直接接触の不利な効果を低減することを目的とする。
【0028】
本開示は、圧縮または膨張させられるガスから(液体ピストンの)圧縮/膨張する液体を分離する、可変容積を有するエンクロージャもしくは容器の使用に基づく。可変容積(収縮可能)のエンクロージャの壁部(および加えて場合によっては充填エレメントおよび/または内側のフィンおよび/または外側のフィン)が、圧縮または膨張するガスと、液体ピストンの液体との間の熱の伝達のために使用される。
【0029】
図1を参照すると、可変圧力容器が概して符号10で示されている。可変圧縮容器10は、圧縮および/または膨張のために使用される。可変圧力容器は、液体チャンバ12およびガスチャンバ14を有する。液体チャンバ12は、液圧式シリンダ16または別のタイプのポンプ装置と流れ連通している。液体チャンバ12とガスチャンバ14との間に可動なバリヤが設けられている。可変圧力容器10のための複数の可能な異なる構成が存在する。可変圧力容器10は、第1のストロークおよび第2のストロークを有する。第1のストロークの間、液体が液体チャンバ12から引き出され、空気が空気チャンバまたはガスチャンバ14内へ引き込まれる。第2のストロークの間、空気が空気チャンバ14から受入タンク18内へ押し出される。本明細書に説明されたプロセスは、一方のストロークが圧縮ストロークであり、他方のストロークが膨張ストロークである2ストロークプロセスであることが当業者によって認識されるであろう。以下では、文脈に応じて、一般的な用語である第1および第2のストロークと、より具体的な圧縮および膨張ストロークとが使用される。
【0030】
図1に示された構成において、可撓性(可変容積)のエンクロージャ20が、液体チャンバ12における液体(液体ピストン)によって包囲されている。可撓性のエンクロージャ20は、液体チャンバ12とガスチャンバ14との間の可動なバリヤである。可撓性のエンクロージャ20は、プラスチックバッグまたはあらゆるその他のタイプのポリマバッグであってもよい。可撓性のエンクロージャ20は、ガスおよび液体に対して化学的に安定であるべきであり、圧搾されたときに空気のほとんどを排出または排気することができるように十分に可撓性であるべきである。可撓性のエンクロージャ20は、空気チャンバ14を画定している。液体チャンバ12は、可変圧力容器10の壁部27と、可撓性のエンクロージャ20との間の容積である。ガス圧縮のプロセスにおいて、第1のストロークの間、液体が可変圧力容器10における液体チャンバ12から接続部22を通じて引き込まれているとき、ガスチャンバ14である可撓性のエンクロージャ20には、弁24(逆止弁であってもよい)を介して低圧ガスが充填される。
【0031】
可変圧力容器10がガス膨張のために使用される場合、所定の量の圧縮ガスが空気チャンバに導入され、空気チャンバは、その膨張により、液体を液体チャンバ12から押し退ける。液体チャンバ12から流出した液体は、別個の往復ユニット(例えば、液圧式シリンダ)16または回転ユニット(例えば、液体モータ)(図示せず)に機械的エネルギを発生させるために使用される。
【0032】
圧縮の過程で圧縮するガスによって発生され、膨張の過程で膨張するガスによって消費される熱は、液体チャンバ12における液体へ/液体チャンバ12における液体からまたは可変圧縮容器10の外側の周囲環境へ伝達される。
【0033】
ガス圧縮の場合、第1のストロークの間、受入タンク18とガスチャンバ14との間の弁26は閉鎖されているのに対し、弁24は開放している。次のステップまたは第2のストロークにおいて、液体は、接続部22を介して可変圧力容器10の液体チャンバ12内へ押し戻され、これにより、空気チャンバ14の内側のガスの圧力を上昇させる。空気チャンバ14における圧力が、受入ガスタンク18における圧力に近くなると、弁26(逆止弁であってもよい)が開放し、圧縮ガスがタンク18を充填する。このストロークの間、弁24は閉鎖されている。次いで、ガス圧縮のプロセスは、ステップ1または第1のストロークを開始し、その後、ステップ2または第2のストロークを行うことによって繰り返される。
【0034】
液圧式シリンダ16は、内方および外方へ移動する往復するピストン28を有する。液圧式シリンダ16または別のタイプのポンプ装置は、圧縮ストロークの間に接続部22を介して可変圧力容器10の液体チャンバ12内へ液体を圧送し、後退ストロークの間に液体チャンバ12から液体を受け入れるために使用される。
【0035】
ガス膨張のプロセスは、ガス圧縮のプロセスと同様である。膨張のプロセスの間、第1のステップまたは第1のストロークにおいて、圧縮ガスタンク18からの所定の量の圧縮ガスが、弁26を介して可撓性のエンクロージャ20へ導入される。弁24は、その時点で閉鎖されている。例えば、可変容積エンクロージャ20(バッグ)へ導入される圧縮ガスの体積は、可変容積エンクロージャ20における圧力が膨張ストロークの終了時に所望の最終圧力の近くに達するように選択されてもよい。圧縮空気は、液体を液体チャンバ12から押し出し、これにより、接続部22から液圧式シリンダ16内へ流れる液体の機械的エネルギを発生させる。第2のステップまたは第2のストロークにおいて、液体は、接続部22を介して液体チャンバ12内へ圧送され、膨張したガスを弁24を介して押し出し、弁26が閉鎖される。次いで、第1および第2のストロークが繰り返される。これにより、本明細書に説明された可変圧力容器を、エネルギ貯蔵システムにおいて使用することができる。
【0036】
図2は、
図1に示されたものと同様であるが、可撓性のエンクロージャ20は液体チャンバ12であり、空気チャンバ14は、可撓性のエンクロージャ20と可変圧力容器10の壁部27との間の容積によって画定されている。ステップまたはストロークは、
図1に関して上記で説明したものと同じである。ガス圧縮の場合、圧縮ストローク(ステップ1)の終了時、可撓性のエンクロージャ20の外側のガスのほとんどまたは全てが、受入タンクまたは容器18へ押し込まれ、これにより、可撓性のエンクロージャ20の外側の空気チャンバ14にはほとんどガスが残留しない。
【0037】
好適には、空気チャンバ14と液体チャンバ12との間の境界面は大きな表面積を有しており、境界面の1つまたは複数の材料は高い熱伝導率を有する。大きな表面積および高い熱伝導率は、エンクロージャ壁部を介した熱伝達を促進する。境界面の表面積は様々な方法で増大されてもよく、そのうちの幾つかが
図3〜
図6に示されているが、これらは単なる例である。その他の可能な境界面は、
図7〜
図17に示されているが、これらは単なる例である。
【0038】
図3は、エンクロージャ30がベローズの形状を有する場合の1つの実施の形態を示している。ベローズ30は、圧縮サイクルの終了時(または膨張サイクルの開始時)にベローズの内側のガスの体積が最小であるように設計されている。このような設計の一例が
図4に示されている。この実施の形態において、エレメント32が、完全に圧搾されたベローズ30の中央部分における容積を占めており、これにより、圧縮サイクルの終了時および膨張サイクルの開始時におけるベローズ30に残されるガスの量を減じている。
【0039】
図5は、互いに並列に接続された複数の相互接続された可撓性のバッグ34の形式のエンクロージャを示している。見て取れるように、この実施の形態の利点は、表面積を増大させるということである。増大した表面積は、より良好な熱伝達を提供することができる。しかしながら、この実施の形態の欠点は、空気チャンバ14から空気を完全に排気することがより困難であるということである。
【0040】
図6は、エンクロージャが、動物の腹部における腸と同様に可変圧力容器10に取り付けられた、蛇行状の長い可撓性のチューブ36である1つの実施の形態を示している。チューブ36の表面は、滑らかであっても、滑らかでなくてもよい。上記で説明したように、エンクロージャ設計の最も重要な条件のうちの1つは、圧縮サイクルの終了時または膨張サイクルの開始時におけるガスの完全な除去または完全に近い除去である。
【0041】
上記で説明したように、従来技術の特許出願PCT/CA2013/050972およびPCT/CA2015/050137は、ポンプまたは液圧式シリンダから圧縮容器へ移動する作動液による空気の圧縮に基づく、圧縮空気エネルギ貯蔵システムを開示している。膨張ユニットに送入された圧縮ガスが、膨張し、作動液を膨張ユニットから液圧式シリンダ内へ移動させる場合、同じシステムをガス(空気)膨張のためにも使用することができることが当業者によって認識されるであろう。従来技術は、液圧式シリンダの往復運動への電気モータ/発電機の回転運動の機械式コンバータを開示している。代替的に、回転モータ/発電機およびコンバータを、液圧式シリンダを駆動するリニア電気モータによって置き換えることができる。圧縮/膨張システムの最も重要なエレメントの1つは、同時の圧縮/膨張および熱伝達のためのユニットまたは圧縮容器である。これらの2つのPCT出願は、本願において使用することができる多段液体ピストン圧縮または膨張容器を開示している。加えて、これらの2つのPCT出願は、組み合わされた液体シリンダおよび圧縮/膨張容器を開示しており、両方とも1つの円筒状容器に包囲されている。この特徴も本願において使用することができる。
【0042】
可変圧縮容器10の代替的な実施の形態が、
図7〜
図9に示されている。圧縮/膨張サイクルの様々な段階が、
図7〜
図9に示されている。
【0043】
可撓性のエンクロージャ20の重要な特性は、その可撓性であり、
図1〜
図6に示された実施の形態では、可撓性のエンクロージャ20、可撓性のバッグ34、可撓性のベローズ30および可撓性のチューブ36は、プラスチックまたはゴムから形成されていてもよい。ガスチャンバと液体チャンバとを分離させる壁部の熱伝達係数の値は、およそ以下のように計算することができる:
K=[p
1V
1AΔT/δt
stroke)]ln(p
1/p
2) (1)
ここで、ガス圧縮のプロセスにおいては、p
1は初期ガス圧力、p
2は圧縮後の最終ガス圧力、Aは熱伝達の表面積、ΔTは初期温度と最終温度との差、t
strokeは圧縮ストロークの時間、V
1は圧縮ストロークの開始時のガス体積、δは壁厚である。ガス膨張のプロセスにおいては、V
1は膨張サイクルの終了時のガス体積であり、p
1はガス膨張の開始時のガス圧力であり、p
2は膨張の終了時の最終ガス圧力である。他の記号は、圧縮のプロセスの場合と同じである。バリヤの材料のための定数Kの絶対値は、計算されたKよりも大きいまたはそれと等しい。
【0044】
低い熱伝達係数を有するポリマなどの材料の場合は、極めて小さな壁厚δを使用することによって、可動なバリヤを介した良好な熱伝達を達成することができることが当業者によって認識されるであろう。代替的に、金属、合金、または金属または炭素複合材などの材料の場合は、より大きな壁厚δが使用されてもよい。
【0045】
ポリマ材料が他の材料よりも低い熱伝導率を有することは当業者によって認識されるであろう。通常、金属、金属または炭素複合材、または合金などのより高い熱伝導率を有する材料は、より可撓性ではない。したがって、両材料を使用する可撓性のエンクロージャが最適である場合がある。
図7〜
図17は、ガスと液体との間の境界面またはガスと周囲環境との間の境界面の少なくとも一部が、高い熱伝導性の物質から形成されている実施の形態を示している。高い熱伝導性の物質は、金属または高い熱伝導率を有する別の物質であってもよい。
【0046】
図7〜
図9は、このようなソリューションの一例を示しており、ガスチャンバ14と液体チャンバ12とは、2ピースセパレータによって分離されている。2ピースセパレータは、通常はより低い熱伝導率を有する可撓性のブラダ40と、極めて可撓性というわけでないが、高い熱伝導率を有する壁部42とから成る。ブラダ40および壁部42は、気密接続部44によって接続されている。
【0047】
図7〜
図9は、ガス圧縮の異なる段階を示している。
図7は、特に、ガス圧縮の圧縮段階を示している。逆止弁46は、この段階で閉鎖されている。第1の段階の開始時、逆止弁48も閉鎖されている。液圧式シリンダ16のピストン28は後退する(図において左へ移動する)。これにより、シリンダ16における作動液(液体)は可変圧縮容器10に向かって移動する(流体の移動は矢印50によって示されている)。液体チャンバ12における液体の体積の増大は、ブラダ40の収縮を生じさせ、その結果、ガスチャンバ14におけるガスの圧縮が生じる。ガスの圧力が、圧縮空気貯蔵容器18における圧力に近くなると、逆止弁48が開放し、圧縮空気を容器18に進入させる(矢印52によって示されている)。液体の総体積は、ピストン28が完全に後退させられた時点でブラダ40がほとんど完全に収縮させられる(ほとんど全てのガスを容器18内へ押し出す)ように選択される。この時点(完了したピストン後退)は、
図8に示されている。
【0048】
ピストン28が完全に後退させられると(
図8に示された左の限界に達すると)、ほとんど全てのガスが容器18へ移動させられ、逆止弁48は閉鎖する。この時点の後、ピストン28は、移動方向を反転させ、
図9に示したように伸長(右へ移動)し始める。その段階で、逆止弁46が開放し、逆止弁48が閉鎖される。(矢印54に従って)液体チャンバ12から出た液体の体積は、逆止弁46を介してブラダ40に進入する新たなガスによって置き換えられる。新しいガス投入のプロセスは、ピストン28がその完全伸長(右側限界)に達するまで継続する。その後、ピストンは再び後退し始め、(
図7によって示された)第1の段階へ戻ることによって圧縮サイクルが繰り返される。
【0049】
逆止弁48および46は例でしかなく、ソレノイド弁などの他の弁が使用されてもよいことが当業者によって認識されるであろう。
【0050】
ガス膨張は、
図7〜
図9に示されたものと同じユニットを使用して行うことができる。しかしながら、膨張の間の弁48および46は逆止弁ではなく、ソレノイドなどの制御可能な弁である。第1のステップまたは膨張は、圧縮ガス貯蔵容器18からブラダ40への所定の量の圧縮ガスの付加である。ピストン28の後退のちょうど開始時(
図9)に、弁48は、所定の量の圧縮ガスがブラダ40に進入するだけの時間にわたって開放される。圧縮ガスの量は、PCT/CA2013/050972およびPCT/CA2015/050137に開示されている。圧縮ガスは液体を液体チャンバ12からシリンダ16に向かって押し付け(矢印56)、これにより、ピストン28を移動(伸長)させ、機械的な運動を生じさせる。ピストンが完全に伸長させられると、ピストンは後退を開始する(
図7)。後退の開始時、弁46が開放され、膨張したガスはブラダ40から押し出される。ピストン28の後退サイクル全体の間(ピストン28が左の限界に達するまで)、弁46は開放したままであり、弁48は閉鎖したままである。次いで、上記で説明したように、所定の量の圧縮ガスをブラダに付加するために、ピストンが伸長し始め、弁46を短時間だけ開放させることによって、膨張サイクルが繰り返される。
【0051】
可変圧縮容器10の代替的な実施の形態が、
図10に示されている。この場合、高い熱伝導性の材料は、円形、矩形またはその他の横断面を備えるチューブ60の形状を有する。チューブ60は、可撓性のブラダ62のスリーブによって包囲されている。チューブおよびブラダは、接続部64によって気密に接続されている。
図7〜
図9を参照して上記で説明されたガス圧縮の3つの段階は、ここでも同様である。熱は、圧縮(または膨張)するガスと、チューブ60の内部容積における流体66との間でチューブ60の壁部を介して伝達される。流体66は、ガスまたは液体であってもよい。チューブ60の内部容積は、液体チャンバ12における液体から分離されている。熱伝達流体66は、接続部68を介して進入し、接続部70を介して出る。
図10に示されたユニットにおいて行われる膨張のプロセスが、上記で説明された段階に続く。
【0052】
図11は、
図10に示された可変圧縮容器の変化形態を示している。
図11では、熱伝達内側チューブ60の両端部は開放しており、チューブ60には、液体チャンバ12から液体が充填される。したがって、ガスチャンバ14におけるガスと、液体チャンバ12における液体との間で熱が伝達される。
【0053】
図12は、
図11に示された可変圧縮容器の別の変化形態を示している。この実施の形態では、液圧式シリンダ16は、コネクタ72によって内側チューブ60に接続されている。したがって、内側チューブ60における液体は、液体チャンバ12における液体と流れ連通している。この実施の形態は、
図10および
図11に示された実施の形態のものとは異なる熱伝達特性を提供する。
【0054】
上記で説明したように、液体は、(圧縮の間)加熱されまたは(膨張の間)冷却されるので、熱は、(圧縮の間)除去されまたは(膨張の間)付加される。理想は、圧縮および膨張の両方の間、液体チャンバ12における液体の概して一定の温度を維持することである。上記で説明したように、ガスチャンバ14におけるガスと、液体チャンバ12における液体との間に熱伝達が生じる。可変圧縮容器10における液体および/またはガスから大気への、可変圧縮容器の壁部27を介した熱伝達も生じる。
図13および
図14は、壁部27を介して熱伝達を改良するための2つの可能な方法を示している。
図13は、流体76によって冷却または加熱されるジャケット74を使用することによる、可変圧力容器10の壁部27を介した、液体チャンバ12における液体からの熱の除去/液体チャンバ12における液体への熱の付加を示している。
図14は、可変圧力容器10の壁部27が、周囲大気への/周囲大気からの熱のより良好な伝達を促進するフィン78または類似のエレメントを含む1つの実施の形態を示している。
【0055】
図15は、液体チャンバ12における液体が、周期的に、外部の熱伝達ユニット(図示せず)に接続されたポート80へ抜き取られる/ポート80から付加される、1つの実施の形態を示している。ポート80を通じて抜き取られる液体の量と付加される液体の量は、概して同じであるべきである。液体チャンバ12における液体の圧力が低いとき、ピストンの伸長の間(ユニットがガス圧縮のために使用される場合)ポート80を通じて液体を付加しまたは後退の間(ユニットがガス膨張のために使用される場合)ポート80を通じて液体を抜き取ることが好ましい。
【0056】
可撓性のブラダ82と、熱伝達チューブまたはエレメント84との組み合わせの別の実施の形態が、
図16に示されている。チューブ84は、
図10〜
図15の実施の形態のように、熱伝達エレメントとして使用されている。やはり、ガスチャンバ14におけるガスと、液体チャンバ12における液体との間で熱が伝達される。しかしながら、可撓性のチューブの形態の可撓性のブラダ82が、熱伝達チューブ84の内側に配置されている。ブラダ82と、熱伝達チューブ84とは、接続部86を介して気密に接続されている。
【0057】
空気チャンバ14があらゆる形状を有してもよいことは当業者によって認識されるであろう。空気チャンバ14は、(圧縮の間の)圧縮ガスの最も高い圧力よりも高い圧力または(膨張の間の)膨張ガスの初期圧力よりも高い圧力に耐える。
【0058】
図17に示された実施の形態において、ガスチャンバ14は、可撓性のブラダ90と、可変圧縮容器10の壁部27とによって画定されている。ブラダ90は、ガスチャンバ14における圧縮/膨張するガスを、液体チャンバ12における作動液から分離するために使用されている。ブラダ90は、アタッチメント92を用いて可変圧縮容器10の内壁27に取り付けられている。ブラダ90と可変圧力容器10の壁部27との間のアタッチメント92は、気密である。ポート94は空気投入のために使用され、ポート96は空気排出のために使用される。ポート94および96はそれぞれ、弁46および48に接続されている。ポート98は、液圧式シリンダ16への可変圧力容器10の接続のために使用されている。
【0059】
ピストン28が収縮する(
図17において左から右へ移動する)ときのガス圧縮の場合、作動液は、液圧式シリンダ16から液体チャンバ12内へ流れ、空気チャンバ14におけるガスの体積を減少させる。ピストン28が拡張する(
図17において右から左へ移動する)とき、作動液は、液体チャンバ12から液圧式シリンダ16内へ流れ、ガスチャンバ14におけるガスの体積は増大する。ピストン28が完全に後退させられると、ガスチャンバ14に残されたガスの体積はできるだけ小さい。本明細書では、「ガス」および「空気」という用語は互換的に使用されており、開示されたユニットは、空気を含む、様々なガスの圧縮のために使用することができる。
【0060】
以下は、
図17の実施の形態を特に参照して、エネルギ貯蔵装置としての使用における可変圧縮容器10を説明する。しかしながら、本明細書に説明された他の実施の形態も同様の形式で使用されることが当業者によって認識されるであろう。
【0061】
1.ガス圧縮
図17に示されたユニットがガス圧縮ユニットとして作動する場合、液圧式シリンダ16のピストン28は、モータの回転運動を往復運動に変換する機械式コンバータ(図示せず)に接続された回転モータによって移動させられる。モータの回転運動を往復運動に変換するコンバータは、ピストン28を駆動する。弁46はガスをブラダ90に向かってのみ流すのに対し、弁48はガスをブラダから離れる方向へのみ流す。弁46および48は、逆止弁、ソレノイド弁またはその他のタイプの弁であってもよい。
【0062】
ステップ1.1 ピストン28が伸長する(
図17において右から左へ移動する)と、ピストン28は、作動液を圧縮容器から液圧式シリンダ内へ引き込む。その結果、ブラダ90の膨張が生じ、ブラダにポート94および弁46から新たなガスを充填する。液圧式シリンダの伸長の間、弁46は開放されている。弁48は、液圧式シリンダの延長の間、閉鎖されている。
【0063】
ステップ1.2 次のステップにおいて、ピストンの運動は反転し、すなわち、後退し始め、その結果、作動液は液圧式シリンダ16から圧縮液体チャンバ12内へ流れる。第2のステップの間、弁46は閉鎖されている。ステップ1.2.1 最初に、弁48が閉鎖される。作動液の流入の結果、ブラダ90が収縮し、空気チャンバ14における空気を圧縮する。ステップ1.2.2 所要のガス圧縮圧力に達した後、弁48が開放し、圧縮された空気が、ブラダからポート96および弁48を介して圧縮ガス貯蔵容器内へ出ていく。ピストン28が完全後退に達した後、第1のステップが繰り返され、その後、再び、第2のステップなどが行われる。圧縮(ステップ1.2.1)の間、圧縮ガスは熱を発生させる。ガスの等温(または、現実には、等温に近い)条件を維持するために、発生した熱のほとんど全てが圧縮ガスから可変圧縮容器10の壁部27へ伝達される必要がある。次いで、圧縮ユニットの外側において、熱は、外壁27から、可変圧縮容器10を包囲する周囲大気または熱伝達液体へ伝達される。外部熱伝達を高めるために、圧縮容器の外壁は、熱伝達面積を増大させ、ひいては熱伝達率を高める、上記で説明したフィンまたはその他のエレメントを有してもよい。
【0064】
2.ガス膨張
図17に示されたユニットがガス膨張ユニットとして作動する場合、液圧式シリンダ16のピストン28は、ピストンの往復運動を発電機の回転運動に変換するコンバータ(図示せず)を介して、発電機に機械的エネルギを供給する。ピストンの往復運動をモータの回転運動に変換するコンバータは、ピストン28によって駆動される。代替的に、液圧式シリンダによってリニア発電機を駆動することができる。
【0065】
ステップ2.1 このステップの間、ピストン28が伸長する。ステップ2.1.1 ガス膨張プロセスの第1の部分(
図17)において、弁46が短時間だけ開放され、これにより、所定の量の圧縮空気を圧縮空気貯蔵容器からブラダ90へ進入させる。弁46は、ソレノイドまたはその他のタイプの制御可能な弁である。ステップ2.1.2 十分な圧縮空気がブラダ90に進入すると、弁46は閉鎖される。所要の圧縮ガス体積は、過去に説明されている(PCT/CA2013/050972およびPCT/CA2015/050137)。空気チャンバ14に導入された圧縮空気は、ブラダ90を膨張させ、作動液を空気チャンバ14から液圧式シリンダ16へポート98を通じて流れさせ、これにより、ピストン28を伸長させる(ピストンを
図2において左に向かって移動させる)。
【0066】
ステップ2.2 第2のステップ(ガス排出)において、ピストンは後退し、その結果、作動液は、液圧式シリンダ16から膨張空気チャンバ14内へ流れる。その結果、ブラダ90は収縮し、空気をブラダからポート96および弁48を通じて押し出す。弁48は、ソレノイドまたはその他のタイプの制御可能な弁である。弁48は、ピストン28の収縮サイクル全体の間は開放され(ステップ2.2)、ピストン伸長サイクルの間は閉鎖される(ステップ2.1)。第2のステップ(ピストン28の後退)が完了した後、第1のステップが繰り返され、その後、再び、第2のステップなどが行われる。ガス膨張の間(ステップ2.1.2)、膨張ガスは熱を消費する。ガスの等温(または、現実には、等温に近い)条件を維持するために、消費される熱は、膨張空気チャンバ14の外側の周囲環境から空気チャンバ14の壁部へ、次いで、膨張ガスへ供給される必要がある。外部熱伝達を高めるために、膨張空気チャンバ14の外壁は、熱伝達面積を増大させ、ひいては熱伝達率を高めるフィンまたはその他のエレメントを有してもよい。
【0067】
一般的に言えば、本明細書で説明されたシステムは、可変圧力容器に関する。開示の様々な実施の形態および態様は、以下で説明される詳細に関して説明される。以下の説明および図面は、開示の例示であり、開示を限定するものと解されるべきではない。多くの特定の詳細は、本開示の様々な実施の形態の十分な理解を提供するために説明されている。しかしながら、幾つかの例において、公知のまたは慣用的な詳細は、本開示の実施の形態の簡潔な説明を提供するために、説明されていない。
【0068】
本明細書で使用される場合、“含む”および“含んでいる”という用語は、包括的かつ無制限であり、排他的でないと解されるべきである。特に、明細書および特許請求の範囲において使用される場合、“含む”および“含んでいる”という用語ならびにその変化形は、特定された特徴、ステップまたは構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップまたは構成要素の存在を排除するものと解すべきではない。